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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】情報読取装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06V 30/413 20220101AFI20230523BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20230523BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230523BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20230523BHJP
   G06V 30/164 20220101ALI20230523BHJP
   G06V 30/24 20220101ALI20230523BHJP
【FI】
G06V30/413
G06K7/00 004
G06K7/10 372
G06K7/10 456
G06K7/14 013
G06K7/14 017
G06K7/14 039
G06V30/164
G06V30/24 620D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019158524
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2020161106
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】P 2019054173
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】高見 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】葛谷 匡昭
(72)【発明者】
【氏名】月安 聡
【審査官】山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176282(JP,A)
【文献】特開2016-148925(JP,A)
【文献】特開2017-091484(JP,A)
【文献】特開2016-089292(JP,A)
【文献】特開2015-099512(JP,A)
【文献】特開2014-056382(JP,A)
【文献】特開2013-138757(JP,A)
【文献】特開2007-066000(JP,A)
【文献】Qiyue Yu,N.N.を用いた生産情報読み取りシステムの開発,第74回(平成24年)全国大会講演論文集(2) 人工知能と認知科学,日本,一般社団法人情報処理学会,2012年03月06日,p.2-239-p.2-240
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/413
G06K 7/00
G06K 7/10
G06K 7/14
G06V 30/164
G06V 30/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
前記撮像部により情報コードが撮像された撮像画像に対して前記情報コードを読み取るためのデコード処理を行う情報コード読取部と、
前記撮像部により文字情報が撮像された撮像画像に対して前記文字情報を読み取るための文字認識処理を行う文字認識部と、
を備える情報読取装置であって、
前記情報コード読取部により前記情報コードが読み取られると、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する画像補正部と、
前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが明色系セルと暗色系セルとの明暗を反転させた反転コードであるか否かについて判定する明暗反転判定部と、
を備え、
前記文字認識部は、前記画像補正部により前記撮像画像が補正されると、当該補正された撮像画像に対して、前記文字認識処理を行い
前記情報コード読取部は、所定の明暗判定閾値を基準に明色系セルと暗色系セルとに区分けして前記デコード処理を行い、
前記画像補正部は、
前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードであると前記明暗反転判定部により判定されると、前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正し、
前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードでないと前記明暗反転判定部により判定されると、前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正し、
前記明暗反転判定部により前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードであると判定されることで、一部が前記暗色系の単色の画像範囲に補正された前記撮像画像に対して行った前記文字認識処理が失敗すると、補正前の前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正し、
前記明暗反転判定部により前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードでないと判定されることで、一部が前記明色系の単色の画像範囲に補正された前記撮像画像に対して行った前記文字認識処理が失敗すると、補正前の前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正することを特徴とする情報読取装置。
【請求項2】
撮像部と、
前記撮像部により情報コードが撮像された撮像画像に対して前記情報コードを読み取るためのデコード処理を行う情報コード読取部と、
前記撮像部により文字情報が撮像された撮像画像に対して前記文字情報を読み取るための文字認識処理を行う文字認識部と、
を備える情報読取装置であって、
前記情報コード読取部により前記情報コードが読み取られると、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する画像補正部を備え、
前記文字認識部は、前記画像補正部により前記撮像画像が補正されると、当該補正された撮像画像に対して、前記文字認識処理を行い
前記画像補正部は、前記情報コード読取部により前記情報コードが読み取られると、当該情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとの前記撮像画像における明暗差が所定の明暗差閾値以上となる場合に、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正することを特徴とする情報読取装置。
【請求項3】
前記デコード処理が失敗した前記撮像画像について前記情報コードの一部が撮像されているか否かについて判定するコード判定部を備え、
前記画像補正部は、前記コード判定部により前記情報コードの一部が撮像されていると判定されると、前記撮像画像のうち前記情報コードの一部に相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報読取装置。
【請求項4】
前記情報コードは、三隅にファインダパターンが配置されるとともに前記ファインダパターン間に2つのタイミングパターンが配置されるQRコードであり、
前記コード判定部は、3つの前記ファインダパターンの少なくとも1つと前記タイミングパターンの一部が撮像されることで、前記情報コードの一部が撮像されていると判定することを特徴とする請求項3に記載の情報読取装置。
【請求項5】
前記情報コードのセル配列方向を検出する検出部を備え、
前記文字認識部は、前記検出部により検出されたセル配列方向を基準に前記撮像画像に対して前記文字認識処理を行うことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項6】
前記画像補正部は、前記情報コード読取部により前記情報コードが読み取られると、前記明暗差が前記所定の明暗差閾値未満となる場合には、前記撮像画像において前記情報コードに相当する範囲のうち、当該情報コードを構成する明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正することを特徴とする請求項2に記載の情報読取装置。
【請求項7】
前記情報コードは、複数の明色系セル及び暗色系セルを配列してなるコード領域内に前記明色系セル及び前記暗色系セルと異なる空き領域を有し、
前記画像補正部は、前記情報コード読取部により前記空き領域を有する前記情報コードが読み取られる場合には、前記撮像画像のうち、前記コード領域に相当する範囲を補正対象から除外することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項8】
前記情報コードは、複数の明色系セル及び暗色系セルを配列してなるコード領域内に前記明色系セル及び前記暗色系セルと異なる空き領域を有し、
前記画像補正部は、前記情報コード読取部により前記空き領域を有する前記情報コードが読み取られる場合には、前記撮像画像のうち、前記コード領域から前記空き領域を除いた範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の情報読取装置。
【請求項9】
撮像部を備えた情報読取装置に、
前記撮像部により情報コードが撮像された撮像画像に対して前記情報コードを読み取るためのデコード処理を行う情報コード読取ステップと、
前記情報コード読取ステップにより前記情報コードが読み取られると、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する画像補正ステップと、
前記画像補正ステップにより前記撮像画像が補正されると、当該補正された撮像画像に対して、文字情報を読み取るための文字認識処理を行う文字認識ステップと、
前記情報コード読取ステップにより読み取られた情報コードが明色系セルと暗色系セルとの明暗を反転させた反転コードであるか否かについて判定する明暗反転判定ステップと
を実行させるプログラムであって、
前記情報コード読取ステップでは、所定の明暗判定閾値を基準に明色系セルと暗色系セルとに区分けして前記デコード処理が行われ、
前記画像補正ステップでは、
前記情報コード読取ステップにより読み取られた情報コードが前記反転コードであると前記明暗反転判定ステップにより判定されると、前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正され、
前記情報コード読取ステップにより読み取られた情報コードが前記反転コードでないと前記明暗反転判定ステップにより判定されると、前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正され、
前記明暗反転判定ステップにより前記情報コード読取ステップにより読み取られた情報コードが前記反転コードであると判定されることで、一部が前記暗色系の単色の画像範囲に補正された前記撮像画像に対して行った前記文字認識処理が失敗すると、補正前の前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正され、
前記明暗反転判定ステップにより前記情報コード読取ステップにより読み取られた情報コードが前記反転コードでないと判定されることで、一部が前記明色系の単色の画像範囲に補正された前記撮像画像に対して行った前記文字認識処理が失敗すると、補正前の前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正されることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
撮像部を備えた情報読取装置に、
前記撮像部により情報コードが撮像された撮像画像に対して前記情報コードを読み取るためのデコード処理を行う情報コード読取ステップと、
前記情報コード読取ステップにより前記情報コードが読み取られると、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する画像補正ステップと、
前記画像補正ステップにより前記撮像画像が補正されると、当該補正された撮像画像に対して、文字情報を読み取るための文字認識処理を行う文字認識ステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記画像補正ステップでは、前記情報コード読取ステップにより前記情報コードが読み取られると、当該情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとの前記撮像画像における明暗差が所定の明暗差閾値以上となる場合に、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像した文字情報及び情報コードを読み取る情報読取装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バーコードやQRコード(登録商標)などの情報コードを読み取る情報コード読取機能に加えて、撮像した文字情報を認識する文字認識機能を兼ね備えた情報読取装置が多く利用されている。このような情報読取装置は、スマートフォンのように個人が所有する携帯端末に対して所定のアプリケーションプログラムをインストールすることでも実現することができる。
【0003】
このような情報コードと文字情報との双方を読取対象とする情報読取装置として、例えば、下記特許文献1に開示される光学的文字読取装置が知られている。この光学的文字読取装置では、バーコードとこのバーコードの直下に配置されるバーコード対応文字とを読取対象としており、バーコードの読み取りがエラーとなると、このバーコードの位置を基準にバーコード対応文字の位置を特定して文字認識するための処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平09-237312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、撮像した文字情報を認識する際にその撮像画像にバーコードも含まれていると、バーコードのバーの部分が大文字「I」や小文字「l」、数字「1」等に誤認されてしまうという問題がある。この問題は、バーコードだけでなく、QRコードなど他の種別の情報コードでも同様に生じるものであり、文字情報とともに撮像された情報コードに起因して文字誤認が生じてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、文字情報と情報コードとが撮像された撮像画像から文字情報を正確に認識し得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
撮像部(23)と、
前記撮像部により情報コードが撮像された撮像画像に対して前記情報コードを読み取るためのデコード処理を行う情報コード読取部(21)と、
前記撮像部により文字情報が撮像された撮像画像に対して前記文字情報を読み取るための文字認識処理を行う文字認識部(21)と、
を備える情報読取装置(10)であって、
前記情報コード読取部により前記情報コードが読み取られると、前記撮像画像のうち前記情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する画像補正部(21)と、
前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが明色系セルと暗色系セルとの明暗を反転させた反転コードであるか否かについて判定する明暗反転判定部と、
を備え、
前記文字認識部は、前記画像補正部により前記撮像画像が補正されると、当該補正された撮像画像に対して、前記文字認識処理を行い、
前記情報コード読取部は、所定の明暗判定閾値を基準に明色系セルと暗色系セルとに区分けして前記デコード処理を行い、
前記画像補正部は、
前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードであると前記明暗反転判定部により判定されると、前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正し、
前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードでないと前記明暗反転判定部により判定されると、前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正し、
前記明暗反転判定部により前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードであると判定されることで、一部が前記暗色系の単色の画像範囲に補正された前記撮像画像に対して行った前記文字認識処理が失敗すると、補正前の前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正し、
前記明暗反転判定部により前記情報コード読取部により読み取られた情報コードが前記反転コードでないと判定されることで、一部が前記明色系の単色の画像範囲に補正された前記撮像画像に対して行った前記文字認識処理が失敗すると、補正前の前記撮像画像のうち、前記情報コードに相当する範囲と前記所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、情報コード読取部により情報コードが読み取られると、撮像部により撮像された撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が単色(例えば、白色)の画像範囲となるように当該撮像画像が画像補正部により補正され、当該補正された撮像画像に対して、文字認識部により文字認識処理が行われる。
【0009】
これにより、文字情報を認識するために撮像された撮像画像に情報コードが含まれている場合であっても、情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されて実質的に文字認識対象外となる。このため、情報コードに起因する文字誤認が抑制されるので、文字情報と情報コードとが撮像された撮像画像から文字情報を正確に認識することができる。
特に、画像補正部において、情報コード読取部により読み取られた情報コードが反転コードであると明暗反転判定部により判定されると、撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色(例えば、黒色)の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。また、画像補正部において、情報コード読取部により読み取られた情報コードが反転コードでないと明暗反転判定部により判定されると、撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色(例えば、白色)の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
表示媒体に対して反転コードとともに表示されている文字情報は白抜き文字で表示され、この白抜き文字の周囲は暗色系の背景となる可能性が高い。このため、反転コードに相当する範囲に加えて、撮像画像のうち所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲、すなわち、白抜き文字の周囲の暗色系の背景を、暗色系の単色の画像範囲に補正して実質的に文字認識対象外とすることで、情報コード(反転コード)だけでなく背景の模様等に起因する文字誤認が抑制されやすくなる。その一方で、表示媒体に対して明色系セルと暗色系セルとの明暗が反転していない通常の情報コードとともに表示されている文字情報は黒文字で表示され、この黒文字の周囲は明色系の背景となる可能性が高い。このため、情報コードに相当する範囲に加えて、撮像画像のうち所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲、すなわち、黒文字の周囲の明色系の背景を、明色系の単色の画像範囲に補正して実質的に文字認識対象外とすることで、情報コードだけでなく背景の模様等に起因する文字誤認が抑制されやすくなる。したがって、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。
さらに、画像補正部において、情報コード読取部により読み取られた情報コードが反転コードであると明暗反転判定部により判定されることで、一部が暗色系の単色の画像範囲に補正された撮像画像に対して行った文字認識処理が失敗すると、補正前の撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。また、画像補正部において、情報コード読取部により読み取られた情報コードが反転コードでないと明暗反転判定部により判定されることで、一部が明色系の単色の画像範囲に補正された撮像画像に対して行った文字認識処理が失敗すると、補正前の撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
これにより、反転コードとともに黒文字で表示されている文字情報を撮像しており、黒文字の周囲の背景が暗色系の単色の画像範囲に補正されたために文字認識が失敗しても、その背景が明色系の単色の画像範囲に補正されて再度文字認識処理が行われるので、背景の模様等に起因する文字誤認をさらに抑制することができる。その一方で、明色系セルと暗色系セルとが反転していない通常の情報コードとともに白抜き文字で表示されている文字情報を撮像しており、白抜き文字の周囲の背景が明色系の単色の画像範囲に補正されたために文字認識が失敗しても、その背景が暗色系の単色の画像範囲に補正されて再度文字認識処理が行われるので、背景の模様等に起因する文字誤認をさらに抑制することができる。
【0010】
請求項の発明では、コード判定部により情報コードの一部が撮像されていると判定されると、撮像画像のうち情報コードの一部に相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が画像補正部により補正される。
【0011】
これにより、デコードされた情報コードの部分だけでなく、デコードできなくても情報コードの一部と認識された部分も実質的に文字認識対象外となるため、情報コードに起因する文字誤認をより一層抑制することができる。
【0012】
請求項の発明では、3つのファインダパターンの少なくとも1つとタイミングパターンの一部が撮像されることで、情報コードの一部が撮像されているとコード判定部により判定される。ファインダパターン及びタイミングパターンは、その目的から容易に認識できるように形成されているため、QRコードの一部が撮像される場合でもそのQRコードの一部に相当する範囲を容易かつ正確に把握することができる。
【0017】
請求項の発明では、検出部により検出された情報コードのセル配列方向を基準に撮像画像に対して文字認識処理が行われる。これにより、文字情報の文字配列方向と情報コードのセル配列方向とが同じ方向である場合には、文字情報の文字配列方向を特定できることから、検出されたセル配列方向を基準に文字情報が認識しやすくなるように回転補正した撮像画像に対して文字認識処理を行うことで、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。また、文字情報の文字配列方向が情報コードのセル配列方向に対して所定角度ずれている場合でも、検出されたセル配列方向から上記所定角度ずれた方向を基準に文字情報が認識しやすくなるように回転補正した撮像画像に対して文字認識処理を行うことで、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0018】
請求項の発明では、画像補正部において、情報コード読取部により情報コードが読み取られると、当該情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとの撮像画像における明暗差が所定の明暗差閾値以上となる場合に、撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0019】
例えば、印刷媒体の表面側に文字情報が印刷されるとともに裏面側に情報コードが印刷されており、その表面側の文字情報を撮像して文字認識する際に、その撮像画像に、裏面側の情報コードが薄くかすんだ状態で写り込んでしまう場合がある。このような撮像画像では、情報コードの少なくとも一部が文字情報に重なっている状態で撮像されている場合に、そのデコード処理が成功すると、情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されてしまうために、文字情報の一部が欠損してしまうという問題がある。
【0020】
そこで、読み取られた情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとの撮像画像における明暗差が上記所定の明暗差閾値以上となる場合に、撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する。すなわち、上述のように裏面側の情報コードが薄くかすんだ状態で写り込んでしまうような撮像状態では、上記明暗差が上記所定の明暗差閾値未満となることで、情報コードに相当する範囲が補正対象とならなくなる。このため、意図しない情報コードが薄くかすんだ状態で文字情報に重なるように撮像される場合であっても、画像補正に起因する文字情報の欠損等を防止することができる。
【0021】
請求項の発明では、画像補正部において、情報コード読取部により情報コードが読み取られると、上記明暗差が上記所定の明暗差閾値未満となる場合には、撮像画像において情報コードに相当する範囲のうち、当該情報コードを構成する明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0022】
これにより、上述のように裏面側の情報コードが薄くかすんだ状態で写り込んでしまうような撮像状態では、上記明暗差が上記所定の明暗差閾値未満となることで、情報コードを構成する明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。このため、意図しない情報コードが薄くかすんだ状態で文字情報に重なるように撮像される場合であっても、鮮明な文字情報は補正されずに不鮮明でかすれた情報コードの部分のみが補正対象となるため、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0023】
請求項の発明では、情報コードは、複数の明色系セル及び暗色系セルを配列してなるコード領域内に明色系セル及び暗色系セルと異なる空き領域を有している。そして、画像補正部では、情報コード読取部により空き領域を有する情報コードが読み取られる場合には、撮像画像のうち、コード領域に相当する範囲が補正対象から除外される。
【0024】
これにより、空き領域内に文字認識すべき文字情報が配置される場合には、その文字情報が情報コードとともに単色の画像範囲となるように補正されてしまうことを防止することができる。
【0025】
請求項の発明では、情報コードは、複数の明色系セル及び暗色系セルを配列してなるコード領域内に明色系セル及び暗色系セルと異なる空き領域を有している。そして、画像補正部では、情報コード読取部により空き領域を有する情報コードが読み取られる場合には、撮像画像のうち、コード領域から空き領域を除いた範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0026】
このようにしても、空き領域内に文字認識すべき文字情報が配置される場合には、その文字情報が単色の画像範囲となるように補正されてしまうことを防止することができる。特に、コード領域から空き領域を除いた範囲が単色の画像範囲となるように補正されるため、文字認識すべき文字情報の周囲が単色の画像範囲となるので、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0027】
請求項の発明によれば、請求項1と同様の効果を奏するプログラムを実現できる。
請求項10の発明によれば、請求項2と同様の効果を奏するプログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態に係る情報読取装置と読取対象となる文字情報及び情報コードとを概略的に示す説明図である。
図2】情報読取装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3】第1実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図4図4(A)は、文字情報とともにデコード可能にバーコードが撮像された撮像画像を示す説明図であり、図4(B)は、図4(A)においてバーコードに相当する範囲が補正された撮像画像を示す説明図である。
図5図5(A)は、文字情報とともにバーコードの一部が撮像された撮像画像を示す説明図であり、図5(B)は、図5(A)においてバーコードの一部に相当する範囲が補正された撮像画像を示す説明図である。
図6図6(A)は、文字情報とともにマージンが認識されない状態でバーコードが撮像された撮像画像を示す説明図であり、図6(B)は、図6(A)においてバーコードに相当する範囲が補正された撮像画像を示す説明図である。
図7図7(A)は、文字情報とともにQRコードの一部が撮像された撮像画像を示す説明図であり、図7(B)は、図7(A)においてQRコードの一部に相当する範囲が補正された撮像画像を示す説明図である。
図8】第2実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図9図9(A)は、文字情報とともに反転コードが撮像された撮像画像を示す説明図であり、図9(B)は、図9(A)において反転コード及び背景等が黒色の画像範囲に補正された撮像画像を示す説明図である。
図10図10(A)は、文字情報とともに非反転コードが撮像された撮像画像を示す説明図であり、図10(B)は、図10(A)において非反転コード及び背景等が白色の画像範囲に補正された撮像画像を示す説明図である。
図11】バーコードやQRコードのセル配列方向と文字情報の文字配列情報とが読取基準方向に対して傾いた状態を説明する説明図である。
図12】第3実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図13図13(A)は、セル配列方向及び文字配列方向が読取基準方向に対して同じ角度で傾くように情報コード及び文字情報が撮像された撮像画像を示す説明図であり、図13(B)は、セル配列方向に応じて図13(A)の撮像画像を回転補正等した状態の撮像画像を示す説明図である。
図14図14(A)は、文字配列方向がセル配列方向に対して所定角度だけずれるように情報コード及び文字情報が撮像された撮像画像を示す説明図であり、図14(B)は、セル配列方向に応じて図14(A)の撮像画像を回転補正等した状態の撮像画像を示す説明図である。
図15】第4実施形態において制御部にて行われる読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図16図16(A)は、薄くかすんだバーコードが文字情報に重なるように撮像された撮像画像を示す説明図であり、図16(B)は、図16(A)においてバーコードに相当する範囲が補正された撮像画像を示す説明図であり、図16(C)は、図16(A)においてバーコードの明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが補正された撮像画像を示す説明図である。
図17】第5実施形態の要部を説明する説明図であり、図17(A)は、空き領域内に文字情報が配置された情報コードを撮像した撮像画像を示し、図17(B)は、図17(A)の撮像画像においてコード領域から空き領域を除いた範囲が補正された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る情報読取装置及びプログラムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る情報読取装置10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられるスマートフォンなどの携帯型の情報処理端末として構成されている。この情報読取装置10は、図2に示すように、CPU等からなる制御部21、メモリ22、カメラとして構成される撮像部23、制御部21によって表示内容が制御されるタッチパネル24、タッチパネル24に対するタッチ操作やキー操作に信号を制御部21に出力する操作部25、外部機器等と通信するための通信部26などを備えるように構成されている。
【0030】
本実施形態に係る情報読取装置10は、所定のアプリケーションプログラム(以下、読取アプリともいう)がインストールされることで、撮像部23により情報コードが撮像された撮像画像に対してその情報コードを読み取るためのデコード処理を行う機能や撮像部23により文字情報が撮像された撮像画像に対してその文字情報を読み取るための文字認識処理を行う機能(OCR)を有するように構成されている。特に、本実施形態では、読取アプリが起動されることで制御部21にてなされる読取処理により、文字情報を読み取る際に情報コードまで撮像された場合でも、情報コードに起因する文字誤認を抑制して文字情報が認識される。
【0031】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる読取処理について、図3に示すフローチャートを参照して詳述する。なお、図1に例示するように、表示媒体Rの表示面において、バーコードBが近くに印字されている「2019年03月06日」を文字情報Wとして認識する場合を例に説明する。
【0032】
操作部25に対する所定の操作に応じて読取アプリが起動されて制御部21により読取処理が開始されると、図3のステップS101の撮像処理がなされる。この処理では、撮像部23の撮像方向を文字情報Wに向けた状態で操作部25に対する読取操作等がなされることで、撮像部23により文字情報Wが撮像される。
【0033】
続いて、ステップS103に示す明暗判定閾値設定処理がなされ、上記ステップS101にて撮像された撮像画像の明暗分布に基づいて、情報コードを白セル(明色系セル)と黒セル(暗色系セル)とに区分けする際の基準となる所定の明暗判定閾値が設定される。そして、ステップS105の判定処理にて、上述のように撮像された撮像画像について、情報コードが撮像されているか否かについて判定される。ここで、図4(A)に示す撮像画像P1aのように、文字情報WとともにバーコードBがデコード可能に撮像されていると、ステップS105にてYesと判定される。
【0034】
この場合には、ステップS107に示すデコード処理がなされ、上述のように設定された明暗判定閾値を基準に、撮像した情報コードを解読するための処理がなされる。なお、上記ステップS107は、「情報コード読取ステップ」の一例に相当し、このステップS107におけるデコード処理を行う制御部21は、「情報コード読取部」の一例に相当し得る。
【0035】
このデコード処理が成功すると(S109でYes)、ステップS111に示す第1画像補正処理がなされる。この処理では、上述のように撮像された撮像画像のうちデコードが成功した情報コードに相当する範囲が周囲との色の境界をなくすように単色の画像範囲に補正(置換)される。図4(A)に示す撮像画像P1aのように、バーコードBの周囲が白色の背景であれば、上記第1画像補正処理により、図4(B)に示す撮像画像P1bのように、補正前の撮像画像P1aにおいて、バーコードBに相当する範囲が白色の画像範囲に補正される。すなわち、デコードに成功した情報コードが取り除かれるように撮像画像が補正される。なお、上記ステップS111及び後述するステップS113は、「画像補正ステップ」の一例に相当し、このステップS111における第1画像補正処理及び後述するステップS113における第2画像補正処理を行う制御部21は、「画像補正部」の一例に相当し得る。
【0036】
続いて、ステップS115に示す文字認識処理がなされる。上述のように一部が単色の画像範囲に補正されていると、この補正された撮像画像に対して、公知の文字認識技術(OCR技術)を用いた文字認識処理が行われる。このように、バーコードBがない状態で文字情報Wを認識するため、バーコードBに起因する文字誤認をなくすことができる。なお、上記ステップS115は、「文字認識ステップ」一例に相当し、このステップS115における文字認識処理を行う制御部21は、「文字認識部」の一例に相当し得る。
【0037】
一方、図5(A)に示す撮像画像P2aのように、バーコードBの一部のみが撮像されている場合には、バー(黒セル)とスペース(白セル)との並びからバーコードが撮像されていると判断されても(S105でYes)、ステップS107でのデコード処理が失敗する(S109でNo)。なお、デコードが失敗する撮像画像について情報コードが撮像されているか否かについて判定することになる上記ステップS105の判定処理を行う制御部21は、デコード処理が失敗した撮像画像について情報コードの一部が撮像されているか否かについて判定する「コード判定部」の一例に相当し得る。
【0038】
この場合には、ステップS113に示す第2画像補正処理がなされる。この処理では、上述のように撮像された撮像画像のうちバーコードBの一部(情報コードの一部)に相当する範囲が周囲との色の境界をなくすように単色の画像範囲に補正(置換)される。図5(A)に示す撮像画像P2aのように、情報コードが撮像されていると認識された上でそのデコードに失敗したバーコードBの一部の周囲が白色の背景であれば、図5(B)に示す撮像画像P2bのように、補正前の撮像画像P2aにおいて、バーコードBの一部に相当する範囲が白色の画像範囲に補正される(S113)。すなわち、デコードが失敗したとしても情報コードの一部が撮像されている場合には、その情報コードの撮像されている範囲の全てが取り除かれるように撮像画像が補正される。そして、上述のように補正された撮像画像に対して、上記ステップS115の文字認識処理が行われる。なお、バーコードBを構成するセルの一部が欠損等しているためにバーコードと認識できてもそのデコードが失敗した場合でも、そのバーコードBに相当する範囲が単色の画像範囲に補正される(S113)。
【0039】
また、図6(A)に示す撮像画像P3aのように、バーコードBの全体が撮像されても、必要なマージンが認識できないように撮像されている場合には、デコード処理が失敗する(S109でNo)。このような場合でも、図6(B)に示す撮像画像P3bのように、補正前の撮像画像P3aにおいて、バーコードBに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されて(S113)、この補正された撮像画像に対して、上記ステップS115の文字認識処理が行われる。
【0040】
また、上記ステップS101の撮像処理にて情報コードが撮像されていない場合には、ステップS105の判定処理にてNoと判定されて、撮像画像が補正されることなく、上記ステップS115の文字認識処理が行われる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、制御部21にてなされる読取処理において、情報コードが読み取られると(S109でYes)、撮像部23により撮像された撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正され(S111)、当該補正された撮像画像に対して、文字認識処理が行われる(S115)。
【0042】
そして、本実施形態に係るプログラムは、撮像部23を備えた情報読取装置10に、撮像部23により情報コードが撮像された撮像画像に対して情報コードを読み取るためのデコード処理を行う情報コード読取ステップ(S107)と、情報コード読取ステップにより情報コードが読み取られると、撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する画像補正ステップ(S111,S113)と、画像補正ステップにより撮像画像が補正されると、当該補正された撮像画像に対して、文字情報を読み取るための文字認識処理を行う文字認識ステップ(S115)と、を実行させる。
【0043】
これにより、文字情報を認識するために撮像された撮像画像に情報コードが含まれている場合であっても、情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されて実質的に文字認識対象外となる。このため、情報コードに起因する文字誤認が抑制されるので、文字情報と情報コードとが撮像された撮像画像から文字情報を正確に認識することができる。
【0044】
さらに、コード判定部により情報コードの一部が撮像されていると判定されると、撮像画像のうち上記情報コードの一部に相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0045】
これにより、デコードされた情報コードの部分だけでなく、デコードできなくても情報コードの一部と認識された部分も実質的に文字認識対象外となるため、情報コードに起因する文字誤認をより一層抑制することができる。
【0046】
なお、情報コードに相当する範囲又は情報コードの一部に相当する範囲は、単色の画像範囲として、白色の画像範囲に補正されることに限らず、情報コードの周囲の背景の色等に応じて、明色系の単色の画像範囲に補正されてもよいし、暗色系の単色の画像範囲に補正されてもよい。
【0047】
また、文字情報Wとともに撮像される情報コードは、バーコードBに限らず、QRコードなどの他のコード種別の情報コードであってもよい。このような情報コードであっても、デコードに成功した場合には(S109でYes)、撮像画像のうちデコード成功した情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正され、上述のようにデコード可能に撮像されていないためにデコード失敗した場合には(S109でNo)、そのデコード失敗した情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されることで、情報コードに起因する文字誤認を抑制することができる。
【0048】
特に、QRコードは、方形状のコード領域の三隅にファインダパターンFPが配置されるとともにファインダパターンFP間にコード領域の外縁に平行となる2つのタイミングパターンTPが配置される構成である。このため、図7(A)に示す撮像画像P4aのように、3つのファインダパターンFPの少なくとも1つとタイミングパターンTPの一部が撮像された場合には、QRコードの一部が撮像されているとして、上記ステップS113の第2画像補正処理により、図7(B)に示す撮像画像P4bのように、補正前の撮像画像P4aにおいて、QRコードの一部に相当する範囲が単色(図7(B)では白色)の画像範囲に補正される。ここで、撮像画像においてQRコードの一部に相当する範囲は、ファインダパターンFP及びタイミングパターンTPの位置及び配列方向等に基づいて求めることができる。このように、ファインダパターンFP及びタイミングパターンTPは、その目的から容易に認識できるように形成されているため、QRコードの一部が撮像される場合でもそのQRコードの一部に相当する範囲を容易かつ正確に把握することができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る情報読取装置及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、情報コードを含めた撮像画像全体を補正対象とする点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
文字情報及び情報コードが表示される表示媒体の表示面には、背景として模様等が表示される場合があり、この模様等に起因して文字誤認が生じてしまう可能性がある。このため、例えば、撮像画像において明度が所定値よりも高い範囲を一律に白色の画像範囲となるように補正することで、明色系の模様等を撮像画像から取り除くことができる。その一方で、読み取るべき文字情報が白抜き文字で表示されている場合には、その白抜き文字の周囲も白く補正されてしまうと、文字認識できなくなる。同様に、暗色系の模様等を撮像画像から取り除くために、明度が所定値よりも低い範囲を一律に黒色の画像範囲となるように補正する際、読み取るべき文字情報が黒文字で表示されている場合には、その黒文字の周囲も黒く補正されてしまうと、文字認識できなくなる。
【0051】
そこで、本実施形態における読取処理では、読み取った情報コードが明色系セルと暗色系セルとの明暗を反転させた反転コードであるか否かを判定して、反転コードであると判定される場合には、撮像画像において上記明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲を暗色系の単色の画像範囲となるように補正する。表示媒体に対して反転コードとともに表示されている文字情報は白抜き文字で表示され、この白抜き文字の周囲は暗色系の背景となる可能性が高いからである。また、読み取った情報コードが反転コードでないと判定される場合には、撮像画像において上記明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲を明色系の単色の画像範囲となるように補正する。表示媒体に対して明色系セルと暗色系セルとの明暗が反転していない通常の情報コード(以下、非反転コードともいう)とともに表示されている文字情報は黒文字で表示され、この黒文字の周囲は明色系の背景となる可能性が高いからである。
【0052】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる読取処理について、図8に示すフローチャートを参照して詳述する。
上記第1実施形態と同様に、撮像画像の明暗分布に基づいて明暗判定閾値が設定され(図8のS103)、そのデコード処理が成功すると(S109でYes)、ステップS117に示す判定処理にて、デコード成功した情報コードが反転コードか否かについて判定される。なお、上記ステップS117の判定処理を行う制御部21は、「明暗反転判定部」の一例に相当し得る。
【0053】
ここで、デコード成功した情報コードが反転コードであることから、ステップS117にてYesと判定されると、ステップS119の暗色系画像補正処理がなされる。この処理では、認識すべき文字情報が白抜き文字で表示されていることを前提に、撮像画像において反転コードに相当する範囲と上記明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とを暗色系の単色(例えば、黒色)の画像範囲となるように補正する。例えば、図9(A)に示す撮像画像P5aのように、明暗が反転したバーコードBが反転コードとして撮像されている場合には、認識すべき文字情報Wが白抜き文字であるとして、上記ステップS119の暗色系画像補正処理により、図9(B)に示す撮像画像P5bのように、補正前の撮像画像P5aにおいて、反転コードに相当する範囲と上記明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが、黒色の画像範囲となるように補正される。これにより、文字情報Wと背景部分とのコントラストが大きくなる。そして、このように文字情報Wと背景部分とのコントラストが大きくなるように補正された撮像画像に対して、ステップS121に示す文字認識処理が行われる。
【0054】
上記ステップS121における文字認識処理が成功すると(S123でYes)、本読取処理が終了する。その一方で、上記ステップS121における文字認識処理が失敗すると(S123でNo)、認識すべき文字情報が白抜き文字ではなく黒文字であるとして、上記ステップS125の明色系画像補正処理により、上記ステップS101にて撮像された撮像画像において、反転コードに相当する範囲と上記明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とを明色系の単色(例えば、白色)の画像範囲となるように補正する。そして、このように補正された撮像画像に対して、ステップS127に示す文字認識処理が行われる。
【0055】
また、デコード成功した情報コードが非反転コードであることから、ステップS117にてNoと判定されると、ステップS129の明色系画像補正処理がなされる。この処理では、認識すべき文字情報が黒文字で表示されていることを前提に、撮像画像において非反転コードに相当する範囲と上記明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とを明色系の単色(例えば、白色)の画像範囲となるように補正する。例えば、図10(A)に示す撮像画像P6aのように、バーコードBが非反転コードとして撮像されている場合には、認識すべき文字情報Wが黒文字であるとして、上記ステップS129の明色系画像補正処理により、図10(B)に示す撮像画像P6bのように、補正前の撮像画像P6aにおいて、非反転コードに相当する範囲と上記明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが、白色の画像範囲となるように補正される。これにより、文字情報Wと背景部分とのコントラストが大きくなる。そして、このように文字情報Wと背景部分とのコントラストが大きくなるように補正された撮像画像に対して、ステップS131に示す文字認識処理が行われる。
【0056】
上記ステップS131における文字認識処理が成功すると(S133でYes)、本読取処理が終了する。その一方で、上記ステップS131における文字認識処理が失敗すると(S133でNo)、認識すべき文字情報が黒文字ではなく白抜き文字であるとして、上記ステップS135の暗色系画像補正処理により、上記ステップS101にて撮像された撮像画像において、非反転コードに相当する範囲と上記明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とを暗色系の単色(例えば、黒色)の画像範囲となるように補正する。そして、このように補正された撮像画像に対して、ステップS137に示す文字認識処理が行われる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、制御部21にてなされる読取処理において、読み取られた情報コードが反転コードであると判定されると、撮像画像のうち、反転コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。また、読み取られた情報コードが反転コードでないと判定されると、撮像画像のうち、非反転コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0058】
このように、表示媒体に対して反転コードとともに表示されている文字情報は白抜き文字で表示され、この白抜き文字の周囲は暗色系の背景となる可能性が高いとして、反転コードに相当する範囲に加えて、撮像画像のうち所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲、すなわち、白抜き文字の周囲の暗色系の背景を、暗色系の単色の画像範囲に補正して実質的に文字認識対象外とすることで、反転コードだけでなく背景の模様等に起因する文字誤認が抑制されやすくなる。その一方で、表示媒体に対して非反転コードとともに表示されている文字情報は黒文字で表示され、この黒文字の周囲は明色系の背景となる可能性が高いとして、非反転コードに相当する範囲に加えて、撮像画像のうち所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲、すなわち、黒文字の周囲の明色系の背景を、明色系の単色の画像範囲に補正して実質的に文字認識対象外とすることで、非反転コードだけでなく背景の模様等に起因する文字誤認が抑制されやすくなる。したがって、文字認識処理による文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0059】
特に、読み取られた情報コードが反転コードであると判定されることで、一部が暗色系の単色の画像範囲に補正された撮像画像に対して行った文字認識処理が失敗すると(S123でNo)、補正前の撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が高くなる範囲とが明色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。また、読み取られた情報コードが反転コードでないと判定されることで、一部が明色系の単色の画像範囲に補正された撮像画像に対して行った文字認識処理が失敗すると(S133でNo)、補正前の撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲と所定の明暗判定閾値よりも明度が低くなる範囲とが暗色系の単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0060】
これにより、反転コードとともに黒文字で表示されている文字情報を撮像しており、黒文字の周囲の背景が暗色系の単色の画像範囲に補正されたために文字認識が失敗しても、その背景が明色系の単色の画像範囲に補正されて再度文字認識処理が行われるので、背景の模様等に起因する文字誤認をさらに抑制することができる。その一方で、非反転コードとともに白抜き文字で表示されている文字情報を撮像しており、白抜き文字の周囲の背景が明色系の単色の画像範囲に補正されたために文字認識が失敗しても、その背景が暗色系の単色の画像範囲に補正されて再度文字認識処理が行われるので、背景の模様等に起因する文字誤認をさらに抑制することができる。
【0061】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る情報読取装置及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、情報コードのセル配列方向を基準に撮像画像に対して文字認識処理を行う点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
バーコードやQRコード等の情報コードは、そのセル配列方向F1が撮像画像においてどの向きになったとしても問題なくデコードすることができる。これに対して、文字情報は、撮像画像中の文字配列方向F2によっては文字誤認が生じてしまう可能性がある。例えば、図11に例示する撮像画像P7のように、バーコードBのセル配列方向F1やQRコードQのセル配列方向F1が撮像画像においてどの向きになったとしても問題なくデコードすることができる。これに対して、図11に例示するように、文字情報Wとなる「177」の文字配列方向F2が撮像画像での読取基準方向(図11のX方向参照)に対して180°回転するように撮像されていると、例えば、「LLl」のように文字誤認が生じてしまう可能性がある。
【0063】
このため、文字情報を撮像して読み取る場合には、その文字情報の文字配列方向F2が撮像画像での上記読取基準方向に対して0°近くになるように、撮像する方向を限定する必要がある。そうすると、情報コードを読み取る情報読取装置であっても、文字情報も読取対象とする場合には、読取対象の向き等を意識してその読取対象を撮像する必要があり、情報読取装置の利便性が悪くなるという問題が生じる。
【0064】
そこで、本実施形態における読取処理では、文字情報の文字配列方向F2と情報コードのセル配列方向F1とが同じ方向となることを前提に、情報コード及び文字情報が撮像された撮像画像を、情報コードのセル配列方向F1が上記読取基準方向に一致するように撮像画像を回転補正し、この回転補正した撮像画像に対して文字認識処理を行う。
【0065】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる読取処理について、図12に示すフローチャートを参照して詳述する。
上記第1実施形態と同様に、撮像画像の明暗分布に基づいて明暗判定閾値が設定され(図12のS103)、そのデコード処理が成功すると(S109でYes)、ステップS141に示すセル配列方向検出処理がなされる。この処理では、デコードに成功した情報コードのセル配列方向F1が検出される。なお、ステップS141のセル配列方向検出処理を行う制御部21は、「検出部」の一例に相当し得る。
【0066】
続いて、ステップS143に示す第3画像補正処理がなされる。この処理では、上述のように検出したセル配列方向F1が上記読取基準方向に一致するように撮像画像が回転補正され、この回転補正された撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が周囲との色の境界をなくすように単色の画像範囲に補正(置換)される。そして、ステップS115に示す文字認識処理にて、上述のように回転補正等された撮像画像に対して、文字認識処理が行われる。
【0067】
このため、例えば、図13(A)に示す撮像画像P8aのように、セル配列方向F1及び文字配列方向F2が上記読取基準方向に対して同じ角度で傾くようにバーコードB及び文字情報Wが撮像されている場合には、図13(B)に示す撮像画像P8bのように、セル配列方向F1が上記読取基準方向に一致するように撮像画像P8aが回転補正されて、この回転補正された撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が単色(図13(B)では白色)の画像範囲に補正される(S143)。そして、このように回転補正等された撮像画像に対して、文字認識処理が行われる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る情報読取装置10では、上記セル配列方向検出処理により検出された情報コードのセル配列方向F1を基準に、セル配列方向F1が上記読取基準方向に一致するように回転補正等した撮像画像に対して文字認識処理が行われる。これにより、文字情報の文字配列方向F2と情報コードのセル配列方向F1とが同じ方向である場合には、文字情報の文字配列方向F2を特定できることから、検出されたセル配列方向F1を基準に文字情報が認識しやすくなるように回転補正等した撮像画像に対して文字認識処理を行うことで、文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0069】
本実施形態の第1変形例として、文字情報の文字配列方向F2が情報コードのセル配列方向F1に対して所定角度θだけずれていることを事前に把握できる場合には、この所定角度θを利用して撮像画像を回転補正等してもよい。すなわち、検出されたセル配列方向F1から上記所定角度θだけずれた方向が上記読取基準方向に一致するように回転補正等した撮像画像に対して文字認識処理を行うことでも、文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0070】
具体的には、例えば、図14(A)に示す撮像画像P9aのように、文字配列方向F2がセル配列方向F1に対して所定角度θだけずれるようにバーコードB及び文字情報Wが撮像されている場合には、図14(B)に示す撮像画像P8bのように、検出されたセル配列方向F1から上記所定角度θだけずれた方向が上記読取基準方向に一致するように撮像画像P8aが回転補正される。そして、この回転補正された撮像画像のうち情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されて(S143)、このように補正された撮像画像に対して文字認識処理が行われる。このように、上記所定角度θを考慮して文字情報が認識しやすくなるように回転補正等した撮像画像に対して文字認識処理を行うことでも、文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態の第2変形例として、上記読取処理においてデコードが失敗した場合でも(S109でNo)、その失敗したデコードのセル配列方向を検出できる場合には、上述したように、検出されたセル配列方向を基準に文字情報が認識しやすくなるように回転補正等した撮像画像に対して文字認識処理を行うことで、文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0072】
情報コードのセル配列方向F1を基準に回転補正等した撮像画像に対して文字認識処理を行う本実施形態及び変形例等の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0073】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る情報読取装置及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
本第4実施形態では、明度差が小さな情報コードを補正対象外とする点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
例えば、印刷媒体の表面側に文字情報が印刷されるとともに裏面側に情報コードが印刷されており、その表面側の文字情報を撮像して文字認識する際に、その撮像画像に、裏面側の情報コードが薄くかすんだ状態で写り込んでしまう場合がある。また、ペットボトル等の透明部材の一面に表示された文字情報を撮像して文字認識する際に、その撮像画像に、透明部材の反対側の面の情報コードが薄くかすんだ状態で写り込んでしまう場合がある。
【0075】
このような撮像画像では、情報コードの少なくとも一部が文字情報に重なっている状態で撮像されている場合に、制御部21にてなされる読取処理においてデコード処理が成功すると、情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されてしまうために、文字情報の一部が欠損してしまうという問題がある。例えば、図16(A)に示すように、薄くかすんだバーコードBが文字情報Wに重なるように撮像画像P10aが撮像されており、このバーコードBのデコードが成功すると、図16(B)に示すように、上記ステップS111の第1画像補正処理にてバーコードBに相当する範囲が白色の画像範囲に補正されるために、文字情報Wの一部が欠損してしまう。
【0076】
そこで、本実施形態では、読み取られた情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとの撮像画像における明暗差(情報コードの明度差)が所定の明暗差閾値以上となる場合に、撮像画像のうち、情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像を補正する。すなわち、上述のように裏面側の情報コードが薄くかすんだ状態で写り込んでしまうような撮像状態では、情報コードの明度差が上記所定の明暗差閾値未満となることで、情報コードに相当する範囲を補正対象外とする。
【0077】
以下、本実施形態において、制御部21にてなされる読取処理について、図15に示すフローチャートを参照して詳述する。
上記第1実施形態と同様に、撮像画像の明暗分布に基づいて明暗判定閾値が設定され(図15のS103)、そのデコード処理が成功すると(S109でYes)、ステップS151に示す判定処理がなされる。この判定処理では、デコードに成功した情報コードを構成する明色系セルと暗色系セルとの撮像画像における明暗差(例えば、PCS(Print Contrast Signal)値)が求められて、この情報コードの明暗差が所定の明暗差閾値以上であるか否かについて判定される。
【0078】
ここで、例えば、図4(A)に示すように、鮮明なバーコードBが撮像されていることから、情報コードの明度差が高くなって上記所定の明暗差閾値以上になると、ステップS151にてYesと判定されて、上記ステップS111以降の処理がなされる。
【0079】
一方、例えば、図16(A)に示すように、薄くかすむように不鮮明な状態でバーコードBが撮像されていることから、情報コードの明度差が低くなって上記所定の明暗差閾値未満になると、ステップS151にてNoと判定される。この場合には、上記ステップS111の第1画像補正処理がなされることなく、上記ステップS115の文字認識処理がなされる。すなわち、薄くかすむように不鮮明な状態で撮像されたバーコードBが補正対象外となる。
【0080】
このように、本実施形態では、情報コードの明暗差が所定の明暗差閾値以上となる場合に、その情報コードに相当する範囲が補正対象となり、情報コードの明暗差が上記所定の明暗差閾値未満となる場合には、その情報コードに相当する範囲が補正対象とならなくなる。このため、意図しない情報コードが薄くかすんだ状態で文字情報に重なるように撮像される場合であっても、画像補正に起因する文字情報の欠損等を防止することができる。
【0081】
なお、本実施形態の変形例として、情報コードの明暗差が上記所定の明暗差閾値未満となる場合には、撮像画像において情報コードに相当する範囲のうち、当該情報コードを構成する明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正されてもよい。この場合には、図16(A)に例示する撮像画像P10aが撮像されていると、図16(C)に示す撮像画像P10cのように、撮像画像P10aのうち、バーコードBの明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0082】
これにより、意図しない情報コードが薄くかすんだ状態で文字情報に重なるように撮像される場合であっても、鮮明な文字情報は補正されずに不鮮明でかすれた情報コードの部分のみが補正対象となるため、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0083】
なお、明度差が小さな情報コードを補正対象外とする本実施形態の特徴的構成や情報コードの明色系セルと同じ明度になる範囲と暗色系セルと同じ明度になる範囲とが単色の画像範囲となるように撮像画像を補正する変形例の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0084】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係る情報読取装置及びプログラムについて、図面を参照して説明する。
本第5実施形態では、情報コードのコード領域内に文字認識すべき文字情報が配置される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
文字認識すべき文字情報は、情報コードの近くに配置されることに限らず、複数の明色系セル及び暗色系セルを配列してなる情報コードのコード領域内に配置される場合がある。例えば、図17(A)に例示する撮像画像P11aの情報コードCのように、コード領域Ca内に明色系セル及び暗色系セルと異なる空き領域Cbが設けられて、この空き領域Cb内に文字情報Wが配置される場合がある。
【0086】
このように情報コードのコード領域内に配置される文字情報を撮像した場合、上記第1実施形態における読取処理では、デコードに成功した情報コードに相当する範囲が単色の画像範囲に補正されるため、コード領域内の文字情報も単色の画像範囲に補正されてしまうという問題がある。
【0087】
そこで、本実施形態における読取処理では、ステップS111の第1画像補正処理において、空き領域を有する情報コードが読み取られている場合には、撮像画像のうち、コード領域に相当する範囲を補正対象から除外する。このため、例えば、空き領域を有する情報コードには、空き領域を有することを示す情報やコード領域に占める空き領域の範囲を示す情報等を読取可能に記録することで、読み取った情報コードが空き領域を有しているか否かや空き領域の範囲等を、情報読取装置10にて容易に把握することができる。
【0088】
これにより、空き領域内に文字認識すべき文字情報が配置される場合には、その文字情報が情報コードとともに単色の画像範囲となるように補正されてしまうことを防止することができる。
【0089】
本実施形態の変形例として、空き領域を有する情報コードが読み取られる場合には、ステップS111の第1画像補正処理において、撮像画像のうち、コード領域から空き領域を除いた範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正されてもよい。この場合には、図17(A)に例示する撮像画像P11aが撮像されていると、図17(B)に示す撮像画像P11bのように、撮像画像P11aのうち、コード領域Caから空き領域Cbを除いた範囲が単色の画像範囲となるように当該撮像画像が補正される。
【0090】
このようにしても、空き領域内に文字認識すべき文字情報が配置される場合には、その文字情報が単色の画像範囲となるように補正されてしまうことを防止することができる。特に、コード領域から空き領域を除いた範囲が単色の画像範囲となるように補正されるため、文字認識すべき文字情報の周囲が単色の画像範囲となるので(図17(B)参照)、文字認識部による文字認識精度をより一層向上させることができる。
【0091】
なお、空き領域を有する情報コードを読み取った際にコード領域に相当する範囲を補正対象から除外する本実施形態の特徴的構成や空き領域を有する情報コードを読み取った際にコード領域から空き領域を除いた範囲が単色の画像範囲となるように撮像画像を補正する変形例の特徴的構成は、他の実施形態等にも適用することができる。
【0092】
なお、本発明は上記各実施形態及び変形例等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、情報コードのうちバーコードのみを読取対象とする情報読取装置に適用されてもよい。この場合、上記読取処理におけるデコード処理では、バーコードのみをデコード対象とすることに限らず、他のコード種別の一次元コードをデコード対象としてもよい。一次元コードのデコードに要する時間は、二次元コードに対して短くなるため、全てのコード種別の一次元コードについてデコード処理を行っても、本読取処理に関して読取時間に与える影響が少ないからである。
【0093】
(2)上記読取処理では、文字認識処理の認識結果にかかわらず、デコード処理のデコード結果を利用した処理を行ってもよい。
【0094】
(3)本発明は、スマートフォンなどの携帯型の情報処理端末に対して上記読取アプリがインストールされることで構成される情報読取装置に適用されることに限らず、例えば、RFタグ等の無線タグを読み書き可能な無線タグ処理機能などの他の機能を有する携帯端末に対して上記読取アプリ等がインストールされることで構成される情報読取装置に適用されてもよいし、据え置き型の情報読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
10…情報読取装置
21…制御部(情報コード読取部,文字認識部,コード判定部,明暗反転判定部,検出部)
23…撮像部
B…バーコード(情報コード)
F1…セル配列方向
F2…文字配列方向
W…文字情報
図1
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