(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】抗微生物組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230522BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20230522BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230522BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/36
A61K8/46
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2020506322
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2018071043
(87)【国際公開番号】W WO2019038049
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バーン,サミーア・ケシャブ
(72)【発明者】
【氏名】サジ,マヤ・テレサ
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-517690(JP,A)
【文献】特表2016-510339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00-9/72
A61K47/00-47/69
C11D 1/00-19/00
A01N25/00-65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物組成物であって、
a.ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマー0.01~10重量%と、
b.4.5を超えるpKaを有するカルボン酸0.1~20重量%と、
c.アニオン性界面活性剤1~80重量%と
を含み、
前記組成物のpHが5~6.5の範囲にあり、
アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムまたはラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択される抗微生物組成物。
【請求項2】
前記ビニルポリマーがポリビニルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記カルボン酸が、鎖長C4~C16を有する脂肪族カルボン酸から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記脂肪族カルボン酸が、直鎖または分岐脂肪族カルボン酸、環状脂肪族カルボン酸およびそれらの混合物から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪族カルボン酸が、ヘキサン酸、シクロヘキサン酸、2-エチルヘキサン酸、オクタン酸、4-メチルオクタン酸およびそれらの混合物から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
化粧品として許容される基剤をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物を表面に適用する工程を含む、表面を洗浄または消毒する
非治療的方法。
【請求項8】
前記組成物がウォッシュオフ組成物の形態であり、前記適用された組成物を少なくとも部分的に除去する追加の工程がある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物を少なくとも部分的に除去する前記工程が、前記基材上に前記組成物を適用する工程の後5分未満以内に実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抗微生物効果のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の
非治療的使用。
【請求項11】
手指衛生の改善のための、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物の
非治療的使用。
【請求項12】
抗微生物組成物において該組成物の抗微生物効果を改善するための、(a)ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマー0.01~10重量%と、(b)4.5を超えるpKaを有するカルボン酸またはその誘導体0.1~20重量%と、(c)ラウリル硫酸ナトリウムまたはラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択されるアニオン性界面活性剤1~80重量%との組合せの
非治療的使用であって、前記組成物のpHが5~6.5の範囲にある前記使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物組成物に関し、さらに詳細には、皮膚のpHの抗微生物組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人々は、健康を全体的に良好に保つために、自身の体の外表面だけでなくペットの体の外表面も十分にケアしようとする。人々が気にしている特定の皮膚関連の問題には、感染のない良好な皮膚の健康状態、良好な皮膚の色調、および適切な保湿が挙げられる。口腔は、人々が維持するために積極的にケアしようとするもう1つの外表面である。人々は、歯茎および歯を含む自身の口腔が、虫歯、歯石、歯肉炎、う蝕、口気悪臭としても知られる口臭、およびプラークなどの問題がない状態であることを好む。典型的には、人々は毛髪および頭皮のケアにも関心がある。一般に、抜け毛が最小であって、太く長い毛髪が好まれる。フケは、真菌微生物が関与している一般的に発生する頭皮の問題である。
【0003】
皮膚、口腔および頭皮のケアを含む外表面の良好な健康状態は、典型的には、それらを感染から保護することにより達成される。感染に対処する1つの方法は、感染が始まった後に抗微生物薬を使用して治療することである。もう1つの手法は、例えば手の皮膚などの表面に最小量の抗微生物組成物を残すことであり、その結果、例えば細菌などのあらゆる侵入微生物が死滅または不活化されて、疾患の拡散を最小限に抑える。大腸菌(E.coli)および黄色ブドウ球菌(S.aureus)などの一部の細菌は、ヒトの皮膚上に一般的に見られる。これらの細菌それ自体は、一般的に皮膚上に存在するが、病原性の作用を引き起こすことはない。しかし、皮膚の切り傷を通じて、および摂取などの行為を通じて人体に入ると、これらの細菌は病原性になる。したがって、体の外表面、例えば手および頭皮などを細菌のない状態に維持することは、細菌が人体に入るのを防ぎ、それにより、望ましい衛生状態を達成するのに役立つ。
【0004】
ヒトまたは温血動物の皮膚に適用することができる様々な殺菌組成物が開示されている。これらのいくつかは、ポリマーおよびカルボン酸を含む抗微生物組成物も開示している。
【0005】
国際公開第00/13506A2号(Alcide Corp.)は、乳牛の乳首などの皮膚に適用するための耐凍結性局所殺菌剤を開示している。殺菌剤は、一液型組成物または二液型系であり得る。一液型消毒組成物は、有機酸殺菌剤および非エステル化不凍液を含む。二液型系は、消毒組成物を生成するために混合されるように適合された第1部分および第2部分を含む。第1部分は金属塩化物と亜塩素酸塩に安定な不凍液とを含み、第2部分は有機酸殺菌剤および非エステル化不凍液、または無機酸およびアルコールもしくは非エステル化不凍液を含む。
【0006】
米国特許第6436444号(Ecolab Inc)は、鎖長C6~C12を有する脂肪族カルボン酸、有機膜形成剤、例えば、PVAおよびポリビニルアセテート、レオロジー調整材料、皮膚軟化薬、界面活性剤および緩衝剤、ならびに二酸化塩素生成化学物質、例えば、水性担体に溶解した亜塩素酸ナトリウムを含む乳房炎制御組成物を開示している。米国特許第6436444号の実施例では、基剤製剤は、カルボン酸、例えば、ノナン酸、オクタン酸、デカン酸、オクタン酸とデカン酸とヘプタン酸との混合物、およびPVAを含む。上記基剤製剤に亜塩素酸ナトリウムの水溶液が加えられ、その中で例示されているいくつかの組成物のpHは3未満である。
【0007】
米国特許第7109241号(Ecolab,Inc.)は、乳生産動物用の乳首用浸液として使用することができる抗微生物組成物を開示している。その中で開示されている発明の少なくともいくつかの実施形態は、乳房炎を引き起こす生物に対する優れた抗微生物保護を提供する。組成物は、例えば、ヘプタン酸などの6~12個の炭素原子を含む脂肪酸と、凝固点降下剤成分を含む担体媒体とを含む。組成物は、粘度を高めるため、または組成物を増粘するために、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸(PAA)およびポリビニルピロリドン(PVP)などのレオロジー調整剤をさらに含み得る。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0234328号(Delaval Holdings)は、有機酸およびアニオン性界面活性剤を含む抗微生物組成物を開示している。米国特許出願公開第2010/0234328号は、動物に対する組成物の局所適用に関する。米国特許出願公開第2010/0234328号はまた、乳房炎の治療または予防に関連し得る微生物濃度を低下させるために、有機酸およびアニオン性界面活性剤を含む抗微生物組成物を使用する方法に関する。例えば、乳酸、サリチル酸、クエン酸、ヘキサン酸およびオクタン酸などの有機酸のいくつかの例が開示されている。組成物は、バリア形成剤などの添加剤、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール(PVA)およびPVPなどをさらに含み得る。
【0009】
米国特許出願公開第2013/224125号(Kolaziら)は、抗微生物効果が改善された非アルコール性またはわずかにアルコール性の抗細菌洗口剤組成物を開示しており、組成物は、PVPなどの水溶性ポリマーおよび水溶性界面活性剤から作製された水溶性マトリックス複合体と、少なくとも1つの水非混和性または水不溶性抗細菌剤と、場合により、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸およびそれらの組合せなどの弱いカルボン酸とを含む。
【0010】
石鹸ベースのクレンジング組成物の殺生物活性を改善するための様々な経路が提案されてきた。
【0011】
米国特許出願公開第2008014247A号(Luら、2008)は、グラム陽性、グラム陰性の真菌病原体および/または抗生物質耐性細菌によって引き起こされる症状を治療するための、金属含有材料、ステアリン酸および薬学的に許容される担体を有する組成物を開示している。さらに、バイオフィルムの増殖を阻害する方法が提供される。金属含有材料は銀であり得る。
【0012】
米国特許第3050467B1号(Horowitzら、1962)は、水溶性石鹸と部分解重合アルギン酸の銀塩との混合物から本質的になる抗微生物クレンジング組成物を開示している。組成物は相乗的な抗微生物活性をもたらす。
【0013】
しかし、石鹸の添加は組成物のpHを必ず上昇させる。高pH組成物は皮膚に刺激を与える。消費者はまた、ヒトの皮膚のpHに近いpHを有する製剤を使用することを好む。もう1つの問題が、ほとんどの石鹸ベースの抗微生物組成物は、抗微生物効果を得るために十分に長い時間適用しなければならないということである。しかし、ほとんどの人、特に子供は十分に長い時間、手/皮膚を洗わない。
【0014】
カルボン酸は、抗微生物薬として使用される既知の化合物の1つである。消費者が抗微生物組成物を使用する好ましい方法の1つは、抗微生物効果をもたらすパーソナル洗浄およびクレンジング組成物を用いるものである。消費者は、生成される泡の量をそのような組成物の効果と関連付ける傾向があるため、多量の泡を提供する傾向があるそのようなパーソナル洗浄およびクレンジング組成物を好む傾向がある。上記の理由により、界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤がそのような組成物に含まれていることが多い。本発明者らは、カルボン酸の抗微生物効果がアニオン性界面活性剤の存在下で実質的に低下することを見出した。
【0015】
したがって、一方では、界面活性剤の存在のために所望の量の泡が得られるが、他方では、カルボン酸の抗微生物効果が少なくとも部分的に影響を受け、これは好ましいことではない。
【0016】
このように、アニオン性界面活性剤の存在下で改善された抗微生物効果をもたらし、比較的短い接触時間で皮膚のpH(pH4.5~6.5)でそのような効果をもたらす抗微生物組成物を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第00/13506A2号
【文献】米国特許第6436444号
【文献】米国特許第7109241号
【文献】米国特許出願公開第2010/0234328号
【文献】米国特許出願公開第2013/224125号
【文献】米国特許出願公開第2008014247A号
【文献】米国特許第3050467B1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の目的は、抗微生物組成物を提供することである。
【0019】
本発明のさらに別の目的は、ヒトの皮膚のpHに近いpHの抗微生物組成物を提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、比較的短い接触時間で抗微生物効果をもたらす能力を備えた抗微生物組成物を提供することである。
【0021】
本発明のなおさらなる目的は、アニオン性界面活性剤の存在下で、かつヒトの皮膚のpHに近いpHで改善された抗微生物効果をもたらす、カルボン酸を含む抗微生物組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明者らは、驚くべきことに、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸とともに、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマーを少量加えることにより、アニオン性界面活性剤の存在下で、比較的短い接触時間で相乗的な抗微生物活性がもたらされ、それにより、上記目的のうち1つ以上が層状化されることを見出した。
【0023】
第1の態様では、本発明は、
a.ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマー0.01~10重量%と、
b.4.5を超えるpKaを有するカルボン酸0.1~20重量%と、
c.アニオン性界面活性剤1~80重量%とを含む抗微生物組成物に関し、
組成物のpHは4.5~6.5の範囲にある。
【0024】
第2の態様では、本発明は、表面を洗浄または消毒する方法であって、上記表面に第1の態様の組成物を適用する工程を含む方法に関する。
【0025】
これらおよび他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。疑義を避けるために、本発明の一態様の任意の特徴が、本発明の他の任意の態様において利用されてもよい。用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙された工程または選択肢は網羅的である必要はない。以下の説明に示される実施例は、本発明を明確にすることを意図しており、本発明をそれらの実施例自体に限定することを意図していないことに留意されたい。同様に、すべてのパーセンテージは、他に指示がない限り重量/重量%である。操作および比較実施例、または他に明示されている場合を除いて、材料の量または反応条件、材料および/または使用の物理的特性を示す本明細書中のすべての数字が、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。特に指定しない限り、「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。特定の特徴について複数の好ましい範囲が「xからy」の形式で記載されている場合、異なる端点を組み合わせるすべての範囲も企図されることが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で上述した抗微生物組成物は、好ましくは、疾患を引き起こす一般的な微生物を死滅させるか、少なくとも実質的に減少させることができる任意の組成物を意味する。疾患を引き起こす一般的なグラム陽性菌には、ブドウ球菌種、連鎖球菌種および腸球菌種が含まれる。疾患を引き起こす一般的なグラム陰性菌の一部には、大腸菌、サルモネラ菌、クレブシエラ菌および赤痢菌が含まれる。大腸菌およびサルモネラ菌は、重度の消化管疾患を引き起こす可能性がある。
【0027】
本発明は、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマーと、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸と、アニオン性界面活性剤とを含む抗微生物組成物を提供し、組成物のpHは4.5~6.5の範囲にある。抗微生物組成物の様々な成分を以下に説明する。本発明の組成物は、非治療的使用に好ましい。さらに詳細には、組成物は、皮膚、毛髪または口腔を含む人体の表面に適用された際に抗微生物効果を得るために使用するのに好ましい。ヒトの皮膚、頭皮または口腔表面に対する本発明の組成物の最も好ましい使用。組成物は、硬質表面洗浄用途にも好ましく使用され得る。
【0028】
水溶性ビニルポリマー
組成物は、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマーを含む。水溶性ビニルポリマーは、界面活性剤などの成分とともに使用される場合、増粘剤、粘度調整剤および複合体形成剤として使用されることが知られている。
【0029】
本発明の目的のための水溶性ビニルポリマーは、ポリビニルアルコールを含む。最も好ましい水溶性ビニルポリマーはポリビニルアルコールである。
【0030】
組成物は、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマーを0.01~10重量%、好ましくは0.05~8重量%、さらに好ましくは0.1~6重量%、さらに一層好ましくは0.5~5重量%、さらになお好ましくは0.5~4重量%、さらになお一層好ましくは0.5~3重量%、さらに一層好ましくは0.5~2重量%、最も好ましくは0.5~1.5重量%含む。
【0031】
カルボン酸
本発明の組成物はまた、4.5を超えるpKa値を有するカルボン酸またはその誘導体を0.1~20重量%、好ましくは0.1~15重量%、さらに好ましくは0.2~10重量%、最も好ましくは0.2~5重量%含む。
【0032】
カルボン酸は、それらの構造の一部として(-COOH)基を有する有機酸である。酸解離定数(Ka)は、溶液中の酸の強度を表す。Kaの負の対数はpKaによって表され、これはKaの実際の応用に大きく関連している。
【0033】
pKa=-log10 Ka
pKaの値が高いほど、所与のpHでの解離の程度が低くなる。これは、周知のヘンダーソン・ハッセルバルヒ式によって支配される。
【0034】
本発明によれば、4.5を超える、さらに好ましくは4.6を超える、最も好ましくは4.7を超えるpKaを有するカルボン酸。
【0035】
好ましくは、pKaの範囲は4.5から7の間、さらに好ましくは4.5から6.5の間、最も好ましくは4.5から6である。
【0036】
好ましくは、カルボン酸は、鎖長C4~C12、さらに好ましくはC6~C10、最も好ましくはC6~C8を有する脂肪酸から選択される。カルボン酸は、好ましくは、直鎖または分岐脂肪族カルボン酸、環状脂肪族カルボン酸およびそれらの混合物から選択される。上記で定義されたpKa範囲を有する置換カルボン酸も好ましく使用され得る。最も好ましい置換はメチルおよび/またはエチルである。
【0037】
最も好ましい脂肪族カルボン酸は、ヘキサン酸(pKa:4.88)、シクロヘキサン酸(pKa:4.91)、2-エチルヘキサン酸(pKa:4.72)、オクタン酸(pKa:4.89)、4-メチルオクタン酸(pKa:4.93)およびそれらの混合物から選択される。
【0038】
アニオン性界面活性剤
本発明の組成物はまた、アニオン性界面活性剤を含む。
【0039】
好ましいアニオン性界面活性剤には、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネート、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホサクシネート、C8-C20アシルイセチオネート、アシルグルタメート、C8-C20アルキルエーテルホスフェートおよびそれらの混合物が含まれる。
【0040】
最も好ましいアニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムから選択される。
【0041】
組成物は、界面活性剤を1~80重量%、好ましくは5~75重量%、さらに好ましくは10~70重量%、さらに一層好ましくは15~65重量%含む。
【0042】
本発明の目的の1つは、皮膚のpHの組成物を提供することである。したがって、本発明の組成物のpHは、好ましくは4.5~6.5、さらに好ましくは4.5~6、最も好ましくは約5~6の範囲にある。
【0043】
本発明の組成物は相乗的な抗微生物組成物である。相乗効果は、アニオン性界面活性剤の存在下で、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマー0.01~10重量%と、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸またはその誘導体0.1~20重量%とを組み合わせることにより観察される。本発明者らは、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸とアニオン性界面活性剤とを含む組成物に、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマーを少量加えると、抗微生物効果が改善されるが、アニオン性界面活性剤の存在下では、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸の抗微生物効果が実質的に低下することを見出した。さらに、そのような抗微生物効果は、比較的短い接触時間で、ヒトの皮膚のpHに近いpH(pH4.5~6.5)で得られる。そのような抗微生物効果は、例えば、好ましくは5分未満、さらに好ましくは2分未満、さらに一層好ましくは1分未満、さらになお好ましくは45秒未満、さらになお一層好ましくは30秒未満など、表面との抗微生物活性物質の接触時間が短い洗浄プロセスでは特に重要である。
【0044】
本発明の相乗的な抗微生物組成物はまた、化粧品として許容される基剤を含む。基剤製剤は、用途の種類に応じて変更されてもよい。
【0045】
本発明の組成物は、好ましくはリーブオン組成物の形態である。リーブオン組成物は、バニシングクリームの形態であっても、消毒剤組成物の形態であってもよい。最も好ましい用途は、手指消毒である。
【0046】
抗微生物組成物は、ワイプ、すなわち抗微生物ワイプの形態であってよい。
【0047】
化粧品として許容される基剤は、好ましくはクリーム、ローション、ゲルまたはエマルジョンである。
【0048】
パーソナルケア組成物(リーブオン)は、様々な化粧品として許容される乳化または非乳化系およびビヒクルを使用して調製されてもよい。非常に適した基剤はクリームである。バニシングクリームが特に好ましい。ただし、本発明の組成物中に石鹸を有することは好ましくない。しかし、製剤全体のpHを7.5よりも大きくしない少量の石鹸も本発明の範囲内である。バニシングクリーム基剤は、一般に、5~25%の脂肪酸と0.1~10%の石鹸とを含む。バニシングクリーム基剤は、非常に高く評価されるマット感を皮膚に与える。バニシングクリーム基剤では、C13~C20脂肪酸が特に好ましく、C14~C18脂肪酸がさらになお好ましい。最も好ましい脂肪酸はステアリン酸である。組成物中の脂肪酸は、さらに好ましくは、組成物の5~20重量%の範囲の量で存在する。バニシングクリーム基剤中の石鹸には、脂肪酸のアルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩が含まれ、ステアリン酸カリウムが最も好ましい。バニシングクリーム基剤中の石鹸は、一般に、組成物の0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~3重量%の範囲の量で存在する。一般に、パーソナルケア組成物中のバニシングクリーム基剤は、所望の量の総脂肪物質を選択し、所望の量の水酸化カリウムと混合することにより調製される。石鹸は通常、混合中にインサイチュで形成される。
【0049】
特に好適な化粧品として許容される基剤は、連続相としてシリコーン油を含む油中水型エマルジョンを含む基剤である。油中水型エマルジョンは、好ましくは、架橋シリコーンエラストマーブレンドを含む。
【0050】
油中水型エマルジョンにシリコーンエラストマーブレンドを含めることは、本発明の組成物を調製するための化粧品として許容される基剤として使用されてもよい。シリコーン流体が使用されてもよいが、架橋されたシリコーンエラストマーが特に好ましい。ジメチコンなどの線状ポリマー間の架橋の作成は、線状ポリマーをシリコーンエラストマーに変換する。シリコーン流体ポリマーとは対照的に、エラストマーの物理的特性は、典型的には、分子量ではなく架橋の数に依存する。シリコーンエラストマーの膨張する能力は、それらを油相のための理想的な増粘剤にする。エラストマーは、皮膚または毛髪に適用すると、非常に滑らかで柔らかい感触を有する。エラストマーはまた、化粧品組成物中の香料、ビタミンおよび他の添加剤のための送達剤としても使用することができる。
【0051】
市販されており、本発明の組成物に含めるのに適しており、安定性を高めることが見出されている好適なシリコーンエラストマーブレンドまたはゲルは、Dow Corning(登録商標)EL-8051 IN Silicone Organic Elastomer Blend[INCI名:ネオペンタン酸イソデシル(および)ジメチコン/ビスイソブチルPPG-20クロスポリマー];EL-8050[INCI名:イソドデカン(および)ジメチコン/ビス-イソブチルPPG 20クロスポリマー]DC 9040、DC9041、DC9045(ジメチコンクロスポリマー);DC 9506、9509(ジメチコンビニルジメチコンクロスポリマー);Shin-Etsu KSG-15、KSG-16、KSG-17(ジメチコンビニルジメチコンクロスポリマー)である。組成物は、組成物の5~50重量%のシリコーンエラストマーを含むことがさらに好ましい。
【0052】
ウォッシュオフ組成物の場合、前述の必須成分に加えて、クレンジング組成物の好ましい実施形態は、それらの既知の効果のために他の任意の好ましい成分も含み得る。そのタイプおよび含有量は、クレンジング組成物の性質およびタイプ、ならびに製剤科学の一般原則に大きく依存する。
【0053】
好ましくは、組成物は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびそれらの混合物から選択される追加の界面活性剤をさらに含む。一般に、界面活性剤は、Schwartz&Perryによる「Surface Active Agents」Vol.1、Schwartz,Perry&BerchによるInterscience 1949、Vol.2、Interscience 1958、および/またはManufacturing Confectioners Companyによって出版された「McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents」の最新版などの周知の教科書、または「Tenside-Taschenbuch」、H.Stache、第2版、Carl Hauser Verlag、1981に記載されている界面活性剤から選択されてもよい。
【0054】
好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モル当たり2~100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10-C20脂肪アルコールまたは酸疎水性物質、2~20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2-C10アルキルフェノール、エチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタンモノおよびジC8-C20脂肪酸、ブロックコポリマー(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)、ポリオキシエチレンソルビタンならびにそれらの混合物を有する非イオン性界面活性剤である。アルキルポリグリコシドおよびサッカリド脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も好適な非イオン性界面活性剤である。
【0055】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤の例には、臭化セチルトリメチルアンモニウム、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハロゲン化物としても知られるベンザルコニウムハロゲン化物が挙げられる。組成物に使用され得る好ましいカチオン性界面活性剤は、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(またはADBAC)としても知られる塩化ベンザルコニウムである。
【0056】
好適な両性洗浄性界面活性剤の例には、アミド、ベタインおよびアミンオキシドタイプが挙げられる。両性洗浄性界面活性剤の特定の例には、ココジエタノールアミドおよびココモノエタノールアミド、ココアミドプロピルベタインおよびココアミドプロピルアミンオキシドが挙げられる。組成物中の洗浄性界面活性剤として使用され得る好ましい両性洗浄性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタインである。
【0057】
組み込まれる場合、抗微生物組成物は、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤およびそれらの混合物から選択されるこれらの追加の界面活性剤のうち1つ以上を1~80重量%、好ましくは5~75重量%、さらに好ましくは10~70重量%、さらに一層好ましくは15~65重量%含む。
【0058】
製品が硬質表面洗浄用途のために固体形態である場合、界面活性剤は、好ましくは、第一アルキルサルフェート、第二アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネートまたはエトキシ化アルキルサルフェートから選択される。
【0059】
本発明の抗微生物組成物は、口腔ケア組成物、例えば、歯磨剤/練り歯磨剤または口腔リンス製品に有用である。そのような用途では、好ましい界面活性剤は、本質的にアニオン性、非イオン性または両性、好ましくはアニオン性または両性である。
【0060】
抗微生物組成物は、固体、液体、ゲルまたはペーストの形態であってよい。当業者であれば、1つ以上の担体材料および/または界面活性剤を選択することにより、様々な形式で組成物を調製することができる。本発明の抗微生物組成物は、クレンジングおよびケア、特に皮膚クレンジングおよびスキンケアに有用である。抗微生物組成物は、リーブオン製品またはウォッシュオフ製品、好ましくはリーブオン製品として使用することができると想定される。本発明の抗微生物組成物はまた、ガラス、金属、プラスチックなどのような硬質表面の洗浄および手入れにも使用することができる。抗微生物組成物は、抗微生物ワイプの形態であってよい。ワイプとは、消費者による使用に先立って基材の中または上に本発明の組成物を組み込むために、(上記で定義されるように)本発明の酸およびポリマーを含む組成物により前処理された多孔性または吸収性シートまたは布などの使い捨て基材を意味する。
【0061】
水溶性/分散性ポリマーは、組成物に含まれることが非常に好ましい任意の成分である。これらのポリマーは、分子量が100,000ダルトンを超えるカチオン性、アニオン性、両性または非イオン性タイプであってよい。それらは、液体クレンザー組成物の粘度および安定性を増大し、使用中および使用後の皮膚感覚を高め、泡のクリーム性および泡の安定性を高めることが知られている。ポリマーの量は、存在する場合、組成物の0.1~10重量%の範囲であり得る。
【0062】
水溶性/または分散性ポリマーの例には、炭水化物ガム、例えば、セルロースガム、微結晶セルロース、セルロースゲル、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、グアーガム、カラヤガム、トラガントガム、アラビアガム、アカシアガム、寒天ガム、キサンタンガムおよびそれらの混合物;加工および非加工デンプン粒およびアルファ化冷水溶性デンプン;エマルジョンポリマー、例えば、Aculyn(登録商標)28、Aculyn(登録商標)22またはCarbopol(登録商標)Aqua SF1;カチオン性ポリマー、例えば、商標名Jaguar(登録商標)C13S、Jaguar(登録商標)C14S、Jaguar(登録商標)C17またはJaguar(登録商標)C16の下でRhone Poulencから入手可能なカチオン性グアーを含む改質多糖類;カチオン性改質セルロース、例えば、Amerchol製のUCARE(登録商標)Polymer JR 30またはJR 40;Hercules製のN-Hance(登録商標)3000、N-Hance(登録商標)3196、N-Hance(登録商標)GPX 215またはN-Hance(登録商標)GPX 196;合成カチオン性ポリマー、例えば、Nalcoから販売されているMerquat(登録商標)100、Merquat(登録商標)280、Merquat(登録商標)281およびMerquat(登録商標)550;カチオン性デンプン、例えば、Staley Inc.から販売されているStaLok(登録商標)100、200、300および400;カチオン性ガラクトマンナン、例えば、Henkel,Inc.製のGalactasol(登録商標)800シリーズ;Quadrosoft(登録商標)LM-200;ならびにPolyquaternium-24(登録商標)が挙げられる。また、高分子量ポリエチレングリコール、例えば、Polyox(登録商標)WSR-205(PEG 14M)、Polyox(登録商標)WSR-N-60K(PEG 45)およびPolyox(登録商標)WSR-301(PEG 90M)も適している。
【0063】
本発明の組成物は、美白剤をさらに含んでもよい。本組成物の必須成分の1つとしていずれにせよ存在するナイアシンアミドとは別に、他の周知の美白剤、例えば、アロエエキス、乳酸アンモニウム、アルブチン、アゼライン酸、コウジ酸、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、クエン酸エステル、3ジフェニルプロパン誘導体、2,5ジヒドロキシ安息香酸およびその誘導体、エラグ酸、ウイキョウエキス、グルコピラノシル-1-アスコルベート、グルコン酸、グリコール酸、緑茶エキス、ヒドロキノン、4ヒドロキシアニソールおよびその誘導体、4-ヒドロキシ安息香酸誘導体、ヒドロキシカプリル酸、レモンエキス、リノール酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、クワ根エキス、2,4レゾルシノール誘導体、3,5レゾルシノール誘導体、サリチル酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンAなどのビタミン、ジカルボン酸、レゾルシノール誘導体、乳酸などのヒドロキシカルボン酸およびそれらの塩、例えば、乳酸ナトリウムならびにそれらの混合物。
【0064】
好ましくは、組成物は日焼け止め剤を有してもよい。基剤とともに好適に使用することができる任意の日焼け止め剤が添加されてもよい。好ましくは、UVAおよびUVB日焼け止め剤がともに添加され得る。
【0065】
本発明の組成物は、好ましくは、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体であるUV-A日焼け止め剤を含む。好ましいジベンゾイルメタン誘導体は、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチルジベンゾイルメタン、4-メチル-ジベンゾイルメタン、4-イソプロピルジベンゾイル-メタン、4-tert-ブチルジベンゾイルメタン、2,4-ジメチルジベンゾイルメタン、2,5-ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’-ジイソプロピル-ジベンゾイルメタン、2-メチル-5-イソプロピル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-メチル-5-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタン、2,4-ジメチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンまたは2,6-ジメチル-4-tert-ブチル-4’-メトキシ-ジベンゾイルメタンから選択される。最も好ましいジベンゾイルメタン誘導体は、4-tert.-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンである。本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総重量に基づいて、ジベンゾイルメタンまたはその誘導体を0.1~10重量%、さらに好ましくは0.2~5重量%、さらになお好ましくは0.4~3重量%含み、それらに包含されるすべての範囲を含む。
【0066】
組成物は、ケイ皮酸、サリチル酸、ジフェニルアクリル酸およびそれらの誘導体のクラスから選択されるUV-B有機日焼け止め剤を含むことが好ましい。市販されており、本発明の組成物に含めるのに有用なUV-B日焼け止め剤の例示的な非限定的な例は、Octisalate(商標)、Homosalate(商標)、NeoHelipan(商標)、Octocrylene(商標)、Oxybenzone(商標)またはParsol MCXTMである。UV-B日焼け止め剤は、最も好ましくは、Parsol MCXとして市販されている2-エチル-ヘキシル-4-メトキシシンナメートである。UV-B有機日焼け止め剤は、好ましくは、組成物の0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~7重量%含まれる。2-エチル-ヘキシル-4-メトキシシンナメートなどの有機UV-B日焼け止め剤が存在すると、UV放射の存在下でUV-Aジベンゾイルメタン日焼け止め剤をさらに急速に劣化させることが観察されている。ロスマリン酸エステル化合物の存在は、UV-B日焼け止め剤が存在する場合であっても、組成物の安定化に非常に有効であることが見出されている。
【0067】
本発明では、有用な無機日焼け止め剤も好ましく使用される。これらには、例えば、酸化亜鉛、酸化鉄、ヒュームドシリカなどのシリカ、および二酸化チタンが含まれる。
【0068】
潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、組成物に防腐剤を添加することもできる。本発明の組成物に適した従来の防腐剤は、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。最近使用されるようになった他の防腐剤には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩(propionate salts)および様々な第四級アンモニウム化合物が含まれる。特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の用途と、防腐剤と他の成分との間に起こり得る不適合性とを考慮して選択すべきである。防腐剤は、組成物の0.01重量%~2重量%の範囲の量で使用されることが好ましい。
【0069】
様々な他の任意の材料が組成物に配合されてもよい。これらには、抗微生物薬、例えば、2-ヒドロキシ-4,2’,4’-トリクロロジフェニルエーテル(トリクロサン)、2,6-ジメチル-4-ヒドロキシクロロベンゼンおよび3,4,4’-トリクロロカルバニリド;スクラブおよび剥離粒子、例えば、ポリエチレン、シリカまたはアルミナ;冷却剤、例えば、メントール;皮膚鎮静剤、例えば、アロエベラ;ならびに着色剤が含まれ得る。
【0070】
さらに、組成物は、乳白剤およびパール化剤、例えば、エチレングリコールジステアレート、二酸化チタンまたはLytron(登録商標)621(スチレン/アクリレートコポリマー)0~10重量%をさらに含んでもよい。これらはいずれも、製品の外観または特性を向上させるのに有用である。
【0071】
水以外の希釈剤には、液体または固体の皮膚軟化薬、溶媒、保湿剤、増粘剤および粉末が含まれ得る。これらのタイプのビヒクルのそれぞれの例は、単独でまたは1つ以上のビヒクルの混合物として使用することができ、以下の通りである。
【0072】
皮膚軟化薬、例えば、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノレート、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、エイコサニルアルコール(eicosanyl alcohol)、ベヘニルアルコール、パルミチン酸セチル、シリコーン油、例えば、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ココアバター、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、パーム核油、ナタネ油、ベニバナ種子油、月見草油、大豆油、ヒマワリ油、アボカド油、ゴマ油、ココナッツ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、ワセリン、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル;
溶媒、例えば、エチルアルコール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル;
固形石鹸の場合、乾燥した皮膚を取り除くのを助ける、平均直径が50μmを超える粒子を含有してもよい。理論に拘束されないが、剥離の程度は粒子の大きさおよび形態に依存する。大きくて粗い粒子は通常、非常に手触りが粗く、刺激性である。非常に小さな粒子は効果的なスクラブ剤として機能しない場合がある。当技術分野で使用されるこのようなスクラブ剤には、天然ミネラル、例えば、シリカ、タルク、方解石、軽石、リン酸三カルシウム;種子、例えば、イネ、アプリコットの種子など;砕いた殻、例えば、アーモンドおよびクルミの殻;オートミール;ポリマー、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレンのビーズ、花びらならびに葉;微結晶ワックスビーズ;ホホバエステルビーズなどが含まれる。これらのスクラブ剤には、ミクロンサイズから数mmの範囲の様々な粒径および形態がある。これらはまた、様々な硬さを有する。いくつかの例が、タルク、方解石、軽石、クルミの殻、ドロマイトおよびポリエチレンである。
【0073】
有利には、上記で定義した皮膚コンディショニング剤以外の活性剤が組成物に添加されてもよい。これらの活性成分は、殺細菌剤、ビタミン、抗ニキビ活性物質;抗しわ活性物質、抗皮膚萎縮活性物質および皮膚修復活性物質;皮膚バリア修復活性物質;非ステロイド化粧品鎮静活性物質;人工日焼け剤および促進剤;美白活性物質;日焼け止め活性物質;皮脂刺激剤;皮脂抑制剤;抗酸化剤;プロテアーゼ阻害剤;皮膚引き締め剤;かゆみ止め成分;発毛阻害剤;5-αリダクターゼ阻害剤;落屑酵素促進剤;抗糖化剤;またはそれらの混合物などから有利に選択され得る。
【0074】
これらの活性剤は、水溶性活性剤、油溶性活性剤、薬学的に許容される塩およびそれらの混合物から選択され得る。本明細書で使用される用語「活性剤」は、皮膚および/または毛髪に効果をもたらすために使用することができ、一般に皮膚コンディショニング効果を与えるために使用されない、上記で定義した皮膚軟化薬により送達されるパーソナルケア活性物質を意味する。本明細書で使用される用語「安全かつ有効な量」は、治療される状態を改変するか所望のスキンケア効果をもたらすのに十分高いが、重篤な副作用を回避するのに十分低い活性剤の量を意味する。本明細書で使用される用語「効果」は、本明細書に記載の活性剤のうち1つ以上を用いて特定の状態を治療することに関連する治療的、予防的および/または慢性的な効果を意味する。(1または複数の)活性剤の安全かつ有効な量は、特定の活性剤、活性物質が皮膚に浸透する能力、使用者の年齢、健康状態および皮膚状態、ならびに他の同様の因子によって変化する。
【0075】
粉末、例えば、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ガム、コロイダルシリカポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチレングリコールモノステアレート。
【0076】
化粧品として許容される基剤は、通常、組成物の10~99.9重量%、好ましくは50~99重量%であり、他のパーソナルケア補助剤がない場合、組成物の残量を形成することができる。
【0077】
本発明の組成物は、化粧品として許容される担体として従来の消臭剤基剤を含んでもよい。消臭剤とは、パーソナル消臭効果、例えば、脇下領域への塗布に使用され、発汗抑制剤活性物質を含有しても含有しなくてもよいスティック、ロールオンまたは噴射媒体中の製品を意味する。
【0078】
消臭剤組成物は、一般に、固い固体、柔らかい固体、ゲル、クリームおよび液体の形態であり得、組成物の物理的特性に適切なアプリケーターを使用して分配される。ロールオンを介して送達される消臭剤組成物は、一般に液体担体を含む。そのような液体担体は、疎水性であり得るか、親水性液体および疎水性液体の両方の混合物を含むことができる。それらは、エマルジョンまたはマイクロエマルジョンの形態であってよい。液体担体、または担体の混合物は、組成物の30~95重量%、多くの場合40~80%を構成することが多い。疎水性液体担体は、一般に、25℃以下の融点および少なくとも100℃の沸点を有するシロキサン、炭化水素、分岐脂肪族アルコール、エステルおよびエーテルの化学的分類内で選択される1つ以上の材料を含むことができる。本明細書の組成物に使用することができる親水性担体液は、一般に、水および/または一価もしくは多価アルコールまたは水混和性ホモログを含む。一価アルコールは短鎖であることが多く、これはそれらが最大6個の炭素を含むことを意味し、実際には、ほとんどの場合エタノールまたは時にイソプロパノールである。多価アルコールは通常、エチレンまたはプロピレングリコールを含むか、ジエチレングリコールなどのホモログを使用することができる。これ以外に、消臭剤組成物に使用するのに適した他のビヒクルおよび成分を添加することができる。
【0079】
好ましくは、組成物が手指消毒剤組成物の形態である場合、化粧品として許容される基剤はアルコールおよび水から構成され得る。最も好ましいアルコールは、エチルアルコールおよびイソプロピルアルコールである。2つ以上のアルコールの混合物も、好ましくは手指消毒剤組成物に使用することができる。好ましくは、手指消毒剤組成物の50~95重量%、さらに好ましくは60~80重量%、最も好ましくは65~80重量%の範囲であるアルコールの量。
【0080】
本発明の組成物は、広範囲の他の任意の成分を含むことができる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれるThe CTFA Personal care Ingredient Handbook、第2版、1992は、スキンケア産業で一般に使用され、本発明の組成物に使用するのに適した多種多様な非限定的なパーソナルケアおよび医薬品成分を記載している。例には、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、着色剤、増粘剤、ポリマー、収斂剤、香料、保湿剤、乳白剤、コンディショナー、pH調整剤、天然抽出物、エッセンシャルオイル、皮膚感覚剤、皮膚鎮静剤および皮膚治癒剤が挙げられる。
【0081】
本発明はまた、表面を洗浄または消毒する方法であって、リーブオン組成物の場合に上記表面に本発明による組成物を適用する工程を含む方法を開示する。この方法は、ウォッシュオフ組成物の形態である場合、表面から組成物を少なくとも部分的に除去する追加の工程を含んでもよい。好ましくは、組成物を少なくとも部分的に除去する工程は、基材上に組成物を適用する工程の後5分未満で実行される。
【0082】
本発明はまた、抗微生物効果のための、上記で開示された本発明の組成物の使用を開示する。したがって、本発明の組成物は、持続的な/長期にわたる抗微生物効果をもたらすことができる。本発明の組成物の好ましい意図される使用/方法は、非治療的および/または化粧用である。
【0083】
本発明はまた、手指衛生のための、上記で開示された本発明の組成物の使用を開示する。
【0084】
本発明はまた、(a)ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマー0.01~10重量%と、(b)4.5を超えるpKaを有するカルボン酸またはその誘導体0.1~20重量%と、(c)アニオン性界面活性剤1~80重量%との組合せの使用を提供し、改善された抗微生物効果のための組成物では、組成物のpHは4.5~6.5の範囲にある。
【0085】
使用は非治療的であることが好ましい。
【0086】
ここで、以下に提供される非限定的な例の助けを借りて、本発明をさらに説明する。
【0087】
[実施例]
プロトコル
以下の実施例に示される組成物はいずれも、以下のそれぞれの実施例および手順に示される量(重量パーセント単位)のポリマーおよびカルボン酸を使用して調製した。
【0088】
ポリマー溶液は、マグネチックスターラーを使用して蒸留水に溶解することにより、2%濃度で別個に調製した。蒸留水でポリマー溶液をさらに希釈することにより、任意のさらに低い所望の濃度を達成した。カルボン酸はいずれも元の100%ストックから使用し、蒸留水で希釈して所望の濃度にした。コンタクトキルアッセイ(contact kill assay)を使用して抗微生物効果のアッセイを行う前に、0.1N水酸化ナトリウムまたは塩酸を使用して、全試料のpHを5.2±0.2に調整した。
【0089】
抗微生物効果の評価
(American Standard Test Method2783)に従って、抗微生物効果の評価を行った。トリプトソイ寒天(TAS)プレート上で試験生物を一晩(22±2時間)増殖させた。生物は、元の供給源から3回を超えて継代しなかった。必要な細胞数を達成するのに十分な好適な量の生理食塩水に再懸濁することにより、細胞の光学密度(OD)に基づいて細胞数を調整した。分光光度計を使用して、細胞の620nmでのODを各試験生物の細胞数に標準化した。コンタクトキルアッセイのために生理食塩水中でODを2.0に調整することにより、1×109コロニー形成単位(CFU)/mLの最小最終懸濁液を得た。
【0090】
各試験では、100mLの試料容器に9.9mLの試験試料を採取した。時間0で試験試料に0.1mLの培養物を加え、1秒以内にタイマーを開始した。培養物を加えた時点で、試験溶液を直ちにボルテックスした。例えば、10秒、30秒および60秒の時点で、1.0mLのアリコートを管から取り出し、ガラス管内の9.0mLの中和剤(BD Difco製D/E中和ブロス、参照番号281910)に直ちに移した。9.0mLの希釈ブランクを使用して中和試料の連続10倍希釈液を調製し、標準的な平板培養技術(プレートに蒔く)を使用して2連で計数した。全試料の平板培養は、中和工程を完了してから30分以内に完了させた。プレートを37Cで24~48時間インキュベートした。コロニーを計数し、計数をログ値に変換した。以下のようにログ減少を計算した。
【0091】
Log10減少(LR)=対照のLog10-試験試料のLog10
5を超えるログ減少はCFUの数が99.99%減少することを意味し、0.5未満のログ減少はCFUの数が減少しないことを意味し、これは、抗微生物効果がないことを意味する。また、5を超えるログ減少は、完全な死滅を意味する。
【0092】
第1の実験セットでは、表1のように、単独で、または4.5を超えるpKaを有する様々なカルボン酸とともに、様々な水溶性ビニルポリマーを試験した。実験に使用した様々なカルボン酸のpKa値は以下の通りである。
【0093】
オクタン酸-(pKa=4.89;Aldrich製、カタログ番号O3907)
4-メチルオクタン酸-(pKa=4.93;Aldrich製、カタログ番号W357502)
ヘキサン酸-(pKa=4.88;Aldrich製、カタログ番号153745)
2-エチルヘキサン酸-(pKa=4.72;Aldrich製、カタログ番号538701)
シクロヘキサン酸-(pKa=4.92;Aldrich製、カタログ番号101834)
【表1】
【0094】
次いで、先の項で説明したプロトコルを使用して、抗微生物効果について上記組成物を試験した。抗微生物効果試験の結果を以下の表2に要約する。
【表2】
【0095】
上記の表から、本発明の範囲内の組成物(実施例1~5)は完全な死滅(99.9%)をもたらし、したがってログ減少は5を超えることが明らかである。しかし、本発明の範囲外の組成物(実施例A~I)は、良好な抗微生物効果をもたらさない。上記の表から、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸のいずれかと組み合わせて使用した場合、PVAが5ログ超の減少(完全な死滅)をもたらすことも分かる。したがって、PVAとカルボン酸とは相乗的な抗微生物効果を示す。重要なことに、そのような抗微生物効果は、比較的短い接触時間、すなわち30秒から得られる。
【0096】
第2の実験セットでは、表3のように、PVAとともに、4.5未満のpKaを有する様々なカルボン酸を試験した。これらの様々なカルボン酸のpKa値は以下の通りである。
【0097】
安息香酸-(pKa=4.2;Merck製、カタログ番号MK4M542724)
サリチル酸-(pKa=2.97、Sigma Aldrich製、カタログ番号247588)
クエン酸-(pKa=3.13、Sigma Aldrich製、カタログ番号C83155)
乳酸-(pKa=3.86、Sigma Aldrich製、カタログ番号252476)
リンゴ酸-(pKa=3.4、Sigma Aldrich製、カタログ番号M8304)
グリコール酸-(pKa=3.6、Sigma Aldrich製、カタログ番号V900017)
【表3】
【0098】
次いで、先の項で説明したプロトコルを使用して、抗微生物効果について上記組成物を試験した。抗微生物効果試験の結果を以下の表4に要約する。
【表4】
【0099】
表4のデータから分かるように、4.5未満のpKaを有するカルボン酸、すなわち、本発明の範囲外のカルボン酸は、PVAと組み合わせて使用した場合、抗微生物効果を示さない。
【0100】
第3の実験セットでは、以下の表5のように、単独で、および4.5を超えるpKaを有するカルボン酸と組み合わせて、水溶性ビニルポリマー以外の様々なポリマーを試験した。この目的のために、試験した下記のポリマー:
PVA-ALDRICH、カタログ番号363170、
PVP-SIGMA-ALDRICH製、名称PVP10
PAA-ALDRICH製、カタログ番号523925、
ポリスチレンスルホネート(PSS)-AkzoNobel製、名称FLEXAN(登録商標)IIの下に販売、
カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)-ALDRICH製、カタログ番号419273、
ヒドロキシエチルセルロース(HEC)-SIGMA製、カタログ番号09368、および
アルギン酸ナトリウム-Thomas Baker製、カタログ番号142582。
【表5】
【0101】
次いで、先の項で説明したプロトコルを使用して、抗微生物効果について上記組成物を試験した。抗微生物効果試験の結果を以下の表6に要約する。
【表6】
【0102】
表6のデータから分かるように、オクタン酸(pKaが4.5を超える)と組み合わせて使用した場合、水溶性ビニルポリマー以外のポリマーは、オクタン酸と組み合わせてPVAを使用した場合に得られるような(実施例1)30秒などの比較的短い接触時間では必要な抗微生物効果をもたらさなかった。
【0103】
第4の実験セットでは、以下の表7のように、アニオン性界面活性剤の存在下で、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸とPVAとを組み合わせた。この目的のために、下記のアニオン性界面活性剤を試験した。
【0104】
ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、カタログ番号LES 70-SLES、Galaxy Surfactant Ltd製、および
ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、カタログ番号62862、Sigma-Aldrich製。
【表7】
【0105】
次いで、先の項で説明したプロトコルを使用して、抗微生物効果について上記組成物を試験した。抗微生物効果試験の結果を以下の表7に要約する。
【表8】
【0106】
上記の表8のデータから分かるように、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸1%は、単独で、30秒以内に5ログ超の減少をもたらした(実施例VおよびY)。ただし、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸単独によりもたらされたこの抗微生物効果は、試験したあらゆる接触時間、すなわち、10秒、30秒および60秒の時点で、アニオン性界面活性剤(実施例W、X、ZおよびZA)の存在下で劇的に減少したことが見出された。
【0107】
PVAを加えた場合のみ、実施例6~9に示されるように、対照(それぞれ実施例W、X、ZおよびZA)と比較して抗微生物効果の改善が得られた。さらに、この改善された抗微生物効果は、同じ比較的短い接触時間、例えば、10秒および30秒以内に得られ、これは、60秒の接触時間によりさらに改善された。さらに、この改善された抗微生物効果は、pH範囲4.8±0.3で得られた。
【0108】
したがって、説明および上記の実施例から、アニオン性界面活性剤の存在下で、4.5を超えるpKaを有するカルボン酸と組み合わせて、ポリビニルアルコールを含む水溶性ビニルポリマーを使用すると、相乗的な抗微生物効果が得られることが明らかである。さらに、そのような相乗的な抗微生物効果は、石鹸の非存在下で、ヒトの皮膚のpHに近いpHで、比較的短い接触時間で得られる。