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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】鳥害防止器具
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/16 20110101AFI20230523BHJP
   A01M 29/08 20110101ALI20230523BHJP
【FI】
A01M29/16
A01M29/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019129309
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021013321
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】光井 勇希
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3142167(JP,U)
【文献】実開平04-098832(JP,U)
【文献】特開2001-112400(JP,A)
【文献】特開2018-007526(JP,A)
【文献】特開2013-158199(JP,A)
【文献】登録実用新案第3074511(JP,U)
【文献】実開平03-031874(JP,U)
【文献】特開2010-088338(JP,A)
【文献】登録実用新案第3207111(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0044009(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1422740(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00 - 29/34
H02G 7/00 - 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥害防止部と、
弾性変形可能な絶縁体で構成され、内面に引留めクランプを収納するクランプカバーの直上に前記鳥害防止部を固定するクランプ部と、
を備え
前記クランプ部は、
上部に前記鳥害防止部が設けられる台座と、
前記台座から下方に延びて設けられ、前記クランプカバーを両側面から挟持する挟持部と、
前記挟持部の下部に設けられた抜け止め部と、
を備え、
前記クランプ部と電柱に設けられた構造体とが連結部材によって連結されている、
鳥害防止器具。
【請求項2】
前記鳥害防止部は、
鳥が嫌う音を発生させる鳥避け音発生装置と、
羽根に太陽光の反射機能を有する風車と、
のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の鳥害防止器具。
【請求項3】
前記鳥害防止部に電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーを充電する太陽光発電パネルと、
をさらに含む、
請求項1又は2に記載の鳥害防止器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥害防止器具に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧電線は、電柱に架設される場合、引留めクランプに取付けられる。この引留めクランプは、耐張碍子に接続され、耐張碍子を介して電柱に取付けられる。つまり、高圧電線は、引留めクランプ及び耐張碍子により、電柱に架設される。
【0003】
この引留めクランプは、電線の架設に用いられる際、絶縁性を有するクランプカバーに収納される。クランプカバーは、例えば特許文献1に示されるように、ヒンジによって開閉可能に連結された一対のカバーである。クランプカバー内に引留めクランプを収納する際は、クランプカバーを開いた状態で内部に引留めクランプを入れて、その後クランプカバーを閉じることで、内部に引留めクランプを収納する。そして、クランプカバーに設けられた一対の係合部を、例えば間接活線工具などを用いて係合して、クランプカバーを閉じた状態で固定する。また、クランプカバーは、側部に架空電線を導入する穴と、反対側の側部に縁側電線を導出する穴とが形成される。また、クランプカバーは、縁側電線を導出する穴と同じ側の側部に、外部の耐張碍子に引留めクランプを接続するための穴も形成される。一対の係合部は、複数箇所に設けられているが、この電線を導入する穴と耐張碍子に引留めクランプを接続するための穴との間にも設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-007526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引留めクランプは、安全上合成樹脂製のクランプカバーにより被覆するようにしているが、例えば烏類が飛来してクランプカバーに止まることでクランプカバーに隙間が生じる場合がある。さらに、烏類がクランプカバー周辺で営巣し、食用として巣に持ち込んだヘビ等の異物がクランプカバーの隙間に差し込まれる等して充電部に接触して感電し、短絡・地絡事故や停電を招く可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、クランプカバー付近への鳥類の飛来や営巣を抑止することができる鳥害防止器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、一態様に係る鳥害防止器具は、鳥害防止部と、弾性変形可能な絶縁体で構成され、内面に引留めクランプを収納するクランプカバーの直上に前記鳥害防止部を固定するクランプ部と、を備える。
【0008】
望ましい態様として、前記クランプ部は、上部に前記鳥害防止部が設けられる台座と、前記台座から下方に延びて設けられ、前記クランプカバーを両側面から挟持する挟持部と、前記挟持部の下部に設けられた抜け止め部と、を備え、前記クランプ部と電柱に設けられた構造体とが連結部材によって連結されている。
【0009】
望ましい態様として、前記鳥害防止部は、鳥が嫌う音を発生させる鳥避け音発生装置と、羽根に太陽光の反射機能を有する風車と、のうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
望ましい態様として、前記鳥害防止部に電力を供給するバッテリーと、前記バッテリーを充電する太陽光発電パネルと、をさらに含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クランプカバー付近への鳥の飛来や営巣を抑止することができる鳥害防止器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、引留めクランプを用いて電線を電柱に架設した状態を示す図である。
図2図2は、クランプカバーの内面展開図である。
図3図3は、クランプカバーの側面図である。
図4図4は、実施形態に係る鳥害防止器具の取り付け例を示す図である。
図5図5は、図4に示す鳥害防止器具の矢示図である。
図6図6は、実施形態に係る鳥害防止器具の取り付け方法を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る鳥害防止器具の鳥害防止部の一構成例を示す側面図である。
図8図8は、図7に示す鳥害防止部の矢示図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組合せることが可能である。
【0014】
図1は、引留めクランプを用いて電線を電柱に架設した状態を示す図である。図1に示すように、電線Aは、架空電線であり、クランプカバー10内に収納された引留めクランプ1により引留められる。引留めクランプ1は、耐張碍子である碍子Bに接続される。碍子Bは、さらに電柱Cに設けられた腕金(構造体)Dに接続される。このようにして、電線Aは、電柱に架設される。
【0015】
図2は、クランプカバーの内面展開図である。図3は、クランプカバーの側面図である。図2は、クランプカバー10を開いた状態の側面図であり、図3は、クランプカバー10を閉じた場合の側面図である。また、図2及び図3は、クランプカバー10の内部に引留めクランプ1を収納した状態を示している。
【0016】
図2に示すように、引留めクランプ1は、本体部2とくさび部3と電線固定部4と碍子接続部5とを有する。本体部2は、三角体状のくさび部3とスライド可能に連結している。本体部2は、電線Aの被覆を剥離した部分と、くさび部3の端部が収納されている。
【0017】
くさび部3は、溝に、電線Aの被覆を剥離した部分が収納されている。くさび部3には、電線固定部4が取り付けられており、電線固定部4で電線Aの被覆を剥離した部分を締め付けることで、電線Aを固定(クランプ)する。碍子接続部5は、本体部2に接続される輪状の部材である。碍子接続部5は、輪の内部に設けられた軸により、碍子Bの碍子軸Baに取付けられている。引留めクランプ1は、このようにして電線Aを引留め、碍子Bに接続される。
【0018】
クランプカバー10は、このように構成される引留めクランプ1に対して被せられ、引留めクランプ1を内部に収納する絶縁性を有するカバーである。図2に示すように、クランプカバー10は、第1本体部12Aと、第2本体部12Bと、ヒンジ部14とを有する。第1本体部12Aと第2本体部12Bとは、ヒンジ部14を介して開閉可能に連結された一対のカバーである。クランプカバー10は、弾性変形可能な絶縁体で構成されている。
【0019】
図4は、実施形態に係る鳥害防止器具の取り付け例を示す図である。図5は、図4に示す鳥害防止器具の矢示図である。
【0020】
図4に示すように、実施形態に係る鳥害防止器具20は、鳥害防止部21と、クランプ部22と、連結部材23と、を備える。クランプ部22は、弾性変形可能な絶縁体で構成されている。クランプ部22は、図5に示すように、台座221と、挟持部222a,222bと、抜け止め部223a,223bと、を備える。
【0021】
本実施形態において、鳥害防止器具20は、図4に示すように、クランプカバー10の直上に鳥害防止部21が配置されるように設けられる。鳥害防止部21については後述する。
【0022】
具体的に、鳥害防止部21は、クランプ部22の台座221に設けられ、台座221から下方に延びて設けられる挟持部222a,222bによってクランプカバー10を両側面から挟持された状態で保持される。
【0023】
連結部材23は、クランプ部22から電柱Cに向かう方向に延びて設けられる。クランプ部22は、連結部材23と腕金Dとが固定部材24,25によって連結される。固定部材24,25は、例えばビス24及びナット25が例示される。
【0024】
図6は、実施形態に係る鳥害防止器具の取り付け方法を示す図である。図6に示すように、クランプ部22の抜け止め部223a,223bを挟持部222a,222bの弾性力に抗して実線矢示方向に開き、白抜き矢示方向にクランプカバー10に装着する。これにより、クランプカバー10が挟持部222a,222bの弾性力によって挟み込まれた状態に維持される。この状態で、連結部材23と腕金Dとを固定部材24,25によって連結する。これにより、鳥害防止部21がクランプカバー10の直上に固定される。
【0025】
クランプカバー10は、クランプ部22の挟持部222a,222bに挟持される。これにより、クランプカバー10が開くことが抑制される。
【0026】
また、抜け止め部223a,223bの先端間距離は、クランプカバー10の幅よりも小さい。これにより、風等によって煽られても鳥害防止器具20がクランプカバー10から外れることが抑制される。
【0027】
図7は、実施形態に係る鳥害防止器具の鳥害防止部の一構成例を示す側面図である。図8は、図7に示す鳥害防止部の矢示図である。
【0028】
本実施形態において、鳥害防止部21は、鳥避け音発生装置211と、風車212と、バッテリー213と、太陽光発電パネル214と、を備える。なお、鳥害防止部21の構造は、図7及び図8に示す構造に限定されない。
【0029】
鳥避け音発生装置211は、例えば、鳥類の近接を検出する非接触式センサーや、鳥が嫌う音を発生させるスピーカー及び音源等を備えている。非接触式センサーとしては、例えば、焦電型赤外線センサーが例示されるが、サーモパイルセンサーや超音波センサー、あるいはフォトセンサー等であっても良い。鳥避け音発生装置211は、鳥類の近接を検出すると、鳥が嫌う音を発生させる。鳥が嫌う音の種類や音源等には限定されない。
【0030】
風車212は、羽根212aに風を受けることで回転する。羽根212aには、反射板212bが設けられている。風車212が羽根212aに風を受けて回転することで、反射板212bにより太陽光等が拡散される。これにより、鳥類に対する威嚇効果を高めることができる。本実施形態では、風車212を2つ設けた例を示したが、これに限定されない。また、風車212の羽根212aの数には限定されない。羽根212a自体が反射部材で構成された態様であっても良い。
【0031】
本実施形態において、バッテリー213は、例えばリチウムイオンバッテリー等の2次電池である。バッテリー213は、鳥避け音発生装置211に電源を供給する。太陽光発電パネル214は、太陽光により光起電力を発生させて発電を行い、バッテリー213を充電する。これにより、外部からの電力供給を必要としない自立型の鳥害防止器具20を構成することができる。
【0032】
以上説明したように、実施形態に係る鳥害防止器具20は、鳥害防止部21と、弾性変形可能な絶縁体で構成され、内面に引留めクランプ1を収納するクランプカバー10の直上に鳥害防止部21を固定するクランプ部22と、を備える。
【0033】
これにより、クランプカバー10付近への鳥類の飛来や営巣を抑止することができる。
【0034】
上記構成において、クランプ部22は、上部に鳥害防止部21が設けられる台座221と、台座221から下方に延びて設けられ、クランプカバー10を両側面から挟持する挟持部222a,222bと、挟持部222a,222bの下部に設けられた抜け止め部223a,223bと、を備える。クランプ部22と電柱Cに設けられた腕金(構造体)Dとが連結部材23によって連結されている。
【0035】
これにより、鳥害防止部21がクランプカバー10の直上に固定される。
【0036】
また、上記構成において、鳥害防止部21は、鳥が嫌う音を発生させる鳥避け音発生装置211と、羽根212aに太陽光の反射機能を有する風車212と、のうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
これにより、クランプカバー10付近への鳥類の飛来や営巣を効果的に抑止することができる。
【0038】
また、上記構成において、鳥害防止部21に電力を供給するバッテリー213と、バッテリー213を充電する太陽光発電パネル214と、をさらに含む。
【0039】
これにより、外部からの電力供給を必要としない自立型の鳥害防止器具20を構成することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 引留めクランプ
2 本体部
3 くさび部
4 電線固定部
5 碍子接続部
10 クランプカバー
12A 第1本体部
12B 第2本体部
14 ヒンジ部
A 電線
B 碍子
C 電柱
D 腕金(構造体)
20 鳥害防止器具
21 鳥害防止部
22 クランプ部
23 連結部材
24 ビス(固定部材)
25 ナット(固定部材)
211 鳥避け音発生装置
212 風車
213 バッテリー
214 太陽光発電パネル
221 台座
222a,222b 挟持部
223a,223b 抜け止め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8