IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図1
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図2
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図3
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図4
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図5
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図6
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図7
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図8
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図9
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図10
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図11
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図12
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図13
  • 特許-部品装着方法、および部品装着装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】部品装着方法、および部品装着装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20230522BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20230522BHJP
   H05K 13/04 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H05K1/18 G
H05K3/32 B
H05K13/04 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021552079
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2019041125
(87)【国際公開番号】W WO2021075051
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】塚田 謙磁
(72)【発明者】
【氏名】富永 亮二郎
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-123291(JP,A)
【文献】特開2000-200953(JP,A)
【文献】特開平01-253295(JP,A)
【文献】実開平04-134872(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 3/32
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品本体と、前記部品本体の底面よりも下方に延び出す電極とにより構成される電子部品の基材への部品装着方法であって、
基材の上面に段差部を形成する形成工程と、
前記段差部の上側の面及び下側の面に導電性接着剤を塗布する塗布工程と、
前記段差部の上側の面に塗布された導電性接着剤に前記部品本体が密着し、前記段差部の下側の面に塗布された導電性接着剤に前記電極が密着するように、前記電子部品を基材の上面に載置する載置工程と
を含み、
前記形成工程が、
前記部品本体の底面と前記電極の先端との高低差に加えて導電性接着剤の粘度と前記電子部品の寸法精度との少なくとも一方に応じた高さ寸法の前記段差部を形成する部品装着方法。
【請求項2】
前記塗布工程は、
前記段差部の上側の面に導電性接着剤を塗布する際に、点状かつ、互いに接触しないように導電性接着剤を塗布する請求項1に記載の部品装着方法。
【請求項3】
前記塗布工程は、
前記段差部の上側の面と下側の面とに同じ塗布条件で導電性接着剤を塗布する請求項1または請求項2に記載の部品装着方法。
【請求項4】
前記形成工程は、
硬化性樹脂を薄膜状に塗布することで樹脂層を形成し、前記樹脂層を積層させることで、前記段差部を形成する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の部品装着方法。
【請求項5】
部品本体と、前記部品本体の底面よりも下方に延び出す電極とにより構成される電子部品を保持する保持装置と、
基材の上面に段差部を形成する形成装置と、
前記段差部の上側の面及び下側の面に導電性接着剤を塗布する塗布装置と
を備え、
前記形成装置は、
前記部品本体の底面と前記電極の先端との高低差に加えて導電性接着剤の粘度と前記電子部品の寸法精度との少なくとも一方に応じた高さ寸法の前記段差部を形成し、
前記保持装置は、
前記段差部の上側の面に塗布された導電性接着剤に前記部品本体が密着し、前記段差部の下側の面に塗布された導電性接着剤に前記電極が密着するように、前記電子部品を基材の上面に載置する部品装着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品本体と電極とにより構成される電子部品の基材への部品装着方法及び、部品装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、部品本体と電極とにより構成される電子部品を基材に装着する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-200953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品には、部品本体と、部品本体の底面よりも下方に延び出す電極とにより構成されるものがある。本発明は、このような電子部品を適切に基材に装着することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、部品本体と、前記部品本体の底面よりも下方に延び出す電極とにより構成される電子部品の基材への部品装着方法であって、基材の上面に段差部を形成する形成工程と、前記段差部の上側の面及び下側の面に導電性接着剤を塗布する塗布工程と、前記段差部の上側の面に塗布された導電性接着剤に前記部品本体が密着し、前記段差部の下側の面に塗布された導電性接着剤に前記電極が密着するように、前記電子部品を基材の上面に載置する載置工程とを含み、前記形成工程が、前記部品本体の底面と前記電極の先端との高低差に加えて導電性接着剤の粘度と前記電子部品の寸法精度との少なくとも一方に応じた高さ寸法の前記段差部を形成する部品装着方法を開示する。
【0006】
また、本明細書は、部品本体と、前記部品本体の底面よりも下方に延び出す電極とにより構成される電子部品を保持する保持装置と、基材の上面に段差部を形成する形成装置と、前記段差部の上側の面及び下側の面に導電性接着剤を塗布する塗布装置とを備え、前記形成装置は、前記部品本体の底面と前記電極の先端との高低差に加えて導電性接着剤の粘度と前記電子部品の寸法精度との少なくとも一方に応じた高さ寸法の前記段差部を形成し、前記保持装置は、前記段差部の上側の面に塗布された導電性接着剤に前記部品本体が密着し、前記段差部の下側の面に塗布された導電性接着剤に前記電極が密着するように、前記電子部品を基材の上面に載置する部品装着装置を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、基材の上面に段差部が形成され、段差部の上側の面及び下側の面に導電性接着剤が塗布される。そして、段差部の上側の面に塗布された導電性接着剤に部品本体が密着し、段差部の下側の面に塗布された導電性接着剤に電極が密着するように、電子部品が基材の上面に載置される。これにより、電子部品を適切に基材に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】回路形成装置を示す図である。
図2】制御装置を示すブロック図である。
図3】樹脂積層体が形成された状態の回路を示す断面図である。
図4】樹脂積層体の上に配線が形成された状態の回路を示す断面図である。
図5】配線の上に導電性樹脂ペーストが塗布された状態の回路を示す断面図である。
図6】電子部品が装着された状態の回路を示す断面図である。
図7】電子部品を示す側面図及び上面図である。
図8】部品本体の装着予定位置と電極の装着予定位置とに導電性樹脂ペーストが塗布された状態の回路を示す断面図である。
図9】電子部品が装着された状態の回路を示す断面図である。
図10】樹脂積層体の上面に凸部が形成された状態の回路を示す断面図である。
図11】凸部の上面と樹脂積層体の上面とに導電性樹脂ペーストが塗布された状態の回路を示す断面図である。
図12】複数の導電性樹脂ペーストが格子状に塗布された凸部を示す上面図である。
図13】複数の導電性樹脂ペーストが三角格子状に塗布された凸部を示す上面図である。
図14】電子部品が装着された状態の回路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に回路形成装置10を示す。回路形成装置10は、搬送装置20と、第1造形ユニット22と、第2造形ユニット24と、第3造形ユニット26と、装着ユニット27と、制御装置(図2参照)28とを備える。それら搬送装置20と第1造形ユニット22と第2造形ユニット24と第3造形ユニット26と装着ユニット27とは、回路形成装置10のベース29の上に配置されている。ベース29は、概して長方形状をなしており、以下の説明では、ベース29の長手方向をX軸方向、ベース29の短手方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向の両方に直交する方向をZ軸方向と称して説明する。
【0010】
搬送装置20は、X軸スライド機構30と、Y軸スライド機構32とを備えている。そのX軸スライド機構30は、X軸スライドレール34とX軸スライダ36とを有している。X軸スライドレール34は、X軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されている。X軸スライダ36は、X軸スライドレール34によって、X軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、X軸スライド機構30は、電磁モータ(図2参照)38を有しており、電磁モータ38の駆動により、X軸スライダ36がX軸方向の任意の位置に移動する。また、Y軸スライド機構32は、Y軸スライドレール50とステージ52とを有している。Y軸スライドレール50は、Y軸方向に延びるように、ベース29の上に配設されており、X軸方向に移動可能とされている。そして、Y軸スライドレール50の一端部が、X軸スライダ36に連結されている。そのY軸スライドレール50には、ステージ52が、Y軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、Y軸スライド機構32は、電磁モータ(図2参照)56を有しており、電磁モータ56の駆動により、ステージ52がY軸方向の任意の位置に移動する。これにより、ステージ52は、X軸スライド機構30及びY軸スライド機構32の駆動により、ベース29上の任意の位置に移動する。
【0011】
ステージ52は、基台60と、保持装置62と、昇降装置64とを有している。基台60は、平板状に形成され、上面に基板が載置される。保持装置62は、基台60のX軸方向の両側部に設けられている。そして、基台60に載置された基板のX軸方向の両縁部が、保持装置62によって挟まれることで、基板が固定的に保持される。また、昇降装置64は、基台60の下方に配設されており、基台60を昇降させる。
【0012】
第1造形ユニット22は、ステージ52の基台60に載置された基板の上に配線を造形するユニットであり、第1印刷部72と、焼成部74とを有している。第1印刷部72は、インクジェットヘッド(図2参照)76を有しており、インクジェットヘッド76が金属インクを線状に吐出する。金属インクは、ナノメートルサイズの金属の微粒子が溶剤中に分散されたものである。なお、金属微粒子の表面は分散剤によりコーティングされており、溶剤中での凝集が防止されている。また、インクジェットヘッド76は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式によって複数のノズルから金属インクを吐出する。
【0013】
焼成部74は、赤外線照射装置(図2参照)78を有している。赤外線照射装置78は、吐出された金属インクに赤外線を照射する装置であり、赤外線が照射された金属インクは焼成し、配線が形成される。なお、金属インクの焼成とは、エネルギーを付与することによって、溶媒の気化や金属微粒子の保護膜、つまり、分散剤の分解等が行われ、金属微粒子が接触または融着をすることで、導電率が高くなる現象である。そして、金属インクが焼成することで、金属製の配線が形成される。
【0014】
また、第2造形ユニット24は、ステージ52の基台60に載置された基板の上に樹脂層を造形するユニットであり、第2印刷部84と、硬化部86とを有している。第2印刷部84は、インクジェットヘッド(図2参照)88を有しており、インクジェットヘッド88は紫外線硬化樹脂を吐出する。紫外線硬化樹脂は、紫外線の照射により硬化する樹脂である。なお、インクジェットヘッド88は、例えば、圧電素子を用いたピエゾ方式でもよく、樹脂を加熱して気泡を発生させ複数のノズルから吐出するサーマル方式でもよい。
【0015】
硬化部86は、平坦化装置(図2参照)90と照射装置(図2参照)92とを有している。平坦化装置90は、インクジェットヘッド88によって吐出された紫外線硬化樹脂の上面を平坦化するものであり、例えば、紫外線硬化樹脂の表面を均しながら余剰分の樹脂を、ローラもしくはブレードによって掻き取ることで、紫外線硬化樹脂の厚みを均一させる。また、照射装置92は、光源として水銀ランプもしくはLEDを備えており、吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、吐出された紫外線硬化樹脂が硬化し、樹脂層が形成される。
【0016】
第3造形ユニット26は、ステージ52の基台60に載置された基板の上に電子部品の電極と配線との接続部を造形するユニットであり、第3印刷部100と、加熱部102とを有している。第3印刷部100は、ディスペンサ(図2参照)106を有しており、ディスペンサ106は導電性樹脂ペーストを吐出する。導電性樹脂ペーストは、比較的低温の加熱により硬化する樹脂に、マイクロメートルサイズの金属粒子が分散されたものである。ちなみに、金属粒子は、フレーク状とされており、導電性樹脂ペーストの粘度は、金属インクと比較して比較的高い。なお、ディスペンサ106による導電性樹脂ペーストの吐出量は、吐出時間により制御される。
【0017】
加熱部102は、ヒータ(図2参照)108を有している。ヒータ108は、吐出された導電性樹脂ペーストを加熱する装置であり、加熱された導電性樹脂ペーストでは、樹脂が硬化する。この際、導電性樹脂ペーストでは、硬化した樹脂が収縮し、その樹脂に分散されたフレーク状の金属粒子が接触する。これにより、導電性樹脂ペーストが導電性を発揮する。また、導電性樹脂ペーストの樹脂は、有機系の接着剤であり、加熱により硬化することで接着力を発揮する。
【0018】
また、装着ユニット27は、ステージ52の基台60に載置された基板の上に電子部品を装着するユニットであり、供給部110と、装着部112とを有している。供給部110は、テーピング化された電子部品を1つずつ送り出すテープフィーダ(図2参照)114を複数有しており、供給位置において、電子部品を供給する。なお、供給部110は、テープフィーダ114に限らず、トレイから電子部品をピックアップして供給するトレイ型の供給装置でもよい。また、供給部110は、テープ型とトレイ型との両方、あるいはそれ以外の供給装置を備えた構成でもよい。
【0019】
装着部112は、装着ヘッド(図2参照)116と、移動装置(図2参照)118とを有している。装着ヘッド116は、電子部品を吸着保持するための吸着ノズル(図示省略)を有する。吸着ノズルは、正負圧供給装置(図示省略)から負圧が供給されることで、エアの吸引により電子部品を吸着保持する。そして、正負圧供給装置から僅かな正圧が供給されることで、電子部品を離脱する。また、移動装置118は、テープフィーダ114による電子部品の供給位置と、基台60に載置された基板との間で、装着ヘッド116を移動させる。これにより、装着部112では、テープフィーダ114から供給された電子部品が、吸着ノズルにより保持され、その吸着ノズルによって保持された電子部品が、基板に装着される。
【0020】
また、制御装置28は、図2に示すように、コントローラ120と、複数の駆動回路122とを備えている。複数の駆動回路122は、上記電磁モータ38,56、保持装置62、昇降装置64、インクジェットヘッド76、赤外線照射装置78、インクジェットヘッド88、平坦化装置90、照射装置92、ディスペンサ106、ヒータ108、テープフィーダ114、装着ヘッド116、移動装置118に接続されている。コントローラ120は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路122に接続されている。これにより、搬送装置20、第1造形ユニット22、第2造形ユニット24、第3造形ユニット26、装着ユニット27の作動が、コントローラ120によって制御される。
【0021】
回路形成装置10では、上述した構成によって、基板(図3参照)70の上に樹脂積層体が形成され、その樹脂積層体の上面に配線が形成される。そして、導電性樹脂ペーストを介して、電子部品の電極が配線に電気的に接続される。この際、電子部品は、導電性樹脂ペーストの接着力により基板70に固定される。
【0022】
具体的には、ステージ52の基台60に基板70がセットされ、そのステージ52が、第2造形ユニット24の下方に移動される。そして、第2造形ユニット24において、図3に示すように、基板70の上に樹脂積層体130が形成される。樹脂積層体130は、インクジェットヘッド88からの紫外線硬化樹脂の吐出と、吐出された紫外線硬化樹脂への照射装置92による紫外線の照射とが繰り返されることにより形成される。
【0023】
詳しくは、第2造形ユニット24の第2印刷部84において、インクジェットヘッド88が、基板70の上面に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。続いて、紫外線硬化樹脂が薄膜状に吐出されると、硬化部86において、紫外線硬化樹脂の膜厚が均一となるように、紫外線硬化樹脂が平坦化装置90によって平坦化される。そして、照射装置92が、その薄膜状の紫外線硬化樹脂に紫外線を照射する。これにより、基板70の上に薄膜状の樹脂層132が形成される。
【0024】
続いて、インクジェットヘッド88が、その薄膜状の樹脂層132の上に紫外線硬化樹脂を薄膜状に吐出する。そして、平坦化装置90によって薄膜状の紫外線硬化樹脂が平坦化され、照射装置92が、その薄膜状に吐出された紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで、薄膜状の樹脂層132の上に薄膜状の樹脂層132が積層される。このように、薄膜状の樹脂層132の上への紫外線硬化樹脂の吐出と、紫外線の照射とが繰り返され、複数の樹脂層132が積層されることで、樹脂積層体130が形成される。
【0025】
上述した手順により樹脂積層体130が形成されると、ステージ52が第1造形ユニット22の下方に移動される。そして、第1造形ユニット22の第1印刷部72において、インクジェットヘッド76が、図4に示すように、樹脂積層体130の上面に金属インク134を、回路パターンに応じて線状に吐出する。続いて、回路パターンに応じて吐出された金属インク134に、第1造形ユニット22の焼成部74において、赤外線照射装置78が赤外線を照射する。これにより、金属インク134が焼成し、樹脂積層体130の上に配線136が形成される。
【0026】
続いて、樹脂積層体130の上に配線136が形成されると、ステージ52が第3造形ユニット26の下方に移動される。そして、第3造形ユニット26の第3印刷部100において、ディスペンサ106が、図5に示すように、配線136の端部の上に導電性樹脂ペースト137を吐出する。このように、導電性樹脂ペースト137が配線136の端部に吐出されると、ステージ52が装着ユニット27の下方に移動される。装着ユニット27では、テープフィーダ114により電子部品(図7参照)138が供給され、その電子部品138が装着ヘッド116の吸着ノズルによって、保持される。電子部品138は、図7に示すように、部品本体139と、複数の電極140とにより構成されている。電子部品138は、QFP(Quad Flat Package)であり、電極140が、部品本体139の4つの側面から延び出している。そして、電極140の先端部は、部品本体139の底面よりも下方に向って延び出しており、電極140の下端と部品本体139の底面とに高低差がある。なお、電極140の下端と部品本体139の底面との高低差は、公差も含めて、100±50μmとされている。
【0027】
このような構造の電子部品138は、装着ヘッド116の吸着ノズルにより、部品本体139において保持される。そして、装着ヘッド116が、移動装置118によって移動され、吸着ノズルにより保持された電子部品138が、図6に示すように、樹脂積層体130の上面に装着される。この際、電子部品138の電極140が、配線136の上に吐出された導電性樹脂ペースト137に接触するように、電子部品138は樹脂積層体130の上面に装着される。
【0028】
このように、電子部品138が樹脂積層体130の上に装着されると、ステージ52が第3造形ユニット26の下方に移動される。そして、第3造形ユニット26の加熱部102において、導電性樹脂ペースト137が、ヒータ108により加熱される。これにより、導電性樹脂ペースト137が導電性を発揮することで、電極140が導電性樹脂ペースト137を介して配線136と導通し、回路が形成される。また、導電性樹脂ペースト137の接着力により、電子部品138が配線136に固着することで、樹脂積層体130に固定される。
【0029】
ただし、上記手法では、電子部品138は、導電性樹脂ペースト137によって配線136に固着しているため、半田実装と比較すると、接続強度が低く、電子部品138が樹脂積層体130から剥離する虞がある。つまり、半田実装時に、半田が溶融し、電極140及び配線136と合金を形成し、半田と電極140と配線136との間において、界面レスの構造となる。一方、電極140が導電性樹脂ペースト137により配線136に固着される際には、電極140と導電性樹脂ペースト137と配線136との間には界面が残存する。このため、電子部品138が、導電性樹脂ペースト137によって配線136に固着される場合には、半田実装と比較すると、接続強度が低くなる。このため、電子部品138を半田により樹脂積層体130に装着することが望まれるが、半田溶融時に樹脂積層体130も溶融する虞があるため、半田実装を行うことはできない。そこで、電子部品138が樹脂積層体130に装着される際に、電極140だけでなく、部品本体139をも、導電性樹脂ペースト137によって、樹脂積層体130に固着させることが考えられる。
【0030】
具体的には、樹脂積層体130の上に導電性樹脂ペースト137が吐出される際に、図8に示すように、電極140の装着予定位置、つまり、配線136の端部に、導電性樹脂ペースト137aが吐出されるとともに、部品本体139の装着予定位置にも、導電性樹脂ペースト137bが吐出される。ただし、上述したように、部品本体139の底面と電極140の下端との間には、100±50μmの高低差がある。このため、電極140の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137aの吐出条件と、部品本体139の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137bの吐出条件とを変える必要がある。
【0031】
例えば、部品本体139の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137bの吐出時間を、電極140の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137aの吐出時間より長くする必要がある。また、例えば、部品本体139の装着予定位置に吐出される導電性樹脂ペースト137bの粘度を、電極140の装着予定位置に吐出される導電性樹脂ペースト137aの粘度より高くする必要がある。このような場合には、粘度の異なる導電性樹脂ペースト137を吐出するために、2台のディスペンサが必要となる。また、例えば、ノズル径の異なる2台のディスペンサを用いて、大きなノズル径のディスペンサにより、部品本体139の装着予定位置に導電性樹脂ペースト137bを吐出し、小さなノズル径のディスペンサにより、電極140の装着予定位置に導電性樹脂ペースト137aを吐出する必要がある。
【0032】
このように、導電性樹脂ペースト137aの吐出条件と、導電性樹脂ペースト137bの吐出条件とを変えることで、図8に示すように、導電性樹脂ペースト137bの高さ寸法を、導電性樹脂ペースト137aの高さ寸法より高くすることができる。なお、導電性樹脂ペースト137bと導電性樹脂ペースト137aとの高さ寸法の差は、部品本体139と電極140との高低差より大きく、若しくは同程度とする必要がある。
【0033】
そして、図9に示すように、導電性樹脂ペースト137aに、電極140の先端が接触するとともに、導電性樹脂ペースト137bに、部品本体139の底面が接触するように、電子部品138が樹脂積層体130の上に装着される。これにより、電極140の先端に導電性樹脂ペースト137aが密着し、部品本体139の底面に導電性樹脂ペースト137bが密着する。そして、導電性樹脂ペースト137が加熱されることで、電極140が、導電性樹脂ペースト137を介して配線136と電気的に接続される。また、導電性樹脂ペースト137aの接着力により電極140が配線136に固定されるとともに、導電性樹脂ペースト137bの接着力により部品本体139が樹脂積層体130に固定される。つまり、電子部品138は、電極140だけでなく、部品本体139においても、導電性樹脂ペースト137により樹脂積層体130に固定される。これにより、電子部品138を強固に樹脂積層体130に固定することができる。
【0034】
ただし、このような手法では、上述したように、電極140の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137aの吐出条件と、部品本体139の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137bの吐出条件とを変える必要がある。例えば、吐出条件の変更として吐出時間を変える場合には、ディスペンサの制御が煩雑となり、タクトタイムが長くなる虞がある。また、吐出条件の変更として、導電性樹脂ペースト137の粘度の変更,導電性樹脂ペースト137を吐出するノズル径の変更を行うためには、ディスペンサを増設する必要があり、コスト等の観点から好ましくない。
【0035】
このようなことに鑑みて、回路形成装置10では、部品本体139の装着予定位置に、凸部が形成され、その凸部において、部品本体139が導電性樹脂ペースト137により固定される。具体的には、基板70の上に樹脂積層体130が形成され、その樹脂積層体130の上に配線136が形成されると、第2造形ユニット24において、図10に示すように、電子部品138の部品本体139の装着予定位置に、凸部150が形成される。凸部150は、樹脂積層体130と同様に、樹脂層132が積層されることで形成されるため、凸部150の詳細な形成方法の説明は省略する。なお、凸部150のX方向及びY方向での長さ寸法は、部品本体139の長さ寸法と同程度とされている。また、凸部150のZ方向での長さ寸法、つまり、高さ寸法は、電子部品138の部品本体139と電極140との高低差に応じた寸法とされる。なお、凸部150の高さ寸法に関しては、後で詳しく説明する。
【0036】
そして、部品本体139の装着予定位置に凸部150が形成されると、第3造形ユニット26において、図11に示すように、電極140の装着予定位置、つまり、配線136の端部に、導電性樹脂ペースト137aが吐出されるとともに、部品本体139の装着予定位置、つまり、凸部150の上面にも、導電性樹脂ペースト137bが吐出される。この際、部品本体139の装着予定位置に凸部150が形成されているため、電極140の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137aの吐出条件と、部品本体139の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137bの吐出条件とは同じとされる。つまり、電極140の装着予定位置と、部品本体139の装着予定位置とに、1台のディスペンサ106から同じ種類の導電性樹脂ペースト137が吐出される。そして、電極140の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137aの吐出時間と、部品本体139の装着予定位置への導電性樹脂ペースト137bの吐出時間とは同じとされる。このため、電極140の装着予定位置にディスペンサ106により1度に吐出される導電性樹脂ペースト137aの吐出量と、部品本体139の装着予定位置にディスペンサ106により1度に吐出される導電性樹脂ペースト137bの吐出量とは略同じとなる。これにより、電極140の装着予定位置に吐出された導電性樹脂ペースト137aの高さ寸法と、部品本体139の装着予定位置に吐出された導電性樹脂ペースト137bの高さ寸法とは略同じとなる。
【0037】
また、部品本体139の装着予定位置に吐出される導電性樹脂ペースト137bは、点状かつ、互いに接触しないように、凸部150の上面に吐出される。つまり、例えば、図12に示すように、複数の導電性樹脂ペースト137bが、凸部150の上面に吐出され、その際の複数の凸部150の互いに隣り合う2個の点状の導電性樹脂ペースト137bの間隔は、導電性樹脂ペースト137bの着弾径、つまり、概して円形状に吐出される導電性樹脂ペースト137bの直径より大きくされている。これにより、凸部150の上面に吐出される複数の導電性樹脂ペースト137bは、互いに接触しない。なお、凸部150の上面に吐出される複数の導電性樹脂ペースト137bは、互いに接触しなければ、図12に示すように、格子状に配置されてもよく、図13に示すように、三角格子状に配置されてもよい。
【0038】
このように、部品本体139の装着予定位置、つまり、凸部150の上面に導電性樹脂ペースト137bが吐出されるとともに、電極140のス着予定位置、つまり、配線136の端部に導電性樹脂ペースト137aが吐出される。つまり、図11に示すように、樹脂積層体130の上面への凸部150の形成により、凸部150が段差部となり、その段差部の下側の面、つまり、樹脂積層体130の上面に配線136が位置する。そして、その配線136の端部が位置する樹脂積層体130の上面が、電極140の装着予定位置となり、樹脂積層体130の上面に導電性樹脂ペースト137aが吐出される。一方、段差部の上側の面、つまり、凸部150の上面が、部品本体139の装着予定位置となり、凸部150の上面に導電性樹脂ペースト137bが吐出される。
【0039】
そして、電極140及び部品本体139の装着予定位置に導電性樹脂ペースト137が吐出されると、図14に示すように、導電性樹脂ペースト137aに電極140の先端が接触するとともに、導電性樹脂ペースト137bに部品本体139の底面が接触するように、電子部品138が樹脂積層体130の上に装着される。これにより、電極140の先端に導電性樹脂ペースト137aが密着し、部品本体139の底面に導電性樹脂ペースト137bが密着する。そして、導電性樹脂ペースト137が加熱されることで、電極140が、導電性樹脂ペースト137を介して配線136と電気的に接続される。また、導電性樹脂ペースト137aの接着力により電極140が配線136に固定されるとともに、導電性樹脂ペースト137bの接着力により部品本体139が樹脂積層体130に固定される。つまり、電子部品138は、電極140だけでなく、部品本体139においても、導電性樹脂ペースト137により樹脂積層体130に固定される。これにより、電子部品138を強固に樹脂積層体130に固定することができる。
【0040】
さらに、樹脂積層体130の上面に凸部150が形成されることで、部品本体139の装着予定位置が凸部150により嵩上げされる。これにより、部品本体139の底面と電極140の下端との間の高低差が、凸部150により相殺され、凸部150の上面と部品本体139の底面との間の距離と、電極140の先端と配線136の上面との間の距離との差が少なくなる。このため、部品本体139の装着予定位置と電極140の装着予定位置との各々への導電性樹脂ペースト137の吐出条件を同じとすることが可能となる。これにより、ディスペンサを増設することなく、1種類の導電性樹脂ペースト137により、電子部品138を、電極140だけでなく、部品本体139においても樹脂積層体130に固定することが可能となる。また、部品本体139の装着予定位置へのディスペンサによる1回の導電性樹脂ペーストの吐出時間と、部品本体139の装着予定位置へのディスペンサによる1回の導電性樹脂ペーストの吐出時間とを同じにすることが可能となり、ディスペンサの制御を簡略化することができる。
【0041】
また、部品本体139の装着予定位置、つまり、凸部150の上面において、導電性樹脂ペースト137bは、点状かつ、互いに接触しないように吐出されている。つまり、凸部150の上面に吐出された複数の点状の導電性樹脂ペースト137bの間には、ある程度、隙間が存在する。このため、凸部150の上面に吐出された導電性樹脂ペースト137bに部品本体139が密着しても、導電性樹脂ペースト137bは、凸部150の上面において留まり、凸部150の上面の縁からはみ出さない。これにより、配線136の端部の上に吐出された導電性樹脂ペースト137aと、凸部150の上面に吐出された導電性樹脂ペースト137bとの接触を抑制し、樹脂積層体130に装着された電子部品138の短絡を好適に防止することができる。
【0042】
なお、凸部150の高さ寸法は、上述したように、電子部品138の部品本体139と電極140との高低差に応じた寸法とされている。ここで、部品本体139と電極140との高低差は、公差を含めて、100±50μmとされている。このため、例えば、凸部150の高さ寸法を100μmとすることで、部品本体139の底面と凸部150の上面との間の距離と、電極140の先端と樹脂積層体130の上面との間の距離との差を、平均的に少なくすることができる。一方で、凸部150の高さ寸法を100μmとした場合に、部品本体139と電極140との高低差が50μmであれば、電極140の先端と樹脂積層体130の上面との間の距離が50μmとなり、電極140と配線136とが、導電性樹脂ペースト137aを介して接続されない虞がある。このため、電極140と配線136との接続を優先するべく、凸部150の高さ寸法を50~100μmとすることが好ましい。ただし、導電性樹脂ペースト137の粘度が高く、導電性樹脂ペースト137の高さ寸法を高くできる場合には、導電性樹脂ペースト137を介した電極140と配線136との接続が担保されるため、凸部150の高さ寸法を100~150μmとすることも可能である。このことから、導電性樹脂ペースト137の粘度,電子部品138の寸法精度,回路の設計思想などを考慮して、凸部150の高さ寸法は、電子部品138の部品本体139と電極140との高低差に応じた寸法とされる。
【0043】
また、制御装置28のコントローラ120は、図2に示すように、形成部160と塗布部162と載置部164とを有している。形成部160は、樹脂積層体130の上面に凸部150を形成するための機能部である。塗布部162は、凸部150の上面及び樹脂積層体130の上面に導電性樹脂ペースト137を塗布するための機能部である。載置部164は、凸部150の上面に塗布された導電性樹脂ペースト137bに部品本体139が接触し、樹脂積層体130の上面に塗布された導電性樹脂ペースト137aに電極140が接触するように、電子部品138を樹脂積層体130に載置するための機能部である。
【0044】
なお、上記実施例において、回路形成装置10は、部品装着装置の一例である。第2造形ユニット24は、形成装置の一例である。第3造形ユニット26は、塗布装置の一例である。装着ユニット27は、保持装置の一例である。樹脂積層体130は、基材の一例である。樹脂層132は、樹脂層の一例である。導電性樹脂ペースト137は、導電性接着剤の一例である。電子部品138は、電子部品の一例である。部品本体139は、部品本体の一例である。電極140は、電極の一例である。凸部150は、段差部の一例である。形成部160により実行される工程は、形成工程の一例である。塗布部162により実行される工程は、塗布工程の一例である。載置部164により実行される工程は、載置工程の一例である。
【0045】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記実施例では、樹脂積層体130の上面に凸部150を形成することで、その凸部150が段差部とされているが、樹脂積層体130の上面に凹部を形成することで、その凹部を段差部としてもよい。このように、凹部が形成される場合には、凹部の底面に、配線が形成され、その配線に電極140が導電性樹脂ペースト137を介して接続される。また、樹脂積層体130の凹部が形成されていない上面に、部品本体139が導電性樹脂ペースト137を介して接続される。つまり、凹部の上側の面に、部品本体139が導電性樹脂ペースト137により固定され、凹部の下側の面に、電極140が導電性樹脂ペースト137により固定される。
【0046】
また、上記実施形態では、電極140が導電性樹脂ペースト137を介して配線136に接続されているが、電極140に通電するものであれば、電極140は、導電性樹脂ペースト137を介してパッド,ランド等に接続されてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、樹脂積層体130が紫外線硬化樹脂により形成されているが、熱硬化性樹脂,2液混合型硬化性樹脂,熱可塑性樹脂などにより形成されてもよい。
【0048】
また、上記実施例では、導電性樹脂ペースト137は、ディスペンサ106により吐出されているが、転写装置等により転写されてもよい。また、スクリーン印刷により、導電性樹脂ペースト137が印刷されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10:回路形成装置(部品装着装置) 24:第2造形ユニット(形成装置) 26:第3造形ユニット(塗布装置) 27:装着ユニット(保持装置) 130:樹脂積層体(基材) 132:樹脂層 137:導電性樹脂ペースト(導電性接着剤) 138:電子部品 139:部品本体 140:電極 150:凸部(段差部) 160:形成部160(形成工程) 162:塗布部(塗布工程) 164:載置部(載置工程)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14