(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】搬送昇降機
(51)【国際特許分類】
B02B 7/02 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
B02B7/02 109
(21)【出願番号】P 2019158564
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-07-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 博覧会名:FOOMA JAPAN 2019 開催日:令和元年7月9日~12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽理
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-071922(JP,A)
【文献】実開昭60-162513(JP,U)
【文献】特開平06-135525(JP,A)
【文献】実開昭56-148009(JP,U)
【文献】実開平06-016318(JP,U)
【文献】特開2007-045627(JP,A)
【文献】特開2002-193418(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106379692(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
B65G 17/00 - 17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、
前記搬送昇降機は、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、
前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え
、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、
前記カバーは
、前記ボディに対して開閉可能に
軸支されて設けられ
、
前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに
前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出されることを特徴とする搬送昇降機。
【請求項2】
前記カバーは、前記ボディに対して、前記搬送装置の搬送方向と平行な軸に設けられたヒンジを介して軸支されていることを特徴とする
請求項1に記載の搬送昇降機。
【請求項3】
駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、
前記搬送昇降機は、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、
前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え
、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、
前記カバーは
、前記ボディに対して開閉可能に設けられ
、
前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに
前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出され
、
前記搬送装置は、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送するものであって、
上部に設けられる前記駆動プーリ又は前記従動プーリの回転軸は、前記ボディ側の端部から前記カバー側の端部に向かって次第に高くなるよう傾斜していることを特徴とする搬送昇降機。
【請求項4】
駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、
前記搬送昇降機は、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、
前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え
、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、
前記カバーは
、前記ボディに対して開閉可能に設けられ
、
前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに
前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出され
、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方の位置を、前記搬送装置の搬送方向に沿って調整することが可能な位置調整装置を備え、
前記位置調整装置の操作部が、前記バケットベルトで囲まれた内側であって、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に設けられ、
前記カバーは、前記カバーを開けたときに前記操作部が外部に露出されることを特徴とする搬送昇降機。
【請求項5】
前記搬送装置は、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送するものであって、
前記操作部の上方に塵除け覆い体を備えたことを特徴とする
請求項4に記載の搬送昇降機。
【請求項6】
駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、
前記搬送昇降機は、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、
前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え
、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、
前記カバーは
、前記ボディに対して開閉可能に設けられ
、
前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに
前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出され
、
前記ボディの前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸と直交する側面に隔壁を設け、前記隔壁の前記バケットベルトで囲まれた内側の位置から前記カバー側に張り出したブラケットを備えており、
前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくともいずれか一方の回転軸は、両端が支持されており、前記回転軸の一端は前記隔壁に支持され、前記回転軸の他端は前記ブラケットに支持されていることを特徴とする搬送昇降機。
【請求項7】
前記カバーは、前記ボディに対して軸支されていることを特徴とする
請求項3乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の搬送昇降機。
【請求項8】
前記カバーは、前記ボディに対して、前記搬送装置の搬送方向と平行な軸に設けられたヒンジを介して軸支されていることを特徴とする
請求項7に記載の搬送昇降機。
【請求項9】
前記カバーが開いている時、前記バケットベルトの循環を停止させる安全装置が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の搬送昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物等を揚送する搬送昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
穀物の自動計量装置等に用いられる搬送昇降機に用いられる搬送装置は、上下方向に間隔をおいて設置された駆動プーリ及び従動プーリと、両プーリに掛け渡され懸架された環状のバケットベルトとから成るバケットコンベアを細長い揚送路内に設置するのが一般的である。
【0003】
バケットコンベアのバケットベルトは、被搬送物が付着して汚れるだけでなく、劣化もするので、掃除や交換が必要になる。しかし、バケットベルトが設置された揚送路は、被搬送物の飛散を防ぎ、作業員の安全性を確保するため、機体で四方を囲まれており、上下端に狭い開口部が形成されているだけなので、清掃するだけでも難しかった。しかも、交換する際には、環状のバケットベルトをいったん切り離して取り外し、長尺で重量のある帯状の新たなバケットベルトを上下の狭い開口部を通して両プーリに掛け回し、専用器具などを用いて手作業で環状に接合しなければならず、交換作業に要する負担は大きく、非常に手間がかかった。
【0004】
そこで、従来、上部プーリと下部プーリ間に、多数のバケットを取り付けた搬送ベルトを懸架して自立状搬送ユニットを構成し、自立状搬送ユニットを着脱自在のカバーで両側から覆って穀類搬送路を形成した穀類搬送昇降機が特許文献1に開示されている。
この昇降機は、カバーを外すことによって自立状搬送ユニットが大きく露出するので、搬送路内部に付着した糠等を容易に、かつ、確実に除去することができ、内部の保守点検も容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載のような穀類搬送昇降機は、カバーをはずした時に、搬送ベルトの大半は露出されることができるが、上部プーリおよび下部プーリの部分が露出されず、また、上部プーリおよび下部プーリの回転中心軸の両端は露出されずに支持されているので、作業空間は広くなるものの、搬送ベルトを環状のまま上部プーリおよび下部プーリに着脱することができず、ベルト交換に要する手間や作業負担は大きいままであった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、昇降機ケースの内部に設置された搬送装置を簡単に清掃することができ、バケットベルトを環状のまま駆動プーリ及び従動プーリに着脱することが可能で、バケットベルトの組み込みおよび交換が容易な搬送昇降機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に係る発明は、駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、前記搬送昇降機は、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、前記カバーは、前記ボディに対して開閉可能に軸支されて設けられ、前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出されることを特徴とする搬送昇降機である。
本願請求項2に係る発明は、前記カバーは、前記ボディに対して、前記搬送装置の搬送方向と平行な軸に設けられたヒンジを介して軸支されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送昇降機である。
本願請求項3に係る発明は、駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、前記搬送昇降機は、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、前記カバーは、前記ボディに対して開閉可能に設けられ、前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出され、前記搬送装置は、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送するものであって、上部に設けられる前記駆動プーリ又は前記従動プーリの回転軸は、前記ボディ側の端部から前記カバー側の端部に向かって次第に高くなるよう傾斜していることを特徴とする搬送昇降機である。
本願請求項4に係る発明は、駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、前記搬送昇降機は、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、前記カバーは、前記ボディに対して開閉可能に設けられ、前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出され、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方の位置を、前記搬送装置の搬送方向に沿って調整することが可能な位置調整装置を備え、前記位置調整装置の操作部が、前記バケットベルトで囲まれた内側であって、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に設けられ、前記カバーは、前記カバーを開けたときに前記操作部が外部に露出されることを特徴とする搬送昇降機である。
本願請求項5に係る発明は、前記搬送装置は、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送するものであって、前記操作部の上方に塵除け覆い体を備えたことを特徴とする請求項4に記載の搬送昇降機である。
本願請求項6に係る発明は、駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、前記搬送昇降機は、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーと、を備え、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、前記カバーは、前記ボディに対して開閉可能に設けられ、前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリは、前記カバーを開けたときに前記バケットベルトを環状にしたまま着脱できるよう、外部に露出され、前記ボディの前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸と直交する側面に隔壁を設け、前記隔壁の前記バケットベルトで囲まれた内側の位置から前記カバー側に張り出したブラケットを備えており、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくともいずれか一方の回転軸は、両端が支持されており、前記回転軸の一端は前記隔壁に支持され、前記回転軸の他端は前記ブラケットに支持されていることを特徴とする搬送昇降機である。
本願請求項7に係る発明は、前記カバーは、前記ボディに対して軸支されていることを特徴とする請求項3乃至請求項6のうちいずれか1項に記載の搬送昇降機である。
本願請求項8に係る発明は、前記カバーは、前記ボディに対して、前記搬送装置の搬送方向と平行な軸に設けられたヒンジを介して軸支されていることを特徴とする請求項7に記載の搬送昇降機である。
本願請求項9に係る発明は、前記カバーが開いている時、前記バケットベルトの循環を停止させる安全装置が設置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の搬送昇降機である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
手段1は、駆動プーリと、従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に懸架され循環するバケットベルトとを有し、被搬送物を搬送する搬送装置を備えた搬送昇降機であって、前記搬送昇降機は、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸を支持するボディと、前記搬送装置の前記回転軸と略直交する側面を覆うことが可能なカバーとを備え、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸は、前記カバーに支持されておらず、前記カバーは前記ボディに対して開閉可能に設けられるとともに、前記カバーを開けたときに前記バケットベルト、前記駆動プーリ及び前記従動プーリが外部に露出されることを特徴とする搬送昇降機である。
【0009】
手段2は、前記カバーは、前記ボディに対して軸支されていることを特徴とする手段1に記載の搬送昇降機である。
【0010】
手段3は、前記カバーは、前記ボディに対して、前記搬送装置の搬送方向と平行な軸に設けられたヒンジを介して軸支されていることを特徴とする手段2に記載の搬送昇降機である。
【0011】
手段4は、前記搬送装置は、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送するものであって、上部に設けられる前記駆動プーリ又は前記従動プーリの回転軸は、前記ボディ側の端部から前記カバー側の端部に向かって次第に高くなるよう傾斜していることを特徴とする手段1乃至手段3のうちいずれかに記載の搬送昇降機である。
【0012】
手段5は、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくとも一方の位置を、前記搬送装置の搬送方向に沿って調整することが可能な位置調整装置を備えることを特徴とする手段1乃至手段4のうちいずれかに記載の搬送昇降機である。
【0013】
手段6は、前記位置調整装置の操作部が、前記バケットベルトで囲まれた内側であって、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に設けられ、前記カバーは、前記カバーを開けたときに前記操作部が外部に露出されることを特徴とする手段5に記載の搬送昇降機である。
【0014】
手段7は、前記搬送装置は、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送するものであって、前記操作部の上方に塵除け覆い体を備えたことを特徴とする手段6に記載の搬送昇降機である。
【0015】
手段8は、前記ボディの前記駆動プーリ及び前記従動プーリの回転軸と直交する側面に隔壁を設け、前記隔壁の前記バケットベルトで囲まれた内側の位置から前記カバー側に張り出したブラケットを備えており、前記駆動プーリ及び前記従動プーリの少なくともいずれか一方の回転軸は、両端が支持されており、前記回転軸の一端は前記隔壁に支持され、前記回転軸の他端は前記ブラケットに支持されていることを特徴とする手段1乃至手段7のうちいずれかに記載の搬送昇降機である。
【0016】
手段9は、前記カバーが開いている時、前記バケットベルトの循環を停止させる安全装置が設置されていることを特徴とする手段1乃至手段8のうちいずれかに記載の搬送昇降機である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、駆動プーリ及び従動プーリの回転軸がカバーに支持されておらず、ボディに対して開閉可能に設けられ、回転軸と直交する側面を覆うことが可能なカバーを開けることにより、バケットベルト、駆動プーリ及び従動プーリが外部に露出されるので、バケットベルトを環状のまま駆動プーリ及び従動プーリに着脱することができ、このため、バケットベルトを交換する際に切断したり接合する手間が省け、交換作業の負担を軽減できる。また、露出された搬送装置およびその周囲の清掃も容易となる。
【0018】
加えて、カバーは、ボディに対して軸支されているので、カバーを開いてもカバーがボディに支持されており、メンテナンス作業時にカバーを置くスペースを確保する必要がない。
【0019】
加えて、カバーは、ボディに対して、搬送装置の搬送方向と平行な軸に設けられたヒンジを介して軸支されているので、カバーを開きやすく、搬送装置の搬送方向と直交する軸に設けられたものに比して、カバーを開いたときのカバーが開くスペースを少なくすることができる。
【0020】
加えて、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送する搬送装置であって、上部に設けられる前記駆動プーリ又は前記従動プーリの回転軸を、ボディ側の端部からカバー側の端部に向かって次第に高くなるよう傾斜させれば、バケットベルトが従動プーリのカバー側から外れて落下するのを防止できる。
【0021】
加えて、駆動プーリ及び従動プーリの少なくとも一方の位置を、搬送装置の搬送方向に沿って調整することが可能な位置調整装置を備えると、バケットベルトの着脱がさらに容易となり、また、バケットベルトにテンションをかけてスリップしないよう回転させることができる。
【0022】
加えて、位置調整装置の操作部を、バケットベルトで囲まれた内側であって、駆動プーリと従動プーリとの間に設け、カバーを開けたときに操作部が外部に露出させるようにすることで、位置調整装置の操作部に容易にアクセスでき調整作業が行いやすくなる。
【0023】
加えて、上部又は下部のいずれか一方に前記駆動プーリが設けられるとともに、上部又は下部のいずれか他方に前記従動プーリが設けられ上下方向に被搬送物を搬送する搬送装置であって、位置調整装置の操作部の上方に塵除け覆い体を備えるようにすれば、バケットベルトで搬送される被搬送物が位置調整装置の操作部に付着しにくく、位置調整操作が影響を受けにくい。
【0024】
加えて、ボディの駆動プーリ及び従動プーリの回転軸と直交する側面に隔壁を設け、隔壁のバケットベルトで囲まれた内側の位置からカバー側に張り出したブラケットを備えており、駆動プーリ及び従動プーリの少なくともいずれか一方の回転軸が両端で支持されており、回転軸の一端は隔壁に支持され、回転軸の他端はブラケットに支持されているので、回転軸を両端で支持することができ、プーリの構造が安定する。
【0025】
加えて、カバーが開いている時、バケットベルトの循環を停止させる安全装置を設置すれば、被搬送物の飛散や、作業員がバケットベルトに触れて傷つく事故を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機の前方斜視図。
【
図2】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機の後方斜視図。
【
図3】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機の部分断面図。
【
図4】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機の上部拡大断面図。
【
図5】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機の下部拡大断面図。
【
図6】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機のカバー開放状態における搬送装置の要部側面図。
【
図7】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機のカバー開放状態における後方斜視図。
【
図8】本発明の実施形態を示す穀類搬送昇降機のバケットベルトを取り出した状態における後方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。本実施形態では、搬送昇降機は、被搬送物を穀粒とした穀類搬送装置として説明する。
【0028】
図1、
図2及び
図7に示すように、穀類搬送昇降機1は、米等の穀物を揚送して袋に投入し、自動計量するものであって、ボディ2と、ボディ2の背面側に取り付けられた搬送装置3と、搬送装置3を覆うカバー7と、を備えている。
カバー7の下部には、穀類搬送昇降機1内に穀物を投入するための投入口5が設けられ、ボディ2の上部には、搬送装置3で揚送された穀物を排出する排出口4が設けられる。また、排出口4の下方には、紙袋を載置するための計量器が設置されるようになっている。
【0029】
カバー7は、ボディ2に開閉可能に設けられている。カバー7は、ボディ2に対して軸支されており、カバー7を閉じたときには搬送装置3を外側から覆い、カバー7を開けたときに搬送装置3が外部に露出される。
図3~
図5に示すように、ボディ2には、取り付けられる搬送装置3を支持する隔壁8が形成されている。隔壁8は、ボディ2内部とボディ2外部の搬送装置3側とを画するもので、搬送装置3の一方の側面側に位置し、上下方向に長い搬送装置3に沿って形成されている。
【0030】
図7に示すように、カバー7は、ボディ2の側部の搬送装置3の搬送方向と平行な軸(上下方向に沿う軸)に設けられたヒンジを介して開閉可能に軸支されている。カバー7は、外側へ開く片開き状にボディ2に取り付けられている。
カバー7は、一枚ものであり、カバー7が閉じボディ2の隔壁8に対向するように位置したときに搬送装置3を覆うように構成され、外部に露出しないようになる。この状態で、搬送装置3は、ボディ2及びカバー7によって形成される空間に収納されることになる。
【0031】
搬送装置3は、
図3~
図6に示すように、下部に設けられる駆動プーリ9と、上部に設けられる従動プーリ10と、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に懸架され上下方向に循環する環状のバケットベルト11とを有する。
駆動プーリ9の回転軸9aと、従動プーリ10の回転軸10aとは略平行であり、隔壁8から略直角に配置され、支持されている。
バケットベルト11の外周面には、多数のバケット12が周方向に等間隔で取り付けられている。
【0032】
図3及び
図4に示すように、従動プーリ10は、その回転軸10aの一端が隔壁8の上部に支持されている。
従動プーリ10の回転軸10aは、隔壁8によって片持ちで支持されている。回転軸10aは、固定端であるボディ2の隔壁8側の端部から自由端であるカバー7側の端部に向かって次第に高くなるよう傾斜している。このように傾斜角度を設けることで、従動プーリ10を片持ち支持したとしてもバケットベルト11が外れにくくなる。回転軸10aの傾斜角度は、1度程度のわずかなものであって、駆動プーリ9と従動プーリ10とでバケットベルト11を循環駆動させるのに問題はなく、環状のままバケットベルト11を着脱する作業にも支障がないものである。
【0033】
図3及び
図5に示すように、駆動プーリ9は、その回転軸9aの一端部が隔壁8を貫通してモータ13の出力軸に接続されている。モータ13は、ボディ2の内部に設置され、隔壁8で支持されている。
また、隔壁8は、その下部であって、バケットベルト11で囲まれた内側の位置からカバー7側に張り出したブラケット22を備えている。ブラケット22の先端は駆動プーリ9の端面と平行に屈曲しており、この屈曲した部分に設けられたベアリング21によって回転軸9aの他端が支持されている。駆動プーリ9の回転軸9aは両端が隔壁8に支持されており、駆動プーリ9の構造が安定する。
ブラケット22は、環状に懸架されたバケットベルト11で囲まれた内側に全体の部品が配置されるので、バケットベルト11の着脱にも支障がない。
【0034】
このように駆動プーリ9及び従動プーリ10の回転軸9a、10aは、ボディ2に支持されており、カバー7には支持されていない。そして、カバー7を閉めた際には、カバー7は、搬送装置3の回転軸9a、10aと略直交する側面に対向して位置し覆うことになる。
【0035】
図4に示すように、従動プーリ10の回転軸10aは、隔壁8の裏面上部に重なった支持ベース14にベアリング21を介して回動自在に取り付けられる。
支持ベース14が、隔壁8に対して搬送装置3の搬送方向である上下方向に沿って移動可能となるようにされ、以下のように従動プーリ10の位置を調整することができる位置調整装置を構成している。
支持ベース14の両側端部は、隔壁8の裏面に上下方向に沿って固定された一対のガイドレール16に摺動自在に係合されている。支持ベース14は、
図4及び
図6に示すように、バケットベルト11で囲まれた内側において、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に設置された位置調整装置の操作部19に接続されている。操作部19は、アジャストボルト17と、アジャストボルト17の上端部に連結されテンションバネ18とから成り、支持ベース14はテンションバネ18によって下から上に向って付勢されている。
【0036】
そして、操作部19のアジャストボルト17を回転操作することにより、テンションバネ18を昇降させて支持ベース14の高さを調整し、支持ベース14に取り付けられた従動プーリ10の上下方向の位置を調整することができる。
また、位置調整装置の操作部19の上方には、庇状の塵除け覆い体20が隔壁8から張り出している。このため、バケットベルト11で搬送される穀物や、搬送空間内に飛散した粉粒が落下して位置調整装置の操作部19に付着するのを抑制し、アジャストボルト17の操作に支障がないようになる。
【0037】
モータ13を駆動させると駆動プーリ9が回転し、駆動プーリ9及び従動プーリ10に懸架されたバケットベルト11が上下方向に循環回転するとともに、従動プーリ10が駆動プーリ9と同じ方向に回転する。
そして、バケットベルト11の循環に伴って、搬送空間の下部においてバケット12に収容された穀物が、上部へ搬送されてバケット12から排出され、空のバケット12が搬送空間の下部へ降下する。
【0038】
穀物の揚送中は、
図2に示すように、カバー7を閉じて搬送空間を閉鎖している。
図7に示すようにカバー7を開けると、カバー7で覆われていた駆動プーリ9、従動プーリ10、及び、バケットベルト11が外部に大きく露出する。すなわち、搬送装置3のカバー側の側面がすべて露出する。
このため、これら駆動プーリ9、従動プーリ10、及び、バケットベルト11、並びに搬送空間の内部に付着した糠等を簡単に清掃することができる。
【0039】
また、駆動プーリ9の回転軸9a及び従動プーリ10の回転軸10aの端部は、カバー7に支持されていない状態で、外部に露出されることになるので、バケットベルト11を環状のまま駆動プーリ9及び従動プーリ10に着脱することができる。
例えば、バケットベルト11を交換するときには、位置調整装置の操作部19のアジャストボルト17を操作して、支持ベース14と、これに支持された従動プーリ10を降下させる。すると、駆動プーリ9と従動プーリ10とが接近してバケットベルト11が緩むので、
図8に示すように、簡単に古いバケットベルト11を環状のまま外すことができる。なお、
図8において、位置調整装置の操作部は記載を省略している。
【0040】
そして、新たなバケットベルト11を環状のままで、駆動プーリ9と降下させた従動プーリ10の間に巻き掛けた後、操作部19のアジャストボルト17を操作して、支持ベース14及び従動プーリ10を上昇させる。
すると、駆動プーリ9と従動プーリ10との距離が遠ざかりバケットベルト11が緊張し、バケットベルト11はスリップすることなく安定して循環するようになる。
このように、カバー7を開けたときに、駆動プーリ9の位置調整装置の操作部19も外部に露出されることになるので、簡単に操作部19にアクセスすることができる。
また、バケットベルト11の着脱だけでなく、バケットベルト11のテンションの調整も簡単に行うことができる。
【0041】
なお、カバー7を開けて搬送装置3を大きく露出させた状態でバケットベルト11が循環すると、バケットベルト11で揚送中の穀物が飛散したり、作業員がバケットベルト11に触れて怪我をする恐れがあるので、カバー7が開いていることを検知してモータ13の駆動を規制し、カバー7が開いている時は、バケットベルト11の循環を停止させる安全装置を設置するようにしても良い。
【0042】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0043】
本実施形態では、昇降機は穀物を揚送するものであったが、これに限られず、被搬送物はバケットベルトで搬送できるものであれば良い。
【0044】
本実施形態では、一枚の片開きのカバーがボディに軸支されて、カバーが閉じることで搬送装置の側面全体を覆うようになっていたが、上下方向の分割線で水平方向に2分割して、観音開きの2枚のカバーで覆うようにしても良い。
また、カバーを水平方向の分割線で上下方向に2以上に分割しても良い。
【0045】
本実施形態では、カバーは、ボディに対して、搬送装置の搬送方向(上下方向)と平行な軸に設けられたヒンジを介して開閉可能に軸支されていたが、これに限られない。搬送装置の搬送方向と直交する方向(水平方向)の軸に設けられたヒンジを介して開閉可能に軸支するようにしても良い。
また、カバーを水平方向の分割線で上下方向に例えば3分割し、上部のカバーは搬送装置の搬送方向と直交する方向(水平方向)の軸に設けられたヒンジ、中間部のカバーは搬送装置の搬送方向(上下方向)と平行な軸に設けられたヒンジ、下部のカバーは搬送装置の搬送方向と直交する方向(水平方向)の軸に設けられたヒンジを介して、ボディに軸支されるようにしても良い。
【0046】
本実施形態では、カバーは、ボディに対して開閉可能に軸支されていたが、これに限られない。カバーを開けたときにバケットベルト、駆動プーリ及び従動プーリが外部に露出されるようなものであれば良い。
【0047】
本実施形態では、上部に位置する従動プーリを上下方向に位置調整可能としてある。これは、バケットベルトの下端部においてバケットで穀物をすくう際に、穀粒の破砕を防ぐには搬送装置の底部と最下端のバケットとの間に5~10mmの隙間が必要であるところ、下部に位置する駆動プーリを位置調整する構成とすると、最終的に、この隙間を確保するための調整作業が必要となるため、その必要がない上部に位置する従動プーリの位置を調整し、下部の駆動プーリを固定するようにしている。
従って、被搬送物が破砕されにくいものや、破砕されても特に問題ないもの、下部での微妙な調整作業が見込めなくても問題ないものであれば、下部の駆動プーリに位置調整装置を設けても良い。
また、上部の従動プーリ及び下部の駆動プーリの双方に位置調整装置を設けても良い。
さらに、位置調整する機構は、上記実施形態に記載のものに限定されるものではない。
【0048】
本実施形態では、重いモータをボディの下部に設置するほうが好ましいため、下部を駆動プーリとし、上部を従動プーリとしてあるが、下部を従動プーリ、上部を駆動プーリとすることも可能である。
また、ボディの下部に設置したモータは、隔壁で支持せずに、ボディの底面で支持してもよい。
【0049】
本実施形態では、下部の駆動プーリの回転軸を両持ち支持にするためにブラケットを設ける構成にしたが、上部の従動プーリにブラケットを適用しても良い。
【0050】
本実施形態では、上部に設けた従動プーリの回転軸をボディ側の端部から前記カバー側の端部に向かって次第に高くなるよう傾斜させたが、上部に駆動プーリを設けた場合でも駆動プーリの回転軸を同様に傾斜させても良い。
【0051】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 穀類搬送昇降機
2 ボディ
3 搬送装置
4 排出口
5 投入口
7 カバー
8 隔壁
9 駆動プーリ
9a 回転軸
10 従動プーリ
10b 回転軸
11 バケットベルト
12 バケット
13 モータ
14 支持ベース
16 ガイドレール
17 アジャストボルト
18 テンションバネ
19 操作部
20 塵除け覆い体
21 ベアリング
22 ブラケット