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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/9066 20060101AFI20230523BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 35/407 20150101ALI20230523BHJP
   A61K 35/744 20150101ALI20230523BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20230523BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20230523BHJP
   A61K 31/732 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 31/718 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 35/20 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230523BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61K36/9066
A61K31/12
A61K35/407
A61K35/744
A61K35/747
A61K35/74 A
A61K31/732
A61K31/718
A61K35/20
A61P1/04
A61P1/16
A61P3/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019088038
(22)【出願日】2019-05-08
(65)【公開番号】P2019202995
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2018095255
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森戸 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 敬太
【審査官】伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-216441(JP,A)
【文献】特開2015-091768(JP,A)
【文献】特開平11-289973(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0068023(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0008742(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107496850(CN,A)
【文献】特表2005-528324(JP,A)
【文献】特開2016-047041(JP,A)
【文献】特開2010-270101(JP,A)
【文献】国際公開第2014/010658(WO,A1)
【文献】特開平08-277221(JP,A)
【文献】特開2013-124243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含有し、以下のi)~iii)を満たす胃粘膜傷害軽減用経口組成物。
i)乳酸菌がLactobacillus casei subsp.casei(ラクトバチルス カゼイ サブスピーシーズカゼイ)又はEnterococcus faecalis(エンテロコッカス フェカリス)から選ばれる少なくとも1種
ii)食物繊維がペクチン又は難消化性デキストリンから選ばれる少なくとも1種
iii)乳由来原料がはっ酵乳を主体とした原料又はクリーミングパウダーから選ばれる少なくとも1種
【請求項2】
ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含有し、以下のi)~iii)を満たすアルコール吸収抑制用経口組成物。
i)乳酸菌がLactobacillus casei subsp.casei(ラクトバチルス カゼイ サブスピーシーズカゼイ)又はEnterococcus faecalis(エンテロコッカス フェカリス)から選ばれる少なくとも1種
ii)食物繊維がペクチン又は難消化性デキストリンから選ばれる少なくとも1種
iii)乳由来原料がはっ酵乳を主体とした原料又はクリーミングパウダーから選ばれる少なくとも1種
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルコール摂取後の症状の改善または予防に有効な医薬品、医薬部外品または食品に関する。
【背景技術】
【0002】
過度の飲酒は消化管障害、もたれや吐き気等の二日酔い症状を引き起こすことが知られており、これらの症状を改善するために肝機能改善作用を有する成分を配合した医薬品や食品が多数市販されている。しかし、十分な効果が得られないといったことから新たな成分の研究も行なわれている。また、市販品に配合されている肝機能改善成分、例えば肝臓加水分解物、ウコン等には独特の風味を有するものが多く、吐き気等の症状がある場合に増量することで効果を高めることは服用性の面から好ましくない。そのため、過度の飲酒による胃腸症状や急激な血中アルコール濃度の上昇に対して優れた抑制作用を有する組成物の提供が望まれている。
【0003】
肝機能改善成分としては、ウコン抽出物やクルクミン、肝臓加水分解物等が知られている(特許文献1、2)(非特許文献1)。ウコン抽出物はウコンの根茎の抽出液又は根茎のコルク層を除いたものの抽出液で、胃腸ケア、飲酒ケアや生活習慣ケアに用いられている。クルクミンはウコンの主成分として知られており、生理作用として抗酸化作用、抗炎症作用などが知られている。肝臓加水分解物は、ウシやブタなどの肝臓の加水分解物であり、肝臓機能を改善し、アルコール摂取時における体内のアセトアルデヒドの代謝を促進する作用が知られている。そのため、これら3成分は二日酔いの予防や軽減を目的とした医薬品や医薬部外品、サプリメント、食品飲料等に使用されている。
【0004】
一方、乳酸菌や食物繊維は腸内環境を整えるものとして医薬品、医薬部外品、食品等に幅広く使用されており、整腸作用を有する成分として知られている。また、乳由来原料の一種であるはっ酵乳にも、腸内環境を整える作用があることが知られている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維、乳由来原料を含有する組成物が、胃粘膜傷害抑制剤やアルコール濃度上昇抑制剤として使用されているとの報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-95670号公報
【文献】特開2015-67593号公報
【文献】特開2003-250530号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】浜野拓也ら、「ウコン抽出物が健常成人のアルコール代謝に及ぼす影響の検討」、応用薬理、72(1/2)、31-38(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、安全性が高く、十分な効果を有した胃粘膜傷害軽減用経口組成物及び/又はアルコール吸収抑制用経口組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行なった結果、ある種の肝機能改善作用が知られている成分(ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物)と腸内環境改善作用が知られている成分(乳酸菌、食物繊維、乳由来原料)を併用することにより、優れた胃粘膜傷害軽減作用ならびに血中アルコール濃度上昇抑制作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
(1)ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含有する経口組成物、
(2)ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含有する胃粘膜傷害軽減用経口組成物、
(3)ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含有するアルコール吸収抑制用経口組成物、
(4)乳酸菌がLactobacillus casei subsp.casei(ラクトバチルス カゼイ サブスピーシーズ カゼイ)又はEnterococcus faecalis(エンテロコッカス フェカリス)から選ばれる少なくとも1種である(1)~(3)に記載の経口組成物、
(5)食物繊維がペクチン又は難消化性デキストリンから選ばれる少なくとも1種である(1)~(3)に記載の経口組成物、
(6)乳由来原料がはっ酵乳を主体とした原料又はクリーミングパウダーから選ばれる少なくとも1種である(1)~(3)に記載の経口組成物、
である。
【0011】
以下、場合により、ウコン、クルクミン及び肝臓加水分解物を含む組成物を肝機能改善組成物とも言い、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含む組成物を腸内環境改善組成物とも言う。
【発明の効果】
【0012】
肝機能改善作用が知られる成分を含有する組成物に腸内環境改善作用が知られる成分を含有する組成物を組み合わせることにより、胃粘膜傷害の発生軽減用組成物、ならびに血中アルコール濃度上昇の抑制用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】試験例2における実施例1、比較例1及び比較例2の血中エタノール濃度の推移を示したものである。
図2】試験例2における実施例4、比較例1及び比較例6の血中エタノール濃度の推移を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の経口組成物は、ウコン、クルクミン、肝臓加水分解物、乳酸菌、食物繊維及び乳由来原料を含有する経口組成物である。
【0015】
本発明におけるウコンは、日本などの東アジアや東南アジアを中心に栽培されるショウガ科ウコン属の植物である。前記植物として、Curcuma longa(ウコン)、Curcuma aromatica、Curcuma zedoaria、Curcuma phaeocaulis、Curcuma kwangsiensis、Curcuma wenyujin、及び/又は、Curcuma xanthorrhiza等が挙げられる。本発明におけるウコンは前記植物の根茎等の適当な部位を原型のまま、適当な形状又は寸法にカットしたもの、粉砕物にしたもの、乾燥粉末、エキス、流エキス、乾燥エキスを全て含み、好ましくはエキスである。ウコンエキスは、市販品を購入することができ、例えば、日本粉末薬品株式会社のウコン抽出液、ウコンエキスパウダー、松浦薬業株式会社のウコン抽出液、ウコンエキス末、丸善製薬株式会社のウコンエキスD、ウコン乾燥エキスF等が使用できる。また、ウコンの根茎、根茎のコルク層を除いたもの、それらの乾燥品や粉砕物等から公知の方法で抽出したものを用いてもよい。抽出方法は特に限定されず、抽出溶媒としては、水、熱水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒の混合溶媒が挙げられ、低級脂肪族アルコール、水、又は低級脂肪族アルコールと水の混合溶媒を用いることができる。
【0016】
本発明におけるウコンエキス含有量は、通常、成人に対して1日あたり1~1000mg、好ましくは1~500mgである。
【0017】
本発明におけるクルクミンとは、ウコンなどに含まれる黄色のポリフェノール化合物であり、スパイスや食品領域の着色剤として利用されている。ウコン等、クルクミンを含有する植物から公知の方法で抽出したものを用いることができ、また、市販のクルクミン、例えば横浜油脂工業株式会社、株式会社中原、株式会社サビンサジャパンコーポレーションのクルクミン等を購入して用いても良い。
【0018】
本発明におけるクルクミン含有量は、通常、成人に対して1日あたり10~200mg、好ましくは30~100mgである。
【0019】
本発明における肝臓加水分解物は、ウシやブタなどの哺乳動物の肝臓に消化酵素を加え、加水分解したものであり、例えば、日水製薬株式会社の肝臓加水分解物KS、ILS株式会社のレバーHi、日本薬品株式会社の豚肝臓分解物等が挙げられ、飲食品に用いることができるものであれば特に限定されない。
【0020】
本発明における肝臓加水分解物含有量は、通常、成人に対して1日あたり10~1000mg、好ましくは100~600mgである。
【0021】
本発明における乳酸菌は、乳酸を多量に産生する菌であり、例えば、Lactobacillus属、Lactococcus属、Streptococcus属、Enterococcus属、Pediococcus属、Leuconostoc属、Bifidobacterium属に属する菌などが挙げられ、Lactobacillus属、Enterococcus属が好ましく、より好ましくは、Lactobacillus casei subsp.casei(ラクトバチラス カゼイ サブスピーシーズ カゼイ)、Enterococcus faecalis (エンテロコッカス フェカリス)、さらに好ましくはLactobacillus casei subsp.casei K-1株(ラクトバチラス カゼイ サブスピーシーズ カゼイ K-1株)、Enterococcus faecalis EC-12株(エンテロコッカス フェカリス EC-12株)である。市販品を購入することができ、例えば、亀田製菓株式会社のLactobacillus casei subsp.casei K-1、Lactobacillus paracasei K-2、セティ株式会社のLactobacillus casei、森永乳業株式会社のLactobacillus paracasei、クリスチャンハンセン株式会社のLactobacillus paracasei subsp.paracasei LP-33、コンビ株式会社のEnterococcus faecalis strain EC-12、ニチニチ製薬株式会社のEnterococcus faecalis FK-23等が挙げられる。
乳酸菌には、生菌、死菌(殺菌)があり、生菌は、菌が生きたまま腸まで届くものであるが、一部は胃酸などにより死菌となる。一方、死菌(殺菌)は、予め加熱等により殺菌処理されたものであるため、熱や胃酸の影響を受けにくく、菌の品質は安定している。発明においては、特に限定されない。
【0022】
乳酸菌は、単独で又は2種以上を併用してもよい。乳酸菌含有量は、通常、成人に対して1日あたり0.02~20mg、好ましくは0.5~5mgである。
【0023】
本発明における食物繊維は、特に限定されないが、例えば、難消化性デキストリン、ペクチン、グルコマンナン、イヌリン、アガロース、キチン、キトサン、グアーガムが挙げられ、好ましくは、難消化性デキストリン、ペクチンである。食物繊維は市販品を用いることができる。難消化デキストリンとしては、松谷化学工業株式会社のファイバーソル2等が挙げられ、ペクチンとしては、ユニテックフーズ株式会社、三晶株式会社、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社のHMペクチン、LMペクチン等が挙げられる。
【0024】
食物繊維は、単独で又は2種以上を併用してもよい。食物繊維含有量(混合物である場合は、その合計含有量)は、通常、成人に対して1日あたり20~10000mg、好ましくは100~1500mgである。
【0025】
本発明における乳由来原料は、例えば、乳、乳を発酵して得られる発酵物、乳又は前記発酵物を原料として製造されたものなどが挙げられる。具体的には、牛乳、生乳、はっ酵乳、無脂肪乳、全粉乳、クリーミングパウダー、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、バターミルクパウダー、加糖紛乳、乳酸菌飲料等が挙げられ、はっ酵乳には、殺菌されたはっ酵乳やはっ酵乳を主体とした原料も含む。好ましくは、はっ酵乳を主体とした原料、クリーミングパウダーである。乳由来原料は市販品を用いることができる。具体的には、牛乳としては、森永乳業株式会社の森永牛乳、雪印メグミルク株式会社の雪印メグミルク牛乳、株式会社明治の明治おいしい牛乳、明治北海道牛乳、タカナシ乳業株式会社の有機牛乳、北海道3.7牛乳、よつ葉乳業株式会社のよつ葉牛乳等が使用できる。はっ酵乳又ははっ酵乳を主体とした原料としては、森永乳業株式会社の森永ヨープ、株式会社明治の明治メリーソフト等が使用できる。
【0026】
乳由来原料は、単独で又は2種以上を併用してもよい。乳由来原料の含有量(混合物である場合は、その合計含有量)は、通常、成人に対して1日あたり0.2~10g、好ましくは0.5~6gである。
【0027】
本発明の経口組成物は、通常の方法によって製造できる。具体的には、各種成分を秤量、混合し、精製水やアルコール、又はその混液に溶解させ、必要に応じてろ過、滅菌等により製造することができる。
【0028】
本発明は、発明の効果を損なわない質的および量的範囲で、ビタミン、アミノ酸、賦形剤、pH調整剤、清涼化剤、懸濁化剤、消泡剤、粘稠剤、溶解補助剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤、コーティング剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、可塑剤、香料などを配合することができ、常法により、錠剤、液剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、チュアブル錠、ドライシロップ剤、経粘膜剤などの経口製剤とすることができる。
【実施例
【0029】
以下に実施例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例、比較例)
表1~3に示す成分を配合量欄に従って配合し、蒸留水を用いて全量100mLに調製し、実施例1~4及び比較例1~6を得た。なお、比較例1、3の組成は肝機能改善組成物のみを含有し、比較例2、4~6の組成は腸内環境改善組成物のみを含有する。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
試験例1:塩酸エタノール誘発胃傷害改善作用に関する試験
SD系雄性ラットに表1~3に示す成分を配合量欄に従って調製した組成物を5mL/kgの容量で経口投与した(各成分の投与量については、投与量欄を参照)。投与30分後に150mmol/L 塩酸/60vol% エタノールを5mL/kgの容量で経口投与した。150mmol/L 塩酸/60vol% エタノール投与から1時間後、胃を摘出し、1vol%中性緩衝ホルマリン液10mLを摘出した胃に注入した。30分以上固定した後に、大弯に沿って切開し、 胃粘膜傷害が発生したラットをカウントし、さらに、発生した胃粘膜傷害の面積(mm2)をNikon社製の実体顕微鏡を用いて測定した。コントロールは、表1~3に示す組成物の代わりに蒸留水を用いた。表1~3に、胃粘膜傷害面積及び胃粘膜傷害が発生したラット匹数・発生率の結果を示した。
【0034】
比較例1(肝機能改善組成物)、2(腸内環境改善組成物)と比較して、実施例1(肝機能改善組成物と腸内環境改善組成物を含有)は胃粘膜傷害面積が小さく、胃粘膜傷害を発生したラットの匹数が少なかった。
【0035】
以上の結果、比較例1(肝機能改善組成物)、比較例2(腸内環境改善組成物)では塩酸エタノール誘発胃傷害に対する抑制効果は認められず、驚くべきことに、クルクミン、ウコンエキス、肝臓加水分解物、乳酸菌、乳由来原料、食物繊維を含有する組成物において、顕著な抑制効果、すなわちアルコールによる胃粘膜傷害の軽減作用を示すことが明らかとなった。
【0036】
試験例2:アルコール吸収抑制作用に関する試験
SD系雄性ラットに表1、表3に示す成分を配合量欄に従って調製した組成物を5mL/kgの容量で経口投与した(各成分の投与量については、投与量欄を参照)。投与30分後に40vol%エタノールを経口投与した。表1、表3に示す組成物投与前、40vol%エタノール投与から1時間後、3時間後及び6時間後に尾静脈より採血を行った。
採取した血液は遠心分離(室温、3000×g、10分間)し、血清を分取し、 Ethanol Assay Kit(BioChain社製)を用いて、血中エタノール濃度を測定した。ノーマルは、40vol%エタノールの代わりに蒸留水を投与し、ノーマル及びコントロールは、表1、表3に示す組成物の代わりに蒸留水を用いた。結果を表4および5に示した。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
比較例1(肝機能改善組成物)、2(腸内環境改善組成物)および6(腸内環境改善組成物)はコントロール群と同様のエタノールの血中濃度推移を示したが、実施例1および4はエタノールの血中濃度上昇抑制が認められた。
以上の結果、肝機能改善組成物及び、腸内環境改善組成物ではアルコール吸収抑制作用は認められなかった。しかしながら、驚くべきことに、クルクミン、ウコンエキス、肝臓加水分解物、乳酸菌、乳由来原料、食物繊維を含有する組成物においては、アルコール吸収抑制作用を示すことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明により、過剰な飲酒によってもたらされる胃粘膜の傷害に対して優れた予防効果及び/又は治療効果を有する医薬品、医薬部外品、食品などを提供できる。
図1
図2