(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】光ファイバを備えたガラス炉
(51)【国際特許分類】
G01K 11/3206 20210101AFI20230522BHJP
C03B 5/00 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G01K11/3206
C03B5/00
(21)【出願番号】P 2021504814
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019070232
(87)【国際公開番号】W WO2020025492
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-03-26
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511104875
【氏名又は名称】サン-ゴバン サントル ド レシェルシュ エ デテュド ユーロペアン
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ボワネ,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】カボディ,イザベル
(72)【発明者】
【氏名】シッティ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】グルエーズ,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエルメ,ジャン-ガエル
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-50064(JP,A)
【文献】特開2001-89165(JP,A)
【文献】特開2002-71323(JP,A)
【文献】特表2011-527417(JP,A)
【文献】特開2005-62138(JP,A)
【文献】特開2016-104682(JP,A)
【文献】特開平8-240323(JP,A)
【文献】特開2007-55895(JP,A)
【文献】特開平4-74813(JP,A)
【文献】特開平7-311098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0139392(US,A1)
【文献】特開平8-145810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 11/32-11/324
C03B 5/00- 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス炉であって、
耐火部分と、
温度測定デバイスと
を備えており、
前記耐火部分が、溶融ガラスと、又は溶融ガラスと接触している気体環境と接触しているか又は接触することが意図される高温面(16
c)、及び該高温面から距離を置かれた冷温面(16
f)とを画定し、
前記温度測定デバイスが、
導波管内への問合せ信号の注入に応答して応答信号を送出するように構成された複数の温度測定センサー(22
i)を備えている測定部分(20)を備えている導波管(12)、及び
該導波管の入力に接続されたインテロゲータ(14)
を備えており、
前記インテロゲータ(14)は、該入力に該問合せ信号(I)を注入し、上記問合せ信号の該注入に応答して該温度測定センサーによって返された上記応答信号(R
i)を受信し、受信された該応答信号を分析し、そして該分析に従ってメッセージを送信するように構成されており、
前記ガラス炉が断熱層(18)を備えており、
ここで
、前記断熱層(18)
、又は、前記断熱層(18)が少なくとも2つの基本断熱層(18
1
、18
2
)からなるときの該断熱層の基本断熱層が、前記測定部分の周りに、焼結により形成されており、
ここで、該導波管(12)が光ファイバであり、及び該温度測定センサーがブラッグ格子である、
前記ガラス炉。
【請求項2】
該耐火部分が床部であり、及び少なくとも1つの基本断熱層が、耐火コンクリートの形で、シリコ-アルミナ耐火材料からなる、請求項
1に記載のガラス炉。
【請求項3】
該導波管が、200マイクロメートル未満の直径を有する、請求項1
又は2に記載のガラス炉。
【請求項4】
該耐火部分が、ガラス溶融タンクの側壁、又は床部、又は供給装置、又は上部構造部、又は形成部、又は調節ブロックである、請求項1~
3のいずれか1項に記載のガラス炉。
【請求項5】
上記導波管の複数の測定部分の組からなり、且つ該高温面に及び/又は該冷温面に対して平行な表面に沿って延在するシートを備えている、請求項
4に記載のガラス炉。
【請求項6】
側壁と床部とを備えているガラス溶融タンクを備えており、該シートが、該タンクの該側壁を包囲し、及び/又は該シートが、該床部の下方に延在するコンクリートの層内に延在する、請求項
5に記載のガラス炉。
【請求項7】
上記シート内の温度測定センサーの密度が、該耐火部分の高温面1m
2当たり3つよりも多い温度測定センサーである、請求項
5又は6に記載のガラス炉。
【請求項8】
上記シート内の温度測定センサーの密度が、該耐火部分の高温面1m
2当たり50よりも多い温度測定センサーである、請求項
7に記載のガラス炉。
【請求項9】
互いに平行に延在する第1及び第2の上記シートを備えており、該第1のシートと該第2のシートとの間の距離が1cmより大きく、上記第1及び第2のシートが上記第1及び第2のシートのうち少なくとも一方に対して垂直な方向で見られたとき、該第1のシートの上記測定部分が、該第2のシートの上記測定部分と、交差点で交差しているように見える、該第1のシート及び/又は該第2のシート内で、交差点のうち50%超に温度測定センサーが配置されている、請求項
5~8のいずれか1項に記載のガラス炉。
【請求項10】
測定部分同士の各交差点において、温度測定センサーが各測定部分上に配置されている、請求項
9に記載のガラス炉。
【請求項11】
複数の上記センサーを備えており、該複数の温度測定センサーが、接触して又は接触せずに、該高温面に対して直角の方向に沿って重畳されている、請求項
1~10のいずれか1項に記載のガラス炉。
【請求項12】
該導波管の各端部が、夫々のインテロゲータに接続されている、請求項
1~11のいずれか1項に記載のガラス炉。
【請求項13】
前記基本断熱層(18
1
、18
2
)が、400℃~1200℃の温度での焼結により、前記測定部分の周りに形成される、請求項1~12のいずれか1項に記載のガラス炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの導波管、好ましくは光ファイバ、を備えたガラス炉に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス炉内の様々な場所での温度を読み取ることは、ガラス炉の状態を確認すること、特に熱橋(thermal bridges)に対応するホットスポットを検出することを可能にする。この読取りは慣用的に、熱電対によって行われる。しかしながら、熱電対の実装は、時間がかかり且つ測定の数が限られる為に構造全体の継続的な監視を可能にしない。
【0003】
代替的には、温度は赤外線サーモグラフィによって測定されるが、これは、赤外線カメラによって視覚的にアクセスできる場所でのみ可能であり、それは特に、該炉のブロック及び床部の断熱された部分を除外する。
【0004】
それ故に、構造上の多数の点での温度測定値の読取りを容易にし、且つそれらの変化の連続的且つ正確な監視を可能にする解決法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、この必要性に、少なくとも部分的に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従うと、この目的は、ガラス炉であって、
耐火部分と、
温度測定デバイスと
を備えており、
該耐火部分が、溶融ガラスと、又は溶融ガラスと接触している気体環境と接触しているか又は接触することが意図される高温面(hot face)、及び該高温面から距離を置かれた冷温面(cold face)とを画定し、
該温度測定デバイスが、
導波管内への問合せ信号の注入に応答して応答信号を送出するように構成された少なくとも1つの温度測定センサーを備えている測定部分を備えている導波管、及び
該導波管の入力に接続されたインテロゲータ
を備えており、
該インテロゲータ(14)は、該入力に該問合せ信号を注入し、上記問合せ信号の該注入に応答して該センサーによって返された上記応答信号を受信し、受信された該応答信号を分析し、そして該分析に従ってメッセージを送信するように構成されている、
上記ガラス炉によって達成される。
【0007】
一つの好ましい実施態様において、該測定部分は、上記冷温面と接触しており、好ましくは該冷温面に対して延在する。
【0008】
該測定部分はまた、部分的に又は全体的に、該耐火部分内に組み込まれうる。
【0009】
発明の詳細な説明の残りにおいてより詳細に見られる通り、導波管は特に、有効且つ実用的な手段である。特に、複数のセンサーが同一の導波管内に組み込まれることができ、複数の導波管が同一のインテロゲータに接続されることができる。従って、測定点のネットワークを容易に構築することが可能である。このネットワークは、継続的な測定を可能にするように作動状態に(in place)保たれることができる。
【0010】
本発明に従う炉はまた、下記の任意的な特徴のうちの1以上を備えうる。
該導波管が、光ファイバ、好ましくはガラス又はサファイアで作られた光ファイバ、であること;
該センサーがブラッグ格子(Bragg grating)であること;
該導波管が、200マイクロメートル未満の直径を有すること;
該耐火部分が、耐火ブロックの組立体、特にガラス溶融タンクの側壁又は底部、であること;
該導波管の該測定部分が、複数の上記センサー、好ましくは5個よりも多い、8個よりも多い、10個よりも多い、好ましくは20個よりも多い、センサー、を備えていること;
該複数のセンサーが、該導波管に沿って規則的な間隔で配置されていること;
該インテロゲータが、該耐火部分の摩耗レベル及び/又は該高温面の温度及び/又は該高温面の該温度における変化を、該応答信号の分析に従って判定するように構成されていること;
該導波管が、該耐火部分の内部内へ貫入していないこと;
少なくとも該導波管の該測定部分が、上記冷温面と断熱層との間に挟まれて、又は上記断熱層内に、延在すること;
該断熱層が、少なくとも2つの基本断熱層からなること;
少なくとも該導波管の該測定部分が、上記断熱層の2つの隣り合う基本断熱層の間に挟まれて延在すること;
少なくとも該導波管の該測定部分が、上記断熱層の該基本断熱層のうちの1つ内に延在すること;
該冷温面が、該高温面と反対側にあり、好ましくは該高温面に対して実質的に平行であること;
該導波管が、ファイバの一般的形状をとり、その該測定部分が好ましくは、実質的に直線状であること;
該導波管の該測定部分が、少なくとも部分的に又は更には全体的に、該高温面及び/又は該冷温面に対して平行に延在すること;
該測定部分が、上記冷温面と断熱層との間に挟まれて延在すること;
該インテロゲータ及び/又は該測定部分が区画内に収容され、該区画は、該冷温面上若しくは該断熱層上若しくは基本断熱層上に、特に凹部、すなわち「溝」、の形に、作られるか、又は該耐火部分、該断熱層若しくは該基本断熱層を通って、好ましくは管状の孔の形に作られ、該区画が、直線状であるか若しくは直線状でないか、又は有底であるか若しくは完全に貫通しうること;
該インテロゲータ及び/又は該測定部分が、少なくとも1つの固定点により、該耐火部分に及び/又は適用可能な場合には該断熱層に固定され、該固定点が、該測定部分に沿って、好ましくは1mm超、3mm超、及び/又は、好ましくは5cm未満、好ましくは3cm未満、2cm、1cm、若しくは0.5cm、の長さを有すること;
該炉が、湾曲表面又は平面表面、好ましくは平面表面、に沿って、好ましくは該高温面及び/又は該冷温面に対して平行な平面に沿って、延在する上記導波管の複数の測定部分の組からなる複数のシートを備えていること;
該シートの上記複数の測定部分が、互いに平行に延在すること及び/又は交差しているように見えること;
該シートの該測定部分が、交差せず、1cm超、5cm超、10cm超、20cm超、及び/又は100cm未満、80cm未満、若しくは50cm未満、の距離によって、互いから間隔が空けられて、好ましくは互いに平行に、延在すること;
測定部分同士の交差点の少なくとも幾つかで、センサーが各測定部分上に配置されていること;
好ましくは、測定部分同士の交差点のうちの50%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超、好ましくは100%で、各測定部分がセンサーを有すること;
上記交差点で、該測定部分の全てが互いと接触していること;
交差点で交差している測定部分の数が、2超、又は更には3超、又は5超、であること;
該炉が、好ましくは互いに平行に延在する、少なくとも第1及び第2の上記シートを備えていること;
該第1のシートと該第2のシートとの間の距離が、1cm超、3cm超、5cm超、及び/又は10cm未満であること;
該第1のシートの上記測定部分が、互いに平行に延在すること;
該第2のシートの上記測定部分が、互いに平行に、好ましくは該第1のシートの該測定部分の方向とは異なる方向に、延在し、ここで、該複数の方向の間の角度が好ましくは、45°超、60°超、80°超、及び/又は120°未満、好ましくは100°未満、であること;
該第1及び第2のシートが上記第1及び第2のシートのうち少なくとも一方に対して垂直な方向で見られたとき、該第1のシートの上記測定部分が、該第2のシートの上記測定部分と交差しているように見える、且つ好ましくは、該交差点のうち50%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超、好ましくは100%、において、各測定部分がセンサーを有すること;
該シートの該センサーが、パターンで、好ましくは規則的なパターンで、好ましくは正方形又は長方形の網状グリッド、を形成するように、分散されていること;
該シートが、該床部の下方に、又は該床部の2つの基本断熱層の間に延在すること。
該炉が、複数の上記センサーを備えており、該複数の上記センサーが、接触して又は接触せずに、該高温面に対して直角の方向に沿って重畳されていること;
該導波管の各端部が、夫々のインテロゲータに接続されていること。
【0011】
本発明はまた、本発明に従うガラス炉の耐火部分に関係する測定値を読み取る為の方法に関し、該方法は下記の工程を含む。
a.本発明に従うガラス炉を製造すること、
b.該導波管の該入力に問合せ信号を注入し、且つ、該センサーから応答信号を受信するように、該インテロゲータを制御すること、
c.該応答信号を分析して、該応答信号に依存する情報、特に該センサーの領域における該耐火部分の温度に関係する情報、を判定すること。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、下記の詳細な説明を読むことによって且つ添付図面を検証することによって、より明瞭に明らかになるであろう。下記の様々な図において、同一の参照符号は、同一又は類似する部材を表す為に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、透視図で示された、本発明に従う炉の一つの好ましい実施態様の側壁を概略的に示す。
【
図2a】
図2aは、断面図及び
図1の該側壁の細部の上からの図を示し、断熱層が示されている。
【
図2b】
図2bは、断面図及び
図1の該側壁の細部の上からの図を示し、断熱層が示されている。
【
図2c】
図2cは、
図1の該側壁の細部の上からの図を示し、断熱層が示されている。
【
図2d】
図2dは、
図1の該側壁の細部の上からの図を示し、断熱層が示されている。
【
図2e】
図2eは、
図1の該側壁の細部の上からの図を示し、断熱層が示されている。
【
図3a】
図3aは、本発明に従うデバイスにおいて使用される様々な信号を示す。
【
図3b】
図3bは、本発明に従うデバイスにおいて使用される様々な信号を示す。
【
図3c】
図3cは、本発明に従うデバイスにおいて使用される様々な信号を示す。
【
図3d】
図3dは、本発明に従うデバイスにおいて使用される様々な信号を示す。
【
図4】
図4は、本発明に従う炉の側壁上の光ファイバの配置を示す。
【
図5】
図5は、断面図及び
図1の該側壁の細部の上からの図を示し、断熱層が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
「耐火部分」によって意味されるのは、耐火材料で作られた炉の要素である。耐火部分はブロックでありうるが、また、複数のブロックの組立体、例えば、タンクの側壁又は床部、特に流し込みによって形成された、タンクの側壁又は床部、でありうる。耐火部分は慣用的に、溶融材料から又は焼結材料から作られる。慣用的に、熱交換を制限する為に、断熱層が該耐火部分の該冷温面を被覆する。
【0015】
慣用的に、ガラス炉の耐火部分の「厚さ」は、その高温面(hot face)に対して直角の方向に測定された寸法である。例えば、溶融ガラスと接触しているタンクの側部ブロックについて、該厚さは、溶融ガラスの浴に向かって実質的に水平の方向において測定される。床部について、該厚さは垂直方向において測定される。
【0016】
該「高温面」(hot face)は、溶融ガラスを収容する又は溶融ガラスを収容することが意図される炉の空間に曝露される、耐火部分の面である。該高温面は、溶融ガラスと及び/又は該溶融ガラスの上方に延在する気体環境と、接触しているか又は接触することが意図されうる。従って、該高温面は、最も高い温度に付される又は付されることが意図される、該耐火部分の面である。また、該ガラス溶融タンクの該側壁の該ブロックの全ての該高温面が、拡大解釈すると「高温面」とみなされうる。該床部の上面がまた「高温面」とみなされうる。
【0017】
他に明示されない限り、該「深さ」は、該耐火部分の内部に向かって、該高温面に対して直角に測定される。
【0018】
形容詞「高温」(hot)は、明瞭の為に使用される。該炉が稼働する前、該「高温」面は、稼働状態にされた後に最高温度に付されることが意図される面である。
【0019】
「冷温面」(cold face)は、溶融ガラスを収容する又は溶融ガラスを収容することが意図される該炉の空間に対して曝露されない、すなわち、該耐火部分の材料によってこの空間から断熱される、該耐火部分の表面である。該高温面と反対側の該冷温面は、上記空間から最も遠い面である。慣用的に、該高温面と反対側の該冷温面は、稼働中に、最も低い温度にさらされる又はさらされることが意図される面である。該冷温面は、該高温面に対して平行でありうる。
【0020】
「導波管」によって意味されるのは、電磁波、特に可視周波数の波、を誘導する為の、該耐火部分とは異なる任意の手段である。
【0021】
測定部分は、実質的に完全に一つの層(断熱層、基本断熱層、炉筐体の耐火部分)内に、又は2つの上記層の間に延在する場合に、該一つの層内に又は該2つの層の間に「延在」する。
【0022】
2つの測定部分が交差するかどうかを判断する為に、これらの測定部分は、該高温面に対して直角に観察される。
【0023】
「~を含む」(include)、「~を有する」(have)又は「~を備えている」(comprise)は、広範な非制限的な意味で解釈されるべきである。
【0024】
詳細な説明
一般に、ガラス炉の筐体は、耐火部分と、該耐火部分の該冷温面に隣接し且つ該炉の該内部と外部との間の伝導を通じた熱交換を制限することを意図される断熱層18とを備えている。
【0025】
それ故に、該耐火部分は、該炉の該内部から、該筐体の1番目の層を構成する。それは、該タンクの壁又は該床部を構成しうる。
【0026】
それは慣用的に、ブロックの組立体からなる。これらのブロックは一般に、該床部を形成する為の耐火スラブの形をとる。潜在的にスラブの形である、慣用的なガラス炉において使用される任意の耐火ブロックが使用されうる。特に、各ブロックは、溶融材料から作られうる。
【0027】
該耐火部分、特にブロック、は、その重量の90%超について、ZrO2、Al2O3、SiO2、Cr2O3、Y2O3、及びCeO2からなる群から選択される1以上の酸化物からなる材料からなりうる。この材料は好ましくは、90%超のZrO2、Al2O3、及びSiO2を含む。一つの実施態様において、この材料は、AZS(すなわち、生成物、好ましくは溶融物であり、その重量による多数構成要素はAl2O3、ZrO2及びSiO2である)であり、15%超のZrO2、好ましくは26~95%のZrO2、を有する。その組成は典型的に、合計で90%超、好ましくは95%超:26~40%のZrO2;40~60%のAl2O3;5~35%のSiO2である。該ガラス相は、およそ5~50%、好ましくは10~40%、に相当する。好ましくは、このガラス相はケイ酸塩相であり、そのNa2Oの重量比は、20%未満、好ましくは10%未満であり、及び/又はそのAl2O3の重量比は30%未満である。
【0028】
該百分率の全ては慣用的に、該酸化物に基づく重量によるものである。好ましくは、該耐火性酸化物は、該耐火ブロックの重量の90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、である。
【0029】
該耐火部分は好ましくは、500℃超、又は更には600℃超、又は更には1000℃超、又は更には1400℃超、の温度に耐性のある材料で作られる。
【0030】
図1の実施態様において、本発明に従う該ガラス炉は、耐火ブロックの組立体10の形である炉の耐火部分と、導波管、この場合は光ファイバ12、と、第1のインテロゲータ14
1とを備えている。耐火ブロックの該組立体は、ガラス炉タンクの側壁でありうるが、本発明はそのような側壁に限定されない。
図1は、4つの垂直方向の平面を有する側壁を示す。
【0031】
該側壁の形は限定されない。
【0032】
示されている実施態様において、それは、概して直方体形状をとる耐火ブロックからなり、且つ高温面16cと、該高温面16cと反対側の冷温面16fとを画定する。
【0033】
図1に示されていない該断熱層18は、該耐火部分の冷温面、好ましくは該側壁又は該床部の冷温面、に対して配置される。特に、該断熱層は、該炉の該ガラス溶融タンクの該側壁を包囲するか、又は該床部の該冷温面の表面全体の下方に延在しうる。
【0034】
好ましくは、該断熱層18の厚さは、10cm超、好ましくは20cm超、好ましくは30cm超、である。
【0035】
該断熱層18は、特に該耐火部分が床部である場合には、一体品でありうる。特に、それは、該床部を構成するスラブの下方に延在するコンクリートの層からなりうる。従って、有利には、それは封止機能(sealing function)を有しうる。
【0036】
代替的には、該断熱層は、複数の断熱ブロックの組立体、又は好ましくは複数の基本断熱層の組立体、であり、それらはそれ自体がブロックの組立体でありうる。
【0037】
図5は例えば、複数の隣接する基本断熱層18
1、18
2の組立体を示す。
【0038】
明瞭の為に、本明細書において、「基本断熱層」と「断熱層」との区別がされる。一つの「断熱層」は、単一の層から又は複数の「基本断熱層」からなりうる。
【0039】
該断熱層18は、単一の材料で作られた層からなりうる。従って、好ましくは、該基本断熱層18は、1.3W.m-1.K-1より低い、又は更には1.0W.m-1.K-1より低い、熱伝導率を有する。
【0040】
一つの実施態様において、該断熱層18は、シリコ-アルミナ耐火材料、特に粘土製品、からなる。
【0041】
該断熱層18は、複数の異なる材料からなりうる。特に、それは、異なる材料で作られた複数の基本断熱層181、182を並置することによって形成されうる。
【0042】
好ましくは、最後の基本断熱層、すなわち該炉の該内部に対して最も外側の層、は、1.3W.m-1.K-1未満、又は更には1.0W.m-1.K-1未満、の熱伝導率を有する。通常の断熱材料の全てが使用されうる。該冷温面のすぐ近傍に位置する該1以上の基本断熱層は、その重量の90%超について、ZrO2、Al2O3、SiO2、Cr2O3、Y2O3、及びCeO2からなる群から選択される1以上の酸化物からなる材料からなりうる。この材料は好ましくは、90%超のZrO2+Al2O3+SiO2を含みうる。
【0043】
一つの実施態様において、少なくとも1つの基本断熱層は、シリコ-アルミナ耐火材料、特に粘土製品、からなる。該耐火部分が該床部である場合、この材料は一般に、特にAZSグレイン(AZS grains)ベースの、特に電気融合されたAZSグレインベースの、耐火コンクリートの形である。この材料からなる該1以上の基本断熱層は、該溶融ガラスに対する封止機能を提供する。
【0044】
該基本断熱層の少なくとも1つは、シリコ-アルミナ耐火材料、特に粘土製品、からなりうる。
【0045】
光ファイバ及びセンサー
該光ファイバ12は好ましくは、ガラス又はサファイアで作られる。サファイアで作られた光ファイバは、高温の領域に十分に適する。
【0046】
該光ファイバは好ましくは、200μm未満、好ましくは150μm未満、の直径を有する。有利には、その存在は、該断熱層18の有効性に実質的に影響しない。
【0047】
該光ファイバ12は、近位端12pと遠位端12dとの間に延在する。該光ファイバ12の該近位端12p、すなわち「入力」、は、該第1のインテロゲータ141に接続される。
【0048】
該遠位端12dは、つながれていないか又は第2のインテロゲータ142に接続されうる。
【0049】
「測定部分」20と呼ばれる、該光ファイバ12の一部分は、該耐火部分内に延在するか、又は好ましくは、該耐火部分の表面と接触して、好ましくは該冷温面16fに対して、延在する。該測定部分は、温度を読み取ることが意図されるセンサーを持つ部分である。該光ファイバの残りは、特に該1以上のインテロゲータと該測定部分との間で、信号を送信する為に使用される。
【0050】
該測定部分20は、好ましくは耐火セメントで作られた、1以上の固定点21によって、該耐火部分に固定され、ここで、各固定点は、該光ファイバに沿って、好ましくは5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、又は0.5cm未満、の長さを有する。
【0051】
一つの実施態様において、該測定部分20は、周囲温度において、2つの固定点の間で直線状でない。好ましくは、2つの隣り合う固定点の間の光ファイバの長さは、上記固定点同士の間の距離の、1.05倍超、好ましくは1.1倍超、及び/又は、好ましくは1.5倍未満、好ましくは1.4倍未満、好ましくは1.3倍未満、である。従って、有利には、該光ファイバは、それが固定される該耐火部分の寸法変動に適合することができる。
【0052】
該測定部分20は、1つのセンサー22i、好ましくは複数のセンサー22i、を備えており、ここで、添え字「i」は該センサーを識別する番号を表す。該光ファイバ12に沿った2つの隣り合うセンサー22i間の距離は、一定又は可変でありうる。該距離は好ましくは、50cm未満、30cm未満、20cm未満、10cm未満、5cm未満、又は更には3cm未満、又は1cm未満である。それにより、該インテロゲータによって提供される情報の精度が改善される。
【0053】
好ましくは、1つのセンサー、好ましくは各センサー、は、該光ファイバの構造の局所的変更であり、それは、該インテロゲータから受信する信号の少なくとも一部を反射する。
【0054】
一つの実施態様において、該光ファイバは複数のセンサーを備えており、該複数のセンサーの各々は、該問合せ信号Iの一部分を反射し且つ別の部分が下流に配置された1以上の他のセンサーに到達しうるように該別の部分を通過させる。従って、各動作センサー(operational sensor)が該問合せ信号に応答し、そのことが、該耐火部分の異なる領域から情報を得ることを、単一の光ファイバを使用して可能にする。
【0055】
応答信号の発信元を判定する為に、該インテロゲータは、該問合せ信号が送信された時刻と、該応答信号が受信された時刻との間の差を使用することができる。
【0056】
図3に示されている通り、各センサーはまた、該インテロゲータ14によって注入された該問合せ信号Iの周波数(
図3aにおける周波数λ)のスペクトルのうちの一部分のみを反射しうる(
図3a、
図3b及び
図3cにおいて、「P」は信号の強度を表す)。従って、受信された信号の周波数を分析するだけで、該応答信号の該発信元を判定することが可能となる。従って、
図3bにおいて、各センサー22iは、該センサーに固有である周波数λ
iを中心とする周波数のスペクトルを返している。それ故に、該インテロゲータは、該周波数λ
iを中心とするピークが該センサー22
iから来るものと推測することができる。
【0057】
好ましくは、該センサーは、温度に従って変更される応答信号を返すように構成される。
【0058】
センサー22i、好ましくは各センサー22i、はブラッグ格子である。
【0059】
ブラッグ格子を備えた光ファイバが、ガラス炉以外の用途において知られている。
【0060】
該光ファイバの該近位端を介して該インテロゲータ14によって注入された問合せ信号Iに応答して、各ブラッグ格子22iは、自身に固有の応答信号Riを返す。それ故に、有利には、ブラッグ格子は、該ブラッグ格子の破壊を生じる閾値を超える温度に付される状況の発生を検出し、従って検出器として機能する為の手段として役割を果たしうる。それ故に、耐火部分の該高温面から離れる方へ移動するように方向付けされている光ファイバの複数のブラッグ格子は、この耐火部分の摩耗を段階的に測定することを可能にする。
【0061】
ブラッグ格子はまた、それが付される温度に依存する応答信号を送出するという利点を有する。具体的には、各ブラッグ格子は、該ブラッグ格子に固有である波長における光学反射体として機能する。しかしながら、該ブラッグ格子の加熱は、この波長を変化させる。勿論、様々なブラッグ格子に固有の波長は、応答信号の発信元にあるブラッグ格子に関する一切の曖昧性を回避するように決定される。この発信元のブラッグ格子を特定した後、該インテロゲータは、該発信元のブラッグ格子の温度又はこの温度における変化を判定する為に、該波長における変化、又はそれと同等の様式で周波数における変化、を判定することができる。
【0062】
図3cは、該センサーがブラッグ格子である好ましい特定の事例を示す。該問合せ信号に応答して、それらは、周囲温度での該周波数λ
i(
図2b)を中心とする応答信号と、該周波数λ
iに対してシフトされた周波数λ
i’とを中心とする応答信号とをそれぞれ返すことができ、ここで、該シフトは、該センサー22
iの温度に依存する。
図3cにおいて、該周波数λ
iを中心とするピークは破線として示され、且つ該周波数λ
i’を中心とするピークは実線として示されている。
【0063】
ブラッグ格子を備えた光ファイバの使用は特に有効である。具体的には、そのような光ファイバは、かさばらず、複数のブラッグ格子を組み込み得、それ故に、異なる場所での温度を測定する為に使用され、電磁環境によって影響されず、且つ、慣用的にガラスで作られている為、破壊された場合でも溶融ガラスの該浴を汚染しない。
【0064】
それ故に、ブラッグ格子は、局所温度又はこの温度における変化を測定する為の手段としての役割を果たしうる。
【0065】
該導波管の配置
該光ファイバの該測定部分は、該高温面に対して実質的に平行に延在しうる。該耐火部分が該タンクの該側壁である場合、該光ファイバの該測定部分は特に、該タンクの高さの方向に、好ましくは実質的に垂直に、より好ましくは
図1のように実質的に該タンクの該高さ全体に沿って、延在しうる。
【0066】
好ましくは、光ファイバのネットワーク、好ましくはファイバの1以上のセットの形での光ファイバのネットワーク、が存在し、その該測定部分は、例えば2つのセット32及び34の形で、平行であり(
図1及び
図4)、その該測定部分同士は、
図4に示されている通り、直角に方向付けされている。
【0067】
明瞭の為に、1つのみのファイバ12が詳細に
図1に示されている。
【0068】
好ましくは、センサーの密度は、該耐火部分の高温面1m2当たり、3よりも多い、好ましくは10よりも多い、好ましくは50よりも多い、好ましくは100よりも多い。
【0069】
一つの実施態様において、光ファイバの該ネットワークは、好ましくは規則的な方式で、該タンクの該側壁の周り全体に延在し、従って、該光ファイバの該ブラッグ格子は、好ましくは実質的に均一的な様式で、分散される。
【0070】
好ましくは、該光ファイバの該測定部分は、1つ以上の、特に平面状の、シートの形で延在する。
【0071】
一つの実施態様において、該センサーは、各光ファイバ上で、該光ファイバ同士の交差点に配置される。従って、複数のセンサーのネットワークは、冗長性を有する。
【0072】
該冗長性は有利には、重畳されたセンサーがそれら自体が提供する測定値を比較することによって正常に動作していることを確認することを可能にする。
【0073】
幾つかの光ファイバは、異なる深さで、特に重畳された光ファイバシートの形で、配置されることができる。該深さは慣用的に、該高温面に対して直角に、該高温面から測定される。
【0074】
重畳されるシートの数は限定されず、且つシートの密度は、10cm厚さの該耐火部分(該深さの方向に測定される)当たり、1超、又は更には2超、のシートでありうる。
【0075】
一つの好ましい実施態様において、該測定部分は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、該耐火部分の外側に、好ましくはその冷温面に対して、延在する。該測定部分は特に、該タンクの該側壁と該断熱層18との間に、該側壁の該冷温面と接触して、挟まれうる(
図2c及び
図2d)。
【0076】
好ましくは、該測定部分は、該側壁の該冷温面又は該断熱層18の該高温面又は基本断熱層の一方の面に作られた、凹部23(
図2c)、好ましくは溝、の中に、好ましくはそれらから突出しないように、収容される。
【0077】
該測定部分20はまた、該断熱層18を通りうる(
図2e)。
【0078】
一つの好ましい実施態様において、それは、
図5に示されている通り、上記断熱層18の2つの隣り合う基本断熱層の間に挟まれて延在する。この実施態様は、信頼できる測定を可能にしながら、該測定部分についての寿命を延ばす為に特に有利である。
【0079】
該測定部分は、特に、該断熱層内に又は単一の基本断熱層内に、すなわちこの層においてのみ、延在しうる。
【0080】
一つの実施態様において、該測定部分20は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、該耐火部分の内側に延在する。この実施態様は、該耐火部分がブロック、例えば該炉タンクの側部ブロック、である場合によく適する。
【0081】
様々な技術が、該測定部分を該耐火部分内に組み込む為に使用されうる。
【0082】
一つの実施態様において、該耐火部分若しくは該断熱層18、又は基本断熱層は、該測定部分の周りに形成される。しかしながら、該光ファイバの耐熱性は限られている。それ故に、この方法は該耐火部分若しくは該断熱層18、又は該基本断熱層が、焼結により、特に、低温、典型的に1200℃より低い保持温度、での焼結により、製造される場合に十分に適する。そのような方法は特に、下記の工程を含みうる。
a)測定部分が型内に延在するように該光ファイバを配置すること、
b)開始供給原料を用意し、そして該開始供給原料を、上記測定部分がその中に埋め込まれるように該型の中に導入し、及び該開始供給原料を任意的に圧縮して、プリフォームを得ること、
c)該プリフォームを、好ましくは400℃~1200℃の温度で、焼結すること。
【0083】
そのような方法は有利には、該測定部分と該耐火部分若しくは該断熱層18、又は上記基本断熱層との間の密な接触を可能にし、そのことが良好な熱交換を可能にする。
【0084】
一つの実施態様において、該光ファイバは、該耐火部分若しくは該断熱層18、又は該基本断熱層の製造後に、該耐火部分若しくは該断熱層18、又は該基本断熱層内にそれぞれ作られる区画中に挿入される。該区画は好ましくは、細長い孔であり、それは直線状であってもよく若しくはそうでなくてもよく、又は有底であってもよく若しくは完全に貫通していてもよく、好ましくは、該光ファイバの直径と実質的に同一であるが該光ファイバの該挿入を可能にする為にわずかに大きい内側直径を有する。
【0085】
一つの実施態様において、好ましくは有底(blind)である該区画は、該耐火部分若しくは上記断熱層18、又は上記基本断熱層を厚さの方向に貫通しない。それ故に、該区画内に挿入された後、該遠位端12dは、上記耐火部分若しくは上記断熱層18又は上記基本断熱層から出ない。
【0086】
別の実施態様において、該区画は、2つの面の間、好ましくは2つの側面(該耐火部分がブロックである場合、隣接し合うブロックの対向面)の間又は該耐火部分の上面と下面との間に、該耐火部分を貫通する。
【0087】
該区画はまた、該断熱層18又は該基本断熱層を、それらの2つの大きな面の間に貫通しうる。
【0088】
好ましくは、該区画の外側直径と該光ファイバの直径との間の差は、該光ファイバの該直径の20%未満、好ましくは10%未満、である。
【0089】
該区画は、下記の工程を含む方法に従って作られうる。
a’)型の内部にワイヤを配置すること、
b’)該型内に該耐火部分を形成すること、
c’)該ワイヤを除去し、それにより該区画を残すこと。
【0090】
特に、工程b’)において、溶融材料の浴が該型に注がれて、溶融生成物を製造しうる。
【0091】
該ワイヤは、該型を通って延在し、製造された該耐火部分、断熱層又は基本断熱層から除去された後に、有底孔(blind hole)又は貫通孔(through-hole)を形成しうる。
【0092】
該ワイヤは、例えばモリブデンから成り得る。好ましくは、それは、非付着性のコーティングで被覆され、それぞれ、該耐火部分からの若しくは該断熱層からの、又は該基本断熱層からの除去を容易にする。
【0093】
有利には、該耐火部分が溶融材料から作られる場合、該耐火部分は冷却する間に収縮し、それが該ワイヤの行われうる撤去を容易にする。
【0094】
該ワイヤはまた、「犠牲」、すなわち、それがその中に配置された該耐火部分若しくは該断熱層の又は該基本断熱層の製造後に、例えば機械的に又は化学的腐食により、破壊されることができる材料から成り得る。
【0095】
インテロゲータ
各インテロゲータは慣用的に、トランシーバ26と制御モジュール28とを備えている(
図1)。
【0096】
該トランシーバ26は、該光ファイバ12への入力として、問合せ信号I、例えば光信号、を送信し、且つ該1以上のセンサー22iから受信される該1以上の応答信号Riを受信する為に好適である。
【0097】
該制御モジュール28は慣用的に、プロセッサと、コンピュータプログラムが読み込まれるメモリとを備えている。このコンピュータプログラムを使用して、該プロセッサは、該問合せ信号の送信を制御し、且つ応答したセンサーの信号を識別する為に受信された信号を分析することができる。
【0098】
好ましくは、該コンピュータプログラムはまた、該センサーがブラッグ格子である場合に、ブラッグ格子の局所温度から生じる周波数シフトを測定すること、並びにそれ故に、温度及び/又は以前の測定値に対する温度における変化を評価すること、並びに、次に、この評価に関する情報を含むメッセージMを送出することを可能にする。このメッセージは、中央のコンピュータに送出される、及び/又は、例えば画面上に、及び/又は照明を作動させることにより、及び/又は音声信号を発することにより、オペレーターに提示されうる。
【0099】
各インテロゲータは好ましくは、該耐火部分の該高温面から距離を置かれて、より好ましくは該耐火部分の該冷温面から距離を置かれて、配置される。該インテロゲータは特に、該耐火部分の該冷温面と該断熱層18の該高温面との間に、該耐火部分の該冷温面に接触して、配置されうる。
【0100】
一つの実施態様において、各インテロゲータは、該断熱層18の外側に、すなわち該断熱層の該高温面と反対側の該断熱層の該冷温面側、にある。従って、有利には、該インテロゲータは、高温から十分に保護されている。
【0101】
好ましくは、第1及び第2のインテロゲータ14
1及び14
2が、各ファイバの入力及び出力に、すなわち該ファイバの近位端12
p及び遠位端12
dに、それぞれ配置される。明瞭の為に、該第1のファイバの該第1及び第2のインテロゲータ14
1及び14
2のみが
図1及び
図4に示されている。
【0102】
それ故に、該第2のインテロゲータは、該光ファイバの様々なセンサーによって反射されていない該第1のインテロゲータによって注入された該問合せ信号Iの部分を受信する。例えば、該光ファイバが3つのみのセンサーを備えており、且つ該問合せ信号及び該応答信号が
図3a及び
図3bのものである場合、該第2のインテロゲータは、
図3dに示されている該信号を受信する。
【0103】
それ故に、該2つのインテロゲータは、応答したセンサーを識別すること、及びそれ故に、各センサーについて温度又は温度における変化を評価することを可能にする信号を有する。
【0104】
該第2のインテロゲータがまた、問合せ信号を送出しうる。
【0105】
特に、該光ファイバが損傷されて、例えば該ファイバが断絶された為に、該第1のインテロゲータからの信号が該第2のインテロゲータに到達できない場合に、該第1のインテロゲータは、該断絶よりも下流のセンサー、すなわち該断絶と該第2のインテロゲータとの間に位置するセンサー、から情報をもはや受信しない。次に、該第2のインテロゲータは、問合せ信号を注入することにより、及びそれらの下流センサーから返された信号を分析することにより、それらの下流センサーを問い合わせることができる。該第1のインテロゲータは、問合せ信号を注入することにより、及び上流センサーから返された信号を分析することにより、それらの上流センサーを問い合わせし続けることができる。それ故に、センサーの破壊は、該光ファイバの動作に対して限られた影響しか及ぼさない。
【0106】
2つのインテロゲータの存在は有利には、該光ファイバに断絶が発生した場合に、該断絶の領域の両側にあるセンサーに関する情報を得ることを可能にする。それ故に、そのことは、該デバイスの堅牢性を改善する。
【0107】
今、明瞭に明らかとなる通り、本発明は、ガラス炉内の多数の温度を正確に且つリアルタイムで評価することを可能にする解決法を提供する。
【0108】
勿論、本発明は、単に例示として提供される、発明の詳細な説明及び図示された実施態様に限定されない。
【0109】
特に、本発明は、導波管としての光ファイバに限定されない。該溶融ガラスを汚染する可能性を解消することから、ガラスで作られた光ファイバが好ましい。しかしながら、他の導波管が構想されることもできる。好ましくは、該導波管は、ファイバの形をとり、好ましくは200マイクロメートル未満の直径を有するファイバの形をとる。
【0110】
光ファイバに適用可能であり且つ発明の詳細な説明で説明された全ての特徴は、別の種類の導波管に適用可能である。
【0111】
耐火部分若しくは断熱層、又は基本断熱層についての導波管の数、インテロゲータに接続される導波管の数、該耐火部分、該断熱層又は該基本断熱層の形は、限定されない。複数の導波管が、同一のインテロゲータに接続されうる。
【0112】
該ブロックの該高温面は、必ずしも全体が溶融ガラスの浴と接触しているとは限らない。それは、該溶融ガラスと接触すらせず、この浴の上方の気体環境に曝露されるだけということもありうる。
【0113】
本発明はまた、該ガラス炉の該タンクのみに限定されない。該耐火部分は例えば、供給装置、上部構造部(superstructure part)(タックストーン(tuckstone)、クラウンブロック(crown block)等)、形成部(注ぎ口等)、又は調節ブロック(throat block)であることができる。