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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-19
(45)【発行日】2023-05-29
(54)【発明の名称】テープフィーダ
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230522BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023021385
(22)【出願日】2023-02-15
(62)【分割の表示】P 2022078511の分割
【原出願日】2017-06-16
(65)【公開番号】P2023053334
(43)【公開日】2023-04-12
【審査請求日】2023-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広康
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 浩規
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/181958(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/203628(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/157437(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/117091(WO,A1)
【文献】特開2017-034045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30;
13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品をそれぞれ収納する複数のキャビティが搬送方向に所定の間隔で形成されたベーステープに前記キャビティの開口部を閉塞するカバーテープが接着されたキャリアテープの先端を挿入される挿入部、および電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、
前記フィーダ本体に設けられ、前記キャリアテープの複数の係合穴にスプロケットを順次係合させて搬送する駆動装置と、
前記フィーダ本体の前記供給部に設けられるテープガイドと、
前記テープガイドに設けられ、前記カバーテープを前記ベーステープの幅方向の一方側の縁部が接着された状態を維持して他方側を剥離する剥離装置と、
前記テープガイドに設けられ、前記ベーステープから剥離された前記カバーテープを前記一方側に折り曲げる折り曲げ装置と、
前記テープガイドに設けられ、前記カバーテープの裏面に接触して折り曲げられた前記カバーテープの状態を維持する規制部と、
前記挿入部に挿入された前記キャリアテープを前記供給部まで搬送するように前記駆動装置を制御し、先端側に前記電子部品を収納しない空の前記キャビティが存在する適宜長さの冗長部を確保した前記キャリアテープの搬送に伴って前記ベーステープから前記カバーテープが剥離されて複数の前記キャビティのうち先端側から最初に前記電子部品を収納した第一キャビティを前記フィーダ本体における所定位置に位置決めするローディング処理を実行する制御装置と、
を備えたテープフィーダ。
【請求項2】
前記冗長部の長さは、前記キャリアテープの先端から前記第一キャビティまでの長さであり、前記係合穴の間隔の3倍の長さ以上5倍の長さ以下である、請求項1に記載のテープフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、回路基板に部品を装着する電子部品装着機に用いられる。テープフィーダには、例えば特許文献1に開示されているように、テープフィーダの後部に設けられた挿入部から挿入されたキャリアテープを自動で装填可能なオートローディング式がある。オートローディング式のテープフィーダは、新規または補充のキャリアテープを装填する場合に、例えば電子部品装着機に電子部品を供給する供給部にキャビティを位置決めする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/181958号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、キャリアテープの装填直後において電子部品の供給を安定させるために、キャリアテープの先端が供給部を通過してからもある程度搬送を継続させることがある。このような場合に、供給部を通過したキャビティに電子部品が収納されていると、当該電子部品は、電子部品装着機に供給されずに無駄となる。また、キャリアテープの先端付近に空のキャビティを設けると、空のキャビティが供給部に位置決めされて、供給ミスが発生するおそれがある。
【0005】
本明細書は、キャリアテープの装填直後において電子部品の供給を安定させ、且つ無駄な電子部品の発生を防止できるテープフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電子部品をそれぞれ収納する複数のキャビティが搬送方向に所定の間隔で形成されたキャリアテープの先端を挿入される挿入部、および電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、前記フィーダ本体に設けられ、前記キャリアテープの複数の係合穴にスプロケットを順次係合させて搬送する駆動装置と、前記挿入部と前記供給部との間の搬送路において前記供給部までの搬送距離が規定距離となるように配置され、前記キャリアテープの先端を検出する検出センサと、前記挿入部に挿入された前記キャリアテープを前記供給部まで搬送するように前記駆動装置を制御し、前記キャリアテープを装填し、複数の前記キャビティのうち先端側から最初に前記電子部品を収納した第一キャビティから前記キャリアテープの先端までの長さが規定長さとなるように予め調整された前記キャリアテープを搬送し、前記検出センサによる検出結果に応じて前記第一キャビティを前記フィーダ本体における所定位置に位置決めするローディング処理を実行する制御装置と、を備えたテープフィーダを開示する。
本明細書は、電子部品をそれぞれ収納する複数のキャビティが搬送方向に所定の間隔で形成されたベーステープに前記キャビティの開口部を閉塞するカバーテープが接着されたキャリアテープの先端を挿入される挿入部、および電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、前記フィーダ本体に設けられ、前記キャリアテープの複数の係合穴にスプロケットを順次係合させて搬送する駆動装置と、前記フィーダ本体の前記供給部に設けられるテープガイドと、前記テープガイドに設けられ、前記カバーテープを前記ベーステープの幅方向の一方側の縁部が接着された状態を維持して他方側を剥離する剥離装置と、前記テープガイドに設けられ、前記ベーステープから剥離された前記カバーテープを前記一方側に折り曲げる折り曲げ装置と、前記テープガイドに設けられ、前記カバーテープの裏面に接触して折り曲げられた前記カバーテープの状態を維持する規制部と、前記挿入部に挿入された前記キャリアテープを前記供給部まで搬送するように前記駆動装置を制御し、先端側に前記電子部品を収納しない空の前記キャビティが存在する適宜長さの冗長部を確保した前記キャリアテープの搬送に伴って前記ベーステープから前記カバーテープが剥離されて複数の前記キャビティのうち先端側から最初に前記電子部品を収納した第一キャビティを前記フィーダ本体における所定位置に位置決めするローディング処理を実行する制御装置と、を備えたテープフィーダを開示する。
【0007】
本明細書は、電子部品をそれぞれ収納する複数のキャビティが搬送方向に所定の間隔で形成されたキャリアテープの先端を挿入される挿入部、および電子部品装着機に前記電子部品を供給する供給部を有するフィーダ本体と、前記フィーダ本体に設けられ、前記キャリアテープの複数の係合穴にスプロケットを順次係合させて搬送する駆動装置と、前記挿入部に挿入された前記キャリアテープを前記供給部まで搬送するように前記駆動装置を制御し、前記キャリアテープを装填し、複数の前記キャビティのうち先端側から最初に前記電子部品を収納した第一キャビティから前記キャリアテープの先端までの長さが規定長さとなるように予め調整された前記キャリアテープを搬送し、前記第一キャビティを前記フィーダ本体における所定位置に位置決めするローディング処理を実行する制御装置と、を備えたテープフィーダに装填する前記キャリアテープの調整方法であって、前記規定長さを、前記キャリアテープの先端から前記係合穴の間隔の3倍の長さ以上5倍の長さ以下の距離に設定し、且つ前記第一キャビティよりも先端側において前記電子部品を収納しない前記キャビティから外れる長さに設定する、キャリアテープの調整方法を開示する。
【発明の効果】
【0008】
このようなテープフィーダの構成によると、先端側に適宜長さの冗長部を確保したキャリアテープを、ベーステープからカバーテープが剥離された第一キャビティをフィーダ本体における所定位置に位置決めするように装填することができる。これにより、第一キャビティが供給部に位置決めされた場合に、ベーステープに対してカバーテープの一方側の接着を維持しつつ他方側を剥離された状態にすることができ、また冗長部が確保されていることからキャリアテープの幅方向位置が安定し、結果として電子部品の供給を安定させることができる。また、第一キャビティより先端側に電子部品が収納されていないので、無駄な電子部品の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態におけるテープフィーダの全体を示す側面図である。
図2】キャリアテープの一部を示す上面図である。
図3図1における先端部を拡大して示す斜視図である。
図4図1における先端部を拡大して示す上面図である。
図5】キャリアテープのローディング処理を示すフローチャートである。
図6】複数種類のキャリアテープにおける規定長さを示す説明図である。
図7A】キャリアテープが装填される前のテープガイドの状態を示す断面図である。
図7B】キャリアテープの剥離初期において剥離刃がキャリアテープの先端に切り込むときの状態を示す断面図である。
図7C】キャリアテープの先端が切り込み位置からテープガイドの押し上げが終了する位置まで搬送された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.テープフィーダ1の概要
テープフィーダ1は、回路基板に部品を装着して基板製品を生産する電子部品装着機に用いられるオートローディング式のテープフィーダである。以下では、電子部品装着機を「部品装着機」、テープフィーダを「フィーダ」、回路基板を「基板」、電子部品を「部品」と称する。フィーダ1は、図1に示すように、キャリアテープ90を挿入する挿入部Piからレール11に沿って搬送するローディング処理を実行する。フィーダ1は、部品装着機に部品を供給する供給部Ptに、装填されたキャリアテープ90を搬送して、供給部Ptにおいて部品を供給可能とする。
【0011】
フィーダ1は、部品装着機にセットされた状態において、キャリアテープ90を所定ピッチで送り移動させることにより、キャリアテープ90を搬送する。フィーダ1は、例えば使用中である現行のキャリアテープ90の残量が規定量未満となった場合に、補給用のキャリアテープ90を搬送する。これにより、フィーダ1は、現行のキャリアテープ90に補給用のキャリアテープ90をスプライシングすることなく、連続的に部品を供給可能としている。また、フィーダ1は、装填されているキャリアテープ90を取り外す場合には、キャリアテープ90を挿入部Pi側に搬送するアンローディング処理を実行する。
【0012】
1-2.キャリアテープ90の構成
キャリアテープ90は、図2に示すように、多数の部品を一列に収納する。キャリアテープ90は、ベーステープ91と、カバーテープ92とを有する。ベーステープ91は、紙材や樹脂等の可撓性を有する材料により形成される。ベーステープ91には、幅方向(図2の上下方向)の中央付近にキャビティ95が形成される。キャビティ95は、底部を有する凹状をなす。キャビティ95は、ベーステープ91の搬送方向(キャリアテープ90の長手方向であって、図2の左右方向)に所定の間隔で形成される。それぞれのキャビティ95は、一つの部品を収納する。
【0013】
また、ベーステープ91には、幅方向の一方側の縁部に係合穴96が形成される。係合穴96は、ベーステープ91の長手方向に所定の間隔で形成される。係合穴96は、キャリアテープ90の厚み方向(図2の前後方向)に貫通している。ここで、複数のキャビティ95は、複数の係合穴96と同様に、搬送方向に所定の間隔で形成される。キャビティ95の間隔T1は、収容する部品の寸法に応じて適宜設定される。
【0014】
例えば、キャビティ95の間隔T1は、図6に示すように、係合穴96の間隔T2の半分(T1=T2/2)に設定され、または係合穴96の間隔T2に等しく(T1=T2)などに設定される。なお、図4は、図6の上から3段目のキャリアテープ90と同様に、キャビティ95の間隔T1が係合穴96の間隔T2と等しく設定されたキャリアテープ90を示す。なお、図6は、カバーテープ92を省略して示し、部品を収納したキャビティ95を斜線付きで示し、空のキャビティ95を斜線なしで示す。
【0015】
カバーテープ92は、薄い膜状の高分子フィルムにより形成されている。カバーテープ92の幅方向の両縁部は、ベーステープ91の上面に接着されている。これにより、カバーテープ92は、キャビティ95の開口部を閉塞する。これにより、ベーステープ91のキャビティ95に収納された部品の脱落が防止されている。なお、カバーテープ92は、フィーダ1の供給部Ptの直前において、フィーダ1のテープガイド50により剥離される。以下、キャリアテープを「テープ」と称する。
【0016】
1-3.フィーダ1の詳細構成
フィーダ1は、図1に示すように、フィーダ本体10と、第一駆動装置20と、第二駆動装置30と、テープ支持ユニット40と、テープガイド50と、付勢装置55と、検出センサ61と、制御装置70とを備える。以下の説明において、ローディング処理においてテープ90が搬送される搬送方向の下流側(図1の右側)を前方とし、搬送方向の上流側(図1の左側)を後方とする。フィーダ本体10は、扁平な箱形状に形成され、部品装着機を構成する部品供給装置のスロットにセットされる。フィーダ本体10は、挿入部Piと供給部Ptとの間の搬送路R1を構成するレール11を有する。
【0017】
第一駆動装置20は、フィーダ本体10に回転可能に支持される第一スプロケット21および第二スプロケット22を有する。第一スプロケット21および第二スプロケット22は、挿入部Piに設けられる。第二駆動装置30は、供給部Ptにおけるレールの下方に設けられた第三スプロケット31および第四スプロケット32を有する。第三スプロケット31および第四スプロケット32は、係合突起311,321(図4を参照)が全周に亘って周方向に等間隔で配置されている。
【0018】
第一駆動装置20の第一スプロケット21と第二スプロケット22を回転させる構成、および第二駆動装置30の第三スプロケット31と第四スプロケット32を回転させる構成は、実質的に同様であるため、以下では、第二駆動装置30について説明する。第二駆動装置30は、図1に示すように、第三スプロケット31および第四スプロケット32を回転させる駆動源としてのステッピングモータ33を有する。
【0019】
ステッピングモータ33は、入力されるパルス電力に応じて回転軸を回転させる。ステッピングモータ33の回転軸が回転すると、上記の回転軸に設けられたドライブギヤに噛合する減速ギヤ34が回転する。ステッピングモータ33により出力される駆動力は、減速ギヤ34に噛合する中間ギヤ35を介して第三スプロケット31および第四スプロケット32に伝達される。中間ギヤ35は、第三スプロケット31に設けられたスプロケットギヤ312、および第四スプロケット32に設けられたスプロケットギヤ322に常時噛合する。本実施形態において、中間ギヤ35は、第三スプロケット31および第四スプロケット32をともに直接的に回転させるように共用される。
【0020】
また、第二駆動装置30は、中間ギヤ35の角度を検出する角度検出装置36を有する。角度検出装置36は、ホールマグネットおよびホールセンサにより構成される。ホールマグネットは、中間ギヤ35における規定位置に1つ設けられている。ホールセンサは、フィーダ本体10に固定され、ホールマグネットを検出する。このような構成により、第二駆動装置30は、角度検出装置36の検出結果に基づいて、中間ギヤ35、中間ギヤ35により回転される第三スプロケット31および第四スプロケット32が規定角度にあることを検出する。
【0021】
テープ支持ユニット40は、テープ90の搬送方向において、第一駆動装置20が位置するレール11の上方に配置される。テープ支持ユニット40は、レール11との間に介在するテープ90をレール11に押し付けて、テープ90の上方移動を規制する。これにより、テープ支持ユニット40は、テープ90の係合穴96と第一駆動装置20の第一スプロケット21および第二スプロケット22の係合を補助する。また、テープ支持ユニット40は、現行のテープ90に対して予約的に挿入された補給用のテープ90を支持する。
【0022】
テープガイド50は、テープ90の搬送方向において、第二駆動装置30の第三スプロケット31および第四スプロケット32が位置するレール11の上方に配置される。テープガイド50は、テープ90の上方移動および幅方向移動を規制して、テープ90と第三スプロケット31および第四スプロケット32の係合を案内する。テープガイド50は、図3および図4に示すように、ガイド本体51と、剥離装置52と、折り曲げ装置53とを有する。
【0023】
ガイド本体51は、全体形状としては、下方が開放する断面U字形に形成される。ガイド本体51の上壁には、供給部Ptを含む範囲に、切欠き部511が形成される。これにより、テープガイド50は、供給部Ptに位置決めされたテープ90のキャビティ95から部品を採取可能とする。一方で、テープガイド50は、供給部Ptにキャビティ95から一つ挿入部側(図4の左側)の待機位置Psにあるキャビティ95が開口部を露出しないように構成される。
【0024】
剥離装置52は、ガイド本体51に設けられる。剥離装置52は、ベーステープ91とカバーテープ92との接着部に切り込む剥離刃521を有する。剥離刃521は、刃先がガイド本体51の上壁の内周面からカバーテープ92の厚み程度だけ下方に突出するように配置される(図7Aを参照)。これにより、剥離刃521は、テープ90の搬送に伴って、ベーステープ91とカバーテープ92との接着部に切り込んで、カバーテープ92を剥離する(図7Cを参照)。
【0025】
また、本実施形態において、剥離刃521は、刃幅方向の一方側(図4の下側)がテープ90の幅方向外側に位置し、刃幅方向の他方側(図4の上側)がテープ90の幅方向内側に位置する。これにより、カバーテープ92は、幅方向におけるベーステープ91の係合穴96側の縁部がベーステープ91に接着した状態を維持される。このように、剥離装置52は、ベーステープ91からカバーテープ92の幅方向の一部を残して剥離する。
【0026】
折り曲げ装置53は、ガイド本体51に設けられ、剥離装置52に剥離刃521の刃先よりも供給部Pt側に位置する。折り曲げ装置53は、剥離装置52によりベーステープ91から一部を残して剥離されたカバーテープ92の部位を立ち上げて、係合穴96側へと折り曲げる。これにより、ベーステープ91のキャビティ95の開口部が、カバーテープ92によって閉塞されない状態となる。
【0027】
より詳細には、折り曲げ装置53は、図4に示すように、搬送方向の一定区間において剥離されたカバーテープ92(図4において視認可能な部位に斜線を付して示す)を立ち上げるとともに折り曲げる。これにより、カバーテープ92は、待機位置Psの前後において係合穴96側に完全に折り曲げられた状態となる。さらに、折り曲げ装置53は、折り曲げられたカバーテープ92の裏面(ベーステープ91に接着されていた面)のうち幅方向の縁部に接触して、折り曲げられたカバーテープ92の状態を維持する規制部531を有する。
【0028】
付勢装置55は、搬送路R1を構成するレール11とガイド本体51との間でテープ90が保持されるように、ガイド本体51をレール11側に付勢する。具体的には、付勢装置55は、ガイド本体51の両側の側壁の前後において、ガイド本体51と上下方向に係止する突起部551,552を有する。付勢装置55は、スプリング(図示しない)の弾性力によって、突起部551,552に係止するガイド本体51を全体として下方に付勢する。
【0029】
上記のような構成により、テープガイド50は、テープ90が供給部Pt側に搬送されることによって、レール11とガイド本体51との間でテープ90を保持する。さらに、テープガイド50は、テープ90の搬送に伴って、ベーステープ91からカバーテープ92を剥離しつつ折り曲げ、供給部Ptにおいて部品を採取可能に露出させる。テープ90のうち供給部Ptを通過した部位は、フィーダ本体10の前部に形成されたテープ排出部(図示しない)よりフィーダ1の外部に排出される。
【0030】
検出センサ61は、挿入部Piと供給部Ptとの間の搬送路R1においてテープ90の先端を検出する。検出センサ61は、検出位置におけるテープ90の有無が切り替わったことをもってテープ90の先端(または後端)を検出する。検出センサ61としては、接触式または非接触式のセンサを採用し得る。また、検出センサ61は、テープ90の搬送方向において、供給部Ptからの搬送距離が規定距離となるように配置される。
【0031】
制御装置70は、主として、CPUや各種メモリ、制御回路により構成される。制御装置70は、フィーダ1が部品装着機にセットされると、コネクタを介して部品装着機から電力が供給され、また部品装着機との間で通信可能な状態となる。制御装置70は、部品装着機による制御指令などに基づいて、第一駆動装置20および第二駆動装置30の動作を制御する。これにより、制御装置70は、フィーダ1にテープ90を装填するローディング処理、テープ90を所定ピッチで送り移動させる供給処理、フィーダ1からテープ90を取り外すためのアンローディング処理を実行する。
【0032】
ここで、上記のローディング処理では、制御装置70は、テープ90の前端が挿入部Piから挿入されたことを図略のセンサにより検出すると、第一駆動装置20を駆動させて、テープ90の搬送を開始する。このとき、テープ90の先端の係合穴96に第一スプロケット21および第二スプロケット22の係合突起が順次係合して、テープ90が供給部Pt側へと一定速度で搬送される。
【0033】
制御装置70は、検出センサ61によりテープ90の先端を検出した場合に、検出センサ61から供給部Ptまでの搬送距離に応じて残りの搬送量を算出する。ここで、テープ90における複数のキャビティ95のうち先端側から最初に部品を収納したキャビティ95を第一キャビティ95Fとする(図6を参照)。制御装置70は、ローディング処理において、検出センサ61によりテープ90の先端が検出された後に、上記のように算出された搬送量だけテープ90を搬送し、第一キャビティ95Fをフィーダ本体10における所定位置に位置決めする。ローディング処理の詳細については後述する。
【0034】
また、制御装置70は、第一駆動装置20の第一スプロケット21と第二スプロケット22、および第二駆動装置30の第三スプロケット31と第四スプロケット32の角度および回転量に基づいて、テープ90の搬送量を制御する。より具体的には、制御装置70は、角度検出装置36により検出された中間ギヤ35の角度およびステッピングモータ33に入力されたパルス電力に応じた中間ギヤ35の回転量に基づいて、第三スプロケット31および第四スプロケット32の角度を算出する。
【0035】
そして、制御装置70は、角度検出装置36により中間ギヤ35が規定角度にあることが検出されてから現在までにステッピングモータ33に入力されたパルス電力に応じた中間ギヤ35の回転量に基づいて、第三スプロケット31および第四スプロケット32の回転量を取得する。同様に、制御装置70は、第一駆動装置20における第一スプロケット21および第二スプロケット22の角度を算出するとともに、これらの回転量を取得する。制御装置70は、ローディング処理および供給処理において、第一駆動装置20および第二駆動装置30を同期させて、テープ90のキャビティ95を供給部Ptなどの所定位置に位置決めする。
【0036】
1-4.フィーダ1によるローディング処理、およびテープ90の装填方法
上記のフィーダ1によるローディング処理、およびテープ90の装填方法について、図4図7Cを参照して説明する。なお、図7A図7Cにおいて、キャビティ95に収納された部品に斜線を付して示す。ここで、フィーダ1に装填されるテープ90には、新規のテープ90、または例えばアンローディング処理によりフィーダ1から取り外された使いかけのテープ90が想定される。新規のテープ90は、最初に部品が収納された第一キャビティ95Fから先端側に多数の空のキャビティ95が存在することがある。使いかけのテープ90は、例えば作業者により切断された任意の位置に応じて、第一キャビティ95Fより先端側に空のキャビティ95の有無および数量が変動する。
【0037】
新規のテープ90のように多数の空のキャビティ95が存在したテープ90をローディング処理すると、その後の装着処理において部品を収納する第一キャビティ95Fが供給部Ptに位置決めされるまでは空のキャビティ95が位置決めされる。これにより、部品が供給されない供給ミスが発生し得る。そのため、供給ミスの発生を抑制するためには、第一キャビティ95Fより先端側に存在する空のキャビティ95が少ない方が好ましい。
【0038】
一方で、仮に第一キャビティ95Fより先端側に空のキャビティ95が存在しないように切断されたテープ90をフィーダ1に装填しようとすると、下記のような問題が発生し得る。第一に、第一キャビティ95Fを供給部Ptに位置決めした場合に、第一キャビティ95Fがテープ90の幅方向にずれる誤差が発生し得る。これは、ベーステープ91から剥離されたカバーテープ92が折り曲げ装置53により折り曲げられると、カバーテープ92の幅方向の一部の接着状態が維持されているため、カバーテープ92が元の状態に戻ろうとする力の作用に起因すると考えられる。
【0039】
詳細には、復元しようとするカバーテープ92が折り曲げ装置53により立ち上げ姿勢を規制されるため、その反力によってテープ90が全体として幅方向に僅かに移動することがある。このテープ90の僅かな移動により第一キャビティ95Fに収納されている部品も移動することになり、部品の供給を不安定にする要因となり得る。なお、折り曲げ装置53がカバーテープ92を折り曲げる搬送方向の一定区間において上記の反力は漸増し、装填が完了すると反力はほぼ一定となりテープ90の幅方向の僅かな移動は発生しない。
【0040】
そのため、テープ90の幅方向の移動を抑制するためには、ある程度の長さ以上にテープ90が供給部Ptを通過させてから供給処理を実行することが好ましい。上記の問題に対応するために、制御装置70は、ローディング処理において、テープ90の先端部が供給部Ptからある程度の長さ通過するように搬送する。しかしながら、このような処理では、供給部Ptを通過したキャビティ95に収納された部品が部品装着機に対して供給されずに無駄となる。
【0041】
第二に、第一キャビティ95Fより先端側に空のキャビティ95が存在しないように切断されたテープ90をフィーダ1に装填しようとすると、テープ90の先端部のキャビティ95に収納された部品とテープガイド50の剥離刃521が接触するおそれがある。部品と剥離刃521とが接触すると、両者の破損を招来するおそれがある。具体的には、レール11とテープガイド50との間にテープ90が到達していない段階では、付勢装置55により下方に付勢されたテープガイド50は、図7Aに示すように、テープガイド50の上壁の内面がテープ90の上面よりも下方に位置する。
【0042】
レール11とテープガイド50との間にテープ90が進入し、且つテープ90の先端が剥離刃521の切り込み位置Pc(搬送方向における剥離刃521の刃先の位置)に到達した段階では、図7Bに示すように、テープガイド50は、テープ90の先端により付勢装置55の付勢力に抗して上方に押し上げられる。このとき、ガイド本体51は、挿入部Pi側のみが押し上げられると、全体として搬送方向に傾斜した状態となる。
【0043】
そうすると、剥離刃521の刃先は、装填完了後の高さと比較して低い位置にあり、ベーステープ91とカバーテープ92の接着部から下降量M1だけ下側に切り込むことがある。この状態でテープ90が搬送されると、剥離刃521は、テープ90の先端部のキャビティ95に対して深い位置に切り込み、仮に当該キャビティ95に部品が収納されていると部品と接触するおそれがある。そのため、部品と剥離刃521の接触を防止するためには、テープ90の先端部には部品が収納されていないことが好ましい。
【0044】
ところで、テープ90の先端部に剥離刃521が切り込む剥離初期において、剥離刃521の切り込み位置Pcを通過したベーステープ91の先端が付勢装置55による付勢力に抗して剥離刃521をレール11とは反対側に押し上げる。これにより、ガイド本体51は、図7Cに示すように、レール11に平行となるように全体として押し上げられた状態となる。そうすると、剥離刃521の切り込み高さも装填完了後と概ね同じ高さとなり、剥離刃521がベーステープ91とカバーテープ92の接着部に切り込む状態となる。
【0045】
上記のような事情を勘案すると、装填されるテープ90には、装填後に最初に供給部Ptに位置決めされるキャビティ95よりも先端側に部品を収納しない適宜長さの冗長部を確保することが望ましい。ここで、テープ90の先端側から最初に部品を収納した第一キャビティ95Fの先端側の端部からテープ90の先端までを冗長部と定義する。ローディング処理において、図5に示すように、第一キャビティ95Fからテープ90の先端までの長さ、即ち冗長部の長さが規定長さLsとなるように予め調整する調整工程(ステップ10(以下、「ステップ」を「S」と表記する))が実行される。
【0046】
詳細には、調整工程(S10)では先ず、テープ90の種別に基づいて、規定長さLsが設定される(S11)。テープ90の種別は、キャビティ95の間隔T1と係合穴96の間隔T2との関係により区分される。本実施形態において、規定長さLsは、具体的には以下の条件(A)-条件(E)を満たすように設定される。条件(A)は、テープ90の搬送方向における供給部Ptから折り曲げ装置53の規制部531までの長さ(以下、「第一長さL1」と称する(図4を参照))以上に規定長さLsを設定することである(Ls≧L1)。
【0047】
上記のように、供給部Ptに位置決めしたキャビティ95が幅方向にずれる誤差が発生し得る問題は、ベーステープ91から剥離されたカバーテープ92が元の状態に戻ろうとする力の作用に起因する。ここで、本実施形態において、折り曲げ装置53は、フィーダ1の先端側に向かうに従って、折り曲げられたカバーテープ92を折り曲げ部位から縁部へと徐々に接触箇所を増加させて規制する。折り曲げ装置53は、搬送方向の規定位置に設けられた規制部531によりカバーテープ92の裏面のうち幅方向の縁部に接触して、折り曲げられたカバーテープ92の状態を維持する。
【0048】
そのため、規制部531をテープ90の先端が通過すると、カバーテープ92が受ける反力は概ね一定となり、テープ90の幅方向の僅かな移動が発生しない状態になる。そこで、規定長さLsを、上記の第一長さL1以上に設定するようにしている(Ls≧L1)。これにより、第一キャビティ95Fが供給部Ptに位置決めされたときにはテープ90の先端が規制部531に到達していることになる。つまり、第一キャビティ95Fの幅方向の位置が安定した状態となり、結果として部品の供給を安定させることができる。
【0049】
条件(B)は、テープ90の搬送方向における切り込み位置Pcからベーステープ91による押し上げが終了する位置Pe(図7Cを参照)までの長さ(以下、「第二長さL2」と称する)以上に規定長さLsを設定することである(Ls≧L2)。上記のように、剥離刃521がベーステープ91とカバーテープ92の接着部より下側に切り込むことによりテープ90の先端部に収納された部品と剥離刃521が接触し得る問題は、レール11とテープガイド50との間にテープ90が進入した初期にテープガイド50が傾斜すること起因する。
【0050】
ここで、テープ90の先端が切り込み位置Pcを通過してからある程度搬送されると、ベーステープ91の先端部が付勢装置55による付勢力に抗して剥離刃521をレール11とは反対側に押し上げて、剥離刃521の刃先がベーステープ91とカバーテープ92の接着部の高さとなる。そこで、規定長さLsを、上記の第二長さL2以上に設定するようにしている(Ls≧L2)。これにより、剥離刃521の刃先が接着部の高さまで押し上げられる前にキャビティ95に切り込んだとしても、当該キャビティ95が空であることから、部品と剥離刃521の接触を確実に防止することができる。
【0051】
条件(C)は、第一キャビティ95Fから先端側に係合穴96の間隔T2の2倍の長さ以上、且つ係合穴96の間隔T2の5倍の長さ以下に規定長さLsを設定することである(5・T2≧Ls≧2・T2)。このような構成によると、第一キャビティ95Fからテープ90の先端までの長さが適宜調整されるので、部品の供給を安定させ、且つ無駄な部品の発生を低減できる。なお、条件(C)は、テープガイド50等の構成に応じて、上記範囲内においてさらに制限された範囲で規定長さLsを設定する条件としてもよい。本実施形態において、条件(C)は、部品の供給をより安定させるために、係合穴96の間隔T2の3倍の長さ以上、且つ係合穴96の間隔T2の5倍の長さ以下に規定長さLsを設定することとしている(5・T2≧Ls≧3・T2)。
【0052】
条件(D)は、第一キャビティ95Fよりも先端側において部品を収納しない空のキャビティ95から外れる長さに規定長さLsを設定することである。このような構成によると、冗長部を規定長さLsとされたテープ90の先端は、第一キャビティ95Fから先端側に位置する空のキャビティを避けた位置となる。テープ90の先端にはキャビティ95の断面がない方が、ローディング処理における不具合の発生を抑制できることが見出された。そこで、上記のような条件(D)を満たすように規定長さLsを設定することにより、ローディング処理における不具合の発生を抑制できる。
【0053】
条件(E)は、上記の条件(A)-条件(D)を満たした上で、原則として最も短くなるように規定長さLsを設定することである。これにより、規定長さLsが過剰になることを防止できるので、空のキャビティ95の多くが供給部Ptに位置決めされるような供給ミスの発生を抑制できる。また、ローディング処理におけるテープ90の搬送量を低減できるので、処理の所要時間を短縮することができる。但し、種々の事情により必ずしも最短の候補で規定長さLsを設定するとは限らない。上記の事情としては、例えばテープ90の調整の作業性確保が想定される。
【0054】
具体的には、キャビティ95の間隔T1が係合穴96の間隔T2の半分に設定されたテープ90の場合に(図6の上から1段目および2段目)、上記の条件(A)-条件(D)を満たす調整位置としての候補(Cp1,Cp2,・・)が複数ある。ここで、図6の上から1段目および2段目のテープ90は同型であるが、第一キャビティ95Fと係合穴96との位置関係によって第一候補Cp1の位置がずれる。そのため、第一キャビティ95Fから先端までの長さが最短となる第一候補Cp1を常に採用すると、第一キャビティ95Fと係合穴96の位置関係を把握する必要があるため作業性が低下するおそれがある。
【0055】
そこで、条件(E)は、上記の条件(A)-条件(D)を満たしつつ、所定の係合穴96(例えば、第一キャビティ95Fから先端側に4つ目の係合穴96)から第一キャビティ95F側に最初に位置する候補(図6の上から1段目では第二候補Cp2、同図の上から2段目では第一候補Cp1)を、規定長さLsに設定することとしている。これにより、例えば第一キャビティ95Fから先端側に4つ目の係合穴96(条件(C)による)から第一キャビティ95F側において最初に隣り合う空のキャビティ95の間(条件(D)による)に調整位置が設定される。よって、第一キャビティ95Fと係合穴96の位置関係に応じて規定長さLsを設定し、且つ所定の係合穴96に対しては調整位置が一定となる。結果として、作業者が調整位置を認識しやすくなり、テープ90の調整の作業性が確保される。
【0056】
次に、S11にて設定された規定長さLsに基づいて、テープ90を調整する(S12)。テープ90の調整方法としては、種々の方法が採用され得る。例えば、新規のテープ90を装填する場合には、第一キャビティ95Fよりも先端側に存在する多数の空のキャビティ95のうち一部を残すように、作業者により規定長さLsで切断することでテープ90を調整する。これにより、例えば、キャビティ95の間隔T1が係合穴96の間隔T2の半分に設定されたテープ90の場合には、図6の上から1段目および2段目に示すように、調整後のテープ90の先端がキャビティ95からも係合穴96からも外れた位置となる。
【0057】
また、キャビティ95の間隔T1が係合穴96の間隔T2と等しく設定されたテープ90の場合には、図6の上から3段目に示すように、調整後のテープ90の先端がキャビティ95からのみ外れ係合穴96の中央部に位置する。さらに、キャビティ95の間隔T1が係合穴96の間隔T2の2倍に設定されたテープ90の場合には、図6の上から4段目に示すように、調整後のテープ90の先端が隣り合うキャビティ95間の中央、および隣り合う係合穴96間の中央に位置する。
【0058】
また、上記のように、テープ90の調整方法としては、作業者による切断を例示したが、その他に、S11にて設定された規定長さLsに基づいてテープ90を自動的に切断する外部装置によりテープ90が切断される構成としてもよい。また、使いかけのテープ90を調整する場合には、当該使いかけのテープ90の先端部に十分な長さがある場合には、上記の新規のテープ90に対する調整と同様に切断することで対応できる。
【0059】
一方で、使いかけのテープ90の先端部が規定長さLsよりも短い場合には、先端部において部品を収納する1または複数のキャビティ95から部品を除去することで、規定長さLsの冗長部を確保するように調整してもよい。また、使いかけのテープ90の先端に、規定長さLsを確保可能となるように、冗長部に相当する補助テープを接続してもよい。使いかけのテープ90に対する部品の除去や補助テープの接続を含む調整は、新規のテープ90と同様に、外部装置により自動的に行われる構成としてもよい。
【0060】
続いて、フィーダ1の制御装置70は、コネクタを介して部品装着機から電力を供給された状態で、挿入部Piに対して調整されたテープ90の先端が挿入されたか否かを判定する(S20)。制御装置70は、調整されたテープ90の先端が挿入されていない間は(S20:No)、上記の判定を繰り返すように待機状態を維持する。一方で、制御装置70は、挿入部Piに対して調整されたテープ90の先端が挿入されたと判定した場合に(S20:Yes)、位置決め工程を実行する(S30)。
【0061】
位置決め工程において、制御装置70は、調整されたテープ90が挿入部Piに挿入された場合に(S20:Yes)、先ずテープ90の搬送を開始する(S31)。これにより、テープ90は、第一駆動装置20の動作によって搬送路R1を構成するレール11に沿って移動する。制御装置70は、検出センサ61の検出結果に基づいてテープ90の先端が検出されたか否かを判定する(S32)。制御装置70は、テープ90の先端が検出されていない間は(S32:No)、上記の判定を繰り返す。
【0062】
一方で、制御装置70は、検出センサ61によりテープ90の先端が検出されたと判定した場合に(S32:Yes)、検出センサ61から供給部Ptまでの搬送距離に基づいて、残りの搬送量を算出する(S33)。また、制御装置70は、テープ90の先端が第二駆動装置30の第三スプロケット31に係合する位置まで到達していないものの、第二駆動装置30を第一駆動装置20に同期させて動作を開始する。そして、制御装置70は、角度検出装置36の検出結果およびステッピングモータ33に供給したパルス電力に基づいて、第四スプロケット32の角度を算出する。
【0063】
本実施形態において、制御装置70は、検出センサ61による検出結果、第四スプロケット32の角度、および複数のキャビティ95の間隔T1に基づいて、第一キャビティ95Fをフィーダ本体10における所定位置に位置決めするように残りの搬送量を算出する(S33)。制御装置70は、算出された残りの搬送量に応じて第一駆動装置20および第二駆動装置30を同期して動作させることによって、第一キャビティ95Fを所定位置に位置決めする(S34)。
【0064】
上記のように、残りの搬送量を算出するのは(S33)は、調整工程(S10)にてテープ90が切断等により調整されると第一キャビティ95Fから先端までの長さと、S11にて算出された理想の規定長さLsとに誤差が含まれることがあるからである。即ち、検出センサ61がテープ90の先端を検出してから一定距離だけテープ90を搬送すると、調整により発生した誤差の分だけ第一キャビティ95Fが位置決めされる位置に誤差が含まれる。そこで、制御装置70は、第四スプロケット32の角度および複数のキャビティ95の間隔T1に基づいて、第一キャビティ95Fの位置決め精度の向上を図っている。
【0065】
ここで、部品の供給処理において複数のキャビティ95の一つを供給部Ptに位置決めしたときに、第四スプロケット32における複数の係合突起321の一つが第四スプロケット32の回転中心Crの真上に位置する角度に角度決めされる(図4を参照)。そのため、制御装置70は、検出センサ61による検出結果、および第四スプロケット32の角度に基づいて、テープ90の先端から第一キャビティ95Fまでの距離を正確に把握することができる。つまり、調整工程(S10)にて切断等されて規定長さLsに対して誤差を有していたとしても、当該誤差を吸収するように第一キャビティ95Fを位置決めできる。
【0066】
なお、本実施形態において、第一キャビティ95Fが位置決めされる所定位置は、第一キャビティ95Fより一つ先端側のキャビティ95を供給部Ptに位置決めしたときに第一キャビティ95Fが位置する待機位置Psである。待機位置Psに位置決めされた第一キャビティ95Fは、カバーテープ92を剥離されているもののテープガイド50により開口部が外部に露出しない状態を維持される。これにより、何らかの要因により第一キャビティ95Fから部品が脱落することを防止できる。
【0067】
上記のように、第一キャビティ95Fが待機位置Psまで移動する間に、テープ90の先端がレール11とテープガイド50との間に進入してテープガイド50が部分的に押し上げられる。さらにテープ90が搬送されると、カバーテープ92が剥離装置52により剥離されるとともに折り曲げ装置53により折り曲げられ始める。このとき、剥離刃521の刃先がベーステープ91とカバーテープ92の接着部よりも下方に切り込んでいたとしても、冗長部には部品が収納されておらず剥離刃521と部品の接触が防止される。
【0068】
その後に、カバーテープ92を剥離されたベーステープ91により剥離刃521が押し上げられて、剥離刃521の刃先がベーステープ91とカバーテープ92の接着部に切り込む高さとなる。これに対して、調整工程(S10)により規定長さLsが確保されているため、ベーステープ91による剥離刃521の押し上げが終了する位置Pe(図7Cを参照)にテープ90の先端が位置する段階では、第一キャビティ95Fは、待機位置Psよりも挿入部Pi側に位置する。これにより、第一キャビティ95Fに収納されている部品と剥離刃521の接触が防止される。
【0069】
制御装置70は、上記のように第一キャビティ95Fを待機位置Psに位置決めすると、第一駆動装置20および第二駆動装置30の動作を停止して、ローディング処理を終了する。本実施形態において、ローディング処理が終了すると、テープ90の先端は、折り曲げ装置53の規制部531のよりもキャビティ95の間隔T1程度、供給部Pt側に位置する。フィーダ1は、この状態で待機し、例えば供給処理が開始されて、部品装着機より部品を供給するように要求があった場合に、第一キャビティ95Fを供給部Ptに位置決めするようにテープ90を間隔T1だけ送り移動する。
【0070】
また、位置決め工程(S30)において、剥離装置52によりベーステープ91から剥離されたカバーテープ92が折り曲げ装置53により係合穴96側へと折り曲げられると、カバーテープ92が元の状態に戻ろうとする力によりテープ90が幅方向に僅かに移動し得る。これに対して、調整工程(S10)により規定長さLsが確保されているため、遅くとも第一キャビティ95Fが供給部Ptに位置決めされる際にはカバーテープ92が折り曲げ装置53の規制部531に到達する。これにより、第一キャビティ95Fの幅方向の位置が安定した状態となり、結果として供給処理における部品の供給を安定させることができる。
【0071】
2.実施形態の構成による効果
上記のフィーダ1の構成、および調整工程(S10)と位置決め工程(S30)とを備えるキャリアテープの装填方法の構成によると、第一キャビティ95Fから先端までの長さが規定長さLsに調整されたテープ90を、第一キャビティ95Fをフィーダ本体10における所定位置に位置決めするように装填することができる。これにより、第一キャビティ95Fが供給部Ptに位置決めされた場合に、規定長さLsの先端部が確保されていることからテープ90の幅方向位置が安定し、結果として部品の供給を安定させることができる。また、第一キャビティ95Fより先端側に部品が収納されていないので、無駄な電子部品の発生を防止できる。
【0072】
3.実施形態の変形態様
3-1.テープ90の規定長さLsについて
実施形態において、規定長さLsは、例示した条件(A)-条件(E)を満たすように設定されるものとした。これに対して、規定長さLsは、条件(A)-条件(D)の少なくとも一つが満たされるように設定されてもよい。例えば、実施形態では、テープガイド50が付勢装置55により付勢される構成でありテープガイド50が傾斜することから条件(B)を挙げたが、テープガイド50が傾斜しない構成を採用する場合には、規定長さLsがこの条件(B)を満たす必要はない。
【0073】
3-2.その他
実施形態において、テープガイド50の剥離装置52は、ベーステープ91からカバーテープ92の幅方向の一部を残して剥離する際に、係合穴96側の一部の接着状態が維持されるように剥離する。これに対して、剥離装置52は、係合穴96側とは反対側の一部のみを残すように剥離してもよいし、係合穴96側および係合穴96側とは反対側の両部を残して剥離してもよい。このような構成においても同様に、各条件を満たすように規定長さLsを設定することにより同様の効果を奏する。
【0074】
また、実施形態において、位置決め工程(S30)にて第一キャビティ95Fを位置決めする所定位置は、供給部Ptからキャビティ95の間隔T1だけ挿入部Pi側の待機位置Psとした。これに対して、所定位置は、種々の位置を採用し得る。例えば、制御装置70は、所定位置に供給部Ptを設定してもよいし、また待機位置Psからさらにキャビティ95の間隔T1の整数倍だけ挿入部Pi側に移動させた位置としてもよい。
【0075】
実施形態において、角度検出装置36は、ホールマグネットとホールセンサとにより構成されるものとした。これに対して、角度検出装置36は、第三スプロケット31および第四スプロケット32の角度を検出可能であれば、種々の態様を採用し得る。具体的には、角度検出装置36は、磁気式またはエンコーダ式を採用し得る。また、角度検出装置36は、中間ギヤ35の角度に基づいて、中間ギヤ35に連動する第三スプロケット31および第四スプロケット32の角度を検出する構成とした。これに対して、角度検出装置36は、例えば第四スプロケット32の角度を直接的に検出する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1:テープフィーダ、 10:フィーダ本体、 11:レール、 20:第一駆動装置、 30:第二駆動装置、 31:第三スプロケット、 32:第四スプロケット、 36:角度検出装置、 40:テープ支持ユニット、 50:テープガイド、 51:ガイド本体、 52:剥離装置、 521:剥離刃、 53:折り曲げ装置、 531:規制部、 55:付勢装置、 61:検出センサ、 70:制御装置、 90:キャリアテープ、 91:ベーステープ、 92:カバーテープ、 95:キャビティ、 95F:第一キャビティ、 96:係合穴、 Pi:挿入部、 Pt:供給部、 Pc:切り込み位置、 Pe:押し上げが終了する位置、 R1:搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C