(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】白色発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20230522BHJP
F21S 41/125 20180101ALI20230522BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20230522BHJP
H05B 45/00 20220101ALI20230522BHJP
F21W 102/20 20180101ALN20230522BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230522BHJP
【FI】
H01L33/50
F21S41/125
F21S41/153
H05B45/00
F21W102:20
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020525418
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(86)【国際出願番号】 JP2019021231
(87)【国際公開番号】W WO2019244582
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】P 2018118277
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】久永 英慧
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】林 茂生
(72)【発明者】
【氏名】桑原田 隆志
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-135073(JP,A)
【文献】特開2011-68580(JP,A)
【文献】特開2017-193257(JP,A)
【文献】特開2007-110090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
F21V 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色発光装置であって、
第1電流が供給される複数の第1発光ユニットを有する第1発光ユニット群と、
前記第1電流と異なる第2電流が供給される複数の第2発光ユニットを有する第2発光ユニット群と、
前記第1発光ユニット群及び前記第2発光ユニット群が実装される実装基板とを備え、
前記複数の第1発光ユニットの各々は、第1LEDチップ及び第1蛍光部材を有し、かつ、前記複数の第1発光ユニットのうち他の少なくとも一つの第1発光ユニットと隣接して配置され、
前記複数の第2発光ユニットの各々は、第2LEDチップ及び第2蛍光部材を有し、かつ、前記複数の第2発光ユニットのうち他の少なくとも一つの第2発光ユニットと隣接して配置され、
前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給され、かつ、前記複数の第2発光ユニットに前記第2電流が供給される時には、前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度と、前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度とが同一色となり、
前記複数の第1発光ユニット及び前記複数の第2発光ユニットの双方に同一の電流が供給される時には、前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度と、前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度とが非同一色となる
白色発光装置。
【請求項2】
前記第1発光ユニット群及び前記第2発光ユニット群は、前記実装基板上において隣接して配置される
請求項1に記載の白色発光装置。
【請求項3】
前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx11、Cy11)で表され、
前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx21、Cy21)で表され、
前記複数の第2発光ユニットに前記第2電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx22、Cy22)で表される時、
前記同一色は、|Cx11-Cx22|<0.0055、かつ、|Cy11-Cy22|<0.0074の満足と規定され、
前記非同一色は、|Cx11-Cx21|≧0.0055、又は、|Cy11-Cy21|≧0.0074の満足と規定される
請求項1又は2に記載の白色発光装置。
【請求項4】
前記複数の第1発光ユニット及び前記複数の第2発光ユニットの個数を、それぞれn及びmとし、
前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの各々の発光色度がCIE座標(Cx11i、Cy11i)(1≦i≦n)で表され、
前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの各々の発光色度をCIE座標(Cx21i、Cy21i)(1≦i≦m)で表される時、
すべての前記CIE座標(Cx11i、Cy11i)が、|Cx11-Cx11i|<0.0055、かつ、|Cy11-Cy11i|<0.0074で表される領域内にあり、
すべての前記CIE座標(Cx21i、Cy21i)が、|Cx21-Cx21i|<0.0055、かつ、|Cy21-Cy21i|<0.0074で表される領域内にある
請求項3に記載の白色発光装置。
【請求項5】
前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx11、Cy11)で表され、
前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx21、Cy21)で表され、
前記複数の第2発光ユニットに前記第2電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx22、Cy22)で表される時、
前記同一色は、前記CIE座標(Cx22、Cy22)が前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあることの満足と規定され、
前記非同一色は、前記CIE座標(Cx21、Cy21)が前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円上又は外側にあることの満足と規定される
請求項1又は2に記載の白色発光装置。
【請求項6】
前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの各々の発光色度がCIE座標(Cx11i、Cy11i)(1≦i≦n)で表され、
前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの各々の発光色度がCIE座標(Cx21i、Cy21i)(1≦i≦m)で表される時、
すべての前記CIE座標(Cx11i、Cy11i)が、前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあり、
すべての前記CIE座標(Cx21i、Cy21i)が、前記CIE座標(Cx21、Cy21)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にある
請求項5に記載の白色発光装置。
【請求項7】
前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の色度の平均値がCIE座標(CxP1、CyP1)で表され、
前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の色度の平均値がCIE座標(CxP2、CyP2)で表される時、
0.0066≦|CxP1-CxP2|、かつ、0.0120≦|CyP1-CyP2|である
請求項1又は2に記載の白色発光装置。
【請求項8】
前記第1蛍光部材と、前記第2蛍光部材とは、蛍光体種、蛍光体組成、蛍光体中の賦活元素種、及び、蛍光体中の賦活元素種の濃度の少なくとも一つが異なる
請求項7に記載の白色発光装置。
【請求項9】
前記第1LEDチップ又は前記第2LEDチップの発光波長と同じ波長の光を、前記第1蛍光部材及び前記第2蛍光部材に照射する時に、
前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の発光強度の平均値をP1とし、
前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の発光強度の平均値をP2とした時、
0.954≦P2/P1≦0.976である
請求項1又は2に記載の白色発光装置。
【請求項10】
前記第1蛍光部材及び前記第2蛍光部材は、蛍光体粒を含み、
前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP1及びD1とし、
前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP2及びD2とした時、
0.954≦D2/D1≦0.976、かつ、VP1=VP2である
請求項9に記載の白色発光装置。
【請求項11】
前記第1蛍光部材及び前記第2蛍光部材は、蛍光体粒を含み、
前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP1及びD1とし、
前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP2及びD2とした時、
0.954≦VP2/VP1≦0.976、かつ、D1=D2である
請求項9に記載の白色発光装置。
【請求項12】
前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1LEDチップ間の中心間距離の平均値をD1とし、
前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2LEDチップ間の中心間距離の平均値をD2とした時、
D1のD2に対する大小関係が、前記第1電流の値の前記第2電流の値に対する大小関係と一致する
請求項1又は2に記載の白色発光装置。
【請求項13】
前記実装基板において前記第1発光ユニット群が配置される領域の全面積をSM1とし、
前記第1発光ユニット群を構成する前記第1発光ユニットの個数をnとし、
前記実装基板において前記第2発光ユニット群が配置される領域の全面積をSM2とし、
前記第2発光ユニット群を構成する前記第2発光ユニットの個数をmとした時、
SM1/nのSM2/mに対する大小関係が、前記第1電流の値の前記第2電流の値に対する大小関係と一致する
請求項12に記載の白色発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、白色発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード、レーザダイオード等の半導体発光素子は、自動車のヘッドランプ、屋外及び屋内の照明等の光源として利用されている。特に自動車用のヘッドランプの発光装置の配光パターンにおいてはホットゾーンと呼ばれる周囲よりも明るい領域が要求されている。そのため、自動車用のヘッドランプの発光装置では、半導体発光素子を含む発光ユニットをマトリクス状に配置し、中央付近の発光ユニットを明るく点灯させることが行われている。
【0003】
特許文献1には、自動車のヘッドランプに用いる発光ダイオードモジュールが開示されている。特許文献1に開示された発光ダイオードモジュールは、複数の第1発光素子と第1発光素子より発光面の面積の小さい第2発光素子とを基板上に有し、各第2発光素子は二つの第1発光素子の間に配置され、当該二つの第1発光素子と直列接続されている。このような直列接続構成を採用することで、各素子に流れる電流は同一となり、中央部の第2発光素子において電流密度が左右より高くなり、高輝度発光となる光源、つまり、ホットゾーンを有する光源を実現しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような中央部にホットゾーンを有する光源においては、中央部に配置される発光素子の電流密度を高くする事が要求される。ところが、LED発光ユニットの発光色度は電流依存性及び電流密度依存性を有するため、投影面における中央部とその周囲との色度に差が発生する。
【0006】
本開示の目的は、複数の発光ユニットを備える白色発光装置であって、異なる電流が供給される発光ユニットが混在する場合に、複数の発光ユニットの発光色度を同一とすることができる白色発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る白色発光装置の一態様は、白色発光装置であって、第1電流が供給される複数の第1発光ユニットを有する第1発光ユニット群と、前記第1電流と異なる第2電流が供給される複数の第2発光ユニットを有する第2発光ユニット群と、前記第1発光ユニット群及び前記第2発光ユニット群が実装される実装基板とを備え、前記複数の第1発光ユニットの各々は、第1LEDチップ及び第1蛍光部材を有し、かつ、前記複数の第1発光ユニットのうち他の少なくとも一つの第1発光ユニットと隣接して配置され、前記複数の第2発光ユニットの各々は、第2LEDチップ及び第2蛍光部材を有し、かつ、前記複数の第2発光ユニットのうち他の少なくとも一つの第2発光ユニットと隣接して配置され、前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給され、かつ、前記複数の第2発光ユニットに前記第2電流が供給される時には、前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度と、前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度とが同一色となり、前記複数の第1発光ユニット及び前記複数の第2発光ユニットの双方に同一の電流が供給される時には、前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度と、前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度とが非同一色となる。
【0008】
このように、第1発光ユニットと、第1発光ユニットと異なる電流が供給される第2発光ユニットとが混在する場合に、それらの発光ユニットの発光色度を同一色とすることができる。これにより、例えば、第1発光ユニット群を配光パターンの中央部に配置することで、中央部の輝度が高く(つまり、ホットゾーンを有し)、かつ、中央部と周辺部とで発光色度が同一色である白色発光装置を実現できる。
【0009】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1発光ユニット群及び前記第2発光ユニット群は、前記実装基板上において隣接して配置されてもよい。
【0010】
このように、第1発光ユニット群と第2発光ユニット群とが隣接して配置されて、一つの配光パターンを形成する。したがって、一つの配光パターン内において、輝度が異なる領域を有し、かつ、当該領域間で発光色度が変化しない白色発光装置を実現できる。
【0011】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx11、Cy11)で表され、前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx21、Cy21)で表され、前記複数の第2発光ユニットに前記第2電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx22、Cy22)で表される時、前記同一色は、|Cx11-Cx22|<0.0055、かつ、|Cy11-Cy22|<0.0074の満足と規定され、前記非同一色は、|Cx11-Cx21|≧0.0055、又は、|Cy11-Cy21|≧0.0074の満足と規定されてもよい。
【0012】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記複数の第1発光ユニット及び前記複数の第2発光ユニットの個数を、それぞれn及びmとし、前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの各々の発光色度がCIE座標(Cx11i、Cy11i)(1≦i≦n)で表され、前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの各々の発光色度をCIE座標(Cx21i、Cy21i)(1≦i≦m)で表される時、すべての前記CIE座標(Cx11i、Cy11i)が、|Cx11-Cx11i|<0.0055、かつ、|Cy11-Cy11i|<0.0074で表される領域内にあり、すべての前記CIE座標(Cx21i、Cy21i)が、|Cx21-Cx21i|<0.0055、かつ、|Cy21-Cy21i|<0.0074で表される領域内にあってもよい。
【0013】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx11、Cy11)で表され、前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx21、Cy21)で表され、前記複数の第2発光ユニットに前記第2電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの平均発光色度がCIE座標(Cx22、Cy22)で表される時、前記同一色は、前記CIE座標(Cx22、Cy22)が前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあることの満足と規定され、前記非同一色は、前記CIE座標(Cx21、Cy21)が前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円上又は外側にあることの満足と規定されてもよい。
【0014】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記複数の第1発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第1発光ユニットの各々の発光色度がCIE座標(Cx11i、Cy11i)(1≦i≦n)で表され、前記複数の第2発光ユニットに前記第1電流が供給される時の前記複数の第2発光ユニットの各々の発光色度がCIE座標(Cx21i、Cy21i)(1≦i≦m)で表される時、すべての前記CIE座標(Cx11i、Cy11i)が、前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあり、すべての前記CIE座標(Cx21i、Cy21i)が、前記CIE座標(Cx21、Cy21)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあってもよい。
【0015】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の色度の平均値がCIE座標(CxP1、CyP1)で表され、前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の色度の平均値がCIE座標(CxP2、CyP2)で表される時、0.0066≦|CxP1-CxP2|、かつ、0.0120≦|CyP1-CyP2|であってもよい。
【0016】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1蛍光部材と、前記第2蛍光部材とは、蛍光体種、蛍光体組成、蛍光体中の賦活元素種、及び、蛍光体中の賦活元素種の濃度の少なくとも一つが異なってもよい。
【0017】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1LEDチップ又は前記第2LEDチップの発光波長と同じ波長の光を、前記第1蛍光部材及び前記第2蛍光部材に照射する時に、前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の発光強度の平均値をP1とし、前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の発光強度の平均値をP2とした時、0.954≦P2/P1≦0.976であってもよい。
【0018】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1蛍光部材及び前記第2蛍光部材は、蛍光体粒を含み、前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP1及びD1とし、前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP2及びD2とした時、0.954≦D2/D1≦0.976、かつ、VP1=VP2であってもよい。
【0019】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1蛍光部材及び前記第2蛍光部材は、蛍光体粒を含み、前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP1及びD1とし、前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2蛍光部材の体積の平均値、及び、前記蛍光体粒の体積濃度の平均値を、それぞれVP2及びD2とした時、0.954≦VP2/VP1≦0.976、かつ、D1=D2であってもよい。
【0020】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記第1発光ユニット群に含まれるすべての前記第1LEDチップ間の中心間距離の平均値をD1とし、前記第2発光ユニット群に含まれるすべての前記第2LEDチップ間の中心間距離の平均値をD2とした時、D1のD2に対する大小関係が、前記第1電流の値の前記第2電流の値に対する大小関係と一致してもよい。
【0021】
本開示に係る白色発光装置の一態様において、前記実装基板において前記第1発光ユニット群が配置される領域の全面積をSM1とし、前記第1発光ユニット群を構成する前記第1発光ユニットの個数をnとし、前記実装基板において前記第2発光ユニット群が配置される領域の全面積をSM2とし、前記第2発光ユニット群を構成する前記第2発光ユニットの個数をmとした時、SM1/nのSM2/mに対する大小関係が、前記第1電流の値の前記第2電流の値に対する大小関係と一致してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、複数の発光ユニットを備える白色発光装置であって、異なる電流が供給される発光ユニットが混在する場合に、複数の発光ユニットの発光色度を同一とすることができる白色発光装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る白色発光装置の構成の一例を示す概略上面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る白色発光装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る配線電極の形状を示す上面図である。
【
図4】
図4は、比較例の白色発光装置における平均発光色度の変化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、4500Kから7000Kの範囲の白色光のCx及びCyに対するマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形のCx方向及びCy方向のCIE色度最大差を示すグラフである。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態1に係る各発光ユニットの発光色度の分布の例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、実施の形態1に係る各発光ユニットの発光色度の分布の他の例を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、比較例の各発光ユニットの発光色度の分布の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る白色発光装置の構成の一例を示す概略上面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る白色発光装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3に係る白色発光装置の構成の一例を示す概略上面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態3に係る白色発光装置の構成の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態3に係る配線電極の形状を示す上面図である。
【
図12】
図12は、発光ユニット群の全面積の規定例を説明するための発光ユニット及び実装基板の断面図である。
【
図13】
図13は、発光ユニット群の全面積の他の規定例を説明するための発光ユニット及び実装基板の断面図である。
【
図14】
図14は、発光ユニット群の全面積のさらに他の規定例を説明するための白色発光装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら、説明を行う。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、工程及び工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0025】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0026】
(実施の形態1)
[1-1.基本構成]
図1及び
図2を用いて、実施の形態1に係る白色発光装置の基本構成を説明する。
【0027】
図1及び
図2は、それぞれ本実施の形態に係る白色発光装置11の構成の一例を示す概略上面図及び断面図である。
図2には、
図1の白色発光装置11のII-II断面が示されている。
【0028】
白色発光装置11は、白色の光を照射する装置であり、
図1に示すように、第1発光ユニット群171と、第2発光ユニット群172と、実装基板13とを備える。白色発光装置11は、さらに、枠18と、反射樹脂19とを備える。
【0029】
第1発光ユニット群171は、第1電流が供給される複数の第1発光ユニット17a~17dを有する。複数の第1発光ユニット17a~17dの各々は、第1LEDチップ及び第1蛍光部材を有する。
図1に示すように、第1発光ユニット17a~17dは、それぞれ、第1LEDチップ14a~14dと、第1蛍光部材16a~16dとを有する。複数の第1発光ユニット17a~17dの各々は、複数の第1発光ユニット17a~17dのうち他の少なくとも一つの第1発光ユニットと隣接して配置される。
【0030】
第2発光ユニット群172は、第2電流が供給される複数の第2発光ユニット17e~17hを有する。複数の第2発光ユニット17e~17hの各々は、第2LEDチップ及び第2蛍光部材を有する。
図1に示すように、第2発光ユニット17e~17hは、それぞれ、第2LEDチップ14e~14hと、第2蛍光部材16e~16hとを有する。複数の第2発光ユニット17e~17hの各々は、複数の第2発光ユニット17e~17hのうち他の少なくとも一つの第2発光ユニットと隣接して配置される。
【0031】
本実施の形態では、第1発光ユニット群171及び第2発光ユニット群172は、実装基板上において隣接して配置される。第1発光ユニット群171は、実装基板13の中央部に配置される。第2発光ユニット群172は、第1発光ユニット群171の外側に2つに分離されて配置される。これにより、白色発光装置11は、
図1に示すようなマトリクス状に配置された第1発光ユニット17a~17d及び第2発光ユニット17e~17hを備える。なお、第2発光ユニット群172の配置態様は、
図1に示される例に限定されない。例えば、第2発光ユニット群172は、第1発光ユニット群171の周囲を囲んでもよい。また、第2発光ユニット群172は、第1発光ユニット群171の一方側だけに隣接して配置されてもよい。
【0032】
実装基板13は、第1発光ユニット群171及び第2発光ユニット群172が実装される基板である。本実施の形態では、実装基板13は、2組の配線電極12を有する。2組の配線電極12のうち一方の組の配線電極12を介して、第1発光ユニット17a~17dの第1LEDチップ14a~14dに電流が供給され、他方の組の配線電極12を介して、第2発光ユニット17e~17hの第2LEDチップ14e~14hに電流が供給される。
【0033】
図2に示すように、配線電極12は、各LEDチップの素子電極14Eに接続される。また、各第1LEDチップ及び各第2LEDチップの発光面には、透明接着剤15によって、それぞれ各第1蛍光部材及び各第2蛍光部材が固定されている。
【0034】
反射樹脂19は、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットが配置された領域を含む実装基板13上の領域に配置される樹脂である。本実施の形態では、実装基板13上の二つの枠18の間に配置される。反射樹脂19は、各発光ユニットからの光を反射する樹脂であれば、特に限定されない。本実施の形態では、反射樹脂19は、酸化チタンなどの光反射性の粒子を混ぜたシリコーン樹脂で構成される。
【0035】
枠18は、第1発光ユニット群171及び第2発光ユニット群172が配置される領域の外側に設けられる部材である。枠18は、反射樹脂19を配置する際に反射樹脂19が、実装基板13上及びその外部の不必要な領域に漏れ出すことを抑制するための部材である。枠18は、例えば、酸化チタンなど光反射性の粒子を混ぜたシリコーン樹脂で形成される。
【0036】
第1LEDチップ14a~14d及び第2LEDチップ14e~14hは、それぞれ第1蛍光部材16a~16d及び第2蛍光部材16e~16hに光を照射する光源である。本実施の形態においては、各LEDチップはそれぞれ発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いる。ここで、各LEDチップの発光色度と発光強度とが同一とは、一つの蛍光部材に各LEDチップの出力光を照射するときに得られる合成光の発光色度を表すCIE座標が、すべてのLEDチップに対する平均発光色度(発光色度の平均値)を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にある状態で定義される。
【0037】
第1蛍光部材16a~16d及び第2蛍光部材16e~16hは、各LEDチップからの光を波長変換する部材である。第1発光ユニット群171に含まれる第1蛍光部材16a~16dとしてそれぞれ発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いる。
【0038】
ここで、各蛍光部材の発光色度と発光強度とが同一とは、各蛍光部材に一つのLEDチップの出力光を照射するときに得られる合成光の発光色度を表すCIE座標が、すべての蛍光部材に対する平均発光色度を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にある状態で定義される。
【0039】
第2発光ユニット群172に含まれる第2蛍光部材16e~16hについても、同様にそれぞれの発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いる。本実施の形態では、第2発光ユニット群172に含まれる第2蛍光部材16e~16hと、第1発光ユニット群171に含まれる第1蛍光部材16a~16dとを比較すると、蛍光体種、蛍光体組成(成分比)、蛍光体中の賦活元素種、及び、蛍光体中の賦活元素種の濃度の少なくとも一つが異なる。
【0040】
本実施の形態に係る白色発光装置11において、第1発光ユニット17a~17dに第1電流が供給され、かつ、第2発光ユニット17e~17hに第2電流が供給される時には、第1発光ユニット17a~17dの平均発光色度と、第2発光ユニット17e~17hの平均発光色度とが同一色となる。ここで、第1発光ユニット17a~17dに第1電流が供給される時の第1発光ユニット17a~17dの平均発光色度がCIE座標(Cx11、Cy11)で表され、第2発光ユニット17e~17hに第2電流が供給される時の第2発光ユニット17e~17hの平均発光色度がCIE座標(Cx22、Cy22)で表される時、同一色は、前記CIE座標(Cx22、Cy22)が前記CIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあることの満足と規定される。この場合には、第2発光ユニット群172の平均発光色度を表すCIE座標は、第1発光ユニット群171の平均発光色度を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあるが、平均発光強度は第1発光ユニット群171の方が高くなる。
【0041】
また、本実施の形態に係る白色発光装置11において、第1発光ユニット17a~17d及び第2発光ユニット17e~17hの双方に同一の電流を供給する場合には、第1発光ユニット17a~17dの平均発光強度と、第2発光ユニット17e~17hの平均発光強度とは同じである。一方、第1発光ユニット17a~17dの平均発光色度と、第2発光ユニット17e~17hの平均発光色度とは非同一色となる。この場合、第2発光ユニット群172の平均発光色度が、第1発光ユニット群171の平均発光色度を中心とするマクアダム3ステップ楕円上又はその外側にある。つまり、第1発光ユニット17a~17dに第1電流が供給される時の第1発光ユニット17a~17dの平均発光色度がCIE座標(Cx11、Cy11)で表され、第2発光ユニット17e~17hに第1電流が供給される時の第2発光ユニット17e~17hの平均発光色度がCIE座標(Cx21、Cy21)で表される時、非同一色は、CIE座標(Cx21、Cy21)がCIE座標(Cx11、Cy11)を中心とするマクアダム3ステップ楕円上又は外側にあることの満足と規定される。
【0042】
このように、第1発光ユニットと、第1発光ユニットと異なる電流が供給される第2発光ユニットとが混在する場合に、それらの発光ユニットの発光色度を同一色とすることができる。これにより、例えば、第1発光ユニット群を配光パターンの中央部に配置することで、中央部の輝度が高く(つまり、ホットゾーンを有し)、かつ、中央部と周辺部とで発光色度が同一色である白色発光装置を実現できる。
【0043】
なお、第1電流及び第2電流の各値は、特に限定されない。本実施の形態では、第1電流及び第2電流として、それぞれ、白色発光装置11の第1発光ユニット17a~17d及び第2発光ユニット17e~17hに対する定格電流である第1定格電流及び第2定格電流を用いる。
【0044】
[1-2.詳細構成]
次に、本実施の形態に係る白色発光装置11の詳細構成について説明する。
【0045】
本実施の形態では、各LEDチップのチップサイズ、半導体積層構造、定格電流及び定格波長(定格色度)が同一であり、各蛍光部材は発光色度が非同一色である2種類の板状のものを用いた場合について説明する。
【0046】
各LEDチップとしては、n型GaN基板上にn型GaN系層、InGaN活性層及びp型GaN系層を形成した青色LEDを用いる。各LEDチップを実装基板13上にフリップチップ実装し、
図2における各LEDチップの上側端部(LEDチップの出射面)に黄色の板状の第1蛍光部材16a~16d又は第2蛍光部材16e~16hを配置する。本実施の形態では、各LEDチップからの出射光の一部を第1蛍光部材16a~16d又は第2蛍光部材16e~16hで波長変換させて波長変換光を出射する。このように各LEDチップからの出射光と当該波長変換光とを合成することで白色光が得られる。
【0047】
各LEDチップとしては、ドミナント波長445nmを狙って作製したものを用いる。製造上のばらつきにより、各LEDチップのドミナント波長は、445nmを中心に分布を有するが、その波長に対応する発光色度の平均値のCIE座標(Cxl、Cyl)は、(0.1600、0.0400)であり、色度の最大値と最小値の差(ΔCx、ΔCy)がCIE座標系で(0.0030、0.0020)未満である。この差は、波長に換算すると2nm未満に相当する。
【0048】
ここで、各LEDチップの発光色度の分布の範囲は、一つの蛍光部材に青色光を照射するときに得られる合成光が、同一色に見える程度であればよい。具体的には、LEDチップと、CIE座標系の色度(0.4347、0.5416)の蛍光部材との組み合わせでLED光の63.3%が波長変換されると仮定した場合の計算から、各LEDチップの発光色度を表すCIE座標と平均色度を表すCIE座標との差が(±0.0150、±0.0100)未満であれば各LEDチップを同じLEDチップとみなすことができる。ここで、波長445nm付近のInGaN系LEDチップの波長と色度との経験的相関から、波長1nmの変化に対し色度を表すCIE座標は(-0.0015、0.0010)変化することがわかっている。このため、発光波長に換算すると、各LEDの発光波長の誤差が±10nm未満であれば、各LEDチップを同じLEDチップとみなすことができる。
【0049】
LEDの発光強度のばらつきの範囲は、一つの蛍光部材に青色の励起光を照射するときに得られる白色の合成光が、同一色に見える程度であればよく、具体的には色度(0.4240、0.5220)の蛍光部材との組み合わせでLED光の63.3%が波長変換されると仮定した場合の計算から、各LEDチップの発光強度と平均強度との差が±4.2%未満であれば各LEDチップを同じLEDチップとみなすことができる。
【0050】
第1蛍光部材16a~16d及び第2蛍光部材16e~16hは、各LEDチップからの光を波長変換するための波長変換材料(蛍光体)が樹脂、セラミック、ガラスなどの材料に分散された、板状の波長変換部材である。波長変換材料として、例えば、YAG、CASN、SiAlON、LSNなどの公知の波長変換材料を用いることができる。各蛍光部材は、各LEDチップ側の面が各LEDチップとの接着面となり、その反対側の面が白色発光装置11の光出射面となる。
【0051】
本実施の形態では、各蛍光部材はYAG:Ce系の粒子とアルミナセラミックス粒子とが均等に混ざった複合体であって、蛍光体であるYAG粒子の占有率が20体積%である厚さ100μmの板状のものを用いる。第1蛍光部材16a~16dとして、平均発光色度のCIE座標(Cx、Cy)が(0.4347、0.5416)であり、ばらつき(ΔCx、ΔCy)が(±0.0040、±0.0040)未満であり、発光強度の平均発光強度に対する誤差が±2.0%未満であるものを用いる。また、第2蛍光部材16e~16hとして、第1蛍光部材16a~16dと、蛍光体組成が異なり、平均発光色度のCIE座標(Cx、Cy)が(0.4240、0.5220)であり、ばらつき(ΔCx、ΔCy)が(±0.0040、±0.0040)未満であり、発光強度の平均発光強度に対してする誤差が±2.0%未満であるものを用いる。以下、色度を表す時にはCIE座標系を用い、(Cx、Cy)の配列値で示す。
【0052】
ここで、第1蛍光部材16a~16dの発光色度の分布の範囲は、一つのLEDチップの青色光を照射するときに得られる合成光が、同一色に見える程度であればよく、具体的にはCIE座標系の色度(0.1600、0.0400)のLEDチップとの組み合わせでLED光の63.3%が波長変換されると仮定した場合の計算から、各蛍光部材の色度と平均色度との色度差がCIE座標系で(±0.0066、±0.0120)未満であれば各蛍光部材を同じ蛍光部材とみなすことができる。第2蛍光部材16e~16hについても同様である。
【0053】
また、第1蛍光部材16a~16dから発せられる黄色光の発光強度の分布の範囲は、一つの励起光が照射された時に得られる白色の合成光が、同一色に見える程度であればよい。具体的には色度(0.4240、0.5220)の蛍光部材との組み合わせでLED光の63.3%が波長変換されると仮定した場合の計算から、各蛍光部材の発光強度と平均発光強度との差が±2.4%未満であれば各蛍光部材を同じ蛍光部材とみなすことができる。第2蛍光部材16e~16hについても同様である。
【0054】
第1LEDチップ14a~14dと第1蛍光部材16a~16dとをそれぞれ透明接着剤15で張り合わせたものを第1発光ユニット17a~17dとして用いる。また、第2LEDチップ14e~14hと第2蛍光部材16e~16hとをそれぞれ透明接着剤15で張り合わせたものを第2発光ユニット17e~17hとして用いる。
【0055】
続いて、実装基板13における配線電極12について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態に係る配線電極12の形状を示す上面図である。
図3においては、実装基板13の上面が示されている。また、
図3には、配線電極12と合わせて、各発光ユニットが示されている。
【0056】
図3に示すように白色発光装置11としては、実装基板13上の中央部に、それぞれが配線電極12によって直列接続されるように、第1発光ユニット17a~17dを2行2列に並べることで、第1発光ユニット群171を形成している。また、
図3において、第1発光ユニット群171の左右に、それぞれが配線電極12によって直列接続されるように、第2発光ユニット17e~17hを2個ずつ並べて、第2発光ユニット群172を形成している。第1発光ユニット群171と第2発光ユニット群172とは電気的に分離されている。
【0057】
また、実際には配線電極12は、LEDチップの電極パターンに応じて複雑な形状を有するが、
図3においては簡略化して示されている。
【0058】
供給する電流値によって発光ユニットの色度が変わることは一般に知られている。各LEDチップに供給する電流値を増やすと各LEDチップの発光波長がシフトする。各LEDチップに供給する電流値を増やすと発熱量が増加し、蛍光体の波長変換効率低下、波長シフト等を引き起こすことが考えられる。したがって、各LEDチップからの光と各蛍光部材からの光との合成光の色度は、これらの現象に伴ってシフトする。ここで、上述したような発光ユニットにおける発光色度の変化について
図4を用いて説明する。
【0059】
図4は、比較例の白色発光装置における平均発光色度の変化を示すグラフである。ここで、比較例の白色発光装置は、本実施の形態に係る白色発光装置11と同様に、中央に配置された第1発光ユニット群と、その左右に配置された第2発光ユニット群とを備える。
図4には、第1発光ユニット群の四つの0.8mm角のLEDチップに3アンペアの電流を供給し、第2発光ユニット群の四つの0.8mm角のLEDチップに0.1アンペアから3アンペアまでの電流を供給するときの、第2発光ユニット群の平均発光色度の変化量(ΔCx、ΔCy)が示されている。ここで、比較例の白色発光装置では、第1発光ユニット群と、第2発光ユニット群とで、同一のLEDチップ及び同一の蛍光部材を用いている。
図4においては、第2発光ユニット群に1アンペアを供給する場合の平均発光色度との差が示されている。
【0060】
図4に示すように、電流を増加させるにしたがって、色度を表すCIE座標Cx及びCyともに減少しているのがわかる。車載ヘッドランプでの実用を想定している1アンペアの場合と3アンペアの場合とを比較すると、3アンペア供給する場合の発光色度を表すCIE座標Cx及びCyは1アンペア供給する場合よりそれぞれ0.0065及び0.0119減少しているのが読み取れる。この発光色度のCIE座標上における変位の向きは、LEDチップの色度を表すCIE座標に向かう向きに近い。このため、この変位の主要因は、電流増加に伴うLEDチップの温度上昇に連動した蛍光体の発光効率の減少であると考えられる。このために、本実施の形態では1アンペア駆動時における蛍光部材からの光の割合は63.3%であるのに対して、3アンペアでは60.8%に減少することが実験的にわかっている。
【0061】
ここで、同一色とは、CIE座標系を用いた場合、マクアダム楕円を用いて表現できる。マクアダム楕円に関して、1から7までのステップが定義されており、マクアダム3ステップ楕円の内側であれば人間の目では色の区別ができないとされている。マクアダム楕円は人の視覚の実験値から求められたものであり、その楕円の形状は色によって異なっている。より簡便には、マクアダム3ステップ楕円に外接するCx軸及びCy軸に平行な線を辺とする長方形を同一色の判定に用いることとする。
【0062】
例えば、車載ヘッドランプの場合、現在は色温度にして5700K程度の白色光が多く使用されているが、本開示では色温度が4500Kから7000Kのものを白色光と定義する。
図5は、4500Kから7000Kの範囲の白色光のCx及びCyに対するマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形のCx方向及びCy方向のCIE色度最大差を示すグラフである。
図5から、CIE座標で中心からCxが±0.0055未満、Cyが±0.0074未満の範囲内の時に同一色であると定義できる。
【0063】
上記の同一色の定義からすると、上記比較例の発光ユニットに1アンペアと3アンペアの電流を供給するときの色度差は、マクアダム3ステップ楕円に外接する長方形よりも大きく、非同一色になっているといえる。
【0064】
ここで、本実施の形態に係る白色発光装置11の各発光ユニット群の発光色度について
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
【0065】
図6A及び
図6Bは、それぞれ本実施の形態に係る各発光ユニットの発光色度の分布の例を示す図である。
【0066】
本実施の形態に係る白色発光装置11において、定格電流使用状態では、第1発光ユニット群171の各第1発光ユニットには第1定格電流である3アンペアの電流が供給される。一方、第2発光ユニット群172の各第2発光ユニットには第2定格電流である1アンペアの電流が供給される。
【0067】
図6Aにおいて、右上のCIE座標群が、第1発光ユニット群171に第1定格電流である3アンペアが供給される時の各第1発光ユニットの発光色度を示している。ここで、第1定格電流は、本実施の形態に係る第1電流の一例である。
図6Aに示すCIE座標110a~110dは、それぞれ第1発光ユニット17a~17dの発光色度を示す。この場合、すべての第1発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標(Cx11、Cy11)は、(0.3270、0.3449)である。各第1発光ユニットの発光色度を表すCIE座標110a~110dは平均発光色度を表すCIE座標(Cx11、Cy11)を中心としたマクアダム3ステップ楕円の内側にある。
【0068】
図6Aにおいて、左下のCIE座標群が、第2発光ユニット群172に第1定格電流である3アンペアの電流が供給される時の各第2発光ユニットの発光色度を示している。
図6Aに示すCIE座標110e~110hは、それぞれ第2発光ユニット17e~17hの発光色度を示す。この場合、すべての第2発光ユニットの平均発光色度を示すCIE座標(Cx21、Cy21)は、(0.3205、0.3330)である。各第2発光ユニットの発光色度を表すCIE座標110e~110hは平均発光色度を表すCIE座標(Cx21、Cy21)を中心としたマクアダム3ステップ楕円の内側にある。
【0069】
ここで、すべての第1発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標(Cx11、Cy11)と、すべての第2発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標(Cx21、Cy21)とのCx及びCy座標の各差(|Cx11-Cx21|、|Cy11-Cy21|)は(0.0065、0.0119)である。このように、上記二つの平均発光色度について、上述した同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円611に外接する長方形612の内部にあることに相当する「ΔCxが0.0055未満かつΔCyが0.0074未満」との条件を満たさない。以上のように、第1発光ユニット群171の平均発光色度と第2発光ユニット群172の平均発光色度とは非同一色である。実際に各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットに第1定格電流(3アンペア)を供給し、白色発光装置11をヘッドランプユニットに設置してこの駆動条件で路面を照射する場合には、配光パターンの中央と周辺とで路面の色が違って見える。このように、非同一色は、|Cx11-Cx21|≧0.0055、又は、|Cy11-Cy21|≧0.0074の満足と規定されてもよい。
【0070】
一方、
図6Bには、第1発光ユニット17a~17dに第1定格電流である3アンペアを供給するときの第1発光ユニット17a~17dの各々の発光色度を表すCIE座標110a~11dが示されている。また、
図6Bには、第2発光ユニット17e~17hに第2定格電流である1アンペアを供給するときの第2発光ユニット17e~17hの各々の発光色度を表すCIE座標120e~120hが示されている。ここで、第2定格電流は、本実施の形態に係る第2電流の一例である。各第2発光ユニットに第2定格電流である1アンペアの電流が供給される時の第2発光ユニット群172の平均発光色度を表すCIE座標(Cx22、Cy22)は(0.3270、0.3449)である。上述のとおり、第1発光ユニット群171の平均発光色度を表すCIE座標(Cx11、Cy11)は(0.3270、0.3449)である。このため、第2発光ユニット群172と第1発光ユニット群171との平均発光色度のCx座標の差|Cx11-Cx22|は0.0055未満でかつ、Cy座標の差|Cy11-Cy22|は0.0074未満である。したがって、第1発光ユニット群171の平均発光色度と第2発光ユニット群172の平均発光色度とは同一色であるといえる。白色発光装置11をヘッドランプユニットに設置して、各第1発光ユニットに第1定格電流である3アンペアの電流、各第2発光ユニットに第2定格電流である1アンペアの電流を供給している状態で路面を照射する場合には、中央部と周辺部とで路面の色は同じに見える。このように、同一色は、|Cx11-Cx22|<0.0055、かつ、|Cy11-Cy22|<0.0074の満足と規定されてもよい。
【0071】
ここで、上述した比較例の各発光ユニットの発光色度の分布について
図6Cを用いて説明する。
図6Cは、比較例の各発光ユニットの発光色度の分布の例を示す図である。比較例の白色発光装置では、上述のとおり、第1発光ユニット群と、第2発光ユニット群とで同一のLEDチップ及び同一の蛍光部材を用いる。例えば本実施の形態に係る第2蛍光部材と同一の色度が(0.4240、0.5220)である蛍光部材を用いる。
図6Cには、各第1発光ユニットに第1定格電流である3アンペアの電流を供給するときの各第1発光ユニットの発光色度を表すCIE座標111a~111dが示されている。また、
図6Cには、各第2発光ユニットに第2定格電流である1アンペアの電流を供給するときの、各第2発光ユニットの色度分布を表すCIE座標121e~121hが示されている。この場合第1発光ユニット群の平均発光色度は(0.3205、0.3330)で、第2発光ユニット群の平均発光色度は(0.3270、0.3449)となる。この場合の第1発光ユニット群と第2発光ユニット群との平均発光色度を表すCIE座標の差は(0.0065、0.0119)となり、同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円611に外接する長方形612の内部にあることに相当する「ΔCxが0.0055未満かつΔCyが0.0074未満」との条件を満たさない。以上のように、第1発光ユニット群の平均発光色度と第2発光ユニット群の平均発光色度とは非同一色である。
【0072】
ここでは、本実施の形態に係る白色発光装置11の第1電流及び第2電流として、第1定格電流(3アンペア)及び第2定格電流(1アンペア)を用いる場合について述べたが、第1電流及び第2電流の値はこれらに限定されない。白色発光装置の中央部と周辺部とで同じ発光ユニットを用いた時の電流の差に起因する上記色度の差がΔCx≧0.0055又はΔCy≧0.0074となるような駆動電流差を有する任意の第1電流及び第2電流の値を適用できる。
【0073】
例えば、本実施の形態において、すべての第1蛍光部材の色度の平均値(CxP1、CyP1)を(0.4306、0.5340)とし、すべての第2蛍光部材の色度の平均値(CxP2、CyP2)を(0.4240、0.5220)とした場合について説明する。この場合、各発光ユニットに2.4アンペアの電流を供給する時には電流による温度上昇等の影響で蛍光部材の発光強度が全体の63.3%から61.7%に減るため、第1発光ユニット群171、第2発光ユニット群172から発せられる混合色の色度を表すCIE座標は、それぞれ(0.3270、0.3449)、(0.3215、0.3375)となる。一方、第2発光ユニット群の各第2発光ユニットに1.0アンペアの電流を供給する時に第2発光ユニット群から発せられる混合色の色度を表すCIE座標は(0.3270、0.3449)である。
【0074】
すなわち、第1発光ユニット群に2.4アンペアの電流が供給される時と、第2発光ユニット群に1.0アンペアの電流が供給される時は、ともに色度は(0.3270、0.3449)となるのに対し、第1発光ユニット群と第2発光ユニット群の双方に2.4アンペアの電流が供給される時は、両者の色度を表すCIE座標の差は(0.055(=0.3270-0.3215)、0.074(=0.03449-0.3375)となる。この色度の差は、本実施の形態で定義する同一色と非同一色との境界値に相当する。したがって、本実施の形態に係る白色発光装置11において、駆動時に第1発光ユニット群171及び第2発光ユニット群172の発光色度を同一色になる時の第1蛍光部材と第2蛍光部材との色度差は(0.0066(=0.4306-0.4240)、0.0120(=0.5340-0.5220)である。この値が本実施の形態に係る白色発光装置11の効果発現における、第1蛍光部材と第2蛍光部材との色度差の境界値であった。
【0075】
言い換えると、第1発光ユニットと第2発光ユニットとで、同じ色のLEDチップを用い、かつ、互いの色度差が(0.0066、0.0120)以上の所定の値である第1蛍光部材及び第2蛍光部材を用いた場合に、同一の電流を各発光ユニットに供給する時には各発光ユニット群の発光色度が非同一色となり、それぞれ固有の定格電流を各発光ユニットに供給する時に各発光ユニット群の発光色度が同一色となり得るといえる。すなわち第1発光ユニット群に含まれるすべての第1蛍光部材の色度の平均値がCIE座標(CxP1、CyP1)で表され、第2発光ユニット群に含まれるすべての第2蛍光部材の色度の平均値がCIE座標(CxP2、CyP2)で表される時、0.0066≦|CxP1-CxP2|、かつ、0.0120≦|CyP1-CyP2|であるときに第1発光ユニット群171及び第2発光ユニット群172の発光色度を同一色にし得る。
【0076】
さらに、ここでは同一色の範囲としてCIE座標値におけるCx値及びCy値の差を用いた。つまり、同一色の範囲として、マクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の内部を用いた。より厳密には、同一色の範囲として、マクアダム3ステップ楕円の内部を用いてもよい。この範囲を用いる場合にも、第1電流及び第2電流に合わせて、各蛍光部材の色度を調整することで、本実施の形態に係る白色発光装置11の効果を奏することができる。
【0077】
ここで、各群における各発光ユニットの色度の分散は一定の範囲内であれば、同一色に見える効果がより顕著である。具体的には、n個の第1発光ユニットに第1電流が供給される時の各発光ユニットの発光色度がCIE座標(Cx11i、Cy11i)(1≦i≦n)で表される場合、すべてのCIE座標(Cx11i、Cy11i)が、マクアダム3ステップ楕円に外接する長方形に相当する|Cx11-Cx11i|<0.0055かつ|Cy11-Cy11i|<0.0074で表される領域内にあるときに同一色に見える効果がより顕著である。
【0078】
同様に、m個の第2発光ユニットに第1電流が供給される時の各発光ユニットの発光色度がCIE座標(Cx21i、Cy21i)(1≦i≦m)で表される場合、すべてのCIE座標(Cx21i、Cy21i)が、マクアダム3ステップ楕円に外接する長方形に相当する|Cx21-Cx21i|<0.0055かつ|Cy21-Cy21i|<0.0074で表される領域内にあるときに同一色に見える効果がより顕著である。
【0079】
さらに、同様に、すべて発光ユニットの発光色度を表すCIE座標(Cx11i、Cy11i)及び(Cx21i、Cy21i)が、それらの平均発光色度を中心としたマクアダム3ステップ楕円の内側にあるときに、両者を組み合わせた白色発光装置11の両発光ユニット群が同一色に見えるという効果がより一層顕著である。
【0080】
ここで、第1発光ユニット群171に含まれる第1蛍光部材16a~16dと第2発光ユニット群172に含まれる第2蛍光部材16e~16hとは蛍光体組成(構成元素成分比)が異なることに起因した色度違いのものを用いたが、各蛍光部材の構成はこれに限定されない。例えば第1蛍光部材としてガーネット系蛍光体を分散させたものを用い、第2蛍光部材としてシリケート系蛍光体を分散させたものを用いるなど、蛍光体種を変える場合、蛍光体中の賦活元素種(例えばセリウム)の濃度を変える場合、又はこれらの組み合わせを用いて色度を変化させた場合でも、各蛍光部材の色度が本実施の形態と同様であれば同様の効果が得られる。
【0081】
ここで、白色発光装置11としては、第1発光ユニット群171として中央部に4個、第2発光ユニット群172として左右に2個ずつの発光ユニットを用いたが、発光ユニットの配置はこれに限定されない。例えば、第1発光ユニット群として中央部上側に2個の第1発光ユニットを横に並べて直列に接続したものを用い、第2発光ユニット群として、第1発光ユニット群の下側と左右に第2発光ユニットを2個ずつ配置し、計6個の第2発光ユニットを直列に接続してもよい。特にこの構成は上側中央にホットゾーンの必要な車載ヘッドランプのロービーム用の光源として有用である。
【0082】
また、発光ユニットを並べる個数、及び、直列又は並列の電気的な接続構成には特に制限はなく、第1発光ユニット群として中央部に、4個を1列に配置したものを4列配置し、第2発光ユニット群として第1発光ユニット群の左右に4個を1列に配置したものを2列ずつ配置した場合も、同様の効果が得られる。
【0083】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る白色発光装置について説明する。本実施の形態に係る白色発光装置は、蛍光部材の構成において実施の形態1に係る白色発光装置11と相違する。以下、本実施の形態に係る白色発光装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0084】
[2-1.基本構成]
本実施の形態に係る白色発光装置の基本構成について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7及び
図8は、それぞれ本実施の形態に係る白色発光装置101の構成の一例を示す概略上面図及び断面図である。
図8には、
図7の白色発光装置101のVIII-VIII断面が示されている。
【0085】
本実施の形態に係る白色発光装置101は、
図7に示すように、第1発光ユニット群271と、第2発光ユニット群272と、実装基板13とを備える。白色発光装置101は、さらに、枠18と、反射樹脂19とを備える。
【0086】
第1発光ユニット群271は、第1電流が供給される複数の第1発光ユニット27a~27dを有する。複数の第1発光ユニット27a~27dの各々は、第1LEDチップ及び第1蛍光部材を有する。
図7に示すように、第1発光ユニット27a~27dは、それぞれ、第1LEDチップ24a~24dと、第1蛍光部材26a~26dとを有する。複数の第1発光ユニット27a~27dの各々は、複数の第1発光ユニット27a~27dのうち他の少なくとも一つの第1発光ユニットと隣接して配置される。
【0087】
第2発光ユニット群272は、第2電流が供給される複数の第2発光ユニット27e~27hを有する。複数の第2発光ユニット27e~27hの各々は、第2LEDチップ及び第2蛍光部材を有する。
図7に示すように、第2発光ユニット27e~27hは、それぞれ、第2LEDチップ24e~24hと、第2蛍光部材26e~26hとを有する。複数の第2発光ユニット27e~27hの各々は、複数の第2発光ユニット27e~27hのうち他の少なくとも一つの第2発光ユニットと隣接して配置される。
【0088】
実施の形態2においては、実施の形態1と同様に、各第1LEDチップ及び各第2LEDチップとしてそれぞれ発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いる。
【0089】
第1発光ユニット群271に用いた第1蛍光部材26a~26dはそれぞれ発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用い、第2発光ユニット群272に用いた第2蛍光部材26e~26hについても、同様にそれぞれの発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いた。
【0090】
さらに、各第1蛍光部材と、各第2蛍光部材とを比較すると、各蛍光部材中の蛍光体濃度が各第1蛍光部材の方が高くてもよいし、厚さが各第1蛍光部材の方が厚くてもよい。これにより、例えば第1定格電流などの同一の電流を各発光ユニットに供給する場合には、各発光ユニット群の平均発光強度は同じであるが、平均発光色度は第2発光ユニット群272の平均発光色度を表すCIE座標が第1発光ユニット群271の平均発光色度を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円上又はその外側にある。
【0091】
各第1発光ユニットに第1定格電流を供給し、各第2発光ユニットに第2定格電流を供給する場合には、第2発光ユニット群272の平均発光色度を表すCIE座標が、第1発光ユニット群271の平均発光色度を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあり、平均発光強度は第1発光ユニット群の方が高くなるように第1定格電流及び第2定格電流を選択する。ここで、第1定格電流及び第2定格電流は、それぞれ本実施の形態に係る第1電流及び第2電流の一例である。
【0092】
[2-2.詳細構成]
次に、本実施の形態に係る白色発光装置101の詳細構成について説明する。
【0093】
本実施の形態では、各LEDチップのチップサイズ、半導体積層構造、定格電流及び定格波長(定格色度)が同一であるものを用いる。また、各第1蛍光部材及び各第2蛍光部材としては、材質、発光色度が同一色の板状の蛍光部材を用いる。ただし、各第1蛍光部材と各第2蛍光部材とで厚さが非同一である。
【0094】
各LEDチップとしては実施の形態1と同じものを使用する。その発光色度の平均値を表すCIE座標は(0.1600、0.0400)である。
【0095】
各蛍光部材は実施の形態1と同じく、YAGの占有率が20体積%であり、平均発光色度がCIE座標(0.4347、0.5416)で表され、そのばらつき(ΔCx、ΔCy)が(±0.0040、±0.0040)未満の板状のYAGとセラミックスとの複合体を用いる。本実施の形態では、厚さが非同一の2種類の蛍光部材を準備し、各第1蛍光部材として厚さ100.0μmのものを用い、各第2蛍光部材として厚さ96.1μmのものを用いる。これらの各蛍光部材は、製造誤差に起因して±3μm程度の厚さの分布を有する。
【0096】
これらの厚さの異なる各蛍光部材に各LEDチップの発光波長と同じ波長の光を照射する場合、発光色度はCIE座標(0.4306、0.5416)で表され、そのばらつき(ΔCx、ΔCy)が(±0.0040、±0.0040)未満である。一方、第1蛍光部材と第2蛍光部材との発光強度の比は、100.0対96.1であり、発光強度は、蛍光部材の厚さにほぼ比例する。
【0097】
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に実装基板13上の中央部に4個の第1LEDチップ24a~24dをフリップチップ実装し、それらの第1LEDチップ24a~24d上にそれぞれ第1蛍光部材26a~26dを接着して第1発光ユニット群271を形成する。なお、4個の第1LEDチップ24a~24dは、実装基板13上で、配線電極12により直列接続される。配線電極12は、
図8に示すように、各LEDチップの素子電極24Eに接続される。
【0098】
また、実装基板13上の第1発光ユニット群271の左右部に2個ずつ第2LEDチップ24e~24hをフリップチップ実装し、それらの第2LEDチップ24e~24h上にそれぞれ第2蛍光部材26e~26hを接着して第2発光ユニット群272を形成する。なお、4個の第2LEDチップ24e~24hは、実装基板13上で、配線電極12により直列接続される。配線電極12は、
図8に示すように、各LEDチップの素子電極24Eに接続される。
【0099】
ここで、本実施の形態に係る白色発光装置101の各発光ユニット群の発光色度について上述した
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
【0100】
まず、
図6Aを用いて、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットに第1定格電流である3アンペアの電流が供給される場合について説明する。実施の形態1に係る各発光ユニット群の発光色度と同様に、この場合、実施の形態1と同様に第1発光ユニットの発光のうち蛍光体からの発光は60.8%であり、すべての第1発光ユニットの平均発光色度はCIE座標(0.3270、0.3449)で表される。第1発光ユニット27a~27dの発光色度のCIE座標は、実施の形態1と同様に、座標110a~110dで表される。
図6Aに示すように、各発光ユニットの発光色度のCIE座標には分布があるものの、平均発光色度のCIE座標を中心としたマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の内側にある。
【0101】
各第2発光ユニットに、各第1発光ユニットと同じ第1定格電流3アンペアを供給する場合、第2発光ユニット27e~27hの発光色度のCIE座標は、実施の形態1と同様に、座標110e~110hで表される。また、各第2発光ユニットの平均発光輝度を表すCIE座標は、各第1発光ユニットの平均発光輝度を表すCIE座標と異なるCIE座標(0.3205、0.3330)となる。これは、上述のとおり各第2蛍光部材からの発光強度が各第1蛍光部材からの発光強度の96.1%となるためである。ここで、
図6Aに示すように、各第2発光ユニットの発光色度を表すCIE座標は、平均発光色度のCIE座標を中心としたマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の内側にある。一方、各第2発光ユニットの発光色度を表すCIE座標と、各第1発光ユニットの平均色度を表すCIE座標との差(ΔCx、ΔCy)は(0.0065、0.0119)であり、同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の内側に相当する「ΔCxが0.0055未満かつΔCyが0.0074未満」との条件を満たさない。したがって、第2発光ユニット群の発光色度と、第1発光ユニット群の発光色度とは非同一色である。
【0102】
本実施の形態では、各第2蛍光部材に各第1蛍光部材より厚さの薄い蛍光部材を用いることで、各第2蛍光部材からの発光強度が各第2LEDチップからの発光強度に比べて弱くなる。このため、第2発光ユニットから、より第2LEDチップからの発光(青色光)に近い合成光が得られることになる。
【0103】
本実施の形態に係る各第2発光ユニットに第2定格電流である1アンペアの電流が供給される時の第2発光ユニット群の平均発光色度を表すCIE座標は、実施の形態1と同様に
図6Bに示されるように(0.3270、0.3449)であり、かつ、各発光ユニットの発光色度のCIE座標は平均発光色度のCIE座標を中心としてマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の内側にある。このように、各第1発光ユニットに第1定格電流を供給する時の第1発光ユニット群271の平均発光色度を表すCIE座標と、各第2発光ユニットに第2定格電流を供給する時の第2発光ユニット群272の平均発光色度を表すCIE座標との差について、|Cx11-Cx22|<0.0055、かつ、|Cy11-Cy22|<0.0074が成り立つため、第1発光ユニット群の平均発光色度と第2発光ユニット群の平均発光色度とは同一色であるといえる。
【0104】
本実施の形態に係る白色発光装置101をヘッドランプユニットに設置して、第1発光ユニット群に第1定格電流である3アンペア、第2発光ユニット群に第2定格電流である1アンペアの電流を供給している状態で路面を照射する場合には、中央部と周辺部で対象物の色は同じに見える。
【0105】
続いて、第1発光ユニット群271及び第2発光ユニット群272の各発光色度が同一色となり得る境界値について説明する。
【0106】
例えば、各第1蛍光部材及び各第2蛍光部材としてそれぞれ厚さ100.0μm及び97.6μmの蛍光部材を用い、各第2発光ユニットに、各第1発光ユニットと同じ第1電流である2.4アンペアの電流を供給する場合について検討する。この場合、すべての第1発光ユニットの平均発光色度及びすべての第2発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標は、それぞれ(0.3285、3449)及び(0.3244、0.3375)となる。これらのCIE座標の差(ΔCx、ΔCy)は(0.0041、0.0074)であり、同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の境界に相当する。すなわち、各第2蛍光部材の厚さが97.6μmより大きく100μm以下の場合は、第1発光ユニット群271及び第2発光ユニット群272の発光色度が同一色になるということを意味する。また、各第2蛍光部材として例えば厚さ95.4μmのものを用い、各第2発光ユニットに、各第1発光ユニットと同じ第1電流である2.4アンペアを供給する場合、すべての第1発光ユニットの平均発光色度及びすべての第2発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標はそれぞれ(0.3285、3449)及び(0.3187、0.3304)となる。それらの座標の差(ΔCx、ΔCy)は(0.0098、0.01454)であり、非同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の外側に相当する。一方、各第2発光ユニットに1アンペアを供給する場合には、すべての第2発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標は(0.3225、0.3375)となる。したがって、すべての第1発光ユニット及びすべての第2発光ユニットの各平均発光色度を表すCIE座標の差(ΔCx、ΔCy)は(0.0060、0.0074)であり、同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の境界に相当する。すなわち、各第2蛍光部材の厚さが95.4μmより小さい場合は、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットにそれぞれ第1定格電流及び第2定格電流を供給する場合にも、各発光ユニット群の発光色度は同一色にならない。
【0107】
すなわち、本実施の形態においては、各第1蛍光部材の厚さが100.0μmであり、かつ、各第2蛍光部材の厚さが95.4μmより大きく97.6μmより小さい場合に、第1発光ユニット群及び第2発光ユニット群の各発光色度は同一色となり得る。
【0108】
言い換えると第1発光ユニット群又は第2発光ユニット群を構成するLEDチップの発光波長と同じ波長の光を第1蛍光部材及び第2蛍光部材にそれぞれ照射する時に、第1蛍光部材の発光強度の平均値をP1とし、第2蛍光部材の発光強度の平均値をP2とした時、0.954≦P2/P1≦0.976の場合に第1発光ユニット群及び第2発光ユニット群の各発光色度は同一色となり得る。
【0109】
以上では、第1蛍光部材及び第2蛍光部材として、面積が同じで厚さが異なるものを用いて説明したが、各蛍光部材の構成はこれに限定されない。蛍光部材からの発光強度は、蛍光部材の体積と、蛍光部材中に含まれる蛍光体粒の体積密度との積にほぼ比例するので、蛍光部材の体積が一定の場合は、発光強度は蛍光体粒の体積濃度にほぼ比例する。また、蛍光体粒の体積濃度が一定の場合には、発光強度は蛍光部材の体積にほぼ比例する。
【0110】
すなわち、第1蛍光部材及び第2蛍光部材において、各蛍光部材の寸法(板状の蛍光部材の場合には、その底面積及び高さ)が同じであり、蛍光体の発光色度が同一色である場合、第1蛍光部材における蛍光体粒の体積濃度の平均値をD1とし、第2蛍光部材における蛍光体粒の体積濃度の平均値をD2とした時、0.954≦D2/D1≦0.976の範囲であれば、本実施の形態に係る白色発光装置101を実現し得る。言い換えると、第1蛍光部材及び第2蛍光部材において、蛍光体の発光色度が同一色であって、第1発光ユニット群に含まれるすべての第1蛍光部材の体積の平均値をD1とし、第2発光ユニット群に含まれるすべての第2蛍光部材の体積の平均値をVP2とした時、0.954≦D2/D1≦0.976、かつ、VP1=VP2であれば、本実施の形態に係る白色発光装置101を実現し得る。
【0111】
つまり、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットに境界値の2.4アンペアの電流を供給する時には第1発光ユニット群及び第2発光ユニット群の各発光色度は非同一色であるが、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットにそれぞれ2.4アンペア及び1アンペアの電流を供給する時には、第1発光ユニット群及び第2発光ユニット群の各発光色度は同一色となる。
【0112】
同様に、各第1蛍光部材及び各第2蛍光部材における蛍光体粒の体積濃度の平均値、及び、蛍光体の発光色度が同一色である場合、すべての第1蛍光部材の体積の平均値をVP1とし、すべての第2蛍光部材の体積の平均値をVP2として、0.954≦VP2/VP1≦0.976が成り立てば、本実施の形態に係る白色発光装置101を実現し得る。言い換えると、第1蛍光部材及び第2蛍光部材において、蛍光体の発光色度が同一色であって、0.954≦VP2/VP1≦0.976、かつ、D1=D2であれば、本実施の形態に係る白色発光装置101を実現し得る。
【0113】
つまり、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットに境界値の2.4アンペアの電流を供給する時には第1発光ユニット群及び第2発光ユニット群の各発光色度は非同一色であるが、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットにそれぞれ2.4アンペア及び1アンペアの電流を供給する時には、第1発光ユニット群及び第2発光ユニット群の各発光色度は同一色となる。
【0114】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る白色発光装置について説明する。本実施の形態に係る白色発光装置は、複数の第1発光ユニットと複数の第2発光ユニットとで、各ユニットの構成は同じであるが、各ユニット群のLEDチップの中心間距離が異なる。以下、本実施の形態に係る白色発光装置について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0115】
[3-1.基本構成]
本実施の形態に係る白色発光装置の基本構成について、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9及び
図10は、それぞれ本実施の形態に係る白色発光装置201の構成の一例を示す概略上面図及び断面図である。
図10には、
図9の白色発光装置201のX-X断面が示されている。
【0116】
本実施の形態に係る白色発光装置201は、
図9に示すように、第1発光ユニット群371と、第2発光ユニット群372と、実装基板13とを備える。白色発光装置201は、さらに、枠18と、反射樹脂19とを備える。
【0117】
第1発光ユニット群371は、第1電流が供給される複数の第1発光ユニット37a~37fを有する。複数の第1発光ユニット37a~37fの各々は、第1LEDチップ及び第1蛍光部材を有する。
図9に示すように、第1発光ユニット37a~37fは、それぞれ、第1LEDチップ34a~34fと、第1蛍光部材36a~36fとを有する。複数の第1発光ユニット37a~37fの各々は、複数の第1発光ユニット37a~37fのうち他の少なくとも一つの第1発光ユニットと隣接して配置される。
【0118】
第2発光ユニット群372は、第2電流が供給される複数の第2発光ユニット37g~37k、37m、37n、37pを有する。複数の第2発光ユニット37g~37k、37m、37n、37pの各々は、第2LEDチップ及び第2蛍光部材を有する。
図9に示すように、第2発光ユニット37g~37k、37m、37n、37pは、それぞれ、第2LEDチップ34g~34k、34m、34n、34pと、第2蛍光部材36g~36k、36m、36n、36pとを有する。複数の第2発光ユニット37g~37k、37m、37n、37pの各々は、複数の第2発光ユニット37g~37k、37m、37n、37pのうち他の少なくとも一つの第2発光ユニットと隣接して配置される。
【0119】
本実施の形態においては、各第1LEDチップ及び各第2LEDチップは実施の形態1と同様にそれぞれ発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いる。
【0120】
また、各第1蛍光部材及び各第2蛍光部材についても同様にそれぞれ発光色度と発光強度とが同一とみなせるものを用いる。
【0121】
ここで、第2発光ユニット群372のLEDチップの中心間距離より、第1発光ユニット群371のLEDチップの中心間距離の方が大きい。これにより、各発光ユニット群の放熱性が異なるため、同じ第1定格電流を各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットに供給する場合には、各発光ユニット群の平均発光強度は同じであるが、平均発光色度は第2発光ユニット群372の平均発光色度を表すCIE座標が第1発光ユニット群371の平均発光色度を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円上又はその外側にある。
【0122】
各第1発光ユニットに第1定格電流を供給し、各第2発光ユニットに第2定格電流を供給する場合には、第2発光ユニット群372の平均発光色度を表すCIE座標が第1発光ユニット群371の平均発光色度を表すCIE座標を中心とするマクアダム3ステップ楕円の内側にあるが、平均発光強度は第1発光ユニット群の方が高くなる。
【0123】
具体的には、例えば、
図7に示される例のようにLEDチップが上下左右に等間隔で並んでいる場合は、第1発光ユニットに関しては、第1LEDチップ24bと隣接する第1LEDチップ24cとの中心間距離で、第1発光ユニット群のLEDチップの中心間距離を定義できる。また、
図9に示される例のように、二つの直交する方向である第1方向及び第2方向にそれぞれ隣接する他の発光ユニットのLEDチップの中心間距離が異なる場合には、第1方向における中心間距離と、第1方向に直交する第2方向における中心間距離との平均値を用いて、第1発光ユニット群のLEDチップの中心間距離を定義できる。具体的には、第1LEDチップ34bと第1LEDチップ34cとのx軸方向における中心間距離と、第1LEDチップ34bと第1LEDチップ34eとのy軸方向における中心間距離との平均値を中心間距離として定義できる。
【0124】
なお、第1発光ユニット37aのようにx軸方向においては、片側だけに他の第1発光ユニット37bが存在する場合であって、他方側に、第2発光ユニット37hが存在する場合には、第1LEDチップ34aと第2LEDチップ34hとのx軸方向における中心間距離を更に含めて平均値の算出をしてもよい。例えば、第1LEDチップ34aと、第2LEDチップ34h及び第1LEDチップ34bと中心間距離を、それぞれ、Dha及びDabとし、第1LEDチップ34cと、第1LEDチップ34b及び第2LEDチップ34kと中心間距離を、それぞれ、Dbc及びDckとする。この場合、第1発光ユニット群のすべての第1LEDチップのx軸方向における中心間距離の平均値は、以下の式で表される。
【0125】
(Dha+Dab+Dbc+Dck)/4
【0126】
第2発光ユニット群372についても同様である。
図9に示される例では、第2LEDチップ34gと第2LEDチップ34hとのx軸方向における中心間距離と、第2LEDチップ34gと第2LEDチップ34iとのy軸方向における中心間距離との平均値を第2発光ユニット群のLEDチップの中心間距離として定義できる。
【0127】
なお、第2LEDチップ34hのようにx軸方向においては、片側だけに他の第2LEDチップ34gが存在する場合であって、他方側に、第1LEDチップ34aが存在する場合には、第2LEDチップ34gと第1LEDチップ34aとのx軸方向における中心間距離を更に含めて平均値の算出をしてもよい。
【0128】
[3-2.詳細構成]
次に、本実施の形態に係る白色発光装置201の詳細構成について説明する。
【0129】
本実施の形態では、各発光ユニットに用いる各LEDチップとしてはすべて実施の形態1と同様に、チップサイズ、半導体積層構造、定格電流及び定格波長(定格色度)が同一である。また、各発光ユニットに用いる各蛍光部材としては材質、発光色度、板厚及び濃度がすべて同一である。
【0130】
同一とは、上記実施の形態で示しているように発光ユニットとして組み立てた時に同じ発光色になる範囲でのばらつきを含むものである。
【0131】
各蛍光部材としては、実施の形態1と同じくYAGの占有率が20体積%であり、平均発光色度がCIE座標(0.4240、0.5220)で表され、そのばらつき(ΔCx、ΔCy)が(±0.0040、±0.0040)未満の板状のYAGとセラミックスとの複合体を用いる。
【0132】
続いて、実装基板13における配線電極12について、
図11を用いて説明する。
図11は、本実施の形態に係る配線電極12の形状を示す上面図である。
図11においては、実装基板13の上面が示されている。また、
図11には、配線電極12と合わせて、各発光ユニットが示されている。
【0133】
図10などに示すように実装基板13上の中央部に0.8mm角の6個の第1LEDチップ34a~34fをフリップチップ実装し、それらの第1LEDチップ34a~34f上にそれぞれ第1蛍光部材36a~36fを接着して第1発光ユニット群371を形成する。なお、6個の第1LEDチップ34a~34fは、実装基板13上で、配線電極12により直列接続される。配線電極12は、
図10に示すように、各LEDチップの素子電極24Eに接続される。
【0134】
また、実装基板13上の第1発光ユニット群371の左右部に4個ずつ第2LEDチップ34g~34k、34m、34n、34pをフリップチップ実装し、それらの第2LEDチップ34g~34k、34m、34n、34p上にそれぞれ第2蛍光部材36g~36k、36m、36n、36pを接着して第2発光ユニット群372を形成する。なお、8個の第2LEDチップ34g~34k、34m、34n、34pは、実装基板13上で、配線電極12により直列接続される。配線電極12は、
図10に示すように、各LEDチップの素子電極34Eに接続される。
【0135】
ここで、第1発光ユニット群371の隣り合う二つの第1LEDチップ34aと第1LEDチップ34bなどのx軸方向の中心間距離(第1発光ユニット群のLEDチップのx軸方向中心間距離と同じ)は1.2mmであり、第2発光ユニット群372の隣り合う二つの第2LEDチップ34gと第2LEDチップ34hなどのx軸方向の中心間距離(第2発光ユニット群のLEDチップのx軸方向中心間距離と同じ)は1.0mmとなるように実装する。なお、上記実施の形態1及び2においても各LEDチップのx軸方向の中心間距離(各発光ユニット群のLEDチップのx軸方向中心間距離と同じ)は1.0mmである。
【0136】
実施の形態1と同様に、実装基板13の端部にある各第2発光ユニットに境界値である2.4アンペアの電流を供給する場合、すべての第2発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標は実施の形態1と同じく(0.3229、0.3375)であり、各第2発光ユニットの発光色度は平均発光色度を表すCIE座標を中心としたマクアダム3ステップ楕円の内側にある。各第1発光ユニットに、2.4アンペアの電流を供給する場合、各第1発光ユニットでは第2発光ユニットより放熱性が高いために、電流による発熱の影響に起因する第1蛍光部材からの発光減衰が各第2発光ユニットの83%程度にとどまる。その結果、すべての第1発光ユニットの平均発光色度は上記平均発光色度を表すCIE座標とは異なるCIE座標(0.3270、0.3449)となる。ここで、各第1発光ユニットの発光色度を表すCIE座標は、すべての第1発光ユニットの平均発光色度を表すCIE座標を中心としたマクアダム3ステップ楕円の内側にある。各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットにともに2.4アンペアの電流を供給する時には、それらの平均発光色度を表すCIE座標の差(ΔCx、ΔCy)は(0.0040、0.0135)であり、同一色の条件であるマクアダム3ステップ楕円に外接する長方形の内部に相当する「ΔCxが0.0055未満かつΔCyが0.0074未満」との条件を満たさないため、非同一色である。
【0137】
各第2発光ユニットに1アンペアの電流を供給する場合には、実施の形態1と同じく第2発光ユニット群372の平均発光色度を表すCIE座標は(0.3270、0.3449)となる。このため、各第1発光ユニット及び各第2発光ユニットにそれぞれ2.4アンペア及び1.0アンペアの電流を供給する場合には、各発光ユニット群の発光色度は同一色である。
【0138】
このように、第1LEDチップ間の中心間距離を第2LEDチップ間の中心間距離より広げ、供給電流の差による発熱が蛍光体の発光強度に及ぼす影響を打ち消すようにすることで、供給電流が異なる発光ユニット群が存在する白色発光装置において、各発光ユニット群の発光色を同一色にし得る。
【0139】
本実施の形態に係る白色発光装置201をヘッドランプユニットに設置して、各第1発光ユニットに第1定格電流である3アンペア、各第2発光ユニットに第2定格電流である1アンペアの電流を供給している状態で路面を照射する場合には、第1発光ユニット群の平均発光色度を表すCIE座標は(0.3249、0.3411)となり、第2発光ユニット群の平均発光色度を表すCIE座標(0.3270、0.3449)との差が(0.0020、0.0038)である。このため、ヘッドライトとして路面を照射する場合には、中央部と周辺部とで道路の色は同じに見える。
【0140】
この効果は、各発光ユニットを接続する実装基板の放熱特性の大小によって絶対値が異なるが、第1発光ユニット群に含まれるすべての第1LEDチップ間の中心間距離の平均値をD1とし、第2発光ユニット群に含まれるすべての第2LEDチップ間の中心間距離の平均値をD2とした時、D1のD2に対する大小関係が、第1定格電流の値の前記第2定格電流の値に対する大小関係と一致する場合に、この発熱影響を打ち消す効果がみられる。
【0141】
さらに、実施の形態3ではx軸方向の中心間距離により発熱影響を打ち消したが、このほか、実装基板において第1発光ユニット群が配置される領域の全面積をSM1とし、第1発光ユニット群を構成する第1発光ユニットの個数をnとし、実装基板において第2発光ユニット群が配置される領域の全面積をSM2とし、第2発光ユニット群を構成する第2発光ユニットの個数をmとした時、SM1/nのSM2/mに対する大小関係が、第1定格電流の値の第2定格電流の値に対する大小関係と一致する場合に、この発熱影響を打ち消す効果がみられる。
【0142】
ここで、発光ユニット群の全面積について
図12~
図14を用いて説明する。
図12及び
図13は、発光ユニット群の全面積の規定例を説明するための発光ユニット及び実装基板の断面図である。
図14は、発光ユニット群の全面積のさらに他の規定例を説明するための白色発光装置201の上面図である。
【0143】
図12に示されるように、各発光ユニット(
図12では、第1発光ユニット37a及び37b)の各LEDチップ(
図12では、第1LEDチップ34a及び34b)で発生する熱は、実装基板13に伝導する。この伝導の向きは、実装基板13の主面の法線に対して最大で45度程度である。このため、実装基板13のうち、各LEDチップの熱拡散に主として寄与する部分は、各LEDチップの端部から実装基板13の厚さTs程度離れた位置までの部分である。したがって、各発光ユニット群の全面積を規定する領域の端部を、LEDチップの端部からの距離が実装基板13の厚さTs程度である位置と定義してもよい。ただし、
図13に示すように、第1発光ユニット群の第1発光ユニット37aと、第2発光ユニット群の第2発光ユニット37hとの間隙が、実装基板13の厚さTsの2倍より小さい場合には、各発光ユニット群の全面積を規定する領域の端部を、各発光ユニット群の間隙の中点(又は中線)としてもよい。
図13に示す例では、各発光ユニットの端部からの距離がd0の位置を各発光ユニット群の全面積を規定する領域の端部と定義してもよい。
【0144】
また、実装基板13の厚さが一定でない場合などには、
図14の太線の破線枠371A、372A及び372Bで示すように、各発光ユニット群の最も外側に位置する発光ユニットの外側の端部を結ぶ線で囲まれる領域の面積で、各発光ユニット群の全面積を規定してもよい。
【0145】
さらに、ここでは同一色としてCIE座標値のCx、Cy値のみの差を用いたが、このほか、中央部と周辺部で同じ発光ユニットを用いた時の電流の差による上記色度の差が、中央部の平均発光色度を中心としたマクアダム3ステップ楕円上又はその外側にある場合に、LEDチップと蛍光部材は同じ仕様であるが、あらかじめ発光ユニットの中心間距離を変えておくことにより、同様に同一色にできるという効果が認められる。
【0146】
本実施の形態に係る白色発光装置によれば、配置場所により異なる供給電流値の発光ユニットを混在させる場合に、あらかじめ調整された組み合わせの発光ユニットを複数用意するという白色発光装置11を用いることで、発光ユニット全面での発光色度を同一色とする事が実現できる。
【0147】
(変形例など)
以上、本開示に係る白色発光装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0148】
例えば、上記実施の形態では、白色発光装置11は8個の発光ユニットを備えたが、発光ユニットの個数は8でなくてもよい。発光ユニットの個数は、2以上であればよい。
【0149】
また、上記実施の形態では、各発光ユニットは、一つのLEDチップと有するが、複数のLEDチップを有してもよい。例えば、一つの発光ユニットが、RGB(赤、緑、青)の三色の光を発生させるための三つのLEDチップを有してもよい。この場合、各LEDチップが、紫外光を出射し、三つのLEDチップにそれぞれ紫外光を赤、緑又は青の光に波長変換するための蛍光部材が接着されていてもよい。
【0150】
また、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本開示に係る白色発光装置は、面内で要求される輝度が異なり、かつ色は同色であることが要望されるような自動車のマトリクスビームヘッドライトなどにおいて特に有用である。
【符号の説明】
【0152】
11 白色発光装置
12 配線電極
13 実装基板
14a、14b、14c、14d、24a、24b、24c、24d、34a、34b、34c、34d、34e、34f 第1LEDチップ
14e、14f、14g、14h、24e、24f、24g、24h、34g、34h、34i、34j、34k、34m、34n、34p 第2LEDチップ
14E、24E、34E 素子電極
15 透明接着剤
16a、16b、16c、16d、26a、26b、26c、26d、36a、36b、36c、36d、36e、36f 第1蛍光部材
16e、16f、16g、16h、26e、26f、26g、26h、36g、36h、36i、36j、36k、36m、36n、36p 第2蛍光部材
17a、17b、17c、17d、27a、27b、27c、27d、37a、37b、37c、37d、37e、37f 第1発光ユニット
17e、17f、17g、17h、27e、27f、27g、27h、37g、37h、37i、37j、37k、37m、37n、37p 第2発光ユニット
18 枠
19 反射樹脂
171、271、371 第1発光ユニット群
172、272、372 第2発光ユニット群
611 マクアダム3ステップ楕円
612 マクアダム3ステップ楕円に外接する長方形