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特許7283286放送受信装置、放送受信方法、放送受信制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】放送受信装置、放送受信方法、放送受信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20230523BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20230523BHJP
   H04N 21/438 20110101ALI20230523BHJP
   H04N 21/4425 20110101ALI20230523BHJP
【FI】
H04B1/16 Z
H04B7/08 372A
H04B7/08 422
H04N21/438
H04N21/4425
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019135081
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021019320
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】半谷 猛
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-072758(JP,A)
【文献】特開2002-247460(JP,A)
【文献】特開2007-258875(JP,A)
【文献】特開2004-179928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04B 7/08
H04N 21/438
H04N 21/4425
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが異なるアンテナを介して、放送局からの放送波を受信可能なn個(n>=4の偶数)のチューナと、
前記n個のチューナに接続され、n/2個のチューナから出力される信号を合成する合成部と、
前記合成部において合成した信号を復号する復号部と、
前記n個のチューナ、前記合成部、前記復号部とを制御することによって、(1)放送波の有無を判定するための第1処理、(2)前記第1処理において放送波ありと判定した場合に合成CNRを算出するための第2処理、(3)前記第2処理において合成CNRを算出した後に放送局情報を取得するための第3処理を順に実行させる制御部とを備え、
前記制御部は、
(1)前記第1処理の際に、前記n個のチューナのうちのn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定し、前記n/2個のチューナのうちの少なくとも1つにおいて同期が確立した場合に、前記第1のチャンネルの放送波ありと判定し、
(2)前記第2処理の際に、前記n個のチューナに前記第1のチャンネルを設定して、前記n個のチューナから出力される信号を前記合成部に合成させるとともに、前記n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRを算出し、前記n個のチューナの合成CNRを算出し、
(3)前記第3処理の際に、前記n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRをもとに選択したn/2個のチューナに前記第1のチャンネルを設定して、前記n/2個のチューナから出力される信号を前記合成部に合成させるとともに、前記復号部に復号を実行させ、
前記第1のチャンネルに対して、前記第1処理あるいは前記第3処理を実行している間に、未使用のn/2個のチューナを使用して、前記第1のチャンネルとは異なった第2のチャンネルに対する前記第1処理を実行することを特徴とする放送受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、複数のチャンネルのそれぞれに対して前記第1処理を既に実行している場合、既に実行した前記第1処理において複数のチャンネルのそれぞれに対して放送波なしと判定した場合に使用したn/2個のチューナの組合せの使用回数を組合せ毎に導出し、前記導出した組合せ毎の使用回数のうち、最多の使用回数となる組合せに含まれるn/2個のチューナ以外のn/2個のチューナを、前記第1のチャンネルに対する前記第1処理において使用することを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1のチャンネルに対する前記第1処理において放送波なしと判定した場合に、前記第1処理において使用したn/2個のチューナ以外のn/2個のチューナに前記第1のチャンネルを設定することによって、次の第1処理を実行させ、
前記制御部は、前記次の第1処理において放送波ありと判定した場合に、前記第2処理と前記第3処理とを実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の放送受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1のチャンネルおよび前記第2のチャンネルとして設定可能な複数のチャンネルのそれぞれに対するステータスを管理しており、ステータスは、1回目の前記第1処理において放送波なしと判定した要再確認を含み、
前記制御部は、前記第3処理の際に、ステータスが要再確認であるチャンネルが存在する場合、1回目の前記第1処理において放送波なしと判定した場合に使用したn/2個のチューナの組合せの使用回数を組合せ毎に導出し、最多の使用回数となる組合せに含まれるn/2個のチューナの単独CNRの合計値がしきい値以上であれば、当該n/2個のチューナを選択することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第3処理の際に、前記合計値がしきい値より小さい場合、次に多い使用回数となる組合せに含まれるn/2個のチューナの単独CNRの合計値がしきい値以上であれば、当該n/2個のチューナを選択することを特徴とする請求項4に記載の放送受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1のチャンネルに対する処理が終了し、かつ前記第2のチャンネルに対する前記第1処理において放送波ありと判定した場合に、前記第2のチャンネルに対する前記第2処理と前記第3処理とを順に実行させることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の放送受信装置。
【請求項7】
それぞれが異なるアンテナを介して、放送局からの放送波を受信可能なn個(n>=4の偶数)のチューナと、前記n個のチューナに接続され、n/2個のチューナから出力される信号を合成する合成部と、前記合成部において合成した信号を復号する復号部と、前記n個のチューナ、前記合成部、前記復号部とを制御することによって、(1)放送波の有無を判定するための第1処理、(2)前記第1処理において放送波ありと判定した場合に合成CNRを算出するための第2処理、(3)前記第2処理において合成CNRを導出した後に放送局情報を取得するための第3処理を順に実行させる制御部とを備える放送受信装置における放送受信方法であって、
前記第1処理の際に、前記n個のチューナのうちのn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定し、前記n/2個のチューナのうちの少なくとも1つにおいて同期が確立した場合に、前記第1のチャンネルの放送波ありと判定するステップと、
前記第2処理の際に、前記n個のチューナに前記第1のチャンネルを設定して、前記n個のチューナから出力される信号を前記合成部に合成させるとともに、前記n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRを算出し、前記n個のチューナの合成CNRを算出するステップと、
前記第3処理の際に、前記n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRをもとに選択したn/2個のチューナに前記第1のチャンネルを設定して、前記n/2個のチューナから出力される信号を前記合成部に合成させるとともに、前記復号部に復号を実行させるステップと、
前記第1のチャンネルに対して、前記第1処理あるいは前記第3処理を実行している間に、未使用のn/2個のチューナを使用して、前記第1のチャンネルとは異なった第2のチャンネルに対する前記第1処理を実行するステップと、
を備えることを特徴とする放送受信方法。
【請求項8】
それぞれが異なるアンテナを介して、放送局からの放送波を受信可能なn個(n>=4の偶数)のチューナと、前記n個のチューナに接続され、n/2個のチューナから出力される信号を合成する合成部と、前記合成部において合成した信号を復号する復号部と、前記n個のチューナ、前記合成部、前記復号部とを制御することによって、(1)放送波の有無を判定するための第1処理、(2)前記第1処理において放送波ありと判定した場合に合成CNRを算出するための第2処理、(3)前記第2処理において合成CNRを算出した後に放送局情報を取得するための第3処理を順に実行させる制御部とを備える放送受信装置に実行させる放送受信制御プログラムであって、
前記第1処理の際に、前記n個のチューナのうちのn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定し、前記n/2個のチューナのうちの少なくとも1つにおいて同期が確立した場合に、前記第1のチャンネルの放送波ありと判定するステップと、
前記第2処理の際に、前記n個のチューナに前記第1のチャンネルを設定して、前記n個のチューナから出力される信号を前記合成部に合成させるとともに、前記n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRを算出し、前記n個のチューナの合成CNRを算出するステップと、
前記第3処理の際に、前記n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRをもとに選択したn/2個のチューナに前記第1のチャンネルを設定して、前記n/2個のチューナから出力される信号を前記合成部に合成させるとともに、前記復号部に復号を実行させるステップと、
前記第1のチャンネルに対して、前記第1処理あるいは前記第3処理を実行している間に、未使用のn/2個のチューナを使用して、前記第1のチャンネルとは異なった第2のチャンネルに対する前記第1処理を実行するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする放送受信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信技術に関し、特に放送波を受信する放送受信装置、放送受信方法、放送受信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルテレビの放送波を受信する際にマルチパス伝搬が存在すると、受信信号にはフェージングが発生して、安定した受信が困難になる。このような環境での受信においては、複数のアンテナを使用したダイバーシチ受信が効果的であり実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第11/105074号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放送波を受信可能な放送受信装置は、放送波に含まれた番組の視聴を開始する前に、ユーザが利用するエリア周辺で受信が可能な放送局のリストアップを実行する。その際、ダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置は、例えば、放送波の有無を確認すべきチャンネルを全てのチューナに同時に設定する。これにより、放送受信装置は、全てのチューナを使用して、放送波の有無の検出、CNR(Carrier to Noise Ratio)の算出、TSID(Transport Stream identification)などの情報(以下、「放送局情報」という)の収集などの処理を行う。また、放送受信装置は、全てのチャンネルに対しての確認終了後に、算出したCNRと放送局情報をもとに、放送局のリストアップを実行する。このような処理によれば、全てのチューナに同一のチャンネルを設定するので、放送局のリストアップの精度が高くなるが、処理期間が長くなる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、放送局のリストアップの精度の低下を抑制しながら、処理期間を短縮する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の放送受信装置は、それぞれが異なるアンテナを介して、放送局からの放送波を受信可能なn個(n>=4の偶数)のチューナと、n個のチューナに接続され、n/2個のチューナから出力される信号を合成する合成部と、合成部において合成した信号を復号する復号部と、n個のチューナ、合成部、復号部とを制御することによって、(1)放送波の有無を判定するための第1処理、(2)第1処理において放送波ありと判定した場合に合成CNRを算出するための第2処理、(3)第2処理において合成CNRを算出した後に放送局情報を取得するための第3処理を順に実行させる制御部とを備える。制御部は、(1)第1処理の際に、n個のチューナのうちのn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定し、n/2個のチューナのうちの少なくとも1つにおいて同期が確立した場合に、第1のチャンネルの放送波ありと判定し、(2)第2処理の際に、n個のチューナに第1のチャンネルを設定して、n個のチューナから出力される信号を合成部に合成させるとともに、n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRを算出し、n個のチューナの合成CNRを算出し、(3)第3処理の際に、n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRをもとに選択したn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定して、n/2個のチューナから出力される信号を合成部に合成させるとともに、復号部に復号を実行させ、第1のチャンネルに対して、第1処理あるいは第3処理を実行している間に、未使用のn/2個のチューナを使用して、第1のチャンネルとは異なった第2のチャンネルに対する第1処理を実行する。
【0007】
本発明の別の態様は、放送受信方法である。この方法は、それぞれが異なるアンテナを介して、放送局からの放送波を受信可能なn個のチューナと、n個のチューナに接続され、n/2個のチューナから出力される信号を合成する合成部と、合成部において合成した信号を復号する復号部と、n個のチューナ、合成部、復号部とを制御することによって、(1)放送波の有無を判定するための第1処理、(2)第1処理において放送波ありと判定した場合に合成CNRを算出するための第2処理、(3)第2処理において合成CNRを導出した後に放送局情報を取得するための第3処理を順に実行させる制御部とを備える放送受信装置における放送受信方法であって、第1処理の際に、n個のチューナのうちのn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定し、n/2個のチューナのうちの少なくとも1つにおいて同期が確立した場合に、第1のチャンネルの放送波ありと判定するステップと、第2処理の際に、n個のチューナに第1のチャンネルを設定して、n個のチューナから出力される信号を合成部に合成させるとともに、n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRを算出し、n個のチューナの合成CNRを算出するステップと、第3処理の際に、n個のチューナのそれぞれにおける単独CNRをもとに選択したn/2個のチューナに第1のチャンネルを設定して、n/2個のチューナから出力される信号を合成部に合成させるとともに、復号部に復号を実行させるステップと、第1のチャンネルに対して、第1処理あるいは第3処理を実行している間に、未使用のn/2個のチューナを使用して、第1のチャンネルとは異なった第2のチャンネルに対する第1処理を実行するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、放送局のリストアップの精度の低下を抑制しながら、処理期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例に係る放送受信装置の構成を示す図である。
図2図1の放送受信装置における処理手順を示すフローチャートである。
図3図1の記憶部に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図4図1の放送受信装置における処理手順を示すフローチャートである。
図5図1の放送受信装置における第1処理の手順を示すフローチャートである。
図6図1の放送受信装置における第3処理の手順を示すフローチャートである。
図7図1の放送受信装置における第3処理の別の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本実施例は、n個(n>=4の偶数)のチューナ、例えば、4つのチューナを備えて、ダイバーシチ受信を実行可能な放送受信装置に関する。放送受信装置は、例えば、車載機器、ポータブル機器である。放送受信装置は、ユーザが利用するエリア周辺で受信が可能な放送局のリストアップを行ってから、放送波に含まれた番組の視聴を開始する。本実施例は放送局のリストアップを行うことに関するので、放送波に含まれた番組の視聴については説明を省略する。前述のごとく、放送受信装置は、全てのチューナに同一のチャンネルを設定し(以下、「方法1」という)、4チューナによるダイバーシチ受信により放送局情報を取得する。このような方法1によれば、放送局情報の取得のための処理期間が長くなる。また、例えば6つ以上のチューナを備えている場合、3チューナの2系統に分割して処理を行ってもよい。5つのチューナを備えて、3チューナ+2チューナの2系統に分割するなど、奇数のチューナを備える形態もあるが、本実施例では4つ以上の偶数のチューナを備える形態について述べる。
【0012】
一方、放送局情報の取得のための処理期間を短縮するために、4チューナを2チューナの2系統に分割し、系列毎に異なったチャンネルが設定される(以下、「方法2」という)。例えば、第1チューナと第2チューナに第1チャンネルが設定され、第3チューナと第4チューナに第2チャンネルが設定される。方法2では、2チューナによるダイバーシチ受信が並列に実行され、放送局情報が取得される。つまり、チューナを2組に分けて処理が並列でなされるので、処理期間が、方法1の処理の約半分になる。
【0013】
放送局のリストアップは、エリア内における受信環境のよい場所で、受信電波のレベル、例えば、CNRの時間変動が小さくなるように停車した状態でなされることを前提とする。しかしながら、CNRの時間変動が大きくなると、リストアップに最適な放送局を選択できないことがある。例えば、CH27、CH35が同一の放送局に使用されており、基本的にはCH27のCNRがCH35のCNRよりも大きいが、CNRの時間変動によって、CH27のCNRよりもCH35のCNRが大きくなることがある。そのような状況下においては、当該放送局のチャンネルとしてCH35がリストアップされてしまう可能性がある。
【0014】
このようなCNRの時間変動が1つのチューナで生じても、方法1では、4つのチューナのダイバーシチ受信により時間変動の影響が低減される。一方、方法2では、2つのチューナのダイバーシチ受信を実行するので、方法1よりも時間変動の影響が大きくなる。また、方法1では、4つのチューナのダイバーシチ受信によりCNRが算出されるが、方法2では、2つのチューナのダイバーシチ受信によりCNRが算出されるので、方法1よりもCNRの算出精度が低下する。例えば、CH27、CH35が同一の放送局に使用されており、基本的にはCH27のCNRがCH35のCNRよりも大きいが、CNRの算出精度の低下によって、CH27のCNRよりもCH35のCNRが大きいと判定されることがある。そのため、方法2を使用すると、方法1よりも、処理期間が短縮するが、放送局のリストアップの精度が低下するおそれがある。
【0015】
これらより、放送局のリストアップの精度の低下を抑制しながら、処理期間を短縮することが求められる。本実施例では、処理を3段階に分割する。1段階目の処理(以下、「第1処理」という)では、所定のチャンネルにおける放送波の有無を判定する。2段階目の処理(以下、「第2処理」という)では、放送波があると判定した場合に、4つのチューナのダイバーシチ受信による合成CNRを算出する。3段階目の処理(以下、「第3処理」という)では、放送波があると判定したチャンネルにおいて復号処理を実行して放送局情報を取得する。ここで、第1処理と第3処理では、方法2と同様に、1つのチャンネルに対して2つのチューナが使用される。これにより、1つ目のチャンネルに対して第1処理あるいは第3処理を実行している間に、2つ目のチャンネルに対して第1処理が実行される。その結果、処理期間が短縮される。また、第2処理では、方法1と同様に、1つのチャンネルに対して4つのチューナが使用される。これにより、合成CNRの算出精度が向上し、放送局のリストアップの精度の低下が抑制される。
【0016】
図1は、放送受信装置1000の構成を示す。放送受信装置1000は、チューナ100と総称される第1チューナ100a、第2チューナ100b、第3チューナ100c、第4チューナ100d、ベースバンド処理部200と総称される第1ベースバンド処理部200a、第2ベースバンド処理部200b、第3ベースバンド処理部200c、第4ベースバンド処理部200d、合成部300と総称される第1合成部300a、第2合成部300b、デ・マッピング部310と総称される第1デ・マッピング部310a、第2デ・マッピング部310b、MER(Modulation Error Ratio)算出部320と総称される第1MER算出部320a、第2MER算出部320b、合成CNR算出部330と総称される第1合成CNR算出部330a、第2合成CNR算出部330b、復号部340と総称される第1復号部340a、第2復号部340b、出力部350と総称される第1出力部350a、第2出力部350bを含む。チューナ100、ベースバンド処理部200の数は「4」に限定されず、「4以上」であればよい。
【0017】
第1チューナ100aは、第1アンテナ110a、第1LNA(Low Noise Amplifier)120a、第1RF(Radio Frequency)増幅器130a、第1局部発振器140a、第1混合器150a、第1IF(Intermediate Frequency)増幅器160aを含む。第2チューナ100bは、第2アンテナ110b、第2LNA120b、第2RF増幅器130b、第2局部発振器140b、第2混合器150b、第2IF増幅器160bを含む。第3チューナ100cは、第3アンテナ110c、第3LNA120c、第3RF増幅器130c、第3局部発振器140c、第3混合器150c、第3IF増幅器160cを含む。第4チューナ100dは、第4アンテナ110d、第4LNA120d、第4RF増幅器130d、第4局部発振器140d、第4混合器150d、第4IF増幅器160dを含む。
【0018】
ここで、第1アンテナ110aから第4アンテナ110dはアンテナ110と総称され、第1LNA120aから第4LNA120dはLNA120と総称され、第1RF増幅器130aから第4RF増幅器130dはRF増幅器130と総称され、第1局部発振器140aから第4局部発振器140dは局部発振器140と総称され、第1混合器150aから第4混合器150dは混合器150と総称され、第1IF増幅器160aから第4IF増幅器160dはIF増幅器160と総称される。
【0019】
第1ベースバンド処理部200aは、第1A/D(Analog to Digital)変換器210a、第1レベル検出器220a、第1利得制御部230a、第1直交復調部240a、第1FFT(Fast Fourier Transform)部250a、第1フレーム抽出部260a、第1CNR算出部270aを含む。第2ベースバンド処理部200bは、第2A/D変換器210b、第2レベル検出器220b、第2利得制御部230b、第2直交復調部240b、第2FFT部250b、第2フレーム抽出部260b、第2CNR算出部270bを含む。第3ベースバンド処理部200cは、第3A/D変換器210c、第3レベル検出器220c、第3利得制御部230c、第3直交復調部240c、第3FFT部250c、第3フレーム抽出部260c、第3CNR算出部270cを含む。第4ベースバンド処理部200dは、第4A/D変換器210d、第4レベル検出器220d、第4利得制御部230d、第4直交復調部240d、第4FFT部250d、第4フレーム抽出部260d、第4CNR算出部270dを含む。
【0020】
第1A/D変換器210aから第4A/D変換器210dはA/D変換器210と総称され、第1レベル検出器220aから第4レベル検出器220dはレベル検出器220と総称され、第1利得制御部230aから第4利得制御部230dは利得制御部230と総称され、第1直交復調部240aから第4直交復調部240dは直交復調部240と総称され、第1FFT部250aから第4FFT部250dはFFT部250と総称され、第1フレーム抽出部260aから第4フレーム抽出部260dはフレーム抽出部260と総称され、第1CNR算出部270aから第4CNR算出部270dはCNR算出部270と総称される。
【0021】
放送受信装置1000は、テレビジョン放送、例えば地上デジタルテレビジョン放送の放送波を受信するための装置である。ここで、互いに異なった周波数に配置される複数のチャンネルが規定されており、各放送局は、許可されたチャンネルにおいて放送波をブロードキャスト送信する。第1チューナ100aは、第1アンテナ110aを介して、図示しない放送局からの放送波を受信可能である。第1LNA120aは、第1アンテナ110aにおいて受信した放送波(以下、「受信信号」という)を増幅する。ここで、受信信号はRF信号である。第1RF増幅器130aは、第1LNA120aにおいて増幅された受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)を増幅する。第1RF増幅器130aにおける増幅率は、第1利得制御部230aからのRF増幅率制御信号により変化する。
【0022】
第1局部発振器140aは、受信すべきチャンネルの周波数に対応した周波数の局部発振信号を出力する。第1混合器150aは、第1局部発振器140aからの局部発振信号によって、第1RF増幅器130aにおいて増幅された受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)に対してダウンコンバートを実行する。ダウンコンバートの結果、RF信号がIF信号に変換される。第1IF増幅器160aは、第1混合器150aにおいてIF信号に変換された受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)を増幅する。第1IF増幅器160aにおける増幅率は、第1利得制御部230aからのIF増幅率制御信号により変化する。
【0023】
第1A/D変換器210aは、第1IF増幅器160aにおいて増幅された受信信号に対して、アナログ信号からデジタル信号への変換を実行する。第1レベル検出器220aは、第1A/D変換器210aにおいてデジタル信号に変換された受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)のレベルを検出する。第1利得制御部230aは、第1レベル検出器220aにおいて検出したレベルをもとに、第1A/D変換器210aからの受信信号のレベルが目標値に近づくように、第1LNA120aの増幅率と第1IF増幅器160aの増幅率とを制御する。第1利得制御部230aは、第1LNA120aの増幅率をRF増幅率制御信号として第1RF増幅器130aに出力し、第1IF増幅器160aの増幅率をIF増幅率制御信号として第1IF増幅器160aに出力する。
【0024】
第1直交復調部240aは、第1A/D変換器210aからの受信信号に対して直交復調を実行することによって、IF信号をベースバンド信号に変換する。ベースバンド信号の受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)は、I成分とQ成分とを有する。第1FFT部250aは、第1直交復調部240aからの受信信号に対してFFTを実行することによって、時間領域の信号を周波数領域の信号に変換する。第1FFT部250aは、周波数領域の信号である受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)を第1フレーム抽出部260a、第1CNR算出部270a、第1合成部300a、第2合成部300bに出力可能である。
【0025】
第1フレーム抽出部260aは、第1FFT部250aからの受信信号からTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)信号のうちのフレーム同期信号を抽出する。フレーム同期信号の抽出に成功した場合がフレーム同期が確立したことに相当し、フレーム同期信号の抽出に失敗した場合がフレーム同期が確立しなかったことに相当する。第1CNR算出部270aは、例えば、第1FFT部250aからの受信信号から、サブキャリアの電力密度と、サブキャリアのない領域での雑音電力密度の比をCNRとして算出する。このCNRは、第1チューナ100aあるいは第1ベースバンド処理部200aにおける単独CNRであるといえる。CNRの算出方法については、公知の手法を用いて適宜算出されてよい。
【0026】
第2チューナ100bから第4チューナ100dは、第1チューナ100aと同様の処理を実行し、第2ベースバンド処理部200bから第4ベースバンド処理部200dは、第1ベースバンド処理部200aと同様の処理を実行する。そのため、n個のチューナ100は、それぞれが異なるアンテナ110を介して、放送局からの放送波を受信可能であるといえる。
【0027】
第1合成部300aは、第1ベースバンド処理部200aから第4ベースバンド処理部200dに接続される。第1合成部300aは、制御部400からの指示に応じて、第1ベースバンド処理部200aから第4ベースバンド処理部200dのうちの2つを選択し、選択した2つのベースバンド処理部200からの受信信号を合成する。その際、選択したベースバンド処理部200における単独CNRによる重みづけがなされる。ここでは、第1ベースバンド処理部200aと第2ベースバンド処理部200bが選択されたされた場合を想定する。第1合成部300aは、第1ベースバンド処理部200aにおける単独CNRによって、第1ベースバンド処理部200aからの受信信号を重みづけ、第2ベースバンド処理部200bにおける単独CNRによって、第2ベースバンド処理部200bからの受信信号を重みづける。第1合成部300aは、重みづけたこれらの受信信号を合成する。制御部400からの指示に応じて、第1ベースバンド処理部200aから第4ベースバンド処理部200dが指示されてもよい。
【0028】
第1デ・マッピング部310aは、第1合成部300aにおいて合成された受信信号(以下、これもまた「受信信号」という)から、放送波に含まれたデータを判定する。第1MER算出部320aは、第1デ・マッピング部310aにおけるデ・マッピングの結果から、MERを算出する。第1合成CNR算出部330aは、第1MER算出部320aにおいて算出されたMERを等価のCNRに変換する。例えば、第1合成CNR算出部330aは、MERとCNRの変換テーブルを予め保持しており、当該変換テーブルを参照することによって、MERからCNRを算出する。このCNRが、ダイバーシチ受信した場合のCNRである合成CNRに相当する。第1復号部340aは、第1デ・マッピング部310aにおけるデ・マッピングの結果を復号する。これは、第1合成部300aにおいて合成した受信信号を復号することに相当する。その際、誤り訂正処理がなされてもよい。第1出力部350aは、第1復号部340aにおいて復号されたデータをTS信号あるいは放送局情報として出力する。
【0029】
第2合成部300bから第2出力部350bは、第1合成部300aから第1出力部350aと同様の処理を実行する。本実施例においては第1合成部300aから第1出力部350aが省略されてもよいので、ここではこれらの説明を省略する。
【0030】
制御部400は、放送受信装置1000の動作を制御する。例えば、制御部400は、4つのチューナ100、4つのベースバンド処理部200、合成部300、復号部340等を制御する。この制御のために、制御部400は、チューナ100から出力部350のうちの任意の構成要素に接続される。図2は、放送受信装置1000における処理手順を示すフローチャートである。これは、1つのチャンネルに対する処理を示す。制御部400は、チューナ100、ベースバンド処理部200に対して、放送波の有無を判定するための第1処理を実行させる(S10)。第1処理により放送波ありと判定した場合(S12のY)、制御部400は、チューナ100、ベースバンド処理部200、合成部300、デ・マッピング部310、MER算出部320、合成CNR算出部330に合成CNRを算出するための第2処理を実行させる(S14)。制御部400は、第2処理において合成CNRを算出した後、チューナ100、ベースバンド処理部200、合成部300、デ・マッピング部310、復号部340、出力部350に放送局情報を取得するための第3処理を実行させる(S16)。第1処理により放送波なしと判定した場合(S12のN)、ステップ14、ステップ16はスキップされて、1つのチャンネルに対する処理は終了される。図1に戻る。
【0031】
以下では、制御部400における処理を(1)第1処理、(2)第2処理、(3)第3処理の順に説明する。
(1)第1処理
制御部400は、4つのチューナ100のうちの2つのチューナ100を選択して、第1処理を実行させる。2つのチューナ100を選択するために、制御部400は、(A)パターン1-1から(F)パターン1-6のいずれかのうちの1つを実行する。
【0032】
(A)パターン1-1
パターン1-1は、第1処理を最初に実行するとき、つまり放送局のリストアップがなされていない状況下において実行される。パターン1-1において、制御部400は、4つのチューナ100のうち、予め定めた2つのチューナ100に、処理対象となるチャンネル(以下、「第1のチャンネル」という)を設定する。例えば、制御部400は、第1チューナ100aと第2チューナ100bとに、第1のチャンネルとしてCH13を設定する。第1チューナ100aと第1ベースバンド処理部200aと、第2チューナ100bと第2ベースバンド処理部200bは、前述の処理を実行する。
【0033】
制御部400は、第1フレーム抽出部260aおよび第2フレーム抽出部260bから、フレーム同期が確立したか否かに関する結果を受けつける。制御部400は、第1フレーム抽出部260aと第2フレーム抽出部260bのうちの少なくとも1つにおいて同期が確立した場合に、第1のチャンネルの放送波ありと判定する。これに続いて、制御部400は、第2処理を実行する。一方、制御部400は、第1フレーム抽出部260aと第2フレーム抽出部260bのいずれにおいても同期が確立しなかった場合に、第1のチャンネルの放送波なしと判定する。また、制御部400は、第3チューナ100cと第4チューナ100dが未使用であるので、ステータスが「要再確認」であると判定する。要再確認は、1回目の第1処理において放送波なしと判定されたことによって、再度、第1処理を行う必要があることを示す。
【0034】
制御部400は、このような処理の結果を記憶部500に記憶する。図3は、記憶部500に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。このテーブルは、過去の処理の履歴を示す。図3は、CH13からCH18までに1回目の第1処理を実行し、CH19には1回目の第1処理を未実行である時点での処理履歴を示すテーブルの例である。「ステータス」には、未確認、要再確認、有無確定、確認済みのいずれかが示される。未確認は、1回目の第1処理を未実行であることを示す。また、要再確認については前述の通りであり、有無確定および確認済みについては後述する。「放送波有無判定結果」には、「あり」あるいは「なし」が示される。ありは放送波ありと判定された場合、つまりフレーム同期が確立したことを示し、なしは放送波なしと判定された場合を示す。「第1チューナ」から「第4チューナ」には、使用あるいは未使用が示される。使用は当該チューナ100を使用した場合を示し、未使用は当該チューナ100を使用していない場合を示す。パターン1-1が終了した時点においては、「第1チューナ」欄と「第2チューナ」欄とが「使用(1)」と示され、「第3チューナ」欄と「第4チューナ」欄とが「未使用」と示される。ここで(1)は、1回目の第1処理において使用されたチューナであることを示す。他の項目については後述する。図1に戻る。
【0035】
(B)パターン1-2
パターン1-2は、4つのチューナ100を使用可能であり、かつステータスが「要再確認」であるチャンネルにおける放送波の有無を再確認するために実行される。ステータスが「要再確認」であるチャンネルでは、1回目の第1処理がなされているので、パターン1-2は、2回目の第1処理を実行する場合に相当する。制御部400は、既に実行した1回目の第1処理において放送波なしと判定した場合に使用した2つのチューナ100の組合せの使用回数を組合せ毎に導出する。図3の場合、制御部400は、ステータスが「要再確認」であるチャンネルとして、CH14、CH15、CH17を対象にする。ここで、CH14とCH17に対して第3チューナ100cと第4チューナ100dが使用され、CH15に対して第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用されている。その結果、第3チューナ100cと第4チューナ100dの使用回数は「2」となり、第1チューナ100aと第2チューナ100bの使用回数は「1」となる。
【0036】
また、制御部400は、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナ100以外の2つのチューナ100を、第1処理において使用するために選択する。前述の例の場合、最多の使用回数となる組合せは、第3チューナ100cと第4チューナ100dであるので、制御部400は、第1チューナ100aと第2チューナ100bを選択する。さらに制御部400は、選択された第1チューナ100aと第2チューナ100bによる第1処理が行われていないチャンネルCH14およびCH17から、例えば、CH14を、処理対象となる第1のチャンネルとして抽出する。これに続く処理は、パターン1-1と同様であるので、ここでは説明を省略するが、制御部400が第1のチャンネルの放送波なしと判定した場合、記憶部500に記憶されたテーブルのうち、第1のチャンネルに対するステータスは「確認済み」に更新される。また、制御部400が第1のチャンネルの放送波ありと判定した場合、記憶部500に記憶されたテーブルのうち、第1のチャンネルに対するステータスは「有無確定」に更新される。言い換えると、ステータスが「有無確定」であるとは、「放送波あり」と判定されているが、第3処理が行われていない、過渡期の状態である。また第1のチャンネルに対する第1チューナと第2チューナは「使用(2)」に変更される。ここで(2)は、2回目の第1処理において使用されたチューナであることを示す。
【0037】
(C)パターン1-3
パターン1-3は、4つのチューナ100を使用可能であり、かつステータスが「要再確認」であるチャンネルがなく、1回目の第1処理によって「放送波あり」と判定されたチャンネルがある場合に実行される。これは、1回目の第1処理を実行していないチャンネルを対象にして実行される。制御部400は、1回目の第1処理によって「放送波あり」と判定されたチャンネルにおいて使用した2つのチューナ100の組合せの使用回数を組合せ毎に導出する。図3の場合、制御部400は、「放送波あり」と判定されたチャンネルとして、CH16、CH18を対象にする。ここで、CH16に対して、第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用されている。またCH18は2回目の第1処理によって「放送波あり」と判定されており、そのとき、第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用されている。その結果、第1チューナ100aと第2チューナ100bの使用回数は「2」となる。
【0038】
また、制御部400は、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナ100を、第1処理において使用するために選択する。前述の例の場合、最多の使用回数となる組合せは、第1チューナ100aと第2チューナ100bであるので、制御部400は、第1チューナ100aと第2チューナ100bを選択する。これに続く処理は、パターン1-1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0039】
(D)パターン1-4
パターン1-4は、2つのチューナ100が使用可能であり、かつステータスが「要再確認」であるチャンネルにおける放送波の有無を再確認するために実行される。これは、使用可能な2つのチューナ100以外の2つのチューナが、他のチャンネルに対する第1処理あるいは第3処理において使用されている状況を前提とする。また、ステータスが「要再確認」であるチャンネルでは、1回目の第1処理がなされているので、パターン1-4は、2回目の第1処理を実行する場合に相当する。制御部400は、ステータスが「要再確認」であるチャンネルのうち、使用可能な2つのチューナ100以外の2つのチューナ100を1回目の第1処理において使用したチャンネルを、第1のチャンネルとして抽出する。図3の場合、制御部400は、ステータスが「要再確認」であるチャンネルとして、CH14、CH15、CH17を対象にする。ここで、第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用可能である場合、制御部400は、第3チューナ100cと第4チューナ100dを1回目の第1処理で使用したCH14とCH17のうち、例えばCH14を第1のチャンネルとして抽出する。
【0040】
これに続く処理は、パターン1-1と同様であるので、ここでは説明を省略するが、制御部400が第1のチャンネルの放送波なしと判定した場合、記憶部500に記憶されたテーブルのうち、第1のチャンネルに対するステータスは「有無確定」に更新される。
【0041】
(E)パターン1-5
パターン1-5は、2つのチューナ100、例えば第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用可能であるが、この2つのチューナ100は、ステータスが「要再確認」であるチャンネルに対する2回目の第1処理において使用すべき2つのチューナ100ではない場合に実行される。そのため、パターン1-5は、1回目の第1処理を未実行のチャンネル、例えば図3で示すCH19を対象にして実行される。制御部400は、使用可能な2つのチューナ100を使用する。
【0042】
(F)パターン1-6
パターン1-6は、パターン1-5において、1回目の第1処理を未実行のチャンネルがない場合に実行される。この場合、第1処理に使用すべきチューナ100がないので、制御部400は、待機状態に移行する。
【0043】
(2)第2処理
制御部400は、第1処理において放送波ありと判定した第1のチャンネルを4つのチューナ100に設定する。また、制御部400は、4つのベースバンド処理部200から出力される受信信号を第1合成部300aに合成させるとともに、第1合成部300aにおいて合成した受信信号の合成CNRを第1合成CNR算出部330aに算出させる。さらに、制御部400は、第1CNR算出部270aから第4CNR算出部270dのそれぞれに単独CNRを算出させる。制御部400は、算出した合成CNR、単独CNRを記憶部500のテーブルに記憶する。図3において、第1処理において放送波ありと判定されたCH16に対する合成CNRと、第1チューナ単独CNRから第4チューナ単独CNRが示される。ここで、第1チューナ単独CNRから第4チューナ単独CNRは、第1CNR算出部270aにおいて算出された単独CNRから、第4CNR算出部270dにおいて算出された単独CNRに相当する。図1に戻る。
【0044】
(3)第3処理
制御部400は、第3処理として、4つのチューナ100のそれぞれにおける単独CNRをもとに選択した2つのチューナ100に第1のチャンネルを設定する。また、制御部400は、2つのチューナ100から出力される受信信号を第1合成部300aに合成させるとともに、第1復号部340aに復号を実行させる。2つのチューナ100を選択するために、制御部400は、(a)パターン3-1あるいは(e)パターン3-5を実行する。また、(b)パターン3-2から(d)パターン3-4は、(a)パターン3-1あるいは(e)パターン3-5に組み合わせて実行される。
【0045】
(a)パターン3-1
パターン3-1は、第1のチャンネルに対して第3処理を実行するが、1回目の第1処理によってステータスが「要再確認」と判定された他のチャンネルがある場合に、他のチャンネルにおける放送波の有無の再確認を優先させるために実行される。このような状況において、他のチャンネルにおける放送波の有無の再確認に使用すべき2つのチューナ100以外の2つのチューナ100(以下、「使用候補のチューナ100」という)を第3処理に使用することが好ましい。しかしながら、使用候補のチューナ100を使用した第3処理における復号が失敗する場合、使用候補のチューナ100を第3処理に使用することは望ましくない。そのため、制御部400は、使用候補のチューナ100を第3処理に使用可能であるか否かをまず判定する。
【0046】
具体的に説明すると、制御部400は、ステータスが要再確認である他のチャンネルが存在する場合、1回目の第1処理において放送波なしと判定した場合に使用した2つのチューナ100の組合せの使用回数を組合せ毎に導出する。図3の場合、制御部400は、ステータスが「要再確認」であるチャンネルとして、CH14、CH15、CH17を対象にする。ここで、CH14とCH17に対して第3チューナ100cと第4チューナ100dが使用され、CH15に対して第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用されている。その結果、第3チューナ100cと第4チューナ100dの使用回数は「2」となり、第1チューナ100aと第2チューナ100bの使用回数は「1」となる。
【0047】
また、制御部400は、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナ100を特定する。前述の例の場合、第3チューナ100cと第4チューナ100dの組合せの使用回数は「2」であり最多であるので、第3チューナ100cと第4チューナ100dが選択される。CH14とCH17に対して放送波の有無を再確認させる場合、第1チューナ100aと第2チューナ100bを使用すべきであるので、使用候補のチューナ100は、第3チューナ100cと第4チューナ100dに相当する。制御部400は、特定した2つのチューナ100の単独CNRの合計値を算出する。前述の例の場合、第3チューナ100cの単独CNRと第4チューナ100dの単独CNRの合計値が算出される。合計値の算出には、例えば、各単独CNRの真値の加算が使用される。制御部400は、合計値が第1しきい値以上であれば、当該2つのチューナ100を第3処理に使用することを決定する。第1しきい値は、第1復号部340aにおいて復号可能な最低CNRにマージン、例えば3dBを加算することによって定められる値である。これに続いて、制御部400は、使用を決定した2つのチューナ100のそれぞれに接続されたベースバンド処理部200から出力される受信信号を第1合成部300aに合成させる。また、制御部400は、第1復号部340aに復号を実行させることによって、第1出力部350aから出力される放送局情報を取得する。さらに、制御部400は、放送局情報を取得した場合、記憶部500に記憶されたテーブルのうち、第1のチャンネルに対するステータスを「確認済み」に、放送波有無判定結果を「あり」に、それぞれ更新する。
【0048】
(b)パターン3-2
パターン3-2は、パターン3-1において特定した2つのチューナ100の単独CNRの合計値が第1しきい値より小さい場合に実行される。制御部400は、合計値が第1しきい値より小さい場合、次に多い使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナ100を改めて特定する。前述の例の場合、第1チューナ100aと第2チューナ100bが選択される。これは、CH14とCH17に対して放送波の有無を再確認させる代わりに、CH15に対して放送波の有無を再確認させることに相当する。制御部400は、改めて特定した2つのチューナ100の単独CNRの合計値を算出する。前述の例の場合、第1チューナ100aの単独CNRと第2チューナ100bの単独CNRの合計値が算出される。制御部400は、合計値が第1しきい値以上であれば、当該2つのチューナ100を第3処理に使用することを決定する。これに続く処理はパターン3-1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0049】
(c)パターン3-3
パターン3-3は、パターン3-2において特定した2つのチューナ100の単独CNRの合計値が第1しきい値より小さい場合に実行される。これは、第3処理における復号を実行するために十分な大きさの合計値となる組合せがない場合であり、このような状況において、ステータスが「要再確認」である他のチャンネルにおける放送波の有無の再確認は優先されない。
【0050】
制御部400は、4つのチューナ100における2つのチューナ100の複数種類の組合せのそれぞれに対して、組合せに含まれる2つのチューナ100の単独CNRの合計値を算出する。複数種類の組合せは、第1チューナ100aと第2チューナ100bとの組合せ、第1チューナ100aと第3チューナ100cとの組合せ、第1チューナ100aと第4チューナ100dとの組合せ、第2チューナ100bと第3チューナ100cとの組合せ、第2チューナ100bと第4チューナ100dとの組合せ、第3チューナ100cと第4チューナ100dとの組合せを含む。制御部400は、各組合せの合計値と第2しきい値とを比較し、第2しきい値以上となる合計値を選択する。第2しきい値は、第1しきい値と同様に、第1復号部340aにおいて復号可能な最低CNRにマージンを加算することによって定められる。第2しきい値は第1しきい値と同じ値であってもよく、異なった値であってもよい。また、制御部400は、選択した合計値のうちの最小の合計値を選択する。さらに、制御部400は、選択した最小の合計値に対応する組合せに含まれる2つのチューナ100を第3処理に使用することを決定する。これに続く処理はパターン3-1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0051】
(d)パターン3-4
パターン3-4は、パターン3-3において、第2しきい値以上となる合計値がない場合に実行される。制御部400は、第2しきい値以上となる合計値が存在しない場合、最大の合計値に対応する組合せに含まれる2つのチューナ100を第3処理に使用することを決定する。これに続く処理はパターン3-1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0052】
(e)パターン3-5
パターン3-5は、1回目の第1処理によってステータスが「要再確認」と判定された他のチャンネルがない場合に実行される。つまり、パターン3-5は、パターン3-1を実行するための条件が満たされない場合に実行される。ステータスが「要再確認」と判定された他のチャンネルがない場合、他のチャンネルに対してなされる第1処理は1回目の第1処理となる。1回目の第1処理ではどの組合せを使用してもよいが、既に「放送波あり」と判定されたチャンネルで使用した組合せを使用すれば、他のチャンネルにおいても「放送波あり」と判定される可能性が向上する。そのため、既に「放送波あり」と判定されたチャンネルで使用した2つのチューナ100以外の2つのチューナ100(以下、「使用候補のチューナ100」という)を第3処理に使用することが好ましい。しかしながら、使用候補のチューナ100を使用した第3処理における復号が失敗する場合、使用候補のチューナ100を第3処理に使用することは望ましくない。そのため、制御部400は、使用候補のチューナ100を第3処理に使用可能であるか否かをまず判定する。
【0053】
具体的に説明すると、制御部400は、既に「放送波あり」と判定されたチャンネルで使用した2つのチューナ100の組合せの使用回数を組合せ毎に導出する。図3の場合、制御部400は、「放送波あり」と判定されたチャンネルとして、CH16、CH18を対象にする。ここで、CH16に対して、第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用されている。また、CH18は2回目の第1処理によって「放送波あり」と判断されており、そのとき、第1チューナ100aと第2チューナ100bが使用されている。その結果、第1チューナ100aと第2チューナ100bの使用回数は「2」となる。
【0054】
また、制御部400は、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナ100以外の2つのチューナ100を特定する。前述の例の場合、第1チューナ100aと第2チューナ100bの使用回数は「2」であり最多であるので、第1チューナ100aと第2チューナ100b以外の組合せとなる、第3チューナ100cと第4チューナ100dが選択される。第3チューナ100cと第4チューナ100dは使用候補のチューナ100に相当する。制御部400は、特定した2つのチューナ100の単独CNRの合計値を算出する。前述の例の場合、第3チューナ100cの単独CNRと第4チューナ100dの単独CNRの合計値が算出される。制御部400は、合計値が第1しきい値以上であれば、当該2つのチューナ100を第3処理に使用することを決定する。これに続く処理はパターン3-1と同様であるので、ここでは説明を省略する。ここで、合計値が第1しきい値より小さい場合、制御部400は、(b)パターン3-2、(c)パターン3-3、(d)パターン3-4と同様の処理を実行する。
【0055】
以上の第3処理を実行した後、制御部400は、複数のチャンネルのそれぞれに対して、合成CNRと放送局情報を取得すると、それらをもとに放送局をリストアップする。放送局のリストアップには公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、第1のチャンネルに対して、第1処理あるいは第3処理を実行している間に、制御部400は、未使用の2つのチューナ100を使用して、第1のチャンネルとは異なった他のチャンネル(以下、「第2のチャンネル」という)に対する第1処理を実行する。さらに、制御部400は、第1のチャンネルに対する処理が終了し、かつ第2のチャンネルに対する第1処理において放送波ありと判定した場合に、第2のチャンネルをこれまでの第1のチャンネルとして、これに対する第2処理と第3処理とを順に実行させる。
【0056】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0057】
以上の構成による放送受信装置1000の動作を説明する。図4は、放送受信装置1000における処理手順を示すフローチャートである。制御部400は、指定の2つのチューナ100で要再確認のCHを検索する(S50)。該当CHがあれば(S52のY)、制御部400は要再確認のCHをサーチさせる(S54)。該当CHがなければ(S52のN)、制御部400は未確認のCHをサーチさせる(S56)。放送波があれば(S58のY)、制御部400は、「放送波あり」で記憶部500に履歴を記録する(S60)。制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルにおいて、当該CHのステータスを「有無確定」に更新する(S61)。
【0058】
別系統、つまりステップ50での2つのチューナ100以外のチューナ100の処理が第1処理であれば(S62のY)、制御部400は、別系統の第1処理が中止可になるまで待ち(S63)、4つのチューナ100で単独CNRを測定し、4つのチューナの合成CNRを算出する(S64)。選択された2つのチューナ100で復調可能である場合(S66のY)、制御部400は、選択された2つのチューナ100で放送局情報を取得する(S68)。2つのチューナ100で復調可能でない場合(S66のN)、ステップ68はスキップされる。制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルにおいて、当該CHのステータスを「確認済み」に更新する(S70)。別系統、つまりステップ50での2つのチューナ100以外のチューナ100の処理中止が可能でなければ(S62のN)、処理は終了される。
【0059】
放送波がなければ(S58のN)、制御部400は、「放送波なし」で記憶部500に履歴を記録する(S72)。当該CHのステータスが「未確認」であれば(S74のY)、制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルにおいて、当該CHのステータスを「要再確認」に更新する(S76)。当該CHのステータスが「未確認」でなければ(S74のN)、制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルにおいて、当該CHのステータスを「有無確定」に更新する(S78)。
【0060】
図5は、放送受信装置1000における第1処理の手順を示すフローチャートである。4つのチューナ100が空いている場合(S100のY)、制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルを参照して、ステータスが「要再確認」のCHがあるかを確認する(S102)。該当CHがある場合(S104のY)、制御部400は、「要再確認」のCHの中で、使用したチューナ100の組合せのうちの最多の組合せを選択する(S106)。制御部400は、選択した組合せに含まれた2つのチューナ100以外の2つのチューナ100の使用を決定する(S108)。
【0061】
該当CHがない場合(S104のN)、制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルを参照して、「放送波あり」のCHがあるかを確認する(S110)。該当CHがある場合(S112のY)、制御部400は、「放送波あり」のCHの中で、放送波ありと判断したときに使用したチューナ100の組合せのうちの最多の組合せに含まれた2つのチューナ100の使用を決定する(S114)。該当CHがない場合(S112のN)、制御部400は、第1チューナ100aと第2チューナ100bの使用を決定する(S116)。制御部400は、未確認のCHをサーチさせる(S118)。
【0062】
4つのチューナ100が空いていない場合(S100のN)、制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルを参照して、ステータスが「要再確認」のCHの中で、使用中の2つのチューナ100を使用したCHがあるかを確認する(S120)。該当CHがある場合(S122のY)、制御部400は、該当CHに対して、使用中の2つのチューナ100以外の2つのチューナ100の使用を決定する(S126)。該当CHがない場合(S122のN)、未確認のCHがあれば(S124のY)、制御部400は、該当CHに対して、使用中の2つのチューナ100以外の2つのチューナ100の使用を決定する(S126)。未確認のCHがなければ(S124のN)、制御部400は失敗とする(S128)。
【0063】
ここで、ステップ100、ステップ102、ステップ104、ステップ110、ステップ112、ステップ116、ステップ118を遷移するルートは、(A)パターン1-1である。ステップ100、ステップ102、ステップ104、ステップ106、ステップ108を遷移するルートは、(B)パターン1-2である。ステップ100、ステップ102、ステップ104、ステップ110、ステップ112、ステップ114、ステップ118を遷移するルートは、(C)パターン1-3である。ステップ100、ステップ120、ステップ122、ステップ126を遷移するルートは、(D)パターン1-4である。ステップ100、ステップ120、ステップ122、ステップ124、ステップ126を遷移するルートは、(E)パターン1-5である。ステップ100、ステップ120、ステップ122、ステップ124、ステップ128を遷移するルートは、(F)パターン1-6である。
【0064】
図6は、放送受信装置1000における第3処理の手順を示すフローチャートである。制御部400は、6組の合計値を算出する(S200)。制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルのうち、ステータスが「要再確認」のCHをリストアップする(S202)。制御部400は、使用したチューナ100の組合せのうちの最多の組合せを選択し(S204)、選択した組合せに含まれた2つのチューナ100に対する合計値を選択する(S206)。合計値が第1しきい値以上であれば(S208のY)、制御部400は、合計値に対応した2つのチューナ100の使用を決定する(S222)。
【0065】
合計値が第1しきい値以上でなければ(S208のN)、制御部400は、選択した2つのチューナ100をリストから削除する(S210)。リストが空でなければ(S212のN)、ステップ204に戻る。リストが空であれば(S212のY)、制御部400は、6組の合計値のうち、第2しきい値以上となる2つのチューナの組合せがあるかを確認する(S214)。該当する組合せがある場合(S216のY)、制御部400は、第2しきい値以上となる組合せの中で、最小の合計値となる2つのチューナの組合せを決定する(S218)。該当する組合せがない場合(S216のN)、制御部400は、最大の合計値となる2つのチューナの組合せを決定する(S220)。
【0066】
ステップ200、ステップ202、ステップ204、ステップ206、ステップ208、ステップ222を遷移するルートは、(a)パターン3-1である。ステップ208、ステップ210、ステップ212、ステップ204、ステップ206、ステップ208を遷移するルートは、(b)パターン3-2である。ステップ212、ステップ214、ステップ216、ステップ218を遷移するルートは、(c)パターン3-3である。ステップ212、ステップ214、ステップ216、ステップ220を遷移するルートは、(d)パターン3-4である。
【0067】
図7は、放送受信装置1000における第3処理の別の手順を示すフローチャートである。制御部400は、6組の合計値を算出する(S300)。制御部400は、記憶部500に記憶されたテーブルのうち、「放送波あり」のCHをリストアップする(S302)。制御部400は、使用したチューナ100の組合せのうちの最多の組合せを選択し(S304)、選択した組合せに含まれた2つのチューナ100以外の2つのチューナ100に対する合計値を選択する(S306)。合計値が第1しきい値以上であれば(S308のY)、制御部400は、合計値に対応した2つのチューナ100の使用を決定する(S322)。
【0068】
合計値が第1しきい値以上でなければ(S308のN)、制御部400は、選択した2つのチューナ100をリストから削除する(S310)。リストが空でなければ(S312のN)、ステップ304に戻る。リストが空であれば(S312のY)、制御部400は、6組の合計値のうち、第2しきい値以上となる2つのチューナの組合せがあるかを確認する(S314)。該当する組合せがある場合(S316のY)、制御部400は、第2しきい値以上となる組合せの中で、最小の合計値となる2つのチューナの組合せを決定する(S318)。該当する組合せがない場合(S316のN)、制御部400は、最大の合計値となる2つのチューナの組合せを決定する(S320)。
【0069】
ステップ300、ステップ302、ステップ304、ステップ306、ステップ308、ステップ322を遷移するルートは、(e)パターン3-5である。ステップ308、ステップ310、ステップ312、ステップ304、ステップ306、ステップ308を遷移するルートは、(b)パターン3-2である。ステップ312、ステップ314、ステップ316、ステップ318を遷移するルートは、(c)パターン3-3である。ステップ312、ステップ314、ステップ316、ステップ320を遷移するルートは、(d)パターン3-4である。
【0070】
本実施例によれば、第1のチャンネルに対して、第1処理あるいは第3処理を実行している間に、未使用の2つのチューナを使用して、第1のチャンネルとは異なった第2のチャンネルに対する第1処理を実行するので、処理期間を短縮できる。また、第1処理において放送波ありと判定した場合に、4つのチューナを使用して合成CNRを算出するので、放送局のリストアップの精度の低下を抑制できる。また、放送波なしと判定した場合に使用した2つのチューナの組合せの使用回数を組合せ毎に導出し、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナ以外の2つのチューナを第1処理において使用するので、再確認を効率よく実行できる。また、放送波なしと判定した場合に、使用した2つのチューナ以外の2つのチューナに第1のチャンネルを設定することによって次の第1処理を実行させるので、全てのチューナにおける放送波の有無を判定できる。また、次の第1処理において放送波ありと判定した場合に、第2処理と第3処理とを実行させるので、4つのチューナを使用せずに第1処理を実行しても、放送局情報を取得できる。
【0071】
また、1回目の第1処理において放送波なしと判定した場合に使用した2つのチューナの組合せの使用回数を組合せ毎に導出し、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナの単独CNRの合計値が第1しきい値以上であれば、2つのチューナを選択するので、第3処理において放送局情報を取得する可能性を向上できる。また、1回目の第1処理において放送波なしと判定した場合に使用した2つのチューナの組合せの使用回数を組合せ毎に導出し、最多の使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナの単独CNRの合計値が第1しきい値以上であれば、2つのチューナを選択するので、1回目の第1処理において放送波なしと判定した他のチャンネルに対して2回目の第1処理を実行させることできる。
【0072】
また、合計値が第1しきい値より小さい場合、次に多い使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナの単独CNRの合計値が第1しきい値以上であれば、当該2つのチューナを選択するので、第3処理において放送局情報を取得する可能性を向上できる。また、合計値が第1しきい値より小さい場合、次に多い使用回数となる組合せに含まれる2つのチューナの単独CNRの合計値が第1しきい値以上であれば、当該2つのチューナを選択するので、1回目の第1処理において放送波なしと判定した他のチャンネルに対して2回目の第1処理を実行させることできる。また、第1のチャンネルに対する処理が終了し、かつ第2のチャンネルに対して放送波ありと判定した場合に、第2のチャンネルに対する第2処理と第3処理とを順に実行させるので、処理期間を短縮できる。
【0073】
また、各組合せに含まれる2つのチューナの単独CNRの合計値を算出してから、第2しきい値以上となる合計値のうちの最小の合計値を選択するとともに、選択した合計値に対応する組合せを第3処理に使用するので、第3処理において放送局情報を取得する可能性を向上できる。また、各組合せに含まれる2つのチューナの単独CNRの合計値を算出してから、第2しきい値以上となる合計値のうちの最小の合計値を選択するとともに、選択した合計値に対応する組合せを第3処理に使用するので、他のチャンネルに対して第1処理を実行させることできる。また、第2しきい値以上となる合計値が存在しない場合、最大の合計値に対応する組合せに含まれる2つのチューナを第3処理に使用するので、第3処理を実行できる。
【0074】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0075】
本実施例における制御部400は、第3処理として、(a)パターン3-1あるいは(e)パターン3-5を実行してから、(b)パターン3-2から(d)パターン3-4の少なくとも1つを実行する。しかしながらこれに限らず例えば、制御部400は、(c)パターン3-3あるいは(d)パターン3-4だけを実行してもよい。本変形例によれば、第3処理における復号を可能にしながら、単独CNRが大きいチューナ100を第2のチャンネルに対する第1処理に使用できる。
【符号の説明】
【0076】
100 チューナ、 110 アンテナ、 120 LNA、 130 RF増幅器、 140 局部発振器、 150 混合器、 160 IF増幅器、 200 ベースバンド処理部、 210 A/D変換器、 220 レベル検出器、 230 利得制御部、 240 直交復調部、 250 FFT部、 260 フレーム抽出部、 270 CNR算出部、 300 合成部、 310 デ・マッピング部、 320 MER算出部、 330 合成CNR算出部、 340 復号部、 350 出力部、 400 制御部、 500 記憶部、 1000 放送受信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7