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特許7283025セイヨウマツムシソウ植物及び同植物の作製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】セイヨウマツムシソウ植物及び同植物の作製方法
(51)【国際特許分類】
   A01H 6/00 20180101AFI20230523BHJP
   A01H 3/02 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A01H6/00
A01H3/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020515867
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 IL2018051025
(87)【国際公開番号】W WO2019053718
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】62/557,185
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/695,082
(32)【優先日】2018-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43094
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43138
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43139
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43140
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43141
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43142
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43095
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43096
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43097
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43098
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43099
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43100
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43101
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43102
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43137
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13541BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13542BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13543BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13544BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13545BP
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 13547BP
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43070
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43071
【微生物の受託番号】NCIMB  NCIMB 43072
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520087804
【氏名又は名称】ダンジガー ダン フラワー ファーム
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】シュパイヤー、ノーム
(72)【発明者】
【氏名】ダンジガー、ガブリエル
【審査官】加藤 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-266725(JP,A)
【文献】特表2017-508477(JP,A)
【文献】Scabiosa atropurpurea 'Ace of Spades', Pinsushion flower 'Ace of Spades' [online], 12-May-2015, retrieved on 25-Apr-2022, retrieved from the Internet (Wayback Machine), <URL, https://web.archive.org/web/20150512133434/https://www.shootgardening.co.uk/plant/scabiosa-atropurpurea-ace-of-spades>
【文献】North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox, Scabiosa Atropurpurea [online], 19-May-2020, retrieved on 25-Apr-2022, retrieved from the Internet (Wayback Machine), <URL, https://web.archive.org/web/20200519234753/https://plants.ces.ncsu.edu/plants/scabiosa-atropurpurea>
【文献】J.Exp.Bot.,2013,64(6),p.1427-1437
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01H
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
花序直径が7.5cmを超え、花柄長が60cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物(Scabiosa atropurpurea plant)であって、
2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43096の番号で種子が寄託されたSB-15-1503、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43141の番号で種子が寄託されたSB-15-1577、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43139の番号で種子が寄託されたSB-16-1593、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43142の番号で種子が寄託されたSB-16-1597、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43138の番号で種子が寄託されたSB-15-1575、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43140の番号で種子が寄託されたSB-15-1574、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43099の番号で種子が寄託されたSB-16-1539、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-16-1576、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-16-1528、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43097の番号で種子が寄託されたSB-15-1515、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43100の番号で種子が寄託されたSB-16-1555、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43101の番号で種子が寄託されたSB-16-1562、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43072の番号で種子が寄託されたSB-16-1589、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43098の番号で種子が寄託されたSB-15-1521、及び2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43102の番号で種子が寄託されたSB-17-1635からなる群より選択される植物。
【請求項2】
(a)低太陽放射条件(reduced solar radiation conditions)を生じさせるための覆いの下でセイヨウマツムシソウ植物体群を栽培すること、及び
(b)同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物体群よりも花序直径及び花柄長が大きくまた花柄直径が大きい又は大きくない植物体を、前記植物体群から選別すること
を含む、花序直径が7.5cmを超え、花柄長が60cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物(Scabiosa atropurpurea plant)を開発する方法。
【請求項3】
一つ又は複数の前記植物体を自殖又は交雑させること、並びに、直径、花柄長及び/又は花柄直径がより大きい前記花序について選別することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む舌状花と比較して、小花数として10%以上増加している、又は
前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む管状花と比較して、小花数として10%以上増加している、請求項又は請求項に記載の方法。
【請求項5】
より大きい花柄直径を有する花序について選別を行うことをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記栽培は25℃以下の温度の下で行われる、請求項~請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記栽培は温室又はトンネルの中で行われる、請求項~請求項のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項8】
前記温室又はトンネルはポリエテンフィルムで覆われている、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記低太陽放射(reduced solar radiation)は、前記温室又はトンネルを通過する太陽放射のうちのPAR放射が40%以上削減されている放射である、又は
前記低太陽放射は、前記温室又はトンネルを通過する太陽放射のうちのUV放射が90%以上削減されている放射である、請求項又は請求項に記載の方法。
【請求項10】
自殖育種及び/又は交雑育種のための育種材料源として請求項1に記載の前記植物又は前記植物の一部分を使用することを含む、植物育種技術を用いて栽培植物を開発する方法。
【請求項11】
2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43096の番号で種子が寄託されたSB-15-1503、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43141の番号で種子が寄託されたSB-15-1577、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43139の番号で種子が寄託されたSB-16-1593、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43142の番号で種子が寄託されたSB-16-1597、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43138の番号で種子が寄託されたSB-15-1575、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43140の番号で種子が寄託されたSB-15-1574、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43099の番号で種子が寄託されたSB-16-1539、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-16-1576、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-16-1528、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43097の番号で種子が寄託されたSB-15-1515、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43100の番号で種子が寄託されたSB-16-1555、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43101の番号で種子が寄託されたSB-16-1562、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43098の番号で種子が寄託されたSB-15-1521、及び2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43102の番号で種子が寄託されたSB-17-1635からなる群より選択される、セイヨウマツムシソウ植物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本発明の幾つかの実施形態ではセイヨウマツムシソウ植物及び同植物の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セイヨウマツムシソウ(Scabiosa atropurpurea)はマツムシソウ科に数えられる(米国農務省)。マツムシソウ科は8属約150種からなる小さな科である。マツムシソウ科は主にヨーロッパ、アジア、アフリカ、特に地中海領域に分布している。属としてはマツムシソウ属(100種)、クナウティア属(50種)及びナベナ属(15種)が挙げられる(Boulos著、2002年、Flora of Egypt第3巻)。マツムシソウ属は複雑性に関して分類学的に最も重要なマツムシソウ科のメンバーである(Verlaque著、1986年a、Etude biosystematique et phylogenetique desDipsacaceae. IV.-Tribus desScabioseae (phylum n° 1, 2, 3).Rev. Cytol. Biol. Veg. Le Botaniste誌、第9巻:5~72頁;Verlaque著、1986年b、Etude biosystematique et phylogenetique desDipsacaceae. V.-Tribus desScabioseae (phylum n° 4) et conclusion.Rev. Cytol. Biol. Veg. Le Botaniste誌、第9巻:97~176頁)。この属は主にユーラシア温帯地域、地中海領域、東アフリカ山岳地域、南アフリカに存在する(Boulos著、2002年、Flora of Egypt第3巻)。
【0003】
マツムシソウ属には多くの場合に異形葉を示す一年草又は多年草が含まれる。セイヨウマツムシソウはヨーロッパ及び米国で庭園植物(例えばキンツラー種)として多年にわたり市販されている。セイヨウマツムシソウ品種が米国及びヨーロッパで切り花として市場に出回り始めたのは近年のことである(Danziger Dan Flower Farmが率先し、Hillverda Koojiがそれに続く)。
【発明の概要】
【0004】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、花序直径が7cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物(Scabiosa atropurpurea plant)が提供される。
【0005】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、花柄長が60cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0006】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、花柄直径が5mmを超えるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、花柄長が60cmを超え、花柄直径が5mmを超える、セイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0008】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物は花柄長が60cmを超える。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物は花柄直径が5mmを超える。
【0010】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物は花柄長が60cm未満である。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物は花柄直径が5mm未満である。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序とは前記植物の第1花序を指す。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態によれば、花序直径が8cm以上である。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む舌状花と比較して、小花数として10%以上増加している。(11)
【0015】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の管状花の小花開花と前記花序の舌状花の小花開花が同時に起こる。
【0016】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の管状花の小花開花は前記花序の舌状花の小花開花の2~3日後に起こる。
【0017】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の管状花の小花開花は前記花序の舌状花の小花開花の3日後に起こる。
【0018】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む管状花と比較して、小花数として10%以上増加している。(12)
【0019】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物は祖先としてラベンダースクープ(商標)、チェリーバニラスクープ(商標)、ブラックベリースクープ(商標)、マシュマロスクープ(商標)、及びバニラスクープ(商標)を有する。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物の種子は、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43095の番号で種子が寄託されたSB-15-1484、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43096の番号で種子が寄託されたSB-15-1503、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43141の番号で種子が寄託されたSB-15-1577、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43139の番号で種子が寄託されたSB-16-1593、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43142の番号で種子が寄託されたSB-16-1597、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43138の番号で種子が寄託されたSB-15-1575、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43140の番号で種子が寄託されたSB-15-1574、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43099の番号で種子が寄託されたSB-16-1539、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-16-1576、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-16-1528、及び2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43072の番号で種子が寄託されたSB-16-1589、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43094の番号で種子が寄託されたSB-14-1434、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43097の番号で種子が寄託されたSB-15-1515、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43098の番号で種子が寄託されたSB-15-1521、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43100の番号で種子が寄託されたSB-16-1555、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43101の番号で種子が寄託されたSB-16-1562からなる群より選択される。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の一部分が提供される。
【0022】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物の前記一部分は花柄、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、成長点、根、根端、雌ずい、葯、花、小花、茎、胚珠、種子、及び葉柄からなる群より選択される。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の花が提供される。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花は切り花である。
【0025】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の花粉が提供される。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の種子が提供される。
【0027】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の胚珠が提供される。
【0028】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の挿し穂が提供される。
【0029】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記植物の細胞を含む組織培養物が提供される。
【0030】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物はハイブリッド植物体である。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記植物は自殖植物体である。
【0032】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、
(a)低太陽放射条件(reduced solar radiation conditions)を生じさせるための覆いの下でセイヨウマツムシソウ植物体群を栽培すること、及び
(b)同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物体群よりも直径、花柄長及び/又は花柄直径が大きい花序を示す植物体を、前記植物体群から選別すること
を含む、本明細書に記載される前記植物を開発する方法が提供される。
【0033】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は、一つ又は複数の前記植物体を自殖又は交雑させること、並びに、直径、花柄長及び/又は花柄直径がより大きい前記花序について選別することをさらに含む。
【0034】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物体群の花序の含む舌状花と比較して、小花数として10%以上増加している。
【0035】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物体群の花序の含む管状花と比較して、小花数として10%以上増加している。
【0036】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記方法は花柄長及び/又は花柄直径について選別を行うことをさらに含む。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記栽培は25℃以下の温度の下で行われる。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記栽培は温室又はトンネルの中で行われる。
【0039】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記温室又はトンネルはポリエテンフィルムで覆われている。
【0040】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記ポリエチレンシートはイスラエル、Genigar社の「サン・セレクター」AV thermal IR、C400 IR AV DIFF-120ミクロンと実質的に同じ仕様を有する。
【0041】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記低放射(reduced radiation)は、前記温室又はトンネルを通過する太陽放射のうちのPAR放射が40%以上削減されている放射である。
【0042】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記低放射は、前記温室又はトンネルを通過する太陽放射のうちのUV放射が90%以上削減されている放射である。
【0043】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記方法によって得られるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0044】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、
(a)本明細書に記載されるセイヨウマツムシソウ植物と、該セイヨウマツムシソウ植物とは異なる遺伝的バックグラウンドを有する別の本明細書に記載のセイヨウマツムシソウ植物とを、交雑すること、
(b)前記交雑の後に種子を回収すること、
(c)前記種子を播種し、前記種子を植物体に栽培すること、及び
(d)ハイブリッド植物体を選別すること、
を含む、セイヨウマツムシソウ植物を作製する方法が提供される。
【0045】
本発明の幾つかの実施形態によれば、前記選別は花序直径に基づいて行われる。
【0046】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、本明細書に記載される前記方法によって作製されるハイブリッド植物体又は前記ハイブリッド植物体の一部分が提供される。
【0047】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、自殖育種及び/又は交雑育種のための育種材料源として本明細書に記載される前記植物又は前記植物の一部分を使用することを含む、植物育種技術を用いて栽培植物を開発する方法が提供される。
【0048】
本発明の幾つかの実施形態の一態様によれば、寄託された種子の代表的なものであるブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、SB-15-1484、SB-15-1503、ブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、SB-15-1577、SB-15-1597、ブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13544BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1575、SB-15-1574、ブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、ブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、ブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1576、ブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、ブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-15-1528、及びブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43072の番号で種子が寄託されたSB-16-1589からなる群より選択されるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0049】
別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は本発明が関係する技術分野の当業者が共通して理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と類似又は等価の方法と材料を本発明の実施形態の実施又は試験に使用することが可能であるが、例となる方法及び/又は材料を、以下に説明する。食い違いがある場合、本特許明細書が、定義を含み、優先される。加えて、本材料、本方法、及び本実施例は例示に過ぎず、必ずしも限定を意図したものではない。
【0050】
添付されている図面と画像を参照して本発明の幾つかの実施形態をほんの一例として本明細書において説明する。これよりこれらの図面の詳細を具体的に参照することにつき、これより示される細目は例であり、本発明の実施形態を例示的に考察することを目的としたものであることを強調しておく。この点に関し、当業者はこれらの図面を参照して行う説明によって本発明の実施形態がどのように実施可能であるかを理解することになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1A】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1B】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1C】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1D】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1E】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1F】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1G】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1H】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1I】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1J】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1K】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1L】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1M】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1N】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
図1O】本発明の幾つかの実施形態に従って得られる様々な遺伝的バックグラウンドに由来する植物の特徴を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明は本発明の幾つかの実施形態ではセイヨウマツムシソウ(S.atropurpurea)植物及び同植物の作製方法に関する。
【0053】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、以下の説明において示されるか又は実施例によって例示される詳細に本発明の適用が必ずしも限定されるものではないことが理解されるべきである。本発明は他の実施形態も可能であり、又は様々な方式で実施若しくは実行可能である。
【0054】
セイヨウマツムシソウにおいて、特定の花サイズ及び/又は花柄長及び/又は花柄径の形質を他の望ましい多遺伝子性特徴と併せ持たせようとする努力は、極度に時間と手間がかかるものであった。しかしながら、本明細書に記載されるように、本発明者らはこれまでにない花サイズ、花柄長、花柄径、又はそれらの組合せを有するセイヨウマツムシソウ植物を誘導し選別するための新規な方法を考案した。
【0055】
用語法
以下に続く説明において多くの用語が使用されている。本明細書と特許請求の範囲を明確、且つ、矛盾なく理解するために以下の定義が与えられる。
【0056】
系統/ゲノム/栽培種/品種は、前記植物に含まれる遺伝子的相補物(genetic compliment)を指すために互換的に使用される。
【0057】
成熟とは花序が満開であること、すなわち管状花及び舌状花の小花が完全に(最大限に)開いているときを指す。花序はこの種では花と呼ばれる場合もあり、その花は舌状花と管状花から構成される。本明細書において提供される全ての測定値は完全成熟時の測定値である。
【0058】
花序とは単一の花柄上の小花(舌状花及び管状花)の集合体を指す。
【0059】
戻し交雑とは育種家がハイブリッド子孫、例えば第1世代ハイブリッド(F)をそのハイブリッド子孫の親のうちの一方に繰り返し交雑する過程のことである。戻し交雑は1つの遺伝的バックグラウンドから別の遺伝的バックグラウンドへ1又は複数の単一座位変換を導入するために用いられ得る。
【0060】
交雑とは2つの親植物体を掛け合わせることである。
【0061】
異花受粉とは異なる植物体(遺伝的バックグラウンドが異なる)由来の2つの配偶子の合同による受粉のことである。
【0062】
自家受粉とは同じ植物体の葯から柱頭への花粉の伝達のことである。
【0063】
ハイブリッドとは2つの非同質遺伝子型の植物体の交雑の子孫のことである。
【0064】
遺伝子型とは細胞又は生物の遺伝的構成のことである。
【0065】
表現型とは細胞又は生物の検出可能な特徴のことであり、それらの特徴は遺伝子発現が現れたものである。
【0066】
系統育種とは選択した既存の品種の最良の特質を組み合わせている完全に新しい品種の植物を作製するために使用される育種技術のことである。
【0067】
草高とは地面の一番高い所から植物の一番高い節までで測定される高さであり、センチメートル単位で測定される。
【0068】
実質的に等価とは比較したときに平均値からの統計学的有意差(例えば、p=0.05)を示さない特徴のことである。
【0069】
したがって、本発明の一態様によれば、花序直径が7cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0070】
本発明の一態様によれば、花柄長が60cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0071】
本発明の一態様によれば、花柄直径が5mmを超えるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0072】
本発明の一態様によれば、花柄長が60cmを超え、花柄直径が5mmを超えるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0073】
本明細書において使用される場合、「セイヨウマツムシソウ」(時に単純化して「マツムシソウ」と呼ぶが、セイヨウイトバマツムシソウなどの他のマツムシソウ属の種と混同されてはならない)はスイカズラ科内のマツムシソウ属の花卉であるモーニングブライド又はスウィートスカビオサも指す。
【0074】
前記植物はどの色の植物であってもよい。例には白色(155A-155NND、157A-159D)、黄色(160A-163A、1A-11-D)、オレンジ色(12A-29D)、ピンク色(57NA-69D、73A-74ND)、赤色(33A-34N、40A-56D、57NA-69D)、紫色(70A-74ND)、ラベンダー色(75A-92NA)、又は緑色(154A-124A、例えばSB-17-1635)が含まれるがこれらに限定されない。
【0075】
本明細書において使用される場合、「植物」という言葉は植物全体又は植物の一部分を指す。
【0076】
特定の実施形態によれば、前記植物はハイブリッド植物体(例えば、ハイブリッド種子)である。
【0077】
特定の実施形態によれば、前記植物は自殖植物体(例えば、自殖種子)である。
【0078】
「植物部分」という言葉は植物体を(再)生成することができる単離された植物細胞又は単離された植物部分(組織)を指し、それらには植物プロトプラスト、植物カルス、植物塊、並びに植物体、又は花柄、種子、葉、茎、花粉、根、根端、葯、胚珠、花弁、花、小花、実生、胚、及び丸莢などの植物体部分の中で完全体である植物細胞が含まれる。
【0079】
特定の実施形態によれば、前記植物部分は花である。
【0080】
特定の実施形態によれば、前記花は切り花である。
【0081】
特定の実施形態によれば、前記植物部分は花粉である。
【0082】
特定の実施形態によれば、前記植物部分は胚珠である。
【0083】
特定の実施形態によれば、前記植物部分は種子である。
【0084】
挿し穂(例えば、根が付いた挿し穂、又は根が付いていない挿し穂)も提供される。
【0085】
前記植物は、本明細書において以下に記載されるような低放射条件下で(直径が7cmを超える)大きな花序を発生する能力を有する限り、いずれのセイヨウマツムシソウ品種の植物であってもよい。
【0086】
本発明の幾つかの実施形態の植物を開発するために使用可能なセイヨウマツムシソウ品種は市販の品種、例えばイスラエルのDanziger Dan Flower Farmにより開発されたスクープシリーズである。
【0087】
本明細書においては種子品種及び挿し穂品種が想定されている。
【0088】
具体例にはチェリーバニラスクープ(商標)、ブラックベリースクープ(商標)、マシュマロスクープ(商標)、又はバニラスクープ(商標)が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
その他の例にはHillverdaによるマツムシソウ(シリーズ名不明)、並びに種子品種、例えばインペリアルジャイアント(商標)、ブルーコケイド(商標)、ブラックナイト(商標)、スノーメイデン(商標)、オックスフォードブルー(商標)、ボジョレーボネット(商標)、トールダブル(商標)シリーズ、バーガンディービュー(商標)、QIS(商標)シリーズ、サーモンクイーン(商標)が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
上述のように、幾つかの実施形態によれば、前記植物は花序直径が7cmを超える。このような表現型は環境により誘起される、又は遺伝によるものであり得る。両方のパラメーターが本明細書において想定されている。
【0091】
幾つかの実施形態によれば、前記花序測定値として言及されるのは、第1開花花序(花)のものである。当業者に知られているように、マツムシソウが連続的な開花習性(約3~6か月)を特徴とすることは理解されよう。本発明の幾つかの実施形態の前記植物が、低放射条件下で選別されないそれらの植物の親よりも長い連続的な開花期間を特徴とすることも、さらに理解されよう。
【0092】
花序直径は、定規又はカリパス測定器を使用して視覚的に決定され得る。
【0093】
本明細書において提示される数は、植物体当たり、花序当たり、又は同じ系統の植物集団当たりの平均値である。
【0094】
上述のように、前記植物の花序直径は7cmを超える。
【0095】
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.1~10cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.1~9.8cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.5~10cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.5~9.5cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8~10cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8~9cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8.3~10cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8~9.5cmの間である。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.3cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.5cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は7.8cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8.2cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8.5cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8.7cmを超える。
特定の実施形態によれば、前記花序直径は8.9cmを超える。
【0096】
特定の実施形態によれば、成長期にある前記植物の花序の少なくとも10%(例えば、少なくとも15%、少なくとも30%例えば、少なくとも40%、例えば少なくとも50%)が7cmを超える直径を特徴とする。
【0097】
特定の実施形態によれば、前記花序は前記植物上の第1花序を指す。
【0098】
特定の実施形態によれば、前記花序は生じた最初の5つの花序を指す。
【0099】
本発明の前記植物は野外で(選別のない自然放射条件下で)栽培された親とほぼ同じ花柄長及び/又は花柄直径を有しても変わった長さ及び/又は太さを有してもよい。大輪の花にとって大きくなった花柄、すなわち長さと直径が親と比較して増加することは前記花序を直立させることに有利であり得ることを理解されたい。
【0100】
したがって、一実施形態によれば、前記植物は60cmを超える花柄長を特徴とする。
【0101】
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は61~95cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は61~90cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は61~80cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は61~70cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は65~90cmである。
【0102】
追加的又は代替的実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5mm超である。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5.1~10mmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5.1~9.5mmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5.1~9mmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5.1~8mmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5.1~7mmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄直径は5.1~6mmである。
【0103】
特定の実施形態によれば、前記植物は前記植物の祖先の花柄長及び花柄直径、例えば60cm以下の花柄長及び5mm以下の花柄直径を有する。
【0104】
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は45~60cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は55~80cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は50~75cmである。
特定の実施形態によれば、前記植物の花柄長は55~70cmである。
【0105】
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも90片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも100片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも110片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも120片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも130片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも140片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも150片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも160片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも170片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも180片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも190片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも200片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも210片の小花を有する管状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも220片の小花を有する管状花を含む。
【0106】
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも33片の小花を有する舌状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも35片の小花を有する舌状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも40片の小花を有する舌状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも45片の小花を有する舌状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも50片の小花を有する舌状花を含む。
特定の実施形態によれば、前記花序は少なくとも55片の小花を有する舌状花を含む。
【0107】
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として5%以上増加している。
【0108】
本明細書において使用される場合、「対照栽培条件」とは、太陽光透過の遮断と太陽光の選別が無いこと以外は、本明細書に記載される条件と同じ無生物条件と生物条件とを備える条件の下における栽培をいう。
【0109】
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として10%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として15%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として20%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として25%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として30%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として40%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として50%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として60%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として70%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として80%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として90%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む舌状花と比較して、小花数として100%以上増加している。
【0110】
本明細書において使用される場合、「対照栽培条件」とは、自然光/自然太陽放射下である、例えばポリエテンシートで覆われない、ということだけの同一の条件を意味する。
【0111】
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として5%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として5%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として10%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として20%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として30%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として40%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として50%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として60%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として70%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として80%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として90%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として100%以上増加している。
【0112】
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として110%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として120%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として130%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として150%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として170%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として190%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として220%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として240%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として260%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として280%以上増加している。
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花と比較して、小花数として300%以上増加している。
【0113】
特定の実施形態によれば、前記花序の含む管状花及び舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記親の花序の含む管状花及び舌状花よりも小花数として多い。
【0114】
特定の実施形態によれば、前記花序は23mm以上の長さの舌状花と12mm以上の長さの管状花とを含む。
【0115】
特定の実施形態によれば、前記管状花及び前記舌状花の寸法は、同じ発生段階にあり且つ、対照栽培条件にある前記親の管状花及び舌状花の寸法と同じである。
【0116】
特定の実施形態によれば、前記花序は花床苞葉(鱗片)が存在するため緑色である(本明細書に記載される低太陽放射下で栽培/選別されない前記親よりも小片の小花により長い花床苞葉が付随する)。例となる系統は2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43102の番号で種子が寄託されたSB-17-1635である。
【0117】
特定の実施形態によれば、前記花序の管状花の小花開花は前記花序の舌状花の小花開花の2~3日後(例えば、3日後)に起こる。このような花序はひしゃく様(scoop-like)の外観を有しており、且つ、典型的には本明細書に記載される低太陽放射下で栽培/選別されない前記親の花序を特色としている。
【0118】
別の特定の実施形態によれば、前記花序の管状花の小花開花と前記花序の舌状花の小花開花は同時に起こる(すなわち、48時間未満の開花間隔で起こる)。
【0119】
ボール形状を特徴とする例となる系統にはSB-16-1539及びSB-16-1589が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
このような花序はボール様の外観を有し、したがって「満開(full-flower)」又は「ボール形状(ball shape)」とも呼ばれる。
【0121】
花序直径が7cm超である植物品種としては例えば、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43095の番号で種子が寄託されたSB-15-1484、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43096の番号で種子が寄託されたSB-15-1503、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43141の番号で種子が寄託されたSB-15-1577、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43139の番号で種子が寄託されたSB-16-1593、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43142の番号で種子が寄託されたSB-16-1597、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43138の番号で種子が寄託されたSB-15-1575、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43140の番号で種子が寄託されたSB-15-1574、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43099の番号で種子が寄託されたSB-16-1539、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-16-1576、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-16-1528、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43097の番号で種子が寄託されたSB-15-1515、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43100の番号で種子が寄託されたSB-16-1555、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43101の番号で種子が寄託されたSB-16-1562からなる群より選択される。
【0122】
(a)低太陽放射条件を生じさせるための覆いの下でセイヨウマツムシソウ植物体群を栽培すること、及び
(b)同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物体群よりも直径、花柄長及び/又は花柄直径が大きい花序を示す植物体を、前記植物体群から選別すること
を含む、本明細書に記載されるセイヨウマツムシソウ植物を開発する方法が提供される。
【0123】
本発明の特定の実施形態によれば、前記方法は、一つ又は複数の前記植物体を自殖又は交雑させること、並びに、直径、花柄長及び/又は花柄直径がより大きい前記花序について選別することをさらに含む。
【0124】
切り花用のマツムシソウ品種は開花期間の始まりから始まって3~6か月にわたって(期間は気候に依存する)連続的に収穫される。
【0125】
開花期間にマツムシソウ植物がつける1番目の花は、最大の花である傾向があり、また開花期の後の時期と比較して花柄が最長及び最厚であることを特徴とする。1つの花柄を収穫するとその下の2つの休止状態のつぼみに開花が誘導されることがこのことの理由である。これによりその植物体が担持する活動状態のつぼみと花が開花期を通じて対数関数的に増加することになる。この増加の結果として花と花柄の形態が変化することがあり、開花期が進むにつれそれぞれ花柄がより短く、且つ、より細くなり、花がより小さくなる。
【0126】
本明細書において使用される場合、「低太陽放射条件(reduced solar radiation conditions)」とは、太陽放射を低下させることを目的としたフィルム掛け又は他のいかなる人為的な手段も用いない同条件下での太陽放射と比較して低下した太陽放射のことである。
【0127】
したがって、幾つかの実施形態によれば、前記植物はトンネル(例えば、低トンネル)又は温室内で栽培される。
【0128】
マツムシソウの園芸栽培は充分に当業者の技術範囲内である。したがって、標準的な温度及び灌水管理計画の下で、フィルムカバーの下で栽培することから生じる必要な変更を行って、前記植物が栽培される。
【0129】
特定の実施形態によれば、栽培は25℃を超えない温度の下で行われる。
【0130】
特定の実施形態によれば、前記植物は露地、鉢、又は花壇に播種又は移植される。例えば前記種子はプランターに播種され、プラグに移植され、その後で土に移植される。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、播種された種子又は小植物は合成フィルム、例えばプラスチックフィルムで被覆される。
【0132】
特定の実施形態によれば、カバーは前記植物の存続期間を通して掛けられる。別の実施形態によれば、カバーは開花誘導期の間だけ掛けられる。
【0133】
別の実施形態によれば、カバーは少なくとも開花誘導期の間に掛けられる。
【0134】
特定の実施形態によれば、本明細書に記載される低放射条件は栽培者への指示の一部分である。
【0135】
フィルムカバーは(セイヨウマツムシソウの栽培にはこれまで使用されていなかったが)作物栽培に広く使用されている。フィルムのサイズは構造物の種類と寸法に左右される。
【0136】
特定の実施形態によれば、フィルムは最大で幅が16メートルであり、厚さが120μmであることが典型的である。
【0137】
特定の実施形態によれば、前記フィルムには所望の温度特性、光学特性、及び機械的特性を有するものが選択される。前記フィルムは防滴性、防塵性、抗ウイルス性、防霧性、及び/又は防曇性などの追加的特性を有してもよい。
【0138】
太陽放射線は0.2~2.5μmの範囲のスペクトルに及ぶ電磁波の形で太陽から生じる放射線である。特に太陽放射線はUV線部分、可視光(Vis)部分、及び赤外線(IR)部分から構成される。
【0139】
特定の実施形態によれば、前記フィルムはUV-Aを遮断すること(例えば、完全遮断、100%)を特徴とする。
【0140】
特定の実施形態によれば、前記フィルムはUV-A及びUV-Bを遮断することを特徴とする。
【0141】
特定の実施形態によれば、前記フィルムはUV放射の完全(100%)カットを特徴とするか、又は前記フィルムは部分的に(50%以上、50~100%、70~100%、80~100%、90~100%)透過性である。
【0142】
特定の実施形態によれば、前記低放射条件はUV(300~380nm)の無透過とPAR(400~700nm)の90%の拡散透過を含む。
【0143】
植物の生育と発生を支援する光をなお透過させるシート(フィルム)を選択するために測定値を採る。光の測定は分光光度計を用いて実施され得る。
【0144】
前記植物に対する光エネルギーの効果を妨げると、前記カバーは光選択性であると考えられる。
【0145】
特定の実施形態によれば、前記温室又はトンネルはポリエテンフィルムで覆われている。
【0146】
特定の実施形態によれば、前記ポリエテンシートはイスラエル、Genigar社の「サン・セレクター」AV thermal IR、C400 IR AV DIFF-120ミクロンと実質的に同じ仕様を有する。
【0147】
特定の実施形態によれば、前記低放射(reduced radiation)は、前記温室を通過する太陽放射の40%以上が削減されたものである。
【0148】
所望の花序を有する植物体が得られれば、その植物体を自殖又は交雑させること、並びに、花序直径、花柄長及び/又は花柄直径がより大きいものを選別するができる。このことが後代における表現型の安定化に役立ち、表現型を改良する(花序を増加させる)場合がある。
【0149】
従って、一実施形態によれば、本明細書に記載される前記方法に従って得られるセイヨウマツムシソウ植物が提供される。
【0150】
(a)本明細書に記載される花序を有するセイヨウマツムシソウ植物と、該セイヨウマツムシソウ植物とは異なる遺伝的バックグラウンドを有する別の本明細書に記載のセイヨウマツムシソウ植物とを、交雑すること;
(b)前記交雑の後に種子を回収すること;
(c)前記種子を播種し、前記種子を植物体に栽培すること;及び
(d)ハイブリッド植物体を選別すること
を含む、セイヨウマツムシソウ植物を作製する方法が提供される。
【0151】
特定の実施形態によれば、前記選別は花序直径並びに/又は花柄長及び花柄直径に基づいて行われる。
【0152】
特定の実施形態によれば、前記選別は花序直径に基づいて行われる。
【0153】
本明細書に記載される前記方法によって作製されるハイブリッド植物体又は前記ハイブリッド植物体の一部分も提供される。
【0154】
本発明の一態様によれば、自殖育種及び/又は交雑育種のための育種材料源として本明細書に記載される前記植物又は前記植物の一部分を使用することを含む、植物育種技術を用いて栽培植物を開発する方法が提供される。
【0155】
本発明の前記植物の種子が播種される場合があり、したがって本発明は播種された畑も包する。本発明の前記植物の栄養体を植え付けてもよい。したがって本発明は栄養体が植え付けられた畑又は鉢植えの植物体も包含する。
【0156】
前記挿し穂は前記挿し穂を入れる容器(栽培セル、プラグ等)の中に配置される場合があり、したがって本発明は前記挿し穂を含む保持容器も包含する。前記挿し穂は根が付いていても付いていなくてもよい。
【0157】
前記切り花は前記切り花を入れる容器(花瓶、バケツ、又は手桶、又は別の保持用具等)の中に配置される場合があり、したがって本発明は前記挿し穂を含む保持容器も包含する。
【0158】
本発明の前記植物は単独種類又は複数種の組合せ(当技術分野においてコンボ、ミキシーズ(商標)、トリキシーズ(商標)等とも呼ばれる)の展示のために(少なくとも1つの生育特徴、例えば、根付くまでの時間、生長速度等を有する)他の植物種と共に一容器の中に根付かされ、栽培され、又は保持される場合がある。このような構成は例えば全体を参照により本明細書に援用する米国特許第8136294号明細書において教示されている。
【0159】
本出願から特許登録までの間に多くの関連のセイヨウマツムシソウが開発されることが予想され、セイヨウマツムシソウという用語の範囲には先験的に全てのこのような新技術が内包されるものとする。
【0160】
本明細書において使用される場合、「約」という言葉はプラスマイナス10%を指す。
【0161】
「含む(comprises)」という言葉、「含む(comprising)」という言葉、「含む(includes)」という言葉、「含む(including)」という言葉、「有する(having)」という言葉、及びそれらの言葉の活用形は「含むが限定されない(including but not limited to)」という意味である。
【0162】
「から成る」という言葉は「含み、且つ、限定される」という意味である。
【0163】
「から基本的に成る」という言葉は、特許請求される組成物、方法、又は構造の基本的、且つ、新規の特徴が追加の成分、工程、及び/又は部分によって実質的に変更することが無い場合にのみそれらの追加の成分、工程、及び/又は部分が前記組成物、方法、又は構造に含まれ得ることを意味する。
【0164】
本明細書において使用される場合、「a」、「an」、及び「the」が付く単数形のものには文脈から明確に別段の指示がない限り複数形の参照物が含まれる。例えば、「一化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という言葉は複数の化合物の混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0165】
本願書を通して本発明の様々な実施形態が範囲形式で提示される場合がある。範囲形式の記述は単に簡便簡潔に説明するためであり、本発明の範囲に対する確固とした限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載には具体的に開示される全ての可能な部分範囲、並びにその範囲内の個々の数値が含まれると考えられるべきである。例えば、1~6までなどの範囲の記載には1~3まで、1~4まで、1~5まで、2~4まで、2~6まで、3~6まで等の具体的に開示される部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば1、2、3、4、5、及び6が含まれると考えられるべきである。このことは範囲の幅に関係なく当てはまる。
【0166】
本明細書において数値範囲が示されるときはいつでも、その数値範囲は、その表示範囲内のあらゆる引用される数(分数又は整数)を含むことが意図されている。第1表示数と第2表示数との「間を範囲とする」という表現と第1表示数「から」第2表示数「までを範囲とする」という表現は本明細書において互換的に使用され、その第1表示数と第2表示数並びにそれらの表示数の間の全ての分数及び整数を含むことが意図されている。
【0167】
本明細書において使用される場合、「方法」という言葉は所与の仕事を完遂するための方式、手段、技術、及び技法を指し、それらの方式、手段、技術、及び技法には化学分野、薬学分野、生物学分野、生化学分野、及び医学分野の専門家に知られているか、又はそれらの専門家よって公知の方式、手段、技術、及び技法から容易に開発される方式、手段、技術、及び技法が含まれるが、これらに限定されない。
【0168】
明確にするために別々の実施形態についての文脈で記載されている本発明のある特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提示されてもよい、ということを理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に記載されている本発明の様々な特徴は、本発明の他のあらゆる記載された実施形態において別々に、又はあらゆる適切な部分的組合せで、又は適宜提示されてもよい。様々な実施形態の文脈の中で、ある特定の特徴が無いときにそれらの実施形態が実施不能ではない限り、それらの要素はそれらの実施形態の必須の特徴であると考えられるべきではない。
【0169】
これまでに詳細に説明され、且つ、以下の特許請求の範囲の部分で請求される本発明の、様々な実施形態及び態様の実験的な裏付けが、以下の実施例において認められる。
【実施例
【0170】
これより以下の実施例を参照する。該実施例は、上記の説明と共に、本発明の幾つかの実施形態を非限定的な形で例示する。
【0171】
実験方法と結果
一般的に行われるように露地で栽培することに代えて、ポリエチレンシート(イスラエル、Genigar社の「サン・セレクター」AV thermal IR、C400 IR AV DIFF-120ミクロン)で覆われたトンネルの中で、セイヨウマツムシソウの実生を栽培した。
【0172】
ポリエチレンシート下での栽培の結果として、紫外線(UV)放射は実質的に少なくとも50%低下し(表1中の値(表1を参照されたい)はPAR(400~700nm)の値である)、それにより、UV無し(100%遮断)且つPAR放射50%という新規な気候条件下で花が発生した(flower development)。これによりこの品種がより大輪の花とより長く且つより太い花柄とを示すことになった。
【0173】
【表1】
【0174】
花及び花柄の特徴に対する放射の効果を示すために花サイズ、花柄長、及び花柄直径を測定して2種類の栽培法下の次の商業品種、すなわちチェリーバニラスクープ(商標)、ブラックベリースクープ(商標)、マシュマロスクープ(商標)、及びバニラスクープ(商標)を比較した。
【0175】
前記系統の一部はポリエチレンフィルム下で一セットの新しい特徴を示すことが分かった。この一部の品種は露地と比較してポリエチレンフィルム下では花のサイズがより大きく、花柄がより長く、且つ、太い。ポリエチレンフィルム下での花の形態の変化の特徴には舌状花と管状花の量の増加もあった(表2を参照されたい)。ポリエチレンフィルム下におけるより大輪の花の発生の主な形態学的な要因は、舌状花と管状花の両方で花の量が多いことである。これらの花が発生し、開花すると、より大輪の花という表現型を観察することができる。
【0176】
管状花の量(quantity)は、気候条件に対して最も強い応答を示し、単一の花托(receptacle)当たり最大で234%の量の増加を示している。舌状花も単一のreceptacle当たり最大で67%の中程度の量の増加を示している(表2を参照されたい)。
【0177】
【表2】
【0178】
選択された、小花が大きい系統でも、ポリエチレンカバー下での小花数の増加が観察された。小花数の大きな違いは舌状花にあった。
【0179】
【表2a】
【0180】
【表3】
【0181】
前記の新規な条件下で所望の応答を示した選択系統を自殖/交雑させて、(前記カバー無しの)通常放射条件のものに比べて花が実質的により大きく、且つ/又は花柄がより長く、且つ/又は花柄がより太いことを特徴とする、新しい生殖細胞質を作製した。上述の形質についてこれらの系統を安定化した。下の表4はこれらの系統の表現型の説明を提示している。

【0182】
図1A図1Oはポリエチレンカバーでの被覆に応答した特徴の変化を示している。市販の品種であるブラックベリースクープを対照として使用した。この品種は成熟時に直径が5cm未満である花と長さが45cm未満であり、且つ、直径が3.5cm未満である花柄を特徴とする。花本発明の幾つかの実施形態に従って得られる大輪の花と対照との間の差の統計学的有意性を判定するためにt検定を実施した。ポリエテンカバー下のときにのみ差が統計学的に有意である(P値>0.02、**P値<0.02)。
【0183】
遺伝的バックグラウンド1:
2012年のイスラエルの冬の間にポリエチレンフィルム下のトンネル構造物のなかでラベンダースクープ(商標)を栽培した。これらの条件下でマツムシソウ植物はわずかに大きい(通常の放射、すなわち覆われていない場合のこの品種の通常の特徴である6cmの花、より大きい7cmの)花を有する。この植物体を自家受粉させた。低放射(上記の通りのポリエチレンシート)下で栽培と選別を行った。
【0184】
2013年から2015年の間にこの植物体の自家受粉から約1000種子の集団を得た。
【0185】
これらの子孫種子を播種し、それらのうちの700植物体を観察と花サイズ及び/又は花柄長及び/又は花柄径についての選別のためにトンネル内で栽培し、大輪の花及び/又は長い花柄及び/又は太い花柄を示す4系統(1484、1483、1503、1504)を得た。1483、1503、1504は長く、且つ、太い花柄と大輪の花を有する品種である。1484は大輪の花と長い花柄を有する品種である。
【0186】
2016年の間に品種1503を温室内に植え、そして自家受粉させた。低放射(上記の通りのポリエチレンシート)下で栽培と選別を行った。
【0187】
2016年の間にこの植物体の自家受粉から約300種子の集団を得た。これらの子孫種子を播種し、それらのうちの200植物体を観察と花サイズ及び/又は花柄長及び/又は花柄径及び/又はボール形状及び/又は花床苞葉(鱗片)長についての選別のためにトンネル内で栽培し、花サイズ及び/又は花柄長及び/又は花柄径及び/又は花型(ボール形状)及び/又は花床苞葉(鱗片)長を示す3系統(1539、1589、1635)を得た。1539、1589はボール形状花(ボール形状)、大輪の花、長く、且つ、太い花柄を有する品種である。1635はより長い花床苞葉(鱗片)を有する品種である。
【0188】
遺伝的バックグラウンド2:
本発明者は、2014年の12月にトンネル(上記の通り)内で栽培されるとわずかに大きい(この品種の通常の特徴である6cmの花より大きい、8cmの)花を有するセイヨウマツムシソウ植物(1423をバックグラウンドとする)を発見した。
【0189】
2015年と2016年との間に1423の自然受粉及び自家受粉から約450種子の集団を得た。
【0190】
これらの子孫種子を播種し、それらのうちの約250植物体を観察と花サイズ及び/又は花柄長及び/又は花柄径についての選別のためにポリエチレンフィルムで被覆されたトンネル内で栽培し、大輪の花及び/又は長い花柄及び/又は太い花柄を示す8系統(1496、1577、1592、1593、1597、1528、1521、1562)を得た。1496、1577、1592、1593、1597、1528、1521、1562、1593は大輪の花を有する品種である。
【0191】
遺伝的バックグラウンド3:
本発明者は、2014年の12月にトンネル(上記の通り)内で栽培されるとわずかに大きい(この品種の通常の特徴である6cmの花より大きい、8cmの)花を有するマツムシソウ植物(1434をバックグラウンドとする)を発見した。
【0192】
2015年と2016年との間に1434の自然受粉及び自家受粉から約400種子の集団を得た。
これらの子孫種子を播種し、それらのうちの325植物体を観察と花サイズ及び/又は花柄長及び/又は花柄径についての選別のためにポリエテンフィルムで被覆されたトンネル内で栽培し、大輪の花及び/又は長い花柄及び/又は太い花柄を示す4系統(1555、1575、1574、1550、1576)を得た。
【0193】
1574、1576、1555、1575、1550は大輪の花と長く太い花柄を有する品種である。
【0194】
本発明を本発明の特定の実施形態と併せて説明してきたが、当業者が多くの代案、改変、及び変更を思いつくことは明白である。したがって、添付されている特許請求の範囲の主旨と広範な範囲内にあるかかる代案、改変、及び変更の全てが本発明に包含されるものとする。
【0195】
本明細書において言及された全ての刊行物、特許、及び特許出願は各々個々の刊行物、特許、又は特許出願が特異的、且つ、個別に参照により本明細書に援用されると表示される場合と同じ程度で全体が参照により本明細書に援用される。加えて、本願書におけるあらゆる参照文献の引用又は特定は、当該参照文献が本発明の先行技術として利用可能であることの自認とは解釈されないものとする。節毎の見出しを使用する限り、それらの見出しは必ず限定を意図するものと解釈されるべきではない。
本発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
花序直径が7cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物(Scabiosa atropurpurea plant)。
<2>
花柄長が60cmを超えるセイヨウマツムシソウ植物。
<3>
花柄直径が5mmを超えるセイヨウマツムシソウ植物。
<4>
花柄長が60cmを超え、花柄直径が5mmを超える、セイヨウマツムシソウ植物。
<5>
花柄長が60cmを超える、<1>に記載の植物。
<6>
花柄直径が5mmを超える、<1>又は<5>に記載の植物。
<7>
花柄長が60cm未満である、<1>に記載の植物。
<8>
花柄直径が5mm未満である、<1>又は<7>に記載の植物。
<9>
前記花序とは前記植物の第1花序をいう、<1>又は<5>~<8>のいずれか一項>に記載の植物。
<10>
花序直径が8cm以上である、<1>又は<5>~<9>のいずれか一項>に記載の植物。
<11>
前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む舌状花と比較して、小花数として10%以上増加している、<1>又は<5>~<10>のいずれか一項>に記載の植物。
<12>
前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む管状花と比較して、小花数として10%以上増加している、<1>又は<5>~<11>のいずれか一項>に記載の植物。
<13>
前記花序の管状花の小花開花と前記花序の舌状花の小花開花が同時に起こる、<1>又は<5>~<12>のいずれか一項>に記載の植物。
<14>
前記花序の管状花の小花開花は前記花序の舌状花の小花開花の2~3日後に起こる、<1>又は<5>~<12>のいずれか一項>に記載の植物。
<15>
前記花序の管状花の小花開花は前記花序の舌状花の小花開花の3日後に起こる、<1>又は<5>~<12>のいずれか一項>に記載の植物。
<16>
祖先としてラベンダースクープ(商標)、チェリーバニラスクープ(商標)、ブラックベリースクープ(商標)、マシュマロスクープ(商標)、及びバニラスクープ(商標)を有する、<1>~<12>のいずれか一項>に記載の植物。
<17>
2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43095の番号で種子が寄託されたSB-15-1484、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43096の番号で種子が寄託されたSB-15-1503、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43141の番号で種子が寄託されたSB-15-1577、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43139の番号で種子が寄託されたSB-16-1593、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43142の番号で種子が寄託されたSB-16-1597、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43138の番号で種子が寄託されたSB-15-1575、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43140の番号で種子が寄託されたSB-15-1574、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43099の番号で種子が寄託されたSB-16-1539、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-16-1576、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-16-1528、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43097の番号で種子が寄託されたSB-15-1515、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43100の番号で種子が寄託されたSB-16-1555、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43101の番号で種子が寄託されたSB-16-1562、及び2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43072の番号で種子が寄託されたSB-16-1589からなる群より選択される、<1>~<16>のいずれか一項>に記載の植物。
<18>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の一部分。
<19>
花柄、葉、花粉、胚、子葉、胚軸、成長点、根、根端、雌ずい、葯、花、小花、茎、胚珠、種子、及び葉柄からなる群より選択される、<18>に記載の植物の一部分。
<20>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の花。
<21>
切り花である、<20>に記載の花。
<22>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の花粉。
<23>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の種子。
<24>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の胚珠。
<25>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の挿し穂。
<26>
<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物の細胞を含む組織培養物。
<27>
ハイブリッド植物体である、<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物、又は植物の部分。
<28>
自殖植物体である、<1>~<17>のいずれか一項>に記載の植物、又は植物の部分。
<29>
(a)低太陽放射条件(reduced solar radiation conditions)を生じさせるための覆いの下でセイヨウマツムシソウ植物体群を栽培すること、及び
(b)同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物体群よりも直径、花柄長及び/又は花柄直径が大きい花序を示す植物体を、前記植物体群から選別すること
を含む、<1>~<28>のいずれか一項>に記載の植物を開発する方法。
<30>
一つ又は複数の前記植物体を自殖又は交雑させること、並びに、直径、花柄長及び/又は花柄直径がより大きい前記花序について選別することをさらに含む、<29>に記載の方法。
<31>
前記花序の含む舌状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む舌状花と比較して、小花数として10%以上増加している、<29>又は<30>に記載の方法。
<32>
前記花序の含む管状花は、同じ発生段階にあり且つ対照栽培条件にある前記セイヨウマツムシソウ植物の花序の含む管状花と比較して、小花数として10%以上増加している、<29>又は<30>に記載の方法。
<33>
より大きい花柄直径を有する花序について選別を行うことをさらに含む、<30>に記載の方法。
<34>
前記栽培は25℃以下の温度の下で行われる、<29>~<33>のいずれか一項>に記載の方法。
<35>
前記栽培は温室又はトンネルの中で行われる、<29>~<34>のいずれか一項>に記載の方法。
<36>
前記温室又はトンネルはポリエテンフィルムで覆われている、<35>に記載の方法。
<37>
前記ポリエチレンシートはイスラエルのGenigar社の「サン・セレクター」AV thermal IR、C400 IR AV DIFF-120ミクロンと実質的に同じ仕様を有する、<36>に記載の方法。
<38>
前記低放射(reduced radiation)は、前記温室又はトンネルを通過する太陽放射のうちのPAR放射が40%以上削減されている放射である、<35>~<37>のいずれか一項>に記載の方法。
<39>
前記低放射は、前記温室又はトンネルを通過する太陽放射のうちのUV放射が90%以上削減されている放射である、<35>~<38>のいずれか一項>に記載の方法。
<40>
<29>~<39>のいずれか一項>に記載の方法によって得られるセイヨウマツムシソウ植物。
<41>
(a)<1>~<28>のいずれか一項のセイヨウマツムシソウ植物と、該セイヨウマツムシソウ植物とは異なる遺伝的バックグラウンドを有する別の<1>~<28>のいずれか一項のセイヨウマツムシソウ植物とを、交雑すること、;
(b)前記交雑の後に種子群を回収すること;
(c)前記種子群を播種し、前記種子群を植物体群に栽培すること;及び
(d)ハイブリッド植物体を選別すること
を含む、セイヨウマツムシソウ植物を作製する方法。
<42>
前記選別は花序直径、花柄長及び/又は花柄直径に基づいて行われる、<41>に記載の方法。
<43>
<41>又は<42>に記載の方法によって作製されるハイブリッド植物体又は前記ハイブリッド植物体の一部分。
<44>
自殖育種及び/又は交雑育種のための育種材料源として<1>~<28>のいずれか一項>に記載の前記植物又は前記植物の一部分を使用することを含む、植物育種技術を用いて栽培植物を開発する方法。
<45>
2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13541BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1483、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43095の番号で種子が寄託されたSB-15-1484、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43096の番号で種子が寄託されたSB-15-1503、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13542BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1504、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43141の番号で種子が寄託されたSB-15-1577、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43139の番号で種子が寄託されたSB-16-1593、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43142の番号で種子が寄託されたSB-16-1597、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43138の番号で種子が寄託されたSB-15-1575、2018年8月6日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43140の番号で種子が寄託されたSB-15-1574、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13543BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1550、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13545BPの番号で種子が寄託されたSB-15-1592、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43099の番号で種子が寄託されたSB-16-1539、2018年6月5日にブダペスト条約の下で韓国タイプカルチャーコレクションにKCTC13547BPの番号で種子が寄託されたSB-16-1576、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43070の番号で種子が寄託されたSB-15-1496、2018年6月5日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43071の番号で種子が寄託されたSB-16-1528、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43097の番号で種子が寄託されたSB-15-1515、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43100の番号で種子が寄託されたSB-16-1555、2018年7月11日にブダペスト条約の下でNCIMB社(スコットランド、アバディーン、バックスバーン、クライブストーン・エステート、ファーガソンビルディング)にNCIMB43101の番号で種子が寄託されたSB-16-1562からなる群より選択される、セイヨウマツムシソウ植物。
図1A
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