(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】照明装置及び照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20230523BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230523BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20230523BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20230523BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230523BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20230523BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230523BHJP
【FI】
F21S8/04 100
F21S2/00 230
F21V3/00 320
F21V3/02 400
F21V23/00 113
F21V23/00 115
F21V23/00 140
F21Y103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019016172
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】伏江 遼
(72)【発明者】
【氏名】松原 大介
(72)【発明者】
【氏名】永田 滋之
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-123982(JP,A)
【文献】特開2011-165577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 23/00
H05B 47/00
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に取り付けられたベース部と、
前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、
前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、
前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーと、を備え、
前記第1の光源の光軸は、前記天井の天井面に対して垂直であり、
前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は、90°以上であ
り、
前記カバーは、
前記第1の光源から照射された光が透過する第1の面と、
前記第2の光源から照射された光が透過する第2の面と、を有し、
前記第1の面は、前記第1の光源の光軸に対して垂直に配置され、
前記第2の面は、前記第2の光源の光軸に対して垂直に配置される照明装置。
【請求項2】
天井に取り付けられたベース部と、
前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、
前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、
前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーと、を備え、
前記第1の光源の光軸は、前記天井の天井面に対して垂直であり、
前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は、90°以上であり、
前記第1の光源及び前記第2の光源と前記カバーとの間に設けられ、
前記第1の光源及び前記第2の光源から照射された光を拡散させる光拡散手段をさらに備えた照明装置。
【請求項3】
前記カバーは、
前記第1の光源から照射された光が透過する第1の面と、
前記第2の光源から照射された光が透過する第2の面と、を有し、
前記第1の面は、前記第1の光源の光軸に対して垂直に配置され、
前記第2の面は、前記第2の光源の光軸に対して垂直に配置される請求項
2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1の光源の出力と前記第2の光源の出力とを独立して制御可能な制御装置をさらに備えた請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記天井を有する部屋内の人を検出する人検出手段と、
前記部屋内の照度を検出する照度検出手段と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記部屋内の人の有無と前記部屋内の照度とに応じて前記第1の光源の出力と前記第2の光源の出力とを制御する請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
天井に取り付けられたベース部と、前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーとを有し、前記第1の光源の光軸は前記天井の天井面に対して垂直であり、前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は90°以上である照明装置を複数備え、
複数の前記照明装置は、予め設定された配列方向に沿って等しい間隔で並べて配置され、
それぞれの前記照明装置の前記第2の光源は、前記配列方向に沿った両方向に光を照射し、
それぞれの前記照明装置の前記第2の光源の前記配列方向に沿った光照射距離は、前記間隔の半分以上である照明システム。
【請求項7】
天井に取り付けられたベース部と、前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーとを有し、前記第1の光源の光軸は前記天井の天井面に対して垂直であり、前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は90°以上である照明装置を複数備え、
複数の前記照明装置は、予め設定された配列方向に沿って等しい間隔で並べて配置され、
それぞれの前記照明装置の前記第2の光源は、前記配列方向に沿った一方向に光を照射し、
それぞれの前記照明装置の前記第2の光源の前記配列方向に沿った光照射距離は、前記間隔以上である照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置及び照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置においては、天井面に設置される平面発光モジュールであって、平面基板上に二次元配列される複数の発光素子と、複数の発光素子の全体を覆うように配置され、天井面から下方に延出する側面を有する透明又は半透明のカバーと、発光素子から出射する光をカバーの側面に向けて配光する側面照射レンズと、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような照明装置においては、発光素子(光源)から照射された光を側面照射レンズに含まれるレンズ、プリズム等により反射、屈折等させて、天井面に照射している。したがって、レンズ、プリズム等による反射、屈折等の過程で光源から照射された光の損失が生じ、天井面に照射される光量が減少する。このため、空間全体について人が感じる明るさを確保するためには、光源の出力を上げる必要があり、消費電力量の低減効果が限定されてしまう。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、天井面を照射するための光の損失を抑制し、効率的に天井面の輝度を上げて空間全体としては明るく感じさせることができ、人が感じる明るさを変えることなく消費電力量の低減を図ることが可能である照明装置及び照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る照明装置は、天井に取り付けられたベース部と、前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーと、を備え、前記第1の光源の光軸は、前記天井の天井面に対して垂直であり、前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は、90°以上であり、前記カバーは、前記第1の光源から照射された光が透過する第1の面と、前記第2の光源から照射された光が透過する第2の面と、を有し、前記第1の面は、前記第1の光源の光軸に対して垂直に配置され、前記第2の面は、前記第2の光源の光軸に対して垂直に配置される。
あるいは、この発明に係る照明装置は、天井に取り付けられたベース部と、前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーと、を備え、前記第1の光源の光軸は、前記天井の天井面に対して垂直であり、前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は、90°以上であり、前記第1の光源及び前記第2の光源と前記カバーとの間に設けられ、前記第1の光源及び前記第2の光源から照射された光を拡散させる光拡散手段をさらに備える。
【0007】
この発明に係る照明システムは、天井に取り付けられたベース部と、前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーとを有し、前記第1の光源の光軸は前記天井の天井面に対して垂直であり、前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は90°以上である照明装置を複数備え、複数の前記照明装置は、予め設定された配列方向に沿って等しい間隔で並べて配置され、それぞれの前記照明装置の前記第2の光源は、前記配列方向に沿った両方向に光を照射し、それぞれの前記照明装置の前記第2の光源の前記配列方向に沿った光照射距離は、前記間隔の半分以上である。
あるいは、この発明に係る照明システムは、天井に取り付けられたベース部と、前記ベース部に設けられ、第1の光源が実装された第1の基板と、前記ベース部に設けられ、第2の光源が実装された第2の基板と、前記第1の光源と前記第2の光源とを一体で覆うカバーとを有し、前記第1の光源の光軸は前記天井の天井面に対して垂直であり、前記第1の光源の光軸と前記第2の光源の光軸とのなす角度は90°以上である照明装置を複数備え、複数の前記照明装置は、予め設定された配列方向に沿って等しい間隔で並べて配置され、それぞれの前記照明装置の前記第2の光源は、前記配列方向に沿った一方向に光を照射し、それぞれの前記照明装置の前記第2の光源の前記配列方向に沿った光照射距離は、前記間隔以上である。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る照明装置及び照明システムによれば、天井面を照射するための光の損失を抑制し、効率的に天井面の輝度を上げて空間全体としては明るく感じさせることができ、人が感じる明るさを変えることなく消費電力量の低減を図ることが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置の斜視図である。
【
図2】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置を下から見た斜視図である。
【
図3】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置を上から見た断面斜視図である。
【
図4】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置の断面図である。
【
図5】この発明の実施の形態1に係る照明システムの全体図である。
【
図6】この発明の実施の形態1に係る照明システムの変形例の全体図である。
【
図7】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
【
図8】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置の変形例を示す断面図である。
【
図9】この発明の実施の形態1に係る照明システムが備える照明装置の変形例を示す断面斜視図である。
【
図10】この発明の実施の形態2に係る照明システムの全体図である。
【
図11】この発明の実施の形態2に係る照明システムの変形例の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から
図9は、この発明の実施の形態1に係るものである。
図1は照明システムが備える照明装置の斜視図である。
図2は照明システムが備える照明装置を下から見た斜視図である。
図3は照明システムが備える照明装置を上から見た断面斜視図である。
図4は照明システムが備える照明装置の断面図である。
図5は照明システムの全体図である。
図6は照明システムの変形例の全体図である。
図7は照明システムが備える照明装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図8は照明システムが備える照明装置の変形例を示す断面図である。そして、
図9は照明システムが備える照明装置の変形例を示す断面斜視図である。
【0012】
この実施の形態に係る照明システムは、複数の照明装置1を備えている。複数の照明装置1のそれぞれは、
図1及び
図5に示すように、部屋の天井2に設置される。
図1から
図4に示すように、照明装置1は、ベース部10とカバー20とを備えている。ベース部10は、天井2に取り付けられている。
【0013】
カバー20は、ベース部10に取り付けられる。カバー20は、ベース部10の下側に配置される。カバー20は、上面が開放された中空の細長い長方体状を呈する。カバー20がベース部10に取り付けられた状態では、カバー20の開放された上面部をベース部10が塞ぐように位置する。
【0014】
特に
図4に示すように、ベース部10は、床面照射用基板取付部11及び天井面照射用基板取付部12を備えている。ベース部10は、例えば、金属製の板を折り曲げ加工することで形成されている。ここで説明する構成例では、ベース部10は、長手方向に直交する断面において中央部が下に凸なコ字状になるように折り曲げられている。このコ字状の部分のうち、天井2の天井面に平行な部分が床面照射用基板取付部11である。また、このコ字状の部分のうち、天井2の天井面に垂直な部分が天井面照射用基板取付部12である。したがって、この構成例では、ベース部10には、1つの床面照射用基板取付部11と、2つの天井面照射用基板取付部12が設けられている。
【0015】
床面照射用基板取付部11には、床面照射用基板31が取り付けられる。床面照射用基板31には、床面照射用光源41が実装されている。天井面照射用基板取付部12には、天井面照射用基板32が取り付けられる。天井面照射用基板32には、天井面照射用光源42が実装されている。床面照射用光源41及び天井面照射用光源42は、複数のLEDを配列して構成されている。
【0016】
床面照射用光源41は、第1の光源である。また、天井面照射用光源42は、第2の光源である。そして、床面照射用基板31は、第1の光源である床面照射用光源41が実装された第1の基板である。また、天井面照射用基板32は、第2の光源である天井面照射用光源42が実装された第2の基板である。ここで示す構成例では、天井面照射用基板取付部12が2つあるため、天井面照射用基板32及び天井面照射用光源42も2つある。
【0017】
図4に示すように、床面照射用光源41の光軸Aは、天井2の天井面に対して垂直である。そして、床面照射用光源41の光軸Aと天井面照射用光源42の光軸Bとのなす角度θは、90°以上である。なお、ここで説明する構成例は、光軸Aと光軸Bとのなす角度θを90°にしたものである。
【0018】
床面照射用基板31及び天井面照射用基板32は、1つのカバー20の内側に配置されている。したがって、カバー20は、床面照射用光源41と天井面照射用光源42とを一体で覆っている。
【0019】
カバー20は、床面照射光透過面21と天井面照射光透過面22と有している。床面照射用光源41から照射された光は、カバー20の主に床面照射光透過面21を透過して部屋の床に向けて照射される。カバー20の床面照射光透過面21は、前述した第1の光源から照射された光が透過する第1の面である。天井面照射用光源42から照射された光は、カバー20の主に天井面照射光透過面22を透過して部屋の天井2に向けて照射される。カバー20の天井面照射光透過面22は、前述した第2の光源から照射された光が透過する第2の面である。床面照射光透過面21の特に内面は、床面照射用光源41の光軸Aに対して垂直に配置されている。また、天井面照射光透過面22の特に内面は、天井面照射用光源42の光軸に対して垂直に配置されている。
【0020】
図3に示すように、照明装置1は、電源装置51を備えている。電源装置51は、例えば、ベース部10の天井面照射用基板取付部12より上側であって、2つの天井面照射用基板取付部12の間の空間に収容されている。電源装置51は、床面照射用光源41及び天井面照射用光源42を点灯させる電力を供給する装置である。
【0021】
図5に示すように、この実施の形態の照明システムは、以上のように構成された照明装置1を複数備えている。複数の照明装置1は、予め設定された配列方向に沿って等しい間隔Dで並べて配置されている。照明装置1が取り付けられる天井2には、例えば同形状の天井パネル3が複数敷き詰められている。1つの天井パネル3は、例えば600mm四方の正方形状である。このような天井パネル3を利用することで、複数の照明装置1を容易に等間隔で整列させることができる。
【0022】
それぞれの照明装置1は、天井2の天井面と平行な投影面において、天井面照射用光源42の光軸Bが前述した配列方向と平行になるように配置される。そして、それぞれの照明装置1の天井面照射用光源42は、前述の配列方向に沿った両方向に光を照射する。それぞれの照明装置1の天井面照射用光源42の天井面における光照射範囲は、
図5に示す天井面光照射範囲4のようになる。
【0023】
以上のように構成された照明装置1及び照明システムによれば、1つの照明装置1で床面及び天井面の両方に光を照射できる。このため、床面に照射する光源の出力を減少させても、天井面に照射した光により天井面の輝度を上げることで、空間全体としては明るく感じさせることができる。
【0024】
この際、天井面照射用光源42から照射された光は、カバー20の天井面照射光透過面22を透過する他には、レンズ、プリズム等により反射、屈折等されることがない。このため、天井面照射用光源42から照射された光の損失を最小限に抑えることが可能である。また、レンズ、プリズム等を用いずに配光制御できるため、天井面の照射範囲についての設計自由度を向上できる。
【0025】
よって、人が感じる明るさを変えることなく、照明装置1の消費電力量を低減させることが可能である。そして、1つのカバー20で床面照射用光源41及び天井面照射用光源42の両方を一体で覆うことにより、照明装置1として一体感のある外観にすることができるとともに、カバー20を含む照明装置1の製造が容易になる。
【0026】
ここで、それぞれの照明装置1の天井面照射用光源42の前述した配列方向に沿った光照射距離をXとすると、光照射距離Xは、天井面光照射範囲4の前述した配列方向における幅である。この光照射距離Xと照明装置1同士の間隔Dは、次の(1)式の関係を満たすようにするのがよい。
【0027】
X≧D/2 ・・・ (1)
【0028】
このようにすることで、天井面の輝度を均一化し、視環境の向上を図ることができる。
【0029】
図6に示すのは、この実施の形態の照明システムの1つの変形例である。この変形例では、照明装置1は、天井面照射用光源42が前述した配列方向に沿った2方向だけでなく、配列方向に直交する2方向も加えた計4方向の天井面に光を照射する。このようにすることで、天井面のより広い範囲に光を照射することができ、天井面に光が照射されていない部分ができ難くなり、より均一に天井面の輝度を増加させることが可能である。
【0030】
次に、
図7を参照しながら、以上のように構成された照明システムの照明装置1における制御系統の構成例について説明する。照明装置1は、制御装置52を備えている。制御装置52は、例えば、マイクロコンピュータを有する電子回路からなる。この場合、制御装置52は、プロセッサ及びメモリを備えている。制御装置52は、電源装置51が床面照射用光源41及び天井面照射用光源42へと供給する電力を制御することで、床面照射用光源41の出力と天井面照射用光源42の出力とを制御する。なお、ここでいう光源の出力の制御とは、少なくとも光源を点灯/消灯させることを含む。また、点灯/消灯に加えて、調光制御を行うことができるようにしてもよい。
【0031】
この実施の形態の制御装置52は、床面照射用光源41の出力と天井面照射用光源42の出力とを独立して制御可能である。すなわち、例えば、床面照射用光源41及び天井面照射用光源42の一方を点灯させ他方を消灯させたり、一方のみを減光させたりする等の制御が可能である。
【0032】
この構成例では、照明装置1は、人検出センサ61及び照度センサ62を備えている。人検出センサ61は、照明装置1が設置された天井2を有する部屋内の人を検出する人検出手段の一例である。人検出センサ61として、具体的に例えば、可視光カメラ、赤外線カメラ、赤外線センサ、超音波センサ等を用いることができる。照度センサ62は、当該部屋内の照度を検出する照度検出手段の一例である。
【0033】
制御装置52は、人検出センサ61の検出結果と照度センサ62の検出結果とに応じて床面照射用光源41の出力と天井面照射用光源42の出力とを制御する。したがって、制御装置52は、当該部屋内の人の有無と当該部屋内の照度とに応じて床面照射用光源41の出力と天井面照射用光源42の出力とを制御する。
【0034】
例えば、部屋内に人がいるときには床面照射用光源41と天井面照射用光源42の両方を点灯させる。そして、部屋内に人がいないときには床面照射用光源41を消灯又は減光させ、天井面照射用光源42のみ点灯させる。このようにすることで、人が感じる明るさを変えることなく、照明装置1の消費電力量のさらなる低減を図ることができる。
【0035】
この際、人検出センサ61は部屋内の人の有無のみならず、部屋内の人の位置を検出できるようにしてもよい。そして、人がいる位置の床面照射用光源41を点灯させて、人がいない位置の床面照射用光源41は消灯させてもよい。このようにすることで、明るさが必要なところへの光の照射と、消費電力量の削減とをバランスよく両立できる。
【0036】
また例えば、部屋内の照度が自然光により十分保たれている場合(部屋内の照度が予め設定された基準値以上の場合)、天井面照射用光源42を消灯又は減光させ、床面照射用光源41のみ点灯させる。そして、部屋内の照度が自然光だけでは不足している場合(部屋内の照度が前述の基準値未満の場合)、床面照射用光源41と天井面照射用光源42の両方を点灯させる。このようにすることで、人が感じる明るさを変えることなく、照明装置1の消費電力量のさらなる低減を図ることができる。
【0037】
図8に示すのは、この実施の形態の照明装置1の1つの変形例である。この変形例は、これまでに説明した
図1から
図4に示す構成例において、ベース部10の形状を変えたものである。すなわち、
図1から
図4に示す構成例では、ベース部10の断面をコ字状とし、天井面照射用基板取付部12の下端部の高さに床面照射用基板取付部11が配置されていた。これに対し、
図8に示す変形例では、天井面照射用基板取付部12の下端を上方に折り返してから床面照射用基板取付部11を設けることで、天井面照射用基板取付部12の上端部の高さに床面照射用基板取付部11が配置されるようにしている。なお、電源装置51については、カバー20内の他の箇所、又は、カバー20の外部等に適宜設けられる。その他の構成については、
図1から
図4に示す構成例と同様である。このような変形例によれば、床面照射用光源41からカバー20の床面照射光透過面21までの距離がとりやすくなり、照明装置1全体を薄型化しやすい。
【0038】
図9に示すのは、この実施の形態の照明装置1の別の変形例である。この変形例の照明装置1は、光拡散性カバー70をさらに備えている。光拡散性カバー70は、カバー20の内側において、床面照射用光源41及び天井面照射用光源42とカバー20との間に設けられている。光拡散性カバー70は、床面照射用光源41及び天井面照射用光源42から照射される光に対して例えば半透明な素材からなり、照射される光を拡散させる性質を有する。この変形例の光拡散性カバー70は、床面照射用光源41及び天井面照射用光源42から照射された光を拡散させる光拡散手段の一例である。
【0039】
前述したように、床面照射用光源41及び天井面照射用光源42としてLEDを用いた場合、そのままでは個々のLEDの形状が粒状に目立ってしまったり、天井2を見上げた人が眩しさを感じてしまったりすることがある。そこで、このような光拡散手段を備えることで、個々のLEDの形状が目立たないようにして、照射される光の均一性を向上できるとともに、眩しさを抑制できる。
【0040】
なお、カバー20の天井面照射光透過面22を、プリズムにしてもよい。このようにすることで、天井面照射用光源42から照射された光が天井面照射光透過面22を透過する際にプリズムにより屈折、反射させ、光の天井面への照射量を増加させて天井面の輝度を向上できる。
【0041】
実施の形態2.
図10及び
図11は、この発明の実施の形態2に係るものである。
図10は照明システムの全体図である。そして、
図11は照明システムの変形例の全体図である。
【0042】
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、照明装置の片側だけに天井面照射用光源を設けるようにしたものである。以下、この実施の形態2に係る照明装置及び照明システムについて、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
【0043】
この実施の形態に係る照明システムにおいては、
図10に示すように、それぞれの照明装置1の天井面照射用光源42は、予め設定された配列方向に沿った一方向に光を照射する。すなわち、照明装置1の片側だけに天井面照射用光源42が設けられている。そして、前述した配列方向に沿って並ぶ各照明装置1は、天井面照射用光源42が同じ側になる向きに配置される。
【0044】
この実施の形態では、それぞれの照明装置1の天井面照射用光源42の前述した配列方向に沿った光照射距離Xと照明装置1同士の間隔Dは、次の(2)式の関係を満たすようにするのがよい。
【0045】
X≧D ・・・ (2)
【0046】
このようにすることで、天井面の輝度を均一化し、視環境の向上を図ることができる。
【0047】
さらに、この実施の形態のように照明装置1の片側だけに天井面照射用光源42を設ける場合、変形例として
図11に示すように、4つの照明装置1で正方形を形成するように配置してもよい。この場合、それぞれの照明装置1の天井面照射用光源42のある側が外側に向き、天井面照射用光源42のない側が内側に向くようにする。このようにすることで、天井面を照射する配光が円形に近い形状となり、より均一に天井面を照射することができる。
【0048】
以上のように構成された照明装置及び照明システムにおいても、実施の形態1と同様に、1つの照明装置1で床面及び天井面の両方に光を照射できる。このため、床面に照射する光源の出力を減少させても、天井面に照射した光により天井面の輝度を上げることで、空間全体としては明るく感じさせることができる。
【0049】
この際、天井面照射用光源42から照射された光は、カバー20の天井面照射光透過面22を透過する他には、レンズ、プリズム等により反射、屈折等されることがない。このため、天井面照射用光源42から照射された光の損失を最小限に抑えることが可能である。また、レンズ、プリズム等を用いずに配光制御できるため、天井面の照射範囲についての設計自由度を向上できる。
【0050】
よって、人が感じる明るさを変えることなく、照明装置1の消費電力量を低減させることが可能である。そして、1つのカバー20で床面照射用光源41及び天井面照射用光源42の両方を一体で覆うことにより、照明装置1として一体感のある外観にすることができるとともに、カバー20を含む照明装置1の製造が容易になる。
【符号の説明】
【0051】
1 照明装置
2 天井
3 天井パネル
4 天井面光照射範囲
10 ベース部
11 床面照射用基板取付部
12 天井面照射用基板取付部
20 カバー
21 床面照射光透過面
22 天井面照射光透過面
31 床面照射用基板
32 天井面照射用基板
41 床面照射用光源
42 天井面照射用光源
51 電源装置
52 制御装置
61 人検出センサ
62 照度センサ
70 光拡散性カバー