(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】タイヤ成型装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/24 20060101AFI20230523BHJP
B29D 30/26 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B29D30/24
B29D30/26
(21)【出願番号】P 2019159802
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100203091
【氏名又は名称】水鳥 正裕
(72)【発明者】
【氏名】森野 浩昭
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116817(JP,A)
【文献】特開2013-220636(JP,A)
【文献】特開2003-118012(JP,A)
【文献】特開2014-073584(JP,A)
【文献】特開2000-000899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0255182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/24
B29D 30/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動及び停止を行うドラムを有するタイヤ成型装置において、
前記ドラムと、停止したときの前記ドラムと対向する場所との一方側にセンサが、他方側に反射体が設けられ、
前記センサは、波を発して前記反射体で反射させることにより前記反射体までの距離を測定するセンサであり、
前記センサによる測定距離に基づき、前記ドラムの停止位置の情報が取得されることを特徴とする、タイヤ成型装置。
【請求項2】
前記ドラムが軸方向に移動するためのレールが設けられ、前記ドラムが前記レールに沿って移動し停止する、請求項1に記載のタイヤ成型装置。
【請求項3】
前記ドラムを載せて回転する回転テーブルが設けられ、前記回転テーブルが回転及び停止することにより前記ドラムが移動及び停止を行う、請求項1又は2に記載のタイヤ成型装置。
【請求項4】
前記センサと前記反射体との組が2組設けられた、請求項3に記載のタイヤ成型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタイヤ成型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に記載されているように、タイヤ成型装置として、カーカスドラムとベルトドラムとシェーピングドラムとを有するものが知られている。カーカスドラムではカーカスを含むタイヤ部材であるカーカスバンドが成型される。ベルトドラムではベルトとトレッドを含むタイヤ部材である外側部材が成型される。シェーピングドラムではカーカスバンドと外側部材とが一体化されて生タイヤが成型される。
【0003】
ドラム間でのタイヤ部材の移動にはトランスファー装置が使用される。詳細には、トランスファー装置が、カーカスドラムからカーカスバンドを受け取り、シェーピングドラムの場所まで移動し、シェーピングドラムへカーカスバンドを受け渡す。また、別のトランスファー装置が、ベルトドラムから外側部材を受け取り、シェーピングドラムの場所まで移動し、シェーピングドラムへ外側部材を受け渡す。
【0004】
カーカスバンドや外側部材の受け取りや受け渡しの際、トランスファー装置だけが移動するのではなく、一部のドラムもトランスファー装置に向かって移動し、受け取り位置や受け渡し位置で停止する。
【0005】
また、ドラムによっては回転テーブルの上に設けられており、回転テーブルが回転及び停止すると、その上のドラムも移動及び停止する。例えば、ベルトドラムが回転テーブル上に配置され、ベルトドラムが所定位置にあるときにベルトドラムの外周面にベルト部材が成型され、その後回転テーブルの回転に従ってベルトドラムが移動し、移動先の場所でベルトドラムからトランスファー装置へベルト部材が受け渡される。
【0006】
このようなタイヤ成型装置においてドラムの停止位置がずれると、タイヤ部材がシェーピングドラムの正しい位置に正しい姿勢で貼り付けることができなくなり、タイヤのユニフォミティに影響が出てしまう。
【0007】
そのため、生産が停止し装置が停止している間に、ドラムの停止位置のずれが生じていないか作業者が時間をかけて点検を行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-116817号公報
【文献】特開2013-220636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、装置の停止中にしか点検されないため、ドラムの停止位置のずれが生じているにもかかわらずそのことに早期に気付くことができなかったり、ドラムの停止位置のずれを事前に予測できなかったりする問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題の対策として、装置を停止させることなくドラムの停止位置の情報を取得できるタイヤ成型装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態のタイヤ成型装置は、移動及び停止を行うドラムを有するタイヤ成型装置において、前記ドラムと、停止したときの前記ドラムと対向する場所との一方側にセンサが、他方側に反射体が設けられ、前記センサは、波を発して前記反射体で反射させることにより前記反射体までの距離を測定するセンサであり、前記センサによる測定距離に基づき、前記ドラムの停止位置の情報が取得されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記の特徴を有するタイヤ成型装置によれば、タイヤ成型装置を停止させなくてもドラムの停止位置の情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。各ドラム及び各トランスファー装置がそれぞれの待機位置にあり、カーカスバンド及びベルト部材の成型が完了した直後の図。
【
図2】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。タイヤ部材を保持したカーカスドラム及びベルトドラムが回転移動した直後の図。
【
図3】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。カーカスドラム及び第1トランスファー装置が第1レールと第4レールとの交差部に移動したときの図。
【
図4】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。カーカスドラムが待機位置に戻り、第1トランスファー装置が第4レールと第2レールとの交差部へ移動したときの図。
【
図5】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。シェーピングドラムが第4レールと第2レールとの交差部へ移動したときの図。
【
図6】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。シェーピングドラム及び第1トランスファー装置が待機位置へ戻ったときの図。
【
図7】タイヤ成型装置全体を上から見た平面図。第2トランスファー装置がシェーピングドラムの待機位置へ移動したときの図。
【
図8】シェーピングドラムの正面図(
図1の下側から見た図)。第1トランスファー装置からシェーピングドラムへのカーカスバンドの受け渡し位置での図。第1トランスファー装置は図示省略してある。
【
図10】第1レーザー変位計及び第1反射体を示す図。
図8と同じ方向から見た図。
【
図14】第2レーザー変位計及び第2反射体を示す図。
図13と同じ方向から見た図。
【
図15】変更例における第1レーザー変位計及び第1反射体を示す図。
図10と同じ方向から見た図。
【
図16】変更例のシェーピングドラムを
図8と同じ方向から見た図。
【
図17】変更例のタイヤ成型装置全体を上から見た平面図。各ドラム及び各トランスファー装置がそれぞれの待機位置にあるときの図。
【
図18】変更例のタイヤ成型装置全体の正面図(
図17の下側から見た図)。各ドラム及び各トランスファー装置がそれぞれの待機位置にあるときの図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0015】
1.タイヤ成型装置の全体構成
本実施形態のタイヤ成型装置のレイアウトを
図1に示す。このタイヤ成型装置は、カーカスドラム10、ベルトドラム11及びシェーピングドラム12を有している。カーカスドラム10、ベルトドラム11及びシェーピングドラム12は互いに離れた場所に配置されている。
【0016】
カーカスドラム10は、複数のセグメントが周状に並べられ全体として円筒状となった既知の構造のドラムである。複数のセグメントが一斉にドラム径方向に移動することにより、カーカスドラム10の外周面が拡径したり縮径したりする。このカーカスドラム10の外周面にインナーライナーやカーカス等が張り付けられて、円筒状のカーカスバンド1が成型される。カーカスバンド1はタイヤ部材の一種である。
【0017】
カーカスドラム10の回転軸が支持台54によって支持され、その支持台54が、後述するレールに沿って移動するための移動装置55に搭載されている。
【0018】
ベルトドラム11も、複数のセグメントが周状に並べられ全体として円筒状となった既知の構造のドラムである。複数のセグメントが一斉にドラム径方向に移動することにより、ベルトドラム11の外周面が拡径したり縮径したりする。このベルトドラム11の外周面にベルトやトレッド等が張り付けられて、円筒状のベルト部材2が成型される。ベルト部材2はタイヤ部材の一種である。ベルトドラム11の回転軸は支持台56によって支持されている。
【0019】
シェーピングドラム12はシェーピングを行うための既知の構造のドラムである。シェーピングドラム12の回転軸の片側が支持台57によって支持され、その支持台57が、後述するレールに沿って移動するための移動装置58に搭載されている。
【0020】
カーカスドラム10で成型されたカーカスバンド1はシェーピングドラム12に移送され、シェーピングドラム12の外周面にセットされる。また、ベルトドラム11で成型されたベルト部材2もシェーピングドラム12に移送され、シェーピングドラム12にセットされたカーカスバンド1の外周側に配置される。その状態でシェーピングが行われ、カーカスバンド1がトロイダル状になったところにベルト部材2が貼り付けられて、生タイヤが成型される。
【0021】
また、タイヤ成型装置は第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14を有している。第1トランスファー装置13は、カーカスバンド1をカーカスドラム10から受け取ってシェーピングドラム12へ受け渡す装置である。第1トランスファー装置13は、複数のセグメントが円筒を形成するように周状に配置された既知の構造のもので、それらのセグメントが一斉に径方向に進退できるものである。複数のセグメントが内径側に進出することにより、カーカスバンド1を外径側から掴むことができる。
【0022】
第2トランスファー装置14は、ベルト部材2をベルトドラム11から受け取ってシェーピングドラム12へ受け渡す装置である。第2トランスファー装置14も、複数のセグメントが円筒を形成するように周状に配置された既知の構造のもので、それらのセグメントが一斉に径方向に進退できるものである。複数のセグメントが内径側に進出することにより、ベルト部材2を外形側から掴むことができる。
【0023】
これらのドラムやトランスファー装置が移動するためのレールとして、第1レール20、第2レール21、第3レール22及び第4レール23が設けられている。第1レール20、第2レール21及び第3レール22はいずれも直線状のレールで、平行に並んでいる。第4レール23は、直線状のレールで、第1レール20、第2レール21及び第3レール22と直交し平面視で交差している。
【0024】
第1レール20は2本で一対となったレールで、床上の台の上に配置されている。第1レール20は、少なくとも、カーカスドラム10の待機位置(図中にAで示す)から、第4レール23との交差部(図中にBで示す)まで延長されている。カーカスドラム10はこの第1レール20上を移動可能となっている。
【0025】
また、第2レール21も2本で一対となったレールで、床上の台の上に配置されている。第2レール21は、少なくとも、シェーピングドラム12の待機位置(図中にCで示す)から、第4レール23との交差部(図中にDで示す)まで延長されている。シェーピングドラム12は第2レール21上を移動可能となっている。
【0026】
また、第3レール22は2本で一対となったレールで、床上ではなく、上方に配置された上フレーム(図示省略)の下面に設けられている。第3レール22は、少なくとも、シェーピングドラム12の待機位置Cから、第4レール23との交差部Dを超えて、ベルトドラム11の位置(図中にEで示す)まで延長されている。第2レール21は第3レール22の下にある。第2トランスファー装置14は第3レール22から吊り下がっており、第3レール22に沿って移動可能となっている。
【0027】
また、第4レール23も2本で一対となったレールで、床上ではなく、上方に配置された上フレーム(図示省略)の下面に設けられている。第4レール23は、第1トランスファー装置13の待機位置(図中にFで示す)から、第2レール21や第3レール22との交差部Dを超えて、第1レール20との交差部Bまで延長されている。第1トランスファー装置13は第4レール23から吊り下がっており、第4レール23に沿って移動可能となっている。
【0028】
そして、第1レール20と第4レール23との交差部Bが、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡し位置である。また、第2レール21と第4レール23との交差部Dが、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡し位置である。また、ベルトドラム11の位置Eは、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡し位置でもある。また、シェーピングドラム12の待機位置Cは、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置でもある。
【0029】
このタイヤ成型装置において、カーカスドラム10は2つ設けられている。2つのカーカスドラム10は、回転軸を平行にして、逆向きで円形の回転テーブル15上に配置されている。回転テーブル15上には2対の第1レール延長部20aが180°の回転対称形をなすように配置されている。各第1レール延長部20aは第1レール20と一致することにより第1レール20の回転テーブル15上への延長部分となることができる。その第1レール延長部20a上にそれぞれカーカスドラム10が載っている。
【0030】
カーカスドラム10が第4レール23とは反対側(
図1の左側)の成型位置にあるときに、カーカスドラム10の外周面にカーカスバンド1が成型される。その後、回転テーブル15が180°回転してそのカーカスドラム10が第4レール23側(
図1の右側)の待機位置に移動し、そのカーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡しのための動作が行われる。
【0031】
また、ベルトドラム11も2つ設けられている。2つのベルトドラム11は、回転軸を平行にして、逆向きで円形の回転テーブル16上に配置されている。ベルトドラム11が第2トランスファー装置14とは反対側(
図1の右側)の成型位置にあるときに、ベルトドラム11の外周面にベルト部材2が成型される。その後、回転テーブル16が180°回転してそのベルトドラム11が第2トランスファー装置14側(
図1の左側)の待機位置に移動し、そのベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡しのための動作が行われる。
【0032】
カーカスドラム10、ベルトドラム11、シェーピングドラム12、第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14は、回転テーブル15、16の回転中を除き、軸方向が同一方向を向くように配置されている。これらのドラム及びトランスファー装置の軸方向は、第1レール20、第2レール21及び第3レール22の延長方向と平行である。また、シェーピングドラム12、第2トランスファー装置14、及び第4レール23側のベルトドラム11は同軸上にある。
【0033】
第1トランスファー装置13が位置Bにあるとき、第1トランスファー装置13の中心軸とカーカスドラム10の回転軸とが同一直線上になる。また、第1トランスファー装置13が位置位置Dにあるとき、第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14の中心軸、並びにベルトドラム11及びシェーピングドラム12の回転軸が同一直線上になる。
【0034】
2.タイヤ成型方法の概略
詳細な説明に入る前に、このようなタイヤ成型装置におけるタイヤの成型方法の概略を
図1~
図6に基づき説明する。
【0035】
始めは、カーカスドラム10、ベルトドラム11、シェーピングドラム12、第1トランスファー装置13及び第2トランスファー装置14は、
図1に示すそれぞれの待機位置で待機している。その状態で、まず
図1に示すように、成型位置にあるカーカスドラム10上にカーカスバンド1が成型され、成型位置にあるベルトドラム11上にベルト部材2が成型される。
【0036】
次に、回転テーブル15、16がそれぞれ180°回転する。それにより、
図2に示すように、カーカスバンド1を保持しているカーカスドラム10が第4レール23側に移動し、ベルト部材2を保持しているベルトドラム11が第2トランスファー装置14側に移動する。またこのとき、第1トランスファー装置13がビード3を保持しているものとする。
【0037】
次に、
図3に示すように、第1トランスファー装置13が待機位置Fから第1レール20と第4レール23との交差部Bまで移動し、その次にカーカスドラム10が同じ交差部Bまで移動する。このとき、第1トランスファー装置13の円形に並んだセグメントの内側にカーカスドラム10が侵入する。そして、第1トランスファー装置13のセグメントが縮径してカーカスバンド1を外径側から保持するとともに、カーカスドラム10のセグメントが縮径してカーカスバンド1を離す。これにより、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡しが完了する。
【0038】
この受け渡しの間に、第1トランスファー装置13では、カーカスバンド1の外径側にビード3が配置され、カーカスバンド1とビード3とが一体となる。以後、カーカスバンド1とビード3とは一体となって移動する。
【0039】
また、カーカスドラム10から第1トランスファー装置13へのカーカスバンド1の受け渡しと並行して、ベルトドラム11から第2トランスファー装置14へのベルト部材2の受け渡しも行われる。具体的には、ベルトドラム11が保持しているベルト部材2の外径側に第2トランスファー装置14が移動する。そして、第2トランスファー装置14のセグメントが縮径してベルト部材2を外径側から保持するとともに、ベルトドラム11が縮径してベルト部材2を離す。ベルトドラム11からベルト部材2を受け取った第2トランスファー装置14は、ベルトドラム11付近の待機位置で待機している。
【0040】
次に、
図4に示すように、カーカスドラム10がその待機位置Aに戻り、その次に第1トランスファー装置13がカーカスバンド1を保持したまま第4レール23と第2レール21との交差部Dへ移動する。
【0041】
次に、
図5に示すように、シェーピングドラム12が第4レール23と第2レール21との交差部Dへ移動する。このとき、第1トランスファー装置13が保持しているカーカスバンド1の内側にシェーピングドラム12が侵入する。そして、シェーピングドラム12のセグメントが拡径してその外周面にカーカスバンド1を保持するとともに、第1トランスファー装置13のセグメントが拡径してカーカスバンド1を離す。これにより、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡しが完了する。
【0042】
次に、
図6に示すように、シェーピングドラム12がカーカスバンド1を保持したまま待機位置Cへ戻り、その次に第1トランスファー装置13が待機位置Fへ戻る。
【0043】
次に、
図7に示すように、第2トランスファー装置14がベルト部材2を保持したままシェーピングドラム12の待機位置Cへ移動する。これにより、シェーピングドラム12が保持しているカーカスバンド1の外周側にベルト部材2が配置される。その後、カーカスバンド1の軸方向中央部を膨張させるシェーピングが行われ、カーカスバンド1の外周面にベルト部材2が貼り付けられる。さらに、ビード3の位置でカーカスバンド1が折り返されるターンアップも行われる。それにより生タイヤが完成する。
【0044】
完成した生タイヤは、加硫成型用の金型(不図示)に挿入されて加硫成型される。加硫成型後、検査等の必要な工程を経て空気入りタイヤが完成する。
【0045】
3.シェーピングドラムの移動及び停止に関する構成
次に、シェーピングドラム12の第2レール21上での移動及び停止に関わる構造について説明する。
【0046】
図8に示すように、シェーピングドラム12の移動装置58はベース板70を有している。ベース板70の上面には支持台57が搭載され、支持台57がシェーピングドラム12の回転軸の片側を保持している。
【0047】
一方、ベース板70の下面側には、移動装置58の一部として複数のスライド部材71が2列に並べて設けられている。これらのスライド部材71が2本の第2レール21に載り、2本の第2レール21に対して摺動可能となっている。
【0048】
さらに、移動装置58の一部として、ベース板70の上にサーボモータ(図示省略)が設けられている。サーボモータの出力軸がベース板70の下面側に延長されており、その延長先にピニオン(図示省略)が設けられている。また、移動装置58の下方には第2レール21と平行に延びるラック(図示省略)が設けられている。そして、ピニオンがラックと噛み合っている。
【0049】
このような構造のため、前記サーボモータが駆動すると、ピニオンとラックとの作用により、移動装置58、支持台57及びシェーピングドラム12が一体となって第2レール21に沿って移動する。シェーピングドラム12の移動及び停止は前記サーボモータの制御によって行われる。
【0050】
図8に示すようにベース板70の一端部には第1レーザー変位計40が設けられている。第1レーザー変位計40は後述する反射体までの距離を測定するセンサである。第1レーザー変位計40は、測定方向が斜め下方を向くように固定されている。
【0051】
一方、シェーピングドラム12の停止位置である、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡し位置Dと、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cでは、停止したときのシェーピングドラム12と対向する場所に第1反射体42が固定されている。
【0052】
図8に示す受け渡し位置Dを例に詳細に説明すると、第1反射体42は、第2レール21よりも下側の場所に配置され、それにより第1反射体42の場所がシェーピングドラム12の可動範囲の外となっている。つまり、シェーピングドラム12が第2レール21に沿って移動して第1反射体42の上を通過したとしてもシェーピングドラム12や移動装置58が第1反射体42に当たらないようになっている。
【0053】
第1反射体42には、上向きで、かつ第2レール21の延長方向(シェーピングドラム12の移動方向でもある)に対して傾斜した反射面43が形成されている。また、この反射面43は、受け渡し位置Dに停止しているときのシェーピングドラム12の第1レーザー変位計40の方向を向いている。
【0054】
一方、第1レーザー変位計40は、シェーピングドラム12が受け渡し位置Dに停止しているときに第1反射体42の反射面43までの距離を測定する向きで固定されている。本実施形態では、
図8に矢印で示すように、第1レーザー変位計40の測定方向が第1反射体42の反射面43に対して垂直であるものとする。
【0055】
このような構成のため、シェーピングドラム12が受け渡し位置Dで停止したときに、第1レーザー変位計40が第1反射体42の反射面43までの距離を測定することができる。第1レーザー変位計40は記憶装置60(
図9参照)に接続されており、第1レーザー変位計40が測定した距離が記憶装置60に記憶される。
【0056】
同様に、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cにおいても、シェーピングドラム12の可動範囲外の場所に、第1反射体42と同形状の反射体が配置されている。そして、シェーピングドラム12が受け渡し位置Cで停止したときに、第1レーザー変位計40が上側反射体の反射面までの距離を測定する。そして第1レーザー変位計40が測定した距離が記憶装置60に記憶される。
【0057】
また、
図8に示すように、シェーピングドラム12を搭載している移動装置58の、例えばベース板70には、位置決め装置の一部としての凹部50が形成されている。また、シェーピングドラム12の停止位置、具体的には上記の受け渡し位置C及びDには、それぞれ、位置決め装置の一部としてのコッター51が設けられている。コッター51は楔型の凸部でシリンダ52によって進退する。
【0058】
コッター51が設けられている場所は、サーボモータの制御により停止位置C及びDにおいてシェーピングドラム12が停止したときの、前記凹部50と対向する場所である。停止位置C及びDにおいてシェーピングドラム12が停止すると、コッター51が凹部50に向かって進出して凹部50に嵌まる。それにより、第2レール21上でシェーピングドラム12の位置が固定される。
【0059】
サーボモータの駆動やコッター51の進退は不図示の制御部によって制御される。また、
図9に示すように、記憶装置60には判定部61が接続され、判定部61には表示部62が接続されている。また、記憶装置60には第1レーザー変位計40が接続されている。
【0060】
4.シェーピングドラムの移動及び停止
上記の通り、生タイヤの生産中、シェーピングドラム12は第2レール21に沿って移動し、位置C及び位置Dで停止する。シェーピングドラム12は、サーボモータが駆動することにより第2レール21に沿って移動し、サーボモータが停止することにより第2レール21上の停止位置で停止する。シェーピングドラム12の停止位置はサーボモータの制御によって決まる。
【0061】
シェーピングドラム12の停止について、第1トランスファー装置13からシェーピングドラム12へのカーカスバンド1の受け渡し位置Dにおける停止を例に説明する。まず、待機位置から受け渡し位置Dへ向かって第2レール21に沿って移動してきたシェーピングドラム12は
図8に示すように受け渡し位置Dにおいて停止する。
【0062】
次に、コッター51が上へ向かって進出し、移動装置58の凹部50に嵌まる。これにより、シェーピングドラム12の移動が、サーボモータの停止という電気的手段で停止するのに加えて、位置決め装置という機械的手段でも停止する。
【0063】
次に、第1レーザー変位計40が第1反射体42の反射面43までの距離を測定し、測定結果を記憶装置60に送信する。なお、第1レーザー変位計40は、シェーピングドラム12が停止する少し前から継続して測定を行っていても良い。その場合も、少なくとも、コッター51が凹部50に嵌まってシェーピングドラム12が完全に停止したときの測定結果が、記憶装置60に送信される。
【0064】
シェーピングドラム12が再び移動し始めるときは、まずコッター51が凹部50から抜け、次にサーボモータが駆動し始める。
【0065】
多数の生タイヤを生産している間、シェーピングドラム12は何度も受け渡し位置Dで停止する。シェーピングドラム12が受け渡し位置Dで停止する度に、このようにして第1レーザー変位計40の測定結果が記憶装置60に送信され、測定結果が蓄積されていく。
【0066】
ここで、シェーピングドラム12が正規の停止位置で停止したときは、第1レーザー変位計40も正規の位置(
図10に実線で示す位置)で停止する。しかし、シェーピングドラム12が正規の停止位置からずれた位置で停止したときは、第1レーザー変位計40も正規の位置からずれた位置(例えば
図10に二点鎖線で示す位置)で停止する。
【0067】
図10(なお
図10における矢印Mは第1レーザー変位計40の移動方向である。)にL1及びL2で示すように、シェーピングドラム12が正規の停止位置で停止したときと、正規の停止位置からずれた位置で停止したときとでは、第1レーザー変位計40から第1反射体42の反射面43までの距離も変化することになる。そのため、シェーピングドラム12の停止位置がずれてくると、第1レーザー変位計40により測定され記憶装置60に取得された測定結果も変化してくることになる。
【0068】
従って、第1レーザー変位計40の測定結果からシェーピングドラム12の停止位置の情報がわかる。このように、第1レーザー変位計40と第1反射体42とが1組となって、シェーピングドラム12の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置を構成している。
【0069】
また、第2トランスファー装置14からシェーピングドラム12へのベルト部材2の受け渡し位置Cにおいても、上記と同様にシェーピングドラム12が停止した後、第1レーザー変位計40が反射体の反射面までの距離を測定してその測定結果を記憶装置60に送信する。シェーピングドラム12が受け渡し位置Cで停止する度に、第1レーザー変位計40の測定結果が記憶装置60に送信され、測定結果が蓄積されていく。
【0070】
判定部61は、記憶装置60に記憶された測定結果に基づき、シェーピングドラム12の停止位置が正規の停止位置から許容範囲を超えてずれているか判定したり、シェーピングドラム12の停止位置に変化の傾向があるか判定したりする。そしてその判定結果が表示部62に表示される。
【0071】
ただし、判定部61や表示部62が存在しなくても、記憶装置60に蓄積された測定結果を人が見ることにより、その人が、シェーピングドラム12の停止位置が正規の位置から許容範囲を超えてずれていることや、シェーピングドラム12の停止位置に変化の傾向があることに気付くことができる。
【0072】
5.回転テーブルの回転及び停止に関する構成
図11~
図13に示す回転テーブル16は、ベルトドラム11を成型位置と待機位置との間で移動させるために、水平面内で180°回転するテーブルである。
図11に示すように、回転テーブル16の上には2つの支持台56が搭載されている。そして、2つの支持台56がそれぞれベルトドラム11の回転軸の片側を保持している。上記のように2つのベルトドラム11は逆向きになっている。回転テーブル16上の各部は180°の回転対称形をなすよう配置されている。
【0073】
回転テーブル16は駆動台17の上に載っている。駆動台17は平面視で略長方形である。駆動台17には不図示のモータが内蔵されており、そのモータが回転テーブル16を回転させる。モータの回転開始は前記の制御部によって制御される。
【0074】
また、回転テーブル16の近傍には不図示の近接スイッチが設けられている。そして、回転テーブル16が180°回転したことを近接スイッチが検出すると、モータの回転が停止して回転テーブル16の回転が停止する。
【0075】
駆動台17の対向する2つの測面には、それぞれ第2レーザー変位計41が設けられている。一方、回転テーブル16の側面のうち、回転テーブル16が停止したときに前記の第2レーザー変位計41と対向する場所には、それぞれ第2反射体44が設けられている。詳細には、駆動台17のうちベルトドラム11の成型位置側と待機位置側の測面にそれぞれ第2レーザー変位計41が設けられ、回転テーブル16におけるベルトドラム11のある側面にそれぞれ第2反射体44が設けられている。
【0076】
第2レーザー変位計41は、
図13に矢印で示すように、測定方向が斜め上方を向くように固定されている。これに対して、第2反射体44には、斜め下方を向く反射面45が形成されている(すなわち反射面45に垂直な方向が斜め下方である)。本実施形態では、第2レーザー変位計41の測定方向が第2反射体44の反射面45に対して垂直であるものとする。
【0077】
このような構成のため、回転テーブル16の回転が停止したときに、第2レーザー変位計41と第2反射体44の反射面45とが対向することとなり、第2レーザー変位計41が反射面45までの距離を測定できるようになる。第2レーザー変位計41は記憶装置60(
図9参照)に接続されており、第2レーザー変位計41が測定した距離が記憶装置60に記憶される。
【0078】
駆動台17の対向する2つの測面には、それぞれ位置決め装置の一部としてのコッター63が設けられている。コッター63は楔型の凸部でシリンダ64によって進退する。コッター63の進退は前記の制御部によって制御される。
【0079】
一方、回転テーブル16の側面のうち、回転テーブル16が停止したときに前記のコッター63と対向する場所には、それぞれ凹部65が設けられている。詳細には、駆動台17のうちベルトドラム11の成型位置側と待機位置側の測面にそれぞれコッター63が設けられ、回転テーブル16におけるベルトドラム11のある側面にそれぞれ凹部65が設けられている。
【0080】
このような構成のため、回転テーブル16の回転が停止したときに、コッター63が凹部65に向かって進出して凹部65に嵌まる。それにより回転テーブル16が回転不能に固定される。
【0081】
6.回転テーブルの回転及び停止
上記のように、成型位置におけるベルトドラム11上でのベルト部材2の成型が終わると、回転テーブル16が180°回転して停止する。それによりベルト部材2を保持しているベルトドラム11が待機位置に移動する。このとき、回転テーブル16上のもう1つのベルトドラム11は、待機位置から成型位置へ移動する。
【0082】
次に、コッター63が上へ向かって進出し、
図13に示すように回転テーブル16の凹部65に嵌まる。これにより、回転テーブル16の回転が、モータの停止という電気的手段で停止するのに加えて、位置決め装置という機械的手段でも停止する。
【0083】
次に、2つの第2レーザー変位計41がそれぞれ第2反射体44の反射面45までの距離を測定し、測定結果を記憶装置60に送信する。なお、第2レーザー変位計41は、回転テーブル16の回転が停止する少し前から継続して測定を行っていても良い。その場合も、少なくとも、コッター63が凹部65に嵌まって回転テーブル16が完全に停止したときの測定結果が、記憶装置60に送信される。
【0084】
回転テーブル16が再び回転を開始するときは、まずコッター63が凹部65から抜け、次にモータが回転を開始して回転テーブル16が回転し始める。
【0085】
多数の生タイヤを生産している間、回転テーブル16及びその上のベルトドラム11は何度も水平面内で回転と停止を繰り返す。回転テーブル16が停止する度に、2つの第2レーザー変位計41のそれぞれの測定結果が記憶装置60に送信され、測定結果が蓄積されていく。
【0086】
ここで、回転テーブル16及びその上のベルトドラム11が正規の停止位置で停止したときは、第2反射体44も正規の位置(
図14に実線で示す位置)で停止する。しかし、回転テーブル16及びその上のベルトドラム11が正規の停止位置からずれた位置で停止したときは、第2反射体44も正規の位置からずれた位置(例えば
図14に二点鎖線で示す位置)で停止する。
【0087】
図14(なお
図14における矢印Mは第2反射体44の移動方向である。)にL3及びL4で示すように、回転テーブル16及びその上のベルトドラム11が正規の停止位置で停止したときと、正規の停止位置からずれた位置で停止したときとでは、第2レーザー変位計41から第2反射体44の反射面45までの距離も変化することになる。そのため、回転テーブル16及びベルトドラム11の停止位置がずれてくると、第2レーザー変位計41により測定され記憶装置60に取得された測定結果も変化してくることになる。
【0088】
従って、第2レーザー変位計41の測定結果から、ベルトドラム11の水平面内での回転の停止位置の情報がわかる。このように、第2レーザー変位計41と第2反射体44とが1組となって、ベルトドラム11の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置を構成している。
【0089】
判定部61は、記憶装置60に記憶された測定結果に基づき、ベルトドラム11の停止位置が正規の停止位置から許容範囲を超えてずれているか判定したり、ベルトドラム11の停止位置に変化の傾向があるか判定したりする。そしてその判定結果が表示部62に表示される。
【0090】
ただし、判定部61や表示部62が存在しなくても、記憶装置60に蓄積された測定結果を人が見ることにより、その人が、ベルトドラム11の停止位置が正規の位置から許容範囲を超えてずれていることや、ベルトドラム11の停止位置に変化の傾向があることに気付くことができる。
【0091】
7.実施形態の効果
次に本実施形態の効果について説明する。
【0092】
上記のように、本実施形態では、シェーピングドラム12の移動装置58に第1レーザー変位計40が設けられ、シェーピングドラム12の移動が停止したときに第1レーザー変位計40と対向する場所に第1反射体42が設けられている。そして、第1レーザー変位計40が第1反射体42までの距離を測定し、その測定結果がシェーピングドラム12の停止位置の情報として取得される。
【0093】
また、上記のように、本実施形態では、ベルトドラム11の回転テーブル16に第2反射体44が設けられ、ベルトドラム11の回転が停止したときに第2反射体44と対向する場所に第2レーザー変位計41が設けられている。そして、第2レーザー変位計41が第2反射体44までの距離を測定し、その測定結果がベルトドラム11の停止位置の情報として取得される。
【0094】
このように、本実施形態によれば、タイヤ成型装置全体を停止させて点検しなくても、生産を行いながらシェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置の情報を取得することができる。そして、取得された情報に基づき、シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置が正規の位置から許容範囲を超えてずれていることや、シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置に変化の傾向があることに気付くことができる。シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置に変化の傾向があれば、シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置のずれが近い将来に許容範囲を超えることを事前に予測することができる。
【0095】
そのため、作業者が、シェーピングドラム12やベルトドラム11が正規の位置で停止できるように、遅滞なく修理やメンテナンスをすることができる。例えば、コッター51、63が摩耗したりコッター51、63の位置がずれたりしてシェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置がずれたのであれば、作業者が、コッター51、63を新しくしたり、コッター51、63の位置を元に戻したりすれば良い。
【0096】
シェーピングドラム12やベルトドラム11が正規の位置で停止することにより、ドラム11、12とトランスファー装置13、14との間のカーカスバンド1やベルト部材2の受け渡しが、常に、正規の位置で、正しい姿勢で行われることとなる。そのため、カーカスバンド1やベルト部材2を、シェーピングドラム12上の正しい位置に、正しい姿勢で貼り付けることが常に可能となり、ひいては完成した空気入りタイヤのユニフォミティを良好にすることができる。
【0097】
また、ベルトドラム11の停止位置の情報の取得に関しては、第2レーザー変位計41と第2反射体44との組が2組設けられているため、一方の第2レーザー変位計41が故障すると2つの第2レーザー変位計41の測定結果が整合しなくなり、一方の第2レーザー変位計41が故障したことに判定部61又は人が気付くことができる。また、一方の第2レーザー変位計41が故障しても、他方の第2レーザー変位計41が正しい測定結果を取得し続けることができる。
【0098】
ここで、2つの第2反射体44が、回転テーブル16の対向する2つの測面に設けられており離れているため、回転テーブル16がわずかに変形しただけでも2つの第2レーザー変位計41の測定結果が整合しなくなり、回転テーブル16が変形したことに判定部61又は人が気付くことができる。
【0099】
また、本実施形態では第1反射体42の反射面43及び第2反射体44の反射面45がシェーピングドラム12やベルトドラム11の移動方向に対して傾斜している。そのため、
図10や
図14に示すように、シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置が異なると、第1レーザー変位計40から第1反射体42の反射面43までの距離や、第2レーザー変位計41から第2反射体44の反射面45までの距離が、異なることとなる。そのため、第1レーザー変位計40や第2レーザー変位計41の測定結果に基づき、シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置の情報を確実に取得することができる。
【0100】
また、本実施形態では第1反射体42がシェーピングドラム12の移動装置58の可動範囲外の場所に配置されているため、シェーピングドラム12の移動装置58が第1反射体42に衝突するおそれがない。
【0101】
また、本実施形態では、シェーピングドラム12の移動装置58に設けられた凹部50と、移動停止時のシェーピングドラム12の凹部50と対向する場所に設けられたコッター51とからなる位置決め装置が設けられている。また、ベルトドラム11側の回転テーブル16に設けられた凹部65と、回転停止時の回転テーブル16の凹部65と対向する場所に設けられたコッター63とからなる位置決め装置が設けられている。そのため、シェーピングドラム12の移動及び回転テーブル16上のベルトドラム11の移動を、電気的に停止させるだけでなく、コッター51、63を使用して機械的に停止させることができる。
【0102】
8.変更例
次に変更例について説明する。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも様々な変更が可能である。
【0103】
(1)変更例1
シェーピングドラム12の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置に関して、第1レーザー変位計40はシェーピングドラム12側のいずれかの場所、つまりシェーピングドラム12と一体となって第2レール21上で移動するいずれかの部分に設けられていれば良い。例えばシェーピングドラム12を保持している支持台57に第1レーザー変位計40が設けられていても良い。いずれにしても、第1反射体42は、シェーピングドラム12の第2レール21上での移動が停止したときに第1レーザー変位計40と対向する場所で、かつ動かない場所に設けられる。
【0104】
また、シェーピングドラム12側に第1反射体42が設けられ、シェーピングドラム12の移動が停止したときに第1反射体42と対向する場所に第1レーザー変位計40が設けられていても良い。
【0105】
(2)変更例2
ベルトドラム11の回転移動の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置に関して、第2反射体44はベルトドラム11側のいずれかの場所、つまり回転テーブル16と一体となって回転するいずれかの部分に設けられていれば良い。例えばベルトドラム11を保持している支持台56に第2反射体44が設けられていても良い。いずれにしても、第2レーザー変位計41は、回転テーブル16の回転が停止したときに第2反射体44の反射面45と対向する場所で、かつ動かない場所に設けられる。
【0106】
また、ベルトドラム11側に第2レーザー変位計41が設けられ、回転テーブル16の回転が停止したときに第2レーザー変位計41と対向する場所に第2反射体44が設けられていても良い。
【0107】
(3)変更例3
レーザー変位計と反射体とからなる上記実施形態と同様の位置情報取得装置は、カーカスドラム10の第1レール20上及び第1レール延長部20a上での停止位置の情報を取得するためにも用いることが可能である。また、上記実施形態と同様の位置情報取得装置は、回転テーブル15の回転停止に伴うカーカスドラム10の回転移動の停止位置の情報を取得するためにも用いることが可能である。
【0108】
(4)変更例4
第1反射体42や第2反射体44までの距離を測定するセンサは、レーザー変位計に限定されない。センサとしては、波を発して反射体42、44で反射させることにより反射体42、44までの距離を測定できるものが好適である。センサが発する波として電磁波や音波等が挙げられ、電磁波として光、電波、X線等が挙げられる。
【0109】
(5)変更例5
シェーピングドラム12の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置は、上記実施形態のような1組に限定されず、2組以上であっても良い。
【0110】
また、回転テーブル16が停止したときのベルトドラム11の停止位置の情報を取得する位置情報取得装置は、上記実施形態のような2組に限定されず、1組であっても良いし3組以上であっても良い。
【0111】
(6)変更例6
上記実施形態では、レーザー変位計40、41の測定方向が、反射体42、44の反射面43、45に対して垂直になっていたが、レーザー変位計40、41の測定方向が別の方向を向いていても良い。
【0112】
上記実施形態では、反射体42、44の反射面43、45は、シェーピングドラム12の移動方向や回転テーブル16の回転移動方向に対して傾斜している。
【0113】
この場合に、レーザー変位計40、41の測定方向がシェーピングドラム12の移動方向や回転テーブル16の回転移動方向に垂直な方向になっていても良い。すなわち、第1レーザー変位計40の測定方向が下を向き、第2レーザー変位計41の測定方向が上を向いていても良い。
【0114】
例として、第1レーザー変位計40の測定方向が下を向いている様子を
図15に示す。なお
図15における矢印Mは第2トランスファー装置14の移動方向である。
【0115】
シェーピングドラム12が正規の停止位置で停止したときは、第1レーザー変位計40も正規の位置(
図15に実線で示す位置)で停止する。しかし、シェーピングドラム12が正規の停止位置からずれた位置で停止したときは、第1レーザー変位計40も正規の位置からずれた位置(例えば
図15に二点鎖線で示す位置)で停止する。
図15にL1及びL2で示すように、シェーピングドラム12が正規の停止位置で停止したときと、正規の停止位置からずれた位置で停止したときとでは、第1レーザー変位計40から第1反射体42の反射面43までの距離も変化することになる。そのため、シェーピングドラム12の停止位置がずれてくると、第1レーザー変位計40により測定され記憶装置60に取得される測定結果も変化してくることになる。
【0116】
このように、反射体42、44の反射面43、45がシェーピングドラム12やベルトドラム11の移動方向に対して傾斜していれば、レーザー変位計40、41の測定方向が反射面43、45の方さえ向いていれば、シェーピングドラム12やベルトドラム11の停止位置の情報を取得することができる。
【0117】
(7)変更例7
第1反射体42の形状は、上記実施形態のように傾斜した反射面43を有する形状に限定されない。
【0118】
図16に示す変更例では、第1反射体142が第2レール21の上側にまで延長されている。第1反射体142は、第2レール21の延長方向(シェーピングドラム12の移動方向でもある)に対して垂直な反射面143を有している。この反射面143は、停止しているときのシェーピングドラム12の第1レーザー変位計40の方向を向いている。
【0119】
一方、第1レーザー変位計40は、第2レール21の延長方向(シェーピングドラム12の移動方向でもある)と同方向を向いており、それにより第1レーザー変位計40の測定方向が第1反射体142の反射面143に対して垂直になっている。
【0120】
このような構成のため、シェーピングドラム12が停止したときに、第1レーザー変位計40が第1反射体142の反射面143までの距離を測定することができる。
【0121】
(8)変更例8
上記実施形態ではレーザー変位計40、41から反射体42、44までの測定距離が記憶装置60に取得される構成となっている。しかし、レーザー変位計40、41から反射体42、44までの測定距離が別の数値、例えば第2レール21上での座標や、回転テーブル16の周りの座標等に変換され、その変換後の数値が記憶装置60に取得される構成でも良い。
【0122】
(9)変更例9
コッター51、63と凹部50、65との位置関係が上記実施形態とは逆になっていても良い。すなわち、上記実施形態においてコッター51、63がある場所に凹部50、65が設けられ、上記実施形態において凹部50、65がある場所にコッター51、63が設けられても良い。
【0123】
また、位置決め装置においてコッター51、63以外の凸部が使用され、その凸部が凹部50、65に嵌まるよう構成されていても良い。
【0124】
また、位置決め装置において、凸部と凹部との少なくとも一方が進退可能になっていれば良い。
【0125】
(10)変更例10
タイヤ成型装置のレイアウトは
図1~
図7のものに限定されない。ここではタイヤ成型装置のレイアウトの変更例について説明する。
【0126】
図17及び
図18に示す変更例のレイアウトでは、2つのシェーピングドラム212が逆向きになって1つの回転テーブル216上に設けられている。さらに、回転テーブル216の一方側にカーカスドラム210が、回転テーブル216の他方側にベルトドラム211が配置されている。そして、一方のシェーピングドラム212とカーカスドラム210とが同軸上に並び、他方のシェーピングドラム212とベルトドラム211とが同軸上に並んでいる。
【0127】
なお、ベルトドラム211は上記実施形態と同様に回転テーブルに載っており、回転テーブルが180°回転することによりシェーピングドラム212側の待機位置とその反対側の成型位置との間を移動できるようになっている。
【0128】
さらに、前記一方のシェーピングドラム212とカーカスドラム210との間に第1トランスファー装置213が配置され、前記他方のシェーピングドラム212とベルトドラム211との間に第2トランスファー装置214が配置されている。第1トランスファー装置213の中心軸はカーカスドラム210の回転軸と同軸上にある。また、第2トランスファー装置214の中心軸はベルトドラム211の回転軸と同軸上にある。
【0129】
第1トランスファー装置213は、その軸方向に不図示のレールに沿って移動し、カーカスバンド1をカーカスドラム210から受け取ってシェーピングドラム212へ受け渡す装置である。また、第2トランスファー装置214は、その軸方向に上側レール223に沿って移動し、ベルト部材2をベルトドラム211から受け取ってシェーピングドラム212へ受け渡す装置である。
【0130】
また、
図17に示すように、回転テーブル216から第1トランスファー装置213へ向かってレール220が延びている。同様に、回転テーブル216から第2トランスファー装置214へ向かってレール221が延びている。
【0131】
さらに、回転テーブル216上には、2対のテーブル上レール222が平行に設けられている。2対のテーブル上レール222は平行かつ180°の回転対称形をなすよう配置されている。
【0132】
回転テーブル216が停止しているとき、一方のテーブル上レール222が第1トランスファー装置213側のレール220と連結されて直線状のレールとなり、他方のテーブル上レール222が第2トランスファー装置214側のレール221と連結されて直線状のレールとなる。
【0133】
そのため、第1トランスファー装置213側のシェーピングドラム212がレール220に沿って第1トランスファー装置213へ向かって移動することができ、また第2トランスファー装置214側のシェーピングドラム212がレール221に沿って第2トランスファー装置214へ向かって移動することができる。上記実施形態のシェーピングドラム12と同様に、シェーピングドラム212はラックアンドピニオンの作用により移動する。
【0134】
このレイアウトのタイヤ成型装置でのタイヤ成型方法の概略は次の通りである。
【0135】
まず、カーカスドラム210上でカーカスバンド1が成型され、ベルトドラム211上でベルト部材2が成型される。次に、第1トランスファー装置213が待機位置からカーカスドラム210の位置Gまで移動し停止する。そしてこの位置Gでカーカスドラム210から第1トランスファー装置213へカーカスバンド1が受け渡される。
【0136】
次に、第1トランスファー装置213がシェーピングドラム212側の位置Hまで移動し停止する。また、シェーピングドラム212もレール220、222に沿って移動して同じ位置Hで停止する。そしてこの位置Hで第1トランスファー装置213からシェーピングドラム212へカーカスバンド1が受け渡される。カーカスバンド1を受け取ったシェーピングドラム212は回転テーブル216上の元の位置に戻る。
【0137】
次に、回転テーブル216が180°回転して、カーカスバンド1を受け取ったシェーピングドラム212がベルトドラム211の方を向く。
【0138】
また、第2トランスファー装置214が待機位置からベルトドラム211の位置Iまで移動し停止する。そしてこの位置Iでベルトドラム211から第2トランスファー装置214へベルト部材2が受け渡される。
【0139】
次に、第2トランスファー装置214がシェーピングドラム212側の位置Jまで移動し停止する。また、カーカスバンド1を保持しているシェーピングドラム212も、レール221、222に沿って移動して同じ位置Jで停止する。そしてこの位置Jで第2トランスファー装置214からシェーピングドラム212へベルト部材2が受け渡される。これにより、シェーピングドラム212が保持しているカーカスバンド1の外周側にベルト部材2が配置される。
【0140】
次に、シェーピングドラム212上でシェーピングが行われ、カーカスバンド1とベルト部材2とが一体となって生タイヤが完成する。
【0141】
以上のようなタイヤ成型装置において、シェーピングドラム212は、レール220、221、222に沿った移動及び停止と、回転テーブル216の回転及び停止に伴う回転及び停止をする。そこで、シェーピングドラム212のレール220、221、222上での停止位置の情報と、回転テーブル216の停止に伴う停止位置の情報の取得のために、上記実施形態と同様の位置情報取得装置を利用することができる。また、ベルトドラム211の回転移動の停止位置の情報も、上記実施形態と同様の位置情報取得装置で取得することができる。
【符号の説明】
【0142】
1…カーカスバンド、2…ベルト部材、3…ビード、10…カーカスドラム、11…ベルトドラム、12…シェーピングドラム、13…第1トランスファー装置、14…第2トランスファー装置、15…回転テーブル、16…回転テーブル、17…駆動台、20…第1レール、20a…第1レール延長部、21…第2レール、22…第3レール、23…第4レール、40…第1レーザー変位計、41…第2レーザー変位計、42…第1反射体、43…反射面、44…第2反射体、45…反射面、50…凹部、51…コッター、52…シリンダ、54…支持台、55…移動装置、56…支持台、57…支持台、58…移動装置、60…記憶装置、61…判定部、62…表示部、63…コッター、64…シリンダ、65…凹部、70…ベース板、71…スライド部材、142…第1反射体、143…反射面、210…カーカスドラム、211…ベルトドラム、212…シェーピングドラム、213…第1トランスファー装置、214…第2トランスファー装置、216…回転テーブル、220…レール、221…レール、222…テーブル上レール、223…上側レール