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特許7283289重筒の取付構造及びこれを利用した筆記具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】重筒の取付構造及びこれを利用した筆記具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/20 20060101AFI20230523BHJP
   B43K 3/00 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
F16B7/20 A
B43K3/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019136886
(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公開番号】P2020070924
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2018201432
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉村 典久
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-069804(JP,A)
【文献】特開2008-93843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/20
B43K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒内に、内筒の少なくとも一部を挿入状態で配置する重筒の取付構造において、前記外筒と前記内筒とを相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた際に、両筒が非圧入状態から圧入状態となる、回転圧入部を形成すると共に、該回転圧入部の横断面における、外筒内壁の最大内接円経Aより内筒外壁の最大外接円経Bを大径とし、前記回転圧入部に接触面積10mm 以上40mm 以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部がロックウェル硬さ80以上120以下とした重筒の取付構造。
【請求項2】
前記外筒内壁の最大内接円径Aと前記内筒外壁の最大外接円径Bとの比、A:Bを、1:1.010以上1:1.050以下とした請求項1に記載の重筒の取付構造。
【請求項3】
前記内筒の外壁に係止突起を形成するとともに、前記外筒の内壁に、外筒の開口端に開口し、該係止突起に対する案内溝と、該案内溝と連続し、かつ、案内溝の外筒開口端の開口部と周方向に異なる位置に、前記係止突起が係止される係止孔を形成した請求項1又は請求項2のいずれかに記載の重筒の取付構造。
【請求項4】
筆記部を有する筆記芯を前記内筒に配備すると共に、前記内筒に筆記芯の段部と当接する後退規制部を形成した請求項3に記載の重筒の取付構造を利用した筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重筒の取付構造及びこれを利用した筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の筒状部材の一部を他方の筒状部材に挿入する、いわゆる重筒の取付構造が開示されている。
例えば特許文献1(特開2003-63192号公報)には、内筒の外面に設けた雄螺子と、外筒の内面に設けた雌螺子との、螺子螺合による重筒の取付構造の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-63192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明は、重筒を取り付ける際に、螺子螺合が完了するまで重筒を何周も回転させなければならず手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、簡単に重筒を取り付けることができる構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、外筒内に、内筒の少なくとも一部を挿入状態で配置する重筒の取付構造において、前記外筒と前記内筒とを相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた際に、両筒が非圧入状態から圧入状態となる、回転圧入部を形成すると共に、該回転圧入部の横断面における、外筒内壁の最大内接円経Aより内筒外壁の最大外接円経Bを大径とした重筒の取付構造を第1の要旨とし、前記外筒内壁の最大内接円径Aと前記内筒外壁の最大外接円径Bとの比、A:Bを、1:1.010以上1:1.050以下としたことを第2の要旨とし、前記回転圧入部に接触面積10mm以上40mm以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部がロックウェル硬さ80以上120以下であることを第3の要旨とし、前記内筒の外壁に係止突起を形成するとともに、前記外筒の内壁に、外筒の開口端に開口し、該係止突起に対する案内溝と、該案内溝と連続し、かつ、案内溝の外筒開口端の開口部と周方向に異なる位置に、前記係止突起が係止される係止孔を形成したことを第4の要旨とし、筆記部を有する筆記芯を前記内筒に配備すると共に、前記内筒に筆記芯の段部と当接する後退規制部を形成したことを第5の要旨とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1の要旨においては、外筒内に、内筒の少なくとも一部を挿入状態で配置する重筒の取付構造において、前記外筒と前記内筒とを相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた際に、両筒が非圧入状態から圧入状態となる、回転圧入部を形成すると共に、該回転圧入部の横断面における、外筒内壁の最大内接円経Aより内筒外壁の最大外接円経Bを大径としたので、内筒を外筒へ非圧入状態で挿入することができ、内筒と外筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させると圧入状態にすることができるため、内筒を外筒に簡単に取り付けることができる。
第2の要旨においては、前記外筒内壁の最大内接円径Aと前記内筒外壁の最大外接円径Bとの比、A:Bを、1:1.010以上1:1.050以下とすると、外筒内壁の最大内接円径Aに対する内筒外壁の最大外接円径Bの大きさのバランスが良く、良好な圧入状態にすることができ、内筒を外筒により簡単に取り付けることができる。
第3の要旨においては、前記回転圧入部に接触面積10mm以上40mm以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部をロックウェル硬さ80以上120以下とすると、面接触によって回転圧入部における摩擦が増大し、重筒をより外れにくくすることができつつも、回転圧入部における外筒内壁と内筒外壁の過度な食い込みが生じないため、重筒の取り付けと取り外しの繰り返しによって部材が破損しにくくより好ましい。
第4の要旨においては、前記内筒の外壁に係止突起を形成するとともに、前記外筒の内壁に、外筒の開口端に開口し、該係止突起に対する案内溝と、該案内溝と連続し、かつ、案内溝の外筒開口端の開口部と周方向に異なる位置に、前記係止突起が係止される係止孔を形成すると、内筒を外筒に取り付ける際に、内筒の外壁に形成した係止突起が、外筒開口端の開口部から案内溝を通り、開口部と周方向に異なる位置に形成した係止孔に係止することで抜け止めとなり、重筒をより外れにくくすることができる。
第5の要旨においては、筆記部を有する筆記芯を前記内筒に配備すると共に、前記内筒に筆記芯の段部と当接する後退規制部を形成すると、筆記時に、筆記部を被筆記面に接触させた際に筆記芯が後退することが無いため、筆記時の筆記芯のがたつきを防止することができ、筆記しやすい筆記具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】外筒1及び内筒2の外観斜視図
図2】(a)内筒2を外筒1内に挿入状態に配置した外観斜視図、(b)図2(a)の正面図
図3図2のA-A’断面矢視図
図4図3の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた図
図5】外筒4及び内筒5の外観斜視図
図6】(a)内筒5を外筒4内に挿入状態に配置した外観斜視図、(b)図6(a)の正面図
図7図6のB-B’断面矢視図
図8図7の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた図
図9】外筒7及び内筒8の外観斜視図
図10】(a)内筒8を外筒7内に圧入状態に配置した外観斜視図、(b)図10(a)の正面図
図11】外筒10及び内筒11の外観斜視図
図12】内筒11を外筒10内に挿入状態に配置した外観斜視図
図13図12の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた外観斜視図
図14】内筒14を外筒13内に挿入状態に配置した外観斜視図
図15図14の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた外観斜視図
図16】実施例13のボールペン16の外観図
図17図16のC-C’断面矢視図
図18】外筒17の外観斜視図及び内筒18の後方拡大斜視図
図19】ボールペン16を筆記可能な状態とした際の縦断面図
図20図19のD部分拡大模式図
図21】外筒24の外観斜視図及び内筒25の外観側面図
図22】係止突起25bがリブ部24ba(リブ24baa)に係止した図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の重筒の取付構造は、外筒内に、内筒の少なくとも一部を挿入状態で配置可能なものである。挿入状態とは、外筒内で内筒がそれ以上挿入できない状態に限定するものではない。
外筒に内筒を挿入しただけの状態での外筒と内筒は、非圧入状態となっている。非圧入状態とは、外筒内に挿入した内筒の外壁と外筒の内壁とが接触しても非接触でも良いが、挿入状態にした後に何の操作もしなければ、内筒を下に向けた際、内筒が外筒から落下してしまうような状態を指すものである。
【0010】
外筒及び内筒には、前記挿入しただけの状態から、両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた際に、両筒が回転変位前の非圧入状態から圧入状態となる、回転圧入部を形成している。該回転変位に伴う非圧入状態から圧入状態を形成するには、外筒内壁及び内筒外壁の両方に回転圧入部となる部位を形成する必要がある。外筒内壁側を外筒回転圧入部、内筒外壁側を内筒回転圧入部とする。仮に一方の壁面にのみ回転圧入部となる部位を形成すると、他方の壁面はただの筒状部材の曲面が存在するのみであるため、前記回転変位に伴う圧入状態を形成することができないか、挿入状態において非圧入状態を形成することができなくなってしまう。よって、例えば螺子螺合のように、両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させるに伴い内筒の外筒内への挿入操作が行われるようなものや、両筒の横断面形状が真円であり内筒の挿入操作に伴い徐々に両筒が圧入状態となるような重筒の取付構造は、本発明の技術的範囲から除かれるものである。
【0011】
回転圧入部の横断面における、外筒内壁の最大内接円経Aより内筒外壁の最大外接円経Bを大径としている。このようにすることで、両筒の相対的に逆の軸回転方向に回転変位に伴って圧入状態を形成できつつも、外筒内壁においては、外筒内壁の最大内接円が通過しない部分を、内筒外壁においては、内筒外壁の最大外接円が通過しない部分を、それぞれ自由な形状に設計することができ、内筒の少なくとも一部を外筒内に挿入していく過程において、圧入状態が発生しない形状を適宜選択することができる。
【0012】
図1は外筒1及び内筒2の外観斜視図であり、本発明の重筒の一例の模式図である。図2(a)は内筒2を外筒1内に挿入状態に配置した外観斜視図であり、図2(b)は図2(a)の正面図である。構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。
外筒1の内壁に外筒回転圧入部1aを形成しており、内筒2の外壁に形成した内筒回転圧入部2aと合わせて、回転圧入部3を構成する。
図3は、図2のA-A’断面矢視図である。外筒内壁の最大内接円を一点鎖線で、内筒外壁の最大外接円を二点鎖線でそれぞれ図示している。外筒内壁の最大内接円径Aよりも、内筒外壁の最大外接円径Bの方が大径としており、図4に示したように図3の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させると、外筒回転圧入部1aと内筒回転圧入部2aが互いに接触し両筒の圧入状態を形成することとなる。
【0013】
回転圧入部の形状や数は、回転圧入部の横断面における外筒内壁の最大内接円経Aより内筒外壁の最大外接円経Bの方が大径であるという関係を満たしているものであれば特に限定されるものでは無い。例えば、外筒内壁及び内筒外壁に互いの壁面に向かって延びる突起を設けたり、該突起を筒状部材の長手方向に沿って延ばしたいわゆるリブを設けたり、一方の壁面に該リブを、他方の壁面を平面や曲面等としても良い。このとき、前記挿入操作においては圧入状態としないために他方の壁面に凹部等を設け、凹部等以外の部分が他方の回転圧入部となる。さらに、回転圧入部の断面形状も種々選択可能であり、四角形状、台形状、略半円状、三角形状等が例示できる。回転圧入部の表面にいわゆるテーパー、面取り、曲面R等、摺動を助ける部位を形成しておくと、前記回転変位の操作がしやすくなる。
回転圧入部を複数設ける場合の位置は、例えば周方向に等間隔に設けたり、逆に等間隔でなく任意の位置に設けても良い。さらに、一方の回転圧入部を1つ設け、他方の回転圧入部を複数設けても良い。
【0014】
両筒の挿入状態において、外筒回転圧入部と内筒回転圧入部が、周方向により近く配置されると、圧入状態を形成するために必要な前記回転変位量がより小さくなるため、より簡単に重筒を取り付けることができ好ましい。
【0015】
外筒内壁の最大内接円径Aと内筒外壁の最大外接円径Bとの比、A:Bを、1:1.010以上1:1.050以下とすると、外筒内壁の最大内接円径Aに対する内筒外壁の最大外接円径Bの大きさのバランスが良く、良好な圧入状態にすることができ、内筒を外筒により簡単に取り付けることができるため好ましい。
A:Bが1:1.010に満たないと、圧入の程度が強く無いため、不意に内筒が外筒から外れてしまう恐れがある。また、A:Bが1:1.050を超えてしまうと、圧入の程度が強すぎて前記回転変位に伴い回転圧入部が破損したり、前記回転変位の操作ができず重筒を取り付けることができなくなってしまう恐れがある。
【0016】
回転圧入部に接触面積10mm以上40mm以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部のロックウェル硬さを80以上120以下とすると、面接触によって回転圧入部における摩擦が増大し、重筒をより外れにくくすることができつつも、回転圧入部における外筒内壁と内筒外壁の過度な食い込みが生じないため、重筒の取り付けと取り外しの繰り返しによって部材が破損しにくくより好ましい。なお、平面接触部は、回転圧入部同様、外筒平面接触部と内筒平面接触部とからなるものである。なお、ロックウェル硬さの測定方法は、公知の方法が適宜選択可能であり、例えば、JIS―K7202-2に規定された測定方法等が選択可能である。
平面接触部の接触面積が10mm未満であると、外筒回転圧入部と内筒回転圧入部とが点接触に近くなり過ぎるため、互いに食い込み過ぎてしまい、重筒の取り付けと取り外しの繰り返しによって部材が破損しまう恐れがある。平面接触部の接触面積が40mmを超えてしまうと、取り付け時においても摩擦による抵抗が大きくなってしまい、取り付けにくくなってしまう恐れがある。
平面接触部のロックウェル硬度が80未満であると、柔らか過ぎるため圧入状態で外筒平面接触部と内筒平面接触部とが互いに食い込み過ぎてしまい、重筒の取り付けと取り外しの繰り返しによって部材が摩耗してしまい、次第に圧入状態を形成することが困難になってしまう恐れがある。平面接触部のロックウェル硬度が120を超えてしまうと、硬すぎて圧入状態を形成するのに必要な弾性変形が生じにくくなり、重筒が取り付けにくくなってしまったり、部材が破損してしまう恐れがある。
なお平面接触部を設けることは、平面接触部のみで圧入状態が構成されることを意味するものでは無く、回転圧入部における平面接触部以外に接触点を持つことを阻害しない。
【0017】
回転圧入部の他に、内筒の外壁に係止突起を、外筒の内壁に該係止突起に対する案内溝及び係止孔を、それぞれ形成することができる。
【0018】
係止突起に対する案内溝とは、内筒を外筒に対して挿入状態にする際に、内筒が周方向に回転変位し過ぎることが無い程度の幅と深さを備えた溝状の切り欠きである。
【0019】
案内溝の幅は、係止突起の幅に対して、係止突起の通過を許容する程度の幅が設けられていれば良い。
案内溝の幅を係止突起の幅に対して、より狭く設計すると、内筒を外筒に対して挿入状態にする際に、内筒が外筒に対して周方向に回転変位しにくくなるので、よりスムーズな挿入操作が可能になり好ましい。ただし案内溝の幅が狭すぎると、内筒を外筒に挿入する際に係止突起が外筒の開口端に引っかかってしまったり、案内する過程で係止突起が案内溝の側壁と擦れてしまい抵抗を感じたり破損してしまう恐れがあるため、適宜調節が必要である。
一方で、案内溝の幅を係止突起の幅に対して、より広く設計すると、抵抗なく内筒の外筒に対する挿入操作を行うことができ好ましい。
【0020】
案内溝の深さとは、案内溝を構成する側壁の外筒径方向の長さである。
案内溝の深さは、係止突起の出長さに対してより深く、つまり側壁を外筒径方向に長く設計すると、内筒を外筒に対して挿入状態にする際に、係止突起が案内溝内を外れてしまう恐れが無く、よりスムーズな挿入操作が可能になり好ましい。
【0021】
案内溝の形状は、直線状であっても曲路状であっても良く、特に内筒の外筒に対する挿入操作を行う方向に沿って直線状に近い形状であるほど、係止突起を案内溝内でスムーズに案内することができ好ましい。
【0022】
係止孔は、案内溝を通過した係止突起が、両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させるに伴って係止する孔である。よって係止孔を、案内溝と連続し、かつ、案内溝の外筒開口端の開口部と周方向に異なる位置に形成することで、係止突起が係止孔の外筒開口端側の壁に引っ掛かり抜け止めとなるので、重筒をより外れにくくすることができ好ましい。特に、挿入状態の重筒の前記回転圧入部において非圧入状態から圧入状態になる過程で、係止突起が係止孔に係止し始めると、まだ圧入状態になっていない重筒であっても外れにくくなるため、好ましい。
【0023】
係止孔は、外筒内から外部に貫通した孔でも、外筒外壁で閉塞した凹状の孔でも良い。
【0024】
本発明の重筒は、ボールペンやシャープペンシル等の筆記具や、化粧ブラシやアイライナー等の化粧用具等、様々な技術分野で応用可能である。
よって重筒を構成する外筒及び内筒は、必ずしもそれぞれ一部材である必要はなく、その目的に応じてそれぞれ複数の部材で構成しても良い。
同様に、重筒を構成する外筒及び内筒の材料も、公知の様々な材料が適宜選択可能であり、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、エラストマー、またはこれらの樹脂を含む複合材等が例示できる。
外筒及び内筒の成形方法は、使用する材料に応じて、例えば金型を使ったブロー成形や射出成形といった公知の方法が適宜選択可能である。
【0025】
本発明の重筒を筆記具に応用する場合、筆記部を有する筆記芯を内筒に配備すると共に、内筒に筆記芯の段部と当接する後退規制部を形成する筆記時に、筆記部を被筆記面に接触させた際に筆記芯が後退することが無いため、筆記時の筆記芯のがたつきを防止することができ、筆記しやすい筆記具とすることができ好ましい。
詳細には、重筒の回転圧入部及び平面接触部による圧入状態、係止突起及び係止孔による抜け止めの効果により、内筒が外筒から抜ける方向にかかる力に対して動きにくくなっているため、上記効果を得ることができる。
【0026】
筆記芯の段部は、筆記芯の筆記部と反対側の端部や、筆記芯の側壁から突出させた部位を段部としても良い。さらに、筆記芯に直接設けずとも、筆記芯と当接する別部材に設けても良い。
【0027】
後方規制部は、前記段部と当接していることで、筆記時に被筆記面から受ける筆記芯を後退させる力に対して筆記芯が後退しないよう、内筒内壁に形成するものである。
【実施例
【0028】
参考例1>
図5は外筒4及び内筒5の外観斜視図である。外筒4及び内筒5は、それぞれポリカーボネートからなる、内部が中空の筒状の部材であり、射出成形で成形したものである。
外筒4の内壁に外筒回転圧入部4aを形成している。外筒回転圧入部4aは、外筒内壁で周方向に3か所、等間隔に形成した突状の部位である。
内筒5の外壁に内筒回転圧入部5aを形成している。内筒回転圧入部5aは、内筒外壁で周方向に3か所、等間隔に形成した突状の部位であり、外筒回転圧入部4aと合わせて回転圧入部6を構成する。
【0029】
図6(a)は内筒5を外筒4内に挿入状態に配置した外観斜視図であり、図6(b)は図6(a)の正面図である。構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。
内筒5を、外筒4の開口端4bから外筒4内に挿入していくと、外筒4の外筒回転圧入部4aよりわずかに挿入方向前側が、内筒5の前端の外径よりも小さい内径となっており、内筒5の前端面が当接して挿入操作が完了する。挿入状態において外筒回転圧入部4aと、内筒回転圧入部5aは、周方向に互い違いに非接触で配置しており、両筒は非圧入状態である。
【0030】
図7は、図6のB-B’断面矢視図である。外筒内壁の最大内接円を一点鎖線で、内筒外壁の最大外接円を二点鎖線でそれぞれ図示している。外筒内壁の最大内接円径Aよりも、内筒外壁の最大外接円径Bの方が大径としており、図8に示したように図7の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させると、外筒回転圧入部4aと内筒回転圧入部5aが互いに接触し両筒の圧入状態を形成することとなる。先述の通り、挿入状態において外筒回転圧入部4aと、内筒回転圧入部5aは、周方向に互い違いに非接触で配置しているため、圧入状態を形成するために必要な前記回転変位量が少なく簡単に重筒を取り付けることができ好ましい。
【0031】
実施例12、比較例1~7の重筒を、それぞれ参考例1と同様の方法で作成した。
【0032】
【表1】
【0033】
各実施例及び比較例の各数値は表1の通りである。
【0034】
実施例の実施例は、回転圧入部に接触面積10mm以上40mm以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部のロックウェル硬さが80以上120以下となるよう作成した。
代表として実施例の重筒について、図9に外筒7及び内筒8の外観斜視図、図10(a)に内筒8を外筒7内に圧入状態に配置した外観斜視図、図10(b)に図10(a)の正面図を図示した。構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。
外筒7の内壁には、外筒回転圧入部7aを、周方向に等間隔で3か所形成し、そのうち1か所に外筒平面接触部7aaを形成した。内筒8の外壁には、内筒回転圧入部8aを、周方向に等間隔で3か所形成した。そのうち1か所に、圧入状態において外筒平面接触部7aaと面接触し、回転圧入部9における平面接触部9aを構成する、内筒平面接触部8aaを形成した。
平面接触部9aの接触面積とロックウェル硬さは、表1の通りである。なお、比較例4~7の重筒にも、平面接触部を形成した。
【0035】
実施例12、比較例1~7の重筒に対して、以下の試験を実施した。
【0036】
<取り付け時トルク測定試験>
各実施例及び各比較例の重筒を、挿入状態(非圧入状態)とし、内筒の一部をトルクメーター(3TM75CN、(株)東日製作所)に取り付けたのち、外筒にトルクをかけて内筒と相対的に逆の軸回転方向に回転変位させ、両筒を圧入状態とする際のトルクを測定した。
【0037】
<取り外し時トルク試験>
各実施例及び各比較例の重筒を、圧入状態とし、内筒の一部をトルクメーター(3TM75CN、(株)東日製作所)に取り付けたのち、外筒にトルクをかけて、上記取り付け時トルク測定試験の際と逆の方向に回転変位させ、両筒を非圧入状態とする際のトルクを測定した。
【0038】
<回転変位試験>
挿入状態とした各実施例及び各比較例の重筒を手で持ち、外筒と内筒とを相対的に逆の軸回転方向に回転変位させ非圧入状態から圧入状態にし、再度圧入状態から非圧入状態にする操作を1回とし、この操作を20回繰り返した後、外筒及び内筒に破損等が生じていないか目視で確認した。
【0039】
実施例1~6の重筒は、回転圧入部に接触面積10mm 以上40mm 以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部のロックウェル硬度を80以上120以下としたので、面接触によって回転圧入部における摩擦が増大し、重筒をより外れにくくすることができつつも、回転圧入部における外筒内壁と内筒外壁の過度な食い込みが生じないため、重筒の取り付けと取り外しの繰り返しによって部材に破損等が確認されなかった。
実施例7~12の重筒は、外筒内壁の最大内接円径Aと内筒外壁の最大外接円径Bとの比、A:Bを、1:1.010以上1:1.050以下とし、なおかつ、回転圧入部に接触面積10mm 以上40mm 以下の平面接触部を形成し、かつ、該平面接触部のロックウェル硬度を80以上120以下としたので、取り付けやすさと外れにくさを両立できつつも、重筒の取り付けと取り外しの繰り返しによって部材が破損等が確認されなかった。
【0040】
比較例1の重筒は、外筒内壁の最大内接円径Aが内筒外壁の最大外接円径Bよりも大きく、圧入状態を形成することができなかった。
比較例2の重筒は、外筒内壁の最大内接円径Aに対して内筒外壁の最大外接円径Bが小さく、一時的に圧入状態を形成することはできたが、圧入の程度が強く無いため、不意に内筒が外筒から外れてしまった。
比較例3の重筒は、外筒内壁の最大内接円径Aに対して内筒外壁の最大外接円径Bが大きすぎて、取り付け時のトルクがあまりにも大きくなり、圧入状態を形成するのが非常に困難であった。さらに回転変位試験では、回転圧入部に破損を確認した。
比較例4~比較例7の重筒は、いずれも外筒内壁の最大内接円径Aと内筒外壁の最大外接円径Bとの比、A:Bが、1:1.050を超えている。
比較例4の重筒は、平面接触部のロックウェル硬さの値が大きすぎて、取り付け時のトルクがあまりにも大きくなり、圧入状態を形成するのが非常に困難であった。さらに回転変位試験では、回転圧入部に破損を確認した。
比較例5の重筒は、平面接触部のロックウェル硬さの値が小さすぎて、回転変位に伴い平面接触部及びその周辺が摩耗してしまい、回転変位試験の途中で圧入状態を形成することが不可能になってしまった。
比較例6の重筒は、平面接触部の接触面積が大きすぎて、取り付け時のトルクが大きすぎて、圧入状態を形成するのが非常に困難であった。
比較例7の重筒は、平面接触部の接触面積が小さすぎて、面接触では無くほぼ点接触のような状態が発生してしまい、圧入状態において過度の食い込みが生じ、回転変位試験では、回転圧入部に破損を確認した。
【0041】
参考
参考例は、参考例1の重筒を変形させた一例であるため、参考例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
図11は、外筒10及び内筒11の外観斜視図であり、構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。
外筒10の内壁には外筒回転圧入部10aを形成しており、内筒11の外壁に形成した内筒回転圧入部11aと回転圧入部9を構成する。内筒11の外壁には係止突起11bを形成している。内筒11を外筒10の開口端10bから挿入すると、係止突起11bは外筒10の内壁に形成した案内溝10c内を案内され通過する。案内溝10cは、外筒10の開口端10bに、係止突起11bよりも幅の広い開口部10caを有しているため、係止突起11bを案内しやすいものである。
【0043】
案内溝10cは、略直線状に形成した溝状の切り欠きである。案内溝10cを構成する二つの側壁のうち、後述する係止孔10dに近い方の側壁10cbを、係止孔10d側から開口部10ca側に向かって、他方の側壁10ccから周方向に離れて形成しているため、案内溝10cは係止孔10d側から開口端10b側に向かって幅が広い形状をしている。これにより、開口部10caが広いため係止突起11bを挿入しやすく、かつ、挿入操作をしていくにつれ、案内溝10cの幅が狭くなるため係止突起11bが周方向に移動しにくくなり、挿入操作がよりしやすくなっている。
【0044】
外筒10は、いわゆる割り型の金型を用いて射出成形で作成している。この時、外筒10の外壁には、割り型の合わせ面における、いわゆるパーティングラインがなるべく生じないことが望ましい。パーティングラインが余計な段差となり、例えば外壁への転写印刷がしにくくなる、剥がれやすくなる等の不具合が生じやすくなる。
【0045】
図12に示した重筒の挿入状態から、図13に示した両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた状態にすると、両筒は外筒回転圧入部10aと内筒回転圧入部11aとからなる回転圧入部12により圧入状態で取り付けられる。この回転変位操作に伴い、係止突起11bが、案内溝10cと連続して形成した係止孔10dに係止する。係止孔10dは、案内溝10cと連続し、かつ、開口部10caと周方向に異なる位置に形成している。そのため、係止突起11bが係止孔10dにおける開口端10bの壁に引っ掛かり抜け止めとなるので、重筒をより外れにくくすることができ好ましい。さらに、案内溝10cと係止孔10dが連続していることで、回転圧入部12において非圧入状態から圧入状態になる過程で、係止突起11bが係止孔10dに係止し始めるため、まだ圧入状態になっていない重筒でも外れにくく好ましい。
【0046】
参考
参考例は、参考の重筒を変形させた一例であるため、参考と異なる部分についてのみ説明する。
【0047】
図14は、内筒14を外筒13内に挿入状態に配置した外観斜視図、図15は、図14の重筒の挿入状態から両筒を相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた外観斜視図であり、構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。
【0048】
内筒14の外壁には、回転防止突起14cを設けている。また、外筒13には、外筒13の内部から外部に貫通し、開口端13b側が開いた溝状の切り欠きである回転防止溝13eを設けている。
回転防止突起14cは、両筒を挿入状態から相対的に逆の軸回転方向に回転変位させた状態にするに伴い、外筒13の案内溝13c内を側壁13cbの方向に移動する。さらに回転変位を続けると回転防止突起14は、側壁13cbを乗り越え、回転防止溝13e内へ移動、係止する。同時に、係止突起14bが係止孔13dに係止する。これにより、両筒が圧入状態になった後、両筒の一方又は両方に相対的に逆の軸回転方向の意図しない力が加わっても、回転防止突起14cが回転防止溝13e内で係止しているため、より両筒が外れにくく好ましい。
回転防止突起14cは、内筒14の外壁において、係止突起14bと内筒14の長手方向に直線状に並んでいるため、両筒が挿入状態を形成する際に、係止突起14bが案内溝13c内に入れば、そのまま両筒の相対的な軸回転方向の位置関係を調整しなくても、回転防止突起14cも案内溝13c内に入ることができるものである。さらに、回転防止突起14cは、軸回転方向の幅が係止突起14bの軸回転方向の幅より狭く、内筒14の長手方向において係止突起14bの軸回転方向の幅の範囲内で直線状に並んでいるため、より挿入状態を形成しやすく好ましい。
【0049】
<実施例13
本実施例は、参考の重筒に平面接触部等を形成し、筆記具であるボールペンに採用した場合の一例であるため、参考と異なる部分についてのみ説明する。
【0050】
図16は本実施例のボールペン16の外観図、図17図16のC-C’断面矢視図である。
ボールペン16は、外筒17及び内筒18からなる軸筒19内に、筆記芯としてボールペンリフィル20を備えている。ボールペン16はいわゆるノック式のボールペンであり、ボールペンリフィル20は軸筒19内で、コイルスプリング21の弾発力によって後方付勢された状態で配置されている。ボールペンリフィル20は、後端で接触している回転子22を介して軸筒後端開口部19aから露出したノック棒23を押圧する力を受けると、該弾発力に反しつつ軸筒19内を前進し、軸筒前端開口部19bから前端に備えた筆記部を露出させることで、筆記可能となる。参照符号19cはクリップであり、内筒18と一体に形成しており、軸筒19の長手方向に沿って延在し、軸筒19との間に挟持部を有するものである。
【0051】
図18は、外筒17の外観斜視図及び内筒18の後方拡大斜視図である。外筒17の内壁には、外筒回転圧入部17aを、軸回転方向に等間隔で3か所形成し、そのうち1か所に外筒平面接触部17aaを形成している。内筒18の外壁には、内筒回転圧入部18aを、軸回転方向に等間隔で3か所形成し、そのうち1か所に、圧入状態において外筒平面接触部17aaと面接触し、回転圧入部(図示せず)における平面接触部(図示せず)を構成する、内筒平面接触部15aaを形成した。
さらに実施例20同様に、外筒17の内壁には案内溝17b及び係止孔17cを、内筒18の外壁には係止突起18bを、それぞれ形成した。
これらの構成により、両筒は圧入状態で取り付けられ、かつ、内筒18が外筒17に対して抜け止めされより外れにくくなっている。
【0052】
図19はボールペン16を筆記可能な状態とした際の外観図であり、外筒17を透明に表示している。図20図19のD部分拡大模式図であり、構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。ボールペンリフィル20の後端、回転子22及び、内筒18内壁の後退規制部18cの関係を把握しやすくするため、構成を簡略化し、回転圧入部等を非表示としている。
先述の通り、ボールペン16の筆記可能な状態においては、筆記部が軸筒前端開口部19bから露出している。ここで、ボールペンリフィル20の後端は回転子22と当接し、さらに回転子22の段部22aは、内筒18内壁に形成した後退規制部18cと当接している。この構造により、筆記時において筆記部を被筆記面に接触させた際にボールペンリフィル20から回転子22を介して内筒18に対して外筒17から抜ける方向へと力がかかるが、先述の通り、内筒18と外筒17は、圧入状態で取り付けられているだけでなく、抜け止めされていることから、特に内筒18に対して外筒17から抜ける方向に動きにくくなっている。よって、筆記時にボールペンリフィル20が後退することが無いため、筆記時のボールペンリフィル20のがたつきを防止することができ、筆記しやすいボールペン16とすることができた。
【0053】
<実施例14
本実施例は、実施例13のボールペンに採用した重筒を変形させた一例であるため、実施例13と異なる部分についてのみ説明する。
【0054】
図21は外筒24の外観斜視図及び内筒25の外観側面図であり、構成を把握しやすいよう内部に位置する構造を破線で図示している。
外筒24の案内溝24b内壁には、リブ部24baを形成した。リブ部24baは、案内溝24b内壁から径方向内方に向かって突出し、案内溝24b内の軸回転方向一杯に伸びる突起であり、ボールペンの前端側から順にリブbaa、リブbab、リブbacと3本形成している。本実施例ではボールペン内のコイルスプリング(図示せず)の弾発力によって、内筒25は後方に付勢されているため、内筒25を外筒24から取り外す際に、圧入状態から挿入状態にすると、内筒25が一気に飛び出そうになる。しかし、リブ24baと係止突起25bとが接触し一時的に係止するため、内筒25が飛び出し部品を紛失したり、飛び出した内筒25が使用者に衝突しケガをする恐れが無く、安全な筆記具を得ることができる。
【0055】
図22は、両筒の取り外しの際に係止突起25bがリブ部24ba(リブ24baa)に係止した図である。状態が把握しやすいよう、図21の外筒24におけるD-D’断面矢視図に、内筒25の係止突起25b付近の断面図を合わせて図示している。
両筒の挿入状態におけるコイルスプリングは縮んだ状態であり、弾発力が高いため、圧入状態から挿入状態にした直後は内筒25への付勢が最大となっているところ、リブ24baaを案内溝24b内壁において設計上可能な限りボールペンの前端側に形成していることで、係止突起25bが直ぐにリブ24baaと接触、係止する。そのため、内筒25が外筒24内で加速する前に一時的に係止することができるため、内筒25が一気に飛び出すのをより効果的に防止することができる。本実施例ではリブbabとリブbacも形成しているため、3段階で係止突起25bを係止可能であるため、より安全に内筒25を外筒24から取り外すことができ好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1 外筒
1a 外筒回転圧入部
2 内筒
2a 内筒回転圧入部
3 回転圧入部
4 外筒
4a 外筒回転圧入部
4b 開口端
5 内筒
5a 内筒回転圧入部
6 回転圧入部
7 外筒
7a 外筒回転圧入部
7aa 外筒平面接触部
8 内筒
8a 内筒回転圧入部
8aa 内筒平面接触部
9 回転圧入部
9a 平面接触部
10 外筒
10a 外筒回転圧入部
10b 開口端
10c 案内溝
10ca 開口部
10cb 側壁
10cc 側壁
10d 係止孔
11 内筒
11a 内筒回転圧入部
11b 係止突起
12 回転圧入部
13 外筒
13a 外筒回転圧入部
13b 開口端
13c 案内溝
13ca 開口部
13cb 側壁
13d 係止孔
13e 回転防止溝
14 内筒
14a 内筒回転圧入部
14b 係止突起
14c 回転防止突起
15 回転圧入部
16 ボールペン
17 外筒
17a 外筒回転圧入部
17aa 外筒平面接触部
17b 案内溝
17c 係止孔
18 内筒
18a 内筒回転圧入部
18aa 内筒平面接触部
18b 係止突起
18c 後退規制部
19 軸筒
19a 軸筒後端開口部
19b 軸筒前端開口部
19c クリップ
20 ボールペンリフィル
21 コイルスプリング
22 回転子
22a 段部
23 ノック棒
24 外筒
24a 外筒回転圧入部
24aa 外筒平面接触部
24b 案内溝
24ba リブ部
24baa リブ
24bab リブ
24bac リブ
24c 係止孔
24d 回転防止溝
25 内筒
25a 内筒回転圧入部
25aa 内筒平面接触部
25b 係止突起
25c 回転防止突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22