IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エステックの特許一覧

特許7282836配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法
<>
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図1
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図2
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図3
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図4
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図5
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図6
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図7
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図8A
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図8B
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図8C
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図9
  • 特許-配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20230522BHJP
   G01R 31/60 20200101ALI20230522BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20230522BHJP
   H02G 9/08 20060101ALI20230522BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G01R31/08
G01R31/60
G01R31/00
H02G9/08
H02G3/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021116997
(22)【出願日】2021-07-15
(65)【公開番号】P2023013081
(43)【公開日】2023-01-26
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】593027716
【氏名又は名称】株式会社エステック
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博之
(72)【発明者】
【氏名】井出 勇人
(72)【発明者】
【氏名】新倉 章裕
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 智宣
(72)【発明者】
【氏名】松尾 竜
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5595495(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0328853(US,A1)
【文献】米国特許第6948972(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033565(US,A1)
【文献】特開2003-337154(JP,A)
【文献】特開2012-225662(JP,A)
【文献】特開2017-219516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/08
G01R 31/60
G01R 31/50
G01R 31/00
H02G 9/00
H02G 3/08
H01R 3/00
H01R 25/00
H02B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の幹線ケーブルと第2の幹線ケーブルとの間に配置され、前記第1の幹線ケーブルと前記第2の幹線ケーブルとの間を連結する配線ユニットであって、
前記第1の幹線ケーブルと前記第2の幹線ケーブルとの間を接続する導体線を有する第1のケーブルと、
一端で前記第1のケーブルから分岐して前記一端から他端へ延在し、前記他端においてスイッチに接続可能であり、前記一端において前記第1のケーブルの前記導体線に接続されている、接続導体線を有する第2のケーブルと、
を備え、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記スイッチの操作により前記第1の幹線ケーブルと前記第2の幹線ケーブルとの間の接続状態を変更可能に前記第1のケーブルの前記導体線に接続されている、
配線ユニット。
【請求項2】
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線の第1の端部側を、前記第1の導体線の第2の端部側又は前記第1のケーブルの第2の導体線との接続に変更可能に接続されている、
請求項1に記載の配線ユニット。
【請求項3】
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線と前記第1のケーブルの第2の導体線のいずれか一方を、前記第1のケーブルの第3の導体線との接続に変更可能に接続されている、
請求項1に記載の配線ユニット。
【請求項4】
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線と前記第1のケーブルの第2の導体線とを、ストレート接続又はクロス接続に変更可能に接続されている、
請求項1に記載の配線ユニット。
【請求項5】
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの複数の導体線において、当該複数の導体線の第3の端部側と第4の端部側との間を接続又は遮断可能に接続されている、
請求項1に記載の配線ユニット。
【請求項6】
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第3の端部側と前記第4の端部側との間を遮断したときに前記第3の端部側となる第1の端子と前記第4の端部側となる第2の端子とを備える、
請求項5に記載の配線ユニット。
【請求項7】
前記第1のケーブルの長さは、前記第1の幹線ケーブル及び前記第2の幹線ケーブルの長さより短い、
請求項1から6のいずれか一項に記載の配線ユニット。
【請求項8】
複数の幹線ケーブルと、
前記幹線ケーブル同士の間を連結する配線ユニットと、
を備え、
前記配線ユニットは、
前記幹線ケーブル同士を接続する導体線を有する第1のケーブルと、
一端で前記第1のケーブルから分岐して前記一端から他端へ延在し、前記他端においてスイッチに接続可能であり、前記一端において前記第1のケーブルの前記導体線に接続されている、接続導体線を有する第2のケーブルと、
を有し、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記スイッチの操作により前記幹線ケーブル同士の接続状態を変更可能に前記第1のケーブルの前記導体線に接続された配線ユニットであって、
前記配線ユニットは、少なくとも、第1の配線ユニットと第2の配線ユニットとを含み、
前記第1の配線ユニットにおいて、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線の第1の端部側を、前記第1の導体線の第2の端部側又は前記第1のケーブルの第2の導体線との接続に変更可能に接続され、
前記第2の配線ユニットにおいて、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線と前記第1のケーブルの第2の導体線のいずれか一方を、前記第1のケーブルの第3の導体線との接続に変更可能に接続されている、
配線システム。
【請求項9】
前記配線ユニットは、更に、第3の配線ユニットを含み、
前記第3の配線ユニットにおいて、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線と前記第1のケーブルの第2の導体線とを、ストレート接続又はクロス接続に変更可能に接続され、
前記第3の配線ユニットは、前記第1の配線ユニットと前記第2の配線ユニットとの間に配置される、
請求項8に記載の配線システム。
【請求項10】
前記配線ユニットは、更に、第4の配線ユニットを含み、
前記第4の配線ユニットにおいて、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの複数の導体線において、当該複数の導体線の第3の端部側と第4の端部側との間を接続又は遮断可能に接続され、
前記第3の端部側と前記第4の端部側との間を遮断したときに前記第3の端部側となる第1の端子と前記第4の端部側となる第2の端子とを備える、
請求項8又は9に記載の配線システム。
【請求項11】
請求項10に記載の配線システムにおける絶縁不良区間確認方法であって、
前記複数の幹線ケーブルのうちいずれかの幹線ケーブルを介在させた第1の接続位置及び第2の接続位置に、前記第4の配線ユニットを追加の配線ユニットとして接続し、
前記第1の接続位置及び前記第2の接続位置のそれぞれで、前記追加の配線ユニットにおいて、前記第1のケーブルの前記導体線における前記第3の端部側と前記第4の端部側との接続を遮断し、
前記第1の接続位置で、前記第3の端部側が絶縁状態かつ前記第4の端部側が絶縁不良状態であり、前記第2の接続位置で、前記第3の端部側が絶縁不良状態かつ前記第4の端部側が絶縁状態である場合、前記いずれかの幹線ケーブルに絶縁不良があるとの判断が可能となる、
絶縁不良区間確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルや建物、例えば、ビルなどの施設では、長尺な幹線ケーブルとその分岐ケーブルとを有する配線システムが使用されている(例えば、特許文献1、2を参照)。例えば、電力や通信用の洞道(トンネル)において、そのトンネル内照明のために、上述した配線システムが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭52-135081号公報
【文献】実開平6-58523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した配線システムは、対象施設(例えば、トンネルなど)を測量することにより、分岐ケーブル付き幹線ケーブルの長さ、分岐ケーブルの間隔などを決めたうえで、分岐ケーブル付き幹線ケーブルの回路図を作成し、製造していた。すなわち、対象施設毎に個別に配線システムを製造していた。
【0005】
上述した配線システムにおいては、通常、配線システムの主電源側でスイッチングを行っている。ところが、対象施設への設置後に、当該配線システムの幹線ケーブルの途中に別途スイッチを設けたい場合がある。このような場合、対象施設の現場において、幹線ケーブルを切断し、幹線ケーブルの被覆を剥離し、幹線ケーブルの導体線へスイッチ用ケーブルを接続する作業が必要となり、場所によっては、作業が困難な場合がある。
【0006】
特許文献1、2には、分岐ケーブル付き幹線ケーブルを適宜な長さにすることが示されており、分岐ケーブル付き幹線ケーブル同士を接続して幹線ケーブルを構成することにより、幹線ケーブルの途中に分岐ケーブルを設けることは可能である。しかしながら、特許文献1、2に示された幹線ケーブルの分岐ケーブルは、幹線ケーブルの導体線から単に分岐するよう接続されたケーブルである。そのため、この分岐ケーブルにスイッチを接続するだけでは、主ケーブルとしての幹線ケーブルのスイッチングを行うことはできない。
【0007】
本発明の目的は、主ケーブルの途中に容易にスイッチを設けることを可能とする配線ユニット、配線システム及び絶縁不良区間確認方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の幹線ケーブルと第2の幹線ケーブルとの間に配置され、前記第1の幹線ケーブルと前記第2の幹線ケーブルとの間を連結する配線ユニットであって、
前記第1の幹線ケーブルと前記第2の幹線ケーブルとの間を接続する導体線を有する第1のケーブルと、
一端で前記第1のケーブルから分岐して前記一端から他端へ延在し、前記他端においてスイッチに接続可能であり、前記一端において前記第1のケーブルの前記導体線に接続されている、接続導体線を有する第2のケーブルと、
を備え、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記スイッチの操作により前記第1の幹線ケーブルと前記第2の幹線ケーブルとの間の接続状態を変更可能に前記第1のケーブルの前記導体線に接続されている。
【0009】
また、本発明に係る配線システムは、
複数の幹線ケーブルと、
前記幹線ケーブル同士の間を連結する配線ユニットと、
を備え、
前記配線ユニットは、
前記幹線ケーブル同士を接続する導体線を有する第1のケーブルと、
一端で前記第1のケーブルから分岐して前記一端から他端へ延在し、前記他端においてスイッチに接続可能であり、前記一端において前記第1のケーブルの前記導体線に接続されている、接続導体線を有する第2のケーブルと、
を有し、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記スイッチの操作により前記幹線ケーブル同士の接続状態を変更可能に前記第1のケーブルの前記導体線に接続された配線ユニットであって、
前記配線ユニットは、少なくとも、第1の配線ユニットと第2の配線ユニットとを含み、
前記第1の配線ユニットにおいて、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線の第1の端部側を、前記第1の導体線の第2の端部側又は前記第1のケーブルの第2の導体線との接続に変更可能に接続され、
前記第2の配線ユニットにおいて、
前記第2のケーブルの前記接続導体線は、前記第1のケーブルの第1の導体線と前記第1のケーブルの第2の導体線のいずれか一方を、前記第1のケーブルの第3の導体線との接続に変更可能に接続されている
【0010】
また、本発明に係る絶縁不良区間確認方法は、
上記配線システムにおける絶縁不良区間確認方法であって、
前記複数の幹線ケーブルのうちいずれかの幹線ケーブルを介在させた第1の接続位置及び第2の接続位置に、前記第4の配線ユニットを追加の配線ユニットとして接続し、
前記第1の接続位置及び前記第2の接続位置のそれぞれで、前記追加の配線ユニットにおいて、前記第1のケーブルの前記導体線における前記第3の端部側と前記第4の端部側との接続を遮断し、
前記第1の接続位置で、前記第3の端部側が絶縁状態かつ前記第4の端部側が絶縁不良状態であり、前記第2の接続位置で、前記第3の端部側が絶縁不良状態かつ前記第4の端部側が絶縁状態である場合、前記いずれかの幹線ケーブルに絶縁不良があるとの判断が可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主ケーブルの途中に容易にスイッチを設けることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る配線システムを説明する回路図である。
図2図1に示した配線システムを示す概略構成図である。
図3図1に示した配線システムにおける電気機器接続用の配線ユニットを示す斜視図である。
図4図1に示した配線システムにおける幹線延長用の配線ユニットを示す斜視図である。
図5図1に示した配線システムにおける三路スイッチ用の配線ユニットを示す斜視図である。
図6図1に示した配線システムにおける他の三路スイッチ用の配線ユニットを示す斜視図である。
図7図1に示した配線システムの変形例を示す回路図である。
図8A図1に示した配線システムの他の変形例を示す回路図において、本発明の実施の形態に係る絶縁不良区間確認方法を説明する図であって、第1の接続位置に接続/遮断のスイッチ用の配線ユニットを接続した場合を示す図である。
図8B図1に示した配線システムの他の変形例を示す回路図において、本発明の実施の形態に係る絶縁不良区間確認方法を説明する図であって、第2の接続位置に接続/遮断のスイッチ用の配線ユニットを接続した場合を示す図である。
図8C図1に示した配線システムの他の変形例を示す回路図において、本発明の実施の形態に係る絶縁不良区間確認方法を説明する図であって、第1の接続位置及び第2の接続位置のそれぞれに接続/遮断のスイッチ用の配線ユニットを接続した場合を示す図である。
図9図8A図8Cに示した配線システムにおける接続/遮断のスイッチ用の配線ユニットの一例を示す斜視図である。
図10図8A図8Cに示した配線システムにおける接続/遮断のスイッチ用の配線ユニットの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る配線ユニット10A、10Bを含む配線システム100Aを説明する回路図である。また、図2は、図1に示した配線システム100Aを示す概略構成図である。
【0015】
図1図2では、配線システム100Aを、電力や通信用の洞道などのトンネルT内に設けた例を示しているが、トンネルT以外の施設(例えば、ビルなど)に設けてもよい。また、図1図2においては、説明の便宜上、交流電源41が配置された方を上流とし、その反対の方を下流としている。
【0016】
配線システム100Aは、配線ユニット10A、10B、40、50、60、70を備える。
【0017】
[配線ユニット40]
配線ユニット40は、幹線ケーブル(主ケーブル)M1を有し、以下に説明するように、幹線ケーブルM1は、主電源となる交流電源41と、接地のための接地部Gとに接続される。配線ユニット40は、電源側の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM1を用いて予めユニット化されている。
【0018】
幹線ケーブルM1は、5心の導体線W1~W5を有する。幹線ケーブルM1は、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。幹線ケーブルM1は、その上流側のコネクタC2が交流電源41及び接地部G側のコネクタC1と接続されて、交流電源41と接地部Gとに接続される。具体的には、幹線ケーブルM1において、導体線W1の上流側の端部が接地部Gに接続されて接地され、導体線W2、W4の上流側の端部が交流電源41に接続され、導体線W3、W5の上流側の端部が絶縁された絶縁端末に各々接続される。
【0019】
本実施の形態では、後述する三路スイッチ30A、30Bや四路スイッチ30Cに適用する例として、5心の導体線を有する幹線ケーブルM1を例示しているが、これに限らない。幹線ケーブルM1の導体線の数は、使用される対象施設(例えば、トンネルやビルなど)に応じて、適宜に変更される。これは、以下に説明する配線ユニット50、60、70の幹線ケーブルM1でも同様である。また、配線ユニット50、60、70の幹線ケーブルM1における導体線の符号は、説明の便宜上、配線ユニットの幹線ケーブルM1と同じく、導体線W1~W5とする。
【0020】
また、コネクタC1及びコネクタC2は、一方がオスコネクタ(例えば、プラグ)、他方がメスコネクタ(例えば、レセプタクル)となっており、互いに嵌合して、導体線W1~W5が電気的に接続可能な構成となっている。
【0021】
コネクタC1及びコネクタC2に、例えば、防浸形の防水性能を持たせる場合には、コネクタC1及びコネクタC2として、防浸形防水性能を持つコネクタを用いたり、モールド加工によりコネクタに防浸形の防水性能を持たせたりすればよい。
【0022】
[配線ユニット50]
配線ユニット50について、図1及び図2と共に、図3も参照して説明を行う。図3は、図1に示した配線システム100Aにおける電気機器接続用の配線ユニット50を示す斜視図である。
【0023】
配線ユニット50は、幹線ケーブルM1と分岐ケーブル51とを有し、以下に説明するように、分岐ケーブル51に照明器具52が接続されている。配線ユニット50は、照明器具52などの電気機器接続用の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM1、分岐ケーブル51やモールド部51mを用いて予めユニット化されている。
【0024】
配線ユニット50の幹線ケーブルM1は、配線ユニット40の幹線ケーブルM1と同様に、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。
【0025】
分岐ケーブル51は、3心の導体線511~513を有し、導体線511の一端が導体線W1に接続され、導体線512の一端が導体線W3に接続され、導体線513の一端が導体線W2に接続される。導体線511~513と導体線W1~W3とは、例えば、後述の図5に示す接続スリーブ211s~214sなどを用いて接続すればよい。このような接続により、分岐ケーブル51は、幹線ケーブルM1から分岐したケーブルとなっている。そして、このように分岐された分岐ケーブル51の導体線511~513の他端に照明器具52が接続される。
【0026】
幹線ケーブルM1と分岐ケーブル51との接続部分には、防浸形の防水性能を持たせるため、接続部分を覆うモールド部51mが設けられている(図2図3を参照)。例えば、モールド加工により、接続部分の周囲にモールド部51mを設ける。これにより、幹線ケーブルM1と分岐ケーブル51とをユニット化すると共に、モールド部51mの内部に接続部分を収容して、接続部分への水分の浸入を防止することができる。
【0027】
また、分岐ケーブル51と照明器具52との接続は、直接接続でもよいが、例えば、上述したコネクタC1、C2と同様のコネクタC4、C5、例えば、防水性能を有するコネクタC4、C5を用いるようにしてもよい(図2図3を参照)。例えば、分岐ケーブル51の先端側(照明器具52側)の端部にコネクタC4が接続され、照明器具52に一端が接続されたケーブル53の他端にコネクタC5が接続される。そして、コネクタC4、C5を互いに接続することで、照明器具52は分岐ケーブル51に接続される。
【0028】
また、照明器具52は、図3に示すように、取付具52sを有している。取付具52sを、例えば、トンネルTの壁面に取り付けることで、トンネルT内に照明器具52を設置する。
【0029】
本実施の形態では、一例として、3心の導体線を有する分岐ケーブル51を例示しているが、導体線の数は、幹線ケーブルM1の導体線の数や接続される電気機器などに応じて、適宜に変更される。また、電気機器は、一例として、照明器具52を例示しているが、使用される対象施設に応じて、適宜に変更される。
【0030】
[配線ユニット60]
配線ユニット60について、図1及び図2と共に、図4も参照して説明を行う。図4は、図1に示した配線システム100Aにおける幹線延長用の配線ユニット60を示す斜視図である。
【0031】
配線ユニット60は、幹線ケーブルM1を有する。配線ユニット60は、幹線延長用の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM1を用いて予めユニット化されている。
【0032】
配線ユニット60の幹線ケーブルM1は、配線ユニット40、50の幹線ケーブルM1と同様に、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。
【0033】
[配線ユニット70]
配線ユニット70は、配線ユニット50と同様に、幹線ケーブルM1と分岐ケーブル51とを有し、分岐ケーブル51に照明器具52が接続され、幹線ケーブルM1の下流側端部のコネクタC1に絶縁端末C3が接続されている。配線ユニット70は、照明器具52などの電気機器接続用の配線ユニットであって、絶縁端末C3を有する配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM1、分岐ケーブル51を用いて予めユニット化されている。
【0034】
配線ユニット70の幹線ケーブルM1は、配線ユニット40、50、60の幹線ケーブルM1と同様に、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。そして、導体線W1~W5の下流側の端部は、コネクタC1に接続された絶縁端末C3により、各々絶縁されている。配線ユニット70の分岐ケーブル51は、配線ユニット50の分岐ケーブル51と同様の構成であるので、ここでは、重複する説明は省略する。
【0035】
上述した配線ユニット40、50、60、70は、各々、ユニット化されるが、幹線ケーブルM1、分岐ケーブル51は、作業者が持ち運び可能な適宜な長さを1ユニットとして定尺化すればよい。例えば、幹線ケーブルM1は、把取りができる数十m程度を1ユニットとして定尺化すればよい。
【0036】
[配線ユニット10A]
配線ユニット10Aについて、図1及び図2と共に、図5も参照して説明を行う。図5は、図1に示した配線システム100Aにおける三路スイッチ30A用の配線ユニット10Aを示す斜視図である。なお、図5においては、モールド部21m及び三路スイッチ30Aの内部を示すため、モールド部21m及び三路スイッチ30Aの外観を仮想線で示している。
【0037】
配線ユニット10Aは、幹線ケーブルM1同士の間を連結する。配線ユニット10Aは、幹線ケーブルM1同士を接続する導体線W1~W5を有する幹線ケーブルM2(第1のケーブル)と、三路スイッチ30Aを接続可能な導体線211~214(接続導体線)を有するスイッチ用ケーブル21(第2のケーブル)とを有する。スイッチ用ケーブル21は、一端において、幹線ケーブルM2の導体線W1~W5に接続され、幹線ケーブルM2から分岐して当該一端から他端へ延在しており、他端において、三路スイッチ30Aに接続可能である。配線ユニット10Aは、三路スイッチ30Aなどのスイッチ用の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM2、スイッチ用ケーブル21やモールド部21mを用いて予めユニット化されている。
【0038】
幹線ケーブルM2は、上記の幹線ケーブルM1と同様の構成であり、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。また、導体線W4は、上流側と下流側とに分離されている。
【0039】
スイッチ用ケーブル21は、4心の導体線211~214を有する。導体線211~214は、三路スイッチ30Aの操作により幹線ケーブルM1同士の接続状態を変更可能に幹線ケーブルM2の導体線W1~W5に接続される。具体的には、スイッチ用ケーブル21において、導体線211の一端が接続スリーブ211sにより導体線W1に接続される。また、導体線212の一端が接続スリーブ212sにより導体線W5に接続される。また、導体線213の一端が接続スリーブ213sにより導体線W4の上流側(第1の端部側)に接続され、導体線214の一端が接続スリーブ214sにより導体線W4の下流側(第2の端部側)に接続される。このような接続により、スイッチ用ケーブル21は、導体線W4(本発明における第1の導体線)の上流側を、導体線W4の下流側又は導体線W5(本発明における第2の導体線)との接続に変更可能である。
【0040】
接続スリーブ211s~214sとしては、外周部分が絶縁処理されたもの、外周に絶縁スリーブを有するものなどを使用する。
【0041】
このように接続されたスイッチ用ケーブル21の導体線211~214の他端に三路スイッチ30Aが接続される。三路スイッチ30Aは、図5に示すように、金属筐体311の内部に、接地端子311g、スイッチ本体31s、端子台31tなどを有し、スイッチ用ケーブル21とは以下のように接続される。
【0042】
具体的には、導体線211の他端が接地端子311gに接続される。また、端子台31tを介して、導体線212の他端がスイッチ本体31sの固定接点312に接続され、導体線213の他端がスイッチ本体31sの可動接点313に接続され、導体線214の他端がスイッチ本体31sの固定接点314に接続される。そして、スイッチ用ケーブル21に接続された三路スイッチ30Aを操作し、可動接点313を固定接点312又は固定接点314に接触させることにより、導体線W4の上流側を、導体線W4の下流側又は導体線W5に接続する。
【0043】
幹線ケーブルM2とスイッチ用ケーブル21との接続部分には、防浸形の防水性能を持たせるため、接続部分を覆うモールド部21mが設けられている(図2図5を参照)。例えば、モールド加工により、接続部分の周囲にモールド部21mを設ける。これにより、幹線ケーブルM2とスイッチ用ケーブル21とをユニット化すると共に、モールド部21mの内部に接続部分を収容して、接続部分への水分の浸入を防止することができる。また、スイッチ用ケーブル21を金属筐体311の内部に挿入する挿入口は、挿入口に設けられた防水グランド21gにより、内部に水が浸入しないようになっている。
【0044】
三路スイッチ30Aは、トンネルTの縦坑S1に近い位置に配置することが望ましく、そのため、配線ユニット10Aも、縦坑S1に近い位置で、他の配線ユニット40、50、60、70と接続することが望ましい。
【0045】
[配線ユニット10B]
配線ユニット10Bについて、図1及び図2と共に、図6も参照して説明を行う。図6は、図1に示した配線システム100Aにおける三路スイッチ30B用の配線ユニット10Bを示す斜視図である。なお、図6においては、モールド部22mの内部を示すため、モールド部22mの外観を仮想線で示している。また、三路スイッチ30Bは、図5に示した三路スイッチ30Aと同様の構成となるので、図6においては、三路スイッチ30Bの図示を省略している。
【0046】
配線ユニット10Bは、幹線ケーブルM1同士の間を連結する。配線ユニット10Bは、幹線ケーブルM1同士を接続する導体線W1~W5を有する幹線ケーブルM3(第1のケーブル)と、三路スイッチ30Bを接続可能な導体線221~224(接続導体線)を有するスイッチ用ケーブル22(第2のケーブル)とを有する。スイッチ用ケーブル22は、一端において、幹線ケーブルM3の導体線W1~W5に接続され、幹線ケーブルM3から分岐して当該一端から他端へ延在しており、他端において、三路スイッチ30Bに接続可能である。配線ユニット10Bは、三路スイッチ30Bなどのスイッチ用の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM3、スイッチ用ケーブル22やモールド部22mを用いて予めユニット化されている。
【0047】
幹線ケーブルM3は、上記の幹線ケーブルM1と同様の構成であり、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。
【0048】
スイッチ用ケーブル22は、4心の導体線221~224を有する。導体線221~224は、三路スイッチ30Bの操作により幹線ケーブルM1同士の接続状態を変更可能に幹線ケーブルM3の導体線W1~W5に接続される。具体的には、スイッチ用ケーブル22において、導体線221の一端が接続スリーブ221sにより導体線W1に接続される。また、導体線222の一端が接続スリーブ222sにより導体線W3に接続される。また、導体線223の一端が接続スリーブ223sにより導体線W4に接続される。また、導体線224の一端が接続スリーブ224sにより導体線W5に接続される。このような接続により、スイッチ用ケーブル22は、導体線W4(本発明における第1の導体線)と導体線W5(本発明における第2の導体線)のいずれか一方を、導体線W3(本発明における第3の導体線)との接続に変更可能である。
【0049】
接続スリーブ221s~224sとしては、外周部分が絶縁処理されたもの、外周に絶縁スリーブを有するものなどを使用する。
【0050】
このように接続されたスイッチ用ケーブル22の導体線221~224の他端に三路スイッチ30Bが接続される。三路スイッチ30Bは、図示は省略するが、金属筐体321の内部に、接地端子、スイッチ本体、端子台などを有し、スイッチ用ケーブル22とは以下のように接続される。
【0051】
具体的には、導体線221の他端が三路スイッチ30Bの金属筐体321の接地端子に接続される。また、端子台を介して、導体線222の他端がスイッチ本体の可動接点322に接続され、導体線223の他端がスイッチ本体の固定接点323に接続され、導体線224の他端がスイッチ本体の固定接点324に接続される。そして、スイッチ用ケーブル22に接続された三路スイッチ30Bを操作し、可動接点322を固定接点323又は固定接点324に接触させることにより、導体線W4と導体線W5のいずれか一方を導体線W3に接続する。
【0052】
幹線ケーブルM3とスイッチ用ケーブル22との接続部分には、防浸形の防水性能を持たせるため、接続部分を覆うモールド部22mが設けられている(図2図6を参照)。例えば、モールド加工により、接続部分の周囲にモールド部22mを設ける。これにより、幹線ケーブルM3とスイッチ用ケーブル22とをユニット化すると共に、モールド部22mの内部に接続部分を収容して、接続部分への水分の浸入を防止することができる。また、スイッチ用ケーブル22を金属筐体321の内部に挿入する挿入口は、挿入口に設けられた防水グランド(図示省略)により、内部に水が浸入しないようになっている。
【0053】
三路スイッチ30Bは、トンネルTの縦坑S2に近い位置に配置することが望ましく、そのため、配線ユニット10Bも、縦坑S2に近い位置で、他の配線ユニット40、50、60、70と接続することが望ましい。
【0054】
上述した配線ユニット10A、10Bも、各々、ユニット化されるが、幹線ケーブルM2、M3、スイッチ用ケーブル21、22は、作業者が持ち運び可能な適宜な長さを1ユニットとして定尺化すればよい。例えば、幹線ケーブルM2、M3の長さは、上記の幹線ケーブルM1の長さより短くてもよく、1m程度を1ユニットとして定尺化すればよい。
【0055】
幹線ケーブルM2、M3の長さを、幹線ケーブルM1の長さより短くすることにより、配線ユニット10A、10Bの持ち運びがより容易となる。また、配線ユニット40、50、60、70の設置後であっても、これらの間の任意の位置に、配線ユニット10A、10Bを容易に接続することができる。
【0056】
このように、配線システム100Aは、上述した構成の配線ユニット10A、10B、40、50、60、70を備える。そして、配線ユニット10A、10B、40、50、60、70は、コネクタC1、C2により、互いに直列に接続されて、一条の配線システム100Aとして構成されている。また、配線システム100Aにおいて、配線ユニット10A、10Bは、配線ユニット40、50、60、70の複数の幹線ケーブルM1の間に接続されている。
【0057】
[効果]
配線システム100Aにおいて、配線ユニット10A、10B、40、50、60、70は、各々が、定尺化されて、ユニット化されている。このため、これらの在庫スペースは、定尺化された長さに合わせればよく、配線システム全体の在庫スペースと比較して狭くすることができる。
【0058】
また、配線ユニット10A、10B、40、50、60、70は、配線システムの機能毎にユニット化されている。このため、機能毎にユニット化した配線ユニット10A、10B、40、50、60、70を在庫スペースに適量在庫しておけば、必要なときに、必要な配線ユニットを供給することができ、急な要求に対しても、即納することができる。
【0059】
また、配線システム100Aは、その幹線ケーブルをスイッチングするため配線ユニット10A、10Bを備えている。そして、配線システム100Aは、配線ユニット10A、10Bと配線ユニット40、50、60、70とを適宜に組み合わせて、一条の配線システム100Aとして構成することで、スイッチ機能付きの配線システム100Aを容易に構築することができる。
【0060】
この場合、配線ユニット40、70以外の配線ユニット10A、10B、50、60の順序は、使用される対象施設に応じて、適宜に変更可能である。また、配線ユニット50、60の数も、使用される対象施設に応じて、適宜に変更可能である。つまり、配線ユニット10A、10B、40、50、60、70の組み合わせの応用範囲は広く、スイッチ機能付きの配線システム100Aは、あらゆる対象施設に適応することができる。例えば、トンネルの照明用であれば、トンネルの構造に応じて、スイッチ機能付きの配線システム100Aを容易に構築することができる。
【0061】
特に、配線ユニット10A、10Bは、上述したように、配線ユニット40、50、60、70の設置後であっても、これらの間の任意の位置に容易に接続することができる。そのため、配線システム100Aにおいて、所望の位置に三路スイッチ30A、30Bを設けたり、それらの位置を変更したりすることができ、それらの設置の自由度を高くすることができる。従って、配線システム100Aにおいて、配線系統の増設や改造が発生しても、容易に対応することができる。
【0062】
なお、図1において、幹線ケーブルM1、M2及びM3は、接地部Gに接続される導体線W1を有しているが、この導体線W1はなくてもよい。その場合、分岐ケーブル51の導体線511、スイッチ用ケーブル21の導体線211及びスイッチ用ケーブル22の導体線221もなくてもよい。
【0063】
<変形例1>
図7は、図1に示した配線システム100Aの変形例(配線システム100B)を示す回路図である。
【0064】
図7でも、配線システム100BをトンネルT内に設けた例を示しているが、トンネルT以外の施設(例えば、ビルなど)に設けてもよい。また、図7においても、説明の便宜上、交流電源41が配置された方を上流とし、その反対の方を下流としている。
【0065】
配線システム100Bは、配線ユニット10A、10B、10C、40、50、70を備える。つまり、上記の配線システム100Aにおける配線ユニット60に代えて、配線ユニット10Cを備えている。
【0066】
配線システム100Bにおいて、配線ユニット10A、10B、40、50、70は、上記の配線システム100Aにおける配線ユニット10A、10B、40、50、70と同じ構成である。そのため、ここでは、これらの重複する説明は省略する。
【0067】
[配線ユニット10C]
本変形例において、配線システム100Bは、上述したように、配線ユニット10Cを備えている。
【0068】
配線ユニット10Cは、幹線ケーブルM1同士の間を連結する。配線ユニット10Cは、幹線ケーブルM1同士を接続する導体線W1~W5を有する幹線ケーブルM4(第1のケーブル)と、四路スイッチ30Cを接続可能な導体線231~235(接続導体線)を有するスイッチ用ケーブル23(第2のケーブル)とを有する。スイッチ用ケーブル23は、一端において、幹線ケーブルM4の導体線W1~W5に接続され、幹線ケーブルM4から分岐して当該一端から他端へ延在しており、他端において、四路スイッチ30Cに接続可能である。配線ユニット10Cは、四路スイッチ30Cなどのスイッチ用の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM4、スイッチ用ケーブル23やモールド部(図示省略)を用いて予めユニット化されている。
【0069】
幹線ケーブルM4は、上記の幹線ケーブルM1と同様の構成であり、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。また、導体線W4及びW5は、上流側と下流側とに分離されている。
【0070】
スイッチ用ケーブル23は、5心の導体線231~235を有する。導体線231~235は、四路スイッチ30Cの操作により幹線ケーブルM1同士の接続状態を変更可能に幹線ケーブルM4の導体線W1~W5に接続される。具体的には、スイッチ用ケーブル23において、導体線231の一端が接続スリーブ(図示省略)により導体線W1に接続される。また、導体線232の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W5の上流側(第1の端部側)に接続され、導体線233の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W5の下流側(第2の端部側)に接続される。また、導体線234の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W4の上流側(第1の端部側)に接続され、導体線235の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W4の下流側(第2の端部側)に接続される。
【0071】
上記複数の接続スリーブとしても、外周部分が絶縁処理されたもの、外周に絶縁スリーブを有するものなどを使用する。
【0072】
このような接続により、スイッチ用ケーブル23は、導体線W4(本発明における第1の導体線)の上流側及び下流側と導体線W5(本発明における第2の導体線)の上流側及び下流側とを、ストレート接続又はクロス接続に変更可能である。
【0073】
このように接続されたスイッチ用ケーブル23の導体線231~235の他端に四路スイッチ30Cが接続される。四路スイッチ30Cは、図示は省略するが、金属筐体331の内部に、接地端子、スイッチ本体、端子台などを有し、スイッチ用ケーブル23とは以下のように接続される。
【0074】
具体的には、導体線231の他端が四路スイッチ30Cの金属筐体331の接地端子に接続される。また、端子台を介して、導体線232の他端がスイッチ本体の可動接点332に接続され、導体線233の他端がスイッチ本体の固定接点333a及び333bに接続される。また、端子台を介して、導体線234の他端がスイッチの可動接点334に接続され、導体線235の他端がスイッチ本体の固定接点335a及び335bに接続される。
【0075】
そして、スイッチ用ケーブル23に接続された四路スイッチ30Cを操作すると、可動接点332及び334は、連動して、接点間を移動する。このとき、可動接点332は固定接点333a又は固定接点335aに接触し、可動接点334は固定接点333b又は固定接点335bに接触することになる。これにより、導体線W4の上流側及び下流側と導体線W5の上流側及び下流側とを、ストレート接続又はクロス接続に変更する。
【0076】
幹線ケーブルM4とスイッチ用ケーブル23との接続部分には、防浸形の防水性能を持たせるため、接続部分を覆うモールド部(図示省略)が設けられている。例えば、モールド加工により、接続部分の周囲にモールド部を設ける。これにより、幹線ケーブルM4とスイッチ用ケーブル23とをユニット化すると共に、モールド部の内部に接続部分を収容して、接続部分への水分の浸入を防止することができる。また、スイッチ用ケーブル23を金属筐体331の内部に挿入する挿入口は、挿入口に設けられた防水グランド(図示省略)により、内部に水が浸入しないようになっている。
【0077】
四路スイッチ30Cは、トンネルTの縦坑S3に近い位置に配置することが望ましく、そのため、配線ユニット10Cも、縦坑S3に近い位置で、他の配線ユニット40、50、70と接続することが望ましい。
【0078】
上述した配線ユニット10Cもユニット化されるが、幹線ケーブルM4、スイッチ用ケーブル23は、作業者が持ち運び可能な適宜な長さを1ユニットとして定尺化すればよい。例えば、幹線ケーブルM4の長さは、上記の幹線ケーブルM1の長さより短くてもよく、1m程度を1ユニットとして定尺化すればよい。
【0079】
幹線ケーブルM4の長さを、幹線ケーブルM1の長さより短くすることにより、配線ユニット10Cの持ち運びがより容易となる。また、配線ユニット10A、10B、40、50、70の設置後であっても、これらの間の任意の位置に、配線ユニット10Cを容易に接続することができる。
【0080】
このように、配線システム100Bは、上述した構成の配線ユニット10A、10B、10C、40、50、70を備える。そして、配線ユニット10A、10B、10C、40、50、70は、コネクタC1、C2により、互いに直列に接続されて、一条の配線システム100Bとして構成されている。また、配線システム100Bにおいて、配線ユニット10A、10B、10Cは、配線ユニット40、50、70の複数の幹線ケーブルM1の間に接続され、配線ユニット10Cは、配線ユニット10Aと配線ユニット10Bとの間に配置されている。
【0081】
[効果]
配線システム100Bは、その幹線ケーブルをスイッチングするため配線ユニット10Cを備えている。そして、配線システム100Aは、配線ユニット10A、10B、10Cと配線ユニット40、50、70とを適宜に組み合わせて、一条の配線システム100Bとして構成することで、スイッチ機能付きの配線システム100Bを容易に構築することができる。
【0082】
この場合、配線ユニット40、70以外の配線ユニット10A、10B、10C、50の順序は、使用される対象施設に応じて、適宜に変更可能である。また、配線ユニット10C、50の数も、使用される対象施設に応じて、適宜に変更可能である。つまり、配線ユニット10A、10B、10C、40、50、70の組み合わせの応用範囲は広く、スイッチ機能付きの配線システム100Bは、あらゆる対象施設に適応することができる。
【0083】
特に、配線ユニット10Cは、配線ユニット10A、10Bと同様に、配線ユニット40、50、70の設置後であっても、これらの間の任意の位置に容易に接続することができる。また、配線ユニット10A、10Bと異なり、配線ユニット10Cはいくつ設置してもよい。そのため、配線システム100Bにおいて、所望の位置に三路スイッチ30A、30B、四路スイッチ30Cを設けたり、それらの位置を変更したり、四路スイッチ30Cの数を増やしたりすることができ、それらの設置の自由度を高くすることができる。従って、配線システム100Bにおいて、配線系統の増設や改造が発生しても、容易に対応することができる。
【0084】
なお、図7において、幹線ケーブルM4は、接地部Gに接続される導体線W1を有しているが、この導体線W1はなくてもよい。その場合、スイッチ用ケーブル23の導体線231もなくてもよい。
【0085】
<変形例2>
図8A図8C図1に示した配線システム100Aの他の変形例(配線システム100C)を示す回路図であって、本実施の形態に係る絶縁不良区間確認方法を説明する図である。図8Aは、配線システム100Cにおいて、第1の接続位置に接続/遮断のスイッチ用の配線ユニット10Dを接続した場合を示す図である。図8Bは、配線システム100Cにおいて、第2の接続位置に接続/遮断のスイッチ用の配線ユニット10Dを接続した場合を示す図である。図8Cは、配線システム100Cにおいて、第1の接続位置及び第2の接続位置のそれぞれに接続/遮断のスイッチ用の配線ユニット10Dを接続した場合を示す図である。なお、図8Cにおいて、図8A及び図8Bに示す上流側及び下流側の構成の一部については、図示を省略している。
【0086】
図8A図8Cにおいても、配線システム100Cを上記のトンネルT(図1図7を参照)内に設けているが、図8A図8Cでは、トンネルTの図示を省略している。また、図8A図8Cにおいても、説明の便宜上、交流電源41が配置された方を上流とし、その反対の方を下流としている。
【0087】
配線システム100Cは、配線ユニット10A、10B、10D、40、50、70を備える。つまり、上記の配線システム100Aにおける配線ユニット60に代えて、配線ユニット10Dを備えている。
【0088】
配線システム100Cにおいて、配線ユニット10A、10B、40、50、70は、上記の配線システム100Aにおける配線ユニット10A、10B、40、50、70と同じ構成である。そのため、ここでは、これらの重複する説明は省略する。
【0089】
[配線ユニット10D]
本変形例において、配線システム100Cは、上述したように、配線ユニット10Dを備えている。配線ユニット10Dについて、図8A図8Cと共に、図9及び図10も参照して説明を行う。図9は、図8A図8Cに示した配線システム100Cにおける接続/遮断のスイッチ30D用の配線ユニット10Dの一例(配線ユニット10D-1)を示す斜視図である。また、図10は、図8A図8Cに示した配線システム100Cにおける接続/遮断のスイッチ30D用の配線ユニット10Dの変形例(配線ユニット10D-2)を示す斜視図である。なお、図9図10においては、スイッチ30Dの内部を示すため、スイッチ30Dの外観を仮想線で示している。また、スイッチ30D内における導体線の符号は、記載の都合上、省略する。
【0090】
配線ユニット10Dは、幹線ケーブルM1同士の間を連結する。配線ユニット10Dは、幹線ケーブルM1同士を接続する導体線W1~W5を有する幹線ケーブルM5(第1のケーブル)と、スイッチ30Dを接続可能な導体線241~249(接続導体線)を有するスイッチ用ケーブル24(第2のケーブル)とを有する。スイッチ用ケーブル24は、一端において、幹線ケーブルM5の導体線W1~W5に接続され、幹線ケーブルM5から分岐して当該一端から他端へ延在しており、他端において、スイッチ30Dに接続可能である。配線ユニット10Dは、スイッチ30Dなどのスイッチ用の配線ユニットであり、作業者が持ち運び可能な長さの幹線ケーブルM5、スイッチ用ケーブル24やモールド部24m(又は、モールド部24ma、24mb)を用いて予めユニット化されている。
【0091】
幹線ケーブルM5は、上記の幹線ケーブルM1と同様の構成であり、導体線W1~W5の上流側の端部にコネクタC2が接続され、導体線W1~W5の下流側の端部にコネクタC1が接続されている。また、導体線W2~W5は、上流側と下流側とに分離されている。
【0092】
スイッチ用ケーブル24は、9心の導体線241~249を有する。導体線241~249は、スイッチ30Dの操作により幹線ケーブルM1同士の接続状態を変更可能に幹線ケーブルM5の導体線W1~W5に接続される。具体的には、スイッチ用ケーブル24において、導体線241の一端が接続スリーブ(図示省略)により導体線W1に接続される。また、導体線242の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W5の上流側(第3の端部側)に接続され、導体線243の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W5の下流側(第4の端部側)に接続される。また、導体線244の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W4の上流側(第3の端部側)に接続され、導体線245の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W4の下流側(第4の端部側)に接続される。また、導体線246の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W3の上流側(第3の端部側)に接続され、導体線247の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W3の下流側(第4の端部側)に接続される。また、導体線248の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W2の上流側(第3の端部側)に接続され、導体線249の一端が別の接続スリーブ(図示省略)により導体線W2の下流側(第4の端部側)に接続される。
【0093】
上記複数の接続スリーブとしても、外周部分が絶縁処理されたもの、外周に絶縁スリーブを有するものなどを使用する。
【0094】
このような接続により、スイッチ用ケーブル24は、導体線W2~W5の上流側と下流側との間を接続又は遮断可能である。
【0095】
このように接続されたスイッチ用ケーブル24の導体線241~249の他端にスイッチ30Dが接続される。スイッチ30Dは、図9図10に示すように、金属筐体341の内部に、接地端子341g、カムスイッチ34s、端子台34tu、34tdなどを有する。
【0096】
カムスイッチ34sは、可動接点342、344、346及び348と、固定接点343a、345a、347a及び349aと、接点343b、345b、347b及び349bとを有する。また、カムスイッチ34sは、端子部分34s2を有し、端子部分34s2の各端子は、可動接点342、344、346、348、固定接点343a、345a、347a、349aと各々接続されている。そして、カムスイッチ34sのハンドル34s1を回転することで、可動接点342、344、346及び348と、固定接点343a、345a、347a及び349aとの接続、遮断を行うことができる。接点343b、345b、347b及び349bは、接続を遮断する際に、可動接点342、344、346及び348が接触する接点である。
【0097】
このような構成のスイッチ30Dは、スイッチ用ケーブル24とは以下のように接続される。具体的には、導体線241の他端が接地端子341gに接続される。また、端子台34tu、カムスイッチ34sの端子部分34s2を介して、導体線242の他端が可動接点342に接続される。また、端子台34td、端子部分34s2を介して、導体線243の他端が固定接点343aに接続される。また、端子台34tu、端子部分34s2を介して、導体線244の他端が可動接点344に接続される。また、端子台34td、端子部分34s2を介して、導体線245の他端が固定接点345aに接続される。また、端子台34tu、端子部分34s2を介して、導体線246の他端が可動接点346に接続される。また、端子台34td、端子部分34s2を介して、導体線247の他端が固定接点347aに接続される。また、端子台34tu、端子部分34s2を介して、導体線248の他端が可動接点348に接続される。また、端子台34td、端子部分34s2を介して、導体線249の他端が固定接点349aに接続される。このように、導体線W1~W5の上流側に接続される導体線242、244、246、248は、端子台34tuを介して、カムスイッチ34sの端子部分34s2に接続される。また、導体線W1~W5の下流側に接続される導体線243、245、247、249は、端子台34tdを介して、カムスイッチ34sの端子部分34s2に接続される。
【0098】
また、金属筐体341は、筐体本体341a、蓋341b、シール部材341cなどを有する。蓋341bは、シール部材341cを介して、金属筐体341を防水可能に筐体本体341aの開口部に取り付けられている。シール部材341cとしては、Oリング、パッキン材などの公知のものを使用可能である。カムスイッチ34sの端子部分34s2や端子台34tu、34tdは、蓋341bを取り外せば、筐体本体341aの開口部から容易にアクセスすることができる。
【0099】
そして、端子部分34s2や端子台34tu、34tdは、可動接点342、344、346及び348と固定接点343a、345a、347a及び349aとの間が遮断されると、分離された上流側の端子及び下流側の端子として機能する。言い換えると、導体線242~249は、上記の接点間を遮断したときに上流側の端子(第1の端子)及び下流側の端子(第2の端子)として機能する端子部分34s2や端子台34tu、34tdを備える。そして、筐体本体341aから蓋341bを取り外せば、上記の端子部分34s2や端子台34tu、34tdは、外部に露出されて、筐体本体341aの開口部から容易にアクセスすることができ、後述する絶縁不良区間の確認を行うことができる。
【0100】
なお、ここでは、スイッチ30Dの筐体として、金属筐体341を用いているが、金属以外の筐体、例えば、樹脂などの絶縁筐体を用いてもよい。例えば、上記の端子台34tu、34td及びカムスイッチ34sを内部に設けた樹脂製ボックスを用いることができる。スイッチ30Dの筐体として、樹脂などの絶縁筐体を用いる場合は、接地は不要である。また、端子台34tu、34td及びカムスイッチ34sの代わりに、スイッチと端子台とを兼ねた断路付き端子台などを用いることもできる。
【0101】
そして、スイッチ用ケーブル24に接続されたスイッチ30Dを操作すると、可動接点342、344、346及び348は、連動して、接点間を移動する。このとき、可動接点342は固定接点343a又は接点343bに接触する。また、可動接点344は固定接点345a又は接点345bに接触する。また、可動接点346は固定接点347a又は接点347bに接触する。また、可動接点348は固定接点349a又は接点349bに接触する。これにより、導体線W2~W5の上流側と下流側とを接続又は遮断する。
【0102】
配線ユニット10Dで導体線W2~W5の上流側と下流側とを遮断した際には、配線ユニット10Dにおいて、導体線W2~W5の上流側又は下流側の絶縁状態を確認することができる。そして、例えば、配線ユニット10Dの接続位置を変更することで、後述するように、配線システム100Cの幹線ケーブルの絶縁不良区間を確認することができる。
【0103】
幹線ケーブルM5とスイッチ用ケーブル24との接続部分には、防浸形の防水性能を持たせるため、図9に示すように、接続部分を覆うモールド部24mが設けられている。例えば、モールド加工により、接続部分の周囲にモールド部24mを設ける。これにより、幹線ケーブルM5とスイッチ用ケーブル24とをユニット化すると共に、モールド部24mの内部に接続部分を収容して、接続部分への水分の浸入を防止することができる。また、スイッチ用ケーブル24を金属筐体341の内部に挿入する挿入口は、挿入口に設けられた防水グランド24gにより、内部に水が浸入しないようになっている。
【0104】
また、複数のスイッチ用ケーブルを用いて、幹線ケーブルM5とスイッチ30Dとの間を接続する場合には、接続部分の数に応じてモールド部を設ける。
【0105】
例えば、図10に示すように、2本のスイッチ用ケーブル24a、24bを用いて、幹線ケーブルM5とスイッチ30Dとの間を接続する場合には、2箇所の接続部分に応じて、これらを覆うモールド部24ma、24mbを設ける。例えば、モールド加工により、2箇所の接続部分の周囲にモールド部24ma、24mbを設ける。これにより、幹線ケーブルM5とスイッチ用ケーブル24a、24bとをユニット化すると共に、モールド部24ma、24mbの内部に接続部分を収容して、接続部分への水分の浸入を防止することができる。また、スイッチ用ケーブル24a、24bを金属筐体341の内部に挿入する2つの挿入口は、2つの挿入口に設けられた防水グランド24ga、24gbにより、内部に水が浸入しないようになっている。
【0106】
上述した配線ユニット10Dもユニット化されるが、幹線ケーブルM5、スイッチ用ケーブル24は、作業者が持ち運び可能な適宜な長さを1ユニットとして定尺化すればよい。例えば、幹線ケーブルM5の長さは、上記の幹線ケーブルM1の長さより短くてもよく、1m程度を1ユニットとして定尺化すればよい。
【0107】
幹線ケーブルM5の長さを、幹線ケーブルM1の長さより短くすることにより、配線ユニット10Dの持ち運びがより容易となる。また、配線ユニット10A、10B、40、50、70の設置後であっても、これらの間の任意の位置に、配線ユニット10Dを容易に接続することができる。これにより、絶縁不良区間を確認することができる。
【0108】
[絶縁不良区間確認方法]
図8A図8Cを参照して、本実施の形態に係る絶縁不良区間確認方法を説明する。なお、図8A図8Cは、図1における配線ユニット60に代えて、配線ユニット10Dを接続した構成であるが、図1に示す配線システム100Aや図7に示す配線システム100Bにおいて、任意の配線ユニット間に配線ユニット10Dを接続してもよい。
【0109】
配線システム100Cで絶縁不良区間を確認する場合、作業者の安全を確保するため、まず、主電源である交流電源41の電源をオフにする。また、幹線ケーブルM1に接続されている照明器具52などの負荷側の電気機器を取り外す。
【0110】
次に、配線システム100Cにおいて、配線ユニット10A、10B、40、50、70の幹線ケーブルM1、M2、M3の間の接続位置に、配線ユニット10Dを直列に接続する。
【0111】
例えば、図8Aに示すように、第1の接続位置に配線ユニット10Dを直列に接続し、その後、図8Bに示すように、第2の接続位置に配線ユニット10Dを直列に接続する。このように、1つの配線ユニット10Dを用いて、各々異なる接続位置に接続するようにしてもよい。また、例えば、図8Cに示すように、第1の接続位置に配線ユニット10Dを直列に接続すると共に、第2の接続位置に別の配線ユニット10Dを直列に接続する。このように、複数の配線ユニット10Dを用いて、各々異なる接続位置に接続するようにしてもよい。
【0112】
図8A図8Cにおいて、上流側の第1の接続位置は、一例として、配線ユニット10Aの幹線ケーブルM2と配線ユニット50の幹線ケーブルM1との間とする。また、図8B図8Cにおいて、下流側の第2の接続位置は、一例として、上流側の配線ユニット50の幹線ケーブルM1と下流側の配線ユニット50の幹線ケーブルM1との間とする。なお、以下においては、説明を簡単にするために、図8A図8Cに示すように、2箇所の接続位置に配線ユニット10Dを接続する例で説明を行うが、更に多くの箇所の接続位置に配線ユニット10Dを接続してもよい。
【0113】
第1及び第2の接続位置に各々接続された配線ユニット10Dにおいて、スイッチ30Dのカムスイッチ34sの可動接点342、344、346及び348を、接点343b、345b、347b及び349b側(以降、接点b側と呼ぶ)に切り換える。これにより、幹線ケーブルM5中の導体線W2~W5における上流側と下流側との接続を遮断する。このようにして接続が遮断された導体線W2~W5の上流側の絶縁状態と下流側の絶縁状態とを確認する。
【0114】
このとき、カムスイッチ34sの接点343b、345b、347b及び349bの全てを互いに短絡する場合には、これらの何れかの接点と、接地されている導体線W1との絶縁抵抗を測定すれば、上流側の導体線W2~W5の絶縁状態を一括で判断できる。例えば、接点b側に切り換えられた可動接点342、344、346及び348は、上述したように、端子台34tuと接続されている。そのため、端子台34tuの各端子間を互いに短絡すれば、接点343b、345b、347b及び349bは互いに短絡することになる。そして、端子台34tuの端子と、導体線W1との絶縁抵抗を測定すれば、上流側の導体線W2~W5の絶縁状態をより簡便に一括で判断することができる。
【0115】
同様に、固定接点343a、345a、347a及び349aの全てを互いに短絡する場合には、これらの何れかの固定接点と、接地されている導体線W1との絶縁抵抗を測定すれば、下流側の導体線W2~W5の絶縁状態を一括で判断できる。例えば、固定接点343a、345a、347a及び349aは、上述したように、端子台34tdと接続されている。そのため、端子台34tdの各端子間を互いに短絡すれば、固定接点343a、345a、347a及び349aは互いに短絡することになる。そして、端子台34tdの端子と、導体線W1との絶縁抵抗を測定すれば、下流側の導体線W2~W5の絶縁状態をより簡便に一括で判断することができる。このように、全相の導体線W2~W5について、一括して絶縁抵抗を測定することで、効率的で安全に絶縁状態を判断することができる。
【0116】
一方、カムスイッチ34sを接点b側に切り換えて、幹線ケーブルM5の上流側と下流側との接続を遮断した後、接点343b、345b、347b及び349bを互いに短絡しない場合には、以下のようにして、絶縁抵抗を測定し、絶縁状態を判断する。例えば、上流側において、接地されている導体線W1と導体線W2~W5との絶縁抵抗を各々測定することで、上流側の導体線W2~W5の絶縁状態を各々判断する。同様に、固定接点343a、345a、347a及び349aを互いに短絡しない場合には、下流側において、接地されている導体線W1と導体線W2~W5との絶縁抵抗を各々測定することで、下流側の導体線W2~W5の絶縁状態を各々判断する。
【0117】
このようにして、異なる接続位置(第1及び第2の接続位置)の各々において、カムスイッチ34sを接点b側に切り換えて、幹線ケーブルM5の上流側と下流側との接続を遮断する。遮断後、幹線ケーブルM5中の導体線W2~W5における上流側の絶縁状態と下流側の絶縁状態とを確認する。そして、絶縁状態を確認した結果、以下の条件を満たす場合、該当する配線ユニットの幹線ケーブルが絶縁不良と判断する。
【0118】
具体的には、第1の接続位置で、上流側が絶縁状態かつ下流側が絶縁不良状態であり、第2の接続位置で、上流側が絶縁不良状態かつ下流側が絶縁状態である場合、第1の接続位置と第2の接続位置に挟まれた区間の幹線ケーブルに絶縁不良があると判断する。
【0119】
例えば、図8A図8Cにおいて、上流側の配線ユニット50中の導体線W5(星印で示す)に絶縁不良があるとする。
【0120】
この場合、図8Aに示すように、配線ユニット10Aと配線ユニット50との間の接続位置(第1の接続位置)に配線ユニット10Dを接続する。そして、カムスイッチ34sを接点b側に切り換えて、幹線ケーブルM5の上流側と下流側との接続を遮断した後、幹線ケーブルM5中の導体線W2~W5における上流側の絶縁状態と下流側の絶縁状態とを確認する。すると、配線ユニット10Dの上流側が絶縁状態(図中「○」と表記)となり、配線ユニット10Dの下流側が絶縁不良状態(図中「×」と表記)となる。
【0121】
また、図8Bに示すように、上流側の配線ユニット50と下流側の配線ユニット50の間の接続位置(第2の接続位置)に配線ユニット10Dを接続する。そして、カムスイッチ34sを接点b側に切り換えて、幹線ケーブルM5の上流側と下流側との接続を遮断した後、幹線ケーブルM5中の導体線W2~W5における上流側の絶縁状態と下流側の絶縁状態とを確認する。すると、配線ユニット10Dの上流側が絶縁不良状態(図中「×」と表記)となり、配線ユニット10Dの下流側が絶縁状態(図中「○」と表記)となる。そして、第1の接続位置と第2の接続位置とに挟まれた区間の配線ユニット50の幹線ケーブルM1(ここでは、幹線ケーブルM1中の導体線W5)に絶縁不良があると判断することができる。
【0122】
また、図8Cに示すように、配線ユニット10Aと配線ユニット50との間の接続位置(第1の接続位置)と、上流側の配線ユニット50と下流側の配線ユニット50の間の接続位置(第2の接続位置)とに、それぞれ配線ユニット10Dを接続する。そして、第1及び第2の接続位置のそれぞれにおいて、カムスイッチ34sを接点b側に切り換えて、幹線ケーブルM5の上流側と下流側との接続を遮断した後、幹線ケーブルM5中の導体線W2~W5における上流側の絶縁状態と下流側の絶縁状態とを確認する。すると、第1の接続位置においては、配線ユニット10Dの上流側が絶縁状態(図中「○」と表記)となり、配線ユニット10Dの下流側が絶縁不良状態(図中「×」と表記)となる。また、第2の接続位置においては、配線ユニット10Dの上流側が絶縁不良状態(図中「×」と表記)となり、配線ユニット10Dの下流側が絶縁状態(図中「○」と表記)となる。そして、第1の接続位置と第2の接続位置とに挟まれた区間の配線ユニット50の幹線ケーブルM1(ここでは、幹線ケーブルM1中の導体線W5)に絶縁不良があると判断することができる。
【0123】
[絶縁不良区間確認方法のまとめ]
上述した絶縁不良区間確認方法の要点をまとめると、以下の通りとなる。
(1)
複数の幹線ケーブルのうちのいずれか1つ以上の幹線ケーブルを介在させた第1の接続位置及び第2の接続位置に、配線ユニット10Dを追加の配線ユニットとして接続する。
(2)
第1の接続位置及び第2の接続位置のそれぞれで、配線ユニット10Dにおいて、幹線ケーブルM5の導体線W2~W5における上流側(第3の端部側)と下流側(第4の端部側)との接続を遮断する。
(3)
第1の接続位置で、第3の端部側が絶縁状態かつ第4の端部側が絶縁不良状態であり、第2の接続位置で、第3の端部側が絶縁不良状態かつ第4の端部側が絶縁状態である場合、上記のいずれか1つ以上の幹線ケーブルに絶縁不良があるとの判断が可能となる。
【0124】
[効果]
配線システム100Cは、その幹線ケーブルをスイッチングするため配線ユニット10Dを備えている。配線ユニット10Dは、配線ユニット10A、10Bと同様に、配線ユニット40、50、70の設置後であっても、これらの間の任意の位置に容易に接続することができる。また、配線ユニット10A、10Bと異なり、配線ユニット10Dはいくつ設置してもよい。そのため、配線システム100Cにおいて、所望の位置にスイッチ30Dを設けたり、スイッチ30Dの位置を変更したり、スイッチ30Dの数を増やしたりすることができる。そして、配線システム100Cの所望の位置において、スイッチ30Dのカムスイッチ34sを接点b側に切り換えることで、幹線ケーブルM5の上流側と下流側との接続を遮断して、上流側と下流側の絶縁状態を確認することができる。このようにして、絶縁不良区間を確認することができる。
【0125】
特に、本変形例の場合、コネクタC1、C2が容易に外せない箇所にある場合、図8に示すように、当該箇所に配線ユニット10Dを予め接続しておけば、その部分の上流及び下流の絶縁不良の確認がスイッチ30Dにおいて可能になる。例えば、コネクタC1、C2が作業者の手が届かない高い場所や狭い場所などにある場合、コネクタC1、C2を容易に外せないので、配線ユニット10Dを予め接続しておけば、その部分の上流及び下流の絶縁不良の確認がスイッチ30Dにおいて可能になる。
【0126】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、又は、その主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0127】
例えば、上記の実施形態におけるコネクタC1、C2に代えて、端子ボックスを使用してもよい。
【符号の説明】
【0128】
10A、10B、10C、10D 配線ユニット
21、22、23、24 スイッチ用ケーブル
30A、30B 三路スイッチ
30C 四路スイッチ
30D スイッチ
40、50、60、70 配線ユニット
51 分岐ケーブル
52 照明器具
100A、100B、100C 配線システム
M1、M2、M3、M4、M5 幹線ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10