(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】作業機械の制御パラメータ変更システム、作業機械の制御パラメータ変更方法、および、作業機械の制御パラメータ変更プログラム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20230523BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230523BHJP
G06T 7/00 20170101ALN20230523BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 H
G06T7/00 660A
(21)【出願番号】P 2019132637
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 一臣
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-007266(JP,A)
【文献】特開2000-034744(JP,A)
【文献】特開2017-082430(JP,A)
【文献】特開2015-124514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
E02F 9/00-9/28
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械のオペレータに設けられた情報を読み取る読取装置と、
前記作業機械を駆動する機器の制御に用いる制御パラメータのデフォルト値を、複数種類の前記制御パラメータについてそれぞれ記憶する記憶装置と、
前記読取装置が読み取った前記情報に基づいて、前記デフォルト値から書き換える前記制御パラメータの、種類および変更値を導出する導出手段と、
作業の終了を検出する検出手段と、
前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記導出手段が導出した前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値から前記導出手段が導出した前記変更値に変更した状態にする第1変更手段と、
前記作業の終了を前記検出手段が検出した際に、前記第1変更手段が前記変更値に変更していた前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値に戻す第2変更手段と、
を有
し、
前記読取装置は、前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記情報を読み取り続けており、
前記第2変更手段は、前記読取装置が前記情報を読み取らなくなった場合に、前記第1変更手段が前記変更値に変更した種類の前記制御パラメータを前記デフォルト値に戻すことを特徴とする作業機械の制御パラメータ変更システム。
【請求項2】
前記読取装置は、前記情報を非接触で読み取ることを特徴とする請求項1に記載の作業機械の制御パラメータ変更システム。
【請求項3】
前記情報が符号化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機械の制御パラメータ変更システム。
【請求項4】
前記オペレータが装着するヘルメットに特徴量が設けられており、
前記読取装置は、前記ヘルメットから読み取った前記特徴量に基づいて、前記情報を読み取ることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機械の制御パラメータ変更システム。
【請求項5】
前記読取装置は、前記オペレータの顔から読み取った特徴量に基づいて、前記情報を読み取ることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業機械の制御パラメータ変更システム。
【請求項6】
前記記憶装置に記憶された全ての種類の前記制御パラメータがそれぞれ前記デフォルト値のときに、前記作業機械の動作が制限されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機械の制御パラメータ変更システム。
【請求項7】
作業機械のオペレータに設けられた情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップで読み取った前記情報に基づいて、前記作業機械を駆動する機器の制御に用いる複数種類の制御パラメータのうち
、デフォルト値から書き換える前記制御パラメータの、種類および変更値を導出する導出ステップと、
作業の終了を検出する検出ステップと、
前記作業の終了を検出するまで、前記導出ステップで導出した前記種類の前記制御パラメータを、記憶装置が記憶する
前記デフォルト値から前記導出ステップで導出した前記変更値に変更した状態にする第1変更ステップと、
前記作業の終了を検出した際に、前記第1変更ステップで前記変更値に変更していた前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値に戻す第2変更ステップと、
を有
し、
前記読取ステップでは、前記作業の終了を前記検出ステップで検出するまで、前記情報を読み取り続けており、
前記第2変更ステップでは、前記読取ステップで前記情報を読み取らなくなった場合に、前記第1変更ステップで前記変更値に変更した種類の前記制御パラメータを前記デフォルト値に戻すことを特徴とする作業機械の制御パラメータ変更方法。
【請求項8】
作業機械のオペレータに設けられた情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った前記情報に基づいて、前記作業機械を駆動する機器の制御に用いる複数種類の制御パラメータのうち
、デフォルト値から書き換える前記制御パラメータの、種類および変更値を導出する導出手段と、
作業の終了を検出する検出手段と、
前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記導出手段が導出した前記種類の前記制御パラメータを、記憶装置が記憶する
前記デフォルト値から前記導出手段が導出した前記変更値に変更した状態にする第1変更手段と、
前記作業の終了を前記検出手段が検出した際に、前記第1変更手段が前記変更値に変更していた前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値に戻す第2変更手段としてコンピュータを機能させ
、
前記読取手段は、前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記情報を読み取り続けており、
前記第2変更手段は、前記読取手段が前記情報を読み取らなくなった場合に、前記第1変更手段が前記変更値に変更した種類の前記制御パラメータを前記デフォルト値に戻すことを特徴とする作業機械の制御パラメータ変更プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御パラメータを変更可能な作業機械の制御パラメータ変更システム、作業機械の制御パラメータ変更方法、および、作業機械の制御パラメータ変更プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、作業機械では、オペレータの好みや作業内容に応じて、制御パラメータを変更することで、各種の設定を変更することが可能である。例えば、油圧ショベルでは、操作レバーとアクチュエータとの対応パターンを規定するレバー操作パターン設定や、操作レバーの操作量に対するアクチュエータの動作速度を規定するレスポンス設定を変更することが可能である。
【0003】
特許文献1には、建設機械に乗車するオペレータの腕に装着されたリストバンド型のオペレータ用通信端末に記憶された個人設定情報を、建設機械に設けられた建設機械用通信端末が受信して、建設機械の各種設定変更を自動的に行う情報通信システムが開示されている。設定変更が自動的に行われるため、設定変更に係るオペレータの操作負担が軽減される。
【0004】
また、特許文献2には、油圧アクチュエータについての制御特性に係わる標準データ又は設定データを選択可能とし、選択したデータを変更可能に表示装置に表示するとともに、変更されたデータを設定データとしてICカードに書き換え、変更後の設定データに基づいて制御信号を生成する、建設機械の操作系制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-23528号公報
【文献】特開2007-332563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2では、作業開始時に変更した制御パラメータを作業終了後に元に戻さない。よって、次に作業機械を使用するオペレータに悪影響が生じる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、次に作業機械を使用するオペレータに影響が生じないようにすることが可能な作業機械の制御パラメータ変更システム、作業機械の制御パラメータ変更方法、および、作業機械の制御パラメータ変更プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業機械の制御パラメータ変更システムは、作業機械のオペレータに設けられた情報を読み取る読取装置と、前記作業機械を駆動する機器の制御に用いる制御パラメータのデフォルト値を、複数種類の前記制御パラメータについてそれぞれ記憶する記憶装置と、前記読取装置が読み取った前記情報に基づいて、前記デフォルト値から書き換える前記制御パラメータの、種類および変更値を導出する導出手段と、作業の終了を検出する検出手段と、前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記導出手段が導出した前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値から前記導出手段が導出した前記変更値に変更した状態にする第1変更手段と、前記作業の終了を前記検出手段が検出した際に、前記第1変更手段が前記変更値に変更していた前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値に戻す第2変更手段と、を有し、前記読取装置は、前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記情報を読み取り続けており、前記第2変更手段は、前記読取装置が前記情報を読み取らなくなった場合に、前記第1変更手段が前記変更値に変更した種類の前記制御パラメータを前記デフォルト値に戻すことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る作業機械の制御パラメータ変更方法は、作業機械のオペレータに設けられた情報を読み取る読取ステップと、前記読取ステップで読み取った前記情報に基づいて、前記作業機械を駆動する機器の制御に用いる複数種類の制御パラメータのうち、デフォルト値から書き換える前記制御パラメータの、種類および変更値を導出する導出ステップと、作業の終了を検出する検出ステップと、前記作業の終了を検出するまで、前記導出ステップで導出した前記種類の前記制御パラメータを、記憶装置が記憶する前記デフォルト値から前記導出ステップで導出した前記変更値に変更した状態にする第1変更ステップと、前記作業の終了を検出した際に、前記第1変更ステップで前記変更値に変更していた前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値に戻す第2変更ステップと、を有し、前記読取ステップでは、前記作業の終了を前記検出ステップで検出するまで、前記情報を読み取り続けており、前記第2変更ステップでは、前記読取ステップで前記情報を読み取らなくなった場合に、前記第1変更ステップで前記変更値に変更した種類の前記制御パラメータを前記デフォルト値に戻すことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る作業機械の制御パラメータ変更プログラムは、作業機械のオペレータに設けられた情報を読み取る読取手段と、前記読取手段が読み取った前記情報に基づいて、前記作業機械を駆動する機器の制御に用いる複数種類の制御パラメータのうち、デフォルト値から書き換える前記制御パラメータの、種類および変更値を導出する導出手段と、作業の終了を検出する検出手段と、前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記導出手段が導出した前記種類の前記制御パラメータを、記憶装置が記憶する前記デフォルト値から前記導出手段が導出した前記変更値に変更した状態にする第1変更手段と、前記作業の終了を前記検出手段が検出した際に、前記第1変更手段が前記変更値に変更していた前記種類の前記制御パラメータを、前記記憶装置が記憶する前記デフォルト値に戻す第2変更手段としてコンピュータを機能させ、前記読取手段は、前記作業の終了を前記検出手段が検出するまで、前記情報を読み取り続けており、前記第2変更手段は、前記読取手段が前記情報を読み取らなくなった場合に、前記第1変更手段が前記変更値に変更した種類の前記制御パラメータを前記デフォルト値に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、オペレータの情報に基づいて、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値が導出される。そして、作業が終了するまで、導出された種類の制御パラメータが、記憶装置が記憶するデフォルト値から、導出された変更値に変更される。このように、デフォルト値から書き換える必要のない種類の制御パラメータはデフォルト値のままで、デフォルト値から書き換える種類の制御パラメータのみがデフォルト値から変更される。複数種類の制御パラメータの変更を必要最小限に抑えることで、変更に要する時間を必要最小限に抑えることができる。そして、作業が終了すると、変更値に変更されていた種類の制御パラメータがデフォルト値に戻る。これにより、次に作業機械を使用するオペレータに影響が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】第1実施形態における制御パラメータ変更システムの回路図である。
【
図3】第1実施形態における制御パラメータ変更制御のフローチャートである。
【
図4】第2実施形態における制御パラメータ変更システムの回路図である。
【
図5】第2実施形態における制御パラメータ変更制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
[第1実施形態]
(作業機械の構成)
本発明の第1実施形態による作業機械の制御パラメータ変更システム(制御パラメータ変更システム)は、作業機械に設けられている。作業機械20の側面図である
図1に示すように、作業機械20は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械20は、下部走行体21と、上部旋回体22と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0015】
下部走行体21は、作業機械20を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回装置を介して旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。
【0016】
アタッチメント30は、上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上部旋回体22に回転自在(起伏自在)に取り付けられる。アーム32は、ブーム31に回転自在に取り付けられる。バケット33は、アーム32に回転自在に取り付けられる。バケット33は、作業対象(土砂など)の、掘削、ならし、すくい、などの作業を行う部分である。なお、バケット33の代わりに、油圧破砕機、グラップル、ブレーカ、リフティングマグネット等の先端アタッチメントが取り付けられてもよい。
【0017】
シリンダ40は、アタッチメント30を作動させる。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0018】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回転駆動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回転自在に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回転自在に取り付けられる。
【0019】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回転駆動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回転自在に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回転自在に取り付けられる。
【0020】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回転駆動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回転自在に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回転自在に取り付けられたリンク部材に、回転自在に取り付けられる。
【0021】
(制御パラメータ変更システムの構成)
制御パラメータ変更システム1の回路図である
図2に示すように、制御パラメータ変更システム1は、カメラ2と、記憶装置3と、コントローラ4と、を有している。
【0022】
カメラ(読取装置)2は、キャブ23内に設けられ、作業機械20のオペレータに設けられた特徴量を読み取る。通常、作業機械20のオペレータはヘルメットを装着する。本実施形態では、ヘルメットに特徴量が設けられている。特徴量は、バーコードや二次元コード等である。ヘルメットには、バーコードや二次元コード等が印刷されたシールが貼り付けられたり、バーコードや二次元コード等が直接印刷されたりしている。
【0023】
特徴量は、オペレータに設けられた情報が、バーコードや二次元コード等に符号化されたものである。カメラ2は、バーコードや二次元コード等を撮像することで、特徴量を非接触で読み取る。コントローラ(読取装置)4は、カメラ2がヘルメットから読み取った特徴量に基づいて、情報を読み取る。具体的には、コントローラ4は、カメラ2が読み取った特徴量を復号化することで、情報を読み取る。よって、ICカードをリーダ/ライタに挿入するといったような手間がかからないので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0024】
また、情報が符号化されているので、復号化できない限り、情報の内容がわからない。よって、情報の内容を外部に漏洩し難くすることができる。
【0025】
また、ヘルメットに特徴量を設けることで、リストバンド等をオペレータが別途装着する場合に比べて、オペレータの負担を軽減することができる。
【0026】
なお、カメラ2がヘルメットから読み取った特徴量に基づいて、コントローラ4が情報を読み取る構成に限定されず、ヘルメットに設けられたRFIDタグからRFIDリーダ(読取装置)が情報を非接触で読み取る構成であってもよい。また、ヘルメットに設けられたBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)ビーコンモジュールからBLE受信機が情報を非接触で読み取る構成であってもよい。
【0027】
記憶装置3は、制御パラメータのデフォルト値を、複数種類の制御パラメータについてそれぞれ記憶している。ここで、制御パラメータは、作業機械20を駆動する機器の制御に用いられるものである。作業機械20を駆動する機器には、シリンダ40等のアクチュエータ11が含まれる。制御パラメータは、例えば、操作レバー12とアクチュエータ11との対応パターンを規定するものや、操作レバー12の操作量に対するアクチュエータ11の動作速度を規定するものである。操作レバー12は、キャブ23内に設けられている。
【0028】
コントローラ(導出手段)4は、自身が読み取った情報に基づいて、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値を導出する。本実施形態において、情報は、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値である。変更値は、記憶装置3が記憶するデフォルト値とは異なる値である。
【0029】
また、制御パラメータ変更システム1は、レバーロック5を有している。レバーロック5は、キャブ23内に設けられ、操作レバー12による操作の有効と無効とを切り換える装置である。レバーロック5がロック状態のときに操作レバー12の操作が無効になり、レバーロック5が解除状態のときに操作レバー12の操作が有効になる。
【0030】
コントローラ(検出手段)4は、作業の終了を検出する。本実施形態では、コントローラ4は、レバーロック5が解除状態からロック状態に変化したことを、作業の終了として検出する。なお、コントローラ4は、エンジン(図示せず)が停止したことを、作業の終了として検出してもよいし、キースイッチ(図示せず)がオフにされた(エンジンの停止が指示された)ことを、作業の終了として検出してもよいし、作業機械20が駐機の姿勢にされたことを、作業の終了として検出してもよい。
【0031】
コントローラ(第1変更手段)4は、作業の終了を自身が検出するまで、自身が導出した種類の制御パラメータを、記憶装置3が記憶するデフォルト値から自身が導出した変更値に変更した状態にする。つまり、デフォルト値から書き換える必要のない種類の制御パラメータはデフォルト値のままで、デフォルト値から書き換える種類の制御パラメータのみがデフォルト値から変更される。複数種類の制御パラメータの変更を必要最小限に抑えることで、変更に要する時間を必要最小限に抑えることができる。
【0032】
なお、コントローラ4による情報の読み取り時に、パリティなどの誤り検出処理を行ってもよい。この場合において、読み取った情報に誤りがある場合に、スピーカからの音声やディスプレイの表示により、読み取りに失敗した旨をオペレータに報知してよい。なお、スピーカおよびディスプレイは、キャブ23内に設けられている。
【0033】
また、コントローラ4が読み取った情報に誤りがある場合には、エンジン(図示せず)を始動できない状態にしてもよい。また、コントローラ4が読み取った情報に誤りがある場合には、レバーロック5の信号に関わらず、アクチュエータ11を駆動する機器に、操作レバー12から出力される圧力や電気信号を伝達せず、ロック状態を維持して、作業機械20が作動できない状態にしてもよい。これにより、誤った制御パラメータが変更されることによって作業機械20が誤作動することを防止できる。
【0034】
また、制御パラメータの変更に失敗した場合に、スピーカからの音声やディスプレイの表示により、その旨をオペレータに報知してよい。制御パラメータの変更に成功した場合についても同様である。また、カメラ2がヘルメットから読み取った特徴量に基づいて、コントローラ4が情報を読み取った結果、デフォルト値から変更値に変更する制御パラメータが無かった場合には、制御パラメータをデフォルト値から変更していない旨を、スピーカからの音声やディスプレイの表示によってオペレータに報知してもよい。
【0035】
コントローラ(第2変更手段)4は、作業の終了を自身が検出した際に、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータを、記憶装置3が記憶するデフォルト値に戻す。作業が終了すると、変更値に変更されていた制御パラメータがデフォルト値に戻るので、次に作業機械20を使用するオペレータに影響が生じないようにすることができる。
【0036】
ここで、記憶装置3に記憶された全ての種類の制御パラメータがそれぞれデフォルト値のときに、作業機械20の動作が制限されるようにされている。具体的には、全ての種類の制御パラメータがそれぞれデフォルト値のときに、エンジンの回転数が300rpm程度まで低くされたり、アクチュエータ11に供給される油の流量が少なくされたりすることで、十分な動作が実現されないようにされている。よって、作業機械20を十分に動作させるためには、いずれかの種類の制御パラメータを変更する必要がある。作業機械20を動作させる者が情報を備えていれば、いずれかの種類の制御パラメータが変更されるので、作業機械20を十分に動作させることができる。よって、作業機械20を動作させる者に、情報を備えるように促すことができる。
【0037】
本実施形態では、カメラ2は、作業の終了をコントローラ4が検出するまで、特徴量を読み取り続けている。よって、コントローラ4は、作業の終了を自身が検出するまで、情報を読み取り続けている。コントローラ4は、カメラ2が特徴量を読み取らなくなり、その結果、自身が情報を読み取らなくなった場合に、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータをデフォルト値に戻す。例えば、オペレータが中座した場合に、カメラ2が特徴量を読み取らなくなることでコントローラ4が情報を読み取らなくなり、制御パラメータがデフォルト値に戻る。これにより、途中からオペレータが代わった場合でも、そのオペレータに影響が生じないようにすることができる。
【0038】
なお、作業機械20がAIS(オートアイドルストップ)機能を搭載している場合には、この機能によって、作業機械20の非作動が検知されて、自動的にエンジンが停止された場合に、コントローラ4は、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータをデフォルト値に戻してよい。エンジン強制停止スイッチによって手動でエンジンが停止された場合も同様に、コントローラ4は、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータをデフォルト値に戻してよい。また、コントローラ4は、エンジン回転数により、エンジンがローアイドルになったことを検出した場合に、作業終了とみなして、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータをデフォルト値に戻してよい。
【0039】
(制御パラメータ変更システムの動作)
次に、制御パラメータ変更制御のフローチャートである
図3を用いて、制御パラメータ変更システム1の動作を説明する。
【0040】
まず、コントローラ4は、すべての制御パラメータをデフォルト値に設定する(ステップS1)。次に、コントローラ4は、オペレータに設けられた特徴量をカメラ2が読み取ったか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、オペレータに設けられた特徴量をカメラ2が読み取っていないと判定した場合には(S2:NO)、コントローラ4は、ステップS1に戻る。
【0041】
一方、ステップS2において、オペレータに設けられた特徴量をカメラ2が読み取ったと判定した場合には(S2:YES)、コントローラ4は、読み取った特徴量を復号化する(ステップS3)。そして、コントローラ4は、復号化した特徴量から、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値を導出する(ステップS4)。そして、コントローラ4は、自身が導出した種類の制御パラメータを、記憶装置3が記憶するデフォルト値から自身が導出した変更値に変更する(ステップS5)。
【0042】
次に、コントローラ4は、作業が終了したか否かを判定する(ステップS6)。具体的には、コントローラ4は、レバーロック5が解除状態からロック状態に変化したか否かを判定する。ステップS6において、作業が終了していないと判定した場合には(S6:NO)、コントローラ4は、ステップS2に戻る。作業中にオペレータが中座した場合には、ステップS2からステップS1に戻り、すべての制御パラメータがデフォルト値に戻ることになる。
【0043】
一方、ステップS6において、作業が終了したと判定した場合には(S6:YES)、コントローラ4は、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータを、記憶装置3が記憶するデフォルト値に戻す(ステップS7)。そして、本フローを終了する。
【0044】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る制御パラメータ変更システム1によれば、オペレータの情報に基づいて、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値が導出される。そして、作業が終了するまで、導出された種類の制御パラメータが、記憶装置3が記憶するデフォルト値から、導出された変更値に変更される。このように、デフォルト値から書き換える必要のない種類の制御パラメータはデフォルト値のままで、デフォルト値から書き換える種類の制御パラメータのみがデフォルト値から変更される。複数種類の制御パラメータの変更を必要最小限に抑えることで、変更に要する時間を必要最小限に抑えることができる。そして、作業が終了すると、変更値に変更されていた種類の制御パラメータがデフォルト値に戻る。これにより、次に作業機械20を使用するオペレータに影響が生じないようにすることができる。
【0045】
また、読取装置(カメラ2、コントローラ4)は、オペレータに設けられた情報を非接触で読み取る。よって、ICカードをリーダ/ライタに挿入するといったような手間がかからないので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0046】
また、オペレータに設けられた情報が符号化されている。情報が符号化されているので、復号化できない限り、情報の内容がわからない。よって、情報の内容を外部に漏洩し難くすることができる。
【0047】
また、オペレータが装着するヘルメットに特徴量が設けられており、読取装置(カメラ2、コントローラ4)は、ヘルメットから読み取った特徴量に基づいて、情報を読み取る。通常、作業機械20のオペレータはヘルメットを装着する。ヘルメットに特徴量を設けることで、リストバンド等をオペレータが別途装着する場合に比べて、オペレータの負担を軽減することができる。
【0048】
また、記憶装置3に記憶された全ての種類の制御パラメータがそれぞれデフォルト値のときに、作業機械20の動作が制限される。よって、作業機械20を十分に動作させるためには、いずれかの種類の制御パラメータを変更する必要がある。作業機械20を動作させる者が情報を備えていれば、いずれかの種類の制御パラメータが変更されるので、作業機械20を十分に動作させることができる。よって、作業機械20を動作させる者に、情報を備えるように促すことができる。
【0049】
また、情報を読み取り続けていた読取装置(カメラ2、コントローラ4)が情報を読み取らなくなった場合に、変更値に変更されていた種類の制御パラメータがデフォルト値に戻る。例えば、オペレータが中座した場合に、読取装置が情報を読み取らなくなり、制御パラメータがデフォルト値に戻る。これにより、途中からオペレータが代わった場合でも、そのオペレータに影響が生じないようにすることができる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の制御パラメータ変更システムについて、図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態と共通する構成およびそれにより奏される効果については説明を省略し、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。なお、第1実施形態と同じ部材については、第1実施形態と同じ符号を付している。
【0051】
(制御パラメータ変更システムの構成)
第1実施形態の制御パラメータ変更システム1では、バーコードや二次元コード等に符号化された情報は、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値であった。そのため、コントローラ4は、カメラ2が読み取った特徴量を復号化することで、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値を導出していた。
【0052】
これに対して、本実施形態の制御パラメータ変更システムでは、ヘルメットに設けられた特徴量は、オペレータを識別する識別情報のみが符号化されたバーコードや二次元コード等である。本実施形態において、識別情報は、オペレータの名前等である。
【0053】
制御パラメータ変更システム101の回路図である
図4に示すように、制御パラメータ変更システム101は、サーバ50を有している。サーバ50は、サーバ側コントローラ15と、サーバ側記憶装置16と、サーバ側送受信装置17と、を有している。
【0054】
作業機械20は、送受信装置6を有している。送受信装置6は、サーバ側送受信装置17との間でデータを送受信可能である。
【0055】
サーバ側記憶装置16には、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値が、複数の識別情報についてそれぞれ記憶されている。コントローラ4は、カメラ2が読み取った特徴量から識別情報を読み取り、この識別情報をサーバ50に送る。サーバ側コントローラ15は、作業機械20から受け取った識別情報に対応する、制御パラメータの種類および変更値を、サーバ側記憶装置16から抽出して、作業機械20に送る。このような構成であっても、コントローラ4は、識別情報に基づいて、デフォルト値から書き換える制御パラメータの、種類および変更値を導出することができる。
【0056】
なお、特徴量は、ヘルメットに貼付された、オペレータの名前が記載されたシール等であってもよい。コントローラ4は、カメラ2が撮像した名前を画像認識して識別情報とする。
【0057】
また、コントローラ4は、カメラ2が撮像したオペレータの顔から読み取った特徴量に基づいて、識別情報を読み取ってもよい。この場合、顔から読み取った特徴量と、ヘルメットに設けられた特徴量とを併用してもよい。顔の特徴を特徴量として用いることで、リストバンド等をオペレータが別途装着する場合に比べて、オペレータの負担を軽減することができる。
【0058】
本実施形態では、カメラ2が一度、特徴量を読み取ると、作業終了まで、特徴量の読み取りは行われない。よって、コントローラ4がサーバ50にアクセスするのは、作業終了までに一度だけである。作業が終了するまでの間中、カメラ2が特徴量を読み取り続けると、その間中、コントローラ4がサーバ50にアクセスし続けなければならなくなり、負担が大きいためである。なお、作業が終了するまでの間中、カメラ2が特徴量を読み取り続け、コントローラ4は、所定時間(例えば30分)間隔でサーバ50にアクセスするようにしてもよい。
【0059】
(制御パラメータ変更システムの動作)
次に、制御パラメータ変更制御のフローチャートである
図5を用いて、制御パラメータ変更システム101の動作を説明する。
【0060】
まず、コントローラ4は、すべての制御パラメータをデフォルト値に設定する(ステップS11)。次に、コントローラ4は、オペレータに設けられた特徴量をカメラ2が読み取ったか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、オペレータに設けられた特徴量をカメラ2が読み取っていないと判定した場合には(S12:NO)、コントローラ4は、ステップS11に戻る。
【0061】
一方、ステップS12において、オペレータに設けられた特徴量をカメラ2が読み取ったと判定した場合には(S12:YES)、コントローラ4は、カメラ2が読み取った特徴量に基づいて、識別情報を読み取る(ステップS13)。そして、コントローラ4は、この識別情報をサーバ50に送信する(ステップS14)。
【0062】
その後、コントローラ4は、送信した識別情報に対応する、制御パラメータの種類および変更値をサーバ50から受信する(ステップS15)。そして、コントローラ4は、サーバ50から受信した種類の制御パラメータを、記憶装置3が記憶するデフォルト値から、サーバ50から受信した変更値に変更する(ステップS16)。
【0063】
次に、コントローラ4は、作業が終了したか否かを判定する(ステップS17)。具体的には、コントローラ4は、レバーロック5が解除状態からロック状態に変化したか否かを判定する。ステップS17において、作業が終了していないと判定した場合には(S17:NO)、コントローラ4は、ステップS17を繰り返す。
【0064】
一方、ステップS17において、作業が終了したと判定した場合には(S17:YES)、コントローラ4は、自身が変更値に変更していた種類の制御パラメータを、記憶装置3が記憶するデフォルト値に戻す(ステップS18)。そして、本フローを終了する。
【0065】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る制御パラメータ変更システム101によれば、読取装置(カメラ2、コントローラ4)は、オペレータの顔から読み取った特徴量に基づいて、情報を読み取ってもよい。顔の特徴を特徴量として用いることで、リストバンド等をオペレータが別途装着する場合に比べて、オペレータの負担を軽減することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
1,101 制御パラメータ変更システム
2 カメラ(読取装置)
3 記憶装置
4 コントローラ(読取装置、導出手段、検出手段、第1変更手段、第2変更手段)
5 レバーロック
6 送受信装置
11 アクチュエータ
12 操作レバー
15 サーバ側コントローラ
16 サーバ側記憶装置
17 サーバ側送受信装置
20 作業機械
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
50 サーバ