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特許7282916車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置
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  • 特許-車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置 図1
  • 特許-車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 13/74 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
B60T13/74 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021561965
(86)(22)【出願日】2020-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020053225
(87)【国際公開番号】W WO2020216484
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-10-18
(31)【優先権主張番号】102019205978.3
(32)【優先日】2019-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ボエーム マーク
(72)【発明者】
【氏名】ミッケ マルク
(72)【発明者】
【氏名】エーラー クラウス
(72)【発明者】
【氏名】エーラー クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ウーリッヒ マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ハーベルコルン コンスタンティン
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-526266(JP,A)
【文献】特開2017-137928(JP,A)
【文献】特開2015-160607(JP,A)
【文献】特表2012-530645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側の回転運動(a)を液圧ピストン/シリンダユニット(3)のピストンを動かすための並進運動(b)に変換するスピンドルドライブユニット(1)を備え、前記スピンドルドライブユニット(1)と電気駆動モータ(2)との間に多段の歯車伝動装置(4)が配置されている、車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置において、前記歯車伝動装置(4)が、太陽歯車としてのモータピニオン(11)によって駆動される遊星歯車伝動ユニット(12)を備え、前記遊星歯車伝動ユニットの出力側の中空歯車(13)が前記スピンドルドライブユニット(1)を駆動することと、前記電気駆動モータ(2)のモータシャフト(8)が前記スピンドルドライブユニット(1)のスピンドルドライブシャフト(10)の隣に平行に、かつ隣接して延び
前記歯車伝動装置(4)は、前記電気駆動モータ(2)および前記スピンドルドライブユニット(1)の第1端面(5)に配置されており、
前記電気駆動モータ(2)および前記スピンドルドライブユニット(1)の前記第1端面(5)の向かい側に位置する第2端面(6)に、前記モータシャフト(8)の領域においてモータ回転数を検出するセンサ(9)および前記電気駆動モータ(2)のための電気接続部を有する電子制御ユニット(7)が配置されていることを特徴とする電気機械式ブレーキ圧発生装置。
【請求項2】
駆動側の回転運動(a)を液圧ピストン/シリンダユニット(3)のピストンを動かすための並進運動(b)に変換するスピンドルドライブユニット(1)を備え、前記スピンドルドライブユニット(1)と電気駆動モータ(2)との間に多段の歯車伝動装置(4)が配置されている、車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置において、前記歯車伝動装置(4)が、太陽歯車としてのモータピニオン(11)によって駆動される遊星歯車伝動ユニット(12)を備え、前記遊星歯車伝動ユニットの出力側の中空歯車(13)が前記スピンドルドライブユニット(1)を駆動することと、前記電気駆動モータ(2)のモータシャフト(8)が前記スピンドルドライブユニット(1)のスピンドルドライブシャフト(10)の隣に平行に、かつ隣接して延び、
前記電気駆動モータ(2)がポット状のモータハウジング(21)に収容されており、
前記遊星歯車伝動ユニット(12)の前記中空歯車(13)は、前記ポット状のモータハウジング(21)の底領域に転がり支承されていることを特徴とする、電気機械式ブレーキ圧発生装置。
【請求項3】
駆動側の回転運動(a)を液圧ピストン/シリンダユニット(3)のピストンを動かすための並進運動(b)に変換するスピンドルドライブユニット(1)を備え、前記スピンドルドライブユニット(1)と電気駆動モータ(2)との間に多段の歯車伝動装置(4)が配置されている、車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置において、前記歯車伝動装置(4)が、太陽歯車としてのモータピニオン(11)によって駆動される遊星歯車伝動ユニット(12)を備え、前記遊星歯車伝動ユニットの出力側の中空歯車(13)が前記スピンドルドライブユニット(1)を駆動することと、前記電気駆動モータ(2)のモータシャフト(8)が前記スピンドルドライブユニット(1)のスピンドルドライブシャフト(10)の隣に平行に、かつ隣接して延び、
前記電気駆動モータ(2)がポット状のモータハウジング(21)に収容されており、
前記遊星歯車伝動ユニット(12)の前記中空歯車(13)は、前記ポット状のモータハウジング(21)の底領域に転がり支承されていることを特徴とする、電気機械式ブレーキ圧発生装置。
【請求項4】
駆動側の回転運動(a)を液圧ピストン/シリンダユニット(3)のピストンを動かすための並進運動(b)に変換するスピンドルドライブユニット(1)を備え、前記スピンドルドライブユニット(1)と電気駆動モータ(2)との間に多段の歯車伝動装置(4)が配置されている、車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置において、前記歯車伝動装置(4)が、太陽歯車としてのモータピニオン(11)によって駆動される遊星歯車伝動ユニット(12)を備え、前記遊星歯車伝動ユニットの出力側の中空歯車(13)が前記スピンドルドライブユニット(1)を駆動することと、前記電気駆動モータ(2)のモータシャフト(8)が前記スピンドルドライブユニット(1)のスピンドルドライブシャフト(10)の隣に平行に、かつ隣接して延び、
前記電気駆動モータ(2)がポット状のモータハウジング(21)に収容されており、
前記ポット状のモータハウジング(21)は、基本ジオメトリが直方体形の装置ハウジング(22)に当接することを特徴とする、電気機械式ブレーキ圧発生装置。
【請求項5】
前記歯車伝動装置(4)が中間段歯車(19)を有し、前記中間段歯車の大きいほうの歯車(20)が前記遊星歯車伝動ユニット(12)の前記中空歯車(13)の外歯と噛み合い、前記中間段歯車のピニオンが前記スピンドルドライブユニット(1)のスピンドルホイール(18)と噛み合うことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ圧発生装置。
【請求項6】
前記スピンドルドライブユニット(1)は、スピンドルナット(16)と、前記スピンドルナットとねじ係合するスピンドル(17)と、を備え、前記スピンドルナット(16)または前記スピンドル(17)は、前記スピンドルナットまたは前記スピンドルに同軸に取り付けられた前記歯車伝動装置(4)のスピンドルホイール(18)を駆動可能であり、それにより前記スピンドルナット(16)または前記スピンドル(17)の回転運動がトルク支持手段の影響下で前記スピンドル(17)または前記スピンドルナット(16)の並進運動を生ぜしめることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気機械式ブレーキ圧発生装置。
【請求項7】
車両であって、請求項1~6のいずれか1項に記載の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置を備える、車両
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動側の回転運動を液圧ピストン/シリンダユニットのピストンを動かすための並進運動に変換するスピンドルドライブユニットを備え、スピンドルドライブユニットと電気駆動モータとの間に多段の歯車伝動装置が配置されている、車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置に関する。さらに、本発明は、この電気機械式ブレーキ圧発生装置を含む車両、特にハイブリッド車または電気車にも関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の将来の駆動コンセプトでは、従来の真空ブレーキ力倍力装置を作動させるための負圧を利用できなくなくなるため、代替的なブレーキ圧増圧装置が必要となる。本明細書の関心事である電気機械式ブレーキ圧発生装置はこのために開発された。
【0003】
本明細書の関心対象の種類の電気機械式ブレーキ圧発生装置では、電気モータまたは他の適当な電気駆動装置によってピストン/シリンダユニットにブレーキ力が生成される。この種のブレーキ圧発生装置は、補助力を提供するためだけでなく、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤシステムにおいて、ブレーキ操作力を単独で生成するためにも用いることができる。したがって、電気機械式ブレーキ圧発生装置は、特に自律運転に関して有利である。
【0004】
この種の電気機械式ブレーキ力発生装置の周知の従来技術では、ブレーキペダルの操作時に、手動で行われるペダルストロークが電子ペダルストロークセンサによって測定され電子制御装置に転送される。電子制御装置は、ここから電気駆動モータのための相応の制御信号を算出する。モータトルクは、多段の歯車伝動装置により運転者のための支援力に変換される。この倍力装置(Verstaerker)によって提供される力は、液圧ピストン/シリンダユニットにおいて制動のための液圧に変換される。その際、電気機械式ブレーキ圧発生装置は、従来の真空ブレーキ力倍力装置と同等のブレーキ感覚を提供する。したがって、ブレーキ感覚を、電子制御ユニットによりソフトウェアで車両のブランドに特有の特性に適合させることができる。
【0005】
特許文献1から、属性的に対応する電気機械式ブレーキ圧発生装置が読み取れる。ブレーキ圧発生装置は電気駆動モータを備え、この電気駆動モータは、電気駆動モータの回転がマスタブレーキシリンダを動かすためのスピンドルドライブユニットのスピンドルの並進運動を生ぜしめるように、多段の平歯車伝動装置を介してスピンドルドライブユニットと作用接続されている。しかし多段の平歯車伝動装置では、比較的小さい速度伝達比でスピンドルドライブユニットとの径方向の距離がかなり大きく、その結果、この電気機械式ブレーキ力発生装置のアセンブリ全体がかなり大型になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/045804号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、スピンドルドライブユニットに伝達するための電気モータによる駆動出力の高い(hohe)、かつ省スペース的な伝達を特徴とする電気機械式ブレーキ圧発生装置を提供するという課題にもとづいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1の差異的な特徴と組み合わせた請求項1の前提部に記載の電気機械式ブレーキ圧発生装置によって解決される。後続の従属請求項は、本発明の有利な発展形態を示す。請求項10には本発明による電気機械式ブレーキ圧発生装置を有する液圧ブレーキシステムを備える車両が記載される。
【0009】
本発明は、電気機械式ブレーキ力発生装置の歯車伝動装置が太陽歯車としてのモータピニオンによって駆動される遊星歯車伝動ユニットを備え、遊星歯車伝動ユニットの出力側の中空歯車が、電気駆動モータのモータシャフトがスピンドルドライブユニットのスピンドルドライブシャフトの隣に平行に隣接して延びるようにスピンドルドライブユニットを駆動するという技術的教示を含む。
【0010】
本発明による解決策の利点は、特に、これによって遊星歯車伝動ユニットを使用して実現可能な高い速度伝達比との相互作用により、コンパクトな構造形式を可能にする駆動モータおよびスピンドルドライブユニットの2軸配置が可能であるということである。なぜなら、出力側の中空歯車を有する遊星歯車伝動ユニットにより実現可能な高い速度伝達比が、液圧ピストン/シリンダユニットのピストン直径を従来の構造形式と比べて小さくすることも可能にするからである。これによってさらに、電気機械式ブレーキ力発生装置のコンポーネントに対して動力伝達により作用する駆動力が低減され、それにより他のコンポーネントの寸法もより小さくすることができる。
【0011】
2軸配置の範囲内で、本発明による電気機械式ブレーキ圧発生装置ではスピンドルドライブシャフトが電気駆動モータのモータシャフトと平行であるばかりでなく、モータシャフトに径方向に隣接し、このことは、構造体に軸方向にもより高いコンパクト性をもたらす。
【0012】
本発明による伝動装置コンセプトは、殊に、駆動モータおよびスピンドルドライブユニットの機械的接続側として用いられる第1端面に歯車伝動装置が配置されている構造形式で電気機械式ブレーキ圧発生装置を実現できるようにするための前提条件を提供する。
【0013】
このことはまた、駆動モータ、および駆動モータに対して平行に隣接して配置されたスピンドルドライブユニットの第1端面の向かい側に位置する第2端面を殊に電気的接続側として利用できるようにするための前提条件を提供する。その結果、電気機械式ブレーキ力発生装置のコンポーネントの機械的接続と電気的接続とを明確に分離し、このことが組立または修理時のアクセス性を向上させるという利点が生じる。
【0014】
好ましい一実施形態では、モータシャフトの領域においてモータ回転数を検出するセンサ、および駆動モータのための電気接続部を有する電子制御ユニットが電気的接続側に配置されている。それにより電気機械式ブレーキ力発生装置のすべての電気的および電子的コンポーネントを構造的に統合してコンパクトに配置することができ、それにより例えば、モータ回転数を検出するためのセンサも直接モータシャフトに、および電子制御ユニットの領域に配置することができ、それによりロータポジションセンサ(RPS)とポールホイールを用いる従来の複雑なセンサコンセプトを省略することができる。
【0015】
本発明による多段の歯車伝動装置をさらに改善する措置では、多段の歯車伝動装置が中間段歯車を備え、中間段歯車の大きいほうの歯車が遊星歯車伝動ユニットの外歯付き中空歯車と噛み合い、中間段歯車のピニオンがスピンドルドライブユニットのスピンドルホイールと噛み合うことが提案される。中間段歯車によって、駆動回転数を減速させるための速度伝達比のさらなる増大が達成される一方で、電気駆動モータと隣接するスピンドルドライブユニットとの間の構造に起因する径方向の距離が埋められる。
【0016】
電気機械式ブレーキ力発生装置の電気駆動モータは、殊にポット状モータハウジングに収容されている。このことによって、モータハウジングは、電気駆動モータのための保護機能の他に、隣接する歯車伝動装置のコンポーネントのための支持機能も果たすことができる。したがって、好ましい一実施形態では、遊星歯車伝動ユニットの中空歯車が、モータハウジングの底領域に転がり支承されることが企図されている。この構成では、一方でモータハウジングに、他方で中空歯車に取り付けられた転がり軸受、例えば玉軸受がモータシャフトを同軸に取り囲み、遊星歯車伝動ユニットの出力側の中空歯車のなめらかな回転運動を可能にする。
【0017】
遊星歯車伝動ユニットの好ましい実施形態では、さらに、モータハウジングの底領域に取り付けられた遊星キャリアが設けられ、遊星キャリアは、中心の太陽歯車および中空歯車に相対する遊星歯車の位置決めをもたらすことが提案される。歯の係合を最適化するために、遊星キャリアをモータハウジングに対して浮動状態に支承することができる。
【0018】
殊に、電気駆動モータを取り囲むモータハウジングは開側の縁領域で、基本ジオメトリが直方体形の装置ハウジングに当接する。装置ハウジングは、スピンドルドライブユニットと、ブレーキペダルにより加圧される入力ロッドとを少なくとも部分的に収容する。その際、モータハウジング上に広がり、同様に装置ハウジングに当接する蓋部で歯車伝動装置が覆われる。これによって、全体として複数部分からなるハウジング構造となり、このハウジング構造により特に機械的接続側に良好にアクセス可能である。
【0019】
スピンドルドライブユニットの好ましい実施形態では、スピンドルドライブユニットは、実質的にスピンドルナットと、スピンドルナットとねじ係合するスピンドルと、からなる。スピンドルドライブユニットは、殊に直接噛み合う部材の組み合わせにより実現されるが、ボールねじドライブとして形成されてもよい。殊に、スピンドルナットは、これに同軸に取り付けられた歯車伝動装置のスピンドルホイールを介して駆動可能であり、スピンドルホイールは、スピンドルドライブユニットの端面側に配置されている。これによって、伝動装置出力側のスピンドルナットの回転運動が、それ自体公知のトルク支持手段の影響下でスピンドルの並進運動並進運動を生ぜしめ、この並進運動がモータ支援により液圧ピストン/シリンダユニットを動かす。これに代えて、スピンドルドライブユニットを運動学的に逆に組み立てて動かすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】電気機械式ブレーキ力発生装置の模式的縦断面図である。
図2】蓋部を外した構造的実施形態による図1のブレーキ圧発生装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をより良くする他の措置について、本発明の好ましい実施例の記載と共に図をもとにして詳しく説明する。
【0022】
図1では、ここに詳しくは図示されない車両の液圧ブレーキシステムのための電気機械式ブレーキ圧発生装置はスピンドルドライブユニット1を備え、このスピンドルドライブユニットによって、駆動側で電気駆動モータ2により発生した回転運動aが液圧ピストン/シリンダユニット3のピストンを動かすための並進運動bに変換される。
【0023】
電気駆動モータ2とスピンドルドライブユニット1との間の動力の流れに多段の歯車伝動装置4が設けられ、多段の歯車伝動装置は、電気駆動モータ2の高速回転するモータ回転数を、スピンドルドライブユニット1を駆動するために、モータ回転数よりも低速の回転数へ減速する。歯車伝動装置4は、駆動モータ2およびスピンドルドライブユニット1の機械的接続側として用いられる第1端面5に配置されている。
【0024】
これに対して第1端面5の向かい側に位置する第2端面6は、電気的接続側として用いられる。この第2端面6には、それ自体公知の仕方で検知されるブレーキ力支援の必要に応じて電気駆動モータ2を制御するための電子制御ユニット7が配置されている。電子制御ユニット7との関連で、モータシャフト8の、歯車伝動装置4の向かい側に位置する端部の領域にもセンサ9が配置され、このセンサは、電気駆動モータ2のモータ回転数を直接検出し、制御の目的で電子制御ユニット7にすみやかに転送する。
【0025】
この電気機械式ブレーキ圧発生装置では、電気駆動モータ2のモータシャフト8は、スピンドルドライブユニット1のスピンドルドライブシャフト10の隣に平行に隣接して延びる。駆動出力を伝達するために、歯車伝動装置4の範囲内に太陽歯車としてのモータピニオン11によって駆動される遊星歯車伝動ユニット12が設けられ、この遊星歯車伝動ユニットは、電気駆動モータ2に対して同軸に配置され、電気駆動モータの出力側の中空歯車13がスピンドルドライブユニット1を駆動する。その際、遊星歯車伝動ユニット12の複数の遊星歯車14(例示的)は、電気機械式ブレーキ圧発生装置に定置に取り付けられた共通の遊星キャリア15に回転可能に支承されている。
【0026】
この実施例では、スピンドルドライブユニット1は、外側に位置するスピンドルナット16と、このスピンドルナットと直接ねじ係合するスピンドル17とを備える。スピンドルナット16は、このスピンドルナットに同軸に取り付けられた歯車伝動装置4のスピンドルホイール18を介して駆動可能であり、それによりスピンドルナット16の回転運動が、それ自体公知の仕方で、液圧ブレーキシリンダユニット3を動かすためのスピンドル17の並進運動を生ぜしめる。
【0027】
図2は、ここに図示されない蓋部20を外した歯車伝動装置4のコンポーネントの協働の詳細を示す。歯車伝動装置4のコンポーネントの1つは中間段歯車19であり、この中間段歯車の大きいほうの歯車20が、遊星歯車伝動ユニット12の外歯付き中空歯車13と噛み合う。ここでは大きい歯車20によって覆い隠された中間段歯車19のピニオンが出力側でスピンドルドライブユニット1のスピンドルホイール18と噛み合う。
【0028】
この外観斜視図には認識できない電気駆動モータは、ポット状のモータハウジング21内に収容され、モータハウジングの底領域が同時に遊星歯車伝動ユニット12を支持する。ポット状のモータハウジングはその縁領域で、基本ジオメトリが直方体形の装置ハウジング22に当接する。向かい側に位置する側面には、ここに詳しくは認識できない電子制御ユニット7を収容するための別のハウジング部材23が設けられている。この実施例では軽金属からなる実質的に直方体形の装置ハウジング22内に、それ自体公知の仕方で手動ブレーキ要求を伝達するために用いられるここに詳しくは図示されないブレーキペダルを取り付けるための入力ロッド24が突出する。
【0029】
本発明は上記の好ましい実施例に限定されない。むしろ添付の請求項の保護範囲に共に含まれるその変形も考えられる。したがって、特殊な歯車伝動装置を介して本発明による仕方で互いに結合されているモータシャフトとスピンドルドライブシャフトの平行に隣接した配置を含む特許請求される配置コンセプトが維持され続ける限りで、例えば個々のハウジング部材およびコンポーネントに別の幾何的形状を付与することも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 スピンドルドライブユニット
2 電気駆動モータ
3 ピストン/シリンダユニット ブレーキシリンダユニット
4 歯車伝動装置
5 第1端面
6 第2端面
7 電子制御ユニット
8 モータシャフト
9 センサ
10 スピンドルドライブシャフト
11 モータピニオン
12 遊星歯車伝動ユニット
13 中空歯車
14 遊星歯車
15 遊星キャリア
16 スピンドルナット
17 スピンドル
18 スピンドルホイール
19 中間段歯車
20 大きい歯車
21 モータハウジング
22 装置ハウジング
23 別のハウジング部材
24 入力ロッド
a 回転運動
b 並進運動
図1
図2