(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】橈骨および経心内膜送達カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 5/14 20060101AFI20230522BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20230522BHJP
A61M 25/06 20060101ALI20230522BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20230522BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61M5/14 540
A61M25/00 624
A61M25/06 556
A61M25/092 510
A61M25/14 512
(21)【出願番号】P 2019183455
(22)【出願日】2019-10-04
(62)【分割の表示】P 2016518098の分割
【原出願日】2014-09-30
【審査請求日】2019-10-04
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-26
(32)【優先日】2013-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313012833
【氏名又は名称】バイオカーディア,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOCARDIA,INC.
【住所又は居所原語表記】125 Shoreway Road,Suite B,San Carlos,CA 94070,United States
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワイ シュエ
(72)【発明者】
【氏名】オリン ジェイ パルマー
(72)【発明者】
【氏名】スコット コミソ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ビー. ロス
(72)【発明者】
【氏名】ケン ビエン
(72)【発明者】
【氏名】フリオ アルヘンティエリ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター アルトマン
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】村上 聡
【審判官】井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-529409(JP,A)
【文献】特表2010-535583(JP,A)
【文献】米国特許第7736346(US,B2)
【文献】特表2001-501846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M25/00
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓へ
の生物治療送達に適した針注射カテーテルシステムであって、前記針注射カテーテルシステムは、
カテーテル本体であって、前記カテーテル本体は、遠位端と、近位端と、前記カテーテル本体を通る送達管とを有し、前記カテーテル本体は、可撓性で弾性の遠位区画を有し、前記送達管は、送達管腔を有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端から延在する螺旋針であって、前記螺旋針は、前記カテーテル本体の前記送達管腔から注射可能物質を受容するように接続された少なくとも1つの大口径螺旋送達管腔を有し、前記少なくとも1つの大口径螺旋送達管腔は、少なくとも100μmの平均粒径を有する粒子を送達するように構成されている、螺旋針と、
固定の誘導カテーテルであって、前記誘導カテーテルは、前記螺旋針および前記カテーテル本体が前記誘導カテーテルを通って前進させられるときに前記誘導カテーテルが前記螺旋針および前記カテーテル本体を方向付けるように、少なくとも70度の角度で屈曲されている、誘導カテーテルと、
前記誘導カテーテルの中に挿入可能な除去可能な直線化要素と
を備え、
前記誘導カテーテルは、前記誘導カテーテルが橈骨動脈を介して前記心臓まで通過することを可能にするように十分に小さく、
前記螺旋針は、前記送達管腔の中に結合されている直線後部を有し、
前記直線後部は、前記カテーテル本体に固定されており、前記直線後部は、前記カテーテル本体の中心からの前記送達管腔のオフセットに等しい量だけ前記螺旋針の中心からオフセットされて
おり、
前記カテーテル本体および前記螺旋針の螺旋部分は、回転可能であり、
前記螺旋針の前記螺旋部分の回転の中心は、前記カテーテル本体の回転の中心に一致している、カテーテルシステム。
【請求項2】
前記送達管腔および前記少なくとも1つの大口径螺旋送達管腔は、薬剤または生物学的物質の通過および注射を許容するように十分に大きい、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記誘導カテーテルは、70度と90度との間の角度で屈曲されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記誘導カテーテルは、少なくとも90度の角度で屈曲されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記除去可能な直線化要素は、閉鎖器官ガイドワイヤまたは拡張器を含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記可撓性で弾性の遠位区画は、マルチフィラーステンレス鋼コイルを含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記誘導カテーテルは、6フレンチシースを通過することが可能であるように十分に小さい、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
前記送達管腔および前記少なくとも1つの大口径螺旋送達管腔は、少なくとも50μmの平均直径を有する薬剤または生物学的物質の通過および注射を許容するように十分に大きい、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記送達管腔は、少なくとも0.5mmの直径を有する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの大口径螺旋送達管腔は、少なくとも0.2mmの直径を有する、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記カテーテル本体は、前記送達管に加えて、少なくとも1つの管を有し、前記少なくとも1つの管のそれぞれは、管腔を有し、前記螺旋針は、少なくとも2つの大口径螺旋送達管腔を有し、前記少なくとも2つの大口径螺旋送達管腔のうちの1つは、少なくとも前記カテーテル本体の各管腔に接続されている、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記カテーテル本体は、剛性の近位部分を含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記カテーテル本体の前記剛性の近位部分は、編組ポリマー管を含み、前記カテーテル本体の前記可撓性で弾性の遠位区画は、前記送達管の遠位部分を巻く螺旋金属コイルを含む、請求項12に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記カテーテル本体の少なくとも一部は、前記送達管の一部を巻く螺旋コイルを含む、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記カテーテル本体は、注射可能組成物を前記螺旋針に送達するための第1の管と、造影剤を前記螺旋針の基部に送達するための第2の管とを有する、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記カテーテルシステムは、前記カテーテル本体の前記近位端上にハンドルをさらに備える、請求項1に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2013年9月30日に出願された米国仮出願番号第61/884,834号(代理人書類番号29181-706.101)の利益を主張しており、この仮出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の背景)
1.発明の分野
本発明は、概して、医療方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明は、橈骨動脈を介した心臓への物質送達のため、ならびに細胞凝集体および他の凝集物質の心臓内送達のために好適な医療方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、心臓への局所的生物治療送達が、急性心筋梗塞、慢性心筋虚血、虚血性心不全、および非虚血性心不全の治療のために臨床研究中である。心筋内送達の主要パラダイムは、経心内膜送達である。
【0004】
現在利用可能な送達システムは、Johnson and Johnson Biological Delivery Systems(Diamond Bar,California)製のMyostar(登録商標)カテーテル、および本発明の譲受人である、BioCardia, Inc.,(San Carlos,California)製のBioCardia(登録商標)螺旋注入システムを含む。これらのシステムは両方とも、大腿動脈を通して配置される8フレンチ導入器を利用する。両システムは、近位ハンドル場所から偏向可能(操向可能)である可撓性遠位部分を有し、BioCardiaシステムは、心臓壁まで延在して、オペレータのために向上したアクセスを提供するように、導入器から前進させられ得る、中心に位置するカテーテルを含む。
【0005】
典型的には、最小穿刺部位、および介入の要件を満たす最小機器を使用することが望ましい。穿刺部位が小さいほど、進入点が合併症を伴わずに治癒することが容易であり、閉鎖デバイスのための要件が低い。これは、特定の介入手技のための莫大な費用および死亡率の低減となり得る。
【0006】
血管系が(鼠径部内の大腿動脈と対照的に)腕の橈骨動脈からアクセスされることを可能にする、より小型のデバイスは、患者が手技の直後に歩行可能であるため、費用の視点から膨大な利点を有する。患者がガーニーの上またはベッドの中で回復するために費やさなければならない時間量を削減することは、短縮した入院期間という経済的利点に加えて、付加的な患者の生活の質の利点を有する。橈骨動脈アクセスは、文献において広範囲に詳述されているように、より小型の機器を必要とする。7Fガイドおよび6Fシース(1フレンチ(Fr)は0.33mmに等しい)は、そのような手技のために推奨される最も大型のデバイスであり、より小型のガイドおよびシースが使用されると成果が向上する。Cardiac Interventions Today April 2011, Volume 5, No 2等の学術刊行物全体が、手技のための橈骨動脈アクセスに専念しており、参照することにより本明細書に組み込まれる。橈骨動脈の直径は、全ての患者の95%が直径2.2mmより大きい橈骨動脈を有し、5フレンチシース(6.5フレンチの典型的な外径)または6.5フレンチガイドに適応することができ、60%が直径2.6mmより大きい橈骨動脈を有し、6フレンチシース(外径7.5フレンチ)または7.5フレンチガイドに適応することができ、40%が、7フレンチシース(外径8.5フレンチ)または8.5フレンチガイドに適応することができる、2.95mmより大きい橈骨動脈を有し、20%のみが、8Fシース(外径9.5フレンチ)または9.5フレンチガイドに適応することができる、直径3.3mmより大きい橈骨動脈を有するようなものである。Saito S et al Catheter Cardiovas Interve 1999;46:173-178.典型的には、シースサイズとは、それを通って嵌合し得る誘導カテーテルのサイズを指す。
【0007】
経橈骨動脈アクセスに関する特定の困難は、心臓への前進中に血管系を損傷し、カテーテルシャフトの小さい直径およびカテーテルの遠位領域の剛性により、心臓を穿孔する可能性を最小限にしながら、小プロフィールを伴って血管系を通して非外傷性様式でガイドワイヤを経由して真っ直ぐ前進させることができ、心臓内でカテーテルの軸から70度より大きい(好ましくは90度またはそれをさらに上回る)角度を伴う屈曲部にわたって、小さい直径を横断して経心内膜送達カテーテルを誘導するために使用することができる、誘導カテーテルを提供することである。
【0008】
場合によって、患者の大部分が治療され得るように、シースを用いることなく、「シースレス」誘導カテーテルを使用することができる。5.5Fまたは6.5Fシースレス誘導カテーテルの使用は、シースの使用を排除することによって、橈骨動脈を通して、より小型の経路を提供することができる。
【0009】
いったん心臓に入ると、幹細胞および他の治療物質は、真っ直ぐな、螺旋状の、または他の注射針を使用して、経心内膜的に注射され得る。螺旋針が、典型的には、小口径を有する一方で、真っ直ぐな針の口径は、頻繁に、より大型になっている。より大型の真っ直ぐな針は、通常、80umおよび150umほども大きい有効直径を伴う幹細胞および他の細胞、細胞凝集体、マイクロスフェア、細胞外マトリックス(ECM)スラリ等の大型作用物質、粒子、および60~150umの直径を伴うカーディオスフェアなどの他の高粘度治療薬、ならびに同等物を送達するために使用されている。螺旋および他の小口径針は、典型的には、内径が作用物質より大きいときでさえも、そのような大型作用物質を通過させることに困難性を有し得る。これは特に、送達を阻止する粘度の増加をもたらし得る、凝集作用物質に当てはまる。真っ直ぐな大口径針は、そのような作用物質を送達することが可能である一方で、注射後に、幹細胞および他の大型凝集物質は、多くの場合、心筋の収縮時に心腔の中へ戻って放出され、注射可能物質の損失、ならびにより大型の凝集体および粒子の場合に塞栓症のリスクをもたらし得る。
【0010】
これらの理由により、細胞、薬剤、および他の治療薬の心臓内送達のための改良型システムおよび方法を提供することが望ましいであろう。橈骨動脈アプローチを介した針ベースの送達カテーテルの導入を促進するための改良型システムおよび方法を提供することが特に望ましく、そのようなシステムは、好ましくは、受動的であり、能動的作動を伴わずに動作し、堅調な穿孔保護能力を提供する、最小空間要件を伴う遠位穿孔保護システムを含む。さらに、心臓収縮の結果として、心腔の中へ戻る注射された物質の損失のリスクが低減した、細胞、薬剤、および他の治療薬を送達するための針ベースの送達カテーテルを使用するための改良型システムおよび方法を提供することが望ましいであろう。これらの目的のうちの少なくともいくつかが、以下で説明される本発明によって満たされ得る。
【0011】
2.背景技術の説明
近年、経心内膜送達および他の心臓血管手技のための有意な利点を可能にする、操向可能ガイドおよび操向可能シースが開発されている。その全開示が参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第7,840,261号、第7,402,151号、ならびに米国出願公開第2012/0123327号および第2008/0287918号を参照されたい。操向可能ガイドおよびシースは、典型的には、1フレンチ(1フレンチ(Fr)は0.33mmに等しい)である壁厚さを有し、標準固定ガイドおよびシースは、典型的には、約0.5Frの壁厚さを有する。
【0012】
米国特許出願第2012/0123327号(Miller)は、BioCardia螺旋注入システム等の可撓性遠位端を伴う誘導カテーテルを使用して、橈骨動脈から心臓に進入するために、どのようにして5Frまたは6Fr操向可能シースを使用できるかを説明する。そのようなシステムについて、5F操向可能シースは、5.5フレンチの内径、およびわずか2.2mmあまりの外径を有し、5.2フレンチ螺旋注入カテーテルシステム(BioCardia, Inc.)を容易に通過させ、螺旋注入システムを使用して、経心内膜送達のための経橈骨動脈操向可能シースとして実質的に動作し、全ての患者の95%近くで有用な操向可能経心内膜送達プラットフォームを可能にするであろう。
【0013】
公開された米国特許出願第2007/0005018号および第2010/0168713号はそれぞれ、経心内膜送達のための経橈骨動脈アクセスの潜在的利点について議論している。
【0014】
米国特許第6,322,548号でEclipse Surgical Technologiesによって説明されるもの等の経心内膜送達カテーテルの端部の上の貫通リミッタデバイスが公知である。これらのシステムは、受動システムであるが、カテーテルの遠位端において専有面積を消費し、サイズにより経橈骨動脈アクセスを妨げるであろう遠位カテーテルシャフト構造を必要とする。米国特許第7,803,136号、第8,361,039号、および第8,414,558号もまた、真っ直ぐな針の経心内膜送達システムのための遠位保護機構を説明する。これらは全て、遠位領域のプロフィールを増大させ、貫通要素の基部において放出し、係合を確認するように、より高い粘度であるか、またはより大型であるか、もしくは凝集する可能性がある作用物質の送達のために重要性を有する、大口径螺旋針を使用するように、および2管腔貫通要素を使用するように、造影剤ポートおよび管腔の包含等の先進治療管腔設計のための空間を制限する、能動的展開機構を必要とする。Cardiac Interventions Today April 2011, Volume 5, No 2 and Saito S et al
Catheter Cardiovas Interve 1999;46:173-178が上記で説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】米国特許第7,840,261号明細書
【文献】米国特許第7,402,151号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0123327号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0287918号明細書
【文献】米国特許出願公開第2007/0005018号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010/0168713号明細書
【文献】米国特許第6,322,548号明細書
【文献】米国特許第7,803,136号明細書
【文献】米国特許第8,361,039号明細書
【文献】米国特許第8,414,558号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明によると、薬剤、細胞、具体的には、大型の細胞凝集体、および他の粒子状物質を含む、種々の物質の心臓内経心内膜注入のための方法およびシステムが提供される。これらの方法およびシステムの多くは、橈骨動脈アクセスに特に適しているが、大腿動脈アクセスにも同様に依拠し得る。本発明のシステムは、導入器シース、事前形成または事前成形された誘導カテーテル、操向可能または偏向可能誘導カテーテル、事前形成されたシースレス誘導カテーテル、操向可能シースまたはシースガイド、およびシースレス操向可能シースまたはシースガイド等の複数の交換可能な構成要素を含んでもよい。種々の誘導カテーテルのそれぞれが、例えば、螺旋針、真っ直ぐな針、同軸螺旋針、同軸で真っ直ぐな針、双胴螺旋針、双胴曲線針、双胴で真っ直ぐな針、大口径で真っ直ぐな針、大口径曲線針、大口径螺旋針、および同等物を有する、複数の種類の送達カテーテルの前進のために使用されてもよい。送達カテーテルはまた、針または他の貫通要素の基部において放出する、造影剤管腔を含んでもよい。これらのカテーテルシステムは、蛍光透視ナビゲーション、電気インピーダンスナビゲーション、リアルタイム磁気共鳴映像法を使用する電磁ナビゲーション、3次元エコーナビゲーション、ならびにMRI、CT、またはエコーデータをもたらし、それを蛍光透視画像と合併することができる融合撮像システムのために構成されてもよい。さらに、これらの送達システムは、送達システムの発明の要素がこれらの新規の治療オプションを可能にするため、開示される多種多様の診断および治療薬送達のいくつかの実施形態を可能にする能力を有する。
【0017】
第1の側面では、本発明は、橈骨動脈アプローチを介して針注射カテーテルを心腔に導入するための方法を提供する。そのような方法は、橈骨動脈(および介在する動脈血管系)を通して標的心腔の中へ誘導カテーテルを前進させるステップを含む。カテーテルは、通常、心臓の右側から右または左心室に進入し得るが、心臓の右側または他の心腔から左心室に到達するように心臓内で経中隔的にさらに前進させられてもよい。誘導カテーテルは、誘導カテーテルの遠位先端を心腔の心内膜壁上の標的場所と整合させるように位置付けられる。針注射カテーテルは、針注射カテーテルの遠位先端から同軸状に突出する真っ直ぐな針が遠位先端から出現し、心内膜壁を貫通して、針の先端における注射ポートを心筋の中に位置付けるように、誘導カテーテルの管腔を通して前進させられる。複数の貫通制限要素は、心内膜壁の穿孔のリスクを低減させるために、心筋の中への針の貫通を制限するように、上記要素が針の基部から半径方向外向きに自己展開し、典型的には、拘束の解放時にそれらの独自のばね力の結果として弾性的に展開する点である、遠位先端から真っ直ぐな針が出現するまで、誘導カテーテル内で拘束されたままである。
【0018】
例示的実施形態では、位置付けるステップは、その遠位端に事前成形された偏向を有する、誘導カテーテルを回転させること、および/または軸方向に並進させることを含んでもよい。代替的な例示的実施形態では、位置付けるステップは、誘導カテーテルが心腔の中にある間に、誘導カテーテルの遠位先端を偏向または「操向」させることを含んでもよい。全ての場合において、誘導カテーテルは、通常、従来の様式で、橈骨動脈から先に配置されたガイドワイヤ上を心腔に導入され得る。
【0019】
さらなる例示的実施形態では、針注射カテーテルを前進させるステップは、導入スリーブの中で貫通制限要素を拘束することを含んでもよい。スリーブの遠位端は、誘導カテーテルの近位ハブに対して係合させられ、針注射カテーテルの遠位端は、貫通制限要素が拘束されたままである間に誘導カテーテルの近位部分の中へ前進させられる。
【0020】
なおもさらなる例示的実施形態では、貫通制限要素は、真っ直ぐな針の基部においてカテーテル本体に取り付けられた基部を有する、弾性花弁状部分を備えてもよい。花弁状部分は、拘束されていないときにカテーテル本体から外向きに湾曲するように成形されてもよい。花弁状部分は、形状記憶ワイヤの連続長で折り畳まれたワイヤループであってもよく、白金ワイヤが、放射線不透過性を提供するように形状記憶ワイヤを覆って巻かれてもよい。代替として、花弁状部分は、針シャフトに対して内向きに折り畳まれたときに重複する、中実リーフまたは他の構造を備えてもよい。典型的には、全てのそのような実施形態では、カテーテルは、2~6個の花弁状部分を含み、最も典型的には、3個である。
【0021】
第2の側面では、本発明は、遠位端、近位端、剛性近位部分、可撓性遠位部分、およびそれらを通って延在する送達管腔を有するカテーテル本体を備える、針注射カテーテルを提供する。剛性とは、カテーテル本体の近位部分が、血管系の比較的非蛇行性の領域を通って、具体的には、橈骨動脈から心臓まで前進させられるために十分な柱強度および押動可能性を有し得ることを意味する。可撓性とは、誘導カテーテルの事前成形または偏向した領域を通した心腔内の位置付けを可能にするように、小半径湾曲を横断して遠位部分を前進させ得ることを意味する。カテーテルはさらに、カテーテル本体の可撓性部分の遠位先端から同軸状に延在する、真っ直ぐな注射針を含む。複数の貫通制限要素は、真っ直ぐな注射針の基部の周囲で円周方向に位置付けられ、管状管腔の中で拘束されたときに針のシャフトに対して半径方向内向きに折り畳まれるように、および拘束されていないときに半径方向外向きに延在するように構成される。
【0022】
針注射カテーテルの貫通制限要素は、真っ直ぐな針の基部においてカテーテル本体に取り付けられた基部を有する、弾性花弁状部分を備えてもよい。花弁状部分は、拘束されていないときにカテーテル本体から外向きに湾曲するように成形されてもよい。花弁状部分は、形状記憶ワイヤの連続長で折り畳まれたワイヤループであってもよく、白金ワイヤが、放射線不透過性を提供するように形状記憶ワイヤを覆って巻かれてもよい。代替として、花弁状部分は、針シャフトに対して内向きに折り畳まれたときに重複する、中実リーフまたは他の構造を備えてもよい。典型的には、全てのそのような実施形態では、カテーテルは、2~6個の花弁状部分を含み、最も典型的には、3個である。
【0023】
例示的実施形態では、針注射カテーテルのカテーテル本体の剛性近位部分は、編組ポリマー管を備えてもよく、可撓性遠位部分は、螺旋金属コイルを備えてもよい。カテーテル本体は、典型的には、注射可能組成物を針に送達するための第1の管腔と、針の基部への造影剤の送達のための第2の管腔とを有し得る。針注射カテーテルはさらに、カテーテル本体の近位端上にハンドルまたはハブ(集合的にハンドルと称される)を備えてもよく、ハンドルは、送達される物質、造影剤、ガイドワイヤ、および同等物の供給源への接続のために、必要に応じて、弁、ルアー、ならびに他の充填材および構成要素を含んでもよい。カテーテル本体は、好ましくは、6.5Frまたはそれより小型の誘導カテーテルを通して送達されるように構成され得る。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、カテーテルシステムは、針注射カテーテルを受容するように、および針注射カテーテルがその中にあるときに複数の貫通制限要素を半径方向に拘束するように構成される、管腔を有する、誘導カテーテルと組み合わせて、上記で説明されるような針注射カテーテルを備える。そのようなシステムの誘導カテーテルは、誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、その遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させるよう、誘導カテーテルを回転させることができるように、その遠位端の近傍に事前成形された屈曲部を有してもよい。代替として、誘導カテーテルは、誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、その遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させることを可能にするように、偏向可能な(操向可能とも称される)遠位端を有してもよい。
【0025】
第3の側面では、本発明は、遠位端、近位端、およびそれらを通る送達管腔を有する、カテーテル本体を備える、大口径針注射カテーテルを提供する。螺旋針は、カテーテル本体の遠位端から延在し、カテーテル本体の送達管腔から注射可能物質を受容するように接続される、少なくとも1つの螺旋送達管腔を有する。送達管腔および少なくとも1つの螺旋管腔は、少なくとも100μmの平均直径を有する薬剤または生物学的物質の通過および注射を可能にするために十分に大きい。カテーテル本体送達管腔は、通常、少なくとも0.50mmの直径を有し、典型的には、その非円形主軸において0.71mmであり、螺旋管腔は、通常、少なくとも0.2mmの直径を有し、典型的には、約0.43mmである。
【0026】
具体的実施形態では、カテーテル本体は、送達管腔に加えて、少なくとも1つの管腔を有し、螺旋針は、1つがカテーテル本体管腔の少なくともそれぞれに接続される、少なくとも2つの螺旋送達管腔を有する。カテーテル本体は、上記で説明されるように、剛性近位部分と、可撓性遠位部分とを備えてもよく、カテーテル本体の剛性近位部分は、編組ポリマー管を備えてもよく、カテーテル本体の可撓性遠位部分は、螺旋金属コイルを備えてもよい。カテーテル本体は、第1の管腔と、随意に、針への注射可能組成物の送達のための第2の管腔と、さらに随意に、針の基部への造影剤の送達のための第2または第3の管腔とを含んでもよく、ハンドルが、カテーテル本体の近位端上に配置されてもよい。
【0027】
本発明のさらなる実施形態では、カテーテルシステムは、大口径針カテーテルを受容するように構成される管腔を有する、誘導カテーテルと組み合わせて、上記で説明されるような大口径カテーテルを備える。そのようなシステムの誘導カテーテルは、誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、その遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させるよう、誘導カテーテルを回転させることができるように、その遠位端の近傍に事前成形された屈曲部を有してもよい。代替として、誘導カテーテルは、誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させることを可能にするように、偏向可能な(操向可能とも称される)遠位端を有してもよい。
【0028】
本発明の第4の側面では、拍動する心臓の心腔の心内膜壁の中へ粒子状物質を送達するための方法は、螺旋針を有する大口径針注射カテーテルを心腔に経脈管的に導入するステップを含む。送達され得る粒子状物質は、具体的には、心臓が拍動する際の心筋の収縮の結果として注射部位から押し出されるか、または別様に放出されることの結果として、注射されたときに心腔の中へ偶然放出された場合に塞栓症のリスクを提示し得る、細胞、幹細胞、幹細胞凝集体、および任意の他の治療または診断物質を含む。大口径針注射カテーテルの螺旋針は、針のポートが、針によって形成される螺旋組織管の内部端の近傍に横たわるように、心腔の心内膜壁の中へ前進させられる。典型的には、少なくとも100μmの平均粒径を有する、粒子状物質が、螺旋組織管の内部端へ針を通して注射される。螺旋組織管を通る注射された物質の逆流は、螺旋針が引き出された後でさえも管の螺旋形状の中で阻止される。
【0029】
粒子状物質送達方法の具体的実施形態では、カテーテルは、少なくとも0.50mmの直径を有する、好ましくは、0.50mm~0.80mmの範囲内である送達管腔を伴うカテーテル本体を有し得る。螺旋針は、通常、少なくとも0.2mm、好ましくは、0.21mm~0.56mmの範囲内である直径を伴う螺旋管腔を有し得る。カテーテル本体送達管腔は、通常、少なくとも0.50mmの直径を有し、典型的には、その非円形主軸において0.71mmであり、螺旋管腔は、通常、少なくとも0.2mmの直径を有し、典型的には、約0.43mmである。カテーテル本体は、典型的には、送達管腔に加えて、少なくとも1つの管腔を有し、螺旋針は、典型的には、1つがカテーテル本体管腔の少なくともそれぞれに接続される、少なくとも2つの螺旋送達管腔を有する。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
橈骨動脈から心腔に針注射カテーテルを導入するための方法であって、
前記橈骨動脈を通して前記心腔の中へ誘導カテーテルを前進させるステップと、
前記誘導カテーテルの遠位先端を前記心腔の心内膜壁上の標的場所と整合させるように、前記誘導カテーテルを位置付けるステップと、
同軸状に突出する真っ直ぐな針が前記針注射カテーテルの遠位先端から出現し、前記心内膜壁を貫通して、前記針の前記先端における注射ポートを心筋の中に位置付けるように、前記誘導カテーテルの管腔を通して前記針注射カテーテルを前進させるステップであって、複数の貫通制限要素は、前記心内膜壁の穿孔のリスクを低減させるために、前記心筋の中への前記針の貫通を制限するように前記要素が前記針の基部から半径方向外向きに自己展開する点である、前記遠位先端から前記針が出現するまで、前記誘導カテーテル内で拘束されたままである、ステップと
を含む、方法。
(項目2)
位置付けるステップは、その遠位端に事前成形された偏向を有する、誘導カテーテルを回転させるステップ、および/または軸方向に並進させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
位置付けるステップは、前記誘導カテーテルが前記心腔の中にある間に、前記誘導カテーテルの前記遠位先端を偏向させることを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記針注射カテーテルを前進させるステップは、導入器スリーブの中で前記貫通制限要素を拘束することと、前記誘導カテーテルの近位ハブに対して前記スリーブの遠位端を係合させることと、前記貫通制限要素が拘束されたままである間に前記誘導カテーテルの近位部分の中へ前記針注射カテーテルの遠位端を前進させることとを含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記貫通制限要素は、前記真っ直ぐな針の基部において前記カテーテル本体に取り付けられた基部を有する、弾性花弁状部分を備える、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記花弁状部分は、拘束されていないときに前記カテーテル本体から外向きに湾曲するように成形される、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記花弁状部分は、形状記憶ワイヤの連続長で折り畳まれたワイヤループである、項目6に記載の方法。
(項目8)
白金ワイヤが、放射線不透過性を提供するように前記形状記憶ワイヤを覆って巻かれる、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記花弁状部分は、針シャフトに対して内向きに折り畳まれたときに重複する、中実リーフである、項目6に記載の方法。
(項目10)
前記カテーテルは、2~6個の花弁状部分を含む、項目5に記載の方法。
(項目11)
遠位端、近位端、剛性近位部分、可撓性遠位部分、およびそれを通って延在する送達管腔を有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記可撓性部分の遠位先端から同軸状に延在する、真っ直ぐな注射針と、
前記真っ直ぐな注射針の基部の周囲で円周方向に位置付けられ、管状管腔の中で拘束されたときに前記針のシャフトに対して半径方向内向きに折り畳まれるように、および拘束されていないときに半径方向外向きに延在するように構成される、複数の貫通制限要素と
を備える、針注射カテーテル。
(項目12)
前記貫通制限要素は、前記真っ直ぐな針の前記基部において前記カテーテル本体に取り付けられた基部を有する、弾性花弁状部分を備える、項目11に記載のカテーテル。
(項目13)
前記花弁状部分は、拘束されていないときに前記カテーテル本体から外向きに湾曲するように成形される、項目12に記載のカテーテル。
(項目14)
前記花弁状部分は、形状記憶ワイヤの連続長で折り畳まれたワイヤループである、項目13に記載のカテーテル。
(項目15)
白金ワイヤが、放射線不透過性を提供するように前記形状記憶ワイヤを覆って巻かれる、項目14に記載のカテーテル。
(項目16)
前記花弁状部分は、前記針シャフトに対して内向きに折り畳まれたときに重複する、中実リーフである、項目13に記載のカテーテル。
(項目17)
前記カテーテルは、2~6個の花弁状部分を含む、項目12に記載のカテーテル。
(項目18)
前記カテーテル本体の前記剛性近位部分は、編組ポリマー管を備え、前記カテーテル本体の前記可撓性遠位部分は、螺旋金属コイルを備える、項目11に記載のカテーテル。
(項目19)
前記カテーテル本体は、注射可能組成物を前記針に送達するための第1の管腔と、前記針の前記基部への造影剤の送達のための第2の管腔とを有する、項目11に記載のカテーテル。
(項目20)
前記カテーテル本体の前記近位端上にハンドルをさらに備える、項目11に記載のカテーテル。
(項目21)
前記カテーテル本体は、6.5Fr誘導カテーテルを通して送達されるように構成される、項目11に記載のカテーテル。
(項目22)
項目11に記載の針注射カテーテルと、
前記針注射カテーテルを受容するように、および前記針注射カテーテルがその中にあるときに複数の貫通制限要素を半径方向に拘束するように構成される、管腔を有する、誘導カテーテルと
を備える、カテーテルシステム。
(項目23)
前記誘導カテーテルは、前記誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、前記遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させるよう、前記誘導カテーテルを回転させることができるように、その遠位端の近傍に事前成形された屈曲部を有する、項目22に記載のカテーテルシステム。
(項目24)
前記誘導カテーテルは、前記誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、前記遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させるように、偏向可能な遠位端を有する、項目22に記載のカテーテルシステム。
(項目25)
遠位端、近位端、およびそれらを通る送達管腔を有する、カテーテル本体と、
前記カテーテル本体の前記遠位端から延在し、前記カテーテル本体の前記送達管腔から注射可能物質を受容するように接続される、少なくとも1つの螺旋送達管腔を有する、螺旋針であって、前記送達管腔および前記少なくとも1つの螺旋管腔は、少なくとも50μmの平均直径を有する薬剤または生物学的物質の通過および注射を可能にするために十分大きい、螺旋針と
を備える、大口径針注射カテーテル。
(項目26)
前記送達管腔は、少なくとも0.5mmの直径を有する、項目25に記載のカテーテル。
(項目27)
前記螺旋管腔は、少なくとも0.2mmの直径を有する、項目26に記載のカテーテル。
(項目28)
前記カテーテル本体は、前記送達管腔に加えて、少なくとも1つの管腔を有し、前記螺旋針は、1つが前記カテーテル本体管腔の少なくともそれぞれに接続される、少なくとも2つの螺旋送達管腔を有する、項目27に記載のカテーテル。
(項目29)
前記カテーテル本体は、剛性近位部分と、可撓性遠位部分とを備える、項目25に記載のカテーテル。
(項目30)
前記カテーテル本体の前記剛性近位部分は、編組ポリマー管を備え、前記カテーテル本体の前記可撓性遠位部分は、螺旋金属コイルを備える、項目27に記載のカテーテル。
(項目31)
前記カテーテル本体は、前記針への注射可能組成物の送達のための第1の管腔と、前記針の前記基部への造影剤の送達のための第2の管腔とを有する、項目25に記載のカテーテル。
(項目32)
前記カテーテル本体の前記近位端上にハンドルをさらに備える、項目25に記載のカテーテル。
(項目33)
項目25に記載の大口径針カテーテルと、
前記大口径針カテーテルを受容するように構成される管腔を有する、誘導カテーテルと
を備える、カテーテルシステム。
(項目34)
前記誘導カテーテルは、前記誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、前記遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させるよう、前記誘導カテーテルを回転させることができるように、その遠位端の近傍に事前成形された屈曲部を有する、項目33に記載のカテーテルシステム。
(項目35)
前記誘導カテーテルは、前記誘導カテーテルが心腔の中にあるときに、前記遠位端を心内膜壁上の標的場所と整合させるように、偏向可能な遠位端を有する、項目33に記載のカテーテルシステム。
(項目36)
拍動する心臓の心腔の心内膜壁の中へ粒子状物質を送達するための方法であって、
螺旋針を有する大口径針注射カテーテルを心腔に経脈管的に導入するステップと、
前記針のポートが、前記針によって形成される螺旋組織管の内部端の近傍に横たわるように、前記心腔の心内膜壁の中へ前記大口径針注射カテーテルの前記螺旋針を回転して前進させるステップと、
前記針を通して、少なくとも50μmの平均粒径を有する粒子状物質を前記螺旋組織管の前記内部端に注射するステップであって、前記螺旋組織管を通る注射された物質の逆流は、前記螺旋針が引き出された後でさえも前記管の前記螺旋形状の中で阻止される、ステップと
を含む、方法。
(項目37)
前記カテーテルは、少なくとも0.5mmの直径を有する送達管腔を伴うカテーテル本体を有する、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記螺旋針は、少なくとも0.2mmの直径を伴う螺旋管腔を有する、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記カテーテル本体は、前記送達管腔に加えて、少なくとも1つの管腔を有し、前記螺旋針は、1つが前記カテーテル本体管腔の少なくともそれぞれに接続される、少なくとも2つの螺旋送達管腔を有する、項目38に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1および2は、本発明のある実装で使用され得る、先行技術の誘導および送達カテーテルを図示する。
【
図2】
図1および2は、本発明のある実装で使用され得る、先行技術の誘導および送達カテーテルを図示する。
【
図3】
図3Aおよび3Bは、本発明の螺旋送達カテーテル実装を図示する。
【
図4】
図4Aおよび4Bは、誘導カテーテルから前進させられている、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルを図示する。
【
図5】
図5は、本発明による、真っ直ぐな注射針を有する針注射カテーテルの遠位先端を図示する。
【
図6-1】
図6A~6Eは、本発明による、貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する針注射カテーテルの誘導カテーテルの中への後退を図示する。
【
図6-2】
図6A~6Eは、本発明による、貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する針注射カテーテルの誘導カテーテルの中への後退を図示する。
【
図7】
図7は、2つの管腔と、ハンドルアセンブリとを有する、例示的な送達カテーテルを図示する。
【
図8A】
図8A-1~8F-6は、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルの設計および加工詳細を図示する。
【
図8B】
図8A-1~8F-6は、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルの設計および加工詳細を図示する。
【
図8C】
図8A-1~8F-6は、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルの設計および加工詳細を図示する。
【
図8D】
図8A-1~8F-6は、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルの設計および加工詳細を図示する。
【
図8E】
図8A-1~8F-6は、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルの設計および加工詳細を図示する。
【
図8F】
図8A-1~8F-6は、本発明による貫通制限要素によってその基部において包囲された真っ直ぐな注射針を有する、針注射カテーテルの設計および加工詳細を図示する。
【
図9】
図9は、本発明による、針注射カテーテルのためのハンドルアセンブリの断面図である。
【
図10】
図10~12Bは、2管腔螺旋注射針を有する、3管腔針注射カテーテルの遠位先端を示す。
【
図11】
図10~12Bは、2管腔螺旋注射針を有する、3管腔針注射カテーテルの遠位先端を示す。
【
図12】
図10~12Bは、2管腔螺旋注射針を有する、3管腔針注射カテーテルの遠位先端を示す。
【
図13】
図13Aおよび13Bは、3管腔カテーテル本体構成の設計および加工詳細を示す。
【
図14】
図14A~14Cは、送達カテーテルの電気的接続をさらに詳細に示す。
【
図15】
図15は、本発明の螺旋針送達カテーテルのためのハンドルアセンブリの内部構成を示す。
【
図16】
図16および17は、本発明の送達カテーテルのための大口径螺旋針の設計および加工詳細を示す。
【
図17】
図16および17は、本発明の送達カテーテルのための大口径螺旋針の設計および加工詳細を示す。
【
図18】
図18A~18Cは、経心内膜治療送達中に心臓組織に係合するときに、既存のバルーン技術を利用して遠位穿孔保護を提供することができる、貫通制限の代替的設計を図示する。
【
図19】
図19は、弁を有する偏向可能先端誘導カテーテルと、弁の側面ポートに取り付けられたシリンジと、螺旋針送達カテーテルと、弁の治療ポートに取り付けられたシリンジと、造影剤ポートに取り付けられたシリンジとを含む、組み立てられたシステムを示す。
【
図20】
図20は、螺旋針と、可撓性遠位要素と、編組シャフトと、2部張力緩和と、ハンドルと、治療ポートと、造影剤ポートとを含む、螺旋針注射カテーテルを図示する。
【
図21】
図21A~21Dは、変形(楕円化)を低減させるように管の側面を支持するマンドレル上にハイポチューブを巻き付けることによって形成された螺旋針を示す。
【
図22】
図22は、「Y字形」アダプタまたは他のハンドルで利用される造影剤および治療管腔を終端させるための代替的設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本特許出願では、これらのうちのそれぞれの発明の要素を開示するが、それらの使用法は、決して本願での他の要素には限定されない。
【0032】
(発明の説明)
図1(先行技術)は、大腿または橈骨動脈のいずれかから、真っ直ぐに、または拡張器もしくはガイドワイヤのいずれか上を前進させられる、Merit Medical Systems,Inc.から入手可能なConcierGE(登録商標)誘導カテーテル等の事前形成された6F Hockey Stick(HS)90cm誘導カテーテル100を示す。遠位区画が高度に可撓性であるため、誘導カテーテルは、大動脈弁を横切って左心室の中へ安全に前進させられてもよい。誘導カテーテル100は、任意の市販の6Frシースを使用して、大腿動脈の中へ前進させられてもよい。橈骨動脈アクセスには、患者において頻繁に起こる橈骨動脈痙攣を伴う合併症を回避するために、Boston Scientific Super Sheath Catalog 16037-06B等のより長い25cmシースが好ましい。
【0033】
図2(先行技術)は、拡張器またはワイヤ等の中心直線化要素が除去され、誘導カテーテルの端部を3.5cm~7cm超えて到達する少なくとも6~10cmの長さを伴う、高度に可撓性の遠位区画202を伴う経心内膜注入カテーテル200が挿入された後の事前形成された6Fr HS 90cm誘導カテーテル100を示す。ここで、貫通要素は、固定ガイド内で容易に回転させられ、心臓組織の中へカテーテルを係合させるために前進させられ得る、螺旋針204である。経心内膜注入カテーテル200上の高度に可撓性の遠位区画202は、6Fr誘導カテーテル上の高度に可撓性のガイド部分を直線化せず、固定ガイドを前進および回転させ、次いで、経心内膜送達システムを用いて螺旋針204を垂直壁まで延在させ、それが組織を貫通して治療または診断送達を達成することを可能にする。ガイド遠位端が可撓性である必要性に起因して、経心内膜注入カテーテルが挿入されると、わずかな直線化が生じ得るため、事前形成されたガイド形状は、典型的には、少なくとも90度屈曲し得る。
図2では、経心内膜注入カテーテル200は、高度に可撓性の領域がマルチフィラーコイル設計を備える、BioCardia(登録商標)螺旋針モデル953Lカテーテルであるが、他の可撓性区画も本発明で使用することができ、例えば、可撓性区画は、米国特許第5,228,441号、第5,243,167号、第5,322,064号、第5,329,923号、第5,334,145号、第5,454,787号、第5,477,856号、および第5,685,868号に示されるようなエッチングされたステンレス鋼管から作製されるか、または巻装リボン構造を形成することができる。そのようなコイル設計の屈曲剛直性は、例えば、Meagher,J.,Altman,P.:Stresses from Flexure in Composite Helical Implantable Leads, Medical Engineering and Physics,Vol.19,No.7,pp668-673,1997で教示されるように、そのような複雑な幾何学形状のための有効閉形式微分に従うことによって、容易に計算することができる。
【0034】
本発明の異なる側面における貫通要素は、真っ直ぐな針、曲線針、複数分岐針、および同等物であり得、螺旋針でもある。本発明の方法およびシステムで使用される事前成形された誘導カテーテルが、軸方向に前進および後退させられ、左心室の中で回転させられてもよいため、静的シースが、典型的には、手技ならびに本手技の終了時の橈骨動脈の生存能力への橈骨動脈痙攣の影響を低減させるように、橈骨動脈の最初の25cmに配置され得る。痙攣が挿入されたカテーテルを束縛して手技の完了を妨げる可能性を最小限にするために、長い6Fシースも6Frガイドとともに使用されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、高度に可撓性のコイルの端部上に搭載された貫通要素を伴う5.2Fr経心内膜送達カテーテルを前進させるために、25cmの6Fr導入器シース、および事前形成された100度のホッケースティック角度を伴う110cmの事前形成された6Fr誘導カテーテルが使用される。これらのカテーテルは、遠位端まで進行する2つの管腔を有してもよく、そのうちの1つは、貫通要素の基部において放出し、1つは、貫通される組織の中へ放出するように貫通要素を通過する。さらに、本カテーテルシステムは、その好ましい実施形態では、その遠位先端に螺旋針を有し、穿孔保護デバイスの必要性を排除する。明確には、潤滑コーティングを提供し、110cmガイドがシースレスガイドとして使用されることを可能にすることによって、25mの6Frシースの必要性を排除することは、本システムが集団の付加的な35%で使用されることを可能にし、より小さい橈骨動脈がある患者にとって好ましい実施形態である。
【0036】
代替的なシステムは、6Frシース(6.4Frまたはそれより小さい)に適応するように設定された外径、および3.9Fr~4.4Frの内径を伴う4Fr注入カテーテルに適応するように選択された内径を伴う操向可能6Fr誘導カテーテルを利用してもよい。そのような操向可能誘導カテーテルは、市販されており、好適な操向可能誘導カテーテルは、4.25Fr内部管腔および6フレンチ外側管腔を有する、BioCardia,Inc.製の汎用偏向可能誘導カテーテルモデル#1066である。本アプローチは、本明細書で開示される第1の実施形態と同一の手技の利点を有するが、ガイドの遠位端を偏向させて、増進した制御オプションを提供する能力、また、心室内でより優れたバックアップ支援を有する能力からも利益を得る。本システムはまた、25cm橈骨動脈アクセスシースとともに使用されてもよいが、より大きい直径の螺旋針を通過させる能力という課題を抱え、したがって、説明される受動穿孔保護システムを伴う真っ直ぐな針システムが所望される。
【0037】
本発明のある実施形態において好適である代替的な操向可能誘導カテーテルは、その全開示が参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2012/0123327号で開示されている。本誘導カテーテルは、導入器シースを伴わない5フレンチ操向可能シース(外径7.5フレンチ)を用いた進入を可能にする。動脈内のデバイスの操作と関連付けられる橈骨動脈痙攣の追加リスクがあるが、その操向可能な性質は、7Fr外径を有する6Frシースレス固定ガイドの性質に対して操作を有意に低減させ得る。本シースレスガイドおよび本操向可能シースシステムは両方とも、カテーテルシャフトの全長に沿った潤滑コーティングから利益を得るであろう。カテーテルが大きいほど、さらなるリスクが橈骨動脈に生じ得るという警告の下で、異なる流体送達、電気的マッピング、超音波感知、電磁的位置決め、および他のそのような十分理解された幾何的要件を有する、経心内膜送達のためのより大型のカテーテルに適応するために、より大型の操向可能シースを手技に使用する可能性が実施され得る。現在、米国特許第7,736,346号で開示されるような双極感知を伴う3管腔流体管理が、5Frシースに適合する5.2Frエンベロープで実現されている。
【0038】
図3Aおよび3Bは、それぞれ2つの管腔、すなわち、造影剤の送達に使用され、螺旋針の基部において終端する1つの管腔、および螺旋針の遠位端まで及ぶ1つの管腔を有する、2つの経心内膜送達カテーテルの遠位端を示す。これらの針は、ピッチを制御し、円形針断面の平坦化または過剰な「楕円化」、または円形幾何学形状から楕円または類似非円形幾何学形状への断面の意図しない変形を防止するように特定されるチャネル幅を有する巻装固定具で形成される。針は、304ステンレス鋼から作製されるが、他の材料も機能することができる。螺旋針をカテーテルの遠位端に取り付ける際に、針が、遠位マルチフィラーコイルで覆われる二重管腔内部管の中へ結合され、マンドレルが、その開通性を保護するように造影剤放出管腔に挿入され、螺旋が、Loctite M-31CL等のエポキシ樹脂に埋め込まれ、そこで針が遠位の高度に可撓性のコイルにしっかり固着される。より小さい直径の螺旋針は、0.008インチの内径を有し、より大きい直径の螺旋は、0.022インチの内径を有する。
【0039】
図4Aおよび4Bは、真っ直ぐな注射針408の基部を包囲する複数(3つ)の保護花弁状部分406を備える受動穿孔保護システムを有する、送達カテーテル404を含む、真っ直ぐな針経心内膜カテーテル402システムの遠位端を示す。
図4Aは、展開されている際の本システムを示し、
図4Bは、完全に展開された際のそれを示す。本発明のシステムは、5.2Fr管腔、または場合によっては4Fr管腔を有する、種々の従来の操向可能または固定誘導カテーテルのうちのいずれか1つであり得る、誘導カテーテルと組み合わせて、本発明のカテーテルを含む。本システムは、随意に、スリーブの管腔内で穿孔保護デバイスを後退させるように針注射カテーテルの近位シャフト上を前進させられる、長さがおよそ3~10センチメートルの薄壁スリット管であり得る、
図8Eに示されるような導入器スリーブ817cをさらに含んでもよい。次いで、カテーテルは、導入器スリーブから、導入器スリーブが除去された後にカテーテルを送達するために使用される誘導カテーテルの中へ、前進させることができる。
【0040】
図5は、真っ直ぐな針504がカテーテル本体またはシャフトの可撓性遠位領域511の遠位端上に搭載される、5.5Fr管腔カテーテル導入器システム500に適合する経心内膜送達システムの遠位端を示す。造影剤ポート510が、領域511の遠位端に取り付けられる花弁状部分506の基部に配置される。真っ直ぐな針504は、0.008インチ管腔および0.016インチ外径、ならびに0.160、0.240、または0.320の露出長を伴う27ゲージ通常壁針であってもよい。針504の先端502は、好ましくは、示されるように、3つの面を有するが、代替として、1つまたは2つの面を有することができる。貫通制限花弁状部分506は、放射線不透過性のために、最上部を覆う単一フィラー0.0015インチ直径プラチナイリジウム(Pt/Ir)(90/10)ワイヤのコイルを提供されているか、またはそれで覆われている、直径0.0035インチのNitinol(登録商標)ワイヤから形成されてもよい。カテーテルの可撓性領域は、より剛直性のカテーテルシャフトから10センチメートル延在する、0.046インチのピッチともに0.063インチの外径を伴う5本フィラー0.008インチワイヤコイル511から形成されてもよい。二重管腔PEBAX 55Dポリマー管(
図5に示されていない)は、典型的には、カテーテルの長さの大部分または全体に延在する。真っ直ぐな針貫通要素508の基部は、二重管腔管の2つの管腔のうちの1つに挿入され、それに結合される。貫通制限/穿孔保護構造の柄または基部は、5本フィラー(pentafiler)コイル511に挿入される510が、典型的には、必要とされるときに造影媒体を放出するように、内部管腔のうちの1つを開放しままにする。
【0041】
貫通制限/穿孔保護デバイスは、いくつかの方法で実装することができる。好ましい実施形態では、モノリシック構造が、Pt/Irワイヤコイルで部分的または完全に覆われる複数の花弁状部分を含む。ワイヤ被覆は、組立を促進し、長手方向および半径方向間隔の一貫性を向上させる。被覆はまた、取付の安全を増進させてもよい。組立は、(事前形成されるか、または本明細書で図示される3次元花弁状幾何学形状を有するように設定される)超弾性ワイヤを直線化することによって行われ、Pt/Irコイルは、直線化したワイヤ上を前進させられる。次いで、花弁状ワイヤは、その弛緩した多重花弁形状を回復させられ、貫通制限/穿孔保護構造は、以前に記述されたように、エポキシを用いてカテーテル本体またはシャフトの遠位端の中へ結合される。加えて、または代替として、貫通制限/穿孔保護構造はまた、ろう付け、はんだを使用して、もしくは針および/または遠位コイルに溶接することによって、取り付けられてもよい。
【0042】
他の実施形態は、複数の花弁状部分の中の各花弁状部分のための明確に異なる部分の使用を含む。これらの組み合わせ、すなわち、4花弁状部分構成をもたらす、1つのモノリシック構造の中の2つの花弁状部分および別のモノリシック構造の中の2つの花弁状部分等もまた可能である。さらに、1つだけの花弁状部分が片側でカテーテルから展開する、より限定された実施形態がある。
【0043】
花弁状部分または小葉状部分の数は、係留されなければならない個々のワイヤの数を判定するため重要である。したがって、より少ない小葉状部分は、カテーテルの内側の利用可能な空間をより少なく占有するが、より厚い要素をもたらし得る。屈曲剛性が直径の三次因子である傾向があるため、直径を2倍にすることにより8倍の剛性を生じる。したがって、3つのループが4つよりもさらなる剛性(したがって、穿刺に対する抵抗)、おそらく、2つのループよりも安定した幾何学形状を可能にすることが予測される。好ましい実施形態は、3つのループを有するが、これは開示される本発明を限定するべきでない。Nitinol(登録商標)ワイヤはまた、一連のサイズ範囲、典型的には、直径0.002~0.005インチから選択することもできる。
【0044】
見掛け断面積が穿刺抵抗に関する:穿孔保護との関連で、目的とする要素は、主要カテーテル本体の遠位端であり、「貫通要素」または針ではない。心筋穿孔/穿刺を引き起こすために必要とされる力は、カテーテルの先端の提示された断面積に関係付けられる。本願で開示されるワイヤループ要素は、カテーテル本体の遠位端の見掛け表面積を効果的に増大させ、したがって、心筋穿孔を引き起こすために必要とされるであろう力を増加させる。
【0045】
ループの可変剛性:カテーテル本体の遠位端の近傍の各ループまたは花弁状部分の根元が、後方に屈曲されることに対して最も抵抗性があるループ/花弁状部分の部分(屈曲を引き起こす最短レバーアーム)であるため、穿刺抵抗を生成することもが最も重要であり、カテーテル先端からより遠いループの部分よりも剛性にすることができ、本システムをより非外傷性、または心臓内の細かい構造との接触に対してより敏感にする。
図6A~6Eは、本発明の貫通制限/穿孔保護要素として好適であり、誘導カテーテルの遠位端から展開され、またはその中へ後退させられたときに容易に圧潰する、例示的なループ/花弁状構造を示す。
図6A~6Eは、具体的には、送達カテーテルが誘導カテーテルの中へ戻って後退させられている際の貫通制限/穿孔保護システムを示し、
図6Aは、完全展開時の保護花弁状部分または小葉状部分506とともに、誘導カテーテル601から拡張された注入カテーテルの遠位領域511を示す。
図6Bは、送達カテーテルが誘導カテーテル601に後退させられる際に誘導カテーテル601に進入する直前に完全に展開された、小葉状部分または花弁状部分506を示し、
図6Cは、針502の周囲および誘導カテーテル601の中へ圧潰し始める小葉状部分または花弁状部分506を示し、
図6Dは、誘導カテーテル601による完全捕捉の直前の小葉状部分または花弁状部分506を示す。
図6Eは、完全に後退させられ、誘導カテーテル601の遠位ポートを通してほとんど可視的ではない穿孔保護システムを示す。本最終位置は、送達カテーテルがガイド内で保護され、心室内の具体的領域を標的にするようにガイドを操作することができるときに、「格納」状態と称される。本保護デバイスは、所与の5フレンチの真っ直ぐな針カテーテルシステムで心臓組織を貫通する力を2倍を超えるようにする。「花弁状部分」は、カテーテルから外へ延在された/カテーテルの中へ引き込まれたときに、受動的に拡張/圧潰し、圧潰されたときに、ループの先端は、カテーテルの内径、または部分的に後退させられたときに組織をえぐることを阻止するように、真っ直ぐな針の先端を通り過ぎて延在する。その展開構成において、貫通制限/穿孔保護システムは、真っ直ぐな針システムによる穿孔のリスクを有意に低減させる。
【0046】
2つの流体管腔を伴う送達カテーテルの近位部分700が、
図7に示されており、張力緩和アセンブリ703によって主要カテーテルシャフト705に取り付けられたハンドルアセンブリ701を含む。カテーテルシャフト705は、治療および造影剤送達管腔のための可撓性でトルク付与可能な複合導管である。張力緩和アセンブリ703は、カテーテルシャフトとハンドルアセンブリ701との間の保護移行部としての機能を果たす。本発明の螺旋針システムは、真っ直ぐな針の実施形態より低い穿孔の可能性を有し得るが、容易に実装することができる、螺旋針カテーテルに対するそのような穿孔保護実施形態を含む利点があり得る。
【0047】
図8A(パネル1~4)は、例示的な小葉状または花弁状要素を含む、貫通制限/穿孔保護を図示する。小葉状部分要素801は、上記で示されるように独立し得るか、または我々が「モノリシック構造」806と呼ぶであろうものの中で接続された脚部を有することができ、例えば、小葉状部分または花弁状部分は、単一長さのNitinol(登録商標)または他の形状記憶金属もしくはポリマーから形成されてもよく、この長さは、さらに随意に、複数のループを伴う連続構造を形成するように端部において接続される。脚部は、直線状であり得るか、または接着接合部における結合を向上させるように、特定のその他の回旋状の形状を有することができる。これらのループは、シースに収めること、および展開の間に、構造の圧潰および/または拡張を補助する、いくつかの半径を有する。外径801aは、主に、覆われて保護される針に対して、シースに収められた長さを画定する。「折り畳みブリップ」801bは、その幾何学形状の区画が180度折り畳まれる、シースに収める際に、塑性歪みを防止するように設計される。「根元」半径801dは、本半径が増大させられるときに小葉状部分を折り畳むためのレバーアームが増大させられるため、シースに収めることをより容易にする。放射線不透過性は、
図8B(パネル1)に示されるようにコイル状プラチナ801eで小葉状部分を覆うことによって提供するか、または
図8B(パネル2)に示されるようにプラチナ801f等の放射線不透過性中心を伴う延伸充填管(DFT)から作製することができる。放射線不透過性コイルは、幾何学的結合、はんだ、または接着剤を用いて取り付けることができる。
図8Bのパネル3および4は、種々の選択された半径、例えば、809、811、および813を作成する特徴を有するマンドレル上で熱硬化によってループが作製されることを示す。
【0048】
図8Cは、二重管腔管を示す。二重管腔803b(パネル2)は、治療薬のためのチャネルと、造影剤のためのチャネルとを有する。治療経路は、注射要素808に接続され、作用物質を組織の中へ送達する。造影剤管腔は、シャフト805の先端において開放し、造影剤は、組織表面に対する正しい位置付けを確保するように、それを通して注射される。二重管腔のためのオプションは、断面流動面積を最適化する、小葉状部分の脚部のための陥凹を伴う非円形押し出し品803bを含み、または小葉状部分803c(パネル3)の脚部の周囲に嵌合して、再度、流動面積を最適化し、また、シャフトに結合する際に小葉状部分の安全を潜在的に向上させるように、丸い押し出し品を吹き込み成形することができる。組織係合インジケータは、付加的な特徴を提供することができ、放射線不透過性ループの利益は、それに組織係合インジケータの役割を果たさせる可能性である。ワイヤループの先端が、ある距離だけカテーテルの先端を「先導」するよう成形されてもよいため、針が組織を穿刺し、カテーテルの本体の遠位端が組織表面に接近すると、後方に屈曲するループの先端を蛍光透視法下で可視化することができる。組織係合を示すためにループを使用することの潜在的な付加利益は、シャフトから造影剤管腔を排除できる可能性であり、これは、全体的なシステムサイズ縮小を可能にするか、またはより大きい細胞、細胞凝集体、マイクロスフェア、細胞外マトリックス(ECM)スラリ、粒子、もしくはより高い粘度の治療薬の送達を可能にする、より大型の治療管腔に適応することができる。ループは、略円錐形、トランペットのような広口鐘形状、またはトイレットプランジャのような閉鎖鐘形状を形成するように構成することができる。
【0049】
図8Dは、遠位可撓性要素および針を示す。5本フィラーコイル807は、0.046インチのピッチを伴う0.008インチワイヤの5要素コイルである。本可撓性要素は、随意に、より薄い壁、およびより近位の領域においてより剛性である場合、支柱支持を向上させ、したがって、操向送達誘導カテーテルの外の長い延在部において丈夫な組織を貫通する能力を向上させることができる、その長さに沿った可変可撓性という利点を有し得る、切断金属管807b(
図8C)から成ることができる。シャフトは、典型的には、高度に可撓性の遠位区画807、シャフト815の主要長、および張力緩和区画817を含む、3つの主要部を備える。以下のアイテムはまた、主要シャフト705、および張力緩和703として
図7で参照されることに留意されたい。
【0050】
可撓性要素は、前述のように、ステンレス鋼丸形ワイヤ807の5本フィラーコイルで加工されてもよい。主要シャフトは、外側ジャケット(編組ポリアミド)815および内側二重管腔(Pebax)803(
図8A)から成る。張力緩和817は、主要シャフトおよび二重管腔815の延在部を含み、そしてまた、PEEKの2つの区画、すなわち、誘導カテーテルのハンドルの内側に嵌合する、小さい方の区画817a、および誘導カテーテルの近位ルアーに取り付けられた回転止血弁(RHV)に進入することができるが、ガイドのハンドルに進入しない、大きい方の区画817bも有する。2つの張力緩和区分の間の大きい方の外径の端部における段差は、遠位端が誘導カテーテル内にちょうど「格納」されている一方で、その接合部がRHVのちょうど近位縁にあることを査定するために、ユーザによって触れられる参照点として使用される。
【0051】
随意に、導入器シースは、シャフトに沿ってハンドルに摺動可能に取り付けられ、誘導カテーテルの中への導入のために小葉状部分を前方に折り畳ませることができる。本要素は、張力緩和の一部、例えば、スナップ式設計817c(パネル1、
図8E)になることができる。主要シャフト区画815と遠位可撓性要素807との間の接合部は、シアノアクリレート接着剤を用いて定位置に結合された薄壁ハイポチューブまたは「ブッシング」で形成される。主要シャフト815から張力緩和817まで、および張力緩和からハンドル819までの接合部は、エポキシ接着剤によって作製されてもよい(
図8D参照)。
【0052】
ワイヤアセンブリ、例えば、
図8Aの801および806は、Au-Snはんだで事前に錫めっきされ、次いで、製造を簡単にするために、サブアセンブリとしてステンレス鋼針およびコイル(または他の可撓性ばね要素)にはんだ付けされてもよい。ワイヤがその取付点から退出する際のその曲率半径は、ワイヤ直径の10倍より小さくなるべきではない。最小推奨比は、約5.6:1であるが、それは、使用とともに塑性的に変形し、短縮した疲労寿命を有する可能性が高い。ワイヤループのモノリシックセットは、直線「脚部」を伴う単一個別小葉状部分とは対照的に、組み立てやすさ、長手方向および半径方向間隔の一貫性、および取付における安全の増大を提供する。
【0053】
図8Dは、0.046インチのピッチを伴う0.008インチワイヤの5要素コイルである、5本フィラーコイル807を含む、遠位可撓性要素および針を示す。本可撓性要素は、随意に、より薄い壁、およびより近位の領域においてより剛性である場合、支柱支持を向上させ、したがって、操向送達誘導カテーテルの外の長い延在部において丈夫な組織を貫通する能力を向上させることができる、その長さに沿った可変可撓性という利点を有し得る、切断金属管807b(
図8C)から成ることができる。シャフトは807、815、および817、高度に可撓性の遠位区画807、シャフト815の主要長、および張力緩和区画817を含む、3つの主要区画を備える(
図8D)。
【0054】
治療管腔および造影剤管腔は、典型的には、カテーテルシャフトの全長に中断なく延在する。5本フィラーコイル807とポリアミドジャケット815との間の接合部は、接着重ね継手で形成される。これは、内径/外径0.038インチ/0.042インチ×長さ0.3インチを伴う、示されていない薄壁304ステンレスブッシングに結合する、Loctite 4014によって、または重ね継手材料として管腔アセンブリの外面を使用してのいずれかで形成されている。コイル-シャフト接合部の近位で、主要シャフト外側ジャケットは、壁815にカプセル化された0.0015インチワイヤ編組(16キャリア)を伴う0.042インチ内径×0.054インチ外径のポリアミド管から成る、可撓性のトルク可能複合材料である。
【0055】
張力緩和アセンブリ703は、カテーテルシャフトとハンドルアセンブリ701との間の保護移行部としての機能を果たす。
図8Dに示されるように、張力緩和81は、主要シャフトおよび二重管腔815の延在部を含み、また、PEEKの2つの区画、すなわち、誘導カテーテルのハンドルの内側に嵌合する、小さい方の区画(0.062インチ内径×0.010インチ壁)817a、および誘導カテーテル1901の近位ルアーに取り付けられた回転する止血弁(RHV)1902に進入することができるが、ガイドのハンドルに進入しない、大きい方の区画(0.085インチ内径×0.010インチ壁)817bも有する。2つの外径の間の段差は、針先端位置を検証するために蛍光透視法を使用することによって、増大した放射線に患者を暴露させる必要なく、遠位端が誘導カテーテル内にちょうど「格納」されている一方で、その接合部がRHVのちょうど近位縁にあることを査定するために、ユーザによって触れられる参照点として使用することができる。
【0056】
図8Fのパネル1および2は、パッキングがわずかに緊密すぎる場合に、先端におけるループがループの本体より多くの空間を占めるため、根元位置を交互に配置することによって、または異なるループサイズを有することによってのいずれかで、(圧潰状態における)先端位置付けが、軸方向に交互に配置されてもよい(パネル2)ことを示す。小葉状部分は、折り畳みやすさを低減させるよう、展開構成において自己補強型であるように作製されてもよい。1つのアプローチは、示されるように各ループが隣接ループを通り抜けることである。示される別の変形例は、円錐区分の湾曲した三角形区画の中に可撓性シートまたはプレートを伴う「蒸気コランダー」変形例801h(パネル3~6)である。随意に、縁は、「広がり」を制限する折り畳みまたは摺動連動機構801iを有することができる。
【0057】
図9は、ここでは二重管腔カテーテルの多くにとって標準であり得る、
図7からのハンドルアセンブリ701の断面図である。ハンドルは、治療および造影剤管腔901、903の両方の近位ポートを含有する、人間工学的カテーテル制御特徴である。カテーテルシャフト805は、Loctite M-06FL等のエポキシ接着剤を使用して、張力緩和アセンブリに直接固着される。保持ブロック913は、Loctite 4013シアノアクリレート接着剤を使用して、張力緩和アセンブリおよびカテーテルシャフトをハンドルアセンブリと統合するために使用される。ハンドルアセンブリの内側で、カテーテルシャフト911は、保持ブロックのちょうど近位で終端する。
【0058】
主要シャフト終端において、造影剤管腔907は、隔離され、造影剤近位ルアー901に向かって方向付けられる。カテーテルシャフト終端911において、治療管腔も隔離され、ブッシング909が、延在管905を主要シャフト中の治療管腔に接続するために使用される。延在管の近位端は、治療近位ルアー903に接続される。
【0059】
造影剤管腔および治療管腔の終端の代替的なバージョンは、
図22で図示されるように、「Y字形」アダプタ2201を利用し、同心治療管腔2202および造影剤管腔2203の管構成が、治療ポートおよび造影剤注射ポート901および903のためのルアーロック継手の中で終端する「Y字形」アダプタに直接的に接着結合されることを可能にする。
【0060】
現在の市販経心内膜注入システムは、27RWゲージ304ステンレス鋼ハイポチューブ(内径=0.008インチ)から作製された螺旋針を使用する。より大きなサイズの実体を通過させる所望が、より大きな螺旋巻装ハイポチューブの開発に至った。ピッチ、螺旋内径、螺旋外径、ハイポチューブ内径、およびハイポチューブ壁厚さという螺旋パラメータを最適化するために、材料および設計制約(機能的要件)が使用された。容認可能に形成された針をさらに最適化するため、例えば、ハイポチューブ内径の楕円化を制御するために、種々の形成技法が使用された。
図10~12は、2管腔送達針1130、針の基部で終端する造影剤管腔1120、および5本フィラーコイル構成要素の可撓性遠位要素1110を伴う、3管腔カテーテルの遠位先端を示す。これらの特徴の全ては、結合材料として2部エポキシを使用して、示されるように遠位先端1140としてともに固着される。螺旋プラス針要素の好ましい実施形態は、螺旋状形状の二重ステンレス鋼ハイポチューブ構造1130である。好ましい実施形態に関して、両方のハイポチューブの近位端は、流体輸送のための軸方向導管としての機能を果たす、独立管1210に結合される。代替実施形態は、米国特許第7736346号においてMillerによって以前に説明されている、管腔内管腔設計1150を含む。螺旋針1130はまた、電極ワイヤ12を介して接続される、電気生理学的感知能力のための遠位電極としての機能も果たし、露出した可撓性遠位要素は、示されていないワイヤによってまた接続される、帰還電極としての機能を果たす。
【0061】
図13は、ハンドルまでのデバイスの距離に及ぶ(電極ワイヤが示されていない)、この3管腔構成1340の断面図を示す。遠位および近位電極ワイヤもまた、それらの遠位取付点からハンドルまでの3管腔束1310を伴うカテーテルの長さに及ぶ。
【0062】
図14は、本システムの電気的接続をより詳細に示す。近位感知電極の好ましい設計は、近位電極として露出した5本フィラーコイル(pentafilar coil)1110で形成される遠位可撓性要素を使用する。電極ワイヤ1410は、可撓性要素の近位端に取り付けられる。ワイヤ取付の1つの方法は、取付ブッシング1405を通して電極ワイヤを供給し、ワイヤを可撓性要素1440に巻装し、次いで、定位置1420ではんだ付けすることによって、達成される。代替的な第2の電極設計は、可撓性要素を通って方向付けられ、リングに取り付けられた電極ワイヤとともに、伝導性近位リング1430を使用する。
【0063】
図15は、螺旋プラスハンドルアセンブリの内部構成を示す。以下は、3つの液体運搬管腔および2本の電極ワイヤのためのハンドル1610内の近位終端を説明する。多重チャネル電気コネクタ1630が、ハンドル内の構成要素に接続されている両方の電極1620を伴って、ハンドルに組み込まれる。好ましい3管腔設計に使用される3つの管腔は全て、カテーテルシャフト1030内に含まれ、張力緩和アセンブリ1040を通って継続し、ハンドルアセンブリ内から退出する。次いで、個々の管腔は、ハンドル1140内の近位ポートに方向付けられ、そこから退出し、標準ルアー継手に接続する。
【0064】
図16および17は、23Ga管1700に基づく大口径針、および27RWゲージ螺旋針1750を示す。針は、第1に、それを治療管腔の中へ結合するためにLoctite 3301等の紫外線接着剤を使用し、次いで、第2に、螺旋のループを捕捉する一体構造1720を形成するように、Loctite M-31CL等のエポキシを使用して、5本フィラーコイルの中へ針および治療管腔を包埋することによって、先端アセンブリの中へ固着される。遠位エポキシカプセル化中に、PTFEのリボンが、針のコイル状ループの間、および(治療管腔に隣接するか、または同心円状にそれの周囲にある)造影剤管腔の中へ供給され、本PTFEリボンは、エポキシが硬化した後に除去されるときに、エポキシを通る流路を作成する。本造影剤管腔は、露出した針1730の基部における埋め込みの遠位端で終端する。造影剤管腔は、針が組織にねじ込まれたときに、シャフト805の先端が心筋に対してしっかり位置付けられていることを査定するために使用することができる。本査定は、造影剤を注入し、X線上で、結果として生じる流動、およびどのようしてそれが貯留し、心筋に対する境界層に掛かるか、またはそれが単純に心拍出の流動とともに煙のように流出するかどうかを観察することによって行われる。
【0065】
図18は、経心内膜治療送達中に心臓組織に係合するときに、既存のバルーン技術を利用する、遠位穿孔保護のための代替的設計を示す。
図18は、遠位に取り付けられたバルーン特徴の3つの異なる図、すなわち、非膨張状態1801における側面図、膨張状態1802における側面図、および膨張状態1803の等角図を示す。遠位に取り付けられたバルーン特徴は、1802で示されるように、針1010の近位端において障壁を提供する。好ましい展開は、その誘導カテーテルから露出された後、および心臓壁の中への完全係合の前に、生理食塩水または造影剤を使用して、バルーンを膨張させることを伴うであろう。バルーンを膨張させるために、遠位端内のバルーン領域の表面の下方で終端する内部管腔を通って及ぶ、ハンドルに取り付けられたポートの中に流体が注射される。本設計の主要な利点は、螺旋針を用いた標準使用中に回転させられるときに機能することが可能である、螺旋注入カテーテルの遠位端に組み込まれた穿孔保護システムを有する能力である。バルーン膨張媒体としての造影剤の使用は、針の場所および係合の査定をさらに支援することができる、心内膜面における大量の放射線不透過性体積という付加利益を提供する。非膨張状態1810においてカテーテル遠位端に適合する好適なバルーン材料は、その遠位端および近位端において基部遠位端構造に結合される。バルーン構造の下方のポートは、好適な導管を介して、ハンドル内の膨張ポートに接続する。
【0066】
現在利用可能な経心内膜注入システム(BioCardia, Inc.)は、27RWゲージ304ステンレス鋼ハイポチューブ(内径=0.008インチ、外径=0.016インチ)から作製された螺旋針を使用する。より広範囲の治療薬を通過させる、より大きな管腔を使用する所望が、より大きなゲージの管を利用する、螺旋巻装針の開発に至った。材料性質の制約および最小プロフィールを維持する所望が、ピッチ、螺旋内径、螺旋外径、ハイポチューブ内径、およびハイポチューブ壁厚さという螺旋針パラメータを最適化するために評価された。容認可能に形成された針をさらに最適化するため、例えば、ハイポチューブ内径の楕円化を制御するために、種々の形成技法が使用された。制約内で最大螺旋直径を維持しようとしながら、材料変形を制御するように、マンドレルサイズが変動された。過剰な楕円化を制御する他の方法として、コイル状に巻く前にハイポチューブ内の水を凍結させること、コイル状に巻く前にハイポチューブをアニーリングすること、および巻装中の側壁支持が挙げられた。
【0067】
商業的な管ベンダーは、コイル状管の屈曲半径が管直径の2倍未満になるべきではないという一般的な経験則を使用するが、所有の方法を使用して、1:1の関係を達成することができる。材料伸長と関連付けられる理論的制限は、伸長制限率が304SSに基づく、60%伸長=0.5*管直径(TD)/屈曲半径(RB)に基づいて評価された。マンドレル直径(MD)は、2*RB-TDであり、そして、螺旋直径は、2*TD+MDである。
【0068】
例えば、外径=0.025インチを伴う23ゲージTW304SSハイポチューブは、0.021インチの60%伸長(RB=(0.5*TB)/0.6)において、理論的最小屈曲半径を有する。結果として生じた理論的最小マンドレル直径は、0.069インチの螺旋直径を伴う0.019インチである。ハイポチューブが楕円化 対 引張破壊を介して破損する傾向があり、最終螺旋直径が理論よりも大きいように、巻装螺旋が「跳ね返り」を経験したため、実験結果は、この理論とは異なった。
【0069】
23ゲージTW大口径針を作製するために使用されたマンドレルは、0.018±0.002インチの小径を有するように特定され、約0.024インチの内径を伴って0.071インチ~0.074インチに及ぶ螺旋外径を生じた。したがって、螺旋によって経験される「跳ね返り」および楕円化が立証され、φ0.018インチマンドレル上に巻装された23Ga TW螺旋針が、外径の最大仕様を実現可能に満たすことができることを実証する。
【0070】
図19は、以下、取り付けられたRHV(Merit MAP150)1902を伴うMorph 895偏向可能先端カテーテル1901、RHVの側面ポートに取り付けられたシリンジ1903、螺旋カテーテル1904、治療ポートに取り付けられたシリンジ1905、および造影剤ポートに取り付けられたシリンジ1906から成る、組み立てられたシステムを示す。先端1907における螺旋針は、ガイド偏向ノブ1909によって制御されるガイド1908の偏向可能先端を通り過ぎて延在するように、ガイドを通して前進および後退させられる。
【0071】
図20は、螺旋針1907、可撓性遠位要素2001、編組シャフト2002、2部張力緩和2003、ハンドル2004、治療ポート903、および造影剤ポート901から成る、螺旋カテーテルを示す。
【0072】
図21A~21Dは、楕円化を低減させるように管の側面を支持するマンドレル2001上にハイポチューブを巻き付ける、螺旋針形成の1つの方法を示す。針は、種々のサイズの皮下注射管で形成することができる。現在市販されている反復版は、27GA RW
304ステンレス鋼から作成されている。大口径バージョンは、24および23Ga管を使用して構築されている。好ましいステンレス鋼の実施形態は、ISO 9626付録AおよびEに適合する。材料冷間加工の制限を克服する付加的な方法および材料は、アルミニウムまたは銅等の化学的に除去可能な巻装マンドレルを覆うニッケルまたは他の材料の電鋳を用いて成形するように、直接形成することを含んでもよい。巻装後に、主要な面が切断され2002、次いで、二次面が追加される2003。付加的なオプションは、側孔、トロカール、またはTuohy先端を伴う閉鎖形態等の代替的な先端を含んでもよい。好ましい実施形態では、最終的な形成された針は、シャフトアセンブリ内の管腔オフセットに等しい量だけ中心からオフセットされ、かつ治療管腔の中へ結合される、直線後部2004を有する。
【0073】
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、種々の代替案、修正、および均等物が使用され得る。したがって、上記の説明は、添付の請求項によって定義される、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。