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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/14 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
G01L19/14
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022009879
(22)【出願日】2022-01-26
(65)【公開番号】P2022115829
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-04-18
(31)【優先権主張番号】10 2021 101 883.8
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591005615
【氏名又は名称】ジック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュヴァイガー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ウェーバー
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-031003(JP,A)
【文献】米国特許第09841340(US,B1)
【文献】特開平11-118648(JP,A)
【文献】特開2003-294561(JP,A)
【文献】特開2004-053329(JP,A)
【文献】特開平11-183292(JP,A)
【文献】米国特許第06401543(US,B1)
【文献】特開2008-274996(JP,A)
【文献】特表2010-523972(JP,A)
【文献】特開2020-197308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御及び評価ユニット(3)を有するケーシング(2)を有する圧力センサ(1)であって、該圧力センサ(1)の前記ケーシング(2)に数の圧力接続部(4)が配置されており、各圧力接続部(4)に圧力測定セル(5)が割り当てられており、前記圧力測定セル(5)が前記制御及び評価ユニット(3)と接続されており、該圧力センサ(1)が少なくとも1つのデジタル出力インターフェイス(6)を備えている圧力センサ(1)において、少なくとも1つの圧力接続部(4)が圧力配管(21)を押し込むための接続部であり、前記圧力配管(21)が工具なしで手で取り付け可能であり、該圧力配管(21)が前記圧力接続部(4)のパッキング(22)により取り囲まれ、引き抜けから防護されていること、少なくとも1つの別の圧力接続部(4)が、G1/4IG型(8)、G1/4AG型(9)又は1/4インチNPT型(10)の圧力接続部(4)であること、及び異なる圧力範囲に対して異なる圧力接続部(4)が割り当てられていること
を特徴とする圧力センサ(1)。
【請求項2】
第1の圧力範囲が0~10バールの範囲であり、第2の圧力範囲が0~16バールの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ(1)。
【請求項3】
2つの圧力接続部(4)の間で差圧測定が実行可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧力センサ(1)。
【請求項4】
前記出力インターフェイス(6)が少なくとも1つのIOリンクインターフェイス(11)であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項5】
前記出力インターフェイス(6)が少なくとも1つのイーサネットインターフェイス(12)であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項6】
前記出力インターフェイス(6)が少なくとも1つのフィールドバスインターフェイスであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項7】
前記ケーシング(2)に少なくとも操作キー(14)が配置されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項8】
前記ケーシング(2)に少なくとも1つの平らな表示画面(15)が配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項9】
前記制御及び評価ユニット(3)がプログラム可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項10】
前記ケーシング(2)内に少なくとも1つの温度センサ(16)が配置されており、該温度センサ(16)が前記制御及び評価ユニット(3)と接続されていることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項11】
前記ケーシング(2)内に少なくとも1つの振動センサ(17)が配置されており、該振動センサ(17)が前記制御及び評価ユニット(3)と接続されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項12】
前記圧力測定セル(5)の前記圧力接続部(4)がゴム管(19)を介して前記ケーシング(2)と接続されており、複数の圧力測定セル(5)が共通の回路基板(18)上に固定されていることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【請求項13】
前記圧力測定セル(5)の前記圧力接続部(4)が前記ケーシング(2)と直接接続されており、各圧力測定セル(5)がそれぞれ独自の回路基板(18)上に配置されていることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の圧力センサ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御及び評価ユニットを有するケーシングを有する圧力センサであって、該圧力センサのケーシングに多数の圧力接続部が配置されている、請求項1のプレアンブルに記載の圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の圧力測定箇所を評価するため、工業的自動化技術の分野における従来技術では多数の単一チャネル型センサが測定箇所に用いられる。個々の圧力センサの信号が一又は複数の中央制御装置によりまとめられ、評価されて、その結果が転送される。
【0003】
このようにすると、多数の単一チャネル型センサを配置しなければならないため広いスペースが必要になる。同様に、それには多数の固定作業が必要であるとともにコストのかかる大量の取り付け材料が必要になるため、高い組立てコストを伴う。更に、個々の単一チャネル型センサをそれぞれ電気的に接続しなければならないため、配線コストが高いという欠点もある。評価には多数の入力及び出力を有する大型の制御装置が必要である。更に制御装置を複雑にプログラミングする必要がある。また、非常に多くのセンサに依存しているため平均故障時間(mean time to failure: MTTF)が短くなる。
【0004】
特許文献1は、複数の異なる空気流の1つをそれぞれ取り込むために構成された複数の空気入口を含む圧力測定機を開示している。圧力測定装置の駆動を測定駆動モードと点検駆動モードとの間で切り替えるために構成されたバルブ装置が設けられている。このバルブ装置は、空気入口にそれぞれ接続された複数の入口であって、各々の空気入口から空気を取り込むように構成された複数の入口と、多数の出口とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】US 9841340 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、複数の圧力チャネルを把握するための低コストでコンパクトなセンサのソリューションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1に記載の、制御及び評価ユニットを有するケーシングを有する圧力センサにより解決される。該圧力センサのケーシングには多数の圧力接続部が配置されており、各圧力接続部には圧力測定セルが割り当てられており、それらの圧力測定セルは制御及び評価ユニットと接続されており、該圧力センサは少なくとも1つのデジタル出力インターフェイスを備えており、少なくとも1つの圧力接続部が圧力配管を押し込むための接続部であり、前記圧力配管は工具なしで取り付け可能であり、該圧力配管は前記圧力接続部のパッキングにより取り囲まれ、引き抜けから防護されている。
【0008】
本発明に係る圧力センサは、極めて狭い空間において多数の圧力測定を行う必要がある場所で用いることができる。その場合、例えば4、8、16、32又はそれ以上の多くの個別の圧力測定を並列に行うことがあり得る。
【0009】
このような応用の一例として複数の空気式真空グリッパーから成るマトリクスが挙げられる。これらのグリッパーは例えば4行8列のラスタ状に配置されている。このような設備は、どのグリップ過程が首尾よく実行されたかというフィードバックを受け取る。
【0010】
別の応用はインダストリー4.0の状況から生まれる。そこでは設備及びその構成要素の状態に関する推論を得るために追加の測定データを取得することが問題となる。ここでも本発明により多数の圧力測定点を簡単に且つ集中方式で用意することができる。
【0011】
本発明によれば圧力センサにおけるデータの取得のみが多重化される。制御及び評価ユニットによるデータ評価及びデータ出力並びにケーシングは簡単な実装で済む。これにより同一のケーシング内で複数の圧力値又はプロセス値を検出することができる。
【0012】
データ評価及びデータ出力のために制御及び評価ユニットを1つだけ用いることで、製造コスト並びに設置スペースを節約する明らかな可能性が生まれる。全ての構成要素に対して1つのケーシングを用いることで、機械的な構造が簡単になるとともに、必要なプラグ接続の数や潜在的な間違いの原因が少なくなる。複数の圧力測定を1つのケーシング内に収めることでスケーリング上の利点も生まれる。
【0013】
圧力接続部は圧力配管を押し込むための接続部であり、その圧力配管は工具なしで取り付け可能であり、該圧力配管は前記圧力接続部のパッキングにより取り囲まれ、引き抜けから防護されている。このような圧力接続部は押込嵌め(Push-In-Fitting)接続部とも呼ばれる。接続すべき圧力配管の取り付けは工具を必要とせず、素手で行うことができる。そのためには圧力配管を円筒状の受容部に押し込む。押し込みの際、圧力配管は少なくとも1つのリング状のパッキングにより取り囲まれると同時に、例えば、挿入された圧力配管により押しのけられる又は折り曲げられる内方に向いたロック用留め金を有するリング状のロックリングでロックされる。ゴム管の表面で引っ張られるとロック用留め金は圧力配管の表面に食い込み又は引っ掛かり、引き抜けを防止する。
【0014】
圧力配管を引き抜くために、同様に工具を使わずに手動で操作できるリング状のロック解除装置が圧力接続部に設けられている。リング状のロック解除装置を圧力接続部に向けて押すと、ロック解除装置のロック用留め金が圧力配管の表面から離れる。そうなると圧力配管はもはやロックされておらず、該圧力配管を素手で外して圧力接続部から引き抜くことができる。
【0015】
圧力接続部が簡素であり且つ圧力配管が可撓性を持つことから、圧力接続部は簡単に使用することができる。該圧力接続部を正確に位置決めする必要はなく、ネジ接続部分はなく、接続作業は工具なしで行うことができる。
【0016】
圧力接続部は例えば絶対圧力測定のために設けられている。その場合、各圧力接続部に属する圧力測定セルがそれぞれ制御及び評価ユニットにより読み取られ、その測定値が制御及び評価ユニットにより出力インターフェイスに供給又は出力される。
【0017】
もっとも、圧倒的多数を相対圧力測定のために配分することが好ましく、その場合、個々の圧力測定セルは周囲の圧力に対して相対的に測定を行う。この相対測定は気体力学において非常に有用である。
【0018】
圧力測定セルは例えばSMD部品として入手され、回路基板上に装着される。統合型の圧力測定セルは以下のようなものとすることができる。
【0019】
プロセスへの適合はケーシングにぴったりと気密に統合されるSMD部品の上面の受容部によって行われる。そのために、例えばOリングを圧力測定セルの突出部の周囲に装着する。Oリングはケーシングに形成された空所内で該ケーシング(特に圧力接続部)とSMD型圧力測定セルとの間を密閉する働きをする。その後、回路基板がプロセス接続部の領域においてケーシングに強固にネジで固定される。
【0020】
この適合は、回路基板間の位置公差、回路基板上でのSMD部品の装着公差、部品の公差及びケーシングの公差を補償すると同時にプロセス圧力の耐圧性を保障するものでもなければならない。
【0021】
前記ケーシングと多数の圧力接続部を有する本発明に係る圧力センサはコンパクトな装置であり、従来技術によって個々のケーシングに個々のセンサを収めたものよりも設置スペースが少なくて済む。本発明に係る圧力センサは製造において有利であるためユーザに対してより安価に提供可能である。また、必要な配線コスト及び組立てコストがより少ないため、統合、つまり設備への組み込みがより容易である。また、組み込まなければならない個別構成部品の数が少ないため、間違いがより発生しにくい。また、制御及び評価ユニットを1つしか必要としないから、パラメータ設定に必要なコストも少なくなる。
【0022】
本発明の発展形態では、少なくとも1つの別の圧力接続部が、前記圧力センサのG1/4IG型、G1/4AG型又は1/4インチNPT型の圧力接続部である。これにより、圧力センサ上に異なる接続部が用意され、それによって該圧力センサが多面的に利用可能になる。
【0023】
G1/4IG型の接続部は1/4インチ内ネジを有する高圧接続用の接続部である。この内ネジでの螺合により、安定でありながらも簡単に解除できる、高圧に適した圧力接続部が得られる。
【0024】
G1/4AG型の接続部は1/4インチ外ネジを有する高圧接続用の接続部である。
【0025】
1/4インチNPT型の接続部は1/4インチ外ネジを有する高圧接続用の接続部である。この外ネジでの螺合により、安定でありながらも簡単に解除できる、高圧に適した圧力接続部が得られる。このような高圧用続部は最大数百バールの圧力に対応して設計することができる。
【0026】
本発明の発展形態では、異なる圧力範囲に対して異なる圧力接続部が割り当てられている。これにより、単一の圧力センサで異なる圧力範囲を評価し、監視することができる。これにより圧力センサが多面的に使用可能になる。
【0027】
本発明の発展形態では、少なくとも1つの第1の圧力範囲が0~10バールの範囲であり、少なくとも1つの第2の圧力範囲が0~16バールの範囲である。0~10バールの圧力範囲は例えば機械において空気圧を利用するために最もよく選ばれる圧力範囲である。通常、設備内の圧力は6~7バールになる。発生する圧力ピークをコントロールするため、大抵は0~10バールを選ぶことでより頑強な圧力センサにする。0~16バールの圧力範囲は空気圧の供給の際、即ち個々の設備の圧力低減装置の手前で生じる。
【0028】
本発明の発展形態では、2つの圧力接続部の間で差圧測定が実行可能である。
【0029】
その場合、例えば2つの圧力接続部又は2つの圧力チャネルが差圧測定のために考慮される。その場合、例えば、2つの圧力チャネル又は2つの圧力測定セルが1つのデジタルの差圧測定値をその都度絶対値として出力するという、デジタル式の差圧測定が行われる。これは「電気的な差圧(electrical differential pressure)」とも呼ばれる。これは例えば全ての圧力接続部について可能であり、その際、圧力接続部の2つずつが1つの差圧チャネルを形成する。この差圧チャネルは全ての測定範囲に対して設けることができる。
【0030】
差圧測定では、圧力チャネル毎に2つの圧力接続部又はプロセス接続部が自由に用いられる。本圧力センサは、2つのプロセス接続部の間の差を単一の圧力測定セルで測定すること、つまり相対測定を行うこともできる。これは、圧力チャネル毎に圧力測定セルが1つだけで済むという点で絶対測定に比べて有利である。1つの圧力測定セルを用いた差圧測定の大きな利点は、個別測定の誤差がなく、測定範囲をずっと小さく選択できるため、差圧をはるかに正確に測定できるということである。2つの独立した圧力測定セルを用いた差圧測定、つまりそれぞれ絶対圧力測定を行うと、より高い測定精度が得られる。
【0031】
また、2つの圧力接続部の間で簡単な流量測定を行うようにすることができる。それには、圧力接続部の間に絞りを配置するとともに、流量を求めるように圧力測定セルを構成する。これは特に0~0.5バールの小さい測定範囲に対して設けられる。
【0032】
例えば、差圧測定として本物の差圧測定を行うようにする。その場合、圧力測定セルとして差圧測定セルが用いられる。これは2つの圧力接続部を使用し、2つの圧力の間の差圧を求める。この測定は非常に精確であり、また小さい測定範囲に対して利用可能である。この形態は圧力チャネル毎に2つの圧力接続部又はプロセス接続部と特別な測定セルを必要とする。従って、この方法は技術的により高精度ではあるが、古典的な相対圧力測定には用いることができない。
【0033】
デジタル式の差圧測定では圧力測定セルとして2つの相対圧力測定セルが用いられる。これらは両方とも個別に評価される。差分の計算はその後で両方の圧力値の差し引きにより行われる。本物の差圧測定に比べてここではそれほど正確な測定値は得られない。従ってこのやり方は小さい測定範囲にはあまり適していない。この機能は例えば評価ソフトウェア等の評価部を通じて実行される。従って、製品を顧客の希望に個別に適合させることができる。
【0034】
先に挙げた差圧測定は流量測定の場合に応用できる。この種の流量測定には差圧が必要である。この差圧は2つの測定位置の間で捕らえられるが、その一方の測定位置は絞り(例えば測定チャネル内の規定の不連続箇所又は先細り部分)の手前にあり、他方の測定位置は絞りの後ろにある。圧力降下に関する情報、並びにモデル即ち絞りの幾何学的形態に関する情報が分かっていれば、流量を推定することができる。差圧はここでは非常に小さくなるから、本物の差圧測定の方が良い結果が得られる。
【0035】
同じ原理でフィルタの監視が機能する。ここではフィルタの手前での圧力測定とフィルタの後ろでの圧力測定が行われる。フィルタが汚れると、詰まって抵抗が大きくなる。抵抗が増大するとフィルタを通過する際の圧力降下がより大きくなる。
【0036】
差圧測定セルを用いれば流量測定及びフィルタの監視のいずれについてもより良い結果を得ることができる。
【0037】
本発明の発展形態では前記出力インターフェイスが少なくとも1つのIOリンクインターフェイスである。IOリンクとは、IEC規格61131-9に「Single-drop digital communication interface for small sensors and actuators(SDIC)」という名称で規定されている、インテリジェントなセンサ及びアクチュエータを自動化システムに接続するための通信システムの呼称である。この規格化には電気的な接続データの他、センサ及びアクチュエータが自動化システムとデータ交換に入る際のデジタル通信プロトコルも含まれている。
【0038】
IOリンクシステムはIOリンクマスタと一又は複数のIOリンク機器、即ちセンサ類(つまり圧力センサ又はアクチュエータ)から成る。IOリンクマスタは例えば上位の制御装置(メモリプログラム可能な制御装置:speicherprogrammierbare Steuerung, SPS)に対してインターフェイスを利用可能にし、接続されたIOリンク機器(特に圧力センサ)との通信を制御する。
【0039】
IOリンクマスタは、それぞれデバイスを1つだけ接続できる一又は複数のIOリンクポートを有するものとすることができる。これは、集線装置として旧来の接続方式のセンサ及びアクチュエータを接続可能にするハブとすることもできる。
【0040】
IOリンク機器はIOリンク接続部を有するインテリジェントなセンサ、即ち圧力センサ、アクチュエータ、ハブ、又は、双方向通信によるものに限られるがメカトロニクス部品(例えばグリッパー)若しくは電源アダプタとすることができる。IOリンクに関して「インテリジェントな」とは、機器、即ち圧力センサが識別データ(例えば型記号及びシリアル番号)又はパラメータデータ(例えば感度、伝搬遅延又は特性曲線)を有しており、それらをIOリンクプロトコルで読み出したり書き込んだりできるということである。これを用いてパラメータの変更をSPSによって部分的に駆動中に行うことができる。また、「インテリジェントな」とは圧力センサが詳細な診断情報を出力できるという意味でもある。
【0041】
センサ、特に圧力センサ及びアクチュエータのパラメータは機器及び技術に特有のものであり、故に、記述言語XMLを用いたIODD(IO Device Description)の形のパラメータ情報が機器毎に存在する。
【0042】
IOリンクを介して32バイトまでのプロセスデータを表現することができる。伝送される圧力値の感度限界に応じてプロセスデータ内に編入可能な圧力値の数が段階的に変わる。以下の表に例示的な値をまとめて示す。
【表1】
【0043】
既に触れたように、多数の圧力測定箇所を有するハンドリングユニットは多チャネル型圧力センサの有利な応用である。その場合、圧力センサは直接グリッパー又はロボットアーム上に配置される。ハンドリングユニットのこの箇所には機械制御装置により操作しなければならないアクチュエータ系乃至は制御要素もある。ハンドリングユニットと制御装置の間の配線コストを更に抑えるために、本圧力センサは電気的な出力信号を提供する。
【0044】
インターフェイス、特にIOリンクインターフェイスを介して、圧力センサのためのパラメータ入力が設けられており、これを用いて制御装置が圧力センサの出力を切り替えることができる。
【0045】
前記出力信号を用いて空気圧弁又は電気的なアクチュエータを切り替えることができる。グリッパーの位置情報等、他のセンサ信号を評価するために追加のデジタル入力信号があれば有利になり得る。
【0046】
もっとも、圧力センサは例えばデジタル入力とデジタル出力を備えるものとすることもできる。圧力センサが、例えばIOリンクインターフェイスと、例えば8つのデジタル入力及び出力を利用できるものとすると、ユーザはIOリンクを介してそれら8つの入力及び出力を読み取ったり操作したりできる。
【0047】
本発明の発展形態では出力インターフェイスが少なくとも1つのイーサネットインターフェイスである。
【0048】
イーサネットはケーブル接続式データネットワークのためのソフトウェア(プロトコル等)とハードウェア(ケーブル、分配器、ネットワークカード等)を規定した技術であり、LAN技術とも呼ばれる。これは、ローカルネットワーク(LAN)に接続された機器(つまり圧力センサ及び他の機器、例えば上位の制御装置)の間でデータフレームの形でデータ交換を行うことを可能にする。現在、1、10、100メガビット/秒(ファストイーサネット)、1000メガビット/秒(ギガビットイーサネット)、2.5、5、10、40、50、100、200及び400ギガビット/秒という転送速度が規定されている。
【0049】
イーサネットプロトコルには、ケーブル形式及びプラグに関する規定、並びに転送形式、つまりビット転送層上の信号及びパケットフォーマットに関する規定が含まれる。OSIモデルでは物理層(OSIレイヤ1参照)及びデータリンク層(OSIレイヤ2参照)がイーサネットに関して規定されている。イーサネットはIEEE規格802.3に最も広く対応する。
【0050】
イーサネット機器はイーサネット接続部を有するインテリジェントなセンサ、つまり圧力センサ、アクチュエータ、ハブ、又は、双方向通信によるものに限られるがメカトロニクス部品(例えばグリッパー)とすることができる。イーサネット機器に関して「インテリジェントな」とは、機器、即ち圧力センサが識別データ(例えば型記号及びシリアル番号)又はパラメータデータ(例えば感度、伝搬遅延又は特性曲線)を有しており、それらをイーサネットプロトコルで読み出したり書き込んだりできるということである。これによりパラメータの変更をSPSによって部分的に駆動中に行うことができる。また、「インテリジェントな」とは圧力センサが詳細な診断情報を出力できるという意味でもある。
【0051】
センサ、特に圧力センサ及びアクチュエータのパラメータは機器及び技術に特有のものであり、故に、記述言語XMLを用いた機器記述の形のパラメータ情報が機器毎に存在する。
【0052】
監視に応用するには、ここでhttp、MQTT、OPC UA、Modbusといった、リアルタイム通信ができないプロトコルが想定されるであろう。
【0053】
本発明の発展形態では、出力インターフェイスが少なくとも1つのフィールドバスインターフェイスである。フィールドバスは、設備内でフィールド機器(圧力センサ又は他のセンサ、測定素子、及び、制御要素乃至はアクチュエータ)を通信のために自動化機器と接続するバスシステムである。複数の通信参加者がその情報を同じ配線を通じて送信する場合、誰がどの識別標識で何(つまり測定値と命令)をいつフィールドバス上で転送するかを確定しなければならない。そのためには規格化されたプロトコルが想定される。
【0054】
想定されるフィールドバスには例えばProfibus、Interbus、CANopen、EtherCAT、Ethernet/IP、PROFINET等がある。
【0055】
本発明の発展形態では、ケーシングに少なくとも操作キーが配置されている。この操作キーを用いて圧力センサの操作、パラメータ設定又は構成を簡単に行うことができる。例えば操作キーはメンブレインキー又は容量型キー等として構成される。
【0056】
本発明の発展形態では、ケーシングに少なくとも1つの平らな表示画面が配置されている。この平らな表示画面は例えば空間的に前記操作キーに割り当てられている。表示画面と操作キーが一緒になって、パラメータ又は構成を入力するための操作インターフェイスになり、また診断情報を出力するための操作インターフェイスにもなる。
【0057】
本発明の発展形態では、制御及び評価ユニットがプログラム可能である。そのために制御及び評価ユニットはメモリを備えている。特に制御及び評価ユニットはユーザプログラムを保存して実行するための追加のプログラムメモリも備えている。ユーザプログラムは圧力センサの制御及び評価ユニット上で実行することができる。それ故、ユーザ又は顧客の個人のプログラムを圧力センサに容易に統合することができる。これにより、既にユーザプログラムに従って出力信号をデジタル出力インターフェイス上に生成することができる。
【0058】
もっとも、圧力センサが、いずれにせよ設けられているファームウェアを介して制御及び評価ユニット内でプログラム可能であるようにすることもできる。このためにウェブベース又はブラウザベースのプログラミングインターフェイスを設けることができる。
【0059】
本発明の発展形態では、ケーシング内に少なくとも1つの温度センサが配置されており、該温度センサは制御及び評価ユニットと接続されている。
【0060】
ここでは例えばプロセス温度を検出することができる。例えば、圧力媒体の温度を直接検出することにより、プロセスに関する有用な追加情報が利用可能になる。
【0061】
また、例えば周囲温度を検出することもできる。このようにしても同様に追加の有用なプロセスパラメータが利用可能になる。
【0062】
前記温度は例えば連続的に又は巡回的に検出され、評価される。
【0063】
本発明の発展形態では、ケーシング内に少なくとも1つの振動センサが配置されており、該振動センサは制御及び評価ユニットと接続されている。
【0064】
前記振動センサは例えば圧力センサのケーシングに直接結合されている。このようにすればプロセスに生じた振動を記録して分析することができる。
【0065】
本発明の発展形態では、圧力測定セルの圧力接続部がゴム管を介してケーシングと接続されており、複数の圧力測定セルが共通の回路基板上に固定されている。
【0066】
圧力測定セルとケーシングを例えばゴム管を介して柔軟に接続することにより、プリント回路基板とケーシングの間の公差を補うことができる。特に温度変化が大きい場合、それと共に生じる機械的なずれを補うことができる。
【0067】
本発明の発展形態では、圧力測定セルの圧力接続部がケーシングと直接接続されており、各圧力測定セルがそれぞれ独自の回路基板上に配置されている。
【0068】
ここでは各圧力測定セルがそのプロセス接続部でケーシング内に直接ネジで固定される。圧力測定セル回路基板並びに基本モジュール回路基板の接続は例えばコネクタ又はフラットリボンケーブルを介して行い、これにより公差を補うことができる。
【0069】
これにより、内部構成が同じであって圧力接続部の個数が異なる圧力センサを実現できる段階的な製造が可能な解決策が提供される。これにより圧力センサの様々な変形を数多く作ることができる。そのためには、圧力センサの製造のために基本モジュールを用意し、それを任意の個数の圧力測定セルと接続する又は組み合わせる。これによりユニットシステムが作られる。
【0070】
本発明の発展形態では、圧力測定セルの圧力接続部がケーシングと直接接続されており、複数の圧力測定セルが共通の回路基板上に固定されており、該回路基板が前記複数の圧力測定セルの回路基板部分の間に接続ブリッジを備えている。
【0071】
ここでは全ての構成要素が1つの回路基板上に装着される。公差の補償は、例えば切削により機械的に回路基板の一部を除去して、その結果残った接続部が接続ブリッジとなるようにしたり、部分的に(例えば接続箇所において)可撓性を持つ回路基板を用いることにより接続ブリッジを形成したりすることにより機能する。
【0072】
もっとも、単に完全に可撓性を持つ回路基板を用いるようにすることも可能である。
【0073】
以下、本発明について、更なる利点及び特徴をも考慮しつつ、実施例に基づき、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】圧力センサの概略図。
図2】圧力センサの別の概略図。
図3】圧力接続部の概略図。
図4】使用中の圧力センサの概略図。
図5】圧力センサのケーシング。
図6】操作キーと表示画面を有する圧力センサのケーシング。
図7】圧力測定セルの例。
図8】圧力測定セルを有する1つの回路基板の概略図。
図9】圧力測定セルを有する1つの回路基板の概略図。
図10】圧力測定セルを有する複数の回路基板の概略図。
図11】接続ブリッジと圧力測定セルを有する1つの回路基板の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下の図において同一の部分には同一の符号が付されている。
【0076】
図1は制御及び評価ユニット3を有するケーシング2を有する圧力センサ1を示している。圧力センサ1のケーシング2には多数の圧力接続部4が配置されており、各圧力接続部4には圧力測定セル5が割り当てられており、それらの圧力測定セル5は制御及び評価ユニット3と接続されており、圧力センサ1は少なくとも1つのデジタル出力インターフェイス6を備えており、少なくとも1つの圧力接続部4が圧力配管21を押し込むための接続部であり、圧力配管21は工具なしで取り付け可能であり、圧力配管21は圧力接続部4のパッキング22により取り囲まれ、引き抜けから防護されている。
【0077】
そこでは例えば4、8、16、32又はそれ以上の多くの個別の圧力測定を並列に行うことができる。図1では例として8個の圧力接続部4が描かれている。
【0078】
図4は圧力センサ1を真空グリッパー28、メモリプログラム可能な制御装置29及びクラウド30と共に用いたところを示している。このような応用の一例として複数の空気式真空グリッパーから成るマトリクスが挙げられる。これらのグリッパーは例えば4行8列のラスタ状に配置されている。このような設備は、どのグリップ過程が首尾よく実行されたかというフィードバックを受け取る。
【0079】
制御及び評価ユニット3によるデータ評価及びデータ出力並びにケーシング2は簡単な実装で済む。これにより同一のケーシング2内で複数の圧力値又はプロセス値を検出することができる。
【0080】
図5は例として、取り付け枠又は保護枠に装着された、圧力接続部4を有するケーシング2を示している。
【0081】
図6は例として、取り付け枠又は保護枠に装着された、圧力接続部4を有するケーシング2であって、表示画面15と操作キー14を備えるケーシングを示している。操作キー14を用いて圧力センサ1の操作、パラメータ設定又は構成を簡単に行うことができる。例えば操作キー14はメンブレインキー又は容量型キー等として構成される。平坦な表示画面15は例えば空間的に操作キー14に割り当てられている。表示画面15と操作キー14が一緒になって、パラメータ又は構成を入力するための操作インターフェイスとなり、そして例えば診断情報、プロセスデータ、圧力値及び/又は温度値を出力するための操作インターフェイスにもなる。
【0082】
図2に示した制御及び評価ユニット3はプログラム可能である。そのために制御及び評価ユニット3はメモリ23を備えている。特に制御及び評価ユニット3はユーザプログラムを保存して実行するための追加のプログラムメモリ24も備えている。ユーザプログラムは圧力センサ1の制御及び評価ユニット上で実行することができる。それ故、ユーザ又は顧客の個人のプログラムを圧力センサ1に容易に統合することができる。これにより、既にユーザプログラムに従って出力信号をデジタル出力インターフェイス上に生成することができる。
【0083】
もっとも、圧力センサ1が、いずれにせよ設けられているファームウェアを介して制御及び評価ユニット3内でプログラム可能であるようにすることもできる。このためにウェブベース又はブラウザベースのプログラミングインターフェイスを設けることができる。
【0084】
図3に示した圧力接続部4は圧力配管21を押し込むための接続部であり、その圧力配管21は工具なしで取り付け可能であり、該圧力配管は圧力接続部4のパッキング22により取り囲まれ、引き抜けから防護されている。このような圧力接続部4は押込嵌め(Push-In-Fitting)接続部とも呼ばれる。接続すべき圧力配管21の取り付けは工具を必要とせず、素手で行うことができる。そのためには圧力配管21を円筒状の受容部に押し込む。押し込みの際、圧力配管21は少なくとも1つのリング状のパッキング22により取り囲まれると同時に、例えば、挿入された圧力配管21により押しのけられる又は折り曲げられる内方に向いたロック用留め金26を有するリング状のロックリング25でロックされる。ゴム管の表面で引っ張られるとロック用留め金26は圧力配管21の表面に食い込み又は引っ掛かり、引き抜けを防止する。
【0085】
圧力配管21を引き抜くために、同様に工具を使わずに手動で操作できるリング状のロック解除装置27が圧力接続部4に設けられている。リング状のロック解除装置27を圧力接続部4に向けて押すと、ロックリング25のロック用留め金26が圧力配管21の表面から離れる。そうなると圧力配管21はもはやロックされておらず、該圧力配管21を素手で外して圧力接続部4から引き抜くことができる。
【0086】
圧力接続部4が簡素であり且つ圧力配管21が可撓性を持つことから、圧力接続部4は簡単に使用することができる。該圧力接続部4を正確に位置決めする必要はなく、ネジ接続部分はなく、接続作業は工具なしで行うことができる。
【0087】
圧力接続部4は好ましくは相対圧力測定のために設けられている。その場合、周囲に対して相対圧力測定を行う。各圧力接続部4に属する圧力測定セル5がそれぞれ制御及び評価ユニット3により読み取られ、その測定値が制御及び評価ユニット3により出力インターフェイス6に供給又は出力される。読み取りと出力の間に例えば更に何らかの処理、フィルタリング、スケーリング及び/又は較正が行われる。
【0088】
圧力測定セル5は例えば図7のようにSMD部品として入手され、図8のように回路基板18上に装着される。統合型の圧力測定セル5は以下のようなものとすることができる。
【0089】
プロセスへの適合はケーシング2にぴったりと気密に統合される図7のようなSMD部品の上面の受容部によって成される。そのために、例えばOリング31を圧力測定セル5の突出部の周囲に装着する。Oリング31はケーシング2に形成された空所内で該ケーシング2(特に圧力接続部4)とSMD型圧力測定セルとの間を密閉する働きをする。その後、回路基板18がプロセス接続部の領域においてケーシング2に強固にネジで固定される。
【0090】
この適合は、回路基板18間の位置公差、回路基板18上でのSMD部品の装着公差、部品の公差及びケーシングの公差を補償すると同時にプロセス圧力の耐圧性を保障するものでもなければならない。
【0091】
図2では、少なくとも1つの別の圧力接続部が、圧力センサ1のG1/4IG型8、G1/4AG型9、又は1/4インチNPT型10の圧力接続部4である。これにより、圧力センサ1上に異なる接続部が用意され、それによって該圧力センサ1は多面的に利用可能である。
【0092】
G1/4IG型8の接続部は1/4インチ内ネジを有する高圧接続用の接続部である。G1/4AG型9の接続部は1/4インチ外ネジを有する高圧接続用の接続部である。1/4インチNPT型10の接続部は1/4インチ外ネジを有する高圧接続用の接続部である。
【0093】
図2では、例として異なる圧力範囲に対して異なる圧力接続部4が割り当てられている。これにより、単一の圧力センサ1で異なる圧力範囲を評価し、監視することができる。例えば、少なくとも1つの第1の圧力範囲が0~10バールの範囲であり、少なくとも1つの第2の圧力範囲が0~16バールの範囲である。他にもまだ、例えば0~1バール、0~6バール、0~16バール、-1~0バール、-1~1バール、又は-1~10バールといった圧力範囲がある。
【0094】
例えば、2つの圧力接続部4の間で差圧測定が実行可能である。その場合、例えば2つの圧力接続部4又は2つの圧力チャネルが差圧測定のために考慮される。その場合、例えば、2つの圧力チャネル又は2つの圧力測定セル5が1つのデジタルの差圧測定値をその都度絶対値として出力するという、デジタル式の差圧測定が行われる。それは例えば全ての圧力接続部4について可能であり、その際、圧力接続部4の2つずつが1つの差圧チャネルを形成する。この差圧チャネルは全ての測定範囲に対して設けることもできる。
【0095】
差圧測定では、例えば圧力チャネル毎に2つの圧力接続部4又はプロセス接続部が自由に用いられる。本圧力センサ1は、2つのプロセス接続部の間の差を単一の圧力測定セル5で測定すること、つまり相対測定を行うこともできる。これは、圧力チャネル毎に圧力測定セル5が1つだけで済むという点で絶対測定に比べて有利である。2つの独立した圧力測定セル5を用いた差圧測定、つまりそれぞれ絶対圧力測定を行うと、より高い測定精度が得られる。
【0096】
また、2つの圧力接続部4の間で簡単な流量測定を行うようにすることができる。それには、圧力接続部4の間に絞りを配置するとともに、流量を求めるように圧力測定セル5を構成する。これは特に0~0.5バールの小さい測定範囲に対して設けられる。
【0097】
図4では出力インターフェイスは例えばIOリンクインターフェイス11である。IOリンクを介して32バイトまでのプロセスデータを表現することができる。伝送される圧力値の感度限界に応じてプロセスデータ内に編入可能な圧力値の数が段階的に変わる。
【0098】
既に触れたように、多数の圧力測定箇所を有するハンドリングユニットは多チャネル型圧力センサ1の有利な応用である。その場合、圧力センサ1は直接グリッパー又はロボットアーム上に配置される。ハンドリングユニットのこの箇所には機械制御装置により操作しなければならないアクチュエータ系もある。ハンドリングユニットと制御装置の間の配線コストを更に抑えるために、本圧力センサ1はIOリンクインターフェイス11の電気的な出力信号を提供する。
【0099】
インターフェイス、特にIOリンクインターフェイス11を介して、圧力センサ1のためのパラメータ入力が設けられており、これを用いて制御装置が圧力センサ1の出力を切り替えることができる。
【0100】
IOリンクインターフェイス11の出力信号を用いて空気圧弁又は電気的なアクチュエータを切り替えることができる。グリッパーの位置情報等、他のセンサ信号を評価するために追加のデジタル入力信号があれば有利になり得る。
【0101】
図4では、例として別の出力インターフェイスがイーサネットインターフェイス12である。
【0102】
イーサネット機器はイーサネット接続部を有するインテリジェントなセンサ、つまり圧力センサ1、アクチュエータ、ハブ、又は、双方向通信によるものに限られるがメカトロニクス部品(例えばグリッパー)とすることができる。イーサネット機器に関して「インテリジェントな」とは、機器、即ち圧力センサ1が識別データ(例えば型記号及びシリアル番号)又はパラメータデータ(例えば感度、伝搬遅延又は特性曲線)を有しており、それらをイーサネットプロトコルで読み出したり書き込んだりできるということである。これによりパラメータの変更をSPSによって部分的に駆動中に行うことができる。また、「インテリジェントな」とは圧力センサ1が詳細な診断情報を出力できるという意味でもある。
【0103】
任意選択でこの出力インターフェイスをフィールドバスインターフェイスとしてもよい。想定されるフィールドバスには例えばProfibus、Interbus、CANopen等である。
【0104】
図2では、ケーシング内に少なくとも1つの温度センサ16が配置されており、該温度センサ16が制御及び評価ユニット3と接続されている。
【0105】
ここでは例えばプロセス温度を検出することができる。例えば、圧力媒体の温度を直接検出することにより、プロセスに関する有用な追加情報が利用可能になる。
【0106】
また、例えば周囲温度を検出することもできる。このようにしても同様に追加の有用なプロセスパラメータが利用可能になる。
【0107】
前記温度は例えば連続的に又は巡回的に検出され、評価される。
【0108】
図2では、ケーシング内に振動センサ17が配置されており、該振動センサ17は制御及び評価ユニット3と接続されている。
【0109】
振動センサ17は例えば圧力センサ1のケーシングに直接結合されている。このようにすればプロセスに生じた振動を記録して分析することができる。
【0110】
図2では、圧力測定セル5の圧力接続部4がゴム管19を介してケーシング2と接続されており、複数の圧力測定セル5が図9のように共通の回路基板18上に固定されている。
【0111】
圧力測定セル5とケーシング2を例えばゴム管19を介して柔軟に接続することにより、プリント回路基板とケーシング2の間の温度の影響及び/又は製造公差を補うことができる。特に温度変化が大きい場合、それと共に生じる機械的なずれを補うことができる。
【0112】
図10では、圧力測定セル5の圧力接続部4がケーシングと直接接続されており、各圧力測定セル5がそれぞれ独自の回路基板18上に配置されている。
【0113】
ここでは各圧力測定セル5がその圧力接続部4又はプロセス接続部でケーシング2内に直接ネジで固定される。圧力測定セル回路基板並びに基本モジュール回路基板の接続は例えばコネクタ又はフラットリボンケーブルを介して行い、これにより公差を補うことができる。
【0114】
これにより、内部構成が同じであって圧力接続部4の個数が異なる圧力センサ1を実現できる段階的な製造が可能な解決策が提供される。これにより圧力センサ1の様々な変形を数多く作ることができる。そのためには、圧力センサ1の製造のために基本モジュールを用意し、それを任意の個数の圧力測定セル5と接続する又は組み合わせる。これによりユニットシステムが作られる。
【0115】
図11では、圧力測定セル5の圧力接続部4がケーシング2と直接接続されており、複数の圧力測定セル5が共通の回路基板18上に固定されており、該回路基板18が複数の圧力測定セル5の回路基板部分の間に接続ブリッジを備えている。
【0116】
ここでは全ての構成要素が1つの回路基板18上に装着される。公差の補償は、例えば切削により機械的に回路基板18の一部を除去して、その結果残った接続部が接続ブリッジ20となるようにしたり、部分的に(例えば接続箇所において)可撓性を持つ回路基板を用いることにより接続ブリッジ20を形成したりすることにより機能する。
【0117】
もっとも、単に完全に可撓性を持つ回路基板18を用いるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0118】
1…圧力センサ
2…ケーシング
3…制御及び評価ユニット
4…圧力接続部
5…圧力測定セル
6…デジタル出力インターフェイス
8…G1/4IG
9…G1/4AG
10…1/4インチNPT
11…IOリンクインターフェイス
12…イーサネットインターフェイス
14…操作キー
15…表示画面
16…温度センサ
17…振動センサ
18…回路基板
19…ゴム管
20…接続ブリッジ
21…圧力配管
22…パッキング
23…メモリ
24…プログラムメモリ
25…ロックリング
26…ロック用留め金
27…ロック解除装置
28…真空グリッパー
29…メモリプログラム可能な制御装置
30…クラウド
31…Oリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11