IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

<>
  • 特許-通信システム、通信方法 図1
  • 特許-通信システム、通信方法 図2
  • 特許-通信システム、通信方法 図3
  • 特許-通信システム、通信方法 図4
  • 特許-通信システム、通信方法 図5
  • 特許-通信システム、通信方法 図6
  • 特許-通信システム、通信方法 図7
  • 特許-通信システム、通信方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/04 20090101AFI20230523BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20230523BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20230523BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20230523BHJP
【FI】
H04W88/04
H04W4/40
H04W76/15
H04W92/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019140099
(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公開番号】P2021022903
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】大塔 晃輝
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528648(JP,A)
【文献】特開2015-070428(JP,A)
【文献】国際公開第2019/064986(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/051859(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/086979(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/076107(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/142974(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/051126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信部、第1インターフェースおよび第1制御部を有する第1無線装置と、
第2通信部、第2インターフェースおよび第2制御部を有する第2無線装置とを備え、
前記第1無線装置および前記第2無線装置、前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して接続され、それぞれ基地局装置と通信可能に接続された独立した無線装置であって、
前記第1通信部は、前記基地局装置が送信した信号を受信して基地局受信強度を測定し、
前記第2通信部は、端末装置が送信した信号を受信して端末受信強度を測定し、
前記第1制御部は、前記基地局受信強度と、接続された前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して取得した前記端末受信強度に基づいて、第1モードまたは第2モードを選択し、選択したモードに応じて前記第1通信部を動作させ、
前記第2制御部は、前記第1制御部が選択したモードを、接続された前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して取得し、取得したモードに応じて前記第2通信部を動作させ、
前記基地局受信強度が所定のしきい値以上の場合、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記基地局装置との通信を実行し、かつ前記第2制御部に、前記第2通信部と前記端末装置との間の通信を実行させない、前記第1モードを選択し、
前記基地局受信強度が前記しきい値よりも小さく、かつ前記端末受信強度が規定値以上である場合前記第1制御部は、前記第1通信部が前記基地局装置との通信を実行し、かつ前記第2制御部、前記第2通信部と前記端末装置との間の通信を実行させる、前記第2モードを選択することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
第1通信部、第1インターフェースおよび第1制御部を有する第1無線装置と、
第2通信部、第2インターフェースおよび第2制御部を有する第2無線装置と、
本通信システムの位置情報を取得する取得部とを備え、
前記第1無線装置および前記第2無線装置、前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して接続され、それぞれ基地局装置と通信可能に接続された独立した無線装置であって、
前記第2通信部は、端末装置が送信した信号を受信して端末受信強度を測定し、
前記第1制御部は、前記取得部で取得した位置情報と、接続された前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して取得した前記端末受信強度に基づいて、第1モードまたは第2モードを選択し、選択したモードに応じて前記第1通信部を動作させ、
前記第2制御部は、前記第1制御部が選択したモードを、接続された前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して取得し、取得したモードに応じて前記第2通信部を動作させ、
前記取得部で取得した位置情報が示す本通信システムの位置が所定の領域に含まれない場合、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記基地局装置との通信を実行し、かつ前記第2制御部に、前記第2通信部と前記端末装置との間の通信を実行させない、第1モードを選択し、
前記取得部で取得した位置情報が示す本通信システムの位置が所定の領域に含まれ、かつ前記端末受信強度が規定値以上である場合、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記基地局装置との通信を実行し、かつ前記第2制御部に、前記第2通信部と前記端末装置との間の通信を実行させる、第2モードを選択することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記第1通信部の送信電力は、前記端末装置の送信電力よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1通信部は、基地局装置が送信した信号を受信して基地局受信強度を測定し、
前記第1制御部は、前記基地局受信強度が所定のしきい値よりも小さい状況において、前記取得部において取得した位置情報に基づき、前記所定の領域を設定することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項5】
第1通信部、第1インターフェースおよび第1制御部を有する第1無線装置と、
第2通信部、第2インターフェースおよび第2制御部を有する第2無線装置とを備え、
前記第1無線装置および前記第2無線装置は、前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して接続され、それぞれ基地局装置と通信可能に接続された独立した無線装置であって、
前記第1通信部が、前記基地局装置が送信した信号を受信して基地局受信強度を測定するステップと、
前記第2通信部は、端末装置が送信した信号を受信して端末受信強度を測定するステップと、
前記第1制御部が、前記基地局受信強度と、接続された前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して取得した前記端末受信強度に基づいて、第1モードまたは第2モードを選択し、選択した前記モードに応じて前記第1通信部を動作させるステップと、
前記第2制御部が、前記第1制御部が選択したモードを、接続された前記第1インターフェースおよび前記第2インターフェースを介して取得し、取得したモードに応じて前記第2通信部を動作させるステップと、
前記基地局受信強度が所定のしきい値以上の場合、前記第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部に、第2通信部と前記端末装置との間の通信を実行させない、前記第1モードを選択し
前記基地局受信強度が前記しきい値よりも小さく、かつ前記端末受信強度が規定値以上である場合、前記第1制御部は、前記第1通信部が前記基地局装置との通信を実行し、かつ前記第2制御部に、前記第2通信部と前記端末装置との間の通信を実行させる、第2モードを選択する、
を備えることを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に中継を実行する通信システム、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局装置の通信エリア外、あるいは不感地区におかれた移動局との通信が可能な無線中継システムが提案されている。例えば、ハンドセットが接続された移動局として通信を実行する車載無線機(通信を実行するモード)を、無線中継を実行する中継器(中継を実行するモード)に切りかえて動作させる場合、車載無線機に接続されたハンドセットと車載無線機との接続を解除することにより、車載無線機が中継器として動作し、ハンドセットが携帯無線機として動作する。中継器に切りかわった車載無線機は、携帯無線機の電波を中継し、基地局装置の通信エリア外、あるいは不感地区におかれた移動局との通信を可能にする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-245228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載無線機を、通信を実行するモードと中継を実行するモードとで切りかえるには、人為的に車載無線機に接続されたハンドセットと車載無線機との接続を解除する、すなわち手動で切りかえることが必要であった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信を実行するモードと中継を実行するモードとを自動的に選択して切りかえる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の通信システムは、第1通信部、第1インターフェースおよび第1制御部を有する第1無線装置と、第2通信部、第2インターフェースおよび第2制御部を有する第2無線装置とを備える。第1無線装置および第2無線装置、第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して接続され、それぞれ基地局装置と通信可能に接続された独立した無線装置であって、第1通信部は、基地局装置が送信した信号を受信して基地局受信強度を測定し、第2通信部は、端末装置が送信した信号を受信して端末受信強度を測定し、第1制御部は、基地局受信強度と、接続された第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して取得した端末受信強度に基づいて、第1モードまたは第2モードを選択し、選択したモードに応じて第1通信部を動作させ、第2制御部は、第1制御部が選択したモードを、接続された第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して取得し、取得したモードに応じて第2通信部を動作させ、基地局受信強度が所定のしきい値以上の場合、第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部に、第2通信部と端末装置との間の通信を実行させない、第1モードを選択し、基地局受信強度がしきい値よりも小さく、かつ端末受信強度が規定値以上である場合第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部、第2通信部と端末装置との間の通信を実行させる、第2モードを選択する。
【0007】
本発明の別の態様もまた、通信システムである。この通信システムは、第1通信部、第1インターフェースおよび第1制御部を有する第1無線装置と、第2通信部、第2インターフェースおよび第2制御部を有する第2無線装置と、本通信システムの位置情報を取得する取得部とを備える。第1無線装置および第2無線装置、第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して接続され、それぞれ基地局装置と通信可能に接続された独立した無線装置であって、第2通信部は、端末装置が送信した信号を受信して端末受信強度を測定し、第1制御部は、取得部で取得した位置情報と、接続された第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して取得した端末受信強度に基づいて、第1モードまたは第2モードを選択し、選択したモードに応じて第1通信部を動作させ、第2制御部は、第1制御部が選択したモードを、接続された第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して取得し、取得したモードに応じて第2通信部を動作させ、取得部で取得した位置情報が示す本通信システムの位置が所定の領域に含まれない場合、第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部に、第2通信部と端末装置との間の通信を実行させない、第1モードを選択し、取得部で取得した位置情報が示す本通信システムの位置が所定の領域に含まれ、かつ端末受信強度が規定値以上である場合、第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部に、第2通信部と端末装置との間の通信を実行させる、第2モードを選択する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、通信方法である。この方法は、第1通信部、第1インターフェースおよび第1制御部を有する第1無線装置と、第2通信部、第2インターフェースおよび第2制御部を有する第2無線装置とを備え、第1無線装置および第2無線装置は、第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して接続され、それぞれ基地局装置と通信可能に接続された独立した無線装置であって、第1通信部が、基地局装置が送信した信号を受信して基地局受信強度を測定するステップと、第2通信部は、端末装置が送信した信号を受信して端末受信強度を測定するステップと、第1制御部が、基地局受信強度と、接続された第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して取得した端末受信強度に基づいて、第1モードまたは第2モードを選択し、選択したモードに応じて第1通信部を動作させるステップと、第2制御部が、第1制御部が選択したモードを、接続された第1インターフェースおよび第2インターフェースを介して取得し、取得したモードに応じて第2通信部を動作させるステップと、基地局受信強度が所定のしきい値以上の場合、第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部に、第2通信部と端末装置との間の通信を実行させない、第1モードを選択し基地局受信強度がしきい値よりも小さく、かつ端末受信強度が規定値以上である場合、第1制御部は、第1通信部が基地局装置との通信を実行し、かつ第2制御部に、第2通信部と端末装置との間の通信を実行させる、第2モードを選択する。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、通信を実行するモードと中継を実行するモードとを自動的に選択して切りかえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)-(b)は、実施例1に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】通信システムの構成を示す図である。
図3図3(a)-(b)は、実施例1に係る移動通信システムにおいて、第1モードの通信システムの動作概要を示す図である。
図4】通信システムによる処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施例2に係る移動通信システムにおいて、第1モードの通信システムの動作概要を示す図である。
図6】実施例2に係る通信システムによる処理手順を示すフローチャートである。
図7】実施例3に係る通信システムにおける処理の概要を示す図である。
図8】実施例3に係る通信システムによる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、基地局装置、端末装置、通信システムが含まれる移動通信システムに関する。端末装置は、基地局装置によって形成される通信領域内に存在する場合に基地局装置と通信可能であるが、通信領域外に存在する場合に基地局装置と通信できない。通信システムは、端末装置と同様の無線装置が2台接続された構成を有する。この通信システムは、端末装置と同様に基地局装置と通信するモード(以下、「第1モード」という)を実行したり、通信領域外に存在する端末装置と基地局装置とを中継するモード(以下、「第2モード」という)を実行したりする。つまり、通信システムは第1モードと第2モードとを自動的に選択し、モードを切りかえる。ユーザの利便性を考慮すると、第1モードと第2モードとの切替が自動的になされる方が好ましい。本実施例に係る通信システムは、基地局装置から受信した信号の受信強度を測定し、受信強度がしきい値以上である場合に第1モードを選択し、受信強度がしきい値より小さい場合に第2モードを選択する。ここで、しきい値は、通信領域の縁部分での受信強度に近くなるように設定される。そのため、通信システムは、通信領域の縁部分に存在する際に第2モードを実行する。通常、通信システムは車載無線機として用いられ、端末装置よりも大きい送信電力で信号を送信することが可能である。したがって、設定すべきしきい値として、端末装置の送信電力を考慮し、通信システムから送信した信号が基地局装置へ到達する境界における受信強度よりも大きい受信強度をしきい値に設定することが望ましい。
【0013】
図1(a)-(b)は、移動通信システム1000の構成を示す。移動通信システム1000は、基地局装置100、端末装置300、通信システム400を含む。通信システム400は、第1無線装置410、第2無線装置420、接続部材430を含む。移動通信システム1000に含まれる基地局装置100、端末装置300、通信システム400の数は「1」に限定されない。図1(a)は通信システム400が第1モードを実行する場合を示し、図1(b)は通信システム400が第2モードを実行する場合を示す。
【0014】
図1(a)において、基地局装置100が通信可能なエリアは通信領域200と示される。端末装置300と通信システム400は通信領域200内に存在する。そのため、端末装置300と通信システム400は基地局装置100と通信可能である。基地局装置100は周波数F1で端末装置300に信号を送信し、端末装置300は周波数F2で基地局装置100に信号を送信する。ここで、周波数F1と周波数F2は互いに異なった周波数である。また、基地局装置100は周波数F1で通信システム400に信号を送信し、通信システム400は周波数F2で基地局装置100に信号を送信する。このような状況において、通信システム400は端末装置300と同様の通信を実行する。
【0015】
通信システム400は、互いに独立した第1無線装置410と第2無線装置420とを含み、それらが接続部材430によって接続される。接続部材430の一例はケーブルであるが、第1無線装置410と第2無線装置420との間の信号の入出力を可能にするものであればよくケーブルに限定されない。第1無線装置410と第2無線装置420は端末装置300と同様の通信機能を有するが、第1無線装置410と第2無線装置420の送信電力が端末装置300の送信電力よりも大きくされてもよい。図1(a)においては、第1無線装置410のみが基地局装置100と通信を実行しているが、第1無線装置410と独立して第2無線装置420が基地局装置100と通信してもよい。その場合、端末装置300、第1無線装置410、第2無線装置420が基地局装置100に対等に接続されているといえる。
【0016】
図1(b)において、端末装置300は通信領域200外に存在し、通信システム400は通信領域200内に存在する。そのため、端末装置300は基地局装置100と通信不可能であり、通信システム400は基地局装置100と通信可能である。この通信システム400は、中継器として動作することによって、基地局装置100と端末装置300との通信を中継する。基地局装置100は周波数F1で第1無線装置410に信号を送信し、第1無線装置410は、接続部材430を介して第2無線装置420に、受信した信号を出力し、第2無線装置420は周波数F3で端末装置300に信号を送信する。また、端末装置300は周波数F4で第2無線装置420に信号を送信し、第2無線装置420は、接続部材430を介して第1無線装置410に、受信した信号を出力し、第1無線装置410は周波数F2で基地局装置100に信号を送信する。ここで、周波数F1、周波数F2、周波数F3、周波数F4は互いに異なった周波数である。
【0017】
図2は、通信システム400の構成を示す。通信システム400は、第1無線装置410、第2無線装置420、接続部材430を含み、第1無線装置410は、第1通信部412、第1制御部414、第1IF416を含み、第2無線装置420は、第2通信部422、第2制御部424、第2IF426を含む。通信システム400は、第1無線装置410と第2無線装置420という2つの装置の組合せで構成される。しかしながら、通信システム400は、ひとつの装置として構成されてもよい。
【0018】
第1通信部412は、移動通信システム1000において規定された通信方式、例えば業務用無線の通信方式に対応した通信を実行することによって、基地局装置100と通信する。第1制御部414は、通信システム400のモードとして第1モードあるいは第2モードを設定する。本実施例において、第1制御部414は第1モードあるいは第2モードを設定する主となる制御部であることから、第1制御部414を単に制御部と呼んでもよい。第1モードあるいは第2モードの設定については後述する。また、第1制御部414は、第1モードを設定する場合、第1通信部412に対して端末装置300と同様の処理、つまり第1通信部412に対して基地局装置100との通信を実行させるための処理を実行させる。第1IF416は、接続部材430を接続するためのインターフェースである。第1IF416は、第1通信部412に接続されるとともに、接続部材430を介して第2無線装置420にも接続される。第1IF416は、通信システム400が第2モードに設定された場合に、第1通信部412において受信した信号を第2無線装置420に出力し、第2無線装置420から受けつけた信号を第1通信部412に出力する。
【0019】
第2IF426は、接続部材430を接続するためのインターフェースである。第2IF426は、第2通信部422に接続されるとともに、接続部材430を介して第1無線装置410にも接続される。第2IF426は、通信システム400が第2モードに設定された場合に、第1無線装置410から受けつけた信号を第2通信部422に出力し、第2通信部422において受信した信号を第1無線装置410に出力する。第2通信部422は、第1通信部412と同様に構成される。第2通信部422は、第2IF426、接続部材430、第1IF416を介して第1通信部412に接続される。
【0020】
第2制御部424は、第1通信部412、第1IF416、接続部材430、第2通信部422を介して第1制御部414から、第1制御部414において設定されたモードに関する情報を受けつける。第2制御部424は、第1制御部414における設定にしたがって、第2通信部422に第1モードあるいは第2モードを設定する。そのため、第1制御部414は、第1通信部412に対して基地局装置100との通信を実行させる第1モードと、第1通信部412に対して基地局装置100との通信を実行させながら、第2通信部422に対して端末装置300との通信を実行させることによって、基地局装置100と端末装置300との通信を中継する第2モードとのいずれかを実行するといえる。また、第2制御部424は、第1モードを設定する場合、第2通信部422に対して端末装置300と同様の処理を実行させてもよいし、第2通信部422の動作を停止させてもよい。
【0021】
以下では、図3(a)-(b)も使用しながら、第1制御部414、第2制御部424の動作を説明する。図3(a)-(b)は、移動通信システム1000の動作概要を示す。図3(a)において、第1無線装置410の第1通信部412は、基地局装置100から周波数F1で信号を受信すると、信号の受信強度を測定する。受信強度の一例はRSSI(Received Signal Strength Indicator)である。第1通信部412における測定には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略するが、このような測定は定期的になされる。第1通信部412は、測定したRSSIを第1制御部414に出力する。第1制御部414は、第1通信部412から受けつけたRSSIがしきい値よりも小さい場合に第2モードを選択し、第1通信部412から受けつけたRSSIがしきい値以上である場合に第1モードを選択する。しきい値は、通信領域200の縁部分において想定されるRSSIに近くなるように設定される。そのため、第1制御部414は、通信領域200の縁部分に存在する際に第2モードを実行し、通信領域200の中央部分に存在する際に第1モードを実行する。第1制御部414は、選択したモードを第1通信部412に設定する。
【0022】
また、第1制御部414が第1モードから第2モードへ切りかえる際のしきい値を第1のしきい値とし、第1制御部414が第2モードから第1モードへ切りかえる際のしきい値を第1のしきい値よりも大きい第2のしきい値として動作するようにしてもよい。このように、第1モードから第2モードへ切りかえるしきい値と第2モードから第1モードへ切りかえるしきい値とが異なるようにすることによって、通信システム400がそれぞれのモードの間で頻繁に切りかわることを抑制することができる。
【0023】
第1制御部414は、選択したモードに関する情報を、第1通信部412、第1IF416、接続部材430、第2通信部422を介して第2無線装置420の第2制御部424に出力する。
【0024】
第2制御部424は、選択したモードに関する情報が第1モードから第2モードに変化した場合、第2モードへの移行を指示するための信号(以下、「移行指示信号」という)を第2通信部422に出力する。移行指示信号では、端末装置300と基地局装置100との通信を通信システム400が中継すること、第2無線装置420から端末装置300への送信には周波数F3を使用し、端末装置300から第2無線装置420への送信には周波数F4を使用することが示される。図3(b)のごとく、第2通信部422は、移行指示信号を周波数F1により端末装置300に送信する。端末装置300は、移行指示信号を受信すると、周波数F1を周波数F3に切りかえ、周波数F2を周波数F4に切りかえる。その結果、図1(b)のような通信がなされる。
【0025】
第2制御部424は、選択したモードに関する情報が第2モードから第1モードに変化した場合、第1モードへの移行を指示するための信号(以下、これもまた「移行指示信号」という)を第2通信部422に出力する。移行指示信号では、端末装置300と基地局装置100とが直接通信すること、基地局装置100から端末装置300への送信には周波数F1を使用し、端末装置300から基地局装置100への送信には周波数F2を使用することが示される。第2通信部422は、移行指示信号を周波数F3により端末装置300に送信する。端末装置300は、移行指示信号を受信すると、周波数F3を周波数F1に切りかえ、周波数F4を周波数F2に切りかえる。その結果、図1(a)のような通信がなされる。
【0026】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
以上の構成による移動通信システム1000の動作を説明する。図4は、通信システム400による処理手順を示すフローチャートである。前提として、第1制御部414は第1モードを選択しているとする。第1制御部414は、基地局装置100からの信号のRSSIを取得する(S10)。RSSIがしきい値よりも小さい場合(S12のY)、第1制御部414は、第2モードへの移行を決定する(S14)。RSSIがしきい値よりも小さくない場合(S12のN)、第1制御部414は、第1モードの維持を決定する(S16)。
【0028】
本実施例によれば、基地局装置からの信号の受信強度がしきい値よりも小さい場合に、中継を実行するモードを選択するので、通信を実行するモードと中継を実行するモードとを自動的に切りかえることができる。また、基地局装置からの信号の受信強度がしきい値よりも小さい場合に、中継を実行するモードを選択するので、通信領域の縁部分で自動的に中継を実行できる。
【0029】
(実施例2)
次に、実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、基地局装置、端末装置、通信システムが含まれる移動通信システムに関する。実施例1では、基地局装置から受信した信号の受信強度をもとに、第1モードから第2モードへの切替を決定している。一方、実施例2では、基地局装置から受信した信号の受信強度と、端末装置から受信した信号の受信強度とをもとに、第1モードから第2モードへの切替を決定する。実施例2に係る移動通信システム1000、基地局装置100は、図1図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0030】
図5は、移動通信システム1000の動作概要を示す。図1(a)のような通信が実現されている場合、基地局装置100は周波数F1で第1無線装置410に信号を送信し、第1無線装置410は当該信号を受信する。また、端末装置300は周波数F2で基地局装置100に信号を送信し、基地局装置100は当該信号を受信する。その際、第2無線装置420は、端末装置300が周波数F2で基地局装置100に送信した当該信号を傍受する。第2無線装置420の第2制御部424(図2)は、第1モードの場合に、第2通信部422に対して受信した信号の受信強度を測定させる。受信強度の一例は前述のごとくRSSIである。第2通信部422は、測定したRSSIを第2IF426、接続部材430、第1IF416、第1通信部412経由で第1制御部414に出力する。
【0031】
第1制御部414は、これまでと同様に、第1通信部412において測定したRSSI、つまり基地局装置100からの信号のRSSIを受けつける(以下、このRSSIを「第1RSSI」という)。また、第1制御部414は、第2通信部422において測定したRSSI、つまり端末装置300からの基地局装置100への信号のRSSIを受けつける(以下、このRSSIを「第2RSSI」という)。第1制御部414は、第1RSSIがしきい値より小さく、かつ第2RSSIが規定値以上である場合に、第2モードを選択する。ここで、規定値は、前述のしきい値よりも大きな値に設定される。そのため、第1制御部414は、通信システム400が通信領域200の縁部分に存在し、端末装置300が通信システム400の近くに存在する場合に第2モードを実行する。これに続く処理は、これまでと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0032】
以上の構成による移動通信システム1000の動作を説明する。図6は、通信システム400による処理手順を示すフローチャートである。前提として、第1制御部414は第1モードを選択しているとする。第1制御部414は、基地局装置100からの信号の第1RSSIを取得する(S50)。第1RSSIがしきい値よりも小さい場合(S52のY)、第1制御部414は、端末装置300からの信号の第2RSSIを取得する(S54)。第2RSSIが規定値以上である場合(S56のY)、第1制御部414は、第2モードへの移行を決定する(S58)。第1RSSIがしきい値よりも小さくない場合(S52のN)、あるいは第2RSSIが規定値以上でない場合(S56のN)、第1制御部414は、第1モードの維持を決定する(S60)。
【0033】
本実施例によれば、基地局装置からの信号の受信強度がしきい値よりも小さく、かつ端末装置からの信号の受信強度が規定値以上である場合に、中継を実行するモードを選択するので、通信を実行するモードと中継を実行するモードとを自動的に切りかえることができる。また、基地局装置からの信号の受信強度がしきい値よりも小さく、かつ端末装置からの信号の受信強度が規定値以上である場合に、中継を実行するモードを選択するので、通信領域の縁部分において端末装置が近くに存在する場合に、自動的に中継を実行できる。
【0034】
(実施例3)
次に、実施例3を説明する。実施例3は、これまでと同様に、基地局装置と通信可能な端末装置、通信システムが含まれる移動通信システムに関する。これまでは、受信した信号の受信強度をもとに、第1モードから第2モードへの切替を決定している。一方、実施例3では、第2モードを実行させるべき領域の情報を予め保持しておき、通信システム400の位置情報が当該領域に含まれる場合に、第1モードから第2モードへの切替を決定する。実施例3に係る移動通信システム1000、基地局装置100は、図1図2と同様のタイプである。ここでは、これまでとの差異を中心に説明する。
【0035】
図2の第1通信部412は、これまでと同様に、基地局装置100から周波数F1で信号を受信すると、信号の受信強度としてRSSIを測定する。第1制御部414は、RSSIがしきい値よりも小さい場合に、通信システム400に搭載された取得部(図示せず)から、通信システム400の位置情報を受けつける。取得部は、例えば、GPS(Global Positioning System)により位置情報を取得する。第1通信部412は、受けつけた位置情報を前述の領域として保存する。すなわち、第1制御部414は、RSSIがしきい値よりも小さい状況において取得部から受け付けた通信システム400の位置情報に基づいて前述の領域を設定し、保存する。図7は、通信システム400において、第2モードを実行させるべき領域である縁部分領域240の概略を示す。縁部分領域240は、第1制御部414において保存された領域を示す。縁部分領域240は図7の通信領域200の縁部分に相当する。また、通信領域200のうち、縁部分領域240以外の部分が中心領域220と示される。図2に戻る。
【0036】
第1制御部414は、取得部から位置情報を定期的に受けつける。第1制御部414は、取得した位置情報が縁部分領域240に含まれる場合に、第2モードを選択する。一方、第1制御部414は、取得した位置情報が中心領域220に含まれる場合に、第1モードを選択する。また、第1制御部414は、取得した位置情報が縁部分領域240の外側であった場合も第1モードを選択する。すなわち、第1制御部414は、取得した位置情報が縁部分領域240に含まれない場合に、第1モードを選択する。
【0037】
また、中心領域220の内部であり、かつ縁部分領域240から隔離した領域を(図示しない)第2の中心領域とし、第2モードである通信システム400が第1モードへ切りかわる領域としてもよい。すなわち、第1モードである通信システム400において取得した位置情報が縁部分領域240に含まれる場合に第2モードへ切りかわり、第2モードである通信システム400において取得した位置情報が第2の中心領域に含まれる場合に第1モードへ切りかわるようにしてもよい。
【0038】
これに続く処理は、これまでと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0039】
以上の構成による移動通信システム1000の動作を説明する。図8は、通信システム400による処理手順を示すフローチャートである。前提として、第1制御部414は第1モードを選択しているとする。第1制御部414は、通信システム400の位置情報を取得する(S100)。位置情報が縁部分領域240に含まれる場合(S102のY)、第1制御部414は、第2モードへの移行を決定する(S104)。位置情報が縁部分領域240に含まれない場合(S102のN)、第1制御部414は、第1モードの維持を決定する(S106)。
【0040】
本実施例によれば、基地局装置からの信号の受信強度がしきい値よりも小さい場合に、取得した位置情報を縁部分領域として設定するので、縁部分領域を予め生成できる。位置情報が縁部分領域に含まれる場合に、中継を実行するモードを選択するので、通信を実行するモードと中継を実行するモードとを自動的に切りかえることができる。
【0041】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、第1無線装置の処理と第2無線装置の処理とを入れかえ、第2無線装置の第2制御部が第1無線装置を制御するようにしても同様であること、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0042】
100 基地局装置、 300 端末装置、 400 通信システム、 410 第1無線装置、 412 第1通信部、 414 第1制御部、 416 第1IF、 420 第2無線装置、 422 第2通信部、 424 第2制御部、 426 第2IF、 430 接続部材、 1000 移動通信システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8