(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】抵抗率測定方法、半導体装置の製造方法、抵抗率測定プログラムおよび抵抗率測定器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
H01L21/66 L
H01L21/66 B
(21)【出願番号】P 2021567625
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2020048497
(87)【国際公開番号】W WO2021132481
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019236577
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592230092
【氏名又は名称】株式会社国際電気セミコンダクターサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鉄山 千尋
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153021(JP,A)
【文献】特開2005-302906(JP,A)
【文献】特開平04-152280(JP,A)
【文献】特開2010-217134(JP,A)
【文献】特開平08-248073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物
の抵抗率を測定す
るレシピに設定された各測定点の設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する第1算出工程と、
前記被測定物の測定位置に移動させる際の水平動作を最小にする第1測定パターンと、前記被測定物
の測定位置に移動させる際の回転動作を最小にする第2測定パターン
のうち少なくとも一方により、前記レシピに設定された各測定点の設定順を変更し、該変更された設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する第2算出工程と、
前記第1算出工程
で算出される予測時間、および前記第1測定パターンと前記第2
測定パターンの
うち少なくとも一方で算出される予測時間のうち、予測時間が最も短くなる設定順を選定する工程と、
該選定された設定順で前記被測定物
の抵抗率を測定する工程と、
を有する抵抗率測定方法。
【請求項2】
請求項1により
前記抵抗率を測定された結果に基づいて、前記被測定物に所定の処理を施す工程を更に有する半導体装置の製造方法。
【請求項3】
コンピュータに、
被測定物
の抵抗率を測定す
るレシピに設定された各測定点の設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する第1算出手順と、
前記被測定物の測定位置に移動させる際の水平動作を最小にする第1測定パターンと、前記被測定物
の測定位置に移動させる際の回転動作を最小にする第2測定パターン
のうち少なくとも一方により、前記レシピに設定された各測定点の設定順を変更し、該変更された設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する第2算出手順と、
前記第1算出手順
で算出される予測時間、および前記第1測定パターンと前記第2
測定パターンの
うち少なくとも一方で算出される予測時間のうち、予測時間が最も短くなる設定順を選定する手順と、
該選定された設定順で前記被測定物
の抵抗率を測定する手順と、
を実行させる抵抗率測定プログラム。
【請求項4】
被測定物
の抵抗率を測定するレシピおよび
前記被測定物の測定位置に移動させる際の水平動作を最小にする第1測定パターンと、前記被測定物
の測定位置に移動させる際の回転動作を最小にする第2測定パターン
のうち少なくとも一方を少なくとも記憶する記憶部と、
前記被測定物
の抵抗率を測定するよう制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記レシピに設定された各測定点の設定順に沿って測定したときの予測時間
、および前記
第1測定パターンおよび前記第2測定パターン
のうち少なくとも一方に従い前記レシピに設定された各測定点の設定順を変更し、該変更された設定順に沿って測定したときの予測時間を算出し、それぞれ算出される予測時間のうち、予測時間が最も短くなる設定順を選定し、該選定された設定順で前記被測定物
の抵抗率を測定するよう構成されている抵抗率測定器。
【請求項5】
前記被測定物が載置される台と、
前記被測定物に複数の探針を接触させるプローブと、
前記プローブを水平方向に移動させる水平駆動部と、
前記プローブを上下方向に動作させる上下駆動部と、
を備える請求項4記載の抵抗率測定器。
【請求項6】
前記
第1測定パターンは、前記水平駆動部のアームの動きを最小限にするように構成
されている請求項5記載の抵抗率測定器。
【請求項7】
前記制御部は、前記レシピに登録された設定順を、半径、角度、設定順のそれぞれを昇順にして並べ替えるように構成されている請求項4記載の抵抗率測定器。
【請求項8】
前記制御部は、並べ替えの順序を、半径、角度、設定順の順に優先させるよう構成されている請求項7記載の抵抗率測定器。
【請求項9】
前記制御部は、前記水平駆動部により前記プローブを前記被測定物の測定位置に移動させ、前記上下駆動部により前記被測定物に前記プローブに接触させて前記被測定物
の抵抗率を測定するよう構成されている請求項5記載の抵抗率測定器。
【請求項10】
前記制御部は、前記複数の探針のうちの一つの第一探針と前記複数の探針のうちの他の一つの第二探針の間の電圧値に応じて前記測定位置が基準位置か判定するよう構成されている請求項9記載の抵抗率測定器。
【請求項11】
前記制御部は、前記第一探針と前記第二探針の間の電圧値が閾値内であれば前記測定位置を基準位置に設定するよう構成されている請求項10記載の抵抗率測定器。
【請求項12】
前記制御部は、前記プローブの下降の再実行を所定回数実行しても、前記第一探針と前記第二探針の間の電圧値が閾値外であれば、
前記被測定物の抵抗率
の測定を停止するように構成されている請求項10記載の抵抗率測定器。
【請求項13】
前記制御部は、前記上下駆動部を昇降させて
、押し込み量を調整するよう構成されている請求項5記載の抵抗率測定器。
【請求項14】
前記上下駆動部は、所定の重りを有するプローブ取り付け部と、モータ部と、上下駆動カム部と、カム受け部と、を少なくとも含む請求項5記載の抵抗率測定器。
【請求項15】
更に、前記被測定物が載置される台を回転させる回転駆動部を有し、
前記
第2測定パターンは、前記被測定物が載置される台の回転動作を最小限にするように構成
されている請求項4記載の抵抗率測定器。
【請求項16】
前記制御部は、前記レシピに登録された設定順を、角度、半径、設定順のそれぞれを昇順にして並べ替えるように構成されている請求項4記載の抵抗率測定器。
【請求項17】
前記制御部は、並べ替えの順序を、角度、半径、設定順の順に優先させるよう構成されている請求項
16記載の抵抗率測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、抵抗率測定方法、半導体装置の製造方法、抵抗率測定プログラムおよび抵抗率測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハの抵抗率測定器は、シリコンウェーハの抵抗率、ウェーハ表面に形成したエピタキシャルウェーハの抵抗率、及び表面から不純物を拡散又は注入した場合の拡散層又は注入層のシート抵抗及び表面に生成した金属膜のシート抵抗等を測定する装置であり、測定結果は各半導体製造装置のプロセス条件へフィードバックされ、半導体デバイスの品質を均一に保つための重要な測定装置の一つである。このような測定装置としては、例えば、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1には、半導体ウェーハの抵抗率の測定精度を向上させる4探針抵抗率測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
登録されたレシピの設定順に沿って半導体ウェーハの各点の抵抗値を測定する場合、レシピの登録の仕方によって、抵抗率測定器のステージやアームが無駄な動きをしてしまうために測定完了までに時間がかかることがある。
【0006】
本開示の課題は、半導体ウェーハの抵抗率の測定時間が短縮可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
被測定物を測定するレシピを受付ける工程と、
前記レシピに設定された各測定点の設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する第1算出工程と、
前記被測定物を測定する測定パターンにより、前記レシピに設定された各測定点の設定順を変更し、該変更された設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する第2算出工程と、
前記第1算出工程と前記第2算出工程のそれぞれで算出される予測時間のうち、予測時間が最も短くなる設定順を選定する工程と、
該選定された設定順で前記被測定物を測定する工程と、
を有する
技術が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、半導体ウェーハの抵抗率の測定時間を短縮することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る半導体ウェーハ抵抗率測定器の構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係るプローブ上下駆動部と4探針プローブと半導体ウェーハと測定ステージの構成を示す外観図である。
【
図3】探針の押込み量、上下駆動カム回転角度とカム応力の関係を示した実験値を表すグラフである。
【
図4】(a)は本開示の一実施形態に係る測定ステージ上に配置された半導体ウェーハに対する4探針プローブの位置決め前の状態を説明するための平面略図である。(b)は本開示の一実施形態に係る測定ステージ上に配置された半導体ウェーハに対する4探針プローブの位置決め後の状態を説明するための平面略図である。
【
図5】(a)は測定点1に位置決めされた状態を示す図であり、(b)は測定点2に位置決めされた状態を示す図であり、(c)は測定点3に位置決めされた状態を示す図であり、(d)は測定点4に位置決めされた状態を示す図であり、(e)は測定点5に位置決めされた状態を示す図である。
【
図6】(a)はレシピを示す図である。(b)は測定順序をレシピ設定順とするパ測定ターンAを説明する図である。
【
図7】測定パターンBにおける測定順序の選定方法を説明するフローチャートである。
【
図8】(a)は
図6(a)のレシピを測定パターンBで並べ替えた状態を示す図である。(b)は(a)をウェーハ上に表示した図である。
【
図9】測定パターンCにおける測定順序の選定方法を説明するフローチャートである。
【
図10】(a)は
図6(a)のレシピを測定パターンCで並べ替えた状態を示す図である。(b)は(a)をウェーハ上に表示した図である。
【
図11】アーム移動量およびステージ移動量を説明する図である。
【
図12】(a)アーム移動量と測定時間の関係について測定値とその近似曲線を示す図である。(b)ステージ移動量と測定時間の関係について測定値とその近似曲線を示す図である。
【
図13】(a)測定パターンCにおける測定順序が設定されるレシピ例を示す図である。(b)(a)のレシピを測定パターンBで並べ替えた状態を示す図である。(c)(a)のレシピを測定パターンCで並べ替えた状態を示す図である。
【
図14】測定パターンAにおける測定順序が選定されるレシピ例を示す図である。
【
図15】
図14のレシピにおける測定パターンAの予測測定時間の算出を説明する図である。
【
図16】
図14のレシピを測定パターンBで並べ替えた予測測定時間の算出を説明する図である。
【
図17】
図14のレシピを測定パターンCで並べ替えた予測測定時間の算出を説明する図である。
【
図18】測定パターンBにおける測定順序が選定されるレシピ例を示す図である。
【
図19】
図18のレシピにおける測定パターンAの予測測定時間の算出を説明する図である。
【
図20】
図18のレシピを測定パターンBで並べ替えた予測測定時間の算出を説明する図である。
【
図21】
図18のレシピを測定パターンCで並べ替えた予測測定時間の算出を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について
図1から
図21を参照しながら説明する。
【0011】
図1に示すように、半導体ウェーハの抵抗率測定器10は、測定ステージ11、回転駆動部13、4探針プローブ14、計測部15、プローブ上下駆動部16、プローブ水平駆動部17、操作部18、表示部19、制御部20および電源部21により構成される。
【0012】
測定ステージ11は、測定対象(被測定物)の半導体ウェーハ12が載置される円盤状の台である。回転駆動部13は測定ステージ11を回転させ所定の角度で止める。4探針プローブ14は測定ステージ11の上に載置された半導体ウェーハ12の上面に接触して半導体ウェーハ12の抵抗率を測定する4本の探針を有するプローブである。計測部15は、4探針プローブ14により半導体ウェーハ12に測定電流を供給して抵抗率を求めるための複数の測定項目について測定する。
【0013】
プローブ上下駆動部16は4探針プローブ14を上下方向に移動させ、半導体ウェーハ12に接触させる上下駆動部である。プローブ水平駆動部17はプローブ上下駆動部16と4探針プローブ14とを測定ステージ11の半径方向、すなわち、半導体ウェーハ12の直径方向に移動させる水平駆動部である。プローブ水平駆動部17および回転駆動部13の両者の動作により、半導体ウェーハ12の所望の位置における抵抗率の測定を可能にする。
【0014】
操作部18は半導体ウェーハ12の上面の所要の測定点位置を指定するレシピを入力する。表示部19は測定点位置や測定した結果の抵抗率などのデータを表示する。制御部20はCPUとCPUが実行する制御プログラムを格納する記憶装置(記憶部)とを備え、レシピおよび半導体ウェーハ12を測定する測定パターンを少なくとも記憶する記憶部と共にコンピュータとして構成され、操作部18から指令されたレシピに従い回転駆動部13とプローブ水平駆動部17とプローブ上下駆動部16を駆動制御し、半導体ウェーハ12の上面の指定された測定点位置に4探針プローブ4が接触するように制御する。電源部21は抵抗率測定器10の各部を作動させる電力を供給する。なお、
図1の操作部18と表示部19は別体であるが、一つにまとめて操作表示部として構成してもよい。また、記憶部が制御部20内に設けられているが、記憶部を外部に設けるようにしてもよい。
【0015】
図1において、その動作は、測定ステージ11上に載置された半導体ウェーハ12の上面に、操作部18から入力されたレシピに基づき制御された4探針プローブ14が接触し、半導体ウェーハ12の抵抗率測定が(計測部15より)行われる。
【0016】
次に、プローブ上下駆動部16について
図2を用いて説明する。プローブ上下駆動部16は、プローブ取付金具16a、カム受け16b、重り16c、上下駆動カム16dおよびステッピングモータ16eから構成される。
【0017】
プローブ取付金具16aには4探針プローブ14が取り付けられる。カム受け16bはプローブ取付金具16aに一体化されたプローブ上下駆動力を受ける。重り16cはプローブ上下駆動部16に垂直方向の静荷重を与える十分な質量を有する。上下駆動カム16dはステッピングモータ16eの軸に連結され、かつ、カム受け16bの先端部と常に接触状態を保つことによって、重り16cの重さを含むプローブ取付金具16aの重さをステッピングモータ16eの軸上で支える。上下駆動カム16dは、例えば偏心された円形カム形状を有し回転角度によってカム受け16bを上下移動させることができる。ステッピングモータ16eはプローブ取付金具16aに支持されたカム受け16bと、当該プローブ取付金具16aとは独立する支持部材に支持された上下駆動カム16dと、が軸結合され、制御部20から指令されるレシピに従い任意の回転角度の位置で回転・停止することができる。
【0018】
以上の構成により、半導体ウェーハ12の種類に適切なプローブに加える荷重とプローブ上下移動速度を有したレシピに従ってプローブ上下駆動部16を制御し、4探針プローブ14と半導体ウェーハ12の適切な接触を実現することができる。そして半導体ウェーハ12の抵抗率が計測部15より測定される。
【0019】
ここで、
図3は探針14aの押込み量、上下駆動カム16dの回転角度と半導体ウェーハ12への荷重となるバネ応力の関係を示した実験値を表している。また、制御部20には、
図3のグラフに表されているような押込み量、上下駆動カム16dの回転角度と荷重の関係が制御プログラムとして予め制御部20の記憶装置に格納されている。このように、制御部20が上下駆動カム16dの回転角度を調整して、4探針プローブ14を
図3に示される任意の位置(押込み量)で停止させることによって、探針14aが半導体ウェーハ12に加える荷重を設定でき、半導体ウェーハ12の表面材質に適合させるように任意に接触圧を制御することができる。
【0020】
次に、半導体ウェーハ12の抵抗率測定器10による抵抗率の測定方法について説明する。
【0021】
まず、制御部20は、半導体ウェーハ12の上面の所要の測定点位置を指定するレシピを受け付け、それに基づいて複数の測定点の測定順を決定する。
【0022】
次に、制御部20は、プローブ水平駆動部17により、プローブ上下駆動部16と4探針プローブ14を半導体ウェーハ12の直径方向に移動させ、また回転駆動部13により、半導体ウェーハ12が載置され測定ステージ11を回転させ、半導体ウェーハ12の所望の測定点位置に4探針プローブ14を移動させる。
【0023】
次に、制御部20は、プローブ上下駆動部16により、4探針プローブ14を任意の押込み量設定で下降させ半導体ウェーハ12に四つの探針14aを接触させる。
【0024】
次に、制御部20は、接触基準位置(押込み量が0.00mmの位置)の判定を行う。この判定は、制御部20が4探針プローブ14の四つの探針14aのうちの二つの探針間の電圧を(計測部15内の)電圧計でモニタし、その電圧が0mV±閾値以内かどうか判定する。制御部20は、上記二つの探針間の電圧が0mVとなったときのタイミングを接触基準位置(押込み量が0.00mmの位置)とする。
【0025】
上記二つの探針間の電圧値が閾値以内の場合は、制御部20は抵抗率を測定する。
【0026】
なお、制御部20は、上記二つの探針間の電圧値が閾値外であれば、4探針プローブ14を上昇させ、下降を再実行する。制御部20は、4探針プローブ4の下降の再実行を所定回数実行しても、上記二つの探針の間の電圧値がしきい値外であれば、抵抗率測定を停止する。この場合、制御部20は、抵抗率測定の停止を示すアラームを表示部19に表示する。
【0027】
図4を参照して、測定ステージ11上に配置された半導体ウェーハ12の測定点に対する4探針プローブ14の位置決め方法を説明する。
【0028】
図4(a)は半導体ウェーハ12が測定ステージ11上に置かれた位置決め前の状態を示す。プローブ水平駆動部17により4探針プローブ14が移動する方向L-L’を基準方向とする。通常、半導体ウェーハ12のノッチ12-1は、基準方向L-L’に一致して置かれる。測定ステージ11の回転中心をOとし、所望の測定点の位置をPとする。測定ステージ11の回転中心Oと測定点Pとの距離をRとし、線分OPが基準方向L-L’となす角(反時計回りの角度)をθとする。
【0029】
図4(b)は位置決め後の状態を示す。測定点の位置決めは、次の二つの動作により行う。
(1)4探針プローブ14をプローブ水平駆動部17により、測定ステージ11の回転中心OよりL’方向にRだけ離れた位置に移動させる。
(2)測定ステージ11を回転駆動部13により基準方向L-L’よりθだけ時計方向に回転させる。
この二つの動作により半導体ウェーハ12上の所望の測定点Pの直上に4探針プローブ14が移動する。この二つの動作は並行して行われる。
【0030】
次に、複数の測定点に対する4探針プローブ14の位置決めについて
図5を用いて説明する。
【0031】
図5(a)では4探針プローブ14が測定点1に位置決めされている。例えば、
図5(a)に示す半導体ウェーハ12上の測定点1、測定点2、測定点3、測定点4および測定点5の(R,θ)をそれぞれ(10,0)、(100,180)、(140,45)、(100,225)、(10,45)とする。ここで、Rの単位はmm、θの単位は度である。
【0032】
位置決めを
図5(a)に示す測定点1から測定点2に移動する場合、
図5(b)に示すように測定ステージ11が180度時計回りに回転し、4探針プローブ14は90mm半径方向外側に移動する。位置決めを
図5(b)に示す測定点2から測定点3に移動する場合、
図5(c)に示すように測定ステージ11が135度時計回りに回転し、4探針プローブ14は40mm半径方向外側に移動する。位置決めを
図5(c)に示す測定点3から測定点4に移動する場合、
図5(d)に示すように測定ステージ11が180度時計回りに回転し、4探針プローブ14は40mm半径方向中心側に移動する。位置決めを
図5(d)に示す測定点4から測定点5に移動する場合、
図5(e)に示すように測定ステージ11が180度時計回りに回転し、4探針プローブ14は90mm半径方向中心側に移動する。
【0033】
複数の測定点の位置関係および測定点間の移動順序によっては、抵抗率測定器10の測定ステージ11やプローブ水平駆動部17のアームが無駄な動きをしてしまい、測定完了までに時間がかかる場合がある。
【0034】
そこで、測定点間の移動における無駄な動作を最小限とするために測定順序を考慮する。制御部20は、複数の測定順序で、レシピに含まれる測定点の半径(R)および角度(θ)の設定値に基づいて測定点間の移動時間が含まれる予測時間を算出し、最速になりうる測定順序を自動的に選定する。測定順序は例えば三種類の規則を用意しそれに合わせて測定点を並び替える。
【0035】
測定順序の規則(測定パターン)例は下記の通りである。
[測定パターンA]
操作部18から入力される制御情報が設定登録される順序であり、並び替えは行わない(レシピ設定順序)
[測定パターンB]
4探針プローブ14が取り付けられているプローブ水平駆動部17のアームの動きを最小限にした順序(アーム移動量最小順序)
[測定パターンC]
半導体ウェーハ12が載置されている測定ステージ11の回転を最小限にした順序(ステージ回転量最小順序)
【0036】
なお、測定順序は上記三種類の規則に限定されるものではなく、二種類以上であればよい。例えば、制御部20は、測定パターンAに沿って測定したときの測定に要する予測時間を算出し、測定パターンBまたは測定パターンCに従い制御情報に設定された各測定点の設定順を並び替えて、該並び替えられた設定順に沿って測定したときの予測時間を算出する。制御部20は、それぞれ算出される予測時間のうち、予測時間が最速となる(最も短くなる)設定順を選定し、該選定された設定順で測定する。
【0037】
まず、測定パターンAについて
図6を用いて説明する。レシピの設定が
図6(a)とした場合、レシピの設定順通りの通常の測定順は
図6(b)となる。
図6(b)に示す九つの小さい黒丸は測定点であり、丸数字(丸囲み数字)は測定点の番号を示している。ここで、測定点1~9は丸囲み数字1~9に対応する。また、設定順は測定点の数字の昇順としている。測定点1は測定ステージ11の回転中心Oである半導体ウェーハ12の中心に位置し、設定順は1である。
図6(a)に示すような設定順でレシピが設定された場合、設定順の数字の昇順に、すなわち、
図6(b)に示す丸数字の昇順に測定順序が決定される。
【0038】
次に、測定パターンBについて
図7および
図8を用いて説明する。
図7に示すように、パターンBの測定順序の選定方法は以下の通りである。
【0039】
(ステップS1)
制御部20は、レシピに登録された設定順を、半径、角度、設定順をすべて昇順で並べ替える。ここで、並べ替えの優先度は、半径>角度>設定順、である。
【0040】
(ステップS2)
制御部20は、最小半径の測定点において、同一円周上に測定点が一つかどうかを判定する。同一円周上に測定点が一つの場合(yesの場合)は終了し、二番目に半径が小さい測定点の判定(ステップS2)に移る。
【0041】
(ステップS3)
同一円周上に複数の測定点が存在している場合(noの場合)、制御部20は、一つ前の測定点から最も近い点を計算から求めそれを次の測定点に選定し、反時計回りにルートを決定する。
【0042】
(ステップS4)
制御部20は、最も近い点が2つ(同一距離が2点)あるかどうかを判定する。
【0043】
(ステップS5)
最も近い点が2つある場合(yesの場合)、制御部20は、一つ前の測定点から反時計回りで最初の測定点を選定し、そこから反時計回りに並び替える。次に半径が小さい測定点の判定(ステップS2)に移る。
【0044】
(ステップS6)
最も近い点が1つしかない場合(noの場合)、制御部20は、最近点より反時計回りに並び替える。次に半径が小さい測定点の判定(ステップS2)に移る。
【0045】
制御部20は、半径昇順にステップS2以降を繰り返して測定順を決定する。
【0046】
図6(a)に示すように設定されたレシピに対して測定パターンBの測定順序の選定方法により決定される測定順序は
図8に示すようになる。以下、詳細に説明する。
【0047】
最小半径(R=0)の同一円周上には一番目に設定された測定点1のみが位置するので、測定点1(設定順1)の測定順序は「1」となり、測定点1は測定開始位置Sとなる。
【0048】
二番目に小さい半径(R=60)の同一円周上には二番目に設定された測定点2のみが位置するので、測定点2(設定順2)の測定順序は「2」となる。
【0049】
三番目に小さい半径(R=80)の同一円周上には三番目、四番目、五番目に設定された測定点3、4、5が位置する。測定点3、4は一つ前の測定点2から同一距離にあるので、ステップS5により、まず、測定点2から反時計回りで最初の測定点4が選ばれ、反時計回りに測定点5、測定点3が選ばれるので、測定点4(設定順4)の測定順序は「3」、測定点5(設定順5)の測定順序は「4」、測定点3(設定順3)の測定順序は「5」となる。
【0050】
四番目に小さい半径(R=100)の同一円周上には六番目、七番目に設定された測定点6、7が位置する。測定点7は一つ前の測定点3から最も近い距離にあるので、ステップS3により、まず、測定点7が選ばれ、反時計回りに測定点6が選ばれるので、測定点7(設定順7)の測定順序は「6」、測定点6(設定順6)の測定順序は「7」となる。
【0051】
五番目に小さい半径(R=140)の同一円周上には八番目、九番目に設定された測定点8、9が位置する。測定点8、9は一つ前の測定点6から同一距離にあるので、ステップS5により、まず、測定点6から反時計回りで最初の測定点8が選ばれ、反時計回りに測定点9が選ばれるので、測定点8(設定順8)の測定順序は「8」、測定点9(設定順9)の測定順序は「9」となり、測定点9は測定終了位置Eとなる。
【0052】
次に、測定パターンCについて
図9~
図10を用いて説明する。
図9に示すように、パターンCの測定順序の選定方法は以下の通りである。
【0053】
(ステップS11)
制御部20は、レシピに登録された設定順を、角度>半径>設定順をすべて昇順で並べ替える。ここで、並べ替えの優先度は、角度>半径>設定順である。
【0054】
(ステップS12)
制御部20は、最小角度の測定点において、同一角度上に測定点が一つかどうかを判定する。同一角度上に測定点が一つの場合(yesの場合)は終了し、次に角度が小さい測定点の判定(ステップS12)に移る。
【0055】
(ステップS13)
同一角度上に複数の測定点が存在している場合(noの場合)、制御部20は、一つ前の測定点からみてプローブ水平駆動部17のアームの移動距離を計算する。
【0056】
(ステップS14)
制御部20は、移動距離が短いルート(半径が小さい方から大きい方に移動するルートと半径が大きい方から小さい方に移動するルートのどちらが短いか)を判定する。
【0057】
(ステップS15)
半径が小さい方から大きい方に移動する場合に移動距離が短くなる場合、制御部20は、半径昇順で並び替える。どのルートも移動距離が等しい場合(一つ前の測定点よりも半径が小さい測定点および大きい測定点が存在する場合)も半径昇順で並び替える。次に角度が小さい測定点の判定(ステップS12)に移る。
【0058】
(ステップS16)
半径が大きい方から小さい方に移動する場合に移動距離が短くなる場合、制御部20は、半径降順で並び替える。次に半径が小さい測定点の判定(ステップS12)に移る。
【0059】
制御部20は、角度昇順にステップS12以降を繰り返して測定順を決定する。
【0060】
図6(a)に示すように設定されたレシピに対してパターンCの測定順序の選定方法により決定される測定順序は
図10に示すようになる。以下、詳細に説明する。
【0061】
最小角度(θ=0)の同一半径上には一番目に設定された測定点1のみが位置するので、測定点1(設定順1)の測定順序は「1」となり、測定点1は測定開始位置Sとなる。
【0062】
次に小さい角度(θ=10)の同一半径上には八番目に設定された測定点8のみが位置するので、測定点8(設定順8)の測定順序は「2」となる。
【0063】
次に小さい角度(θ=30)の同一半径上には三番目、七番目に設定された測定点3、7が位置する。測定点7は一つ前の測定点8からの移動距離が短いので、ステップS15により、まず、半径が大きい測定点7が選ばれ、次に測定点3が選ばれるので、測定点7(設定順7)の測定順序は「3」、測定点3(設定順3)の測定順序は「4」となる。
【0064】
次に小さい角度(θ=60)の同一半径上には二番目に設定された測定点2のみが位置するので、測定点2(設定順2)の測定順序は「5」となる。
【0065】
次に小さい角度(θ=90)の同一半径上には四番目に設定された測定点4のみが位置するので、測定点4(設定順4)の測定順序は「6」となる。
【0066】
次に小さい角度(θ=180)の同一半径上には五番目に設定された測定点5のみが位置するので、測定点5(設定順5)の測定順序は「7」となる。
【0067】
次に小さい角度(θ=290)の同一半径上には九番目に設定された測定点9のみが位置するので、測定点9(設定順9)の測定順序は「8」となる。
【0068】
次に小さい角度(θ=330)の同一半径上には六番目に設定された測定点6のみが位置するので、測定点6(設定順6)の測定順序は「9」となり、測定点6は測定終了位置Eとなる。
【0069】
(測定時間調査)
4探針プローブ14が取り付けられたプローブ水平駆動部17のアーム、および測定ステージ11のそれぞれの移動量に対する測定時間を調査した。ここで、移動量とは、プローブ水平駆動部17のアームおよび測定ステージ11のそれぞれが現在の測定点から次の測定点に移動するときの量(mmまたは度)のことであり、測定時間とはプローブ水平駆動部17のアームおよび測定ステージ11のそれぞれが次の測定点に移動して測定し終えるまでの時間(秒(s))のことである。
図11の直線の破線矢印がプローブ水平駆動部17のアームの移動量(アーム移動量:x
r)であり、円弧状の実線矢印が測定ステージ11の移動量(ステージ移動量(ステージ回転量):x
θ)である。
【0070】
アーム移動量と測定時間の関係について測定値および近似曲線を求めたグラフを
図12(a)に示し、ステージ移動量と測定時間の関係について測定値および近似曲線を求めたグラフを
図12(b)に示す。
【0071】
図12(a)の近似曲線より下記の式(1)が算出され、
図12(b)の近似曲線より下記の式(2)が算出される。半径方向の移動量であるアーム移動量をx
r、角度方向の移動量であるステージ移動量をx
θ、半径方向の移動に伴う時間をy
r、角度方向の移動に伴う時間をy
θ、とすると、
y
r=-4(10
-6)x
r
2+0.006x
r+1.9564(0≦x
r<150) (1)
y
θ=-2(10
-5)x
θ
2+0.0081x
θ+2.0083(0≦x
θ<180) (2)
となる。
【0072】
xr=0、xθ=0(それぞれ移動なし)のとき、yr=1.9564、yθ=2.0083となる。式(1)(2)の定数部分はプローブダウン~測定~プローブアップの時間と判断できる。
【0073】
yr=1.9564(s)、yθ=2.0083(s)は各移動量において一定にかかるものであるため省略し、下記の式(3)(4)を予測測定時間算出に使用する。すなわち、半径方向の移動時間であるアーム移動時間をyr、角度方向の移動時間であるステージ移動時間をyθとすると、
yr=-4(10-6)xr
2+0.006xr(0≦xr<150) (3)
yθ=-2(10-5)xθ
2+0.0081xθ(0≦xθ<180) (4)
となる。
【0074】
次に、
図13(a)のレシピ情報を例に、測定パターンA,B,Cの予定測定時間の算出例を説明する。
【0075】
測定パターンAの場合は、設定順が測定順であり、測定順1→2、2→3、3→4、4→5の移動量(半径、角度)をそれぞれ(r1,θ1)、(r2,θ2)、(r3,θ3)、(r4,θ4)とし、予測測定時間(半径、角度)それぞれ(yr1,yθ1)、(yr2,yθ2)、(yr3,yθ3)、(yr4,yθ4)をすると、
(r1,θ1)=(90,180)
(r2,θ2)=(40,135)
(r3,θ3)=(40,180)
(r4,θ4)=(90,180)
となる。
【0076】
この情報を前述の式(3)(4)に代入し、予測測定時間を算出すると、
yr1=-4×10-6× 902+0.006 × 90=0.5076
yθ1=-2×10-5×1802+0.0081×180=0.81
yr2=-4×10-6× 402+0.006 × 40=0.2336
yθ2=-2×10-5×1352+0.0081×135=0.729
yr3=-4×10-6× 402+0.006 × 40=0.2336
yθ3=-2×10-5×1802+0.0081×180=0.81
yr4=-4×10-6× 902+0.006 × 90=0.5076
yθ4=-2×10-5×1802+0.0081×180=0.81
となる。
【0077】
プローブ水平駆動部17のアームと測定ステージ11は次の測定点まで同時に動作するため、yrとyθで最大となる値を測定時間とみなす。よって、全体の予測測定時間をTtotalAとすると、
TtotalA=yθ1+yθ2+yθ3+yθ4=3.159(s)
となる。
【0078】
測定パターンBの場合は、測定順は
図13(b)に示すようになる。移動量は、
(r1,θ1)=(0,45)
(r2,θ2)=(90,135)
(r3,θ3)=(0,45)
(r4,θ4)=(40,180)
となる。
【0079】
この情報を前述の式(3)(4)に代入し、予測測定時間を算出すると、
yr1=-4×10-6× 02+0.006 × 0=0
yθ1=-2×10-5× 452+0.0081× 45=0.324
yr2=-4×10-6× 902+0.006 × 90=0.5076
yθ2=-2×10-5×1352+0.0081×135=0.729
yr3=-4×10-6× 02+0.006 × 0=0
yθ3=-2×10-5× 452+0.0081× 45=0.324
yr4=-4×10-6× 402+0.006 × 40=0.2336
yθ4=-2×10-5×1802+0.0081×180=0.81
となる。
【0080】
全体の予測測定時間をTtotalBとすると、
TtotalB=yθ1+yθ2+yθ3+yθ4=2.187(s)
となる。
【0081】
測定パターンCの場合は、測定順は
図13(c)に示すようになる。移動量は、
(r1,θ1)=(0,45)
(r2,θ2)=(130,0)
(r3,θ3)=(40,135)
(r4,θ4)=(0,45)
となる。
【0082】
この情報を前述の式(3)(4)に代入し、予測測定時間を算出すると、
yr1=-4×10-6× 02+0.006 × 0=0
yθ1=-2×10-5× 452+0.0081× 45=0.324
yr2=-4×10-6×1302+0.006 ×130=0.77948
yθ2=-2×10-5× 02+0.0081× 0=0
yr3=-4×10-6× 402+0.006 × 40=0.2336
yθ3=-2×10-5×1352+0.0081×135=0.729
yr4=-4×10-6× 02+0.006 × 0=0
yθ4=-2×10-5× 452+0.0081× 45=0.324
となる。
【0083】
全体の予測測定時間をTtotalCとすると、
TtotalC=yθ1+yr2+yθ3+yθ4=2.15648(s)
となる。
【0084】
TtotalA、TtotalB、TtotalCより、最小はTtotalCとなるためパターンCの測定順が選定される。ただし、予測測定時間が同値の場合は測定パターンA>測定パターンB>測定パターンCの優先順位で選定される。
【0085】
図13(a)に示すレシピ設定例では測定パターンCの測定順が選定されたが、他の測定パターンの測定順が選定される例について以下に説明する。
【0086】
まず、測定パターンAの測定順が選定されるレシピについて
図14から
図17を用いて説明する。
【0087】
図14に示すレシピが設定された場合、測定パターンAでは、アーム移動量(xr)である移動量(半径)、ステージ移動量(xθ)である移動量(角度)、アーム移動時間(yr)である時間(半径)、ステージ移動時間(yθ)である時間(角度)は、
図15に示すように算出される。時間(半径)と時間(角度)のうち大きい方が時間(s)として算出される。
図15に示す設定順2~設定順17の時間を合計すると全体の予測測定時間(T
totalA)が算出され、
T
totalA=4.626223(s)
となる。
【0088】
図14に示すレシピが設定された場合、測定パターンBでは、測定順が
図16に示すように設定され、アーム移動量(xr)である移動量(半径)、ステージ移動量(xθ)である移動量(角度)、アーム移動時間(yr)である時間(半径)、ステージ移動時間(yθ)である時間(角度)は、
図16に示すように算出される。時間(半径)と時間(角度)のうち大きい方が時間(s)として算出される。
図16に示す測定順2~測定順17の時間を合計すると全体の予測測定時間(T
totalB)が算出され、
T
totalB=5.264549(s)
となる。
【0089】
図14に示すレシピが設定された場合、測定パターンCでは、測定順が
図17に示すように設定され、アーム移動量(xr)である移動量(半径)、ステージ移動量(xθ)である移動量(角度)、アーム移動時間(yr)である時間(半径)、ステージ移動時間(yθ)である時間(角度)は、
図17に示すように算出される。時間(半径)と時間(角度)のうち大きい方が時間(s)として算出される。
図17に示す測定順2~測定順17の時間を合計すると全体の予測測定時間(T
totalC)が算出され、
T
totalC=5.620364(s)
となる。
【0090】
よって、
図14に示すレシピが設定された場合、T
totalA<T
totalB<T
totalCとなり、T
totalAが最小となるので、測定パターンAの測定順が選定される。
【0091】
次に、測定パターンBの測定順が選定されるレシピについて
図18から
図21を用いて説明する。
【0092】
図18に示すレシピが設定された場合、測定パターンAでは、アーム移動量(xr)である移動量(半径)、ステージ移動量(xθ)である移動量(角度)、アーム移動時間(yr)である時間(半径)、ステージ移動時間(yθ)である時間(角度)、
図19に示すように算出される。時間(半径)と時間(角度)のうち大きい方が時間(s)として算出される。
図15に示す設定順2~設定順17の時間を合計すると全体の予測測定時間(T
totalA)が算出され、
T
totalA=4.088(s)
となる。
【0093】
図18に示すレシピが設定された場合、測定パターンBでは、測定順が
図20に示すように設定され、アーム移動量(xr)である移動量(半径)、ステージ移動量(xθ)である移動量(角度)、アーム移動時間(yr)である時間(半径)、ステージ移動時間(yθ)である時間(角度)は、
図20に示すように算出される。時間(半径)と時間(角度)のうち大きい方が時間(s)として算定される。
図20に示す測定順2~測定順17の時間を合計すると全体の予測測定時間(T
totalB)が算出され、
T
totalB=3.7006(s)
となる。
【0094】
図18に示すレシピが設定された場合、測定パターンCでは、測定順が
図21に示すように設定され、アーム移動量(xr)である移動量(半径)、ステージ移動量(xθ)である移動量(角度)、アーム移動時間(yr)である時間(半径)、ステージ移動時間(yθ)である時間(角度)は、
図21に示すように算出される。時間(半径)と時間(角度)のうち大きい方が時間(s)として算定される。
図21に示す測定順2~測定順17の時間を合計すると全体の予測測定時間(T
totalC)が算出され、
T
totalC=4.0248(s)
となる。
【0095】
よって、
図18に示すレシピが設定された場合、T
totalB<T
totalC<T
totalAとなり、T
totalBが最小となるので、測定パターンBの測定順が選定される。
【0096】
本実施形態によれば、その動作は、レシピに設定された各測定点の設定順に沿って測定したときの予測時間を算出すると共に、測定パターンに従いレシピに設定された各測定点の設定順を変更し、該変更された設定順に沿って測定したときの予測時間を算出し、それぞれ算出される予測時間のうち、予測時間が最速となる(最も短くなる)設定順を選定し、該選定された設定順で被測定物を測定するものである。
【0097】
以上の動作により、半導体ウェーハ1枚当たりの測定時間が短縮されることによって、時間あたりの測定可能枚数が増加することが可能である。
【0098】
シリコンウェーハの抵抗率、ウェーハ表面に形成したエピタキシャルウェーハの抵抗率、表面から不純物を拡散又は注入した場合の拡散層又は注入層のシート抵抗、表面に生成した金属膜のシート抵抗等を本実施形態の半導体ウェーハの抵抗率測定器で測定し、測定結果を各半導体製造装置のプロセス条件へフィードバックし、すなわち、半導体製造装置に測定結果に基づいてプロセス条件を設定し、そのプロセス条件により半導体製造装置が半導体ウェーハを処理することにより、半導体装置の品質の均一性を向上することが可能になる。
【符号の説明】
【0099】
10・・・抵抗率測定器
11・・・測定ステージ(台)
12・・・半導体ウェーハ(被測定物)
14・・・4探針プローブ(プローブ)
14a・・・探針
16・・・プローブ上下駆動部(上下駆動部)
17・・・プローブ水平駆動部(水平駆動部)
20・・・制御部