(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】梱包体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/113 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
B65D81/113 100A
(21)【出願番号】P 2019180079
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】武田 健嗣
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-007176(JP,U)
【文献】特開2001-122248(JP,A)
【文献】特開2007-008483(JP,A)
【文献】特開2004-175424(JP,A)
【文献】特開2000-344229(JP,A)
【文献】特開2005-271926(JP,A)
【文献】特開2010-132340(JP,A)
【文献】特開2011-020697(JP,A)
【文献】特開2006-076585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/113
B65D 5/468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に物品が載せられる下部緩衝材と、前記物品を囲むように前記下部緩衝材の上面に被せられ側面に手掛け部が形成された上部緩衝材と、前記下部緩衝材及び前記上部緩衝材の周囲を覆う箱とを備える梱包体において、
前記手掛け部は、前記上部緩衝材の前記側面に形成された第1の凹部と、該第1の凹部の奥部の上内壁に上方向に窪むように形成された第2の凹部を備え
、
前記上部緩衝材は、前記物品の左側面、前面の左側および後面の左側部分を含む左側を覆う上部第1緩衝材と、前記物品の右側面、前面の右側および後面の右側部分を含む右側を覆う上部第2緩衝材とに分離され、前記上部第1緩衝材、前記上部第2緩衝材および前記下部緩衝材が為す空間に前記物品が備える配管が配置されることを特徴とする梱包体。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包体において、
前記第1の凹部は下面が開放され、該開放された下面の周囲がコ字形状の枠部で囲まれていることを特徴とする梱包体。
【請求項3】
請求項
2に記載の梱包体において、
前記上部緩衝材の前記枠部は、前記下部緩衝材の上面縁部に当接することを特徴とする梱包体。
【請求項4】
請求項1
、2又は3に記載の梱包体において、
前記箱は、前記下部緩衝材が嵌められる下部箱と、前記上部緩衝材の上面から前記下部箱の側面まで被せられる上部箱とからなり、
前記上部箱の側面に、前記上部緩衝材の前記手掛け部に対応する舌片が、上側が折り曲がるように形成されていることを特徴とする梱包体。
【請求項5】
請求項
4に記載の梱包体において、
前記
上部箱の側面に形成された舌片は、その上下方向の長さが、前記手掛け部の前記第2の凹部まで届く長さに設定されていることを特徴とする梱包体。
【請求項6】
請求項1、2、3、4又は5に記載の梱包体において、
前記上部緩衝材は、前記側面と後面と前面と上面を備え、
前記手掛け部は、前記上部緩衝材の前記側面の中央よりも、前記側面と前記前面と前記上面とが集まる角部に寄った位置、
および、前記側面と前記後面と前記上面とが集まる角部に寄った位置に形成されていること
、ならびに、
前記下部緩衝材は前記上部緩衝材の前記前面の側に、前記物品が備える前記配管を収容する溝を備えることを特徴とする梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖切替ユニット等の物品の周囲を被覆する緩衝材を箱で覆った梱包体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、冷暖同時型空気調和機が提案されている。この冷暖同時型空気調和機は、室外機と複数の室内機を備え、ある室内機については暖房運転を行い別の室内機については冷房運転を行うことを同時に実現できるようにしたものである。この冷暖同時型空気調和機には、室外機と複数の室内機の間に、各室内機に流れる冷媒の流通方向を切り替える冷暖切替ユニットが備えられている。
【0003】
図10にこの種の冷暖切替ユニット500を示す。この冷媒切替ユニット500は、直方体形状の板金製の筐体510の左側面511と右側面512から、室外機(図示せず)や図示しない別の切替ユニットに接続される液管520、吐出(高圧)ガス管530、吸込(低圧)ガス管540がそれぞれ引き出されている。また、前面513からは、液管520に接続された液管550と、吐出ガス管530又は吸込ガス管540に接続されるガス管560とを1組とするペア配管が、12組引き出されている。これにより、この冷暖切替ユニット500は、最大で12台の室内機に接続可能となっている。筐体510の内部には、当該室内機を冷房運転させる際はガス管560を吐出ガス管530に接続し、暖房運転させる際はガス管560を吸込ガス管540に接続する図示しない電磁切換弁が、各ガス管560毎に組み込まれている。筐体510の後面514には電磁切換弁を切り替える図示しない制御装置が搭載されている。
【0004】
このような冷暖切替ユニット500は、搬送のために、冷暖切替ユニット500の周囲を緩衝材10(後記する
図12で示す)で覆い、その緩衝材10の下部を下部段ボール箱30に嵌め、その緩衝材10の上部に上部段ボール箱40を被せ、その上部段ボール箱40と下部段ボール箱30の外側を、
図11に示すように、梱包バンド50で締め付け、梱包体60としている。類似の構造として、特許文献1に、室内機の周囲を緩衝材で覆い、その緩衝材の周囲を段ボール箱で覆った梱包体が記載されている。
【0005】
ところで、梱包体60には、その梱包体60を運搬車や貨車等に対して積み下ろしする際に作業員が手で運ぶために、
図11、
図12に示すように、緩衝材10の所定の側面に、凹形状の手掛け部11が形成されている。そして、上部段ボール箱40の側面に切り込みで形成した舌片41が、緩衝材10の手掛け部11の上内壁11aに接するように折り込み可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この手掛け部11に手80を掛ける場合、
図12に示すように、緩衝材10の手掛け部11の上内壁11aを手80の指82で支持することなる。しかし、手80の指82だけで梱包体60を持ち上げるためには指82に大きな荷重がかかり、梱包体60の重量が大きくなると、その梱包体60を持ち上げることができなくなるおそれがある。また、指82の力が十分でないと、例えば
図13に示すように、上部段ボール箱40設けられている舌片41が滑り、手掛け部11の上内壁11aから外れて、梱包体60を落下させるおそれもある。
【0008】
本発明の目的は、容易に搬送できる梱包体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態は、上面に物品が載せられる下部緩衝材と、前記物品を囲むように前記
下部緩衝材の上面に被せられ側面に手掛け部が形成された上部緩衝材と、前記下部緩衝材
及び前記上部緩衝材の周囲を覆う箱とを備える梱包体において、前記手掛け部は、前記上
部緩衝材の前記側面に形成された第1の凹部と、該第1の凹部の奥部の上内壁に上方向に
窪むように形成された第2の凹部を備え、前記上部緩衝材は、前記物品の左側面、前面の左側および後面の左側部分を含む左側を覆う上部第1緩衝材と、前記物品の右側面、前面の右側および後面の右側部分を含む右側を覆う上部第2緩衝材とに分離され、前記上部第1緩衝材、前記上部第2緩衝材および前記下部緩衝材が為す空間に前記物品が備える配管が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、手掛け部の第1の凹部を手の平で支持しつつ第2の凹部に手の指を掛けることができるので、重量の大きい梱包体の支持が容易となり、また手掛け部から手が外れ難くなって梱包体の落下事故を起こり難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の1つの実施例の梱包体の分解斜視図である。
【
図2】(a)は本実施例の下部緩衝材の平面図、(b)は本実施例の下部緩衝材に冷暖切替ユニットを嵌めた状態の平面図である。
【
図3】(a)は本実施例の上部緩衝材の下面図、(b)は本実施例の上部緩衝材に冷暖切替ユニットを嵌めた状態の下面図である。
【
図4】本実施例の上部緩衝材の下面から見た斜視図である。
【
図5】(a)は本実施例の上部第2緩衝材の手掛け部の正面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。
【
図6】本実施例の上部段ボール箱の舌片の部分を示す部分説明図である。
【
図7】(a)は本実施例の上部第2緩衝材の手掛け部と上部段ボール箱の舌片の関係を示す断面図、(b)は本実施例の上部第2緩衝材の手掛け部に上部段ボール箱の舌片を折り込んだ状態を示す断面図である。
【
図8】本実施例の冷暖切替ユニットを下部緩衝材と上部緩衝材で包んだ状態の斜視図である。
【
図9】本実施例の梱包体の全体を示す斜視図である。
【
図12】従来の緩衝材の手掛け部と上部段ボール箱の舌片の関係を示す断面図である。
【
図13】従来の緩衝材の手掛け部から上部段ボール箱の舌片が外れる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に本実施例の梱包体600の分解斜視図を示す。本実施例では、梱包する物品を前記した冷暖切替ユニット500とする場合について説明する。この梱包体600は、冷暖切替ユニット500を囲むように配置された発泡材からなる緩衝材と緩衝材の周囲を覆う箱とを備える。本実施例では、該箱は上部箱と下部箱とを備える。具体的には、冷暖切替ユニット500の下部を載せる発泡材からなる下部緩衝材100、冷暖切替ユニット500の上部に被せられる発泡材からなる上部緩衝材200、下部緩衝材100の下部を覆う下部段ボール箱(下部箱)300、上部緩衝材200の上部に被せられる上部段ボール箱(上部箱)400を備える。
【0013】
下部緩衝材100は、
図2にも示すように、冷暖切替ユニット500の下面515の前側が載る下部第1緩衝材110、冷暖切替ユニット500の下面515の後左側が載る下部第2緩衝材120、冷暖切替ユニット500の下面515の後右側が載る下部第3緩衝材130、下部第2緩衝材120と下部第3緩衝材130を所定距離だけ離間させるための四角棒形状のスペーサ緩衝材140、150とに分かれている。下部第2緩衝材120と下部第3緩衝材130は対称形状である。
【0014】
下部第1緩衝材110の上面中央には、冷暖切替ユニット500の12本のガス管560が位置する溝111が12個形成され、左側上面には、冷暖切替ユニット500の下面515の左前角515aが嵌るコーナ(隅部)112が形成され、右側上面には、冷暖切替ユニット500の下面515の右前角515bが嵌るコーナ113が形成されている。114は上面縁部である。
【0015】
下部第2緩衝材120の上面には、冷暖切替ユニット500の下面515の左後角515cが嵌るコーナ121が形成され、右端にはスペーサ緩衝材140の左端141が嵌るコーナ122と、スペーサ緩衝材150の左端151が嵌る凹部123とが形成されている。124は上面縁部である。
【0016】
下部第3緩衝材130の上面には、冷暖切替ユニット500の下面515の右後角515dが嵌るコーナ131が形成され、左端にはスペーサ緩衝材140の右端142が嵌るコーナ132と、スペーサ緩衝材150の右端152が嵌る凹部133とが形成されている。134は上面縁部である。
【0017】
上部緩衝材200は、冷暖切替ユニット500の左側面511、前面513の左側、後面514の左側部分を含む左側を覆うように冷暖切替ユニット500に嵌められる上部第1緩衝材210と、冷暖切替ユニット500の右側面512、前面513の右側、後面514の右側部分を含む右側を覆うように冷暖切替ユニット500に嵌められる上部第2緩衝材220とに分離されている。これらの上部第1緩衝材210と上部第2緩衝材220は対称形状である。
【0018】
図3、
図4に上部緩衝材200を下面から見た図を示す。上部第1緩衝材210の下面211には、冷暖切替ユニット500の上面516の左前角516aが嵌るコーナ212、上面516の左後角516cが嵌るコーナ213が形成されている。そして、上部第1緩衝材210の左側面214には、前後方向の中央よりも、前面215の側に寄った位置に手掛け部217が形成され、後面216の側に寄った位置に手掛け部218が形成されている。219は上部第1緩衝材210の下面縁部である。
【0019】
また、上部第2緩衝材220の下面221には、冷暖切替ユニット500の上面516の右前角516bが嵌るコーナ222、冷暖切替ユニット500の上面516の右前角516dが嵌るコーナ223が形成されている。そして、上部第2緩衝材220の右側面224には、前後方向の中央よりも、前面225の側に寄った位置に手掛け部227が形成され、後面226に寄った位置に手掛け部228が形成されている。229は上部第2緩衝材220の下面縁部である。
【0020】
上部第1緩衝材210の手掛け部217,218と上部第2緩衝材220の手掛け部227,228は同じ構造であるので、上部第2緩衝材220の手掛け部228を代表として、
図5を参照して詳しく説明する。
【0021】
手掛け部228は、上部第2緩衝材220の右側面224に、下面が下面縁部229のコ字形状の枠部229aで囲まれる(
図4参照)ように形成された手の平掛け凹部(第1の凹部)228aと、その手の平掛け凹部228aの奥の上側に窪むように形成された手の指掛け凹部(第2の凹部)228bを備える。
【0022】
手の平掛け凹部228aは、上部第2緩衝材220のコ字形状の枠部229aで囲まれた部分が下方向に開放され、右側面224の一部に窪むように形成されている。詳しくは、手の平掛け凹部228aは、右側面224から奥壁228a1までの距離がL1(例えば、70mm)、右内側壁228a2と左内側壁228a3の間隔がL2(例えば、123mm)、上内壁228a4から下面縁部229までの距離がL3(例えば、80mm)、右内壁228a2から後面226までの距離がL4(例えば、40.5mm)となっている。
【0023】
手の指掛け凹部228bは、手の平掛け凹部228aの奥部の上内壁228a4に上方向に上内壁228a4から距離L5(例えば、25mm)だけ窪み、奥壁228a1から距離L6(例えば、20mm)だけの幅を有し、右側面224の前後方向に前記した距離L2だけ広がった形状である。
【0024】
下部段ボール箱300は、
図1に示すように、下部緩衝材100が収まる大きさの長方形の底面板310と、その底面310の周囲を囲む壁板320とで形成されている。
【0025】
上部段ボール箱400は、冷暖切替ユニット500に被せた上部緩衝材200と下部緩衝材100が収まる大きさの長方形の天面板410と、その天面板410の周囲を囲む壁板420とで形成されている。そして、この壁板420の右側面421には上部第2緩衝材220の右側面224に設けられた手掛け部227,228に対応した位置に、上方に折り曲げ可能な舌片421a,421bが形成されている。舌片421a,421bは、壁板420にコ字形状の切り込みを入れることにより形成される。
図6に一方の舌片421bを示した。421b1は切り込み部、421b2は折り曲げ部である。舌片421bの幅L7は、前記した手掛け部228の横幅L2に対してL7≦L2に設定されている。また、舌片421bの上下方向の長さL8は、その舌片421bを手掛け部228の方向に折り曲げたとき、先端421b3が手掛け部228の手の指掛け凹部228bにまで届く長さに設定されている。なお、他方の舌片421aも同様な構造であり、壁板420の左側面422にも同様な構造の舌片(図示せず)が形成されている。
【0026】
さて、冷暖切替ユニット500を梱包するには、まず、下部第1緩衝材210と下部第2緩衝材220と下部第3緩衝材230とスペース緩衝材240、250を、
図1に示したような配置で、下部段ボール箱300内に嵌め込む。このとき、下部第1緩衝材210と下部第2緩衝材220及び下部第3緩衝材230との間、下部第2緩衝材220と下部第3緩衝材230の間にはスペースができ、そのスペース分だけ、緩衝材が削減されている。
【0027】
次に、冷暖切替ユニット500を、その12本のガス管560が下部第1緩衝材110の12個の溝111に入るように、下部緩衝材100に載せる。このとき、冷媒切替ユニット500の下面515の左前角515bが下部第1緩衝材110のコーナ112に、冷媒切替ユニット500の右前角515bが下部第1緩衝材110のコーナ113に、冷媒切替ユニット500の左後角515cが下部第2緩衝材120のコーナ121に、冷媒切替ユニット500の右後角515dが下部第3緩衝材130のコーナ131に、それぞれ嵌り込み、冷暖切替ユニット500が下部緩衝材100に対して安定的に保持される。
【0028】
次に、冷暖切替ユニット500の上面516の左側に上部第1緩衝材210を嵌め込み、右側に上部第2緩衝材220を嵌め込む。このとき、上部第1緩衝材210のコーナ212は冷暖切替ユニット500の上面516の左前角516aに嵌り、コーナ213は左後角516cに嵌る。また、上部第2緩衝材220のコーナ222は冷暖切替ユニット500の右前角516bに嵌り、コーナ223は右後角516dに嵌る。以上の結果、冷暖切替ユニット500を下部緩衝材100と上部緩衝材200で包んだ状態は、
図8に示すようになる。つまり、上部第1緩衝材210の下面縁部219が下部第1緩衝材110の上面縁部114と下部第2緩衝材120の上面縁部124に当接し、上部第2緩衝材220の下面縁部229が下部第1緩衝材110の上面縁部114と下部第3緩衝材130の上面縁部134に当接する状態となる。
【0029】
次に、上部緩衝材200の上から上部段ボール箱400を被せる。これにより、上部段ボール箱400の右側面421の舌片421bが、
図7(a)に示すように、上部第2緩衝材220の右側面224に形成された手掛け部228の正面に位置する。そこで、舌片421bに手80を押し込めば、
図7(b)に示すように、その手80の平81で、手の平掛け凹部228aの上面壁228a4を下から持ち上げることができる。また、手80の指82で、舌片421bの先端421b3を手の指掛け凹部228b内に折り曲げることができる。上部段ボール箱400の右側面421の舌片421aについても同様である。また、上部段ボール箱400の左側面422の図示しない舌片についても同様である。
【0030】
最後に、
図9に示すように、上部段ボール箱400と下部段ボール箱300を梱包バンド50で緊締すれば、梱包体600ができ上がる。
【0031】
この梱包体600を持ち上げる際は、例えば、2人で持ち上げることができる。このときは、1人は、上部段ボール箱400の右側面421側の舌片421aに左手を差し込み、舌片421bに右手を差し込み、上部緩衝材200の手掛け部227,228まで舌片421a、421bを押し込んで、持ち上げる。もう1人は、上部段ボール箱400の左側面422側において同様にして持ち上げる。また、全体が比較的重い場合は、各舌片と手掛け部を1人が担当して4人で持ち上げれば良い。また、全体が比較的軽い場合は、手掛け部227,228のいずれか1つと左側面422側の手掛け部の1つを1人で持ち上げても良い。
【0032】
以上説明した本実施例の梱包体600によれば、上部第2緩衝材220の手掛け部228に手の平掛け凹部228aを設け、その奥に手の指掛け凹部228bを設けている。このため、手の平掛け凹部228aを手80の平82で支えることが可能となり、梱包体600の持ち上げが容易となり、重い梱包体600であっても安定して持しながら持ち運ぶことができる。また、手の指掛け凹部228bに手80の指81を掛けることができるので、指82で舌片421bの先端421b3を
図7(b)に示すように手の指掛け凹部228b内に折り込むことができるため、手掛け部228から手80が外れ難くなる。上部第2緩衝材220の手掛け部227、上部第1緩衝材210の図示しない手掛け部についても同様である。このため、手掛け部から手80が外れることを防止でき、梱包体600の落下事故を防止できる。また、舌片421bの先端421b3が手の指掛け凹部228b内に折り込まれるので、手の指掛け凹部228bがその舌片421bによって補強される。
【0033】
また、手掛け部228の下面縁部229はコ字形状の枠部229aで囲まれているので、その手掛け部228の耐久強度が大きくなる。とくに、梱包体600の下部段ボール箱300と上部段ボール箱400を梱包バンド50で締め付けたときは、コ字形状の枠部229aの下面は下部第3緩衝材130の上面縁部134に押し付けられるので、手掛け部228を上方向に手80で持ち上げても、その枠部229aは変形し難くなり、この面でも掛け部228の耐久強度が大きくなる。さらに、手掛け部228が形成された位置は、右側面224の前後方向の中央よりも後面226に寄った位置、つまり、右側面224、後面226、及び上面230が集まり強度が大きくなった角部の近くであるので、この面でも、その手掛け部228の耐久強度が大きくなる。したがって、梱包体600を手80で持ち上げる際に、手掛け部228は手の平掛け凹部228aの上内壁228a4において、上方向にかかる荷重を十分に受け止めることができ、持ち上げる際に手掛け部228が破壊されることを防止できる。上部第2緩衝材220の手掛け部227、上部第1緩衝材210の図示しない手掛け部についても同様である。
【0034】
また、手掛け部228に折り込まれる舌片421bの先端421b3は、手の指掛け凹部228bにまで届かせると、上記したように手80の指82で先端421b3を折り曲げてそこに留めることができるので、舌片421bが折り曲げの反力で外側に戻ることを防ぎ、外観が好ましくなる。上部第2緩衝材220の手掛け部227、上部第1緩衝材210の図示しない手掛け部についても同様である。
【0035】
また、本実施例の梱包体600では、下部緩衝材100は、冷暖切替ユニット500の下面515の4箇所の角515a,515b,515c,515dが嵌るコーナ112,113,121,131とガス管550が位置する溝111を形成すればよい。このため、それらコーナ112,113や溝111を設けた下側第1緩衝材110と、コーナ121を設けた下側第2緩衝材120と、コーナ131を設けた下側第3緩衝材130と、スペース緩衝材140,150に分割して形成でき、下部緩衝材100としての発泡材を節約できる。また、上部緩衝材200は、冷暖切替ユニット500の上面516の4箇所の角516a,516b,516c,5146が嵌るコーナ212,213,222,223を形成すればよい。このため、それらコーナ212,213を設けた上部緩衝材210と、コーナ222,223を設けた上部緩衝材220に分割して形成でき、上部緩衝材200としての発泡材も節約できる。
【0036】
さらに、下部緩衝材100は、下側第1緩衝材110が冷暖切替ユニット500の前面に嵌め込まれ、上部緩衝材200は上側第1緩衝材210と上側第2緩衝材220が冷暖切替ユニット500に左側面と右側面に嵌め込まれる。このため、冷暖切替ユニット500を左右方向に折り曲げる荷重に対しては下部緩衝材100が対抗し、冷暖切替ユニット500を前後方向に折り曲げる荷重に対して上側第1緩衝材210と上側第2緩衝材220が対抗するため、冷媒切替ユニット500に加わる外部荷重に対する防護効果が高くなる。
【0037】
なお、下部段ボール箱100と上部段ボール箱200は、一体化して筒形状の段ボール箱に形成し、その側面に舌片421b等を形成してもよい。また、こられの段ボール箱は段ボール製の箱に限られるものではなく、強度を満たせば他の材質(例えば樹脂)の箱であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
100:下部緩衝材、110:下部第1緩衝材、120:下部第2緩衝材、130:下部第3緩衝材、140,150:スペース緩衝材
200:上部緩衝材、210:上部第1緩衝材、220:上部第2緩衝材、227,228:手掛け部、228a:手の平掛け凹部(第1の凹部)、228b:手の指掛け凹部(第2の凹部)
300:下部段ボール箱
400:上部段ボール箱、421a,421b:舌片
500:冷暖切替ユニット