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特許7282747ガスタービンの選択的触媒還元システム用の温調システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】ガスタービンの選択的触媒還元システム用の温調システム
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/30 20060101AFI20230522BHJP
   F02C 7/141 20060101ALI20230522BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
F01D25/30 F
F02C7/141
B01D53/94 222
B01D53/94 ZAB
B01D53/94 243
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020513580
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018074024
(87)【国際公開番号】W WO2019057512
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】17192963.1
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】タビーク、アリ ムスターファ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン、ペーター ラース
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンソン、ラーシュ-エリック
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-160904(JP,A)
【文献】特開2017-155747(JP,A)
【文献】特表2015-532705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 25/30
F02C 7/141
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンシステム(10)であって、当該ガスタービンエンジンシステム(10)が、
ガスタービンエンジン(12)と、
前記ガスタービンエンジン(12)から汚染燃焼ガス(PG)の流れを受け取る温調区画(28)を備える温調システム(26)であって、前記温調区間(28)が、入口(42)、出口(44)、第1のパイプ配列(32A)及び距離(W)を置いて配置された第2のパイプ配列(32B)を備える少なくとも1つの配列対(30)、前記第1のパイプ配列(32A)と前記第2のパイプ配列(32B)との間の前記距離(W)にある混合エリア(32C)であって前記第1のパイプ配列(32A)第1の複数のパイプ(34)及び第1の複数のフローベーン(36A)を備え、前記第2のパイプ配列(32B)第2の複数のパイプ(35)及び第2の複数のフローベーン(36B)を備える混合エリア(32C)、並びに前記第1の複数のパイプ(34)及び前記第2の複数のパイプ(35)の各パイプ(34、35)の1つ又は複数の開口部(37A)を備える温調システム(26)と、
前記温調システム(26)の下流の選択的触媒還元システム(38)と
を備えており、前記第1の複数のフローベーン(36A)及び前記第2の複数のフローベーン(36B)が、前記汚染燃焼ガス(PG)の流れ方向に対して5度~90度の角度αで「V」字の形状に構成されている、ガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項2】
前記第1の複数のフローベーン(36A)の各フローベーンの端部(36C)が前記第1の複数のフローベーン(36A)の各フローベーンの頂点(36D)の上流にあり、前記第2の複数のフローベーン(36B)の各フローベーンの端部(36C)が前記第2の複数のフローベーン(36B)の各フローベーンの頂点(36D)の上流にある、請求項1に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項3】
前記第1の複数のフローベーン(36A)の各フローベーンの端部(36C)が前記第1の複数のフローベーン(36A)の各フローベーンの頂点(36D)の上流にあり、前記第2の複数のフローベーン(36B)の各フローベーンの端部(36C)が前記第2の複数のフローベーン(36B)の各フローベーンの頂点(36D)の下流にある、請求項1に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項4】
温調流体(TF)を前記複数の開口部(37A)を介して前記温調区画(28)に供給するように動作可能な温調流体供給部(40)をさらに備える、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項5】
前記第1のパイプ配列(32A)、前記温調区画(28)の対向する側壁(28A)間に水平に延びるように配置される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項6】
前記第1のパイプ配列(32A)、前記温調区画(28)の底部(28E)から頂部(28D)に垂直に延びるように配置される、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項7】
前記1つ又は複数の開口部(37A)、温調流体(TF)を複数の方向で前記温調区画(28)に供給する、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項8】
前記1つ又は複数の開口部(37A)、前記パイプ(34、35)の第1の端部領域(31A)、前記パイプ(34、35)の中間領域(31B)、前記パイプ(34、35)の第2の端部領域(31C)、又はそれらの組み合わせに前記パイプ(34、35)の全長に沿って配置される、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンシステム(10)。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のガスタービンエンジンシステム(10)を使用する方法であって、
ガスタービンエンジン(12)によって生成された汚染物質含有物(NC)を含む汚染燃焼ガス(PG)を下流の温調システム(26)に供給するステップであって、前記温調システム(26)、入口(42)、出口(44)、第1のパイプ配列(32A)及び距離(W)を置いて配置された第2のパイプ配列(32B)を備える少なくとも1つの配列対(30)、前記第1のパイプ配列(32A)と前記第2のパイプ配列(32B)との間の前記距離(W)にある混合エリア(32C)であって、前記第1のパイプ配列(32A)第1の複数のパイプ(34)及び第1の複数のフローベーン(36A)を備え、前記第2のパイプ配列(32B)第2の複数のパイプ(35)及び第2の複数のフローベーン(36B)を備える混合エリア(32C)、並びに前記第1の複数のパイプ(34)及び前記第2の複数のパイプ(35)の各パイプ(34、35)の1つ又は複数の開口部(37A)を備える温調区画(28)を備えており、前記第1の複数のフローベーン(36A)及び前記第2の複数のフローベーン(36B)が、前記汚染燃焼ガス(PG)の流れ方向に対して5度~90度の角度αで「V」字の形状に構成されている、ステップと、
温調流体(TF)を前記1つ又は複数の開口部(37A)を介して前記温調区画(28)内の前記汚染燃焼ガス(PG)に供給し、温度が低下した混合ガス(MG)を得るステップと、
前記温度が低下した混合ガス(CM)を下流の選択的触媒還元システム(38)に供給し、前記汚染燃焼ガス(PG)と比較して汚染物質含有物(NC)が削減された処理ガス(TG)を得るステップ
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本開示は、燃焼ガスの窒素酸化物(NO)および/または炭素酸化物(CO)の削減のための選択的触媒還元システムを備えたガスタービンエンジンシステムに関する。より具体的には、本開示は、選択的触媒還元システムにおける燃焼ガスの窒素酸化物(NO)および/または炭素酸化物(CO)の削減の前に燃焼ガス温度を低下させる温調システムを備えたガスタービンエンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンの燃焼プロセスでは、窒素酸化物(NO)、および他の種類の規制排出物を含む燃焼ガスが生成される。燃焼ガスの窒素酸化物の排出量を削減する1つの解決策は、選択的触媒還元システムを使用して燃焼ガスを処理することである。一般に、窒素酸化物の排出量を削減するために、選択的触媒還元システムは、触媒を含む触媒床に燃焼ガスを通過させる前に、ガスタービンエンジンで生成された燃焼ガスに還元剤、典型的にはアンモニアまたは尿素を添加する。触媒床の触媒は、窒素酸化物および添加された還元剤を選択的に吸着する。吸着された窒素酸化物および還元剤は触媒表面で化学反応を起こし、発生した反応生成物が脱離される。より具体的には、還元剤は、燃焼ガス中の窒素酸化物と反応して水および窒素を生成する。
【0003】
選択的触媒還元システムの全体的な効率は、燃焼ガスの温度に部分的に依存し得る。選択的触媒還元システムにおける燃焼ガスの窒素酸化物の排出量を削減するための燃焼ガスの処理のための効率的な温度範囲は、比較的狭い場合がある。そのため、ガスタービンエンジンで生成された燃焼ガスは、一般に、触媒に達する前に冷却する必要がある。さらに、燃焼ガスは、触媒の上流で均一な温度プロファイルに達する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許出願公開第3214278号明細書
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、選択的触媒還元システムの上流に温調システムを備えたガスタービンエンジンシステムが開示される。選択的触媒還元システムの上流に配置された主題の温調システムは、第1のパイプ配列、第2のパイプ配列を備える少なくとも1つの配列対、および第1のパイプ配列と第2のパイプ配列との間の距離にある混合エリアを備えた温調区画を備える。第1のパイプ配列および第2のパイプ配列は各々、比較的高温環境の自立型パイプを備える。いくつかの実施形態では、第1のパイプ配列および第2のパイプ配列は、複数のフローベーンを備える。第1のパイプ配列および第2のパイプ配列を有する1つの配列対のみが、限定ではなく単純化および明確化の目的で主題の開示全体にわたって説明および図示されている。そのようなものとして、主題の温調区画は、関連する選択的触媒還元システムの動作要件に応じて、1~20以上の配列対を備えてもよい。温調区画内では、空気などの温調流体の供給により、ガスタービンエンジンシステムのガスタービンによって生成された燃焼ガスを冷却し、燃焼ガスと混合して、温調区画の断面にわたって比較的均一な温度プロファイルの比較的低温の混合ガスを発生する。次に、比較的均一な温度プロファイルの比較的低温の混合ガスは、温調区画から関連する選択的触媒還元システムに流入する。
【0006】
また、本明細書では、燃焼ガス汚染物質の削減のための選択的触媒還元システムの処理の前に燃焼ガスを冷却するために、選択的触媒還元システムの上流に温調システムを備えたガスタービンエンジンシステムを使用する方法が開示される。方法は、ガスタービンエンジンによって生成された燃焼ガスを第1のパイプ配列、第2のパイプ配列を備える少なくとも1つの配列対、および第1のパイプ配列と第2のパイプ配列との間の距離にある混合エリアを備えた温調区画を備える温調システムに供給することを含む。第1のパイプ配列および第2のパイプ配列は、比較的高温環境の自立型パイプを備え、いくつかの実施形態では、各第1のパイプ配列および第2のパイプ配列内に配置された複数のフローベーンを備える。第1のパイプ配列および第2のパイプ配列は、空気などの温調流体を温調区画を通って流れる燃焼ガスに供給する。第1のパイプ配列および第2のパイプ配列はまた、複数のフローベーンの有無にかかわらず、温調区画内の温調流体および燃焼ガスの流れを迂回させ、温調区画の断面にわたって比較的均一な温度プロファイルの比較的低温の混合ガスを発生する。温調システムから、比較的均一な温度プロファイルの比較的低温の混合ガスは、汚染物質の削減のために比較的低温の混合ガスの処理のための触媒を備える関連する下流の選択的触媒還元システムに供給される。
【0007】
要約すると、主題のガスタービンエンジンシステムは、ガスタービンエンジンと、入口、出口、第1のパイプ配列および距離を置いて配置された第2のパイプ配列を備える少なくとも1つの配列対、第1のパイプ配列と第2のパイプ配列との間の距離にある混合エリアであって、第1のパイプ配列は、第1の複数のパイプを備え、第2のパイプ配列は、第2の複数のパイプを備える混合エリア、ならびに第1の複数のパイプおよび第2の複数のパイプの各パイプの1つまたは複数の開口部を備える温調区画を備える温調システムと、選択的触媒還元システムとを備える。主題のガスタービンエンジンシステムは、第1のパイプ配列内に配置されたフローベーンと、温調流体を複数の開口部を介して温調区画に供給するように動作可能な温調流体供給部とをさらに備える。主題のガスタービンエンジンシステムの一実施形態では、第1のパイプ配列は、温調区画の対向する側壁間に水平に延びるように配置される。主題のガスタービンエンジンシステムの別の実施形態では、第1のパイプ配列は、温調区画の底部から頂部に垂直に延びるように配置される。主題のガスタービンエンジンシステムによれば、1つまたは複数の開口部は、温調流体を複数の方向で温調区画に供給する。主題のシステムの一実施形態では、フローベーンは、第1のパイプ配列内に配置され、第2のパイプ配列内に配置される。また、主題のシステムの一実施形態によれば、1つまたは複数の開口部は、パイプの第1の端部領域、パイプの中間領域、パイプの第2の端部領域、またはそれらの組み合わせにパイプの全長に沿って配置される。
【0008】
要約すると、ガスタービンエンジンシステムを使用する方法は、ガスタービンエンジンによって生成された汚染物質含有物を含む汚染燃焼ガスを下流の温調システムに供給することであって、温調システムは、入口、出口、第1のパイプ配列および距離を置いて配置された第2のパイプ配列を備える少なくとも1つの配列対、第1のパイプ配列と第2のパイプ配列との間の距離にある混合エリアであって、第1のパイプ配列は、第1の複数のパイプを備え、第2のパイプ配列は、第2の複数のパイプを備える混合エリア、ならびに第1の複数のパイプおよび第2の複数のパイプの各パイプの1つまたは複数の開口部を備える温調区画を備えることと、温調流体を1つまたは複数の開口部を介して温調区画内の汚染燃焼ガスに供給し、温度が低下した混合ガスを得ることと、温度が低下した混合ガスを下流の選択的触媒還元システムに供給し、汚染燃焼ガスと比較して汚染物質含有物が削減された処理ガスを得ることとを含む。また、主題の方法によれば、フローベーンは、第1のパイプ配列内に配置されるか、またはフローベーンは、第1のパイプ配列と第2のパイプ配列の両方内に配置される。主題の方法による温調流体は、空気または冷却空気である。また、主題の方法によれば、第1のパイプ配列は、温調区画の対向する側壁間を延びるように水平に配置されるか、または第1のパイプ配列は、温調区画の底部から頂部に延びるように垂直に配置される。さらに、主題の方法によれば、1つまたは複数の開口部は、温調流体を複数の方向で温調区画に供給する。1つまたは複数の開口部は、パイプの第1の端部領域、パイプの中間領域、パイプの第2の端部領域、またはそれらの組み合わせにパイプの全長に沿って配置される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】主題の開示による温調システムおよび選択的触媒還元システムを備えたガスタービンエンジンシステムの概略側面断面図である。
図2図1の温調システムの第1の実施形態の概略上面断面図である。
図3図2の温調システムの第1の実施形態の概略側面断面図である。
図4図2の温調システムの第1の実施形態の変形例の概略側面断面図である。
図5図1の温調システムの第2の実施形態の概略上面断面図である。
図6図5の温調システムの第2の実施形態の概略側面断面図である。
図7図5の温調システムの第2の実施形態の変形例の概略側面断面図である。
図8図1の温調システムの第3の実施形態の概略上面断面図である。
図9図8の温調システムの第3の実施形態の概略側面断面図である。
図10図8の温調システムの第3の実施形態の変形例の概略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、上述の図1図10を参照すると、図に提供された同様の参照番号は、同様の要素を指す。図1には、ガスタービンエンジンシステム10が示されている。そのようなものとして、ガスタービンエンジンシステム10は、ガスタービンエンジン12と、温調システム26と、選択的触媒還元システム38とを備える。ガスタービンエンジン12は、圧縮機14と、ガス供給部16と、燃焼器18と、燃料供給部20と、シャフト22と、外部負荷24とを備える。ガスタービンエンジン12の圧縮機14は、流体接続ダクト16Aを介してガス供給部16から圧縮機14に供給される、例えば空気などのガスGを圧縮し、圧縮ガスCGを生成する。圧縮ガスCGは、圧縮機14から流体接続ダクト14Aを介して燃焼器18に流れる。燃焼器18内では、供給された圧縮ガスCGは、流体接続ダクト20Aを介して燃料供給部20から燃焼器18に供給される加圧燃料流Fと混合される。燃料Fは、天然ガス、様々な種類の合成ガス、液体燃料、または他の燃料および/もしくはそれらの混合物であり得る。混合された圧縮ガスCGと燃料Fは、燃焼器18内で点火され、汚染燃焼ガスPGが燃焼によって生成される。生成された汚染燃焼ガスPGは、窒素酸化物(NO)、炭素酸化物(CO)、および同様の汚染物質を含む。燃焼器18から、汚染燃焼ガスPGは、ダクト18Aを介してガスタービンエンジン12に供給される。供給された汚染燃焼ガスPGは、ガスタービンエンジン12を駆動して機械的仕事MWを発生させる。ガスタービンエンジン12の機械的仕事MWは、シャフト22を介して圧縮機14を駆動し、かつ外部負荷24を駆動する。外部負荷24は、発電機または同様の機器であり得る。
【0011】
温調システム26は、ダクト12Aを介してガスタービンエンジン12に流体接続される。温調システム26の第1の実施形態は、図2図4に示すように、入口壁28B、出口壁28C、頂部28Dおよび底部28Eと一体に形成または取り付けられた対向する側壁28Aを備え、共に内部エリア29を画定する温調区画28を備える。内部エリア29は、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするための第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bを備える、少なくとも1つの配列対30を備える。第1のパイプ配列32Aは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第1の複数のパイプ34を備え、第2のパイプ配列32Bは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第2の複数のパイプ35を備える。第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35は各々、円形が示されているが、円形、正方形、三角形または他の幾何学的形状の比較的高温環境の自立型パイプ34、35を備える。図2図4に示す実施形態によれば、第1の複数のフローベーン36Aは、第1の複数のパイプ34と併せて配置され、第2の複数のフローベーン36Bは、第2の複数のパイプ35と併せて配置される。第1の複数のパイプ34を有する第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のパイプ35を有する第2の複数のフローベーン36Bは各々、配置された内部エリア29の断面Cの面積Zの約10パーセント~約70パーセントをブロックする。第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のフローベーン36Bは、内部エリア29を通る汚染燃焼ガスPGの全体的な流れに対して約5度~約90度の角度αで、文字「V」の形状に構成することができる。そのようなものとして、第1の複数のフローベーン36Aおよび第2の複数のフローベーン36Bの各々の端部36Cは、第1の複数のフローベーン36Aおよび第2の複数のフローベーン36Bの各々の頂点36Dの上流にある。さらに、第1の複数のフローベーン36Aと第2の複数のフローベーン36Bが整列しておらず、つまり第2の複数のフローベーン36Bは、第1の複数のフローベーン36Aの下流にあるが、すぐ後ろにはない。図2および図3に示すこの実施形態によれば、第1の複数のパイプ34、第2の複数のパイプ35、第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のフローベーン36Bは各々、垂直に、すなわち、温調区画28の底部28Eから頂部28Dに、したがって温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに対して概して直角に延びる縦軸A-Aで配置される。図4に示すこの実施形態の変形例によれば、第1の複数のパイプ34、第2の複数のパイプ35、第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のフローベーン36Bは各々、水平に、すなわち、温調区画28の一方の対向する側壁28Aから他方の対向する側壁28Aに(図2に最もよく示されている)、したがって温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに対して概して直角に延びる縦軸B-Bで配置される。図2および図3に示すように、第1のパイプ配列32Aの第1の複数のパイプ34および第2のパイプ配列32Bの第2の複数のパイプ35は各々、2つの端部パイプ33を備える。各端部パイプ33は、対向する側壁28Aに隣接して配置される。同様に、図4に示すように、第1のパイプ配列32Aの第1の複数のパイプ34および第2のパイプ配列32Bの第2の複数のパイプ35は各々、2つの端部パイプ33を備える。各端部パイプ33は、底部28Eまたは頂部28Dに隣接して配置される。さらに、主題の開示によれば、主題の温調区画28は、ガスタービンエンジンシステム10、選択的触媒還元システム38を通る汚染燃焼ガスPGの流れに関して、関連する下流の動作要件に応じて、1~20以上の配列対30を備えることができる。しかし、図2図4には、限定ではなく単純化および明確化の目的で、1つの配列対30のみが示されている。
【0012】
複数の比較的高温環境の自立型パイプ34、35は、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。パイプ34、35は、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に基づいてサイズを変えることができる。パイプ34、35の開口部37Aは、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件を達成するために、円形、正方形、三角形、または任意の他の幾何学的形状などのサイズおよび形状とすることができる。同様に、開口部37Aの各々は、同じであっても異なっていてもよく、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、温調流体TFを内部エリア29内に単一の方向または複数の方向に注入するように動作可能である。好ましくは、温調流体TFは、温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに概して直角な開口部37Aから注入される。
【0013】
複数のフローベーン36A、36Bは、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。
【0014】
温調区画28には、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bのパイプ34、35に流体接続された流体接続ダクト40Aを介して、温調流体供給部40から周囲空気、冷気などの温調流体TFが供給される。温調流体供給部40は、周囲空気を温調流体TFとして供給するファンまたはポンプであり得る。あるいは、温調流体供給部40は、温調流体TFとして供給される冷却空気または冷気を生成する熱交換器または冷却システムであってもよい。温調区画28内では、供給された温調流体TFは、パイプ34、35を通って流れ、パイプ34、35の側面37Bに沿って1つまたは複数の開口部37Aから内部エリア29に注入される。好ましくは、主題の実施形態によれば、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32B内では、開口部37Aは、パイプ34、35の側面37Bと交互に並び、それにより開口部37Aは隣接するパイプ34、35の反対側の側面37Bに配置される。隣接して配置されたパイプ34、35の側面37Bと交互に並ぶ開口部37Aにより、隣接する開口部37Aは、互いに「対面する」または「対向する」ように配置される。また、対面または対向する開口部37Aは、同じであっても異なっていてもよく、単一の方向または複数の方向に注入してもよく、かつ/または互いに整列もしくはオフセットしてもよい。フローベーン36A、36Bは、開口部37Aの反対側の隣接するパイプ34、35の側面37Bに当接または固定される。同様に、フローベーン36A、36Bは、端部パイプ33の側面37Bと、側壁28A(図2および図3)または頂部28Dおよび底部28E(図4)に対向する温調空気区画28との間に当接または固定される。
【0015】
汚染物質含有物NCを有する汚染燃焼ガスPGは、ダクト12Aから入口壁28Bの入口42を通って、温調システム26の温調区画28の内部エリア29に流入する。入口42を通って温調区画28に入る汚染燃焼ガスPGは、比較的高温であり、約650℃に及ぶ温度を有する。温調区画28を通るこの比較的高温の汚染燃焼ガスPGの流れは、フローベーン36Aによって迂回され、したがって比較的高温の汚染燃焼ガスPGが配列対30の第1のパイプ配列32Aの隣接する平行パイプ34間に流される。パイプ34の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがってパイプ34間を流れる比較的高温の汚染燃焼ガスPGに供給する。開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、比較的高温の汚染燃焼ガスPGを冷却し、さらに比較的乱流の混合エリア32Cで汚染燃焼ガスPGと混合し、いくつかのシステム10では約500℃~約600℃の範囲の温度が低下した汚染混合ガスMGを発生する。配列対30の第1のパイプ配列32Aの下流の温調区画28を通る汚染混合ガスMGの流れは、再びフローベーン36Bによって迂回され、したがって汚染混合ガスMGが第2のパイプ配列32Bの隣接するパイプ35間に流される。パイプ35の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがって隣接する平行パイプ35間を流れる汚染混合ガスMGに供給する。パイプ35の開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、汚染混合ガスMGを冷却して汚染混合ガスMGと混合し、約350℃~約500℃の範囲の温度を有するより低温の混合ガスCMを発生する。第2のパイプ配列32Bの下流のより低温の混合ガスCMは、出口壁28Cに平行であり、入口42から出口44への温調区画28を通る汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMG/より低温の混合ガスCMの全体的な流れに対して直角である温調区画28の断面S-Sにわたって比較的均一な温度プロファイルである。比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMを達成することは、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするためのパイプ34、35および距離Wを置いて配置された複数のフローベーン36A、36Bによって促進される。開口部37Aの反対側の各パイプ34、35の各側面37Bに沿って、かつ対向する側壁28Aに沿って配置された複数のフローベーン36A、36Bにより、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGの流れは迂回され、それによって完全な混合が生成され、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGはパイプ34、35間を比較的排他的に流れ、そこから流れる温調流体TFと共に開口部37Aを通過するようになる。結果として生じる比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMは、温調区画28の出口44から流体接続ダクト26Aを介して、関連する選択的触媒還元システム38の入口46に流入する。
【0016】
主題の開示によれば、選択的触媒還元システム38は、入口46および出口64を有するハウジング52によって画定される内部エリア50内に配置された触媒48を備えた1つまたは複数の触媒床48Aを備える。選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に流入するより低温の混合ガスCMは、触媒48の表面54に接触する。触媒48は、酸化バナジウム(V)および/または二酸化チタン(TiO)などの従来の市販の材料のものであってもよい。触媒48は、完全に触媒材料の均質な構造として、または機械的に強いが触媒的に不活性な構造もしくは支持体49上に支持された不均質な触媒コーティングとして存在し得る。触媒48は、任意の適切なサイズ、形状、または構成のものであってもよい。さらに、注入システム56は、例えば入口46に隣接するダクト26A内など、触媒48の上流に位置決めすることができる。注入システム56は、ノズル60および静的ミキサ70を備えた配管58を備える。配管58には、還元剤供給部62が流体接続される。還元剤供給部62は、例えばアンモニアおよび/または尿素などの還元剤RAをパイプ62Aを介して配管58に供給する。配管58から、還元剤RAがノズル60によってより低温の混合ガスCMに注入される。静的ミキサ70は、ノズル60からのより低温の混合ガスCMの流れに対して下流に存在する。静的ミキサ70は、より低温の混合ガスCMが選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に入る前に、より低温の混合ガスCM全体に還元剤RAが均一に分散されるように還元剤RAをより低温の混合ガスCMと混合するように構成される。触媒48は、より低温の混合ガスCMから窒素酸化物および供給された還元剤RAを選択的に吸着し、それによってより低温の混合ガスCMと比較して汚染物質含有物NCが削減された、例えば、窒素酸化物が削減された処理ガスTGを発生する。吸着された窒素酸化物および還元剤RAは、触媒48の表面54で化学反応を起こし、発生した反応生成物が脱離される。より具体的には、還元剤RAは、より低温の混合ガスCM中の窒素酸化物と反応して水および窒素を生成する。発生した処理ガスTGは、さらなる処理のために、または大気への環境保全的な放出のために出口64を介してハウジング52から流出する。
【0017】
主題の温調システム26の第2の実施形態は、図5図7に示すように、入口壁28B、出口壁28C、頂部28Dおよび底部28Eと一体に形成または取り付けられた対向する側壁28Aを備え、共に内部エリア29を画定する温調区画28を備える。内部エリア29は、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするための第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bを備える、少なくとも1つの配列対30を備える。第1のパイプ配列32Aは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第1の複数のパイプ34を備え、第2のパイプ配列32Bは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第2の複数のパイプ35を備える。第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35は各々、円形が示されているが、円形、正方形、三角形または他の幾何学的形状の比較的高温環境の自立型パイプ34、35を備える。図5および図6に示す実施形態によれば、第1の複数のフローベーン36Aは、第1の複数のパイプ34と併せて配置され、第2の複数のフローベーン36Bは、第2の複数のパイプ35と併せて配置される。第1の複数のパイプ34を有する第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のパイプ35を有する第2の複数のフローベーン36Bは各々、配置された内部エリア29の断面Cの面積Zの約10パーセント~約70パーセントをブロックする。第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のフローベーン36Bは、内部エリア29を通る汚染燃焼ガスPGの全体的な流れに対して約5度~約90度の角度αで、文字「V」の形状に構成することができる。そのため、第1の複数のフローベーン36Aの各々の端部36Cは、頂点36Dの上流にある。逆に、第2の複数のフローベーン36Bの各々の端部36Cは、頂点36Dの下流にある。したがって、主題の開示によれば、配列対30内の第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bは、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、同じであっても異なっていてもよい。同様に、温調区画28内の配列対30は、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、同じであっても異なっていてもよい。さらに、第1の複数のフローベーン36Aと第2の複数のフローベーン36Bが整列しており、つまり第2の複数のフローベーン36Bは、第1の複数のフローベーン36Aの下流にあり、すぐ後ろにある。この実施形態によれば、第1の複数のパイプ34、第2の複数のパイプ35、第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のフローベーン36Bは各々、垂直に、すなわち、温調区画28の底部28Eから頂部28Dに、したがって温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに対して概して直角に延びる縦軸A-Aで配置される。図7に示すこの実施形態の変形例によれば、第1の複数のパイプ34、第2の複数のパイプ35、第1の複数のフローベーン36A、および第2の複数のフローベーン36Bは各々、水平に、すなわち、温調区画28の一方の対向する側壁28Aから他方の対向する側壁28Aに、したがって温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに対して概して直角に延びる縦軸B-B(図5に最もよく示されている)で配置される。図5および図6に示すように、第1のパイプ配列32Aの第1の複数のパイプ34および第2のパイプ配列32Bの第2の複数のパイプ35は各々、2つの端部パイプ33を備える。各端部パイプ33は、対向する側壁28Aに隣接して配置される。同様に、図7に示すように、第1のパイプ配列32Aの第1の複数のパイプ34および第2のパイプ配列32Bの第2の複数のパイプ35は各々、2つの端部パイプ33を備える。各端部パイプ33は、底部28Eまたは頂部28Dに隣接して配置される。さらに、主題の開示によれば、主題の温調区画28は、ガスタービンエンジンシステム10、選択的触媒還元システム38を通る汚染燃焼ガスPGの流れに関して、関連する下流の動作要件に応じて、1~20以上の配列対30を備えることができる。しかし、図5図7には、限定ではなく単純化および明確化の目的で、1つの配列対30のみが示されている。
【0018】
複数の比較的高温環境の自立型パイプ34、35は、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。パイプ34、35は、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に基づいてサイズを変えることができる。パイプ34、35の開口部37Aは、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件を達成するために、円形、正方形、三角形、または任意の他の幾何学的形状などのサイズおよび形状とすることができる。同様に、開口部37Aの各々は、同じであっても異なっていてもよく、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、温調流体TFを内部エリア29内に単一の方向または複数の方向に注入するように動作可能である。好ましくは、温調流体TFは、温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに概して直角な開口部37Aから注入される。
【0019】
複数のフローベーン36A、36Bは、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。
【0020】
温調区画28には、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bのパイプ34、35に流体接続された流体接続ダクト40Aを介して、温調流体供給部40から周囲空気、冷気などの温調流体TFが供給される。温調流体供給部40は、周囲空気を温調流体TFとして供給するファンまたはポンプであり得る。あるいは、温調流体供給部40は、温調流体TFとして供給される冷却空気または冷気を生成する熱交換器または冷却システムであってもよい。温調区画28内では、供給された温調流体TFは、パイプ34、35を通って流れ、パイプ34、35の側面37Bに沿って1つまたは複数の開口部37Aから内部エリア29に注入される。好ましくは、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32B内では、開口部37Aは、パイプ34、35の側面37Bと交互に並び、それにより開口部37Aは隣接するパイプ34、35の反対側の側面37Bに配置される。隣接して配置されたパイプ34、35の側面37Bと交互に並ぶ開口部37Aにより、隣接する開口部37Aは、互いに「対面する」または「対向する」ように配置される。また、対面または対向する開口部37Aは、同じであっても異なっていてもよく、単一の方向または複数の方向に注入してもよく、かつ/または互いに整列もしくはオフセットしてもよい。フローベーン36A、36Bは、開口部37Aの反対側の隣接するパイプ34、35の側面37Bに当接または固定される。同様に、フローベーン36A、36Bは、端部パイプ33の側面37Bと側壁28Aに対向する温調空気区画28との間に当接または固定される。
【0021】
汚染物質含有物NCを有する汚染燃焼ガスPGは、ダクト12Aから入口壁28Bの入口42を通って、温調システム26の温調区画28の内部エリア29に流入する。入口42を通って温調区画28に入る汚染燃焼ガスPGは、比較的高温であり、約650℃に及ぶ温度を有する。温調区画28を通るこの比較的高温の汚染燃焼ガスPGの流れは、フローベーン36Aによって迂回され、したがって比較的高温の汚染燃焼ガスPGが配列対30の第1のパイプ配列32Aの隣接する平行パイプ34間に流される。パイプ34の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがってパイプ34間を流れる比較的高温の汚染燃焼ガスPGに供給する。開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、比較的高温の汚染燃焼ガスPGを冷却し、さらに比較的乱流の混合エリア32Cで汚染燃焼ガスPGと混合し、いくつかのシステム10では約500℃~約600℃の範囲の温度が低下した汚染混合ガスMGを発生する。配列対30の第1のパイプ配列32Aの下流の温調区画28を通る汚染混合ガスMGの流れは、再びフローベーン36Bによって迂回され、したがって汚染混合ガスMGが第2のパイプ配列32Bの隣接するパイプ35間に流される。パイプ35の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがって隣接する平行パイプ35間を流れる汚染混合ガスMGに供給する。パイプ35の開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、汚染混合ガスMGを冷却して汚染混合ガスMGと混合し、約350℃~約500℃の範囲の温度を有するより低温の混合ガスCMを発生する。第2のパイプ配列32Bの下流のより低温の混合ガスCMは、出口壁28Cに平行であり、入口42から出口44への温調区画28を通る汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMG/より低温の混合ガスCMの全体的な流れに対して直角である温調区画28の断面S-Sにわたって比較的均一な温度プロファイルである。比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMを達成することは、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするためのパイプ34、35および距離Wを置いて配置された複数のフローベーン36A、36Bによって促進される。開口部37Aの反対側の各パイプ34、35の各側面37Bに沿って、かつ対向する側壁28Aに沿って配置された複数のフローベーン36A、36Bにより、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGの流れは迂回され、それによって完全な混合が生成され、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGはパイプ34、35間を比較的排他的に流れ、そこから流れる温調流体TFと共に開口部37Aを通過するようになる。結果として生じる比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMは、温調区画28の出口44から流体接続ダクト26Aを介して、関連する選択的触媒還元システム38の入口46に流入する。
【0022】
主題の開示によれば、選択的触媒還元システム38は、入口46および出口64を有するハウジング52によって画定される内部エリア50内に配置された触媒48を備えた1つまたは複数の触媒床48Aを備える。選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に流入するより低温の混合ガスCMは、触媒48の表面54に接触する。触媒48は、酸化バナジウム(V)および/または二酸化チタン(TiO)などの従来の市販の材料のものであってもよい。触媒48は、完全に触媒材料の均質な構造として、または機械的に強いが触媒的に不活性な構造もしくは支持体49上に支持された不均質な触媒コーティングとして存在し得る。触媒48は、任意の適切なサイズ、形状、または構成のものであってもよい。さらに、注入システム56は、例えば入口46に隣接するダクト26A内など、触媒48の上流に位置決めすることができる。注入システム56は、ノズル60および静的ミキサ70を備えた配管58を備える。配管58には、還元剤供給部62が流体接続される。還元剤供給部62は、例えばアンモニアおよび/または尿素などの還元剤RAをパイプ62Aを介して配管58に供給する。配管58から、還元剤RAがノズル60によってより低温の混合ガスCMに注入される。静的ミキサ70は、ノズル60のより低温の混合ガスCMの流れに対して下流に存在する。静的ミキサ70は、より低温の混合ガスCMが選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に入る前に、より低温の混合ガスCM全体に還元剤RAが均一に分散されるように還元剤RAをより低温の混合ガスCMと混合するように構成される。触媒48は、より低温の混合ガスCMから窒素酸化物および供給された還元剤RAを選択的に吸着し、それによってより低温の混合ガスCMと比較して汚染物質含有物NCが削減された、例えば、窒素酸化物が削減された処理ガスTGを発生する。吸着された窒素酸化物および還元剤RAは、触媒48の表面54で化学反応を起こし、発生した反応生成物が脱離される。より具体的には、還元剤RAは、より低温の混合ガスCM中の窒素酸化物と反応して水および窒素を生成する。発生した処理ガスTGは、さらなる処理のために、または大気への環境保全的な放出のために出口64を介してハウジング52から流出する。
【0023】
主題の温調システム26の第3の実施形態は、図8図10に示すように、入口壁28B、出口壁28C、頂部28Dおよび底部28Eと一体に形成または取り付けられた対向する側壁28Aを備え、共に内部エリア29を画定する温調区画28を備える。内部エリア29は、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするための第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bを備える、少なくとも1つの配列対30を備える。第1のパイプ配列32Aは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第1の複数のパイプ34を備え、第2のパイプ配列32Bは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第2の複数のパイプ35を備える。第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35は各々、円形が示されているが、円形、正方形、三角形または他の幾何学的形状の比較的高温環境の自立型パイプ34、35を備える。図8図10に示す実施形態によれば、第1のパイプ配列32Aは、側面37Bの接触により側面37Bに概して配置されるか、あるいは比較的わずかに離間して配置されたパイプ34のグループ31を備える。パイプ34のグループ31間には、それらの間の汚染燃焼ガスPCの流れのための流路FPを画定する距離Yが存在する。第2のパイプ配列32Bは、側面37Bの接触により側面37Bに概して配置されるか、あるいは比較的わずかに離間して配置されたパイプ35のグループ31を備える。パイプ35のグループ31間には、それらの間の汚染混合ガスMGの流れのための流路FPを画定する距離Yが存在する。第1の複数のパイプ34、および第2の複数のパイプ35は各々、グループ31に配置され、配置された内部エリア29の断面Cの面積Zの約10パーセント~約70パーセントをブロックする。第1の複数のパイプ34、および第2の複数のパイプの各々のグループ31は、文字「V」の形状に概して配置され、内部エリア29を通る汚染燃焼ガスPGの全体的な流れに対して約5度~約90度の角度αを形成し得る。そのため、第1の複数のパイプ34のグループ31の端部パイプ36Eは、中央パイプ36Fの上流にある。逆に、第2の複数のパイプ35のグループ31の端部パイプ36Eは、中央パイプ36Fの下流にある。したがって、主題の開示によれば、配列対30内の第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bは、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、同じであっても異なっていてもよい。同様に、温調区画28内の配列対30は、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、同じであっても異なっていてもよい。さらに、第1の複数のパイプ34のグループ31と第2の複数のパイプ35のグループ31が整列しており、つまり第2の複数のパイプ35のグループ31は、第1の複数のパイプ34のグループ31の下流にあり、すぐ後ろにある。パイプ34、35は、細長いパイプ34、35の全長に沿った開口部37Aからの温調流体TFの流れのために構成されるか、またはパイプ34、35の第1の端部領域31Aの1つまたは複数の開口部37Aのみ、パイプ34、35の中間領域31Bの1つまたは複数の開口部37Aのみ、もしくはパイプ34、35の第2の端部領域31Cの1つまたは複数の開口部37Aのみへの温調流体TFの流れのために構成されてもよい。そのようなものとして、開口部37Aは、温調区画28を通る汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGの流れ、温調流体TFの注入に関して、下流のパイプ34の側面37Bに配置される。反対に、開口部37Aは、温調区画28を通る汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGの流れ、温調流体TFの注入に関して、上流のパイプ35の側面37Bに配置される。図8および図9の実施形態によれば、第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35は各々、垂直に、すなわち、温調区画28の底部28Eから頂部28Dに、したがって温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに対して概して直角に延びる縦軸A-Aで配置される。図10に示すこの実施形態の変形例によれば、第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35は各々、水平に、すなわち、温調区画28の対向する側壁28Aから、したがって温調区画28を通る汚染燃焼ガスPGの流れに対して概して直角に延びる縦軸B-Bで配置される。主題の開示によれば、主題の温調区画28は、ガスタービンエンジンシステム10、選択的触媒還元システム38を通る汚染燃焼ガスPGの流れに関して、関連する下流の動作要件に応じて、1~20以上の配列対30を備えることができる。しかし、図8図10には、限定ではなく単純化および明確化の目的で、1つの配列対30のみが示されている。
【0024】
複数の比較的高温環境の自立型パイプ34、35は、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。パイプ34、35は、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に基づいてサイズを変えることができる。パイプ34、35の開口部37Aは、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件を達成するために、円形、正方形、三角形、または任意の他の幾何学的形状などのサイズおよび形状とすることができる。同様に、開口部37Aの各々は、同じであっても異なっていてもよく、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、温調流体TFを内部エリア29内に単一の方向または複数の方向に注入するように動作可能である。
【0025】
温調区画28には、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bのパイプ34、35に流体接続された流体接続ダクト40Aを介して、温調流体供給部40から周囲空気、冷気などの温調流体TFが供給される。温調流体供給部40は、周囲空気を温調流体TFとして供給するファンまたはポンプであり得る。あるいは、温調流体供給部40は、温調流体TFとして供給される冷却空気または冷気を生成する熱交換器または冷却システムであってもよい。温調区画28内では、供給された温調流体TFは、パイプ34、35を通って流れ、パイプ34、35の側面37Bに沿って1つまたは複数の開口部37Aから内部エリア29に注入される。好ましくは、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32B内では、開口部37Aは、側面37Bと交互に並び、それにより開口部37Aはパイプ34による下流注入およびパイプ35による上流注入のためにパイプ34、35の反対側の側面37Bに配置される。また、開口部37Aは、同じであっても異なっていてもよく、単一の方向または複数の方向に注入してもよく、互いに整列もしくはオフセットしてもよく、かつ/またはパイプ34、35の全長、第1の端部領域31A、中間領域31B、および/もしくは第2の端部領域31Cからの注入のために配置されてもよい。
【0026】
汚染物質含有物NCを有する汚染燃焼ガスPGは、ダクト12Aから入口壁28Bの入口42を通って、温調システム26の温調区画28の内部エリア29に流入する。入口42を通って温調区画28に入る汚染燃焼ガスPGは、比較的高温であり、約650℃に及ぶ温度を有する。温調区画28を通るこの比較的高温の汚染燃焼ガスPGの流れは、パイプ34のグループ31によって迂回され、したがって比較的高温の汚染燃焼ガスPGが配列対30の第1のパイプ配列32Aのパイプ34のグループ31間の流路FPに流される。パイプ34の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがってパイプ34間の流路FPを流れる比較的高温の汚染燃焼ガスPGに供給する。開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、比較的高温の汚染燃焼ガスPGを冷却し、さらに比較的乱流の混合エリア32Cで汚染燃焼ガスPGと混合し、いくつかのシステム10では約500℃~約600℃の範囲の温度が低下した汚染混合ガスMGを発生する。配列対30の第1のパイプ配列32Aの下流の温調区画28を通る汚染混合ガスMGの流れは、パイプ35のグループ31によって再び迂回され、したがって比較的高温の汚染燃焼ガスPGが配列対30の第2のパイプ配列32Bのパイプ35のグループ31間の流路FPに流される。パイプ35の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがってパイプ35間の流路FPを流れる汚染混合ガスMGに供給する。パイプ35の開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、汚染混合ガスMGを冷却して汚染混合ガスMGと混合し、約350℃~約500℃の範囲の温度を有するより低温の混合ガスCMを発生する。第2のパイプ配列32Bの下流のより低温の混合ガスCMは、出口壁28Cに平行であり、入口42から出口44への温調区画28を通る汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMG/より低温の混合ガスCMの全体的な流れに対して直角である温調区画28の断面S-Sにわたって比較的均一な温度プロファイルである。比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMを達成することは、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするための第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bによって促進される。パイプ34、35のグループ31に配置された第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bにより、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGの流れは迂回され、それによって完全な混合が生成され、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGはパイプ34、35間の流路FPを比較的排他的に流れ、そこから流れる温調流体TFと共に開口部37Aを通過するようになる。結果として生じる比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMは、温調区画28の出口44から流体接続ダクト26Aを介して、関連する選択的触媒還元システム38の入口46に流入する。
【0027】
主題の開示によれば、選択的触媒還元システム38は、入口46および出口64を有するハウジング52によって画定される内部エリア50内に配置された触媒48を備えた1つまたは複数の触媒床48Aを備える。選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に流入するより低温の混合ガスCMは、触媒48の表面54に接触する。触媒48は、酸化バナジウム(V)および/または二酸化チタン(TiO)などの従来の市販の材料のものであってもよい。触媒48は、完全に触媒材料の均質な構造として、または機械的に強いが触媒的に不活性な構造もしくは支持体49上に支持された不均質な触媒コーティングとして存在し得る。触媒48は、任意の適切なサイズ、形状、または構成のものであってもよい。さらに、注入システム56は、例えば入口46に隣接するダクト26A内など、触媒48の上流に位置決めすることができる。注入システム56は、ノズル60および静的ミキサ70を備えた配管58を備える。配管58には、還元剤供給部62が流体接続される。還元剤供給部62は、例えばアンモニアおよび/または尿素などの還元剤RAをパイプ62Aを介して配管58に供給する。配管58から、還元剤RAがノズル60によってより低温の混合ガスCMに注入される。静的ミキサ70は、ノズル60のより低温の混合ガスCMの流れに対して下流に存在する。静的ミキサ70は、より低温の混合ガスCMが選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に入る前に、より低温の混合ガスCM全体に還元剤RAが均一に分散されるように還元剤RAをより低温の混合ガスCMと混合するように構成される。触媒48は、より低温の混合ガスCMから窒素酸化物および供給された還元剤RAを選択的に吸着し、それによってより低温の混合ガスCMと比較して汚染物質含有物NCが削減された、例えば、窒素酸化物が削減された処理ガスTGを発生する。吸着された窒素酸化物および還元剤RAは、触媒48の表面54で化学反応を起こし、発生した反応生成物が脱離される。より具体的には、還元剤RAは、より低温の混合ガスCM中の窒素酸化物と反応して水および窒素を生成する。発生した処理ガスTGは、さらなる処理のために、または大気への環境保全的な放出のために出口64を介してハウジング52から流出する。
【0028】
主題の開示によるガスタービンエンジンシステム10を使用する方法は、各々がガスタービンエンジン12への流体接続を有する温調システム26および選択的触媒還元システム38を配置することと、ガスタービンエンジン12の燃焼器18が生成した汚染燃焼ガスPGの汚染物質に吸着し、汚染物質含有物が削減された、例えば、窒素酸化物および/または炭素酸化物含有物が削減された処理ガスTGを得ることとを含む。そのような方法によれば、主題のガスタービンエンジンシステム10のガスタービンエンジン12は、圧縮機14と、ガス供給部16と、燃焼器18と、燃料供給部20と、シャフト22と、外部負荷24とを備える。ガスタービンエンジン12の圧縮機14は、流体接続ダクト16Aを介してガス供給部16から圧縮機14に供給される、例えば空気などのガスGを圧縮し、それによって圧縮ガスCGを生成する。圧縮ガスCGは、圧縮機14から流体接続ダクト14Aを介して燃焼器18に流れる。燃焼器18内では、供給された圧縮ガスCGは、流体接続ダクト20Aを介して燃料供給部20から燃焼器18に供給される加圧燃料流Fと混合される。燃料Fは、天然ガス、様々な種類の合成ガス、液体燃料、他の燃料および/またはそれらの混合物であり得る。燃焼器18内で混合された圧縮ガスCGと燃料Fに点火すると、燃焼を介して汚染燃焼ガスPGが生成される。生成された汚染燃焼ガスPGは、窒素酸化物(NO)、炭素酸化物(CO)、および同様の規制汚染物質を含む。燃焼器18から、汚染燃焼ガスPGは、ダクト18Aを介してガスタービンエンジン12に供給される。供給された汚染燃焼ガスPGは、ガスタービンエンジン12を駆動して機械的仕事MWを発生させる。ガスタービンエンジン12の機械的仕事MWは、シャフト22を介して圧縮機14を駆動し、かつ外部負荷24を駆動する。外部負荷24は、発電機または同様の機器であり得る。
【0029】
温調システム26は、ダクト12Aを介してガスタービンエンジン12に流体接続される。温調システム26は、入口壁28B、出口壁28C、頂部28Dおよび底部28Eと一体に形成または取り付けられた対向する側壁28Aを備え、共に内部エリア29を画定する温調区画28を備える。内部エリア29は、少なくとも1つの配列対30を備える。少なくとも1つの配列対30の各々は、それらの間の比較的乱流の混合エリア32Cにおける流体混合を可能にするための第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bを備える。第1のパイプ配列32Aは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第1の複数のパイプ34を備え、第2のパイプ配列32Bは、1つまたは複数の開口部37Aを有する第2の複数のパイプ35を備える。主題の開示によれば、主題の温調区画28は、ガスタービンエンジンシステム10、選択的触媒還元システム38を通る汚染燃焼ガスPGの流れに関して、関連する下流の動作要件に応じて、1~20以上の配列対30を備えることができる。しかし、図1図10には、限定ではなく単純化および明確化の目的で、1つの配列対30のみが示されている。
【0030】
複数の比較的高温環境の自立型パイプ34、35は、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。パイプ34、35は、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に基づいてサイズを変えることができる。パイプ34、35の開口部37Aは、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件を達成するために、円形、正方形、三角形、または任意の他の幾何学的形状などのサイズおよび形状とすることができる。同様に、開口部37Aの各々は、同じであっても異なっていてもよく、選択的触媒還元システム38の最適な動作のための温調流体TFの要件に応じて、温調流体TFを内部エリア29内に単一の方向または複数の方向に注入するように動作可能である。
【0031】
複数のフローベーン36A、36Bは、好ましくは、約1000℃の高さの温度に達する環境内で安定した材料から製作される。そのような材料の例は、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのSandmeyer Steel Companyから市販されている合金耐熱ステンレス鋼321H SS、およびそれと同様の利用可能な金属製品を含む。
【0032】
温調区画28には、第1のパイプ配列32Aおよび第2のパイプ配列32Bのパイプ34、35に流体接続された流体接続ダクト40Aを介して、温調流体供給部40から空気などの温調流体TFが供給される。温調流体供給部40は、周囲空気を温調流体TFとして供給するファンまたはポンプであり得る。あるいは、温調流体供給部40は、温調流体TFとして供給される冷却空気を生成する冷却システムであってもよい。温調区画28内では、供給された温調流体TFは、パイプ34、35を通って流れ、パイプ34、35の側面37Bに沿って開口部37Aから流出する。
【0033】
汚染物質含有物NCを有する汚染燃焼ガスPGは、ダクト12Aから入口壁28Bの入口42を通って、温調システム26の温調区画28の内部エリア29に流入する。入口42を通って温調区画28に入る汚染燃焼ガスPGは、比較的高温であり、約650℃に及ぶ温度を有する。温調区画28を通るこの比較的高温の汚染燃焼ガスPGの流れは、パイプ34および任意にフローベーン36Aによって迂回され、したがって比較的高温の汚染燃焼ガスPGが第1のパイプ配列32Aのパイプ34間に流される。パイプ34の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがってパイプ34間を流れる比較的高温の汚染燃焼ガスPGに供給する。開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、比較的高温の汚染燃焼ガスPGを冷却し、汚染燃焼ガスPGと混合し、いくつかのシステム10では約500℃~約600℃の範囲の温度が低下した汚染混合ガスMGを発生する。第1のパイプ配列32Aの下流の温調区画28を通る汚染混合ガスMGの流れは、再びパイプ35および任意にフローベーン36Bによって迂回され、したがって汚染混合ガスMGが第2のパイプ配列32Bのパイプ35間に流される。パイプ35の開口部37Aは、温調流体TFを温調区画28に、したがってパイプ35間を流れる汚染混合ガスMGに供給する。開口部37Aを介して温調区画28に供給される温調流体TFは、汚染混合ガスMGを冷却して汚染混合ガスMGと混合し、約350℃~約500℃の範囲の温度を有するより低温の混合ガスCMを発生する。第2のパイプ配列32Bの下流のより低温の混合ガスCMは、出口壁28Cに平行であり、入口42から出口44への温調区画28を通る汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMG/より低温の混合ガスCMの全体的な流れに対して直角である温調区画28の断面S-Sにわたって比較的均一な温度プロファイルである。比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMを達成することは、パイプ34、35、第1の複数のフローベーン36Aおよび第2の複数のフローベーン36B、または温調区画28内に配置されたパイプ34、35のグループ31によって促進される。パイプ34、35、第1の複数のフローベーン36Aおよび第2の複数のフローベーン36Bにより、または温調区画28内に配置されたパイプ34、35のグループ31によって、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGの流れは迂回され、それによって完全な混合が生成され、汚染燃焼ガスPC/汚染混合ガスMGはそこから流れる温調流体TFと共に開口部37Aを通過して流れるようになる。結果として生じる比較的均一な温度プロファイルのより低温の混合ガスCMは、温調区画28の出口44から流体接続ダクト26Aを介して、関連する選択的触媒還元システム38の入口46に流入する。
【0034】
主題の開示によれば、選択的触媒還元システム38は、入口46および出口64を有するハウジング52によって画定される内部エリア50内に配置された触媒48を備えた1つまたは複数の触媒床48Aを備える。選択的触媒還元システム38のハウジング52の入口46に流入するより低温の混合ガスCMは、触媒48の表面54に接触する。触媒48は、酸化バナジウム(V)および/または二酸化チタン(TiO)などの従来の市販の材料のものであってもよい。触媒48は、完全に触媒材料の均質な構造として、または機械的に強いが触媒的に不活性な構造もしくは支持体49上に支持された不均質な触媒コーティングとして存在し得る。触媒48は、任意の適切なサイズ、形状、または構成のものであってもよい。さらに、注入システム56は、例えば入口46に隣接するダクト26A内など、触媒48の上流に位置決めすることができる。注入システム56は、ノズル60および静的ミキサ70を備えた配管58を備える。配管58には、還元剤供給部62が流体接続される。還元剤供給部62は、例えばアンモニアおよび/または尿素などの還元剤RAを配管58に供給する。配管58から、還元剤RAがノズル60によってより低温の混合ガスCMに注入される。触媒48は、より低温の混合ガスCMから窒素酸化物および供給された還元剤RAを選択的に吸着し、それによってより低温の混合ガスCMと比較して汚染物質含有物が削減された、例えば、窒素酸化物が削減された処理ガスTGを発生する。吸着された窒素酸化物および還元剤RAは、触媒48の表面54で化学反応を起こし、発生した反応生成物が脱離される。より具体的には、還元剤RAは、より低温の混合ガスCM中の窒素酸化物と反応して水および窒素を生成する。発生した処理ガスTGは、さらなる処理のために、または大気への環境保全的な放出のために出口64を介してハウジング52から流出する。
【0035】
要約すると、主題のガスタービンエンジンシステム10は、ガスタービンエンジン12と、入口42、出口44、第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bを備える少なくとも1つの配列対30、第1のパイプ配列32Aと第2のパイプ配列32Bとの間の距離Wにある混合エリア32Cであって、第1のパイプ配列32Aは、第1の複数のパイプ34を備え、第2のパイプ配列32Bは、第2の複数のパイプ35を備える混合エリア32C、ならびに第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35の各パイプ34、35の1つまたは複数の開口部37Aを備える温調区画28を備える温調システム26と、選択的触媒還元システム38とを備える。主題のガスタービンエンジンシステム10は、第1のパイプ配列32A内に配置されたフローベーン36Aと、温調流体TFを複数の開口部37Aを介して温調区画28に供給するように動作可能な温調流体供給部40とをさらに備える。主題のガスタービンエンジンシステム10の一実施形態では、第1のパイプ配列32Aは、温調区画28の対向する側壁28A間に水平に延びるように配置される。主題のガスタービンエンジンシステム10の一実施形態では、第1のパイプ配列32Aは、温調区画28の底部28Eから頂部28Dに垂直に延びるように配置される。主題のガスタービンエンジンシステム10によれば、1つまたは複数の開口部37Aは、温調流体TFを複数の方向で温調区画28に供給する。主題のシステム10の一実施形態では、フローベーン36A、36Bは、第1のパイプ配列32A内に配置され、第2のパイプ配列32B内に配置される。また、主題のシステム10の一実施形態によれば、1つまたは複数の開口部37Aは、パイプ34、35の第1の端部領域31A、パイプ34、35の中間領域31B、パイプ34、35の第2の端部領域31C、またはそれらの組み合わせにパイプ34、35の全長に沿って配置される。
【0036】
要約すると、ガスタービンエンジンシステム10を使用する方法は、ガスタービンエンジン12によって生成された汚染物質含有物NCを含む汚染燃焼ガスPGを下流の温調システム26に供給することであって、温調システム26は、入口42、出口44、第1のパイプ配列32Aおよび距離Wを置いて配置された第2のパイプ配列32Bを備える少なくとも1つの配列対30、第1のパイプ配列32Aと第2のパイプ配列32Bとの間の距離Wにある混合エリア32Cであって、第1のパイプ配列32Aは、第1の複数のパイプ34を備え、第2のパイプ配列32Bは、第2の複数のパイプ35を備える混合エリア32C、ならびに第1の複数のパイプ34および第2の複数のパイプ35の各パイプ34、35の1つまたは複数の開口部37Aを備える温調区画28を備えることと、温調流体TFを1つまたは複数の開口部37Aを介して温調区画28内の汚染燃焼ガスPGに供給し、温度が低下した混合ガスMGを得ることと、温度が低下した混合ガスCMを下流の選択的触媒還元システム38に供給し、汚染燃焼ガスPGと比較して汚染物質含有物NCが削減された処理ガスTGを得ることとを含む。また、主題の方法によれば、フローベーン36Aは、第1のパイプ配列32A内に配置されるか、またはフローベーン36A、36Bは、第1のパイプ配列32Aと第2のパイプ配列32Bの両方内に配置される。主題の方法による温調流体TFは、空気または冷却空気である。また、主題の方法によれば、第1のパイプ配列32Aは、温調区画28の対向する側壁28A間を延びるように水平に配置されるか、または第1のパイプ配列32Aは、温調区画28の底部28Eから頂部28Dに延びるように垂直に配置される。さらに、主題の方法によれば、1つまたは複数の開口部37Aは、温調流体TFを複数の方向で温調区画28に供給する。1つまたは複数の開口部37Aは、パイプ34、35の第1の端部領域31A、パイプ34、35の中間領域31B、パイプ34、35の第2の端部領域31C、またはそれらの組み合わせにパイプ34、35の全長に沿って配置される。
【0037】
主題の開示について多数の実施形態を参照して説明してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、またその要素を等価物で置き換えることができることは、当業者には理解されるであろう。加えて、本開示の本質的な範囲を逸脱せずに特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本開示は、主題のシステムおよび方法について開示された特定の実施形態に限定されないが、主題の開示は、添付の特許請求の範囲に該当するすべての実施形態を含むことが意図される。さらに、「第1の」、「第2の」などの用語の使用は、いかなる順序または重要性も意味するものではなく、むしろ1つの要素と別の要素とを区別するために使用される。さらに、「下流」および「上流」という用語の使用は、ガスタービンエンジンシステム10を通る煙道ガスFGの流れの全体の一般的な方向に関して相対的である。
【符号の説明】
【0038】
10 ガスタービンエンジンシステム
12 ガスタービンエンジン
12A ダクト
14 圧縮機
14A 流体接続ダクト
16 ガス供給部
16A 流体接続ダクト
18 燃焼器
18A ダクト
20 燃料供給部
20A 流体接続ダクト
22 シャフト
24 外部負荷
26 温調システム
26A 流体接続ダクト
28 温調区画、温調空気区画
28A 対向する側壁
28B 入口壁
28C 出口壁
28D 頂部
28E 底部
29 内部エリア
30 配列対
31 パイプのグループ
31A 第1の端部領域
31B 中間領域
31C 第2の端部領域
32A 第1のパイプ配列
32B 第2のパイプ配列
32C 混合エリア
33 端部パイプ
34 第1の複数のパイプ、自立型パイプ、平行パイプ
35 第2の複数のパイプ、自立型パイプ、平行パイプ
36A 第1の複数のフローベーン
36B 第2の複数のフローベーン
36C 端部
36D 頂点
36E 端部パイプ
36F 中央パイプ
37A 開口部
37B 側面
38 選択的触媒還元システム
40 温調流体供給部
40A 流体接続ダクト
42 入口
44 出口
46 入口
48 触媒
48A 触媒床
49 支持体
50 内部エリア
52 ハウジング
54 表面
56 注入システム
58 配管
60 ノズル
62 還元剤供給部
62A パイプ
64 出口
70 静的ミキサ
C 内部エリアの断面
F 加圧燃料流、燃料
G ガス
W 距離
Y 距離
Z 断面の面積
CG 圧縮ガス
CM より低温の混合ガス
FG 煙道ガス
FP 流路
MG 汚染混合ガス
MW 機械的仕事
NC 汚染物質含有物
PC 汚染燃焼ガス
PG 汚染燃焼ガス
RA 還元剤
TF 温調流体
TG 処理ガス
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10