(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】精度向上方法、離隔距離取得方法、位置情報算出支援装置、位置情報算出支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20230522BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
G01C15/00 103Z
G01C15/06 T
(21)【出願番号】P 2022008403
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500140127
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】南橋 丈二
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-8917(JP,A)
【文献】国際公開第2020/138345(WO,A1)
【文献】国際公開第2021/002001(WO,A1)
【文献】特開2007-46952(JP,A)
【文献】特開2020-91265(JP,A)
【文献】特開2019-211470(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108759834(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0105458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00-1/14
5/00-15/14
G01B 11/00-11/30
G01S 5/00-5/14
19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上で視認できる設備の位置情報を求め
、設備情報データベースに記録された設備の位置情報の精度を向上させる精度向上方法であって、
所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、同一直線上には配置されていない3個以上の円または球を含むとともに方位を示す視認できる方位識別子が付された寸法が既知のマークとを、前記所定の条件を満たす位置に、前記方位識別子が正しい方位に向くように配置する配置ステップと、
位置情報を求める対象設備と
前記位置情報計測装置と前記マークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する画像取得ステップと、
前記位置情報計測装置の位置情報を計測する位置情報計測ステップと、
前記画像内の前記マークの円または球に基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を分析し、前記画像内の前記マークの方位識別子に基づいて前記画像での方位を分析し、計測した前記位置情報と分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と前記画像内での前記対象設備に基づいて前記対象設備の位置情報を求める位置情報算出ステップと、
前記設備情報データベースに記録された対象設備の位置情報を、前記位置情報算出ステップで求めた位置情報に更新する第1位置情報更新ステップと、
前記対象設備との相対的な位置情報に基づいて、地上では視認できない地下設備の位置情報を更新する第2位置情報更新ステップ
を有
し、
前記第1位置情報更新ステップでは、前記対象設備の位置情報に近い前記設備情報データベースに記録された複数の設備の設備特定情報と位置情報をユーザに示し、ユーザに位置情報を更新する設備を指定させる
ことを特徴とする
精度向上方法。
【請求項2】
地上で視認できる設備の位置情報を求め
、設備情報データベースに記録された設備の位置情報の精度を向上させる精度向上方法であって、
所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、3個以上の寸法が既知の球状のマークと、方位を示す視認できる方位識別具とを、前記位置情報計測装置を前記所定の条件を満たす位置に、前記マークを同一線上に並ばないように、かつ前記方位識別具を正しい方位に向くように配置する配置ステップと、
位置情報を求める対象設備と
前記位置情報計測装置と3個以上の前記マークと前記方位識別具が1つの画像内に含まれるように画像を撮影する画像取得ステップと、
前記位置情報計測装置の位置情報を計測する位置情報計測ステップと、
前記画像内の前記マークに基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を分析し、前記画像内の前記方位識別具に基づいて前記画像での方位を分析し、計測した前記位置情報と分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と前記画像内での前記対象設備に基づいて前記対象設備の位置情報を求める位置情報算出ステップと、
前記設備情報データベースに記録された対象設備の位置情報を、前記位置情報算出ステップで求めた位置情報に更新する第1位置情報更新ステップと、
前記対象設備との相対的な位置情報に基づいて、地上では視認できない地下設備の位置情報を更新する第2位置情報更新ステップ
を有
し、
前記第1位置情報更新ステップでは、前記対象設備の位置情報に近い前記設備情報データベースに記録された複数の設備の設備特定情報と位置情報をユーザに示し、ユーザに位置情報を更新する設備を指定させる
ことを特徴とする
精度向上方法。
【請求項3】
設備情報データベースに記録された地下の設備と、地上で指定された位置である指定位置
との水平方向の離隔距離を求める
離隔距離取得方法であって、
所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、同一直線上には配置されていない3個以上の円または球を含むとともに方位を示す視認できる方位識別子が付された寸法が既知のマークとを、前記所定の条件を満たす位置に、前記方位識別子が正しい方位に向くように配置する配置ステップと、
前記指定位置と
前記位置情報計測装置と前記マークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する画像取得ステップと、
前記位置情報計測装置の位置情報を計測する位置情報計測ステップと、
前記画像内の前記マークの円または球に基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を分析し、前記画像内の前記マークの方位識別子に基づいて前記画像での方位を分析し、計測した前記位置情報と分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と前記画像内での前記指定位置に基づいて前記指定位置の位置情報を求める位置情報算出ステップと、
前記設備情報データベースに記録された地下の設備の位置情報と、前記位置情報算出ステップで求めた位置情報とに基づいて、地下の設備と前記指定位置との離隔距離を求める離隔距離計算ステップ
を有する
離隔距離取得方法。
【請求項4】
設備情報データベースに記録された地下の設備と、地上で指定された位置である指定位置
との水平方向の離隔距離を求める
離隔距離取得方法であって、
所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、3個以上の寸法が既知の球状のマークと、方位を示す視認できる方位識別具とを、前記位置情報計測装置を前記所定の条件を満たす位置に、前記マークを同一線上に並ばないように、かつ前記方位識別具を正しい方位に向くように配置する配置ステップと、
前記指定位置と
前記位置情報計測装置と3個以上の前記マークと前記方位識別具が1つの画像内に含まれるように画像を撮影する画像取得ステップと、
前記位置情報計測装置の位置情報を計測する位置情報計測ステップと、
前記画像内の前記マークに基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を分析し、前記画像内の前記方位識別具に基づいて前記画像での方位を分析し、計測した前記位置情報と分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と前記画像内での前記指定位置に基づいて前記指定位置の位置情報を求める位置情報算出ステップと、
前記設備情報データベースに記録された地下の設備の位置情報と、前記位置情報算出ステップで求めた位置情報とに基づいて、地下の設備と前記指定位置との離隔距離を求める離隔距離計算ステップ
を有する
離隔距離取得方法。
【請求項5】
請求項1記載の
精度向上方法の位置情報算出ステップを実行するための位置情報算出支援装置であって、
前記画像内の円または球の位置、前記方位識別子の位置、前記位置情報計測装置の位置、対象設備の位置をユーザに特定させる画像内位置特定部と、
前記画像内の前記マークの円または球に基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を求める関係計算部と、
前記画像内の前記マークの方位識別子に基づいて前記画像での方位を特定する方位特定部と、
前記対象設備の位置情報を求める位置情報計算部と
を備える位置情報算出支援装置。
【請求項6】
請求項2記載の
精度向上方法の位置情報算出ステップを実行するための位置情報算出支援装置であって、
前記画像内のマークの位置、前記方位識別具の位置、前記位置情報計測装置の位置、対象設備の位置をユーザに特定させる画像内位置特定部と、
前記画像内の前記マークに基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を求める関係計算部と、
前記画像内の前記方位識別具に基づいて前記画像での方位を特定する方位特定部と、
前記対象設備の位置情報を求める位置情報計算部と
を備える位置情報算出支援装置。
【請求項7】
請求項
3記載の
離隔距離取得方法の位置情報算出ステップを実行するための位置情報算出支援装置であって、
前記画像内の円または球の位置、前記方位識別子の位置、前記位置情報計測装置の位置、指定位置をユーザに特定させる画像内位置特定部と、
前記画像内の前記マークの円または球に基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を求める関係計算部と、
前記画像内の前記マークの方位識別子に基づいて前記画像での方位を特定する方位特定部と、
前記指定位置の位置情報を求める位置情報計算部と
を備える位置情報算出支援装置。
【請求項8】
請求項
4記載の
離隔距離取得方法の位置情報算出ステップを実行するための位置情報算出支援装置であって、
前記画像内のマークの位置、前記方位識別具の位置、前記位置情報計測装置の位置、指定位置をユーザに特定させる画像内位置特定部と、
前記画像内の前記マークに基づいて前記画像での実物の寸法とピクセルとの関係を求める関係計算部と、
前記画像内の前記方位識別具に基づいて前記画像での方位を特定する方位特定部と、
前記指定位置の位置情報を求める位置情報計算部と
を備える位置情報算出支援装置。
【請求項9】
請求項
5から
8のいずれかに記載の位置情報算出支援装置としてコンピュータを機能させるための位置情報算出支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は設備の位置を正確に計測するための位置情報取得方法、精度向上方法、離隔距離取得方法、位置情報算出支援装置、位置情報算出支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の地下の埋設物あるいは道路自体を管理する技術として特許文献1,2などが従来技術として知られている。特許文献1にはケーブル位置の測定及び測定情報の管理を効率的に行うことができるケーブル位置情報管理システムが記載されており、管理対象であるケーブルの位置は、官民境界又は歩車道境界からの距離で特定されている。特許文献2には、任意に選択される測定値を、分かり易い状態で出力することが可能な計測管理システムが記載されており、官民境界などを測定点としながら、道路の横断面を作成している。
【0003】
特許文献3には画像内の設備の状態を計測する方法が示されており、要約には、『段差計測方法は、デジタル画像取得ステップS110、俯角計算ステップS120、単位長計算ステップS130、段差計算ステップS140を有する。俯角計算ステップはS120、マンホールの枠表面の外周、枠表面の内周、もしくは蓋の外周についてのデジタル画像中の長径のドット数に対応する値と短径のドット数に対応する値とを求め、マンホールを撮影した時の俯角に対応する値を計算する。単位長計算ステップS130は、長径のドット数に対応する値と実際のマンホールの寸法から、ドット数に対応する値と実際の長さとの関係を計算する。段差計算ステップS140は、マンホールの枠の内側面または外側面の前記デジタル画面中の短径方向のビット数に対応する値を求め、俯角に対応する値と、ドット数に対応する値と実際の長さとの関係を用いて、実際の長さを計算する。』のように示されている。
【0004】
非特許文献1,2には、高精度に計測する技術としてRTK(Real Time Kinematic:リアルタイムキネマティック)測位が示されている。この技術を用いれば、数cm程度の精度で位置情報(緯度経度)を計測できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-109084号公報
【文献】特開2018-13333号公報
【文献】特開2014-157117号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】国土交通省国土地理院、“GNSSを使用した測量のいろいろ”,[令和3年11月14日検索]、インターネット<https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi45009.html>.
【文献】国土交通省国土地理院、“資料2 ネットワーク型RTK測量について”,[令和3年11月14日検索]、インターネット<https://www.gsi.go.jp/common/000080891.pdf>.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1,2などの従来技術は、通常は地図上に設備データを記入する方法で設備の位置を管理している。例えば、縮尺が1/500の地図であれば地図上の1mmが実際の50cmである。つまり、特許文献1,2などの従来技術に従っても、設備情報データベースに地図上に記入する形式で記録されている設備の位置情報(緯度経度)の精度は数十cm程度である。地図の縮尺で制限される精度以上の精度が必要な場合は、官民境界、歩車道境界などの基準となる位置からの距離を地図上に記入するなどの方法で精度を向上していた。しかし、すべての設備の精度を高くすることはできない。一方で、道路を掘削する際には地下に埋設されている設備を損傷しないように掘削しなければならないため、数cmの精度が求められる。掘削する位置に近接する設備の位置を高い精度で記録しているとは限らないので、掘削のときに掘削位置と設備との離隔距離を正確に認識することが困難だった。現在であれば、非特許文献1,2に示された位置情報(緯度経度)を数cm程度の精度で計測できる技術がある。しかしながら、非特許文献1,2に示されたRTK測位には複数の衛星からの電波を受信することが必要であり、ビルが電波の受信を妨げるような都市などでは、RTK測位を行えない位置がある。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、できるだけ多くの位置において高精度で位置情報を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の位置情報取得方法は、地上で視認できる設備の位置情報、もしくは地上で指定された位置である指定位置の位置情報を求める。位置情報取得方法は、配置ステップ、画像取得ステップ、位置情報計測ステップ、位置情報算出ステップを有する。配置ステップでは、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、同一直線上には配置されていない3個以上の円または球を含むとともに方位を示す視認できる方位識別子が付された寸法が既知のマークとを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子が正しい方位に向くように配置する。もしくは、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、3個以上の寸法が既知の球状のマークと、方位を示す視認できる方位識別具とを、位置情報計測装置を所定の条件を満たす位置に、マークを同一線上に並ばないように、かつ方位識別具を正しい方位に向くように配置する。画像取得ステップでは、位置情報を求める対象設備もしくは指定位置と、マークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。もしくは、位置情報を求める対象設備と3個以上のマークと方位識別具が1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。位置情報計測ステップでは、位置情報計測装置の位置情報を計測する。位置情報算出ステップでは、画像内のマークの円または球に基づいて画像での実物の寸法とピクセルとの関係を分析し、画像内のマークの方位識別子もしくは方位識別具に基づいて画像での方位を分析し、計測した位置情報と分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と画像内での対象設備もしくは指定位置に基づいて対象設備の位置情報もしくは指定位置の位置情報を求める。
【発明の効果】
【0010】
本発明の位置情報取得方法によれば、位置情報計測装置とマークを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子が正しい方位に向くように配置する。その上で、位置情報を求める対象設備もしくは指定位置とマークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。また、位置情報計測装置の位置情報を計測する。そして、画像を分析し、対象設備もしくは指定位置の位置情報を取得する。よって、対象設備自体もしくは指定位置自体が、所定の条件を満たす位置でない場合であっても、高精度に対象設備もしくは指定位置の位置情報を取得できる。したがって、できるだけ多くの位置において高精度で位置情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】マーク200を用いた場合の、端末で取得した画像の例を示す図。
【
図6】
図5のA-A線で示された位置での地上の断面図。
【
図8】マーク270を用いた場合の、端末で取得した画像の例を示す図。
【
図9】地上で視認できる設備の位置情報を求める位置情報取得方法の処理フローを示す図。
【
図10】設備情報データベースに記録された設備の位置情報の精度を向上させる精度向上方法の処理フローを示す図。
【
図11】地上で指定された位置である指定位置の位置情報を求める位置情報取得方法の処理フローを示す図。
【
図12】設備情報データベースに記録された地下の設備と、地上で指定された位置である指定位置との水平方向の離隔距離を求める離隔距離取得方法の処理フローを示す図。
【
図13】指定位置が所定の条件を満たす場合の設備情報データベースに記録された地下の設備と、指定位置との水平方向の離隔距離を求める離隔距離取得方法の処理フローを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0013】
<理論面の説明>
図1に本発明を構成する装置等を示す。本発明では、設備,指定位置900の位置情報を取得する。設備,指定位置900とは、地上で視認できる設備または地上で指定された位置である指定位置である。本発明では、位置情報計測装置100、マーク200,250,270、端末300、位置情報算出支援装置400、設備情報データベース500、ネットワーク600を利用する。
【0014】
位置情報計測装置100は、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する。例えば、非特許文献1,2に示されたRTK測位用の装置であれば、「所定の条件」とは、必要な数の衛星からの電波を受信できることである。ただし、RTK測位に限定するものではなく、計測方法ごとに求められる高精度計測のための条件が「所定の条件」である。「所定の精度」は、例えば、道路を掘削する際に地下に埋設されている設備を損傷しないように掘削できるようにするためであれば、数cm程度とすればよい。ただし、用途に応じて「所定の精度」を定めればよい。
【0015】
[定型のマークを利用する場合]
マーク200,250は、同一直線上には配置されていない3個以上の円または球を含むとともに方位を示す視認できる方位識別子が付されている。円または球および、マーク200,250全体も寸法が既知である。
図2に、3個以上の円を含むマークの構成を示す。
図2に示すマーク200は、T字型の板210である。板の面には、円221,222,223,224が配置されている。また、方位識別子230が付されている。円221,222,223,224の直径を、例えば2cm、10cm、20cmなどにすればよい。円221と円222の間隔、円221と円223の間隔、円221と円224の間隔も既知の寸法とすればよい。地上での位置を計測する場合は、マーク200を用いればよい。なお、
図2には円が4つ示されたT字型が示されているが、円221を削除してもよい。あるいは、十字型とし、円を5個配置してもよい。
【0016】
図3に、3個以上の球を含むマークの構成を示す。
図3に示すマーク250は、テトラポット形状である。球271,272,273,274は、棒260に固定され、正四面体の頂点に配置されている。また、方位識別子280が付されている。例えば、方位識別子280が北向きになるように配置すればよい。この場合、球272と球273を結ぶ線が東西を示す線になる。球の寸法は、10cm、20cmなどにすればよい。球271と球272の間隔は、例えば30cm、50cmなどにすればよい。地上での位置だけでなく地上高を計測する場合は、マーク250を用いればよい。なお、
図3にはテトラポット形状の例が示されているが、立方体などの形状とし、各頂点に球を配置してもよい。
【0017】
端末300は、カメラの機能、画面に表示する機能、通信機能を備えている。端末300と位置情報算出支援装置400と設備情報データベース500は、ネットワーク600を介して通信可能である。なお、端末300と位置情報算出支援装置400は一体となってもよい。言い換えると、端末300に、コンピュータを位置情報算出支援装置400として動作させるためのプログラムをインストールしてもよい。
【0018】
図4に位置情報算出支援装置の構成例を示す。
図5にマーク200を用いた場合の、端末で取得した画像の例を示す。
図6は
図5のA-A線で示された位置での地上の断面図、
図7は
図5に示された地上を上からみた図である。
図5の例では、方位識別子230が北に向くように配置され、位置情報計測装置100はマーク200の近傍に配置されている。
【0019】
位置情報算出支援装置400は、画像内位置特定部410、関係計算部420、方位特定部430、位置情報計算部440、表示部470、操作部480、通信部490を備える。表示部470、操作部480、通信部490は、コンピュータもしくは端末300が備える機能で実現すればよい。
【0020】
画像内位置特定部410は、画像310内の円または球の位置、方位識別子の位置、位置情報計測装置の位置、対象設備の位置をユーザに特定させる。例えば、表示部470に画像を表示し、マウス、タッチペン、指などを用いてユーザにそれぞれの位置を指定させることで、特定させればよい。なお、画像処理技術を利用して画像内位置特定部410自体がそれぞれの位置を特定した上で、ユーザに確認させることで、特定させてもよい。
図5の例では、円221,222,223,224の位置、方位識別子230の位置、位置情報計測装置100の位置、対象設備900の位置を特定する。円、方位識別子、位置情報計測装置などの位置は、中心を特定すればよい。例えば、点910は対象設備900でマンホールの中心点である。
【0021】
方位特定部430は、画像310内のマークの方位識別子に基づいて画像での方位を特定する。マーク200の場合、方位識別子230は円224の近傍に配置されている。方位識別子230を北に向ける場合、円222と円224を結ぶ線が南北の方向を示し、円221と円223を結ぶ線が東西の方向を示すようにすればよい。
図5においては、点920は点910と同じ緯度であり位置情報計測装置100と同じ経度の点である。方位特定部430は、画像内位置特定部410の処理において特定された方位識別子230の位置、位置情報計測装置100の位置、円221,222,223,224の位置、点910の位置に基づいて、画面内で、点920を求めればよい。
【0022】
関係計算部420は、画像310内のマークの円または球に基づいて画像での実物の寸法とピクセルとの関係を求める。例えば、円224は傾いた状態で撮影されているので、画像内では長径と短径が存在する。長径は円224の寸法を正確に示しているので、長径方向のピクセル数(斜めの場合は、換算したピクセル数)を求めれば、円224の位置での実物の寸法と画像のピクセル(ドット数)との関係が分かる。また、長径と短径の比から撮影した位置から円224を見たときの俯角が分かる。同様に、円221,222,223の位置においても、実物の寸法とピクセルとの関係が分かる。
【0023】
マーク200の寸法は既知なので、
図6の円224の中心と円222の中心との距離L
1は既知である。関係計算部420の処理が終了すると、円224の中心の位置での俯角θ
1、円222の中心の位置での俯角θ
2が分かるので、端末300と円224の中心と円222の中心で作る三角形が一意に決まる。したがって、端末300の高さH、端末300と円224の中心との距離X
1、端末300と円221の中心との距離X
2が分かる。また、実物の寸法とピクセルの関係も分かるので、端末300と位置情報計測装置100との距離X
2も分かる。さらには、画像から角度θ
3と角度θ
4との比も予測できるので、端末300と点920との距離X
3も分かる。よって、位置情報計測装置100と点920との距離D
1も分かる。
【0024】
距離D1を求めることができる手順であれば、上述の距離D1を求める手順に限定する必要はない。例えば、高さH、距離X1、距離X2、距離X4の一部もしくは全部を、巻尺などの計測ツールを用いてユーザが計測してもよい。その上で、円224の中心の位置での俯角θ1、円222の中心の位置での俯角θ2を求め、角度θ3と角度θ4との比を予測し、端末300と点920との距離X3、位置情報計測装置100と点920との距離D1を求めてもよい。
【0025】
マーク200の寸法は既知なので、
図7の円221の中心と円223の中心との距離L
2は既知である。画像から角度θ
5と角度θ
6を求めることができる。距離X
4と角度θ
5と距離L
2の関係の関係に基づき、距離X
3と角度θ
6の関係から距離D
2を求めればよい。なお、距離D
1を求める手順と同様に、異なる手順で距離D
2を求めてもよい。例えば、角度θ
7が直角である。距離X
3と角度θ
6が分かれば、点910,点920,端末300で作る三角形が決まる。したがって、距離D
2を求めることができる。このように他の手順で距離D
2を求めてもよい。
【0026】
位置情報計算部440は、対象設備900の位置情報を求める。より具体的には、対象設備の中心である点910の位置情報を求めればよい。点910は位置情報計測装置100よりも距離D1だけ南、距離D2だけ西に位置している。位置情報計測装置100の位置情報(緯度経度)から、単位距離当たりの緯度経度の変化は求めることができるので、距離D1と距離D2を用いて、点910の位置情報(緯度経度)を求めればよい。なお、位置情報算出支援装置400は、対象設備900の代わりに、指定された位置(指定位置)の位置情報を求めるために使用することもできる。
【0027】
設備情報データベース500は、設備を特定する識別子(例えば、設備名と番号)、位置情報(緯度経度)、他の設備との相対的な位置関係などを記録する。「他の設備との相対的な位置関係」とは、マンホールと管路の相対的な位置関係、管路と官民境界もしくは歩車道境界との距離などである。マンホールと管路の場合、管路が繋いでいる2つのマンホールの位置が高精度に特定できれば、管路の位置は特定できる。なお、「他の設備との相対的な位置関係」は電子データとして記録されているものだけでなく、紙に記録された情報の場合もあり得る。例えば、2つのマンホール間の管路の形状を示す設計図が古いときは原本が紙の場合もある。このような場合は、原本のまま保管していることもあり得るし、設計図を電子データ化して設備情報データベース500に記録していることもあり得る。
【0028】
同一の管理者が管理している設備が他の設備の場合、「他の設備との相対的な位置関係」は正確であり、相対的な位置関係は数cm程度よりも高い精度である。例えば、マンホールと管路の相対的な位置関係は、設備を構築した日が数十年前であっても正確である。一方、異なる管理者が管理している設備が他の設備の場合、「他の設備との相対的な位置関係」は、必ずしも正確ではない。例えば、管路と官民境界もしくは歩車道境界との距離の場合、設備を構築したときには正確であっても、その後道路の拡張工事、補修工事などがあると距離が変わることがある。しかし、道路の管理者が管路の管理者に工事したことを連絡することはないので、設備情報データベース500に記録されている情報は更新されない。よって、異なる管理者が管理している設備が他の設備の場合、「他の設備との相対的な位置関係」は、必ずしも正確ではない。
【0029】
[寸法が既知の複数の球をマークとして利用する場合]
マーク270は、寸法が既知の球である。
図8にマーク270を用いた場合の、端末で取得した画像の例を示す。マーク270を使用する場合は、位置情報計測装置100と、3個以上の寸法が既知の球状のマーク270-1~3と、方位を示す視認できる方位識別具231とを、位置情報計測装置100を所定の条件を満たす位置に、マーク270-1~3を同一線上に並ばないように、かつ方位識別具231を正しい方位に向くように配置する。方位識別具231は、棒状のものであればよい。
【0030】
マーク270-1~3は寸法が既知の球状(例えば、直径10cm)なので、画像311内の直径のピクセル数を求めれば、それぞれのマークの位置での実物の寸法と画像のピクセル(ドット数)との関係が分かる。
図8では、マーク270-1の直径d
1、マーク270-2の直径d
2、マーク270-3の直径d
3は実物では同じであるが、画像内では異なる。画像311内の実物の寸法とピクセルとの関係を利用して、マーク270-1とマーク270-2との南北方向の距離Y
2、東西方向の距離Z
2を求めることができる。同様に、マーク270-1とマーク270-3との南北方向の距離Y
3、東西方向の距離Z
3を求めることができる。同様に、位置情報計測装置100と点920との距離D
1、点920と点910との距離D
2も求めることができる。距離D
1と距離D
2は別の方法で求めてもよい。
【0031】
画像内位置特定部410は、画像311内のマーク270の位置、方位識別具231の位置、位置情報計測装置100の位置、対象設備の位置をユーザに特定させる。
図8の例では、マーク270-1~3の位置、方位識別具231の位置、位置情報計測装置100の位置、対象設備900の位置を特定する。
【0032】
方位特定部430は、画像311内の方位識別具に基づいて画像での方位を特定する。方位識別具231は棒状であり、一方の先端に印を付しておけばよい。例えば、ボールペンなどを方位識別具231として用いてもよい。
図8の例では、先端を北に向けている。棒状の方位識別具231が南北の方向を示している。
図8においては、点920は点910と同じ緯度であり位置情報計測装置100と同じ経度の点である。方位特定部430は、画像内位置特定部410の処理において特定された方位識別具231の位置、位置情報計測装置100の位置、点910の位置に基づいて、画面内で、点920を求めればよい。
【0033】
関係計算部420は、画像311内のマーク270に基づいて画像での実物の寸法とピクセルとの関係を求める。
図8の例では、マーク270-1~3は寸法が既知の球状なので、画像311内の直径のピクセル数を求めれば、それぞれのマークの位置での実物の寸法と画像のピクセル(ドット数)との関係が分かる。位置情報計算部440、設備情報データベース500の処理は、上述と同じである。距離D
1と距離D
2を用いて、点910の位置情報(緯度経度)を求めることができる。
【0034】
<設備情報データベースの構築、更新>
次に、高精度の位置情報を有する設備情報データベース500を構築する方法について説明する。
図9は、地上で視認できる設備の位置情報を求める位置情報取得方法の処理フローである。位置情報取得方法は、配置ステップ(S100)、画像取得ステップ(S200)、位置情報計測ステップ(S300)、位置情報算出ステップ(S400)を有する。
【0035】
マーク200,250を用いる場合は、配置ステップ(S100)では、ユーザが、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置100と、同一直線上には配置されていない3個以上の円または球を含むとともに方位を示す視認できる方位識別子が付された寸法が既知のマーク200,250とを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子230,280が正しい方位に向くように配置する。マーク270を用いる場合は、配置ステップ(S100)では、ユーザが、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置100と、3個以上の寸法が既知の球状のマーク270と、方位を示す視認できる方位識別具231とを、位置情報計測装置100を所定の条件を満たす位置に、マーク270を同一線上に並ばないように、かつ方位識別具231を正しい方位に向くように配置する。
【0036】
マーク200,250を用いる場合は、画像取得ステップ(S200)では、ユーザが端末300を用いて、位置情報を求める対象設備900とマーク200,250とが1つの画像内に含まれるように画像310を撮影する。マーク270を用いる場合は、画像取得ステップ(S200)では、ユーザが端末300を用いて、位置情報を求める対象設備900と3個以上のマーク270と方位識別具231が1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。位置情報計測ステップ(S300)では、位置情報計測装置100の位置情報(緯度経度)を計測する。
【0037】
位置情報算出ステップ(S400)では、ユーザが位置情報算出支援装置400を用いて以下の処理を行えばよい。マーク200,250を用いる場合は、画像310内のマーク200,250の円または球に基づいて画像310での実物の寸法とピクセルとの関係を分析する。画像310内のマーク200,250の方位識別子230,280に基づいて画像での方位を分析する。マーク270を用いる場合は、画像311内のマーク270に基づいて画像311での実物の寸法とピクセルとの関係を分析する。画像311内の方位識別具231に基づいて画像での方位を分析する。そして、いずれの場合も、計測した位置情報と、分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と画像310,311内での対象設備に基づいて、対象設備の位置情報を求める。詳細は、
図5~8を用いて説明したように行えばよい。
【0038】
図10に設備情報データベースに記録された設備の位置情報の精度を向上させる精度向上方法の処理フローを示す。精度向上方法は、配置ステップ(S100)、画像取得ステップ(S200)、位置情報計測ステップ(S300)、位置情報算出ステップ(S400)、第1位置情報更新ステップ(S500)、第2位置情報更新ステップ(S600)を有する。配置ステップ(S100)、画像取得ステップ(S200)、位置情報計測ステップ(S300)、位置情報算出ステップ(S400)は、
図9と同じである。
【0039】
第1位置情報更新ステップ(S500)では、設備情報データベース500に記録された対象設備の位置情報を、位置情報算出ステップ(S400)で求めた位置情報に更新する。第2位置情報更新ステップ(S600)では、対象設備との相対的な位置情報に基づいて、地上では視認できない地下設備の位置情報を更新する。つまり、更新された地上で視認できる設備の位置情報と、設備情報データベース500に記録された相対的な位置関係に基づいて、地上では視認できない設備(地下設備)の位置情報も更新する。例えば、マンホールの位置情報を更新した後に、マンホールと管路との相対的な位置関係を利用して管路の位置も更新すればよい。なお、第2位置情報更新ステップ(S600)は、設備情報データベース500に記録された相対的な位置情報を利用して設備情報データベース500が自動で行ってもよいし、紙などに記録された情報を利用してユーザが人手で行ってもよい。
【0040】
なお、第1位置情報更新ステップ(S500)では、対象設備の位置情報に近い設備情報データベース500に記録された複数の設備の設備特定情報と位置情報をユーザに示し、ユーザに位置情報を更新する設備を指定させてもよい。設備情報データベース500に記録されている位置情報の精度が低い場合、どの設備の位置情報を更新するのか、位置情報算出ステップ(S400)で求めた位置情報だけでは特定できない場合もある。ユーザが実際の設備の位置にいる場合や画像から設備を特定できる場合は、ユーザに位置情報を更新する設備を指定させれば、正しい設備を特定できる。
【0041】
上述の位置情報取得方法によれば、位置情報計測装置とマークを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子が正しい方位に向くように配置する。その上で、位置情報を求める対象設備とマークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。また、位置情報計測装置の位置情報を計測する。そして、画像を分析し、対象設備の位置情報を取得する。よって、対象設備自体が、所定の条件を満たす位置でない場合であっても、高精度に対象設備の位置情報を取得できる。したがって、できるだけ多くの位置において高精度で位置情報を取得することができる。また、他の設備との相対的な位置関係も利用するので、地上からは視認できない地下設備の位置情報も更新することができる。
【0042】
<掘削位置と地下設備との離隔距離>
次に、高精度の位置情報を有する設備情報データベース500を用いて、掘削位置(指定された位置)と地下設備との離隔距離を高い精度で求める方法について説明する。
図11に、地上で指定された位置である指定位置の位置情報を求める位置情報取得方法の処理フローを示す。指定位置として、掘削する位置を指定すればよい。位置情報取得方法は、配置ステップ(S110)、画像取得ステップ(S210)、位置情報計測ステップ(S310)、位置情報算出ステップ(S410)を有する。
【0043】
マーク200,250を用いる場合は、配置ステップ(S110)では、ユーザが、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置100と、同一直線上には配置されていない3個以上の円または球を含むとともに方位を示す視認できる方位識別子が付された寸法が既知のマーク200,250とを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子230,280が正しい方位に向くように配置する。マーク270を用いる場合は、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置100と、3個以上の寸法が既知の球状のマーク270と、方位を示す視認できる方位識別具231とを、位置情報計測装置100を所定の条件を満たす位置に、マーク270を同一線上に並ばないように、かつ方位識別具231を正しい方位に向くように配置する。
【0044】
マーク200,250を用いる場合は、画像取得ステップ(S210)では、ユーザが端末300を用いて、指定位置とマーク200,250とが1つの画像内に含まれるように画像310を撮影する。マーク270を用いる場合は、画像取得ステップ(S210)では、ユーザが端末300を用いて、指定位置と3個以上のマーク270と方位識別具231が1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。位置情報計測ステップ(S310)では、位置情報計測装置100の位置情報(緯度経度)を計測する。
【0045】
位置情報算出ステップ(S410)では、ユーザが位置情報算出支援装置400を用いて以下の処理を行えばよい。マーク200,250を用いる場合は、画像310内のマーク200,250の円または球に基づいて画像310での実物の寸法とピクセルとの関係を分析する。画像310内のマーク200,250の方位識別子230,280に基づいて前記画像での方位を分析する。マーク270を用いる場合は、画像311内のマーク270に基づいて画像311での実物の寸法とピクセルとの関係を分析する。画像311内の方位識別具231に基づいて画像での方位を分析する。そして、いずれの場合も、計測した位置情報と、分析した実物の寸法とピクセルとの関係と方位と画像310,311内での指定位置に基づいて、指定位置の位置情報を求める。詳細は、
図5~8を用いて説明したように行えばよい。
【0046】
図12に、設備情報データベースに記録された地下の設備と、地上で指定された位置である指定位置との水平方向の離隔距離を求める離隔距離取得方法の処理フローを示す。離隔距離取得方法は、配置ステップ(S110)、画像取得ステップ(S210)、位置情報計測ステップ(S310)、位置情報算出ステップ(S410)、離隔距離計算ステップ
(S510)を有する。配置ステップ(S110)、画像取得ステップ(S210)、位置情報計測ステップ(S310)、位置情報算出ステップ(S410)は、
図11と同じである。
【0047】
離隔距離計算ステップ(S510)では、設備情報データベース500に記録された地下の設備の位置情報と、位置情報算出ステップ(S410)で求めた位置情報とに基づいて、地下の設備と指定位置との離隔距離を求める。離隔距離計算ステップ(S510)は、設備情報データベース500に基づいた図面上に指定位置を入力して離隔距離をユーザが求めてもよいし、離隔距離を求めるプログラムによって、設備情報データベース500と指定位置から自動的に求めてもよい。
【0048】
本発明の位置情報取得方法によれば、位置情報計測装置とマークを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子が正しい方位に向くように配置する。その上で、位置情報を求める指定位置とマークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。また、位置情報計測装置の位置情報を計測する。そして、画像を分析し、指定位置の位置情報を取得する。よって、指定位置自体が、所定の条件を満たす位置でない場合であっても、高精度に指定位置の位置情報を取得できる。したがって、できるだけ多くの位置において高精度で位置情報を取得することができる。そして、高精度の位置情報を有する設備情報データベース500の位置情報と、高精度の指定位置の位置情報を用いるので、指定位置(掘削する位置)と地下設備との離隔距離を高精度に求めることができる。
【0049】
なお、
図13に、指定位置が所定の条件を満たす場合の設備情報データベースに記録された地下の設備と、指定位置との水平方向の離隔距離を求める離隔距離取得方法の処理フローを示す。この場合の離隔距離取得方法は、配置ステップ(S120)、位置情報計測ステップ(S320)、離隔処理計算ステップ(S520)を有する。
【0050】
配置ステップ(S120)では、ユーザが、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置を、所定の条件を満たす指定位置に配置する。位置情報計測ステップ(S320)では、位置情報計測装置100で指定位置の位置情報を計測する。離隔距離計算ステップ(S520)では、設備情報データベースに記録された地下の設備の位置情報と、位置情報計測ステップ(S320)で計測した位置情報とに基づいて、地下の設備と指定位置との離隔距離を求める。高精度の位置情報を有する設備情報データベース500の位置情報と、高精度の指定位置の位置情報を用いるので、指定位置(掘削する位置)と地下設備との離隔距離を高精度に求めることができる。
【0051】
[プログラム、記録媒体]
上述の各種の処理は、
図14に示すコンピュータ2000の記録部2020に、上記方法の各ステップを実行させるプログラムを読み込ませ、制御部2010、入力部2030、出力部2040、表示部2050などに動作させることで実施できる。
【0052】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
【0053】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0054】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0055】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 位置情報計測装置 200,250,270 マーク
210 板 221,222,223,224 円
230,280 方位識別子 231 方位識別具
260 棒 271,272,273,274 球
300 端末 310,311 画像
400 位置情報算出支援装置 410 画像内位置特定部
420 関係計算部 430 方位特定部
440 位置情報計算部 470 表示部
480 操作部 490 通信部
500 設備情報データベース 600 ネットワーク
【要約】
【課題】できるだけ多くの位置において高精度で位置情報を取得する。
【解決手段】本発明の位置情報取得方法は、配置ステップ、画像取得ステップ、位置情報計測ステップ、位置情報算出ステップを有する。配置ステップでは、所定の条件を満たす位置に配置したときに所定の精度で位置情報を計測する位置情報計測装置と、方位識別子が付された寸法が既知のマークとを、所定の条件を満たす位置に、方位識別子が正しい方位に向くように配置する。画像取得ステップでは、対象設備もしくは指定位置と、マークとが1つの画像内に含まれるように画像を撮影する。位置情報計測ステップでは、画像内での対象設備もしくは指定位置に基づいて対象設備の位置情報もしくは指定位置の位置情報を求める。
【選択図】
図1