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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】水中油型皮膚洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20230522BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230522BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230522BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230522BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230522BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230522BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230522BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/06
A61Q19/10
A61K8/34
A61K8/81
A61K8/39
A61K8/49
A61K8/31
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019127815
(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公開番号】P2021011463
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】澤田 彰子
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/143663(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0367960(US,A1)
【文献】国際公開第2015/033757(WO,A1)
【文献】特開2015-205874(JP,A)
【文献】特開2019-81750(JP,A)
【文献】Liquid Rouge,ID 6275301,Mintel GNPD[online],2019年1月,[検索日2023.01.26],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Liquid Lacquer,ID 6219367,Mintel GNPD[online],2019年1月,[検索日2023.01.26],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eおよび成分Fを含有し、
成分Aの含有量が0.2~5.0質量%であり、成分Bの含有量が0.05~2.0質量%であり、成分Cの含有量が1.0~20質量%であり、成分Dの含有量が0.05~4.0質量%であり、成分Eの含有量が5.0~40質量%であり、成分Fの含有量が0.05~2.0質量%である、水中油型皮膚洗浄料。
成分A:ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルおよびヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの少なくともいずれか一方
成分B:テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
成分C:融点が30℃以下の油剤
成分D:HLBが8~17である脂肪酸エステル型のノニオン性界面活性剤
成分E:グリコール類、グリセリン類および糖アルコールから選択される1種以上の多価アルコール
成分F:下記の成分F1、成分F2および成分F3からなる群より選択される1種以上の水溶性高分子
成分F1:アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位を少なくとも含むポリマー
成分F2:(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルに由来する構成単位とを少なくとも含むポリマー
成分F3:アルキル変性カルボキシビニルポリマー
【請求項2】
前記成分Eは、グリコール類およびグリセリン類から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の水中油型皮膚洗浄料。
【請求項3】
前記成分Fは、前記成分F1と、前記成分F2または前記成分F3とを含む、請求項1または2に記載の水中油型皮膚洗浄料。
【請求項4】
前記成分Dは、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1から3のいずれか1項に記載の水中油型皮膚洗浄料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型皮膚洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な泡立てて使用する洗浄料に対し、泡立てない洗浄料が市販されている。泡立てない洗浄料としては、メイク落とし用のクレンジング化粧料や、素肌に使用して皮膚上の汚れを落とす皮膚洗浄料がある。
【0003】
メイク落とし用のクレンジング化粧料は、皮膚上のメイクおよび汚れを、多量に含有した油剤またはノニオン性界面活性剤に馴染ませて浮かすことで除去するものである(特許文献1等参照)。メイク落とし用のクレンジング化粧料は、油剤またはノニオン性界面活性剤を多量に含有することから、脱脂効果が強く、皮膚に対する負担が大きいため、使用後の肌にツッパリ感を感じること、洗い流し性に劣ることが多い。
【0004】
泡立てない皮膚洗浄料(特に、洗顔料)としては、メイク落とし用のクレンジング化粧料における油剤およびノニオン性界面活性剤の含有量を下げることで、皮膚上の汚れを落とす洗浄力を維持したまま、皮膚への負担を抑え、使用感を向上させたものが従来、用いられている。
【0005】
このような泡立てない皮膚洗浄料は、一般的な泡立てて使用する洗浄料に比べて、皮膚への負担が軽い、洗浄時のマッサージ効果が期待できる、泡立てる必要がなくて簡便性が高いなどの理由から需要が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-177383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来技術は、さらなるマッサージ効果、優れた洗い流し性、使用後の肌における保湿感とさっぱり感との両立という観点から改善の余地があった。
【0008】
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みなされたものであり、マッサージ性、洗い流し性、並びに洗い流し後の保湿感およびさっぱり感に優れる水中油型皮膚洗浄料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の複数種の油剤を特定の配合量にて用いることにより、マッサージ性、洗い流し性、並びに洗い流し後の保湿感およびさっぱり感に優れる水中油型皮膚洗浄料を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明の一態様は、以下の構成を含む。
【0011】
〔1〕下記の成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eおよび成分Fを含有し、成分Aの含有量が0.2~5.0質量%であり、成分Bの含有量が0.05~2.0質量%であり、成分Cの含有量が1.0~20質量%である、水中油型皮膚洗浄料。
成分A:ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルおよびヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの少なくともいずれか一方
成分B:テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
成分C:融点が30℃以下の油剤
成分D:ノニオン性界面活性剤
成分E:多価アルコール
成分F:水溶性高分子
〔2〕上記成分Dの含有量が0.05~4.0質量%である、〔1〕に記載の水中油型皮膚洗浄料。
【0012】
〔3〕上記成分Dは、HLBが8~17である、〔1〕または〔2〕に記載の水中油型皮膚洗浄料。
【0013】
〔4〕上記成分Dは、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の水中油型皮膚洗浄料。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、マッサージ性、洗い流し性、並びに洗い流し後の保湿感およびさっぱり感に優れる水中油型皮膚洗浄料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
【0016】
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「X~Y」は、「X以上Y以下」を意図する。また、本明細書において特記しない限り、成分の含有量を表す質量%は、水中油型皮膚洗浄料全体の質量を100質量%とした値である。
【0017】
〔1.水中油型皮膚洗浄料〕
本発明の一実施形態に係る水中油型皮膚洗浄料は、下記の成分A、成分B、成分C、成分D、成分Eおよび成分Fを含有し、成分Aの含有量が0.2~5.0質量%であり、成分Bの含有量が0.05~2.0質量%であり、成分Cの含有量が1.0~20質量%である。
成分A:ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルおよびヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの少なくともいずれか一方
成分B:テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
成分C:融点が30℃以下の油剤
成分D:ノニオン性界面活性剤
成分E:多価アルコール
成分F:水溶性高分子
以下では、本発明の一実施形態に係る水中油型皮膚洗浄料を単に「皮膚洗浄料」とも称する。
【0018】
皮膚洗浄料が成分Aを所定の含有量にて含むことにより、洗浄時の皮膚洗浄料の厚み感を向上することができる。また、皮膚洗浄料が成分Bを所定の含有量にて含むことにより、皮膚洗浄料の皮膚への密着性を向上することができる。従って、皮膚洗浄料を適度な厚み感を有したまま皮膚に密着して存在させることができるため、洗浄の際に皮膚に対して滑らかにマッサージを施すことができる。すなわち、皮膚へ負担をかけずに優れたマッサージ効果を得ることができる。この優れたマッサージ効果を得られることを本明細書において「マッサージ性に優れる」とも言う。なお、本明細書において、「洗浄時の皮膚洗浄料の厚み感」とは、皮膚洗浄料を皮膚に塗布し、皮膚上の汚れと馴染ませた場合に、手指と皮膚との間にある程度厚みのある塗布層を感じられる感触を意味する。
【0019】
成分Aおよび成分Bは、皮膚洗浄料使用後の皮膚のさっぱり感および保湿感の両立にも寄与する。本明細書において「さっぱり感」とは、皮膚洗浄料を用いて皮膚を洗浄し、当該皮膚洗浄料を洗い流した後において、汚れおよび皮膚洗浄料が充分に除去され、べたつきが抑えられていることを意味する。本明細書において「保湿感」とは、皮膚洗浄料を用いて皮膚を洗浄し、当該皮膚洗浄料を洗い流した後においても、皮膚の油分が過度に除去されることなく、皮膚がしっとりと感じられることを意味する。また、成分Eにより、保湿効果がさらに向上する。
【0020】
また、成分Cを含むことにより、皮膚洗浄料を皮膚上の汚れと馴染ませることができるため、充分な洗浄力を得ることができる。そして、油剤である成分A、成分Bおよび成分Cの含有量が所定の範囲に制御されていることにより、皮膚への負担を抑えることができるとともに、洗い流し性にも優れる。本明細書において「洗い流し性に優れる」とは、皮膚に付着した皮膚洗浄料を水等によって洗い流しやすいことを意味する。
【0021】
成分Dは、水中油型の乳化系を形成するための乳化剤としての効果を発揮する。これにより、泡立てない皮膚洗浄料として使用することができる。また成分Fにより、皮膚洗浄料の乳化安定性を向上させることができる。
【0022】
<成分A>
上記皮膚洗浄料は、成分Aとしてヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルおよびヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルの少なくともいずれか一方を含む。すなわち、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチルおよびヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルのいずれか一方のみが含まれていてもよく、両方が含まれていてもよい。
【0023】
成分Aの含有量は0.2~5.0質量%であり、好ましくは0.5~4.0質量%であり、より好ましくは0.5~3.0質量%である。
【0024】
成分Aの含有量が0.2質量%以上であれば、洗浄時の皮膚洗浄料の厚み感を向上することができるため、皮膚へ負担をかけることなくマッサージ性を向上することができる。また、皮膚洗浄料使用後の皮膚のさっぱり感および保湿感の観点からも成分Aの含有量が0.2質量%以上であることが好ましい。また、成分Aの含有量が5.0質量%以下であれば、皮膚洗浄料を洗い流しやすく、皮膚洗浄料使用後の皮膚のツッパリ感を抑制することができる。
【0025】
<成分B>
上記皮膚洗浄料は、成分Bとしてテトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチルを含む。成分Bの含有量は0.05~2.0質量%であり、好ましくは0.1~1.2質量%であり、より好ましくは0.2~0.8質量%である。
【0026】
成分Bの含有量が0.05質量%以上であれば、洗浄時に皮膚に対する皮膚洗浄料の密着性を向上することができるため、マッサージ性を向上することができる。また、皮膚洗浄料使用後の皮膚のさっぱり感および保湿感の観点からも成分Bの含有量が0.05質量%以上であることが好ましい。また、成分Bの含有量が2.0質量%以下であれば、皮膚洗浄料を洗い流しやすく、皮膚洗浄料使用後の皮膚のべたつきを抑制することができる。
【0027】
<成分C>
上記皮膚洗浄料は、成分Cとして融点が30℃以下の油剤を含む。なお、上述の成分Aおよび成分Bは、融点が30℃超の油剤に相当する。本明細書において、当該融点は、JIS K0064:1992に準拠して測定された値を意味する。成分Cとしては、例えば、融点が30℃以下のシリコーンオイル、植物性油脂、エステル油、炭化水素油、高級脂肪酸が挙げられる。成分Cとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0028】
融点が30℃以下のシリコーンオイルとしては、メチルポリシロキサン;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノ変性シリコーン(アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等)、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。
【0029】
融点が30℃以下の植物性油脂としては、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドホーム油、ハッカ油、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、およびこれらの水素添加物(例えば、水素添加ヒマシ油、水素添加ホホバ油、水素添加パーム油、水素添加アボカド油、水素添加大豆油等)等が挙げられる。
【0030】
融点が30℃以下のエステル油としては、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソノニル、アジピン酸ジイソプロピル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、リンゴ酸ジイソステアリル、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0031】
融点が30℃以下の炭化水素油としては、アルカン、α-オレフィンオリゴマー、ミネラルオイル、水添ポリイソブテン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等が挙げられる。前記アルカンの炭素数は、19以下が好ましく、13~17がより好ましく、13~15がさらに好ましい。
【0032】
成分Cの含有量は、1.0~20質量%であり、好ましくは2.0~15質量%であり、より好ましくは3.0~10質量%である。成分Cの含有量が1.0質量%以上であれば、洗浄力および皮膚洗浄料使用後の皮膚の保湿感の観点から好ましい。また、成分Cの含有量が2.0質量%以上であれば、簡単なメイクを除去できる。成分Cの含有量が20質量%以下であれば、皮膚洗浄料を洗い流しやすく、皮膚洗浄料使用後の皮膚のさっぱり感および保湿感の観点から好ましい。
【0033】
<成分D>
上記皮膚洗浄料は、成分Dとしてノニオン性界面活性剤を含む。成分Dとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0034】
成分Dは、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が8~17であることが好ましく、10~17であることがより好ましい。成分DのHLBが上記範囲であれば、洗い流し性および皮膚洗浄料の安定性をより一層向上させることができる。なお、本明細書において、HLBはグリフィン法により求められる値を意味する。
【0035】
成分Dは、脂肪酸エステル型のノニオン界面活性剤であることが好ましく、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
【0036】
中でも成分(D)としては、皮膚洗浄料の安定性をより一層向上させる観点から、親油性のノニオン界面活性剤であるモノグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。
【0037】
モノグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ジベヘン酸グリセリル等が挙げられる。
【0038】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、モノオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸モノエステル;ジオレイン酸ジグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ジエステル;トリステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸トリエステル;ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸ペンタエステル等が挙げられる。
【0039】
ポリグリセリン脂肪酸エステルにおけるポリグリセリンの平均重合度は、乳化安定性を高める観点から、好ましくは2~10である。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸は、乳化安定性を高める観点から、好ましくは炭素数が8~24の脂肪酸、より好ましくは炭素数が10~20の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が12~18の脂肪酸である。
【0040】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノカプリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン等が挙げられる。
【0041】
ポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0042】
ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノミリスチン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点からは、2~100であることが好ましく、4~90であることがより好ましい。
【0043】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等が挙げられる。酸化エチレンの付加モル数は、特に限定されないが、乳化安定性を高める観点から、5~50であることが好ましく、10~30であることがより好ましい。
【0044】
成分Dの含有量は、好ましくは0.05~4.0質量%であり、より好ましくは0.1~3.5質量%であり、さらに好ましくは0.8~2.0質量%である。成分Dの含有量が0.05質量%以上であれば、乳化安定性の観点および充分な洗浄力の観点から好ましい。また、成分Dの含有量が4.0質量%以下であれば、皮膚洗浄料使用後の皮膚の保湿感の観点から好ましい。
【0045】
<成分E>
上記皮膚洗浄料は、成分Eとして多価アルコールを含む。多価アルコールとしては、例えば、グリコール類、グリセリン類、糖アルコール等が挙げられる。より具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;キシリトール、トレハロース、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、アラビトール、リビトール、ガラクチトール、グルシトール、エリトリトールなどの糖アルコール等を例示することができる。成分Eとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0046】
成分Eの含有量は、好ましくは5.0~40質量%であり、より好ましくは7.0~30質量%であり、さらに好ましくは10.0~25質量%である。成分Eの含有量が5.0質量%以上であれば、皮膚洗浄料使用後の皮膚の保湿感の観点から好ましい。また、成分Eの含有量が40質量%以下であれば、皮膚洗浄料使用後の皮膚のさっぱり感の観点から好ましい。
【0047】
<成分F>
上記皮膚洗浄料は、成分Fとして水溶性高分子を含む。成分Fは、下記の成分F1、成分F2および成分F3からなる群より選ばれたポリマーであることが好ましい。成分Fとして、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。特に、成分F1と、成分F2または成分F3とを併用することが好ましい。
【0048】
成分F1は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩に由来する構成単位(所謂、モノマー単位)を少なくとも含むポリマーである。上記アクリロイルジメチルタウリン酸塩としては、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム等が挙げられる。成分F1は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。アクリロイルジメチルタウリン酸塩以外のモノマー成分としては、例えば、アクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリル酸ナトリウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリル酸ヒドロキシエチル等の水酸基含有アクリルモノマー;アクリル酸アミド等のアミド基含有アクリルモノマー等が挙げられる。
【0049】
すなわち、成分F1は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩のモノマー単位を含むポリマーである。成分F1としては、例えば、アクリル酸とアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチルとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー、アクリル酸とアクリル酸塩とアクリルアミドとアクリロイルジメチルタウリン酸塩とのコポリマー等が挙げられる。
【0050】
成分F1としては、INCI名で「Sodium Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)」と表記される化合物;INCI名で「Hydroxyethyl Acrylate/Sodium Acryloyldimethyl Taurate Copolymer((アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー」と表記される化合物等が好ましい。これらの中でも、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)が好ましい。
【0051】
成分F1の市販品としては、例えば、SIMULGEL EG(商品名、SEPPIC SA社製、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー);SIMULGEL NS(商品名、SEPPIC SA社製、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー)等が挙げられる。
【0052】
成分F2は、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステル(モノマー成分(F2a))に由来する構成単位と(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル(モノマー成分(F2b))に由来する構成単位とを少なくとも含むポリマーである。モノマー成分(F2b)としては、例えば、メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル、メタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等が挙げられる。また、モノマー成分(F2b)におけるオキシエチレンの平均付加モル数は15~30が好ましい。モノマー成分(F2a)とモノマー成分(F2b)とは、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。成分F2は、モノマー成分(F2a)およびモノマー成分(F2b)以外のモノマー成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0053】
すなわち、成分F2は、モノマー成分(F2a)のモノマー単位とモノマー成分(F2b)のモノマー単位とを少なくとも含むコポリマーである。成分F2としては、例えば、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルとのコポリマー、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸ポリオキシエチレンベヘニルエーテルとのコポリマー等が挙げられる。
【0054】
成分F2としては、INCI名で「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE COPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE CROSSPOLYMER((アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)クロスポリマー)」と表記される化合物;「ACRYLATES/BEHENETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER ((アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー)」と表記される化合物等が好ましい。これらの中でも、皮膚洗浄料の安定性の観点から、アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマーが好ましい。
【0055】
成分F2の市販品としては、例えば、アキュリン22、アキュリン28、アキュリン88(商品名、いずれもダウケミカル社製)等が挙げられる。
【0056】
成分F2は、塩基性物質で中和されているか、または塩基性物質で中和して用いられることが好ましい。この場合の塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミンおよびモノエタノールアミン等のアルカノールアミン類;アンモニア、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等の無機塩基;アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。塩基性物質の添加量は、充分に中和された成分F2となる量であるか、または成分F2を中和するのに充分な量であり、成分F2および上記塩基性物質の種類や成分F2の使用量に応じて適宜配合すればよい。
【0057】
成分F3は、アルキル変性カルボキシビニルポリマーである。成分F3としては、INCI名で「Acrylates/C10-30 Alkyl Acrylate Crosspolymer((アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー)」と表記される化合物等が挙げられる。なお、成分F3は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とも称される。成分F3の市販品としては、例えば、PEMULEN TR-1、PEMULEN TR-2、カーボポールETD 2020、カーボポールULTREZ 20、カーボポールULTREZ 21(商品名、いずれも日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
【0058】
成分Fの含有量は、好ましくは0.05~2.0質量%であり、より好ましくは0.10~1.5質量%である。成分Fの含有量が0.05質量%以上であれば、乳化安定性の観点および皮膚洗浄時の厚み感向上によるマッサージ効果の観点から好ましい。また、成分Fの含有量が2.0質量%以下であれば、洗い流し性の観点から好ましい。
【0059】
<その他の成分>
皮膚洗浄料は、上述の効果を阻害しない範囲で成分A、成分B、成分C、成分D、成分E、成分F以外の成分を含んでいてもよい。
【0060】
皮膚洗浄料は、水を含んでいてもよい。水は、水中油型の乳化系を形成するための媒体としての役割を発揮する。水としては、特に限定されないが、精製水が好ましい。水は皮膚洗浄料において水以外の成分の残部として用いられ得る。水の含有量は特に限定されないが、好ましくは60~90質量%であり、より好ましくは70~85質量%である。
【0061】
皮膚洗浄料は、各成分の分散性および肌への浸透性を向上させる観点から、エタノールを含んでいてもよい。エタノールの含有量は特に限定されないが、好ましくは0.1~30質量%であり、より好ましくは0.5~25質量%である。エタノールの含有量が0.1質量%以上であれば、各成分の分散性および肌への浸透性を一層向上させる。また、エタノールの含有量が30質量%以下であれば、刺激を抑えるとともに、粘度低下による不安定化を抑制する効果に一層優れる。
【0062】
皮膚洗浄料は、高級アルコールを含んでいてもよい。高級アルコールは、系の粘度を制御する効果を有するため、洗浄時の皮膚洗浄料の厚み感を一層向上することができる。高級アルコールとして1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。高級アルコールの炭素数は、特に限定されないが、洗浄時の皮膚洗浄料の厚み感を一層向上する観点からは、好ましくは12~24であり、より好ましくは14~22である。
【0063】
高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールおよびバチルアルコール等が挙げられる。
【0064】
高級アルコールの含有量は特に限定されないが、好ましくは0.05~5.0質量%であり、より好ましくは0.10~4.0質量%であり、さらに好ましくは0.10~1.0質量%である。高級アルコールの含有量が0.05質量%以上であると、系の粘度を制御して、洗浄時の皮膚洗浄料の厚み感を一層向上させる効果に優れる。高級アルコールの含有量が5.0質量%以下であると、塗布後のべたつき、ぬるつきが一層抑えられた、さっぱりとした使用感を与える効果に寄与する。
【0065】
皮膚洗浄料は、中和剤を含んでいてもよい。中和剤としては、上述の成分F2に関する説明における塩基性物質が挙げられる。
【0066】
皮膚洗浄料は、成分Aおよび成分B以外にも融点が30℃超の油剤を含んでいてもよい。当該油剤としては、例えば、融点が30℃超のロウ、炭化水素油および高級脂肪酸が挙げられる。融点が30℃超のロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、モクロウ、セラックロウ、鯨ロウおよびラノリン等が挙げられる。融点が30℃超の炭化水素油としては、例えば、セレシン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックスおよびワセリン等が挙げられる。融点が30℃超の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0067】
皮膚洗浄料は、成分D以外の界面活性剤を含んでいてもよい。成分D以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0068】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩;POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン酸;POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等のリン酸エステル塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩;リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等の高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩;N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩;ロート油等の硫酸化油;POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0069】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N’-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0070】
両性界面活性剤としては、例えば、グリシン型両性界面活性剤;アミノプロピオン酸型両性界面活性剤;2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン系両性界面活性剤;2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0071】
また、皮膚洗浄料は、紫外線吸収剤、粉体、酸化防止剤、防腐剤、香料、着色剤、キレート剤、清涼剤、ビタミン類、アミノ酸、pH調整剤、美白剤、抗炎症剤、消臭剤、動植物抽出物、金属イオン封鎖剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0072】
〔2.水中油型皮膚洗浄料の剤形、製造方法および用途〕
皮膚洗浄料の剤形は、液状、ジェル状、乳液状またはクリーム状等であり得る。
【0073】
皮膚洗浄料の製造方法は、特に限定されず、例えば、プロペラミキサー、ディスパーミキサー、パドルミキサー等の公知の混合装置を用いて上述の各成分を混合する方法が挙げられる。
【0074】
皮膚洗浄料は、例えば洗顔料として好適に用いられる。皮膚洗浄料は、洗顔料以外にも、特に限定されないが、例えば、頭皮、身体および手などの洗浄に用いることができる。
【0075】
皮膚洗浄料の商品形態は、特に限定されないが、ポンプ容器、チューブ容器またはジャー容器等に充填した商品形態とすることができる。これらの中でも、吐出性に優れるチューブ容器による商品形態が好ましい。
【実施例
【0076】
以下、実施例を挙げて本発明の一実施形態を具体的に説明するが、本発明の実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、表1および2における配合量および含有量は、純分に換算した量(質量%)である。
【0077】
〔評価方法〕
各実施例および各比較例で行った評価方法を以下に示す。下記評価は、専門評価員3名が実施した。
【0078】
<マッサージ性の評価>
各皮膚洗浄料3gを全顔に塗布した際のマッサージ性を下記基準で評価した。
◎(非常に良好):皮膚洗浄料の充分な厚み感を有したまま、皮膚に密着して存在させることができ、マッサージ性が充分に感じられた。
○(良好):◎には劣るが、マッサージ性が感じられた。
×(不良):皮膚洗浄料の厚み感および密着感が感じられず、顔と手指との間に摩擦が生じ、滑らかにマッサージを施すことができなかった。
【0079】
<洗い流し性の評価>
上記マッサージ性の評価の後、皮膚洗浄料を洗い流した。その際の洗い流し性を下記基準で評価した。
◎(非常に良好):1~3回のすすぎで洗い流しが完了した。
○(良好):4~7回のすすぎで洗い流しが完了した。
×(不良):8回のすすぎでは、洗い流しが完了しなかった。
【0080】
<洗い流し後の保湿感の評価>
上記洗い流し性の評価の後、保湿感を下記基準で評価した。
◎(非常に良好):しっとりとした保湿感が充分に感じられた。
○(良好):しっとりとした保湿感が少し感じられた。
×(不良):保湿感が感じられなかった。
【0081】
<洗い流し後のさっぱり感の評価>
上記保湿感の評価とともに、さっぱり感についても下記基準で評価した。
◎(非常に良好):さっぱり感が充分に感じられた。
○(良好):さっぱり感が少し感じられた。
×(不良):皮膚上の汚れまたは皮膚洗浄料が皮膚上に残存している感覚があり、さっぱり感が感じられなかった。
【0082】
〔実施例1~7および比較例1~6〕
表1および2に示すように各成分を配合することにより、実施例1~7および比較例1~6の皮膚洗浄料を調製した。各実施例および各比較例で使用した主な成分を以下に示す。
【0083】
<成分A>
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(商品名「コスモール168ARV」、日清オイリオグループ社製、融点37℃)
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル(商品名「コスモール168M」、日清オイリオグループ社製、融点45℃)
<成分B>
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル(商品名「コスモール168EV」、日清オイリオグループ社製、融点50℃)
<成分C>
(C13-15)アルカン(商品名「NEOSSANCE HEMISQUALANE」、Aprinnova社製)
スクワラン(商品名「NIKKOL シュガースクワラン」、日光ケミカルズ社製)
<成分D>
モノステアリン酸ポリグリセリル(商品名「NIKKOL Decaglyn 1-SV」、日光ケミカルズ社製、HLB:12)
ポリソルベート60(HLB:14.9)
<成分E>
濃グリセリン(商品名「化粧用濃グリセリン」、阪本薬品工業社製)
ジプロピレングリコール(商品名「ジプロピレングリコールS」、シェルケミカルズジャパン社製)
<成分F>
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(商品名「PEMULEN TR-1」、日本ルーブリゾール社製)
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(商品名「SIMULGEL NS」、SEPPIC SA社製)
<その他の成分>
ベヘニルアルコール(商品名「ベヘニルアルコール2265」、高級アルコール工業社製)。
【0084】
〔評価結果〕
各皮膚洗浄料について、上述の評価を行った。評価結果を表1および2に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表1および2より、成分A、成分Bおよび成分Cを所定の配合量にて用いた実施例1~7は、比較例1~6に比べて、マッサージ性、洗い流し性、並びに洗い流し後の保湿感およびさっぱり感に優れることがわかる。
【0088】
(処方例1:ジェル状皮膚洗浄料)
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
2.0質量%
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
1.5質量%
メチルポリシロキサン(25℃の動粘度6万mm/s) 0.7質量%
メチルポリシロキサン(25℃の動粘度10mm/s) 2.0質量%
(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー 0.6質量%
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー 0.2質量%
ポリソルベート60 0.2質量%
ステアリン酸グリセリル 0.2質量%
ステアリン酸ポリグリセリル-10 1.0質量%
ベヘン酸グリセリル 0.2質量%
ベヘニルアルコール 0.5質量%
パルミチン酸エチルヘキシル 3.0質量%
イソヘキサデカン 0.4質量%
グリセリン 8.0質量%
ジプロピレングリコール 15.0質量%
トリメチルグリシン 5.0質量%
エタノール 4.5質量%
フェノキシエタノール 0.2質量%
オキトキシグリセリン 0.1質量%
香料 0.1質量%
水酸化カリウム 適 量
水 残 部
合計 100.0質量%
(処方例2:ジェル状皮膚洗浄料)
ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル
1.0質量%
ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル 0.5質量%
テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル
0.5質量%
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.6質量%
(C13-15)アルカン 4.0質量%
(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.6質量%
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー 0.15質量%
ポリソルベート60 0.2質量%
ステアリン酸ポリグリセリル-10 1.0質量%
イソステアリン酸ソルビタン 0.5質量%
ベヘン酸グリセリル 0.3質量%
ベヘニルアルコール 0.2質量%
スクワラン 5.0質量%
グリセリン 12.0質量%
ジプロピレングリコール 5.0質量%
エタノール 7.0質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
オキトキシグリセリン 0.05質量%
l-メントール 0.05質量%
香料 0.1質量%
水酸化カリウム 適 量
水 残 部
合計 100.0質量%
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の一態様は、顔、手、身体、頭皮用の洗浄料等に好適に利用することができる。