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  • 特許-地盤改良装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】地盤改良装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020000872
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021110112
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000150110
【氏名又は名称】株式会社竹中土木
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津國 正一
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138047(JP,A)
【文献】特開平10-306438(JP,A)
【文献】特開2003-56001(JP,A)
【文献】特開昭63-134711(JP,A)
【文献】特開2005-54375(JP,A)
【文献】特開2004-204674(JP,A)
【文献】特開2007-162337(JP,A)
【文献】特開2010-261202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に挿入されるロッドの下端部に取り付けられ、軸周りに回転することで前記地盤を掘削するオーガと、
前記オーガの内部に設けられ、前記オーガを軸周りに回転させる駆動装置と、
前記オーガと前記ロッドとの間に設けられ、前記オーガを水平軸周りに回転させることで、前記ロッドの軸に対して前記オーガの軸を傾斜させる鉛直回転機構と、
前記鉛直回転機構の上方に設けられ、前記オーガが回転する際の回転トルクによって前記鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させることで、前記鉛直回転機構の向きを変える水平回転機構と、
前記水平回転機構に設けられ、前記鉛直回転機構が前記鉛直軸周りに回転しないロック状態と、前記鉛直回転機構が前記鉛直軸周りに回転するロック解除状態と、を切り替えるロック機構と、
を有する地盤改良装置。
【請求項2】
前記水平回転機構は、重機のアームに固定された固定部と、前記ロッドの上端部に固定され、前記固定部に対して前記鉛直軸周りに回転可能とされた水平回転部と、を有する、請求項1に記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記水平回転機構は、前記ロッドの下端部に固定された固定部と、前記鉛直回転機構に固定され、前記固定部に対して前記鉛直軸周りに回転可能とされた水平回転部と、を有する、請求項1に記載の地盤改良装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オーガを用いて地盤改良体を構築する地盤掘削工法が知られている。例えば特許文献1には、オーガ(掘削攪拌装置)が鉛直回転機構(鉛直回転体)及び水平回転機構(水平回転体)を介してロッドに取り付けられた地盤改良装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-138047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す地盤改良装置では、鉛直回転機構によってオーガを水平軸周りに回転させることで、ロッドの軸に対してオーガの軸を所望方向に傾斜させることができる。また、水平回転機構によって鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させることで、鉛直回転機構の向きを変え、オーガの軸がロッドの軸に対して傾斜する方向(方位)を変えることができる。
【0005】
しかし、特許文献1には明記されていないが、鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させる水平回転機構は、一般的に油圧等によって駆動される。このため、オーガを駆動する駆動装置と、水平回転機構を回転させる駆動装置の2つの駆動装置が必要となり、コストがかかっていた。
【0006】
本発明は上記事実に鑑み、1つの駆動装置によってオーガと水平回転機構の両方を回転させることができる地盤改良装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の地盤改良装置は、地盤に挿入されるロッドの下端部に取り付けられ、軸周りに回転することで前記地盤を掘削するオーガと、前記オーガの内部に設けられ、前記オーガを軸周りに回転させる駆動装置と、前記オーガと前記ロッドとの間に設けられ、前記オーガを水平軸周りに回転させることで、前記ロッドの軸に対して前記オーガの軸を傾斜させる鉛直回転機構と、前記鉛直回転機構の上方に設けられ、前記オーガが回転する際の回転トルクによって前記鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させることで、前記鉛直回転機構の向きを変える水平回転機構と、前記水平回転機構に設けられ、前記鉛直回転機構が前記鉛直軸周りに回転しないロック状態と、前記鉛直回転機構が前記鉛直軸周りに回転するロック解除状態と、を切り替えるロック機構と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、鉛直回転機構によってオーガを水平軸周りに回転させることで、ロッドの軸に対してオーガの軸を所望方向に傾斜させることができる。また、水平回転機構によって鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させることで、鉛直回転機構の向きを変え、オーガの軸がロッドの軸に対して傾斜する方向(方位)を変えることができる。
【0009】
ここで、水平回転機構は、オーガが回転する際の回転トルクによって鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させる。このため、オーガの内部に設けられた1つの駆動装置によってオーガと鉛直回転機構の両方を回転させることができる。
【0010】
また、水平回転機構には、鉛直回転機構が鉛直軸周りに回転しないロック状態と、鉛直回転機構が鉛直軸周りに回転するロック解除状態と、を切り替えるロック機構が設けられている。このため、回転トルクによって鉛直回転機構が回転する状態と、回転トルクによって鉛直回転機構が回転しない状態とを切り替えることができる。
【0011】
請求項2に記載の地盤改良装置は、請求項1に記載の地盤改良装置であって、前記水平回転機構は、重機のアームに固定された固定部と、前記ロッドの上端部に固定され、前記固定部に対して前記鉛直軸周りに回転可能とされた水平回転部と、を有する。
【0012】
上記構成によれば、重機のアームに固定された固定部に対して、ロッドの上端部に固定された水平回転部を回転させることにより、ロッドを介して鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させることができる。また、水平回転機構が重機のアームとロッドの上端部との間に設けられているため、ロッドを地盤に挿入した際に水平回転機構を地盤上に位置させることができるため、水平回転機構のメンテナンスが容易となる。
【0013】
請求項3に記載の地盤改良装置は、請求項1に記載の地盤改良装置であって、前記水平回転機構は、前記ロッドの下端部に固定された固定部と、前記鉛直回転機構に固定され、前記固定部に対して前記鉛直軸周りに回転可能とされた水平回転部と、を有する。
【0014】
上記構成によれば、ロッドの下端部に固定された固定部に対して、鉛直回転機構に固定された水平回転部を回転させることにより、鉛直回転機構を鉛直軸周りに回転させることができる。また、水平回転機構がロッドの下端部と鉛直回転機構との間に設けられているため、水平回転機構によってロッドを介さずに鉛直回転機構を直接回転させることができ、オーガの回転による回転トルクによって鉛直回転機構を効率的に回転させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る地盤改良装置によれば、1つの駆動装置によってオーガと水平回転機構の両方を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る地盤改良装置を示す全体斜視図である。
図2】第1実施形態に係る地盤改良装置における鉛直回転機構のロック状態を示す立断面図である。
図3】第1実施形態に係る地盤改良装置における鉛直回転機構のロック解除状態を示す立断面図である。
図4】第2実施形態に係る地盤改良装置を示す立断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1、第2実施形態に係る地盤改良装置について、図1図4を用いて説明する。なお、図中において、矢印Xは水平方向を指し、矢印Yは鉛直方向を指す。
【0018】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る地盤改良装置について、図1図3を用いて説明する。
【0019】
(地盤改良装置の構造)
図1図2に示すように、本実施形態の地盤改良装置10は、バックホー等の重機12のアーム14に取り付けられ、下端部が地盤16(図2参照)に挿入されるロッド18と、ロッド18の下端部に取り付けられたオーガ20と、を有している。ロッド18は円筒形状であり、鉛直方向(矢印Y方向)に延びている。
【0020】
図2に示すように、オーガ20は、円筒形状の内筒22と、内筒22の外側においてオーガ20の軸P2周りに回転可能に設けられた円筒形状の外筒24と、を備えている。また、オーガ20の内筒22の内部には、外筒24を回転させる駆動装置26が設けられている。
【0021】
駆動装置26は、例えば駆動軸26Aを備える油圧モータであり、重機12(図1参照)に設けられた図示しない油圧源から図示しない供給管を介して供給された作動油の圧力によって、駆動軸26Aが回転する。
【0022】
駆動装置26の駆動軸26Aには、ギア28が同軸回転可能に固定されており、外筒24の内周面には、ギア28が噛み合う内歯30が形成されている。これにより、駆動装置26の駆動軸26Aが回転することにより、オーガ20の外筒24が内筒22に対して回転する。
【0023】
また、オーガ20の外筒24の外周面には、螺旋状のスクリュー翼32が設けられており、オーガ20の外筒24を内筒22に対して軸P2周りに回転させることで、オーガ20のスクリュー翼32によって地盤16が掘削される。
【0024】
また、オーガ20の下端部には、セメントミルク等の安定材を吐出する図示しない複数の吐出口が形成されている。オーガ20によって地盤16を掘削する際に、図示しない供給管を介して供給された安定材を吐出口から吐出し、掘削した地盤16と安定材とを攪拌、混合することで、地盤16中に図示しない地盤改良体を構築することが可能である。
【0025】
また、オーガ20とロッド18との間には、鉛直回転機構34が設けられている。鉛直回転機構34は、固定部36と、軸部38と、鉛直回転部40と、を備えており、鉛直回転部40を軸部38の軸P3(水平軸に相当)周りに回転させることで、ロッド18の軸P1に対してオーガ20の軸P2を傾斜させる。
【0026】
具体的には、鉛直回転機構34の固定部36は、ロッド18の下端部に固定されたプレート36Aと、プレート36Aの下面から鉛直方向下向きに延び、互いに水平方向に間隔をあけて設けられた一対の支持部36Bと、を有している。
【0027】
軸部38は円筒形状であり、水平方向(矢印X方向)に延び、固定部36の一対の支持部36B間に保持されている。また、鉛直回転部40は、オーガ20の内筒22の上端部に固定されたプレート40Aと、プレート40Aの上面から鉛直方向上向きに延び、互いに水平方向に間隔をあけて設けられた一対の垂直部40Bと、を有している。
【0028】
軸部38の軸方向両端部は、固定部36の一対の支持部36Bから水平方向外側に突出している。この軸部38の軸方向両端部に、鉛直回転部40の一対の垂直部40Bが、それぞれベアリング42を介して軸P3周りに回転可能に支持されている。
【0029】
軸部38の内部には、油圧等によって駆動される図示しない駆動装置が設けられている。駆動装置は、鉛直回転部40の一対の垂直部40Bに接続されており、駆動装置を駆動することによって一対の垂直部40Bを軸部38の軸P3周りに回転させることができる。
【0030】
また、垂直部40Bの内側面における軸部38に対向する位置には、鉛直回転部40(垂直部40B)の回転角度を検知する回転角センサ44が取り付けられている。回転角センサ44は、例えば図示しない抵抗体と、垂直部40Bの回転に伴って抵抗体の表面を摺動する図示しない摺動子と、を有するポテンショメータである。この回転角センサ44の抵抗値を検知することによって、鉛直回転部40(垂直部40B)の軸部38に対する回転角度を検知することができる。
【0031】
なお、鉛直回転部40は、一例として、図2における前後90°ずつ、すなわち垂直部40Bが水平となる角度まで回転可能である。これにより、鉛直回転部40に固定されたオーガ20が、180°の範囲で所望の角度で傾斜可能となっている。
【0032】
また、鉛直回転機構34の上方には、水平回転機構46が設けられている。本実施形態では、水平回転機構46は、重機12(図1参照)のアーム14とロッド18との間に設けられている。
【0033】
水平回転機構46は、固定部48と、水平回転部50と、を備えており、オーガ20が回転する際の回転トルクによって鉛直回転機構34を水平回転機構46の軸P4(鉛直軸に相当)周りに回転させることで、鉛直回転機構34の向きを変える。
【0034】
具体的には、水平回転機構46の固定部48は円盤形状であり、上面が重機12(図1参照)のアーム14に固定されているとともに、下面に凹部48Aが形成されている。いる。また、水平回転機構46の水平回転部50は円盤形状であり、下面がロッド18の上端部に固定されているとともに、上面に凸部50Aが形成されている。
【0035】
水平回転部50の凸部50Aは、固定部48の凹部48Aにベアリング52を介して嵌合されている。これにより、水平回転部50が固定部48に対して軸P4周りに360°の範囲で回転可能とされている。なお、水平回転機構46の軸P4は、ロッド18の軸P1と同軸となっている。
【0036】
また、水平回転機構46には、鉛直回転機構34(水平回転部50)が軸P4周りに回転しないロック状態と、鉛直回転機構34(水平回転部50)が軸P4周りに回転するロック解除状態と、を切り替えるロック機構の一例としてのソレノイド54が設けられている。
【0037】
具体的には、ソレノイド54は、可動鉄芯54Aを備えており、水平回転機構46の固定部48の下面に形成された収容凹部56内に収容されている。一方、ソレノイド54に対向する水平回転部50の上面には、ソレノイド54の可動鉄芯54Aが挿入される複数の挿入孔58が形成されている。
【0038】
なお、複数の挿入孔58は、水平回転部50の上面において、水平回転部50の周方向に所定の間隔をあけて形成されている。本実施形態では、一例として、水平回転部50の周方向に30°の間隔で12個の挿入孔58が形成されている。
【0039】
ソレノイド54の可動鉄芯54Aは、ソレノイド54の通電状態及び非通電状態を切り替えることによって伸縮可能とされている。具体的には、ソレノイド54へ通電すると、可動鉄芯54Aがソレノイド54の本体側に吸引され、図3に示すように、可動鉄芯54Aの先端部が固定部48の収容凹部56内に位置する。
【0040】
この状態では、可動鉄芯54Aが挿入孔58に挿入されていないため、水平回転部50は固定部48に対して回転可能となる。すなわち、鉛直回転機構34が軸P4周りに回転するロック解除状態となる。
【0041】
一方、可動鉄芯54Aと挿入孔58とが対向している状態において、ソレノイド54への通電を遮断すると、図2に示すように、可動鉄芯54Aの先端部が挿入孔58内に挿入される。この状態では、水平回転部50の固定部48に対する回転が可動鉄芯54Aによってロックされる。すなわち、鉛直回転機構34が軸P4周りに回転しないロック状態となる。
【0042】
さらに、固定部48の凹部48Aの底面における水平回転部50の凸部50Aに対向する位置には、水平回転部50(鉛直回転機構34)の回転角度を検知する回転角センサ60が取り付けられている。回転角センサ60は、例えば図示しない抵抗体と、凸部50Aの回転に伴って抵抗体の表面を摺動する図示しない摺動子と、を有するポテンショメータであり、抵抗値を検知することによって水平回転部50の固定部48に対する回転角度を検知することができる。
【0043】
(地盤改良装置の駆動方法)
上述したように、本実施形態の地盤改良装置10は、重機12によってロッド18を地盤16に挿入しつつ、駆動装置26によってオーガ20の外筒24を回転させ、掘削した地盤16と安定材とを攪拌、混合することで、地盤16中に図示しない地盤改良体を構築する。
【0044】
このとき、ロッド18の軸P1に対するオーガ20の軸P2の傾斜角度、及びロッド18の軸P1に対するオーガの軸P2の傾斜する方向(方位)を変えることにより、地盤16に構築される地盤改良体の形状や、地盤改良体の傾き等を調整する。
【0045】
具体的には、ロッド18の軸P1に対してオーガ20の軸P2を傾斜させる場合には、鉛直回転機構34の軸部38の内部に設けられた図示しない駆動装置によって、鉛直回転機構34の鉛直回転部40を軸部38に対して軸P3周りに回転させる。
【0046】
そして、回転角センサ44によって鉛直回転機構34の鉛直回転部40(垂直部40B)の軸部38に対する回転角度を検知し、回転角度が所望の角度になった際に、駆動装置を停止させる。これにより、鉛直回転機構34によってオーガ20の傾斜角度を所望の角度とすることができる。
【0047】
一方、ロッド18の軸P1に対するオーガ20の軸P2の傾斜する方向(方位)を変える場合には、鉛直回転機構34をロック解除状態とする。すなわち、図3に示すように、ソレノイド54へ通電することにより、可動鉄芯54Aをソレノイド54の本体側に吸引する。
【0048】
ソレノイド54によるロックが解除されている状態では、水平回転部50、ロッド18を介して水平回転部50に固定された鉛直回転機構34、及び鉛直回転機構34の鉛直回転部40に固定されたオーガ20の内筒22は、軸P4周りに回転可能となっている。
【0049】
この状態では、駆動装置26によってオーガ20の外筒24を回転させた場合に、オーガ20の外筒24が軸P2周りに矢印M方向に回転し、外筒24の回転トルクによって鉛直回転機構34も軸P4周りに矢印M方向に回転する。
【0050】
そして、回転角センサ60によって水平回転機構46の水平回転部50の固定部48に対する回転角度を検知し、回転角度が所望の角度(例えば30°、60°等)になった際に、鉛直回転機構34をロック状態とする。すなわち、図2に示すように、ソレノイド54への通電を遮断することにより、可動鉄芯54Aを挿入孔58に挿入する。
【0051】
ソレノイド54によって水平回転部50の回転がロックされている状態では、ロッド18を介して水平回転部50に固定された鉛直回転機構34、及び鉛直回転機構34の鉛直回転部40に固定されたオーガ20の内筒22の軸P4周りの回転もロックされている。
【0052】
この状態では、オーガ20の外筒24が回転するための反力が取れているため、駆動装置26によってオーガ20の外筒24を回転させた場合に、オーガ20の外筒24のみが軸P2周りに矢印M方向に回転し、鉛直回転機構34は軸P4周りに回転しない。これにより、鉛直回転機構34の向きを変えた状態で鉛直回転機構34を保持することができる。
【0053】
(作用効果)
本実施形態によれば、地盤改良装置10が、鉛直回転機構34と水平回転機構46とを有している。このため、鉛直回転機構34によってオーガ20を軸P3周りに回転させることで、ロッド18の軸P1に対してオーガ20の軸P2を所望方向に傾斜させることができる。
【0054】
また、水平回転機構46によって鉛直回転機構34を軸P4周りに回転させることで、鉛直回転機構34の向きを変え、オーガ20の軸P2がロッド18の軸P1に対して傾斜する方向(方位)を変えることができる。
【0055】
ここで、本実施形態によれば、水平回転機構46は、オーガ20が回転する際の回転トルクによって鉛直回転機構34を軸P4周りに回転させる。このため、オーガ20の内筒22の内部に設けられた1つの駆動装置26によって、オーガ20と鉛直回転機構34の両方を回転させることができる。
【0056】
また、水平回転機構46には、鉛直回転機構34が軸P4周りに回転しないロック状態と、鉛直回転機構34が軸P4周りに回転するロック解除状態と、を切り替えるソレノイド54が設けられている。このため、回転トルクによって鉛直回転機構34が回転する状態と、回転トルクによって鉛直回転機構34が回転しない状態とを切り替えることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、水平回転機構46は、重機12のアーム14に固定された固定部48と、ロッド18の上端部に固定され、固定部48に対して軸P4周りに回転可能とされた水平回転部50と、を有している。
【0058】
このため、重機12のアーム14に固定された固定部48に対して、ロッド18の上端部に固定された水平回転部50を回転させることにより、ロッド18を介して鉛直回転機構34を軸P4周りに回転させることができる。また、水平回転機構46が重機12のアーム14とロッド18の上端部との間に設けられているため、ロッド18を地盤16に挿入した際に水平回転機構46を地盤16上に位置させることができるため、水平回転機構46のメンテナンスが容易となる。
【0059】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る地盤改良装置について、図4を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
第1実施形態の地盤改良装置10では、水平回転機構46が重機12のアーム14とロッド18の上端部との間に設けられていた。これに対し、本実施形態の地盤改良装置70では、図4に示すように、水平回転機構72がロッド18の下端部と鉛直回転機構34との間に設けられている。
【0061】
具体的には、水平回転機構72は、ロッド18の下端部に固定された固定部74と、鉛直回転機構34に固定され、固定部74に対して軸P4周りに回転可能とされた水平回転部76と、を有している。
【0062】
なお、固定部74及び水平回転部76の構成は、第1実施形態の固定部48及び水平回転部50と同様の構成となっている。また、本実施形態では、水平回転機構72の水平回転部76と、鉛直回転機構34の固定部36と、が一体形成されている。
【0063】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、地盤改良装置70が、鉛直回転機構34と水平回転機構72とを有している。このため、鉛直回転機構34によってオーガ20を軸P3周りに回転させることで、ロッド18の軸P1に対してオーガ20の軸P2を所望方向に傾斜させることができる。
【0064】
また、水平回転機構46によって、オーガ20が回転する際の回転トルクを利用して鉛直回転機構34を軸P4周りに回転させることで、鉛直回転機構34の向きを変え、オーガ20の軸P2がロッド18の軸P1に対して傾斜する方向(方位)を変えることができる。すなわち、オーガ20の内筒22の内部に設けられた1つの駆動装置26によって、オーガ20と鉛直回転機構34の両方を回転させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、水平回転機構72は、ロッド18の下端部に固定された固定部74と、鉛直回転機構34に固定され、固定部74に対して軸P4周りに回転可能とされた水平回転部76と、を有している。
【0066】
このため、ロッド18の下端部に固定された固定部74に対して、鉛直回転機構34に固定された水平回転部76を回転させることにより、鉛直回転機構34を軸P4周りに回転させることができる。また、水平回転機構72がロッド18の下端部と鉛直回転機構34との間に設けられているため、水平回転機構72によってロッド18を介さずに鉛直回転機構34を直接回転させることができ、オーガ20の回転による回転トルクによって鉛直回転機構34を効率的に回転させることができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、水平回転機構72の水平回転部76と、鉛直回転機構34の固定部36と、が一体形成されている。このため、水平回転部76と固定部36とがそれぞれ設けられている構成と比較して、部品点数を削減することができる。
【0068】
<その他の実施形態>
以上、本発明について第1、第2実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能である。また、第1、第2実施形態の構成は適宜組み合わせることが可能である。
【0069】
例えば、第1実施形態では、オーガ20が、油圧モータからなる駆動装置26によって駆動される油圧オーガとされていたが、電動モータからなる駆動装置によって駆動される電動オーガとされていてもよい。また、ロッド18を地盤16に挿入する重機12は、バックホーに限らず、ボーリングマシン(ベースマシン)等であってもよい。
【0070】
また、第1実施形態では、鉛直回転機構34の軸P4周りの回転をロックするロック機構として、ソレノイド54が用いられていた。しかし、ロック機構は、少なくとも水平回転機構46の水平回転部50の固定部48に対する回転をロックすることができる構成とされていればよく、ソレノイド54には限らない。
【0071】
さらに、第1実施形態では、ソレノイド54の可動鉄芯54Aが挿入される挿入孔58が、水平回転部50の周方向に30°の間隔で12個形成されていたが、挿入孔58の数は、12個より少なくてもよく、12個より多くてもよい。例えば、水平回転部50の周方向に15°の間隔で24個の挿入孔58を形成することで、オーガ20の傾斜する方向(方位)を15°間隔で調整することが可能となる。
【0072】
また、第1実施形態では、鉛直方向に延びるロッド18によって、鉛直方向に延びる地盤改良体を地盤16中に構築していた。しかし、ロッド18の延出方向、及び地盤改良体の構築方向は鉛直方向には限らず、鉛直方向に対して斜めに、又は水平方向に延びるロッド18によって、鉛直方向に対して斜めに、又は水平方向に延びる地盤改良体を構築する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10、70 地盤改良装置
12 重機
14 アーム
16 地盤
18 ロッド
20 オーガ
26 駆動装置
34 鉛直回転機構
46、72 水平回転機構
48、74 固定部
50、76 水平回転部
54 ソレノイド(ロック機構の一例)
P1 ロッドの軸
P2 オーガの軸
P3 軸部の軸(水平軸の一例)
P4 水平回転機構の軸(鉛直軸の一例)
図1
図2
図3
図4