(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】調理装置
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
A47J27/14 E
A47J27/14 H
(21)【出願番号】P 2019120296
(22)【出願日】2019-06-27
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 梓
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-033498(JP,A)
【文献】特開2017-093480(JP,A)
【文献】特開2001-299584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理装置であって、
複数の載置位置
が形成される平坦な載置面を有する調理台と、
前記調理台上に載置される調理用容器と、
前記調理用容器を異なる載置位置に搬送する容器搬送機構と、
前記容器搬送機構により異なる載置位置に搬送された前記調理用容器に対し調理工程を行う自動調理機と、を備え、
前記容器搬送機構は、前記調理台に水平旋回可能に設けられる旋回部と、前記旋回部に設けられ前記調理用容器に係脱可能な係脱部と、を有し、
前記調理用容器は、前記係脱部に係合された状態において、
前記調理台の前記載置面と接触した状態で、前記旋回部の旋回により異なる載置位置に移動する、調理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の調理装置であって、
前記調理用容器は、その底部に前記調理台の前記載置面上を転動する転動部を有する、調理装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の調理装置であって、
前記係脱部は、前記旋回部に対し回動可能に設けられ前記調理用容器と前記係脱部との係脱を切り替える係脱爪を有する、調理装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の調理装置であって、
前記調理用容器の外周には、縁部が設けられ、
前記縁部が前記係脱爪及び前記旋回部により挟持されることで、前記調理用容器と前記係脱部とが係合する、調理装置。
【請求項5】
請求項
3又は
4に記載の調理装置であって、
前記係脱爪は、前記旋回部の軸線を中心とする円周方向に沿って複数設けられ、
複数の前記係脱爪は、それぞれ独立して前記調理用容器に係脱可能に構成される、調理装置。
【請求項6】
請求項1から
5までのいずれか1項に記載の調理装置であって、
前記容器搬送機構は、第1容器搬送機構及び第2容器搬送機構を含み、
前記載置位置は、前記第1容器搬送機構と前記第2容器搬送機構との間に設けられる中継載置位置を含み、
前記第1容器搬送機構の係脱部及び前記第2容器搬送機構の係脱部のいずれも、前記中継載置位置に位置する前記調理用容器に係脱可能に構成される、調理装置。
【請求項7】
請求項1から
6までのいずれか1項に記載の調理装置であって、
前記容器搬送機構は、前記調理用容器がいずれか一つの載置位置に移動した後に、前記調理用容器と前記係脱部との係合を一時的に解除する、調理装置。
【請求項8】
請求項1から
7までのいずれか1項に記載の調理装置であって、
複数の前記載置位置のうちの少なくとも一部には、前記調理用容器を加熱する加熱部が設けられる、調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、架台と、排出口が形成される鍋と、鍋を旋回自在に保持するように架台に形成される保持部と、排出口に着脱自在に取り付けられる栓棒と、栓棒に回動自在に設けられて鍋を保温部と調理部とに区分する仕切板と、保温部と調理部とを独立的に加熱するように鍋の下に配設された加熱部と、を備える調理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の調理装置を用いて、食材を調理する際に、各調理工程を全て手作業で行わなければならないため、例えば味等の調理品質のばらつきが生じやすくなるという問題点があった。
【0005】
本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、少なくとも一部の調理工程の自動化を図ることにより調理品質のばらつきを低減させる調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、複数の載置位置を有する調理台と、前記調理台上に載置される調理用容器と、前記調理用容器を異なる載置位置に搬送する容器搬送機構と、前記容器搬送機構により異なる載置位置に搬送された前記調理用容器に対し調理工程を行う自動調理機と、を備え、前記容器搬送機構は、前記調理台に水平旋回可能に設けられる旋回部と、前記旋回部に設けられ前記調理用容器に係脱可能な係脱部と、を有し、前記調理用容器は、前記係脱部に係合された状態において、前記旋回部の旋回により異なる載置位置に移動する、調理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、少なくとも一部の調理工程の自動化を図ることにより調理品質のばらつきを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る調理装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る調理装置を示す上面図である。
【
図6A】調理用容器と係脱部との係合を説明するための概略説明図である。
【
図6B】調理用容器と係脱部との離脱を説明するための概略説明図である。
【
図7】調理装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係る調理装置を示す上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0010】
(調理装置)
まず、
図1から
図6Bを参照しながら本実施形態に係る調理装置1について説明する。
【0011】
図1は、調理装置1を示す斜視図である。
図2は、調理装置1を示す上面図である。
図3は、調理台2の上面図である。
図4は、調理用容器3の上面図である。
図5は、
図4に示すV-V線に沿う断面図である。
図6Aは、調理用容器3と係脱部42Aとの係合を説明するための概略説明図である。
図6Bは、調理用容器3と係脱部42Aとの離脱を説明するための概略説明図である。図中において、調理装置1の長手方向、調理装置1の幅方向及び調理装置1の上下方向(以下、単にそれぞれ長手方向、幅方向及び上下方向と称する。)を、それぞれX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向とする。
【0012】
本実施形態に係る調理装置1は、食材を調理するための自動調理装置である。具体的には、調理装置1は、例えば店舗に設置され、食材(肉、魚又は野菜等)を調理して(煮込んで)料理を提供する。もちろん、調理装置1は、煮込みの他に例えば、炒め、蒸し、茹で又は揚げ等の調理に用いられてもよい。
【0013】
図1に示すように、調理装置1は、調理台2と、調理台2上に載置される調理用容器3と、調理用容器3を異なる載置位置212に搬送する容器搬送機構4と、容器搬送機構4により異なる載置位置212に搬送された調理用容器3に対し調理工程を行う自動調理機(図示しない)と、食材を自動的に調理用容器3に投入する食材自動投入機(図示しない)と、容器搬送機構4、自動調理機及び食材自動投入機の動作を制御する制御部5と、を備える。
【0014】
[調理台]
調理台2は、長手方向に沿って延在するように水平方向に設けられる矩形状の載置板21と、載置板21と平行になるように載置板21の下方に設けられる矩形状の下板22と、上下方向に延在して設けられ載置板21の四隅と下板22の四隅とをそれぞれ接続する四本の支持柱23と、を有する。
【0015】
図2及び
図3に示すように、載置板21は、調理用容器3を載置するための載置部である。載置板21には、複数(ここでは六つ)の載置位置212が形成される平坦な載置面211が設けられる。これにより、調理用容器3は、載置板21の載置面211と接触した状態で水平移動する。そのため、調理用容器3を載置面211から持ち上げることなく、容器搬送機構4により載置面211の延在方向に沿って異なる載置位置212に水平移動させることができる。なお、平坦な載置面211は、調理用容器3の水平移動を妨げない程度の微小凹凸を有するものであってもよい。
【0016】
六つの載置位置212は、上面視において3(長手方向)×2(幅方向)のようなマトリックス状に配列される。また、六つの載置位置212は、反時計回りに順に配列される食材投入位置212a、第1あく抜き位置212b、第2あく抜き位置212c、料理盛り位置212d、調味液吸引位置212e、及び調味液補充位置212fからなる。
【0017】
図3に示すように複数の載置位置212の少なくとも一部には、調理用容器3を加熱する加熱部としての誘導加熱機213が埋め込まれる。これにより、複数の載置位置212の少なくとも一部に位置する調理用容器3に対し加熱処理を行うことができる。具体的には、食材投入位置212a、第1あく抜き位置212b、第2あく抜き位置212c及び料理盛り位置212dには、それぞれ独立した誘導加熱機213a,213b,213c,213dが埋め込まれる。複数(ここでは四つ)の誘導加熱機213a,213b,213c,213dは、上面視において略L字型となるように配列される。
【0018】
誘導加熱機213a,213b,213cは、制御部5から出力された加熱制御信号に基づいて、調理用容器3内の温度が適切な煮込温度となるように調理用容器3を加熱する。一方、誘導加熱機213dは、制御部5から出力された保温制御信号に基づいて、調理用容器3内の温度が料理の保温温度(すなわち、適切な煮込温度よりも低い温度)となるように調理用容器3を加熱する。
【0019】
つまり、誘導加熱機213dの加熱温度は、その他の誘導加熱機213a,213b,213cの加熱温度よりも低く設定される。これにより、食材投入位置212a、第1あく抜き位置212b又は第2あく抜き位置212cに位置する調理用容器3に収容された食材を強火で加熱調理することができる一方、加熱調理が終わって料理盛り位置212dに位置する調理用容器3に収容された食材を煮込みすぎないように保温温度で保温することができる。
【0020】
調味料供給部(図示しない)は、調味料供給機構(図示しない)を介して食材投入位置212aに位置する調理用容器3に供給する未使用の調味料としての調味液を貯留する。ここでは、調味液とは、食材に味付けするための液体の調味料である。しかしながら、調味料供給部は、調味液に限らず、例えば、粉末又は固形の調味料を貯留してもよい。
【0021】
調味料保管部(図示しない)は、吸引ノズル(図示しない)を介して、調味液吸引位置212eに位置する調理用容器3から吸引された調味液(煮込んだ後の調味液)を回収して貯留する。そして、調味料保管部は、吸引により回収した調味液と収容された調味料(液体であってもよいし、粉末又は固形であってもよい)との混合を行うことにより、調味液の糖度等を測定し調味液の濃度を調整する。
【0022】
さらに、調味料保管部は、補充ノズル(図示しない)を介して、調味液補充位置212fに位置する調理用容器3に濃度が調整された所定量の調味液を補充する。
【0023】
[調理用容器]
調理用容器3は、例えば、比較的少量の食材を煮るための容器である。調理用容器3は、載置板21の載置面211と当接しながら異なる載置位置212間を水平移動する容器である。
【0024】
なお、調理用容器3は、一つだけ用いられてもよいし、複数用いられてもよい。ただし、調理用容器3は、その数が載置位置212の数よりも少なくなるように設けられる。具体的には、調理用容器3の数は、店舗の営業時間帯に応じて決定される。より具体的には、店舗の閑散営業時間帯においては、比較的少ない数(例えば、一つ)の調理用容器3が用いられる一方、店舗の繁忙営業時間帯においては、比較的多い数(例えば、四つ)の調理用容器3が用いられる。
【0025】
このように、ユーザは、店舗の営業時間帯に応じて、調理装置1に用いられる調理用容器3の数を変更することにより、食材の調理量を適宜調整することができる。そのため、調理後一定時間内に消費されず残ってしまう料理の量を低減することができるので、一定品質の料理を最適なタイミングで供給することができる。
【0026】
また、店舗の繁忙営業時間帯においては、比較的多い数の調理用容器3が用いられた場合であっても、調理用容器3の数を載置位置212の数よりも少なくする必要がある。調理用容器3の数を載置位置212の数と同じにすると、容器搬送機構4は、複数の調理用容器3を異なる載置位置212に搬送することができない。
【0027】
図4及び
図5に示すように、調理用容器3は、有底円筒形状の鍋部31と、鍋部31と別体に形成されるフレーム部32と、を有する。鍋部31は、誘導加熱機213に対応させるものであって、高い熱伝導性を有するステンレス、アルミ、鉄、銅又はこれらを組み合わせた金属等の材質により構成される。鍋部31の加熱効率を高めるために、鍋部31の底部を平板状とすることが好ましい。鍋部31としては、一般的に市販されるものを用いることができる。
【0028】
フレーム部32も、強度及び耐食性の観点から、高い熱伝導性を有するステンレス、アルミ、鉄、銅又はこれらを組み合わせた金属等の材質により構成されてもよい。
【0029】
図5に示すように、フレーム部32は、鍋部31が載置される載置座321と、載置座321よりも上方に位置して円筒形状の鍋部31の外周側に突出するように設けられる縁部としての円環部322と、載置座321と円環部322とを連結するための連結部323と、載置座321の載置面211に対向する側に設けられる転動部324と、を有する。
【0030】
載置座321は、開口を有する円環形状からなり、その内径が鍋部31の外径よりも大きくなるように形成される。これにより、鍋部31の底部を載置座321に当接させることができるので、載置座321には、鍋部31を載置することができる。そして、誘導加熱機213により発生する熱は、載置座321の開口を通過して鍋部31の底部に伝達することができる。また、載置座321は、その外径が円環部322の外径よりも小さくなるように形成される。これにより、調理用容器3の径方向における小型化を図ることができる。
【0031】
円環部322は、容器搬送機構4の後述する係脱部42が調理用容器3に係合するための部品である。円環部322は、載置座321と同軸に設けられ、その内径が鍋部31の外径よりも僅かに大きくなるように形成される。これにより、鍋部31は、円環部322を貫通して載置座321に載置される。円環部322の外縁には、載置面211に対向するように上下方向に沿って延在する円環状のリブ322aが設けられる。すなわち、円環部322は、その先端が下方を向くように折り曲げられる。
【0032】
連結部323は、その一端が載置座321と連結されるとともに、その他端が円環部322と連結されるように設けられる。本実施形態では、連結部323は、載置座321又は円環部322の軸線を中心とする同一円周上に所定の間隔を空けて設けられる複数(例えば、四本)の連結柱323aからなる。これにより、円筒状の連結部に比べ調理用容器3全体の軽量化を図ることができる。その結果、容器搬送機構4は、軽量化が図られた調理用容器3を搬送することになるため、容器搬送機構4自体の製造コストを低減することができる。
【0033】
転動部324は、複数(ここでは四つ)設けられる(
図4参照)。各転動部324は、載置面211上を転動する球体324aを有する。このように、転動部324は、あらゆる方向に転動可能な複数の球体324aを有するため、調理用容器3を転動部324を介してスムーズに載置面211上に沿って水平移動させることができる。複数の球体324aは、載置座321又は円環部322の軸線を中心とする同一円周上に所定の間隔を空けて設けられる。
【0034】
本実施形態では、転動部324は、複数の球体324aを有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の球体324aの代わりに複数のローラ体を有してもよい。
【0035】
また、本実施形態では、調理用容器3は、転動部324を有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、転動部324を有さなくてもよい。この場合、鍋部31の底部を載置板21の載置面211に直に当接させることができるので、誘導加熱機213により発生する磁力線が鍋部31の底部を通過しやすくなり、鍋部31は、効率よく加熱される。
【0036】
また、本実施形態では、調理用容器3は、鍋部31及び鍋部31と別体に形成されるフレーム部32を有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、フレーム部32を省略してもよい。この場合、鍋部31の外周側及び底部には、それぞれ円環部322及び転動部324が鍋部31と一体に設けられる。これにより、調理用容器3全体の軽量化をより図ることができる。
【0037】
[容器搬送機構]
図2に示すように、容器搬送機構4は、幅方向(Y軸方向)の中央位置において、長手方向(X軸方向)に沿って配列される第1容器搬送機構4A及び第2容器搬送機構4Bを含む。長手方向に沿って第1容器搬送機構4Aと第2容器搬送機構4Bとを通過する第1仮想直線k1に対する幅方向の一方側には、食材投入位置212a、第1あく抜き位置212b及び第2あく抜き位置212cが形成される。一方、第1仮想直線k1に対する幅方向の他方側には、料理盛り位置212d、調味液吸引位置212e及び調味液補充位置212fが形成される。
【0038】
図2に示すように、幅方向に沿って第1容器搬送機構4Aを通過する第2仮想直線k2よりも外側には、食材投入位置212a及び調味液補充位置212fが形成される。幅方向に沿って第2容器搬送機構4Bを通過する第3仮想直線k3よりも外側には、第2あく抜き位置212c及び料理盛り位置212dが形成される。そして、第2仮想直線k2と第3仮想直線k3との間(すなわち、第1容器搬送機構4Aと第2容器搬送機構4Bとの間)には、中継載置位置としての第1あく抜き位置212b及び調味液吸引位置212eが形成される。
【0039】
第1容器搬送機構4Aは、調理用容器3を食材投入位置212aから第1あく抜き位置212bに搬送するとともに、調理用容器3を調味液吸引位置212eから調味液補充位置212fに搬送する。第2容器搬送機構4Bは、調理用容器3を第1あく抜き位置212bから順に第2あく抜き位置212c及び料理盛り位置212dを経由して調味液吸引位置212eに搬送する。
【0040】
すなわち、調理用容器3は、
図2の矢印R1に示すように、第1容器搬送機構4Aにより食材投入位置212aから第1あく抜き位置212bに水平移動する。その後、調理用容器3は、
図2の矢印R2,R3,R4に示すように、第2容器搬送機構4Bにより第1あく抜き位置212bから順に第2あく抜き位置212c及び料理盛り位置212dを経由して調味液吸引位置212eに水平移動する。その後、調理用容器3は、
図2の矢印R5,R6に示すように、再び第1容器搬送機構4Aにより調味液吸引位置212eから調味液補充位置212fを経由して食材投入位置212aに戻る。
【0041】
図2、
図6A及び
図6Bに示すように、第1容器搬送機構4Aは、旋回部41A及び係脱部42Aを有する。旋回部41Aは、載置板21に水平旋回可能に設けられる。旋回部41Aは、上下方向に沿って延在して設けられる旋回部本体411Aと、駆動軸が旋回部本体411Aの一端と連結されるモータ412Aと、旋回部本体411Aの他端に設けられるヘッド部413Aと、を有する。
【0042】
旋回部本体411Aは、その一部が載置板21を貫通して形成される。モータ412Aは、ねじ止め等により載置板21の下面に取り付けられる。モータ412Aは、ヘッド部413Aを旋回駆動する旋回駆動部である。モータ412Aは、制御部5から出力された旋回用制御信号に基づいて、時計回り又は反時計回りに駆動される。ヘッド部413Aは、その外径が旋回部本体411Aの外径よりも大きくなるように旋回部本体411Aと同軸に形成される。
【0043】
係脱部42Aは、調理用容器3に係脱可能に旋回部41Aのヘッド部413Aに設けられ、複数(ここでは三つ)の係脱爪421Aを有する。複数の係脱爪421Aは、それぞれ独立して異なる載置位置212に位置する複数の調理用容器3に係脱可能に構成される。これにより、第1容器搬送機構4Aは、複数の調理用容器3を同時に搬送したり、複数の調理用容器3の一部を個別に搬送したりすることができる。
【0044】
複数の係脱爪421Aは、ヘッド部413Aの載置面211に対向する面に設けられる。また、複数の係脱爪421Aは、旋回部本体411Aの軸線を中心とする同一円周上に設けられる。具体的には、三つの係脱爪421Aは、互いに隣接する同士間の角度がそれぞれ90°、90°及び180°となるように設けられる。
【0045】
複数の係脱爪421Aは、ヘッド部413Aに対し上下方向に回動可能に設けられる。係脱爪421Aの回動軸は、旋回部本体411Aの軸線を中心とする円周に接する接線方向に延在する軸である。そして、係脱爪421Aの回動によって、調理用容器3と係脱部42Aとの係脱が切り替えられる。
【0046】
複数の係脱爪421Aは、それぞれ独立して制御部5から出力された係脱用制御信号に基づいて、アクチュエータ(図示しない)によって回動する。具体的には、係脱爪421Aは、制御部5から出力された係合制御信号に基づいて、その先端がヘッド部413Aの外周壁に接近するように上方向に回動する。一方、係脱爪421Aは、制御部5から出力された離脱制御信号に基づいて、その先端がヘッド部413Aの外周壁から離間するように下方向に回動する。
【0047】
調理用容器3が載置位置212に位置するとき、調理用容器3のリブ322aは、常にヘッド部413Aの外周壁に対向する。
図6Aに示すように、係脱爪421Aは、その先端がヘッド部413Aの外周壁に接近するように回動すると、調理用容器3のリブ322aが係脱爪421Aの先端及びヘッド部413Aの外周壁により挟持される。これにより、調理用容器3と係脱部42Aとが係合される。このように、調理用容器3と係脱部42Aとの係合が容易に実現される。
【0048】
そして、調理用容器3は、係脱部42Aに係合された状態において、ヘッド部413Aの一方向(
図2に示す反時計回り方向)の旋回により異なる載置位置212に水平移動する。これにより、第1容器搬送機構4Aは、調理用容器3を異なる載置位置212に搬送することができる。
【0049】
一方、
図6Bに示すように、係脱爪421Aの先端がヘッド部413Aの外周壁から離間するように回動すると、調理用容器3のリブ322aが係脱爪421Aの先端及びヘッド部413Aの外周壁により挟持されなくなる。これにより、容器搬送機構4は、調理用容器3と係脱部42Aとの係合を一時的に解除する。
【0050】
そして、調理用容器3と係脱部42Aとの係合が解除された状態において、ヘッド部413Aは、一方向と逆である他方向(
図2に示す時計回り方向)に旋回して初期位置に戻る。これにより、旋回部本体411A又はヘッド部413Aの内部のケーブル等がねじれたり痛んだりすることはない。また、第1容器搬送機構4Aを低コストで製造することができる。
【0051】
なお、ヘッド部413Aが旋回して初期位置に戻ったとき、不本意の調理用容器3の移動(位置ずれ)によって調理用容器3と係脱部42Aとの係合ができなくなるような事態を防止するために、係脱爪421Aを、調理用容器3のリブ322aが挟持され、すなわち、調理用容器3が一時的に固定されるように回動させることが好ましい。
【0052】
また、本実施形態では、調理用容器3を一時的に固定する手段としては、係脱爪421Aを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、ヘッド部413A内に通電可能なコイルを形成してもよい。この場合、コイルに通電させることにより、ヘッド部413Aに電磁力を発生させてリブ322aを寄せ付けることにより、調理用容器3の一時的な固定が容易に実現される。
【0053】
また、調理用容器3と係脱部42Aとの係合が解除された状態において、ヘッド部413Aが旋回しても、調理用容器3は、移動せずそのまま載置位置212に位置する。これにより、第1容器搬送機構4Aは、当該調理用容器3を搬送することなく、他の調理用容器3を個別に異なる載置位置212に搬送することができる。
【0054】
本実施形態では、係脱部42Aは、係脱爪421Aを有しているが、これに限定されるものではなく、例えば、係脱爪421Aの代わりに、昇降可能にヘッド部413Aに設けられるピンを有してもよい。この場合、ピンを上昇又は下降するによって、調理用容器3のフレーム部32に形成された孔に挿通させて、調理用容器3と係脱部42Aとの係合を実現している。
【0055】
また、本実施形態では、係脱爪421Aは、回動可能に旋回部41Aのヘッド部413Aに設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、旋回可能に旋回部41Aの旋回部本体411Aに設けられてもよい。
【0056】
また、本実施形態では、係脱爪421Aは、ヘッド部413Aに対し上下方向に回動可能に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、昇降可能に設けられてもよい。この場合、係脱爪421Aは、昇降可能に旋回部41Aの旋回部本体411Aに設けられる。そして、係脱爪421Aの昇降によって、調理用容器3と係脱部42Aとの係脱が切り替えられる。
【0057】
また、本実施形態では、係脱爪421Aは、旋回部41Aのヘッド部413Aと共にリブ322aを挟持して調理用容器3と係脱部42Aとの係合を実現しているが、これに限定されるものではなく、例えば、マグネットとしての通電可能なコイルが形成されてもよい。この場合、コイルに通電させることにより、係脱爪421Aに電磁力を発生させてリブ322aを寄せ付ける。これにより、係脱爪421Aを可動(旋回又は昇降)させることなく、調理用容器3と係脱部42Aとの係合が容易に実現される。
【0058】
また、本実施形態では、旋回部41Aは、昇降不能かつ旋回可能に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、昇降可能かつ旋回可能に設けられてもよい。この場合、旋回部41Aを昇降させる昇降機構を別途設ける必要がある。これにより、旋回部41Aを昇降させることで、高さの異なる調理用容器3に対応させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、第1容器搬送機構4Aは、調理用容器3を載置面211から持ち上げることなく、載置面211と当接させた状態において異なる載置位置212に搬送しているが、これに限定されるものではなく、例えば、調理用容器3を載置面211から持ち上げた状態において異なる載置位置212に搬送してもよい。この場合、調理用容器3が載置面211に与える摩耗を著しく低減することができる。
【0060】
一方、第2容器搬送機構4Bは、旋回部41B及び係脱部42Bを有する。第2容器搬送機構4Bの旋回部41B及び係脱部42Bは、第1容器搬送機構4Aの旋回部41A及び係脱部42Aと同様であるため、これらの説明を省略する。
【0061】
そして、第2容器搬送機構4Bの係脱部42Bは、第1容器搬送機構4Aにより第1あく抜き位置212bに搬送された調理用容器3に係脱することができる。一方、第1容器搬送機構4Aの係脱部42Aは、第2容器搬送機構4Bにより調味液吸引位置212eに搬送された調理用容器3に係脱することができる。
【0062】
すなわち、第1容器搬送機構4Aの係脱部42A及び第2容器搬送機構4Bの係脱部42Bのいずれも、第1あく抜き位置212b又は調味液吸引位置212eに位置する調理用容器3に係脱可能に構成される。言い換えると、第1容器搬送機構4A及び第2容器搬送機構4Bのいずれも、調理用容器3を第1あく抜き位置212b又は調味液吸引位置212eに搬送することができる。
【0063】
[自動調理機]
自動調理機は、食材投入位置212aに位置する調理用容器3に投入された食材をほぐすためのほぐし部(図示しない)と、第1あく抜き位置212b及び第2あく抜き位置212cに位置する調理用容器3内のあくを抜くためのあく抜き部(図示しない)と、を有する。
【0064】
[食材自動投入機]
食材自動投入機は、食材投入位置212aと隣接するように設けられる。食材自動投入機は、制御部5から出力された投入制御信号に基づいて、第1容器搬送機構4Aにより食材投入位置212aに搬送された調理用容器3に所定量の食材を自動的に投入する。
【0065】
[制御部]
図1に示すように、制御部5は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。制御部5は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。制御部5は、誘導加熱機213、調味液供給機構、吸引ノズル、補充ノズル、容器搬送機構4、自動調理機及び食材自動投入機と電気的に接続される。制御部5は、誘導加熱機213、調味液供給機構、吸引ノズル、補充ノズル、容器搬送機構4、自動調理機及び食材自動投入機の動作を制御するように、誘導加熱機213、容器搬送機構4、自動調理機及び食材自動投入機に各制御信号を出力する。
【0066】
(調理装置の動作)
次に、
図7を参照しながら調理装置1の動作について説明する。ここでは、店舗の最も閑散な営業時間帯を想定して、単一の調理用容器3が用いられた調理装置1の動作を一例として説明する。なお、これらの動作は、制御部5にプログラムされる。
【0067】
図7は、調理装置1の動作を示すフローチャートである。
【0068】
図7に示すように、まず、ステップS1において、食材自動投入機は、制御部5から出力された投入制御信号に基づいて、食材投入位置212aに位置する調理用容器3に所定量の食材を自動的に投入する。同時に調味液供給機構は、制御部5から出力された供給制御信号に基づいて、所定量の未使用の調味液を供給する。
【0069】
その後、誘導加熱機213aは、制御部5から出力された加熱制御信号に基づいて、調理用容器3内の温度が適切な煮込温度となるように調理用容器3を所定の時間加熱する。加熱と同時に、ほぐし部は、制御部5から出力されたほぐし制御信号に基づいて、調理用容器3に投入された食材を食材同士がくっついて塊にならないようにほぐす。そして、ステップS2に進む。
【0070】
ステップS2において、調理用容器3は、第1容器搬送機構4Aの係脱部42Aに係合された状態で、第1容器搬送機構4Aの旋回部41Aの反時計回り90°旋回により、食材投入位置212aから第1あく抜き位置212bに水平移動する。そして、第1容器搬送機構4Aにより第1あく抜き位置212bに搬送された調理用容器3から係脱部42Aを離脱させる。すなわち、係脱部42Aの係脱爪421Aを回動させる。
【0071】
その後、誘導加熱機213bは、制御部5から出力された加熱制御信号に基づいて、調理用容器3内の温度が適切な煮込温度となるように調理用容器3を所定の時間加熱する。加熱と同時に、あく抜き部は、制御部5から出力されたあく抜き制御信号に基づいて、調理用容器3内のあくを抜く。具体的には、加熱と同時に、あく抜き部は、制御部5から出力されたあく抜き制御信号に基づいて、調理時に投入された食材等から生じる渋み、苦み及び余分な脂肪分等を吸引したり、表層に生じるものをレードル等で掬い取ったりすることにより、除去する。そして、ステップS3に進む。
【0072】
ステップS3において、調理用容器3は、第2容器搬送機構4Bの係脱部42Bに係合された状態で、第2容器搬送機構4Bの旋回部41Bの反時計回り90°旋回により、第1あく抜き位置212bから第2あく抜き位置212cに水平移動する。
【0073】
その後、誘導加熱機213cは、制御部5から出力された加熱制御信号に基づいて、調理用容器3内の温度が適切な煮込温度となるように調理用容器3を所定の時間加熱する。加熱と同時に、あく抜き部は、制御部5から出力されたあく抜き制御信号に基づいて、調理用容器3内のあくを抜く。そして、ステップS4に進む。
【0074】
ステップS4において、調理用容器3は、第2容器搬送機構4Bの係脱部42Bに係合された状態で、第2容器搬送機構4Bの旋回部41Bの反時計回り90°旋回により、第2あく抜き位置212cから料理盛り位置212dに水平移動する。調理用容器3は、誘導加熱機213a,213b,213cにより適切な煮込温度で加熱されているため、料理が最も美味しくなった状態で料理盛り位置212dに水平移動することができる。
【0075】
その後、誘導加熱機213dは、制御部5から出力された保温制御信号に基づいて、調理用容器3内の温度が保温温度となるように調理用容器3を加熱する。このように、調理用容器3を適切な煮込温度よりも低い保温温度で加熱するため、料理の品質を維持することができる。そして、料理盛り位置212dに位置する調理用容器3内の料理は、料理盛りに使用され、次第になくなる。そして、ステップS5に進む。
【0076】
ステップS5において、料理が完全になくなった調理用容器3は、第2容器搬送機構4Bの係脱部42Bに係合された状態で、第2容器搬送機構4Bの旋回部41Bの反時計回り90°旋回により、料理盛り位置212dから調味液吸引位置212eに水平移動する。そして、第2容器搬送機構4Bにより調味液吸引位置212eに搬送された調理用容器3から係脱部42Bを離脱させる。すなわち、係脱部42Bの係脱爪421Bを旋回させる。
【0077】
その後、吸引ノズルは、制御部5から出力された吸引制御信号に基づいて、調理用容器3から煮込んだ後の調味液を全て吸引する。そして、ステップS6に進む。
【0078】
ステップS6において、空になった調理用容器3は、第1容器搬送機構4Aの係脱部42Aに係合された状態で、第1容器搬送機構4Aの旋回部41Aの反時計回り90°旋回により、調味液吸引位置212eから調味液補充位置212fに水平移動する。
【0079】
その後、補充ノズルは、制御部5から出力された補充制御信号に基づいて、調理用容器3に濃度が調整された所定量の調味液を補充する。そして、ステップS7に進む。
【0080】
ステップS7において、調理用容器3は、第1容器搬送機構4Aの係脱部42Aに係合された状態で、第1容器搬送機構4Aの旋回部41Aの反時計回り90°旋回により、調味液補充位置212fから食材投入位置212aに水平移動する(戻る)。そして、上記ステップS1から上記ステップS7を再び繰り返すことができる。
【0081】
このように、店舗の最も閑散な営業時間帯において、単一の調理用容器3は、第1容器搬送機構4A及び第2容器搬送機構4Bによって、食材投入位置212aから第1あく抜き位置212bを経由して第2あく抜き位置212cに水平移動しながらその鍋部31内の食材が調理される。その後、単一の調理用容器3は、第2容器搬送機構4Bによって、料理盛り位置212dに水平移動して保温される。これにより、食材の調理量を最も少なくすることができるので、調理後一定時間内に消費されず残ってしまう料理の量を極力低減することができる。
【0082】
上述のとおり、単一の調理用容器3が用いられた調理装置1の動作を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の調理用容器3が用いられてもよい。この場合、調理装置1は、複数の調理用容器3を同時に異なる載置位置212に搬送したり、複数の調理用容器3を個別に異なる載置位置212に搬送したりすることができる。その結果容器搬送機構4の使用自由度が向上する。
【0083】
そして、店舗の繁忙営業時間帯において、複数の調理用容器3は、第1容器搬送機構4A及び第2容器搬送機構4Bによって、同時に異なる載置位置212間を水平移動しながら、それらの鍋部31内の食材がそれぞれ異なるプロセスで調理される。その後、複数の調理用容器3は、第2容器搬送機構4Bによって、順に料理盛り位置212dに水平移動して保温される。これにより、店舗の繁忙営業時間帯に応じて、料理を絶えることなく、継続して供給することができる。また、それぞれの鍋部31内の料理が最も美味しくなるタイミングを意図的にずらすことができるので、一定品質の料理を最適なタイミングで供給することができる。
【0084】
次に、本実施形態による作用効果について説明する。
【0085】
以上述べたように、本実施形態に係る調理装置1は、複数の載置位置212を有する調理台2と、調理台2上に載置される調理用容器3と、調理用容器3を異なる載置位置212に搬送する容器搬送機構4と、容器搬送機構4により異なる載置位置212に搬送された調理用容器3に対し調理工程を行う自動調理機と、を備える。容器搬送機構4は、調理台2に水平旋回可能に設けられる旋回部41A,41Bと、旋回部41A,41Bに設けられ調理用容器3に係脱可能な係脱部42A,42Bと、を有する。調理用容器3は、係脱部42A,42Bに係合された状態において、旋回部41A,41Bの旋回により異なる載置位置212に移動する。
【0086】
これによれば、調理用容器3は、容器搬送機構4により調理台2の異なる載置位置212に移動するため、調理用容器3を手動ではなく、自動的に移動させることができる。また、自動調理機は、容器搬送機構4により異なる載置位置212に搬送された調理用容器3に対し少なくとも一部の調理工程を自動的に行うことができる。その結果、調理品質のばらつきを低減させることができる。加えて、店舗に配置する人員を削減し、人件費のコストダウンを図ることができる。
【0087】
さらに、調理用容器3は、容器搬送機構4の係脱部42A,42Bに係合された状態において、容器搬送機構4の旋回部41A,41Bの旋回により異なる載置位置212に移動する。そのため、旋回部41A,41B及び係脱部42A,42Bを有する容器搬送機構4を用いるだけで、調理用容器3を異なる載置位置212に移動させることができる。
【0088】
また、本実施形態において、調理台2は、複数の載置位置212が形成される平坦な載置面211を有し、調理用容器3は、調理台2の載置面211と接触した状態で移動する。
【0089】
これによれば、調理用容器3を載置面211から持ち上げることなく、容器搬送機構4により載置面211の延在方向に沿って異なる載置位置212に移動させることができる。その結果、容器搬送機構4を、その剛性を高めることなく、低コストで製造することができる。また、調理用容器3の移動時に載置面211は、調理用容器3を支持するため、調理用容器3を載置面211から持ち上げて異なる載置位置212に移動させる場合に比べ、旋回部41A,41Bを旋回駆動するモータの負荷が下がり、モータのコストダウンを図ることができる。
【0090】
また、本実施形態において、調理用容器3は、その底部に調理台2の載置面211上を転動する転動部324を有する。これによれば、調理用容器3を転動部324を介して載置面211上に沿って移動させることができる。その結果、調理用容器3が載置面211に与える摩耗を低減することができる。また、旋回部41A,41Bを旋回駆動するモータの負荷が下がり、モータのコストダウンをより図ることができる。
【0091】
また、本実施形態において、係脱部42A,42Bは、旋回部41A,41Bに対し回動可能に設けられ、調理用容器3と係脱部42A,42Bとの係脱を切り替える係脱爪421A,421Bを有する。これによれば、係脱爪421A,421Bを回動させるだけで、調理用容器3と係脱部42A,42Bとの係脱を容易に切り替えることができる。
【0092】
また、本実施形態において、調理用容器3の外周には、リブ322aが設けられ、リブ322aが係脱爪421A,421B及び旋回部41A,41Bのヘッド部413A,413Bにより挟持されることで、調理用容器3と係脱部42A,42Bとが係合する。これによれば、調理用容器3と係脱部42A,42Bとの係合が容易に実現される。
【0093】
また、本実施形態において、係脱爪421A,421Bは、旋回部41A,41Bの軸線を中心とする円周方向に沿って複数設けられ、複数の係脱爪421A,421Bは、それぞれ独立して調理用容器3に係脱可能に構成される。
【0094】
これによれば、複数の調理用容器3は、複数の係脱爪421A,421Bが係合した状態において、旋回部41A,41Bの旋回によりそれぞれ異なる載置位置212に移動する。一方、複数の調理用容器3の一部に係脱爪421A,421Bが係合し、複数の調理用容器3の他部に係脱爪421A,421Bが係合していない状態において、旋回部41A,41Bが旋回すると、複数の調理用容器3の一部のみは、個別に異なる載置位置212に移動する。したがって、容器搬送機構4は、複数の調理用容器3を同時に移動させたり、複数の調理用容器3の一部を個別に移動させたりすることができる。その結果容器搬送機構4の使用自由度が向上する。
【0095】
また、本実施形態において、容器搬送機構4は、第1容器搬送機構4A及び第2容器搬送機構4Bを含み、載置位置は、第1容器搬送機構4Aと第2容器搬送機構4Bとの間に設けられる中継載置位置としての第1あく抜き位置212b又は調味液吸引位置212eを含み、第1容器搬送機構4Aの係脱部42A及び第2容器搬送機構4Bの係脱部42Bのいずれも、第1あく抜き位置212b又は調味液吸引位置212eに位置する調理用容器3に係脱可能に構成される。
【0096】
これによれば、第1容器搬送機構4A及び第2容器搬送機構4Bを用いるだけで、調理用容器3の搬送(移動)領域を拡大させることができる。その結果、調理用容器3に対しより多くの調理工程を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態において、前記容器搬送機構は、調理用容器3がいずれか一つの載置位置212に移動した後に、調理用容器3と係脱部42A,42Bとの係合を一時的に解除する。これによれば、係脱部42A,42Bとの係合が一時的に解除された調理用容器3は、異なる載置位置212に移動することがない。その結果、例えば、移動しない調理用容器3に対し所定時間の加熱調理を行うとともに、他の調理用容器3を個別に容器搬送機構4により異なる載置位置212に移動させることができる。
【0098】
また、本実施形態において、複数の載置位置212のうちの少なくとも一部には、調理用容器3を加熱する誘導加熱機213が設けられる。これによれば、一部の載置位置212に位置する調理用容器3を誘導加熱機213で加熱して、加熱調理又は保温を行うことができる。
【0099】
また、本実施形態において、誘導加熱機213が複数設けられる場合、誘導加熱機213dの加熱温度は、その他の誘導加熱機213a,213b,213cの加熱温度よりも低く設定される。
【0100】
これによれば、食材投入位置212a、第1あく抜き位置212b又は第2あく抜き位置212cに位置する調理用容器3に収容された食材を強火で加熱調理することができる一方、調理が終わって料理盛り位置212dに移動する調理用容器3に収容された食材を煮込みすぎないように保温温度で保温することができる。
【0101】
さらに、店舗の営業時間帯に応じて、調理装置1に用いられる調理用容器3の数を変更することにより、食材の調理量を適宜調整することができる。そのため、調理後一定時間内に消費されず残ってしまう料理の量を低減することができるので、一定品質の料理を最適なタイミングで供給することができる。
【0102】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0103】
(変形例)
次に、
図8を参照しながら変形例に係る調理装置1について説明する。なお、本変形例では、上述した実施形態と同様の点については、説明を省略し、上述した実施形態と主に異なる点について説明する。
【0104】
図8は、変形例に係る調理装置1を示す上面概略図である。
【0105】
上記実施形態では、載置面211は、六つの載置位置212が形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本変形例のように、四つの載置位置212が形成されてもよい。この場合、容器搬送機構4は、第1容器搬送機構4Aのみからなる。これにより、上記実施形態に記載される第2容器搬送機構4Bを省略することができる。その結果、調理装置1全体のコストダウンを図ることができる。
【0106】
図8に示すように、四つの載置位置212は、上面視において長手方向に二つ、幅方向に二つのように配列される。四つの載置位置212は、反時計回りに順に配列される食材投入位置212a、あく抜き位置212g、料理盛り位置212d及び調味液吸引補充位置212hからなる。なお、容器搬送機構4は、四つの載置位置212の中心に設けられる。
【0107】
本変形例のあく抜き位置212gは、上記実施形態の第1あく抜き位置212b及び第2あく抜き位置212cを統合したものである。本変形例の調味液吸引補充位置212hは、上記実施形態の調味液吸引位置212e及び調味液補充位置212fを統合したものである。このように、複数の載置位置212のうちの少なくとも一つでは、複数の動作(例えば、調味液の吸引及び補充)を行うことができる。
【0108】
食材投入位置212a、あく抜き位置212g及び料理盛り位置212dには、それぞれ独立した誘導加熱機213a,213e,213dが埋め込まれる。誘導加熱機213a,213eは、調理用容器3内の温度が適切な煮込温度となるように調理用容器3を加熱する。一方、誘導加熱機213dは、調理用容器3内の温度が料理の保温温度となるように調理用容器3を加熱する。
【0109】
このように、上記実施形態の機能を犠牲にすることなく、六つの載置位置を四つの載置位置に減らすことができる。その結果、載置面211が形成される載置板21の寸法を小さくすることができ、設置スペースが狭小な店舗であっても調理装置1を設置しやすくなる。
【0110】
本変形例では、上記実施形態と同様に、調理用容器3は、第1容器搬送機構4Aの係脱部42Aに係合された状態において、第1容器搬送機構4Aの旋回部41Aの旋回により異なる載置位置212に移動する。
【符号の説明】
【0111】
1 調理装置
2 調理台
3 調理用容器
4 容器搬送機構
4A 第1容器搬送機構
4B 第2容器搬送機構
41A 旋回部
41B 旋回部
42A 係脱部
42B 係脱部
211 載置面
212 載置位置
213 誘導加熱機
212b 第1あく抜き位置
212e 調味液吸引位置
322a リブ
324 転動部
421A 係脱爪
421B 係脱爪