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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】無人搬送車の通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20230523BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20230523BHJP
   H04W 4/80 20180101ALI20230523BHJP
   B65G 67/60 20060101ALI20230523BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20230523BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/30
H04W4/80
B65G67/60 G
H04W84/10 110
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019044830
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020150365
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-06-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】中川 真人
(72)【発明者】
【氏名】長谷 隆彦
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-214408(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116718(WO,A1)
【文献】特開2016-201671(JP,A)
【文献】特開2017-191962(JP,A)
【文献】特開2015-087853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
B65G 67/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置が搭載された、港湾でコンテナを搬送する無人搬送車と、
前記無人搬送車に搭載され前記制御装置に関する情報を授受する通信装置と、
前記通信装置と接続可能な端末と、を備える無人搬送車の通信システムであって、
前記無人搬送車は前記制御装置に関する識別情報を有し、
前記端末は、読み込んだ前記識別情報に基づいて、前記通信装置に対して直接通信可能となり、
前記無人搬送車は、走行経路を走行するときの走行状態を制御する指令を管制塔から受け、メンテナンス又は点検のための前記制御装置に関する情報の通信を前記管制塔を介さず前記端末と直接行い、
前記無人搬送車には、複数の前記制御装置が搭載され、
前記端末は前記識別情報に基づいて、それぞれの前記制御装置に関する情報を利用可能となり、
前記無人搬送車は、複数の前記制御装置のそれぞれに対応して紐付けられた複数の前記識別情報を有し、
前記端末は、前記識別情報に対応して紐付けられた前記制御装置に関する情報を利用可能となる、無人搬送車の通信システム。
【請求項2】
前記端末と前記無人搬送車との通信は、近距離接続手段によって行なわれる、請求項1に記載の無人搬送車の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車の通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるような通信システムが知られている。この通信システムは、倉庫内の複数の装置を制御する搬送設備に用いられる。この通信システムは、倉庫内の複数の装置の制御部と無線通信可能なコンソール端末を備えている。このコンソール端末は、倉庫内のネットワークを利用して、各装置と通信可能となる。コンソール端末は、通信対象となる装置を選択し、当該装置から送信される表示情報を表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-214408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数の無人搬送車を用いたシステムにおいても、コンソール端末と各無人搬送車の制御装置と通信を行うことが求められる。すなわち、コンソール端末を利用する作業者が、作業を行いながら近くの無人搬送車の状態を容易に把握できるような通信システムが求められる。ここで、無人搬送車は、例えば港湾内において、予め設定された経路を走行し、船から降ろされたコンテナを所望の位置に搬送する車両として利用されている。このような無人搬送車を用いたシステムは、非常に広い敷地で構築されるシステムである。従って、上述の特許文献1のように、倉庫内の限られたスペースで用いられる通信システムを無人搬送車のシステムに適用した場合、通信システムが非常に複雑になってしまう。また、無人搬送車を管理する上位管理装置では、各無人搬送車の情報を取得することができるが、作業者は現場で無人搬送車の情報を直接取得することができない。そして、情報管理装置へアクセスして当該情報を取得する場合は、通信状態が混雑するという問題が発生する可能性がある。従って、無人搬送車に対して好適な態様で通信を行うことができる、他の通信システムが求められる。
【0005】
本発明の目的は、無人搬送車に対して好適な態様で通信を行うことができる、無人搬送車の通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る無人搬送車の通信システムは、制御装置が搭載された無人搬送車と、無人搬送車に搭載され制御装置に関する情報を授受する通信装置と、通信装置と接続可能な端末と、を備える無人搬送車の通信システムであって、無人搬送車は制御装置に関する識別情報を有し、端末は、読み込んだ識別情報に基づいて、通信装置に対して通信可能となる。
【0007】
無人搬送車の通信システムにおいては、無人搬送車は制御装置に関する識別情報を有している。それに対し、端末は、読み込んだ識別情報に基づいて、通信装置に対して通信可能となる。すなわち、端末は、識別情報を読み込むだけの簡単な操作で、通信対象となる通信装置を搭載する無人搬送車をその場で特定することができる。そして、端末は、上位管理装置などを介して通信を行うのではなく、無人搬送車に搭載されて制御装置に関する情報を授受する通信装置と直接通信を行うことができる。従って、作業者は、上位管理装置へアクセスするときの回線の混雑などに関わることなく、対象となる無人搬送車の制御装置の状態を速やかに把握することができる。また、作業者は、端末を用いて他の無人搬送車の通信装置とも通信可能であるため、無人搬送車自体に制御装置に対するコンソール等を設ける場合に比して、通信システム全体としての構成を簡易にすることができる。以上より、この通信システムによれば、無人搬送車に対して好適な態様で通信を行うことができる。
【0008】
無人搬送車の通信システムでは、無人搬送車には、複数の制御装置が搭載され、端末は、識別情報に基づいて、それぞれの制御装置に関する情報を利用可能となってよい。これにより、作業者は、一つの端末を用いて、無人搬送車に搭載された複数の制御装置のそれぞれから情報を利用することができる。
【0009】
無人搬送車は、複数の制御装置のそれぞれに対応して紐付けられた複数の識別情報を有し、端末は、識別情報に対応して紐付けられた制御装置に関する情報を利用可能となってよい。この場合、作業者は、把握したい制御装置に対応する識別情報を読み込むだけで、簡単に把握したい情報を利用することができる。
【0010】
端末は、識別情報で特定された複数の制御装置から少なくとも一つの制御装置を選択可能であり、選択された制御装置に関する情報を利用可能となってよい。この場合、作業者は、一つの識別情報を読み込むだけで、無人搬送車内の複数の制御装置のうち、把握したい制御装置の情報を選択的に取得することができる。
【0011】
端末と無人搬送車との通信は、近距離接続手段によって行なわれてよい。この場合、作業者は、広域なネットワークの混雑状況などの影響を受けず、近くにある無人搬送車と速やかに通信することができる。また、作業者にとっては、近くに存在している無人搬送車と通信できるため、誤って他の無人搬送車と通信することを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、無人搬送車に対して好適な態様で通信を行うことができる、無人搬送車の通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る無人搬送車の通信システムが用いられるコンテナターミナルの様子を示す概略平面図である。
図2図1に示すコンテナヤードでの無人搬送車の様子を示す概略側面図である。
図3】識別情報が付与された無人搬送車の例を示す概略図である。
図4】通信システムのシステム構成を示すブロック図である。
図5】無人搬送車の制御装置の搭載状況を示す概念図である。
図6】端末の操作画面の一例を示す図である。
図7】識別情報が付与された無人搬送車の例を示す概略図である。
図8】比較例に係る無人搬送車を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る無人搬送車10の通信システム100が用いられるコンテナターミナルの様子を示す概略平面図である。図2は、図1に示すコンテナヤードでの無人搬送車10の様子を示す概略側面図である。まず、図1及び図2を参照して、無人搬送車10の構成、及びコンテナヤードでの無人搬送車10の動作態様について説明する。
【0016】
図1に示すように、港湾におけるコンテナターミナルでは、外部司令部としての管制塔101(上位管理装置)からの指令S1により複数台の無人搬送車(AGV)10が予め定められた走行経路Rを走行している。無人搬送車10は、管制塔101から無線により無人搬送車10の走行状態を制御する指令S1を受け、走行経路Rを走行している。各無人搬送車10は、指令S1によりコンテナWの積載位置に停車する。クレーン103は、管制塔101により位置が制御されている。クレーン103は、コンテナWを吊り下げた状態でコンテナWの積載位置まで移動させられる。クレーン103の位置情報は、管制塔101にフィードバックされている。各無人搬送車10には、コンテナ船102からコンテナWがクレーン103で積み降ろされる。クレーン103により積み降ろされたコンテナWが無人搬送車10に搭載される。コンテナWが搭載された無人搬送車10は、走行経路Rに沿ってラバータイヤクレーン104まで走行する。ラバータイヤクレーン104により無人搬送車10に搭載されたコンテナWが降ろされる。コンテナWが降ろされて空車となった無人搬送車10は、走行経路Rに沿ってクレーン103まで戻る。
【0017】
図2に示すように、無人搬送車10の車体11は、荷台20と、複数の駆動輪30と、複数のモータ40とを備えている。荷台20には、クレーン103により吊り下げられたコンテナWを載置する載置面21が設けられている。載置面21は、水平に延びる平面状である。載置面21は、コンテナWの下面bsよりも広く形成された四角形状をなしている。モータ40は、駆動輪30を動作させるための動力を発生する。モータ40には、動力源としての走行用モータ41と、操舵用モータ42とが採用されている。走行用モータ41は、無人搬送車10を前後方向に走行させるための駆動力を発生する。操舵用モータ42は、無人搬送車10の進行方向を変更するべく駆動輪30を操舵するための動力を発生する。
【0018】
次に、本発明の実施形態に係る無人搬送車10の通信システム100について説明する。通信システム100は、複数の無人搬送車10の中から、特定の無人搬送車10の制御装置を端末60と通信可能とするシステムである。例えば、上述のように自動運転を行っている無人搬送車10の中で、特定の無人搬送車10の制御装置の状態を把握する必要が生じた場合、本実施形態に係る通信システム100が用いられる。図1に示すように、通信システム100は、複数の無人搬送車10と、無人搬送車に搭載された通信装置(後述の近距離通信装置71)と、複数の無人搬送車10を管理する管制塔101と、通信装置と接続可能となる端末60と、を備える。なお、図1には、端末60が一つだけ示されているが、複数の作業者がそれぞれ端末60を有することで、通信システム100が複数の端末60を備えていてもよい。
【0019】
通信システム100では、無人搬送車10に対して個別に付与された識別情報を用いて、端末60と通信可能となる通信装置が搭載された無人搬送車10の決定がなされる。図3は、識別情報が付与された無人搬送車10の例を示す概略図である。図3に示すように、無人搬送車10には、各々の無人搬送車10の制御装置に関する識別情報が付与されている。識別情報は、一つの無人搬送車10に対して付与された固有の情報を少なくとも含んでよい。識別情報は、一つの無人搬送車10を複数の無人搬送車10の中から特定することができる情報である。これにより、識別情報は、どの無人搬送車10に搭載された制御装置であるかを特定するのに用いることができる。図3に示す例では、QRコード(登録商標)のマーク55によって、識別情報が表現されている。マーク55は、特殊図形として表現されることで、特定の情報を含むものである。マーク55は、画像として読み込まれることによって、識別情報を含む特定の情報を把握できるように表示されたものである。なお、識別情報は、QRコードの他、バーコードなど、読み込むことによって特定の内容を把握することができるような模様、記号の組み合わせなどで表現されていてもよい。または、識別情報は、文字や数字などによって、情報が直接的に表現されていてもよい。例えば、図3に示すように、識別情報は、無人搬送車10に付与された号機ナンバーが車体11に設定された号機表示部56に直接記載されることで表現されてもよい。
【0020】
マーク55は、無人搬送車10の車体11に表示されている。ここでは、マーク55は、車体11の側面11aに表示されている。また、号機表示部56も、車体11の側面11aに表示されている。なお、マーク55及び号機表示部56を表示する位置や個数は特に限定されるものではなく、車体11の端面11bにも表示してもよく、側面11a及び端面11bに複数のマーク55及び号機表示部56が表示されてもよい。
【0021】
次に、図4を参照して、本発明の実施形態に係る無人搬送車10の通信システム100のシステム構成について説明する。図4は、通信システム100のシステム構成を示すブロック図である。
【0022】
図4に示すように、無人搬送車10は、近距離通信装置71と、複数の制御装置80と、を備える。
【0023】
近距離通信装置71は、無人搬送車10に搭載され制御装置80に関する情報を授受する装置である。近距離通信装置71は、複数の制御装置80から、各々の制御装置80に関する情報を受け取る。また、近距離通信装置71は、端末60と通信を行うための信号のやり取りを行う部分である。近距離通信装置71は、端末60との間で、各種情報の送受信を行う。近距離通信装置71は、通信相手の端末60が所定の範囲内に存在するときに、互いの通信状態が確立される。電波状態に関わらず、無人搬送車10と端末60とが近接したときに通信状態を構築できるように、近距離通信装置71としてBluetooth(登録商標)などの近距離接続手段が用いられることが好ましい。ここで述べる近距離や所定の範囲とは、端末60が無人搬送車10の近距離通信装置71と通信できる程度の距離とその範囲であり、例えばコンテナターミナルの敷地外から端末60と近距離通信装置71とが通信ができるような距離は含めない。なお、近距離通信装置71による接続状態の構築方法は特に限定されず、Wi-Fiであってもよい。その他、所定の範囲内は近距離に限らず、コンテナターミナルの敷地内で通信するために最適化された、4G通信や5G通信などの方法を採用してよい。
【0024】
制御装置80は、無人搬送車10の車体11の内部に搭載された装置である。制御装置80は、無人搬送車10において、特定の機能を発揮するために組み込まれた装置である。また、制御装置80は、自身の状態を示す独自の情報を有している。これらの情報は、作業者がメンテナンスや点検などのタイミングで確認する必要が生じるものである。制御装置80の状態を示す情報として、稼働時間、異常履歴、センサのIO情報、その他、エネルギーの残量(バッテリーの蓄電量)、操舵角、タイヤの空気圧、リフタ(荷や機台そのものを昇降させる装置)の高さなどの情報が挙げられる。図4においては、無人搬送車10は、制御装置80として、具体的に、駆動管理装置81、ナビゲーション装置82、電気系統管理装置83などを備えている。その他、無人搬送車10は、リフタの制御装置など、必要に応じて他の制御装置を有してもよい。
【0025】
駆動管理装置81は、無人搬送車10のモータの駆動などを管理する装置である。駆動管理装置81は、無人搬送車10を所望の方向、速度で走行させるために、駆動部を制御すると共に、このような走行の履歴を保存する。ナビゲーション装置82は、無人搬送車10が自動走行を行うときに、無人搬送車10がどのような経路を搬送すればよいかを案内する装置である。ナビゲーション装置82は、管制塔101と通信を行うことができ、管制塔101からの指示に従って、無人搬送車10のナビゲーションを行う。なお、ナビゲーション装置82は、端末60との間で通信を行うための装置ではない。電気系統管理装置83は、無人搬送車10の電気系統の管理を行う装置である。例えば、電気系統管理装置83は、エンジン発電機の管理を行うことができる。
【0026】
図5(a)に示すように、これらの制御装置80に関する情報は、近距離通信装置71との間で通信状態が確立された端末60にて利用可能となる。各制御装置80は、近距離通信装置71と接続されており、当該近距離通信装置71を介して端末60に情報を利用される。なお、近距離通信装置71は、制御装置80に内蔵されていても、無人搬送車10に搭載された状態で制御装置80に対して別途設けられていてもよい。
【0027】
図4に示すように、端末60は、情報処理部61と、撮影部62と、入力部63と、出力部64と、を備える。端末60として、例えば、スマートフォン、タブレット端末などの汎用機器が用いられてよい。端末60として汎用機器を用いる場合、作業者は、端末60に専用のアプリケーションをインストールする。また、端末60として、無人搬送車10の通信システム100のための専用の端末が採用されてもよい。
【0028】
撮影部62は、撮影を行うことによって画像を取得する部分である。撮影部62は、端末60に内臓されたカメラなどに構成されている。なお、撮影部62として、外付けのカメラを用いてもよい。入力部63は、作業者からの操作入力を受ける部分である。入力部63は、タッチパネルや、音声認識を行うためのマイクなどによって構成される。出力部64は、作業者に対して情報を出力する部分である。出力部64は、モニタや、スピーカーなどによって構成される。
【0029】
情報処理部61は、無人搬送車10を操作するための各種処理を行う部分である。情報処理部61は、プロセッサ、メモリ、及びストレージを備えて構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを統括し、後述する情報処理部61の機能を実現する。情報処理部61では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。
【0030】
情報処理部61は、通信状態制御部65と、操作制御部66と、通信部67と、を備える。
【0031】
通信状態制御部65は、特定の無人搬送車10の近距離通信装置71に対する端末60による通信状態を制御する部分である。通信状態制御部65は、撮影部62の画像から読み込んだ識別情報に基づいて、無人搬送車10の近距離通信装置71と通信可能とする。通信状態制御部65は、撮影部62によって取得された画像中の識別情報から、対象となる無人搬送車10を特定する。そして、通信状態制御部65は、特定した無人搬送車10の近距離通信装置71との通信が可能になるように、通信部67を制御する。通信状態制御部65は、特定した無人搬送車10の近距離通信装置71との間で通信状態を確立するように、通信部67を制御する。なお、遠すぎる等の理由により通信状態を確立できない場合、または画像中のマーク55や号機ナンバーが小さすぎて識別情報を特定できない場合、通信状態制御部65は、出力部64から作業者に対し注意喚起を行う。
【0032】
通信部67は、他の機器と通信を行うための信号のやり取りを行う部分である。通信部67は、無人搬送車10の近距離通信装置71との間で、各種情報の送受信を行う。通信部67は、無人搬送車10の近距離通信装置71にて採用されている近距離接続手段に対応する手段にて、通信を行う。
【0033】
操作制御部66は、通信状態が確立した無人搬送車10の近距離通信装置71との間の情報のやりとりを行う際に、端末60での操作を制御する部分である。また、操作制御部66は、無人搬送車10の近距離通信装置71と通信を行うに際して、作業者が操作を行い易くなるような情報を出力部64から出力する。
【0034】
ここで、図6及び図7を参照して、操作制御部66の制御態様について説明する。上述のように、無人搬送車10には、複数の制御装置80が搭載されている。従って、端末60は、複数の制御装置80に関する情報のそれぞれを表示することができる。ここで、図5に示すように、無人搬送車10は、複数の制御装置80のそれぞれに対応して紐付けられた複数の識別情報を含むマーク55を有する場合がある。このとき、端末60は、識別情報に対応して紐付けられた制御装置80に関する情報を表示する。
【0035】
例えば、図5に示すマーク55Aは、無人搬送車10の識別情報に加え、駆動管理装置81を特定する情報を含んでよい。マーク55Bは、無人搬送車10の識別情報に加え、ナビゲーション装置82を特定する情報を含んでよい。マーク55Cは、無人搬送車10の識別情報に加え、電気系統管理装置83を特定する情報を含んでよい。この場合、操作制御部66は、撮影部62でマーク55Bが読み込まれた場合、通信部67及び近距離通信装置71を介して、ナビゲーション装置82から状態を示す情報を引き出す。そして、図6(a)に示すように、操作制御部66は、画面91上にて、対象となっている制御装置80(ここではナビゲーション装置82)を示すと共に、当該制御装置80の情報を示す。他のマーク55A,55Bが読み込まれた場合は、それに対応する制御装置80について、同様の処理がなされる。
【0036】
また、端末60は、識別情報で特定された複数の制御装置80から少なくとも一つの制御装置80を選択可能であり、選択された制御装置80に関する情報を利用可能となる。例えば、図3に示すように、無人搬送車10が単一の模様のマーク55を有している。このマーク55は、無人搬送車10の識別情報を含むが、制御装置80を特定する情報は含まれていない。この場合、操作制御部66は、無人搬送車10の各制御装置80から状態を示す情報を取得する。次に、操作制御部66は、図6(b)に示すように、作業者に対して、どの制御装置80の情報が欲しいかを選択させるような内容を画面91に表示する。そして、作業者が制御装置80を選択したら、操作制御部66は、図6(a)に示すように、選択された制御装置80に対応する情報を画面91に表示する。なお、操作制御部66は、制御装置80の選択がなされてから、選択された制御装置80の情報を取得してもよい。
【0037】
次に、本実施形態に係る無人搬送車10の通信システム100の作用・効果について説明する。
【0038】
無人搬送車10の通信システム100においては、無人搬送車10は制御装置80に関する識別情報を有している。それに対し、端末60は、読み込んだ識別情報に基づいて、無人搬送車10の近距離通信装置71と通信可能となる。すなわち、端末60は、識別情報を読み込むだけの簡単な操作で、通信対象となる近距離通信装置71を搭載する無人搬送車10をその場で特定することができる。そして、端末60は、管制塔101を介して通信を行うのではなく、無人搬送車10に搭載されたて制御装置80に関する情報を授受する近距離通信装置71と直接通信を行うことができる。従って、作業者は、管制塔101へアクセスするときの回線の混雑などに関わることなく、対象となる無人搬送車10の制御装置80の状態を速やかに把握することができる。
【0039】
また、作業者は、端末60を用いて他の無人搬送車10の近距離通信装置71とも通信可能であるため、無人搬送車10自体に制御装置に対するコンソール等を設ける場合に比して、通信システム全体としての構成を簡易にすることができる。例えば、比較例に係る無人搬送車120の概略構成を図5(b)及び図7に示す。比較例に係る無人搬送車120は、車体11に搭載されている制御装置80に対応するコンソール122が設けられている。このようなコンソールは、走行する車体11に取り付けられるものであるため、耐衝撃性、耐振動性が要求されるため、高額ものが用いられる。特に、車体11の側面などに設けられるコンソール122は、防塵性、防水性、及び耐紫外線性も要求されるため、且つ、制御装置80自体の構造も複雑化するため、更に高額となる。その一方、無人搬送車10は自動走行を行う車であって人間が直接操作することが少ないものであるため、コンソール122の使用頻度は低い。すなわち、コンソール122は、使用頻度の割に高額になるという問題がある。そして、一台の無人搬送車10の中には、複数の制御装置80が搭載される。この場合、一台あたりの無人搬送車10に対してコンソール122が複数必要になり、更に高額化する。これに対し、図5(a)に示すように、本実施形態に係る通信システム100では、各制御装置80に高額なコンソール122を設けなくとも、一つの端末60だけで、各制御装置80に関する情報を授受する近距離通信装置71と通信することができる。以上より、この通信システム100によれば、無人搬送車10に対して好適な態様で通信を行うことができる。
【0040】
無人搬送車10の通信システム100では、無人搬送車10には、複数の制御装置80が搭載され、端末60は、識別情報に基づいて、それぞれの制御装置80に関する情報を利用可能とする。これにより、作業者は、一つの端末60を用いて、無人搬送車10に搭載された複数の制御装置80のそれぞれから情報を利用することができる。
【0041】
無人搬送車10は、複数の制御装置80のそれぞれに対応して紐付けられた複数の識別情報を有し、端末60は、識別情報に対応して紐付けられた制御装置80に関する情報を利用可のとなっている。この場合、作業者は、把握したい制御装置80に対応する識別情報を読み込むだけで、簡単に把握したい情報を利用することができる。
【0042】
端末60は、識別情報で特定された複数の制御装置80から少なくとも一つの制御装置80を選択可能であり、選択された制御装置80に関する情報を利用可能となる。この場合、作業者は、一つの識別情報を読み込むだけで、無人搬送車10内の複数の制御装置80のうち、把握したい制御装置80の情報を選択的に取得することができる。
【0043】
端末60と無人搬送車10との通信は、近距離接続手段によって行なわれる。この場合、作業者は、広域なネットワークの混雑状況などの影響を受けず、近くにある無人搬送車10と速やかに通信することができる。また、作業者にとっては、近くに存在している無人搬送車10と通信できるため、誤って他の無人搬送車10と通信することを抑制できる。
【0044】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0045】
例えば、上述の実施形態では、無人搬送車10は複数の制御装置80を有していたが、複数の機能が統合されることで、一つの制御装置80だけを有していてよい。
【符号の説明】
【0046】
10…無人搬送車、55…マーク(識別情報)、60…端末、71…近距離通信装置(通信装置)、80…制御装置、100…通信システム、101…管制塔(上位管理装置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8