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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】コンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/18 20060101AFI20230523BHJP
   B65G 47/29 20060101ALI20230523BHJP
   B65G 13/08 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B65G21/18
B65G47/29 F
B65G13/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021031624
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132900
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2022-08-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【弁理士】
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-072926(JP,A)
【文献】特開平06-072537(JP,A)
【文献】特開昭58-095011(JP,A)
【文献】特開平06-336326(JP,A)
【文献】特開平05-319559(JP,A)
【文献】実公昭57-011944(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/18
B65G 13/00-13/12
B65G 43/00-43/10
B65G 47/00-47/96
B65G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を垂直方向に搬送するための搬送経路部が螺旋状経路となるコンベヤ装置であって、
前記搬送経路部に滞留部が設けられ、
前記搬送経路部は傾斜している直線搬送経路部と略水平面を形成する折返搬送経路部との組み合わせであり、
前記折返搬送経路部は、回転軸線が前記直線搬送経路部の搬送方向と直交する方向に延びかつ長さの異なるローラコンベヤ及びその間に45°傾斜した回転軸線を備えたローラコンベヤから構成された第1の複合ローラコンベヤ部、第2の複合ローラコンベヤ部と、前記第1の複合ローラコンベヤ部と前記第2の複合ローラコンベヤ部との間に位置して前記直線搬送経路部の搬送方向と平行に延びる回転軸線を備えた複数のローラコンベヤから構成された連携コンベヤ搬送部とを備え、
前記直線搬送経路部を少なくとも制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部は、前記折返搬送経路部から前記直線搬送経路部に前記搬送物が乗り移るときの前記折返搬送経路部及び前記直線搬送経路部の少なくとも一方の搬送速度を前記搬送物に発生する慣性力が軽減する方向に可変制御する
ことを特徴とするコンベヤ装置。
【請求項2】
前記直線搬送経路部の表面の摩擦力は、前記直線搬送経路部の最大傾斜時に搬送物が停止できる摩擦力を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項3】
前記滞留部が物流センターの倉庫管理システム及びマテハン制御システムを制御する駆動制御部の制御信号に基づき動作する
ことを特徴とする請求項1もしくは2に記載のコンベヤ装置。
【請求項4】
前記直線搬送経路部は、全長に対して分割した搬送体を備え、
前記駆動制御部は、前記搬送体の隣接する上流側から下流側に前記搬送物が乗り移るときの少なくとも一方の搬送速度を前記搬送物に発生する慣性力が軽減する方向に可変制御する
ことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のコンベヤ装置。
【請求項5】
前記直線搬送経路部をベルトコンベヤとする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のコンベヤ装置。
【請求項6】
前記直線搬送経路部は、前記折返搬送経路部の上流側及び下流側と接続される往路と復路とを備え、当該往路と復路とが平面視密接状態で平行に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のコンベヤ装置。
【請求項7】
前記折返搬送経路部は、その内側が支柱によって支持されてなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のコンベヤ装置。
【請求項8】
前記支柱は柱と梁とで構成した基台によって支持強度が補強されてなる
ことを特徴とする請求項7に記載のコンベヤ装置。
【請求項9】
前記直線搬送経路部は、前記折返搬送経路部を挟むように配置される第1及び第2の直線搬送経路部を有し、前記第1の直線搬送経路部及び前記第2の直線搬送経路部の互いの側面の一部が直接接合した構造によってなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のコンベヤ装置。
【請求項10】
前記第1の複合ローラコンベヤ部、前記第2の複合ローラコンベヤ部、前記連携コンベヤ搬送部は、これらを構成する複数の前記ローラコンベヤに対してゴム製ベルトが巻回されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項11】
前記直線搬送経路部の傾斜角度が18°である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項12】
前記直線搬送経路部の傾斜角度が20°である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項13】
前記直線搬送経路部の表面には凹凸形状の表面加工が施されてなる
ことを特徴とする請求項2に記載のコンベヤ装置。
【請求項14】
前記搬送経路部の最上段のユニットには、搬送物の搬入又は排出経路が接続されることが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項15】
前記連携コンベヤ搬送部は、搬送物を回転させることのできる回転テーブルを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項16】
前記連携コンベヤ搬送部は、搬送物を回転させることのできる浮上搬送装置を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【請求項17】
前記直線搬送経路部の中途部付近に作業台が配置されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載のコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤ装置、特に、物流センターにおいて搬送物を高さ方向に搬送させるために螺旋状の搬送経路を経由させるよう構成したコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流センターにおいて搬送物を高さ方向に搬送させるために、コンベヤ装置の全体の設置面積を小さくするとともに、搬送物の搬送距離を短くするものとして、バーチカルコンベヤ装置を適用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、バーチカルコンベヤよりも搬送距離は長くなるものの、螺旋階段のように搬送ラインを螺旋状に形成した螺旋形状のスパイラルコンベヤ装置を適用したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-113942号公報
【文献】特開2008-273744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような先行技術文献に開示のコンベヤ装置、特に、螺旋形状のスパイラルコンベヤ装置については、螺旋状に連結した板状の搬送体に搬送物を載せて搬送するので、当該螺旋形状の搬送経路終点まで搬送物が搬送されることになり、停止する場合は、板状搬送体全部が一度に停止してしまう。
【0006】
また、搬送ラインの途中には、ピッキングシステムや順立てシステムなどの仕分けシステムが設けられるが、これらのシステムの手前では、搬送物を滞留させてまとめてピッキング作業や順立て作業を行う方が、搬送物の間隔にバラツキがある場合よりも作業効率が上がり、センター全体のスループットを上昇できる場合が多いので、ピッキングシステムや順立てシステムの手前には相当量の長さのバッファライン(滞留ライン)を設ける場合が多い。
【0007】
しかし、物流センターの設置スペースが狭い場合、建屋の上下方向をくまなく利用しながら搬送ラインを階層構造にすることが多いが、その場合にバーチカルコンベヤも、螺旋形状のコンベヤも、どちらも搬送物を滞留させる機能がないので、別途滞留ラインを設けるか、又は搬送ライン全体のスピードを遅くするなどの方法になってしまう場合が多かった。
【0008】
本発明の課題は、上述のような課題を解決するために、設置スペースの狭い物流センターにおける作業効率を高め、スループットを向上させることができるコンベヤ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンベヤ装置は、搬送物を垂直方向に搬送するための搬送路部が螺旋状経路となるコンベヤ装置であって、前記搬送路部に滞留部を設けた、ものである。
【0010】
本発明に係るコンベヤ装置は、搬送物を垂直方向、すなわち高さ方向に搬送するコンベヤ装置であって、略垂直方向に上昇又は下降するような構成ではなく、その搬送過程においてスループットを向上すべく、搬送路部を螺旋状経路に構成したものである。
【0011】
前記搬送路部が直線搬送路部と折返搬送路部との組み合わせである。
【0012】
搬送路部を直線搬送路部と折返搬送路部との組み合わせることにより、螺旋状経路を容易に構成することができる。
【0013】
前記直線搬送路部が傾斜しているものである。
【0014】
直線搬送路部を傾斜させることにより、搬送物を垂直方向の搬送として利用することができ、折返搬送路部で搬送物を折り返す(方向転換する)際の搬送構造を傾斜を含まない折り返し専用の構造とすることができ、装置の簡素化に貢献することができる。
【0015】
前記直線搬送路部の表面の摩擦力は、前記直線搬送路部の最大傾斜時に搬送物が停止できる摩擦力を有するものである。
【0016】
直線搬送路部の傾斜構造によって搬送物が不測に滑落しないようにすることができる。
【0017】
前記滞留部が物流センターの倉庫管理システム及びマテハン制御システムを制御する駆動制御部の制御信号に基づき動作するものである。
【0018】
搬送物を所望の位置で所定時間停止させるなどの作業時間を容易に確保することができる。
【0019】
前記駆動制御部は、前記折返搬送経路部から前記直線搬送経路部に前記搬送物が乗り移るときの前記折返搬送経路部及び前記直線搬送経路部の少なくとも一方の搬送速度を前記搬送物に発生する慣性力が軽減する方向に可変制御するものである。
【0020】
前記直線搬送経路部は、全長に対して分割した搬送体を備え、前記駆動制御部は、前記搬送体の隣接する上流側から下流側に前記搬送物が乗り移るときの少なくとも一方の搬送速度を前記搬送物に発生する慣性力が軽減する方向に可変制御するものである。
【0021】
搬送物が上流側から下流側に乗り移る際に発生する慣性力を軽減することができる。
【0022】
前記直線搬送路部をベルトコンベヤとするものである。
【0023】
搬送物を滞留させながら垂直方向かつ螺旋状経路で搬送させるコンベヤ装置であって、前記コンベヤ装置の設置面積に対して前記螺旋状経路の経路が前記垂直方向に極大化できるものである。
【0024】
前記螺旋状経路が直線搬送路部と折返搬送路部との組み合わせである。
【0025】
前記直線搬送路部に傾斜機能を付加するものである。
【0026】
前記直線搬送路部の表面の摩擦力は、前記直線搬送路部の最大傾斜時に搬送物が停止できる摩擦力を有するものである。
【0027】
物流センターの倉庫管理システム(WMS)及びマテハン制御システム(WCS)の制御信号に基づき動作する前記滞留部を備えるものである。
【0028】
前記直線搬送路部をベルトコンベヤとするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明のコンベヤ装置は、設置スペースの狭い物流センターにおける作業効率を高め、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係るコンベヤ装置の一実施の形態における側面図である。
図2】本発明に係るコンベヤ装置の一実施の形態における一部を判断した経路形状を概念的に示す平面図である。
図3】本発明に係るコンベヤ装置の一実施の形態におけるイナーシャ抑制制御を説明する概略図である。
図4】本発明に係るコンベヤ装置の一実施の形態における折返搬送路部の平面図である。
図5】本発明に係るコンベヤ装置の一実施の形態における折返搬送路部に回転テーブル部を用いた平面図である。
図6】本発明に係るコンベヤ装置の一実施の形態における返搬送路部に浮上搬送部を用いた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係るコンベヤ装置について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明のコンベヤ装置における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組み合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0032】
図1及び図2に示すように、コンベヤ装置1は、複数段のユニット(図1においては上段ユニット1A,中断ユニット1B,下段ユニット1Cの3段構成)により搬送物Pを垂直方向(上下方向の何れでもよい)に搬送するための搬送路部2が螺旋状経路となるように構築されている。
【0033】
搬送路部2は、各ユニット1A~1Cが全体として平面視略小判型形状を呈しているとともに、最上段の上段ユニット1Aには、その中途部等から図示を略す搬送物Pの搬入(又は排出)経路が接続される。
【0034】
なお、この搬送物Pの搬入(又は排出)経路は、例えば、図2において紙面の左側から接続されたり、図2において紙面の上方から接続されたりなど、その接続構成は自由である。
【0035】
また、最下段の下段ユニット1Cには、搬送経路部2の終端(搬送物Pを下降搬送する場合)又は始端(搬送物Pを上昇搬送する場合)となるように途切れている。
【0036】
搬送経路部2は、各ユニット1A~1Cにおいて、往路と復路との直線搬送経路部2a,2bと、配置に高低差を備える折返搬送経路部2c,2dとの組み合わせである。
【0037】
なお、上述したように、コンベヤ装置1は、搬送物Pを上昇搬送・下降搬送の何れの場合としても適用可能であるが、説明の便宜上、以下の説明においては搬送物Pを下降搬送する場合として説明する。
【0038】
したがって、図1及び図2において、上段ユニット1Aの往路側の直線搬送経路部2aは省略され、下段ユニット1Cの下段側の折返搬送経路部2dは省略されている。また、図2においては、上段ユニット1Aの図示は省略されている。
【0039】
直線搬送経路部2a,2bは傾斜しており、その傾斜角度は20°前後(好ましくは18°)で傾斜しており、この傾斜分だけ搬送物Pを下降させるようになっている。
【0040】
直線搬送経路部2a,2bは、搬送方向と直交する方向に回転軸線を備えた複数のローラコンベヤにベルトを巻回したベルトコンベヤ3(一部にのみ図示)を全長に対して分割して複数隣接配置しており、例えば、物流センターの倉庫管理システム(WMS)及びマテハン制御システム(WCS)の制御信号に基づき駆動・停止の動作が制御され、その停止位置を滞留部とすることができるようになっている。
【0041】
なお、ここでの駆動・停止の動作制御には、所定間隔ごとに駆動・停止を繰り返すインチング方式の他、作業者が搬送物Pを取り出す手を感知したときに動作を停止し、搬送物Pが取り出されたことを感知したときに動作を再開させるセンサ方式等を採用することができる。
【0042】
したがって、図1に示すように、例えば、下段ユニット1Cの復路側の直線搬送経路部2bの中途部付近に作業台Tを配置し、作業者が搬送物Pをピックアップすることでピッキングシステムや順立てシステムなどの仕分けシステム(仕分け作業)を行うことができる。
【0043】
ベルトコンベヤ3は、例えば、ゴム製ベルトをローラコンベヤに回動移動可能に巻回することで搬送物Pを搬送する。この際、ゴム製ベルトは直線搬送経路部2a,2bの傾斜に伴う搬送物Pの滑落を防止するために、最大傾斜時に搬送物Pが停止できる摩擦力を有するよう、弾性力を設定したり、凹凸形状等の表面加工等が施されている。
【0044】
なお、直線搬送経路部2a,2bは支柱6を中心に支柱部分の空間をともなって回廊する構造であるが、この支柱6を廃止して直線搬送経路部2a,2bの互いの側面の一部を直接接合した構造であってもよい。
【0045】
すなわち、直線搬送経路部2a,2bは、折返搬送経路部2c(又は2d)の上流側及び下流側と接続される往路と復路を構成している。そこで、この往路と復路とが平面視密接状態で平行に配置することにより、直線搬送経路部2a,2bの設置面積及び折返搬送経路2c、2dの搬送経路長(後述する複合ローラコンベヤ部4bが不要となる)の短縮化による接地面積を最小化することができ、狭小センターでのスペース効率をより高めることが可能となる。なお、以下の説明において、直線搬送経路部2a,2bを単に「傾斜部」と総称する場合がある。
【0046】
折返搬送経路部2c,2dは、略水平面内で搬送物Pを搬送しつつ直線搬送経路部2a,2bの往路側の終端部から復路側の始端部に引き継ぎ搬送する過程で搬送物Pを折り返すようになっている。なお、以下の説明において、折返搬送経路部2c,2dを単に「水平部」と総称する場合がある。
【0047】
折返搬送経路部2c,2dは、直線搬送経路部2a,2bの往路側の終端部と復路側の始端部において搬送物Pの搬送方向を直交変換するよう、回転軸線が直交する方向に延びかつ長さの異なるコーラコンベヤ及びその間に45°傾斜した回転軸線を備えたローラコンベヤから構成された複合ローラコンベヤ部4a,4bと、複合ローラコンベヤ部4aと複合ローラコンベヤ部4bとの間に位置して直線搬送経路部2a,2bの搬送方向と平行に延びる回転軸線を備えた複数のローラコンベヤから構成された連携コンベヤ搬送部4cと、を備えている。
【0048】
なお、複合ローラコンベヤ部4a,4b及び連携コンベヤ搬送部4cは、複数本のローラコンベヤに対してゴム製ベルトを巻回してローラコンベヤとしてもよい。
【0049】
折返搬送経路部2c,2dは、上部に搬送物Pの落下防止及び方向転換を補助するガイド部5が設けられている。
【0050】
なお、このガイド部5は、例えば、連携コンベヤ搬送部4cに対応する部分には配置せず、この部分を滞留部として機能させることも可能である。
【0051】
したがって、例えば、建物の複数階に跨ってコンベヤ装置1を設置した場合など、中途階での搬送物Pのピックアップ作業等に供することも可能である。
【0052】
折返搬送経路部2c,2dは、その内側が支柱6によって支持されており、支持構造の簡素化が図られている。この際、支柱6は、例えば、柱と梁とで構成した基台7によって支持強度を補強することも可能である。
【0053】
したがって、コンベヤ装置1は、搬送物Pを滞留させながら垂直方向かつ螺旋状経路で搬送させる際に、コンベヤ装置1の設置面積に対して螺旋状経路の経路垂直方向に極大化することができる。
【0054】
このようにコンベヤ装置1は、予め決められたユニット1A~1Cによって複数段に構成し、搬送物Pの搬送経路部2にベルトコンベヤとローラコンベヤとを併用して直線搬送経路部2a,2bと折返搬送経路部2c,2dとを連結した構成とするだけでスパイラルコンベヤと同様の機能を具備させることができる。
【0055】
ところで、このようなコンベア装置1を用いて搬送物Pを搬送する際、特に、搬送物Pを下降搬送させている際には、折返搬送経路部2c,2d(水平部)から直線搬送経路部2a,2b(傾斜部)の最上位のベルトコンベヤ3に搬送物Pが乗り移る過程において、図3(A)に示す位置では搬送物Pは水平状態のまま搬送される。
【0056】
これに対し、搬送物Pの重量バランス(重心位置)が中心にあるとしたとき、搬送物Pは、その半分未満が水平部で搬送されるまで、図3(B)に示すように、搬送方向下流側は浮いた状態となる。
【0057】
そして、その半分以上が水平部で搬送されると、図3(C)に示すように、搬送物Pは傾斜部に乗り移った状態となる。この際、搬送物Pは、重量に加えて傾斜部側への倒れ込みの慣性力が付与されることとなり、下降側(下流側)に滑落し易くなってしまう。
【0058】
そこで、搬送物Pが水平部から傾斜部に乗り移ろうとする瞬間にベルトコンベア3の搬送速度を駆動制御部10で制御することによって上述した慣性力(イナーシャ)を抑制する制御を行うようにすることができる。
【0059】
具体的に駆動制御部10は、搬送物Pが水平部から傾斜部に乗り移る瞬間を図示を略すセンサ等で検知し、最上位のベルトコンベア3を下流側に隣接するベルトコンベア3とは独立して搬送速度(ベルトの回動移動速度)を遅くする(例えば、1/3)ことにより、上述した慣性力(イナーシャ)を抑制することができる。
【0060】
また、駆動制御部10は、同様に、搬送物Pが上流側のベルトコンベア3から下流側のベルトコンベア3に乗り移る場合においても、搬送物Pが下流側に乗り移る瞬間に送り出す上流側のベルトコンベヤ3と受け取る下流側のベルトコンベヤ3のベルト回動移動速度を独立して制御することによって搬送物Pに生じる慣性力を抑制することができる。
【0061】
なお、駆動制御部10は、水平部から傾斜部へと搬送物Pが乗り移る瞬間に、双方の搬送速度を独立して可変制御してもよい。
【0062】
さらに、搬送物Pを上昇搬送させる場合においても、傾斜部から水平部に搬送物Pが乗り移る瞬間、或いは、下側(上流側)から上側(下流側)に隣接するベルトコンベア3の双方についても、各ベルトコンベア3の搬送速度(ベルト回動移動速度)を独立して速度制御することができる。
【0063】
また、例えば、図4に示すように、折返搬送経路部2c,2dでは、搬送物Pは搬送面の前後が往路と復路で180°変わってしまうため、作業者によるピックアップ(滞留部)作業に支障が生じる場合がある。
【0064】
したがって、このような場合には、例えば、図5に示すように、連携コンベヤ搬送部4cを回転テーブル8として搬送物Pを回転させてもよい。また、図6に示すように、連携コンベヤ搬送部4cを浮上搬送装置9として搬送物Pを回転させてもよい。
【0065】
なお、浮上搬送装置9は、上面の複数個所からエア等を噴き出して搬送物Pを浮上させつつエア噴射方向を制御して搬送物Pの回転・搬送を可能とするものであれば、公知の構成、例えば、シリコンウエハ用浮上搬送装置等を活用することで実現される。
【0066】
これにより、例えば、従来型の円形螺旋形状のスパイラルコンベヤでは、コンベヤ全体が一体的に動作するので、途中で細かい制御をすることができないといった不具合を解消することができる。また、運用上、例えば、搬送物Pを下から上に搬送するような場合のように排出口が最上部にあるとすると、排出口付近においてコンベヤ部分で細かいアキュムレーション制御ができるので、搬送物を一度にためて処理することができるようになる。
【0067】
また、これらのコンベヤは、スパイラルコンベヤ専用品ではなく規格品のローラコンベヤやベルトコンベヤを組み合わせて用いることができるため、コンベヤの厚みが薄く、多層構造でかつ傾斜を緩くして距離を稼ぐことが簡単にできる。
【0068】
これは、上述したスパイラル方式では、側面からみるとスパイラル部分の厚みが厚く、多層化する場合にある程度の高さが必要だったが、上記実施の形態では高さがなくとも傾斜を緩くしてパンタグラフを折りたたむように多層化することを容易に実現することができる。
【0069】
これは運用上、例えば、階層構造のセンターの場合、上記スパイラルコンベヤを設けるスペースがあれば、このスパイラルコンベヤ長を長くして(例えば、中段ユニット1Bの傾斜角度を緩やかに設定して段数を多く確保する)搬送物Pをためて処理するバッファー機能を持たせることもできるので、狭小センターの搬送経路の延長化に貢献することができ、スペース効率の点で大変に有用である。
【0070】
このように、規格化されたコンベヤを組み合わせて安価で搬送物を滞留(アキュムレーション)させることができるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 コンベヤ装置
1A 上段ユニット
1B 中段ユニット
1C 下段ユニット
2 搬送経路部
2a 直線搬送経路部
2b 直線搬送経路部
2c 搬送経路部
2d 搬送経路部
3 ベルトコンベヤ
4a 複合ローラコンベヤ部
4b 複合ローラコンベヤ部
4c 連携コンベヤ搬送部
5 ガイド部
6 支柱
7 基台
8 回転テーブル
9 浮上搬送装置
10 駆動制御部
P 搬送物
T 作業台
図1
図2
図3
図4
図5
図6