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特許7282865実験室振とう装置の振とうプラットフォームの上で角張ったビンを保持するための保持クランプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】実験室振とう装置の振とうプラットフォームの上で角張ったビンを保持するための保持クランプ
(51)【国際特許分類】
   B01L 9/00 20060101AFI20230522BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20230522BHJP
   G01N 1/38 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
B01L9/00
G01N35/02 D
G01N1/38
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021204927
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2022109876
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】10 2021 200 359.1
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502399259
【氏名又は名称】サーモ エレクトロン エルイーディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Thermo Electron LED GmbH
【住所又は居所原語表記】Robert-Bosch-Strasse 1,D-63505 Langenselbold,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン バルハウゼ
(72)【発明者】
【氏名】マイク アムブレヒト
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-326025(JP,A)
【文献】特開平03-038143(JP,A)
【文献】特表2007-536080(JP,A)
【文献】特開2019-214027(JP,A)
【文献】特開2002-240817(JP,A)
【文献】特開2009-292481(JP,A)
【文献】特開平10-005569(JP,A)
【文献】特開平11-342324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 1/00-99/00
G01N 35/02
G01N 1/38
B01F 31/00-31/87
B01F 35/00-35/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室振とう装置(1,5)の振とうラットフォーム(12,53)の上で平坦な側面(31)を有する角張ったビン(3)を保持するための保持クランプ(2)であって、
前記振とうプラットフォーム(12,53)の上に前記保持クランプ(2)を取り付けるための取付装置(201)を有する底面プレート(20)と、
前記底面プレート(20)から突き出し、且つ、それぞれの間に配置される容器収容空間(23)を形成する少なくとも2つの保持アーム(21)と、
前記保持アーム(21)の間に張設される少なくとも1つの弾性的な引張部材(22)と、を含み、
前記ビン(3)に当接するために構成された少なくとも1つの平坦な当接面(215,43)が、前記保持アーム(21)のそれぞれに配置され、前記保持アーム(21)は、前記平坦な当接面(215,43)を前記角張ったビン(3)の前記平坦な側面(31)のうちの1つと面状に当接させることが可能に構成される、保持クランプ。
【請求項2】
前記保持アーム(21)のそれぞれは、対応する保持アーム(21)と一体的に形成された保持部分(210)を有し、前記保持部分(210)は前記当接面(215)を有する、請求項1に記載の保持クランプ(2)。
【請求項3】
保持タブ(214)が少なくとも1つの前記保持アーム(21)に配置され、前記保持タブ(214)は、当接面(215)を有するとともに、前記当接面(215)を前記角張ったビン(3)の前記平坦な側面(31)のうちの1つと面状に当接させることが可能に構成される、請求項1又は2に記載の保持クランプ(2)。
【請求項4】
前記保持タブ(214)の当接面(215)は、前記保持部分(210)の当接面(215)に対して、実質的に垂直に配置される、請求項2を引用する請求項3に記載の保持クランプ(2)。
【請求項5】
取外し可能な容器マウント(4)が、前記保持アーム(21)に配置され、且つ、取付装置(42)によって前記保持アーム(21)に取付け可能であり、前記容器マウント(4)は前記当接面(43)を有する、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項6】
前記取外し可能な容器マウント(4)は、角部を介して互いに結合された少なくとも2つの平坦な当接面(43)を有し、前記容器マウント(4)を有する前記保持アーム(21)は、両方の前記平坦な当接面(43)を、前記角張ったビン(3)の角部を介して互いに結合された2つの平坦な側面(31)と面状に当接させることが可能に構成される、請求項5に記載の保持クランプ(2)。
【請求項7】
2つの前記保持アーム(21)が、結合部分(216)を介して前記底面プレート(20)から離れた領域で互いに結合され、前記結合部分(216)は、同じく平坦な当接面(215)を有するとともに、前記平坦な当接面(215)を前記角張ったビン(3)の平坦な側面(31)のうちの1つと面状に当接させることが可能に構成される、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項8】
前記結合部分(216)は、角部を介して互いに結合された少なくとも2つの平坦な当接面(215)を有し、前記結合部分(216)を介して結合された前記保持アーム(21)は、前記2つの平坦な当接面(215)を、角部を介して結合された前記角張ったビン(3)の2つの平坦な側面(31)と当接させることが可能に構成される、請求項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項9】
前記保持アーム(21)は、案内部分(211)を有し、前記案内部分(211)は、前記底面プレート(20)と反対を向くほうの前記保持アーム(21)の側に配置されるとともに、前記容器収容空間(23)から離れるように折曲される、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項10】
前記引張部材(22)は、前記容器収容空間(23)の外部において、前記案内部分(211)に配置される、請求項9に記載の保持クランプ(2)。
【請求項11】
前記保持アーム(21)のそれぞれは、前記容器収容空間(23)の外部に配置され、前記容器収容空間(23)から離れる方向へ、対応する前記保持アーム(21)から屹立する少なくとも1つの離間タブ(212)を有し、前記引張部材(22)は、隣接する2つの前記保持アーム(21)の前記離間タブ(212)に配置される、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項12】
前記離間タブ(212)及び前記引張部材(22)は、当該引張部材(22)が前記容器収容空間(23)の外部に配置されるように構成され、前記離間タブ(212)は、前記案内部分(211)に配置される、請求項9を引用する請求項11に記載の保持クランプ(2)。
【請求項13】
2つの前記引張部材(22)は、前記容器収容空間(23)の2つの向かい合う側に配置される、請求項1~12のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記保持アーム(21)、好ましくは全ての前記保持アーム(21)は、変形アーチ(213)を有し、前記変形アーチ(213)は、前記容器収容空間(23)について向かい合う2つの前記保持アーム(21)の間隔を変更可能に構成される、請求項1~13のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項15】
前記変形アーチ(213)は、前記底面プレート(20)及び前記当接面(215,43)との間で前記保持アーム(21)に配置される、請求項14に記載の保持クランプ(2)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記変形アーチ(213)により相互間隔が変更可能である、2つの向かい合う前記保持アーム(21)が、少なくとも1つの前記引張部材(22)を介して互いに結合される、請求項14又は15に記載の保持クランプ(2)。
【請求項17】
前記底面プレート(20)および/または前記保持アーム(21)は、
ちょうど4つの前記保持アーム(21)であって、同一に構成された保持アーム(21)が存在すること、
前記保持アーム(21)が、前記底面プレート(20)から実質的に垂直に突き出すこと、
前記底面プレート(20)が、長方形の基本形状を有すること、
前記保持アーム(21)が、前記底面プレート(20)の外側円周(200)に配置されること、
前記保持アーム(21)が、前記底面プレート(20)および/または前記容器収容空間(23)に関して向かい合うように配置されること、
前記保持アーム(21)が、前記角張ったビンの側面(31)を前記当接面(215,43)に接触させるように構成されること、
前記保持アーム(21)が、前記角張ったビンの角部(32)を前記当接面(215,43)に接触させるように構成されること、
前記保持アーム(21)が、少なくとも1つの前記引張部材(22)とともに、前記底面プレート(20)と反対を向くほうの前記保持クランプ(2)の側で前記容器収容空間(23)を完全に取り囲む環状開口部(24)を形成すること、
前記環状開口部(24)が、前記案内部分(211)、前記離間タブ(212)、前記保持タブ(214)、および前記結合部分(216)からなる群の部材のうち1つまたは複数によって追加的に形成されること、
のうち少なくとも1つの特徴を有する、請求項3を引用する請求項9を引用する請求項11に記載の保持クランプ(2)。
【請求項18】
前記保持アーム(21)は、
前記保持アームが、長方形の基本形状を有する底面プレート(20)の外側円周(200)の側に配置されること、
前記保持アーム(21)のそれぞれが、長方形の基本形状を有する前記底面プレート(20)の前記外側円周(200)の各々の側に配置されること、
前記保持アームが、前記底面プレート(20)の前記外側円周(200)の側で中心に配置されること、
前記保持アームが、前記底面プレート(20)の前記外側円周(200)で偏心的にオフセットされて配置されること、
2つの前記保持アーム(21)が、前記底面プレート(20)の前記外側円周(200)の2つの向かい合う側にそれぞれ配置され、前記底面プレート(20)の前記外側円周(200)の他の2つの側は、前記保持アーム(21)を有さないこと、
のうち少なくとも1つの特徴を有する、請求項1~17のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【請求項19】
前記保持アーム(21)は、
前記保持アーム(21)が、前記底面プレート(20)の外側円周(200)の角部に配置されること、
1つの前記保持アーム(21)が、前記底面プレート(20)の前記外側円周(200)の各々の角部に配置されること、
のうち少なくとも1つの特徴を有する、請求項1~18のうちいずれか1項に記載の保持クランプ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験室振とう装置の振とうプラットフォームの上で平坦な側面を有する角張ったビン(bottle)を保持するための保持クランプに関する。
【背景技術】
【0002】
当分野に属する実験室振とう装置は、たとえば実験室振とう器と振とうインキュベータとを含んでおり、たとえば化学、薬学、バイオテクノロジー、微生物学などの分野の、およびその他の多くの分野の数多くの実験室で利用されている。実験室振とう装置は、小型のテーブル器具としても、独立した大型器具としても提供されている。このような種類の器具は、典型的には1つまたは複数の振とうプラットフォームもしくはトレイを有していて、その上で、たとえばビン、エルレンマイヤーフラスコ、マイクロタイタープレートなどの多数の異なる容器を支持することができる。このとき振とうプラットフォームは典型的には調整可能な速度で動き、たとえば直線状に往復するように、軌道運動で、または三次元の揺動運動で回転するように動く。それにより、振とうプラットフォームの上の容器の内容物が混ぜ合わされ、および/または運動したまま保たれる。実験室振とう器では、振とうプラットフォームは実験室雰囲気に露出しているか、またはカバーによって覆われる。それに対して、振とうインキュベータはハウジングで取り囲まれた内部空間を有していて、多くの場合に別々に、または共同で動く複数の振とうプラットフォームがその中に配置されるとともに、特定の温度および/または湿度、ならびに場合により特定のガス組成などのコントロールされた条件が成立する。当分野に属する実験室振とう器および振とうインキュベータは、たとえば欧州特許出願公開第1201297号明細書、国際公開第2005/107931号明細書、欧州特許出願公開第1445307号明細書、および欧州特許出願公開第1949955号明細書に記載されており、Thermo Fisher Scientific,Inc.により、「Fisherbrand(商標)Schuettler」、「Thermo Scientific(商標)Solaris(商標)」、および「Thermo Scientific(商標)MaxQ(商標)」の名称で提供されている。
【0003】
たとえば保持クランプ、ホルダ、ウェブなどによって、さまざまに異なる容器を振とうプラットフォームへ好ましく取り付けられるようにするために、当分野に属する器具の振とうプラットフォームにさまざまなアタッチメントを備え付けることが知られている。当分野に属する保持クランプは、たとえばエルレンマイヤーフラスコやビンなどの円形の容器のために知られている。保持クランプは、典型的にはねじによって、多数の穴を有する振とうプラットフォームに取り付けられるが、それは、保持クランプを多数の異なる位置で可能な限りフレキシブルに、振とうプラットフォームへ取り付けられるようにするためである。保持クランプそのものは、典型的には、振とうプラットフォームへ保持クランプを取り付けるための取付装置を有する、たとえば同じくねじを差し込むことができる穴を有する、底面プレートを含んでいる。これに加えて当分野に属する保持クランプは、多くの場合、底面プレートから突き出す少なくとも2つの保持アームを含んでいて、これらが、それぞれの保持アームの間に配置される容器収容空間を形成する。保持アームは通常、たとえば薄い金属板やプラスチックである保持アームの材料に内在する弾性によって、容器収容空間の方向で互いに離れるように、または互いに近づくように可動であるように、底面プレートに取り付けられる。それぞれの保持アームの間には、通常、少なくとも1つの弾性的な引張部材、たとえばばね、特に金属ばねが張設される。このようにして、引張部材の引張力に抗して保持アームを広げるように引っ張ることができ、このとき引張部材がそれぞれの保持アームを互いに近づくように引っ張る。使用時には、保持アームを引張部材の引張力に抗して互いに離れるように引っ張り、次いで、たとえばビンやエルレンマイヤーフラスコを容器収容空間に格納する。引張部材の引張力により、保持アームおよび典型的には同じく引張部材もビンやエルレンマイヤーフラスコに当接し、それによってこれらを容器収容空間で固定する。特に引張部材の弾性は、周知の保持クランプにおいては、収容されるべき容器の円形の輪郭に保持クランプが追従し、したがってこれに密着して当接して、ある程度の区間を通じてこれを包囲できるようにするために利用される。
【0004】
本発明の発明者らの広範な実験が明らかにしたように、円形の容器のためのこのような種類の周知の保持クランプは、たとえば平坦な側面を有する角張ったビンなどの角張った容器にはあまり適しておらず、またはまったく適していない。それにもかかわらず、円形の容器のために設計された周知の保持クランプを角張ったビンの保持のために利用しようと試みると、複数の問題が生じる。まず第1に、当分野に属する保持クランプはその保持アームと少なくとも1つの引張部材とを通じて、典型的には、容器収容空間に収容されるべきビンの底面のための円形の収容開口部を形成する。それが意味するのは、角張った容器の底面をそれ自体として、容器収容空間への容器の格納時に、保持アームを互いに離れるように引っ張るのに利用できないことである。エルレンマイヤーフラスコなどの円形の容器は容易な片手操作で保持クランプへ挿入できるのに対して、角張った容器ではそれが機能しない。この場合、角張ったビンを収容するために十分に収容開口部を広げるために、高いコストをかけて保持アームを手作業で互いに離れるように引っ張らなくてはならない。これに加えて、典型的には金属ばねとして構成される引張部材は、従来型の保持クランプの使用時にビンの外面で角張ったビンと当接し、特に、ビンの角部で点状に当接する。したがって振とう装置の振とう運動により、長期間を通じてきわめて点状のビンの負荷が、特に角部の負荷が惹起され、そのために、たとえばガラスやプラスチックなどの角張ったビンの材料の劣化につながりかねない。そして最悪のケースでは、ビンの中にある液体の損失や汚染を伴う容器破損が起こる。最後に、角張った容器は類似するサイズの円形の容器と比べて多い収容容積を有していて、それが使用時に角張ったビンのいっそう高い総重量につながる。従来型の保持クランプの設計形態により、保持クランプは保持アームまたは引張部材と点状にのみ、または最善のケースでも接触線を介して、角張ったビンに当接するにすぎない。しかし、角張ったビンとの相応の点状または線状の接触は、その高い重量を保持クランプで確実に固定するのには不十分である。したがって作動時に、角張ったビンが保持クランプの中で振とうプラットフォームによる運動に加え、管理不能な別の運動を行うことが起こり得る。そのため一方では、望ましくない泡形成がビンの中で生じ得る。他方では、角張ったビンが作動時に保持クランプから外れ、そのために、破損し得る程度までその固定が不十分になるというリスクが同じく存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許出願公開第1201297号明細書
【文献】国際公開第2005/107931号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1445307号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1949955号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上を背景としたうえで本発明の課題は、平坦な側面を有する角張ったビンとともに使用するのに適した保持クランプを提供することにある。一方では、長い期間にわたって実験室振とう装置の振とうプラットフォームの上で、このような種類の容器とも確実な固定が確保されることが保証されるのがよい。他方では、作動時に角張ったビンがいっそう高い摩耗を受けることがないのがよい。これに加えて簡易な操作性も同じく追求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決は、独立請求項に記載された保持クランプによって達成される。好ましい発展例は従属請求項に記載されている。
【0008】
具体的には、冒頭に述べた当分野に属する保持クランプにおいて、ビンに当接するために構成された少なくとも1つの平坦な当接面が保持アームにそれぞれ配置され、保持アームは、平坦な当接面を角張ったビンの平坦な側面のうちの1つと面状(two-dimensionally)に当接させることが可能であるように構成されることによって解決が達成される。従来技術では保持アームは、および、角張ったビンおよび特に角張ったビンの平坦な側面と接触することになる保持クランプのその他すべての部材は、点状または線状にのみこれに当接する。そこで本発明によると、そのために意図される平坦な当接面が角張ったビンと、特にその側面と、面状に接触することが保証される。すなわちこれは、二次元に延在し、その二次元の延在全体にわたって平坦な当接面を角張ったビンと、および特にその側面と、接触させることが可能である接触面である。このようにして、ビンと保持アームとの間の力伝達のために接触面全体を利用することができ、それにより、はるかに大きな力をビンへと伝達可能であるとともに、ビンによって受け止めることもできる。したがって一方では、角張ったビンの重量が大きい場合にも、保持クランプでの角張ったビンの確実な固定がもたらされる。これに加えてビンでの点状の負荷が回避され、それにより、接触点または接触線での摩耗の増大が生じることがない。平坦な当接面はその延在全体にわたって、角張ったビンの側面と当接させることが可能であるのが好ましく、特に少なくとも1cm2、好ましくは少なくとも2cm2、特別に好ましくは少なくとも3cm2、きわめて特別に好ましくは少なくとも4cm2、たとえば少なくとも5cm2の広さである。
【0009】
容器収容空間とは、本件においては、角張ったビンを収容するために意図される保持クランプの中の容積部を表す。角張ったビンが保持クランプの中に格納されると、容器収容空間がこのビンで完全に充填される。したがって定義上、保持クランプの一切の部材が容器収容空間の外部に位置する。ただし、収容空間に直接的に隣接する保持クランプの部材と、容器収容空間からさらに遠く離れている保持クランプの部材とで区別をしなければならない。容器収容空間を区切る保持クランプの部材は、角張ったビンが保持クランプの中に格納されるとただちにこれに当接し、もしくはこれと接触する。たとえば保持アームに配置される平坦な当接面が容器収容空間を区切る。角張ったビンが保持クランプの中にあるとき、平坦な当接面がこれに面状に当接する。本件において保持クランプの部材が「容器収容空間の外部」と表現されているとき、それによって意味されるのは、当該部材が容器収容空間を区切っておらず、特に、保持クランプの中に収容された角張ったビンと接触もしていないことである。したがって、容器収容空間の外部に配置される部材は角張ったビンに触れることがない。そのために相応の部材は容器収容空間から十分遠くに離れて配置され、それにより、格納された状態のときにビンとの接触が確実に回避される。本発明では、特に、明示的にそのために意図される当接面だけが容器収容空間を区切り、角張ったビンと当接させることが可能であることが意図される。容器収容空間の底面を形成し、したがってこれを垂直に下方に向かって区切る底面プレートも、同じくこれに少なくとも部分的に含まれる。それに対して、保持クランプのその他一切の部材は容器収容空間の外部に配置されるのが好ましい。
【0010】
本発明の1つの好ましい実施形態では、保持アーム自体がそれぞれ角張ったビンと接触するための平坦な当接面を有することが意図される。そのために、保持アームはそれぞれの保持アームと一体的に構成された保持部分を有し、保持部分が当接面を有することが意図される。換言すると、保持部分が容器収容空間を区切る。
【0011】
その補足または代替として、少なくとも1つの保持アームに保持タブ(tab)が配置されることが意図されていてよい。保持タブがさらに当接面を有し、この当接面を角張ったビンの平坦な側面と面状に当接させることが可能なように構成される。換言すると、保持タブの当接面が容器収容空間を区切る。このように保持タブは、容器収容空間の側面に沿って面状に延びるように保持アームに配置される。角張ったビンが保持クランプの中に格納されると、容器収容空間の側面が角張ったビンの側面によって置き換えられ、それにより保持タブがこれに面状に当接する。
【0012】
さらに、保持タブおよび特にその当接面は、角張ったビンを固定するために、もしくは容器収容空間を区切るために、同一の保持アームに配置される別の当接面と協同作用することが意図されていてよい。たとえば、それぞれ当接面を有する2つの保持タブが保持アームに配置されていてよい。この場合、両方の保持タブおよび特にその当接面は実質的に互いに垂直に配置されて、角部を介して結合された角張ったビンの2つの平坦な側面と接触するために構成されるのが好ましい。角度指定に関して「実質的に」とは、本件においては最大±15°の、好ましくは最大±10°の、特別に好ましくは最大±5°の、特に最大±2°の、具体的な指定からの誤差が共に含まれることを意味する。このことは本件明細書全体に当てはまる。これに加えて保持タブは、保持アームにある当接面そのものと協同作用することも同じくできる。そのために、保持タブおよび特にその当接面が、保持部分および特にその当接面に対して実質的に垂直に配置されることが意図されるのが好ましい。それによってこの場合にも、保持タブの当接面と保持アームの当接面とを、角部を介して結合された角張ったビンの2つの異なる平坦な側面と当接させることが可能であることが意図される。換言すると、1つもしくは複数の保持タブの当接面と、保持アームの当接面とが、角部を介して互いに結合された容器収容空間の2つの側面を区切る。このようにして、保持アームが少なくとも1つの保持タブによって角張ったビンの角部を確実に収容し、したがって、保持クランプの中でのビンの確実な固定のために特別に高い信頼度で寄与する。
【0013】
保持アームそのものに直接存在する当接面の補足または代替として、保持アームが別個の容器マウントを装備することが意図されていてよい。たとえば、取付装置によって保持アームに取付け可能である取外し可能な容器マウントが保持アームに配置されると好ましく、容器マウントが当接面を有する。取外し可能とは、容器マウントを非破壊式かつ可逆的に保持アームから取出可能に、かつ再びこれに組付可能に構成されることを意味する。そのために取付装置はたとえばねじ結合部、差込結合部、または、たとえば蟻継ぎ形のレールとそれぞれ他方の構成部品にある相補的な切欠きクランプ結合部などを含む。そして、容器マウントの当接面だけが、もしくはすべての容器マウントにあるすべての当接面だけが、容器収容空間を区切ることが意図されていてよい。その代替として、容器マウントの当接面と保持アームの当接面とがいずれも容器収容空間を区切り、したがって角張ったビンの平坦な側面と当接させることが可能であることが同じく意図されていてよい。容器マウントは保持クランプの別個の部品として構成される。したがって保持クランプと、特に保持アームと、同一の材料で製作されていなくてよい。保持アームについてはプラスチックまたは金属が好ましい材料であるのに対して、容器マウントはプラスチック、特にたとえば硬質であるが弾性的なプラスチック、たとえばラバーやゴムからなるのが好ましい。このようにして、振とう運動にもかかわらず角張ったビンの摩耗を生じさせない材料で、角張ったビンと接触する容器マウントを製作することができる。
【0014】
容器マウントは、ただ1つの平面に位置する当接面だけを有することが意図されていてよい。しかしながら、取外し可能な容器マウントが、角部を介して互いに結合された少なくとも2つの平坦な当接面を有することが意図されるのが好ましい。そして容器マウントを有する保持アームは、両方の平坦な当接面を、角部を介して結合された角張ったビンの平坦な2つの側面と当接させることが可能であるように構成されるのが好都合である。このとき容器マウントの当接面は、実質的に互いに垂直に配置されるのが好ましい。換言すると、容器マウントの両方の当接面が容器収容空間を区切る。このとき容器マウントは、角張ったビンの角部のうちの1つを収容するために構成され、それにより、ビンの平坦な側面のうちの2つが容器マウントに当接する。容器マウントは、たとえば三角形の断面を有する長尺状の切欠きが刻設された、直方体の基本形状を有する別個の構成部品として構成される。そして容器マウントの当接面は、長尺状の切欠きを区切る容器マウントの両方の面によって形成されるのが好ましい。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、保持アームは底面プレートを介して、および少なくとも1つの引張部材を介して、互いに結合されるにすぎない。それに対して、同じく好ましい代替的な実施形態では2つの保持アームが、たとえばそれぞれ2つの保持アームが、結合部分を介して、底面プレートから離れた領域で互いに結合されることが意図される。したがって、結合部分は両方の保持アームとともにたとえば実質的にU字型に構成され、保持アームが両方の脚部を形成して底面プレートと結合される。結合部分は特に同じく平坦な当接面を有しており、これらの平坦な当接面を、角張ったビンの平坦な側面のうちの1つと面状に当接させることが可能なように構成される。このように、結合された両方の保持アームが互いに分離されたまま底面プレートから突き出し、そして底面プレートから離れて、特に底面プレートに向かい合う保持アームの端部領域で、互いに結合される。そのために意図される結合部分は、容器収容空間を区切る平坦な当接面を同じく備えているのが好ましい。結合部分の当接面は、保持アームの当接面に対して平行に、特に保持アームの保持部分の当接面に対して平行に、構成されるのが好ましい。これに加えて、結合された保持アームと結合部分は、同一の材料から互いに一体的に製作されるのが好ましい。
【0016】
1つの代替的な実施形態では、結合部分は、保持アームの当接面に対して平行に構成されていない2つの当接面を有する。特に、結合部分は角部を介して互いに結合された少なくとも2つの平坦な当接面を有し、結合部分を介して結合された保持アームは、両方の平坦な当接面を、角部を介して結合された角張ったビンの2つの平坦な側面と当接させることが可能なように構成することが意図される。結合部分の2つの当接面が実質的に互いに垂直に配置されるのが好ましく、それにより、結合部分が角張ったビンの1つの角部を収容することができる。これに加えて、結合部分の当接面は、結合部分を介して結合された両方の保持アームの当接面に対して実質的に45°で配置されるのが好ましい。このようにして、実質的に45°だけ互いにオフセットされて配置された2つの異なる設置位置で、角張ったビンを容器収容空間に収納することが可能である。この実施形態では、角張ったビンが保持クランプへ格納されたときに、必ずしも容器収容空間全体が充填されるのではないという状況が生じる。容器収容空間の部分割合が、両方の設置位置のうちの一方にのみ割り当てられるからである。
【0017】
保持クランプを操作者によって片手だけで操作可能であることが意図されるのが好ましい。このように操作者は、片手で保持した角張ったビンを保持クランプおよび容器収容空間の中に設置することができ、もう一方の手でそのための補助をする必要がないのがよい。このような片手操作を具体化するために、保持アームが案内部分を有することが意図されるのが好ましく、案内部分は、底面プレートと反対を向くほうの保持アームの側に配置されて、容器収容空間から離れるように折曲されて構成される。各々の保持アームがこのような種類の案内部分を有するのが好ましい。案内部分は、上から来る角張ったビンを全体として漏斗状に容器収容空間の中へと案内する摺動斜面をそれぞれ形成する。このとき案内部分は、角張ったビンの底面が容器収容空間の中への垂直方向の純粋な直線運動によって、引張部材の引張力に抗して保持アームを互いに離れるように引っ張り、そのようにして容器収容空間への角張ったビンの挿入を可能にするように作用する。したがって、保持クランプの中への角張ったビンの格納を、操作者にとって特別に簡易かつ快適に片手で済ませることができる。
【0018】
冒頭で説明したとおり、ビンが摩耗しないようにするために、特に、角張ったビンと引張部材との接触を回避することができる。したがって引張部材が案内部分に、かつ容器収容空間の外部に配置されることが意図されるのが好ましい。したがって引張部材は、角張ったビンが容器収容空間の中に格納されたときでもこれと接触しない程度に遠く容器収容空間と離間する。このことは、本発明による保持クランプの全部の引張部材に当てはまるのが好ましい。このとき少なくとも1つの、および特にすべての引張部材が、たとえば保持アームおよび/または保持タブと直接的に結合される。
【0019】
その代替として保持アームは、容器収容空間の外部に配置される、特に容器収容空間から離れる方向でそれぞれの保持アームから屹立する、少なくとも1つの離間タブ(tab)をそれぞれ有することが意図されていてよく、引張部材は隣接する2つの保持アームの離間タブに配置される。離間タブは、少なくとも1つの引張部材のための結合個所を提供するために構成される。したがって引張部材は離間タブに取り付けられて、これを介してそれぞれの保持アームの間に張設されるのが好ましい。1つの好ましい実施形態では、それぞれ個々の保持アームが2つの離間タブを有し、当該離間タブに配置されたそれぞれ1つの引張部材を介して、それぞれ1つの隣接する保持アームと結合される。2つの保持アームが1つの結合部分と結合されるケースでは、各々の保持アームが1つの離間タブだけを有するのが好ましい。
【0020】
特に離間タブを通じて、少なくとも1つの引張部材が、好ましくはすべての引張部材が、容器収容空間から十分に遠く離れて配置され、それにより角張ったビンが容器収容の中にあるときに、これと接触しないことが保証されるのがよい。したがって離間タブと引張部材は、引張部材が容器収容空間の外部に配置され、離間タブは特に案内部分に配置されるように配置されることが意図されるのが好ましい。案内部分も容器収容空間から離れるように少なくともわずかに突出し、それにより、案内部材に離間タブが配置されることで、容器収容空間に対する引張部材の間隔がいっそう広くなる。しかしながら離間タブが代替的に同じく保持アーム自体に、結合部分に、または容器マウンドに配置されていてもよい。
【0021】
引張部材が容器収容空間の外部に配置されるように作用する離間タブを有する上述の実施形態は独立した別個の発明であり、したがって、当接面による角張ったビンへの面状の接触なしに具体化することもできる。したがって具体的に本発明は、保持アームが、容器収容空間の外部に配置された、特に容器収容空間から離れる方向でそれぞれの保持アームから屹立する、少なくとも1つの離間タブをそれぞれ有し、引張部材は隣接する2つの保持アームの離間タブに配置されることのみを特徴とする、冒頭に述べた当分野に属する保持クランプも同じく対象とする。この独立した別個の実施形態については、上記および下記に説明する好ましい発展例、構成要件、および作用が、面状の接触がなされる発展例も含めて同じく同様に当てはまるので、あくまで繰り返しを避けるためにこれらを再度説明することはしない。
【0022】
角張ったビンが保持クランプの容器収容空間の中に格納されているとき、少なくとも1つの引張部材は、角張ったビンの側面に保持クランプの当接面を押し付けてビンを固定するために意図される。このことは、特に全部の引張部材について当てはまる。このことを可能な限り高い信頼度で具体化するために、2つの引張部材が容器収容空間の向かい合う2つの側に配置されることが意図されるのが好ましい。これらの引張部材によって惹起される引張力の方向は、互いに平行であるのが好ましい。特に、2つの保持アームが結合部分を介して結合される実施形態では、これらの引張部材で十分であり、第1の結合部分と結合された保持アームのうちの1つを、向かい合う側の他の保持アームと第2の結合部分によって結合された、容器収容空間を介して向かい合う保持アームとそれぞれ結合するのが好都合である。別の実施形態では、全部で4つの引張部材が設けられ、それぞれ2つの引張部材が容器収容空間の向かい合う2つの側に配置されるのが好ましいことがあり得る。この場合にも、それぞれ向かい合う引張部材は、これらによって惹起される引張力の平行な方向を有する。それに対して、引張部材によって惹起される、向かい合う2組の引張部材の引張力の方向は、4つの引張部材のケースでは実質的に90°だけ互いにオフセットされる。このとき引張部材の引張力の方向は、たとえば容器収容空間の側面に対して、ないしは角張ったビンの側面に対して、平行に配置されていてよい。このケースでは、引張部材が側面に対して平行に張設される。その代替として引張部材の引張力の方向は、同じく容器収容空間の側面ないし角張ったビンの側面に対してたとえば実質的に45°だけオフセットされて配置されていてよい。このケースでは、引張部材は角張ったビンないし容器収容空間の角部を介して張設される。
【0023】
異なるビンサイズについて異なる保持クランプを提供して利用することは、基本的に、円形のビンのための保持クランプについても普通である。このことは、角張ったビンのための本発明による保持クランプにおいても該当する。その一方で、厳密に規格化されたビンサイズでのみ保持クランプを利用可能なのではないのがよく、それにより、異なるビンサイズの少なくともある程度の許容範囲が、本発明による保持クランプによってカバーされるのがよい。ただし、特に角張ったビンのための保持クランプでは、角張ったビンの側面と当接面との面状の接触が、これらがわずかなサイズの差を有している場合にも、引き続き生じることが保証されているのがよい。このことは、円形のビンのための従来型の保持クランプでは問題ではないが、角張ったビンのための保持クランプはチャレンジに直面する。したがってそのために、少なくとも1つの保持アームが、好ましくはすべての保持アームが、変形アーチを有することが意図されるのが好ましく、変形アーチは、容器収容空間に関して向かい合う2つの保持アームの間隔を変更可能であるように構成される。その際に行われる保持アームの運動を、底面プレートから離れて位置する領域でのビンを格納するための保持アームの拡張運動と混同してはならない。変形アーチは、このような拡張運動に追加して、保持アームが底面プレートに隣接する領域でも、その延在方向に対して垂直の方向へ底面プレートから離れるように少なくともわずかに直線的にスライド可能であることを可能にする。換言すると、これに該当する方向は底面プレートの面の広がりに対して平行に、かつ保持アームから見たときに容器収容空間に関してこれと向かい合う保持アームへと近づく方向ないしこれから離れていく方向を向く。このように変形アーチは、このような方向への保持アームの弾性を可能にし、もしくは提供するように構成される。このようにして、異なるサイズの角張ったビンを同一の保持クランプとともに使用することができ、このとき角張ったビンの面積差のオーダーは数ミリメートルの範囲内で変動する。保持クランプでのビンの確実な固定を保証するために、これよりも差異が大きい場合には、別様に寸法決めされた保持クランプを利用することが必要である。原則として、変形アーチは角張ったアーチまたは丸いU字型のアーチとして、底面プレートに隣接して保持アームに構成され、好ましくは保持アームと一体的に同一の材料で構成される。変形アーチの膨出部ないし湾出部は容器収容空間の外部に配置される。
【0024】
保持アームは変形アーチを介して底面プレートに取り付けられるのが好ましい。特に変形アーチは、底面プレートと、保持アームの当接面との間に配置されるのが好ましい。このケースでは変形アーチの弾性は、たとえば保持アームが底面プレートに向かい合う側で角張ったビンの挿入のために互いに引き離されるときなどに、保持アームが旋回運動をするときにも同じく助けとなる。
【0025】
容器収容空間に関して向かい合う2つの保持アームが少なくとも1つの引張部材を介して互いに近づくように引っ張られると、保持クランプへの角張ったビンの取付けが特別に良好に機能する。この場合にも、底面プレートと反対を向くほうの保持アームの領域に、少なくとも1つの引張部材が配置されると好ましい。1つの好ましい実施形態では、たとえば少なくとも1つの変形アーチによって相互の間隔に関して変更可能な2つの向かい合う保持アームが、少なくとも1つの引張部材を介して互いに結合されることが意図される。ただし、これらの保持アームが少なくとも1つの引張部材を介して互いに直接的に結合されていてはならず、たとえば、同じくさらに別の保持アームおよび別の引張部材を介して、向かい合う保持アームまで結合を成立させることができる。重要なのは、最終結果として、角張ったビンが容器収容空間の中にあるときに、すべての保持アームが容器収容空間に近づく方向へ引張部材により力で付勢されることである。
【0026】
本発明は、底面プレートおよび/または保持アームについて、一連のさまざまな多数の構成可能性を含む。底面プレートおよび/または保持アームは金属、たとえば金属板、またはプラスチックで製作される。底面プレートは保持アームと一体的に構成され、特に同一の材料で製作されるのが好ましい。たとえば容器収容空間に関して互いに向かい合うように底面プレートに配置される、ちょうど2つの最低数の保持アームを利用することができる。3つの保持アームも可能である。しかしながら、ちょうど4つの保持アーム、特に同一に構成された保持アームが存在するのが好ましい。これらの保持アームが、たとえば容器収容空間を囲むように対称に底面プレートに配置されていてよい。保持アームは、実質的に垂直に底面プレートから突き出すのが好ましい。底面プレート自体は、たとえばさまざまな基本形状を有することができる。たとえば底面プレートは円形または楕円形に構成されていてよい。しかしながら底面プレートは長方形の、特に正方形の基本形状を有するのが特別に好ましい。このような基本形状は、特に角領域で底面プレートへの保持アームの取付けによって改変されていてよく、それは、たとえば長方形の基本形状の角が、そこに保持アームが取り付けられるのでそれ自体としては形成されないことによる。底面プレートは、原則として面状に構成された平坦な構成部品として構成される。底面プレートは、容器収容空間の底面を形成してこれを垂直方向で下方に向かって区切る上面を有する。保持アームが底面プレートの上面から突き出す。これに加えて底面プレートは、実験室振とう装置の振とうプラットフォームの上に取り付けられてこれと接触するために構成される下面を有する。これに加えて底面プレートは、上面から下面への移行部となり、それに伴って底面プレートの外側縁部を形成する外側円周を有する。換言すると、底面プレートの外側円周はその端面である。そして、保持アームが底面プレートの外側円周に配置されることが意図されるのが好ましい。このように保持アームは、底面プレートの上面とではなく外側円周と結合される。これに加えて保持アームは、底面プレートおよび/または容器収容空間に関して向かい合うように配置されるのが好ましい。このようにして底面プレートと保持アームが容器収容空間を形成し、その中で角張ったビンを特別に確実に固定可能である。そして保持アームは、角張ったビンの側面に当接面をもって接触するために構成されていてよい。このケースでは、特に角張ったビンの角部は露出していて、たとえば保持アームのそれぞれの当接面の間にある。その代替として保持アームは、角張ったビンの角部に当接面をもって接触するために構成されることが可能である。ただしこの場合にも、角部を介して互いに結合されている角張ったビンの側面が、同じく少なくとも部分的に接触される。すなわち角部の接触とは、本件においては、角張ったビンの角部を介して結合された両方の側面の接触のことでもあると理解される。角張ったビンの角部との接触により、保持クランプでの特別に確実な支持が実現される。保持アームは少なくとも1つの引張部材とともに、特にすべての引張部材とともに、底面プレートと反対を向くほうの保持クランプの側で容器収容空間を完全に取り囲む環状開口部を形成するのが特別に好ましい。このように環状開口部は開口部を形成し、これを通過して角張ったビンを容器収容空間ないし保持クランプの中へ格納することができる。したがって環状開口部は、底面プレートと向かい合う保持クランプの側に配置される。環状開口部は同じく長方形の、たとえば正方形の基本形状を有するように構成されるのが好ましい。その代替として、8角形の環状開口部が意図されていてもよい。環状開口部の角部は、たとえば角部を介して互いに結合された当接面によって形成することができる。保持アームおよび引張部材のほか、たとえば案内部分、離間タブ、保持タブ、結合部分など、保持クランプの他の構成部品も同じく環状開口部の形成のために寄与することができる。このケースでは環状開口部は、前掲の構成部品を含む群の1つまたは複数の部材によって追加的に形成される。
【0027】
保持アームに関わるさらに別の好ましい実施形態は、保持アームがたとえば長方形の基本形状を有する底面プレートの外側円周の側に配置されることを特徴とする。それが意味するのは、たとえば保持アームが角部にではなく、特に長方形の基本形状を有する底面プレートのそれぞれの角部の間に配置されることである。たとえばそれぞれ1つの保持アームが、長方形の基本形状を有する底面プレートの外側円周の各々の側に配置されていてよい。たとえば保持アームは、底面プレートの外側円周の側で中央に配置されていてよい。すなわちこのケースでは保持アームは、底面プレートのそれぞれの角部の間のちょうど中心でその外側円周に配置される。その代替として保持アームは、底面プレートの外側円周の側で偏心的にオフセットされて配置されていてもよい。すなわちこのケースでは保持アームは、外側円周の側のうちの1つに沿って、底面プレートの角部のうちの1つに向かってオフセットされて配置され、たとえば、角部に隣接する領域に配置される。たとえば少なくとも1つの保持アームが、好ましくはすべての保持アームが、底面プレートの外側円周の側に配置されてはいるが、角部のうちの1つにまで達していてよい。これに加えて、たとえばそれぞれ2つの保持アームが、底面プレートの外側円周の2つの向かい合う側に配置されることが意図されていてよく、特に、底面プレートの外側円周の他の両方の側は保持アームを有さない。底面プレートの外側円周の側にそれぞれ配置される保持アームは、たとえば上ですでに説明したように相互に結合されていてよく、すなわち結合部分を有することができる。
【0028】
同様に、たとえば保持アームが底面プレートの外側円周の角部に配置されることが意図されていてよい。たとえばそれぞれ1つの保持アームが、底面プレートの外側円周の各々の角部に配置されていてよい。この実施例では保持アームの面状の広がりが、特に保持部分および/または当接面が、底面プレートの外側円周の側に関して実質的に45°だけオフセットされて配置されるのが特別に好ましい。
【0029】
上に説明した保持クランプに加えて本発明は、このような種類の保持クランプと、角張ったビン、特に容器収容空間に収容される角張ったビンとからなるセットも同じく対象とする。これに加えて本発明は、上に説明した保持クランプを有する実験室振とう装置も同じく対象とする。本発明のこの態様については、繰り返しを避けるために保持クランプに関する説明を援用する。保持クランプについて説明した一切の構成要件、作用、および利点は、本発明によるセットおよび保持クランプを有する実験室振とう装置についても準用の意味において同じく当てはまる。
【0030】
次に、図面に示されている実施例を参照しながら本発明について詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。図面は次のものを模式的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】振とうプラットフォームを有する実験室振とう器である。
図2】振とうプラットフォームを有する振とうインキュベータである。
図3】保持クランプの第1の実施形態である。
図4】角張ったビンが容器収容空間に収容されている図3の保持クランプである。
図5】保持クランプの第2の実施形態である。
図6】保持クランプの第3の実施形態である。
図7】保持クランプの第4の実施形態である。
図8】保持クランプの第5の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
同一または同じ作用をする構成部品には、図面では同じ符号が付されている。繰り返し出てくる構成部品は、全部の図面に個別に図示されているわけではない。
【0033】
図1は、ハウジング部分11と振とうプラットフォーム12とを有する実験室振とう器1を示している。ハウジング部分11には一例として制御エレクトロニクスと駆動モータが収納されており、これらは、実験室振とう器1の作動時に振とうプラットフォーム12を振とう運動させるために利用される。このようにして、たとえば振とうプラットフォーム12の上に設置された容器の中にある液体が混ぜ合わされ、運動するように保たれる。本発明による保持クランプを取り付けるために、振とうプラットフォーム12は、たとえばねじを挿通することができる穴などの取付個所121を有している。
【0034】
図2は、振とうプラットフォーム53が中に配置される、扉51によって閉止可能な内部空間52を取り囲むハウジング50によって、図1の実験室振とう器1から実質的に区別される振とうインキュベータ5を示している。振とうプラットフォーム53の上には、保持クランプまたはこれに類似する構造体(ここには別個には図示せず)のための取付個所が同じく設けられている。ここでは図面の見やすさの都合から別個には図示さない保持クランプにより、たとえば角張ったビン3またはその他の角張った容器を振とうプラットフォーム53の上で固定することができる。振とうプラットフォーム53は、ここではインキュベータの底面領域に配置された駆動装置54によって運動する。内部空間52ではそれ自体周知の方式で、所望の温度および/または内部空間雰囲気の所望の組成、たとえば所定の湿度などを調整することができる。試料容器を設置するために、1つではなく複数の振とうプラットフォーム53が内部空間に存在していてもよく、これらが同じく駆動装置54によって運動する。
【0035】
以下において、保持クランプの一連の具体的な実施例について説明する。ここでは繰り返しを避けるために、全部の実施形態の全部の詳細を再度繰り返すことはしない。したがって、たとえ相応の組合せが言葉通りに言及されていなくても、実施例の個々の構成要件がそれぞれ他の実施例に準用され、またはその逆でもあることが、全体として本発明に基づいて同じく共に含まれる。原則として、異なる実施形態に由来する2つまたはそれ以上の構成要件の任意の組合せが、これらの構成要件が明白に排除し合っておらず本発明の枠内に収まっている限りにおいて可能である。
【0036】
図3は、保持クランプ2の第1の実施例を示している。この保持クランプ2は、実験室振とう装置1,5のうちの1つの振とうプラットフォーム12,53の上に角張ったビン3を取り付けるために構成されている。そのために保持クランプ2は底面プレート20を有しており、その周回する縁部を外側円周200と呼ぶ。底面プレート20は、底面プレート20およびこれに伴って保持クランプ2を振とうプラットフォーム12,53の上に取り付けるための役目を果たす、少なくとも1つの取付装置201を有している。たとえば取付装置201は穴を含んでいて、これを通してねじを挿通することができる。底面プレート20から、図示した実施例では4つの保持アーム21が実質的に垂直に上方へ突き出している。保持アーム21は、たとえば金属板または面状のプラスチックプレートで構成される。保持アームは底面プレート20とともに容器収容空間23を取り囲み、その中に角張ったビン3を、あとでさらに詳しく説明するように収容することができる。
【0037】
保持アーム21はそれぞれ変形アーチ213を介して底面プレート20の外側円周200に配置され、特に、実質的に長方形の基本形状を有する底面プレート20の角部に配置され、それぞれの角部が保持アームの配置によって分断されている。変形アーチ213は、それぞれ保持アーム21の外方に向かって突出するU字型の湾出部として形成されており、保持アーム21が底面プレート20への支持部のところで、一方では旋回運動を行うことができるとともに、他方では、あとでまた詳しく説明するように、それぞれ向かい合う保持アーム21に対する間隔を広げることができるように作用する。図3の図示した実施例では、変形アーチ213は折曲したU字型の推移を有するように角張って構成されている。
【0038】
これに加えて保持アーム21は保持部分210をそれぞれ有していて、これらがさらに平坦な当接面215を含んでいる。当接面215は、容器収容空間23を区切るように構成される。容器収容空間は、底面プレート20の上面によってさらに区切られる。保持クランプ2のその他すべての部材は、容器収容空間23の外部に配置されている。当接面215は、特に、角張ったビン3が保持クランプ2の中に格納されるとただちに、その側面に当接するために構成される。保持アーム21の当接面215によるビン3の面状の接触に基づき、保持アームは、重い角張ったビン3でも確実に保持クランプ2の中で保持することができる。
【0039】
図示した実施例では、保持アーム21は、底面プレート20に向かい合う側にそれぞれ案内部分211を有している。案内部分211は保持アーム21に対して、および特に保持部分210もしくは当接面215に対して、外方に向かって折曲されている。したがって、案内部分211は容器収容空間23のほうを向く側で、上から来る角張ったビン3を容器収容空間23の中へ誘導するために、角張ったビン3の底面のための案内部として利用可能である摺動斜面をそれぞれ形成する。
【0040】
さらに保持アーム21には、具体的には図3の実施例において案内部分211には、それぞれ2つの離間タブ212が配置されている。離間タブ212は、案内部分211と同じく、保持アーム21と一体的に構成されており、容器収容空間23から離れるように突き出す。そこには、引張部材22を取り付けるために構成される離間タブ212の目的もあり、引張部材は渦巻きばねとして金属で構成されている。引張部材22は、容器収容空間23の中にある角張ったビン3と引張ばね22との接触を確実に回避するために、容器収容空間23の外部に配置されるのがよい。それぞれ隣接する保持アーム21のもっとも近くに位置する保持アーム21の側に、それぞれ1つの離間タブ212が配置されている。これに加えて離間タブ212は、底面プレート20に向かい合う保持アーム21の端部に配置されている。離間タブ212を介して、隣接する保持アーム21の間にそれぞれ1つの引張部材22が張設されている。このように各々の保持アーム21が、2つの引張部材22を介して他の保持アーム21と結合される。全体として保持アーム21は、案内部分211、離間タブ212、および引張部材22によって、容器収容空間23への角張ったビン3の入口開口部となる環状開口部24を形成する。
【0041】
容器収容空間23への角張ったビン3の挿入について、図3の保持クランプ2の実施例を取り上げて図4を参照しながら説明する。角張ったビン3は、それぞれ角部32を介して互いに結合された平坦な側面31を有している。これに加えてビン3は、選択された図では見えていない底面を有している。角張ったビンを保持クランプ2の中に格納するために、ビン3が上から来るように保持クランプ2の環状開口部24の中へ動かされる。ビン3は底面および/または側面31をもって、案内部分211により構成される摺動面に沿って摺動し、それにより、ビン3がさらに降下していくとそれぞれ向かい合う保持アーム21の間の間隔が広がっていき、そのようにして環状開口部24を拡張し、このとき引張部材22が応力を受ける。保持アーム21は、角張ったビン3の本体がそれぞれの保持アーム21の間に、特にそれぞれの保持部分210の間に嵌るまで互いに遠くへ離れるように動く。そしてビン3は、さらに降下していくときに保持部分210に沿って摺動する。このときビン3のサイズに応じて変形アーチ213で、保持アーム21および特に保持部分210が容器収容空間23から押し離され、そのようにして、向かい合う2つの保持アーム21の間隔が拡大されることが起こる。このようにしてビン3は、底面プレート20の上に載るまで降下していく。引張部材22は、環状開口部24がその可能な最小限の拡張をするように作用し、それにより、角張ったビン3の側面31への当接面215の面状の当接が生じる。こうしてビンは保持アーム21との接触によって、および引張部材22の引張応力によって、保持クランプ2の中で固定されて、振とうプラットフォーム12,53の定義された運動に追随するようになり、ビン3が保持クランプ2から外れる危険がない。
【0042】
保持クランプ2へビン3を挿入するには、ビン3を上から来るように垂直方向へ容器収容空間23の中に降下させることしか必要ない。正しい嵌め合いで収容をするための、およびビン3への当接面215の面状の当接を保証するための、保持アーム21の一切の位置調節は、特に変形アーチ213と引張部材22での保持クランプ2の弾性的な変形によって実現される。したがって、ビン3をたとえば片手でその蓋の領域でつかんでいる操作者が、もう片方の手で補助することなくビン3を容易かつ簡易に保持クランプ2の中へ、すなわち容器収容空間23の中へ格納することができる。特に実験室の現場では、このような片手操作が特別に有益である。
【0043】
保持クランプ2の代替的な実施形態が図5に示されている。この保持クランプ2も、長方形の基本形状を有する底面プレート20を含んでいる。特に底面プレート20は正方形に構成されており、取付装置201としての複数の穴を有している。保持アーム21は底面プレート20の外側円周200の側に配置され、偏心的にオフセットされている。具体的には保持アーム21は、底面プレート20のそれぞれ1つの角部に接触するように、もしくは角部と同一平面上で終わるように、外側円周200の側に取り付けられている。本実施例でも、各々の保持アーム21が変形アーチ213を有している。変形アーチ213は、本例では、保持アーム21の丸いU字型の膨出部として構成されている。保持クランプ2の先ほどの実施例とは異なり、図5の実施例は案内部分211を有していない。したがって、保持クランプ2の図示しない別の実施形態は図5のものに実質的に相当するが、当該実施形態は追加的に案内部分211を有する。
【0044】
図5に示す実施例は、保持アーム21の保持部分210の当接面215のほか、追加の保持タブ214を保持アーム21ごとに同じく含んでいる。換言すると、この実施形態の各々の保持アーム21は保持タブ214を装備している。これらは特に保持部分210の当接面215と同じ垂直方向の高さに構成される。これに加えて保持タブ214は、底面プレート20と反対を向くほうの保持アーム21の側に配置される。各々の保持アーム21は一方の側にのみ保持タブ214を有し、保持アーム21は全体的に非対称に構成されている。各々の保持タブ214は、容器収容空間23のほうを向く側に、同じく角張ったビン3の平坦な側面31のうちの1つと面状に当接させることを可能にするために構成された平坦な当接面215を含んでいる。換言すると、この当接面215も容器収容空間23を区切る。特に、保持タブ214は保持アーム21の保持部分210から側方へ屹立しており、保持タブ214の当接面215が保持部分210の当接面215に対して実質的に垂直に向くように構成される。このようにして各々の保持アーム21は、保持部分210および保持タブ214の当接面215をもって、容器収容空間23の中の角張ったビン3の角部31と接触し、それにより、角部32を介して結合されたビン3の2つの平坦な側面31に当接面215が当接するようになっている。
【0045】
保持アーム21の離間タブ212のうちのそれぞれ1つが、保持タブ214のうちの1つに配置されている。したがって環状開口部24は、図5に示す実施形態では、全体として保持アーム21ないしその保持部分210と、保持タブ214と、離間タブ212と、引張部材22とによって形成される。図5に示す実施形態が案内部分211を有さないことにより、保持部分210の当接面215は、および保持部分210そのものも、変形アーチ213から、底面プレート20と反対を向くほうの保持アーム21の端部まで延びている。したがって、保持アーム21とビン3の側面31との間の接触面が比較的広くなっており、このことは特別に確実なビン3の固定に寄与する。
【0046】
図6に示す実施例では、正方形の底面プレート20の外側円周200の4つの角部に4つの保持アーム21が配置されている。ただし先ほどの各実施例とは異なり、保持アーム21は保持部分210を有していない。換言すると保持アーム21は、保持アーム21そのものに組み込まれた当接面215を有していない。その代りに、各々の保持アーム21に容器マウント4が配置されている。容器マウント4は別個の構成部品として構成されて、保持アーム21に取外し可能に取り付けられる。その代替として、容器マウントが保持アームに取外し不能に取り付けられ、たとえば接着されていてもよい。取外し可能な取付けのために取付装置42が設けられ、図示した実施例では例示としてねじ結合部が設けられ、具体的には、容器マウント4ごとに2つのねじ結合部が設けられている。取外し可能な容器マウント4は保持アーム21とは異なる材料、たとえばビン3と接触したときに実験室振とう装置1,5の作動時のビン3の摩耗を排除するゴム材料からなっていてよい。各々の容器マウント4は、実質的に互いに垂直に配置された、角収容部41を共同で形成する2つの平坦な当接面43を有している。角収容部41は、角張ったビン3の角部32と接触するために構成される。そのために平坦な当接面43は、ビン3が保持クランプ2の容器収容空間23の中にあるときに、角部32を介して結合されているビン3の平坦な側面31に当接するために構成される。図6に示す実施例では、容器収容空間23は、容器マウント4の当接面43と底面プレート20のみによって区切られる。保持クランプ2のその他一切の部分は、容器収容空間23の外部にある。
【0047】
図6に示す保持クランプ2では、離間タブ212は容器収容空間23から離れる方向に延びるのではない。それに代えて離間タブ212は、容器収容空間23の側面に対して、ないしは容器収容空間23に配置される角張った容器の側面31に対して、実質的に平行に延びている。ただしこのことは、本実施例では、それにもかかわらず引張部材22が容器収容空間23の外部にあることを保証するために十分である。容器マウント4が保持アーム21から容器収容空間23の方向へ、それぞれ向かい合う容器マウント4に向かって延びているからである。このようにして容器マウント4の角収容部41が、およびそれに伴って容器収容空間23も、内方に向かってオフセットされて配置され、それにより、引張部材22に対する容器収容空間23の十分な離間が実現される。
【0048】
図7には保持クランプ2のさらに別の実施例が示されている。この保持クランプ2は、正方形の基本形状を有する底面プレート20を同じく有している。ここでも全部で4つの保持アーム21が設けられ、これらが底面プレート20から突き出している。しかし保持アーム21は、底面プレート20の外側円周200の向かい合う2つの側にのみ配置されている。それに対して、外側円周200の他の両方の向かい合う側は保持アーム21を有していない。これに加えて保持アーム21は、外側円周200の側で偏心的にオフセットされていて、すなわち底面プレート20の角部まで達するように、もしくは角部とともに終わるようになっている。そこから保持アーム21は実質的に垂直方向に、底面プレート20から上方に向かって屹立する。
【0049】
外側円周200の同一の側に配置される保持アーム21は、底面プレート20と反対を向くほうの端部で、結合部分216を介して互いに結合されている。特に結合部分216は、保持アーム21および底面プレート20とともに一体的に同一の材料で製作される。結合部分は同じく面状の広がりを有しており、特に、角張ったビン3の平坦な側面31と当接させることが可能な平坦な当接面215を同じく含む。結合部分216の当接面215は、特に、保持アーム21の保持部分210の当接面215に対して平行に構成される。互いに結合されている保持アーム21の保持部分210と、結合部分216とが、角張ったビン3の平坦な側面31と当接させることが可能な、共通のつながった平坦な当接面215を形成するのがきわめて特別に好ましい。
【0050】
これに加えて、結合部分216を介して結合された保持アーム21は、結合部分216および保持アーム21の保持部分210に対して実質的に垂直に配置された保持タブ214をそれぞれ同じく有している。さらに保持タブ214は、上ですでに説明したとおり、結合部分216と保持部分210の共通の当接面215に対して実質的に垂直に配置された、別の当接面215をそれぞれ有している。結合された保持アーム21にある保持タブ214は、特に容器収容空間23に関して互いに向かい合う。このようにして、結合部分216と保持部分210の共通の当接面215が、実質的にビン3の1つの角部32からビン3のすべての平坦な側面31を介して他の角部32まで広がることが達成される。したがって共通の当接面215は、ビン3が容器収容空間23の中に格納されたとき、側面31全体にわたってビン3に当接する。これに加えて、これら両方の側面31を区切る角部32が、当該角部32と結合されたビン3の別の側面31に当接する保持タブ214によって包囲される。
【0051】
保持タブ214には、容器収容空間23から離れるように突出するそれぞれ1つの離間タブ212が配置されている。結合された保持アーム21に向かい合う、底面プレート20の外側円周200の側には、第1の組の結合された保持アーム21に対して容器収容空間23に関して鏡像対称に構成された、2つの別の結合された保持アーム21が配置されている。離間タブ212を介して、互いに結合された両方の組の保持アーム21の間に2つの引張部材22が張設されている。したがって図7に示す実施例は、容器収容空間23の側面に対して、ないしはビン3の側面31に対して、それぞれ平行に配置された2つの引張部材22だけで済む。角張ったビン3と保持クランプ2との特別に広い面積での接触により、これが容器収容空間23に格納されるとただちに、図7に示す実施形態によって保持クランプ2の中でのビン3の特別に確実な取付けが達成される。
【0052】
図8に示す実施形態は図7に示すものに大部分で対応しており、したがって、繰り返しを避けるために当該実施形態を援用する。先ほどの実施形態とは異なり、結合部分216は、保持部分210の当接面215に対して平行に配置された当接面215を有していない。それとは対照的に図8に示す実施形態の結合部分216は、外方に向かって-すなわち容器収容空間23から離れるように-突出する角部として構成されている。特に、それによって結合部分216は、角部32を介して互いに結合されているビン3の2つの側面31に当接するために構成された、実質的に互いに垂直に配置された2つの平坦な当接面215を含む。換言すると結合部分216は、容器収容空間23に支持されるビン3の角部32を収容するために構成される。このようにして、角張ったビン3のために同一の保持クランプ2で2つの相違する設置位置を具体化することが達成される。一方の設置位置は、保持タブ214と保持アーム21との間の結合個所にビン3の角部32が配置される、図7に示す実施形態のものに対応する。もう一方の設置位置はこの位置に対して実質的に45°だけオフセットされて配置され、すなわち、ビン3で対角線上で向き合うそれぞれ2つの角部32が、結合部分216によって収容されるようになっている。それに対して、角張ったビン3の他の両方の角部32は両方の引張部材22のほうを向いているが、そこでは特に離間タブ212による離間に基づき、これらの角部32と引張部材22との間の接触は成立しない。これら2つの相違する設置位置が提供されることで、保持クランプ2の利用性が格別にフレキシブルになる。原則として、ビン3の両方の設置位置は等しい大きさで構成されていてよい。しかしながら、ビン3の両方の設置位置が相違する大きさで構成されるのが好ましい。結合部分216の相応の配置と寸法決めによって、たとえば2つの相違するサイズ等級の角張ったビン3を同一の保持クランプ2に固定することが可能である。このとき引張部材22からのビン3の角部32の十分な離間を保証するために、ビン3の2つの角部32が結合部分216により収容される設置位置は、ビン3の角部32が保持タブ214および保持部分210により収容される設置位置よりも小さい容器収容空間23を含むのが好ましい。
【0053】
最終的に本発明は、振とうプラットフォーム12,53の上の保持クランプ2の中での、角張ったビン3の、またはその他の角張った容器の、確実で摩耗の少ない、簡易に操作することができる固定を具体化することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8