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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】走行制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/04 20060101AFI20230523BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20230523BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230523BHJP
【FI】
B60W40/04
B60W30/08
G05D1/02 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019183903
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021059188
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 遼
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-150443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G05D 1/00- 1/12
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体の走行を制御する走行制御システムにおいて、
各々の前記移動体に設けられ、当該移動体の周囲の状況を検出する検出部と、
前記検出部による検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、各々の前記移動体の走行を制御する走行制御部と、
各々の前記移動体の外形情報と、前記検出部による前記検出結果を比較して、当該検出結果を補正する補正部と、
他の移動体の位置をサーバから入手する手段と、を備え
前記補正部は、一の前記移動体の前記検出部に対する他の前記移動体の検出箇所の距離と、一の前記移動体の前記検出部に対する他の前記移動体の外形の距離と、を比較することによって前記検出結果の補正を行い、
前記検出部はレーザを用いて前記移動体の周囲の状況を検出し、
前記走行制御部は、前記レーザを用いて前記検出部で検出した前記検出結果と前記地図データとをマッチングすることで推定された前記移動体の位置を用いて、前記移動体の走行を制御し、
前記補正部は、前記他の移動体の位置に対して前記他の移動体の外形を設定する、走行制御システム。
【請求項2】
前記補正部は、前記一の移動体の前記検出部に対する前記他の移動体の検出箇所の距離と、前記一の移動体の前記検出部に対する前記他の移動体の外形の距離と、を比較し、前記一の移動体の前記検出部に対する前記他の移動体の外形の距離が短い場合は、前記検出部による検出結果が前記一の移動体の前記検出部に対する前記他の移動体の外形の距離となるように当該検出結果を補正する、請求項1に記載の走行制御システム。
【請求項3】
複数の前記移動体は、各々の前記移動体の前記外形情報を互いに共有する、請求項1又は2に記載の走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の走行制御システムとしては、例えば特許文献1に記載されているような技術が知られている。特許文献1に記載の走行制御システムは、複数の移動体の走行を制御するシステムである。各々の移動体には、移動体の周囲の状況を検出する検出部が設けられている。各移動体は、周囲の状況を検出部で検出しながら、当該検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、走行制御される。移動体は、検出結果に基づいて、他の移動体を回避するように走行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-150443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ある移動体が検出部で他の移動体を検出しようとする場合、検出範囲に他の移動体の一部しか存在しない場合がある。走行制御システムが、このような検出結果に基づいて、移動体が他の移動体を回避するように走行制御を行った場合、移動体は、他の移動体の検出されていない箇所と接触する可能性がある。従って、移動体同士の接触を回避して、走行性能を向上することが求められていた。
【0005】
本発明の目的は、移動体の走行性能を向上することができる、走行制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数の移動体の走行を制御する走行制御システムにおいて、各々の移動体に設けられ、当該移動体の周囲の状況を検出する検出部と、検出部による検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、各々の移動体の走行を制御する走行制御部と、各々の移動体の外形情報と、検出部による検出結果を比較して、当該検出結果を補正する補正部と、を備える。
【0007】
このような走行制御システムにおいては、各々の移動体には、当該移動体の周囲の状況を検出する検出部が設けられる。また、走行制御部は、検出部による検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、各々の移動体の走行を制御する。ここで、補正部は、各々の移動体の外形情報と、検出部による検出結果を比較して、当該検出結果を補正する。この場合、検出部が、実際には他の移動体の外形を検出していなかった場合であっても、補正部は、他の移動体の外形情報を反映するように、検出結果を補正することができる。走行制御部は、外形情報を反映するように補正された検出結果を用いることで、移動体同士の干渉を回避するような走行制御を容易に行うことができる。以上より、移動体の走行性能を向上することができる。
【0008】
補正部は、一の移動体の検出部に対する他の移動体の検出箇所の距離と、一の移動体の検出部に対する他の移動体の外形の距離と、を比較することによって検出結果の補正を行ってよい。これにより、補正部は、距離を比較するだけで容易に検出結果の補正を行うことができる。
【0009】
検出部はレーザを用いて移動体の周囲の状況を検出し、走行制御部は、レーザを用いて検出部で検出した検出結果と地図データとをマッチングすることで推定された移動体の位置を用いて、移動体の走行を制御してよい。このような構成では、例えばSLAMという自己位置推定技術を用いて、検出部がレーザを用いて検出を行うだけで、各移動体の位置と姿勢の情報を容易に取得することができる。
【0010】
複数の移動体は、各々の移動体の外形情報を互いに共有してよい。この場合、補正部が検出結果の補正を行うときに、各々の移動体の外形情報を正確に反映した上で、補正を行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動体の走行性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る走行制御システムを示す概略構成図である。
図2図1に示されたコントローラにより実行される制御処理手順の詳細を示すフローチャートである。
図3】二つの移動体のレーザセンサが、互いに検出し合う様子を示す図である。
図4】移動体のレーザセンサの検出結果を補正する手順を示す概念図である。
図5】移動体のレーザセンサの検出結果を補正する手順を示す概念図である。
図6】移動体のレーザセンサの検出結果を補正する手順を示す概念図である。
図7】比較例に係る走行制御システムの制御内容を示す概念図である。
図8】変形例に係る走行制御システムにおいて、移動体のレーザセンサの検出結果を補正する手順を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る走行制御システム100を示す概略構成図である。図1に示すように、走行制御システム100は、複数の移動体2と、サーバー101と、を備える。走行制御システム100は、複数の移動体2の走行を制御するシステムである。移動体2は、倉庫や工場などの構造物内で自動的に走行する。移動体2は、例えばフォークリフト、無人搬送車などである。
【0014】
移動体2は、レーザセンサ3(検出部)と、駆動部4と、コントローラ5とを備えている。
【0015】
レーザセンサ3は、各々の移動体2に設けられ、当該移動体2の周囲の状況を検出する。また、レーザセンサ3は、検出した物体との位置関係を計測する。レーザセンサ3は、移動体2の周囲にレーザを照射し、レーザの反射光を受光することにより、レーザセンサ3から移動体2の周囲の物体を検出し、当該物体までの距離と方向を計測する。レーザセンサ3としては、例えばレーザレンジファインダが用いられる。使用するレーザとしては、2Dレーザが用いられる。
【0016】
レーザセンサ3は、移動体2のうち、周囲の状況を検出し易い箇所に設けられている。例えば、図3に示すように、レーザセンサ3は、移動体2の天井部に設けられている。また、レーザセンサ3は、移動体2の前方へ向かってレーザを扇状に照射する。具体的には、レーザセンサ3は、移動体2の前方直進方向を中心とした規定の角度範囲にレーザを照射する。これにより、レーザセンサ3は、移動体2の前方の所定の角度範囲を検出範囲Eとして、検出を行うことができる。
【0017】
駆動部4は、特に図示はしないが、移動体2の走行輪を回転させる走行モータと、移動体2の操舵輪を転舵させる操舵モータとを有している。
【0018】
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ5は、情報処理部11と、補正部12と、走行制御部13と、記憶部14と、を有している。
【0019】
情報処理部11は、各種情報を取得すると共に各種情報処理を行う。情報処理部11は、レーザセンサ3による検出結果を取得すると共に、当該検出結果に基づく各種情報処理を行う。また、情報処理部11は、サーバー101からの情報を取得し、当該情報に基づく各種情報処理を行う。また、情報処理部11は、得られた情報をサーバー101へ送信する。情報処理部11は、レーザセンサ3による検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、移動体2の自己位置を推定する。情報処理部11は、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、移動体2の自己位置(地図データにおける位置座標)を推定する。SLAMは、レーザセンサ3による検出結果と地図データとをマッチングさせることによって、自己位置推定を行う自己位置推定技術である。SLAMは、自己位置推定と環境地図の作成とを同時に行う。具体的には、情報処理部11は、レーザセンサ3により検出された物体までの距離データと移動体2の周囲環境の地図データとをマッチングさせて、移動体2の自己位置の推定演算を行う。また、情報処理部11は、サーバー101からの情報を取得して、他の移動体2の位置も取得することができる。
【0020】
補正部12は、各々の移動体2の外形情報と、レーザセンサ3による検出結果を比較して、当該検出結果を補正する。外形情報とは、移動体2の機台の外形の形状、大きさ及びレーザセンサ3との位置関係などを示す情報である。なお、外形情報は、機台の移動方向と平行な面における、最も外側に位置する形状とするのが好ましい。補正部12は、一の移動体2のレーザセンサ3に対する他の移動体2の検出箇所(レーザ点)の距離と、一の移動体2のレーザセンサ3に対する他の移動体2の外形の距離と、を比較することによって検出結果の補正を行う。補正部12による検出結果の補正の詳細な内容については、後の処理内容の説明において説明する。
【0021】
走行制御部13は、レーザセンサ3による検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、移動体2の走行を制御する。走行制御部13は、自己位置と目標位置とを比較することによって、移動体2の移動方向や移動距離を演算する。また、走行制御部13は、当該演算結果に基づいて、移動体2が目標位置へ向かうように駆動部4へ制御信号を出力する。また、走行制御部13は、レーザセンサ3による検出結果から、他の移動体2の位置を把握し、他の移動体2を回避するような回避制御を行う。記憶部14は、各種データを記憶する。記憶部14は、地図データを記憶する。
【0022】
サーバー101は、走行制御システム100で用いられる各種情報を取得すると共に、各種演算を行う装置である。サーバー101は、各移動体2の位置を取得すると共に当該位置情報を各移動体2へ送信する。サーバー101は、作業を行う構造物の何れかの場所に設けられてよい。なお、サーバー101は、複数の移動体2の中の、いずれかの移動体2に組み込まれていていてもよい。
【0023】
次に図2図6を参照して、走行制御システム100の制御処理内容について説明する。図2は、走行制御システム100の制御処理内容を示すフローチャートである。図3は、二つの移動体2のレーザセンサ3が、互いに検出し合う様子を示す図である。図4図6は、移動体2Aのレーザセンサ3Aの検出結果を補正する手順を示す概念図である。なお、ここでは、移動体2Aの周囲に移動体2B,2C及び壁Wが存在する状況であって、移動体2Aが他の移動体2B,2Cを回避するように走行する場合について説明する。また、図3に示すように、移動体2Aのレーザセンサ3Aの検出範囲Eには、移動体2Bの天井部のレーザセンサ3Bだけが存在し、移動体2Bの機台自体は検出範囲Eに含まれないものとする。同様に、レーザセンサ3Aの検出範囲Eには、移動体2Cのレーザセンサ3Cだけが存在し、移動体2Cの機台自体は検出範囲Eに含まれないものとする。
【0024】
図2に示すように、まず、情報処理部11は、移動体2A,2B,2Cの座標を取得する(ステップS100)。ステップS100では、SLAM等で用いられる地図座標を基準として演算される座標が使用される。座標には、X軸方向及びY軸方向で表現される水平方向における位置の情報と、移動体2A,2B,2Cの機台の角度の情報と、が含まれる。具体的には、図4(a)に示すように、情報処理部11は、移動体2Aの機台の座標(xa,ya,θa)と、移動体2Bの機台の座標(xb,yb,θb)と、移動体2Cの機台の座標(xc,yb,θb)と、を取得する。なお、移動体2A,2B,2Cの座標は、当該移動体2A,2B,2Cの座標点PA,PB,PCの位置を示す。当該座標点PA,PB,PCは、レーザセンサ3A,3B,3Cの中心位置に設定されるものとする(図5等を参照)。
【0025】
次に、情報処理部11は、移動体2Aのレーザセンサ3Aの検出結果を取得する(ステップS110)。図4(b)に示すように、レーザセンサ3Aの検出結果は、当該レーザセンサ3Aを中心としたレーザ点群によって示される。レーザセンサ3Aの検出範囲E内に物体が存在する場合、当該物体の外縁にレーザが照射されることによるレーザ点群が形成される。物体が存在しない箇所については、検出範囲Eの外縁にレーザ点群が形成される。具体的には、レーザセンサ3Aの検出結果は、壁Wに沿ったレーザ点群LWと、移動体2Bのレーザセンサ3Bの外縁に沿ったレーザ点群LBと、移動体2Cのレーザセンサ3Cの外縁に沿ったレーザ点群LCと、検出範囲Eの外縁に沿ったレーザ点群LEと、を有する。
【0026】
次に、補正部12は、移動体2B,2Cの外形情報を設定する(ステップS120)。図5(a)に示すように、補正部12は、移動体2Bの座標に基づいて、移動体2Bの外形20Bを仮想的に設定すると共に、移動体2Cの座標に基づいて、移動体2Cの外形20Cを仮想的に設定する。補正部12は、移動体2A,2B,2Cの機台の外形は全て同一であるため、移動体2B,2Cの外形20B,20Cとして、移動体2A自身の機台の外形を採用する。ここでは、移動体2A,2B,2Cの外形は、長方形であるものとする。補正部12は、座標点PB,PCが外形20B,20Cの中心位置と一致するように、仮想的な外形20B,20Cを設定する。また、移動体2B,2Cの機台の座標には、当該機台の角度情報も含まれている。従って、補正部12は、各機台の角度情報を、外形20B,20Cの姿勢に反映する。ここでは、移動体2Bの機台の外形20Bは、Y軸方向に対して傾かないように設定される。移動体2Cの機台の外形20Cは、Y軸方向に対してθcの角度だけ傾くように設定される。
【0027】
次に、補正部12は、ステップS120で設定した移動体2B,2Cの外形情報に基づいて、検出結果の補正を行う(ステップS130)。補正部12は、移動体2Aのレーザセンサ3Aに対する他の移動体2B,2Cの実測に係るレーザ点(検出箇所)の距離と、移動体2Aのレーザセンサ3Aに対する他の移動体2B,2Cの外形20B,20Cの距離と、を比較することによって検出結果の補正を行う。補正部12は、レーザデータ毎に、機台の外形20B,20Cとの交点を演算する。この交点は、移動体2Aのレーザセンサ3A及び所定のレーザ点を結ぶ線分と、外形20B,20Cの四方の辺部を構成する線分と、が交差する点である。そして、補正部12は、外形20B,20Cとの交点が存在する場合、レーザセンサ3Aから当該交点までの距離を演算する。補正部12は、このようにして演算された距離と、実測に係るレーザ点の距離との中で、最も移動体2Aの機台の中心に近いものを、補正後のレーザ点として採用する。
【0028】
具体的に、レーザセンサ3Bに沿った実測に係るレーザ点群LBのレーザ点と移動体2Aのレーザセンサ3Aとを結ぶ線分は、交点CP1にて外形20Bと交差する。実測に係るレーザ点と交点CP1とでは、交点CP1の方がレーザセンサ3Aに近い。従って、交点CP1が、補正後のレーザ点として設定される。検出範囲Eの外縁に沿った実測に係るレーザ点群LEのレーザ点とレーザセンサ3Aとを結ぶ線分は、交点CP2,CP3にて外形20Bと交差する。実測に係るレーザ点及び交点CP2,CP3の中では、交点CP2が最もレーザセンサ3Aに近い。従って、交点CP2が、補正後のレーザ点として設定される。このような補正処理がなされることにより、補正部12は、図6に示すような検出結果を取得する。補正後の検出結果は、レーザセンサ3Bの外縁に沿ったLBに代えて、移動体2Bの仮想的な外形20Bの長辺に沿ったレーザ点群LBaと、移動体2Bの仮想的な外形20Bの短辺に沿ったレーザ点群LBbと、を有する。また、補正後の検出結果は、レーザセンサ3Cの外縁に沿ったLCに代えて、移動体2Cの仮想的な外形20Cの長辺に沿ったレーザ点群LCaと、移動体2Cの仮想的な外形20Cの短辺に沿ったレーザ点群LCbと、を有する。
【0029】
次に、走行制御部13は、ステップS130で補正された検出結果に基づいて、移動体2Aの走行制御を行う(ステップS140)。走行制御部13は、移動体2Aの機台が、移動体2Bの外形20Bに沿ったレーザ点群LBa,LBb及び移動体2Cの外形20Cに沿ったレーザ点群LCa,LCbと干渉せずに回避するように、走行制御を行う。なお、走行制御部13は、このように検出範囲Eに存在する物体を示すレーザ点群を回避するための回避制御を行う際は、レーザ点群を用いて検出物体を回避するための公知の演算方法を用いて回避制御を行う。以上により、図2に示すフローチャートが終了する。
【0030】
次に、本実施形態に係る走行制御システム100の作用・効果について説明する。
【0031】
まず、比較例に係る走行制御システムについて説明する。比較例に係る走行制御システムは、各移動体が上述の補正部12を有していない。この場合、走行制御部は、実際にレーザセンサ3Aが検出した検出結果に基づいて、走行制御を行う。例えば、図7(b)に示すように、レーザセンサ3Aが実際に移動体2Bの外形20Bを検出することができた場合は、当該外形20Bを反映した状態の検出結果を得ることができる。この場合、走行制御部は、移動体2Aを目標位置GPまで走行させるときには、移動体2Aの外形20Aが移動体2Bの外形20Bとの干渉を回避するように制御を行うことができる。その一方、レーザセンサ3Aが実際に移動体2Bの外形20Bを検出することができず、レーザセンサ3Bだけを検出した場合、走行制御部は、外形20Bが反映されていない検出結果に基づいて、走行制御を行わなくてはならない。この場合、走行制御部は、移動体2Aの外形20Aが移動体2Bのレーザセンサ3Bとの干渉を回避するような制御を行うものの、外形20Bとの位置関係を考慮せずに走行制御するため、移動体2Aの外形20Aと移動体2Bの外形20Bとが干渉してしまう可能性がある。そして、走行制御部が、当該干渉を回避できるような制御処理を行おうとする場合、外形20Bを演算に組み込むための、特別な回避制御処理を行う必要性が生じてしまう。
【0032】
これに対し、本実施形態に係る走行制御システム100においては、各々の移動体2A,2B,2Cには、当該移動体2A,2B,2Cの周囲の状況を検出するレーザセンサ3A,3B,3Cが設けられる。また、走行制御部13は、レーザセンサ3A,3B,3Cによる検出結果、及び予め取得された地図データに基づいて、各々の移動体2A,2B,2Cの走行を制御する。ここで、補正部12は、各々の移動体2A,2B,2Cの外形情報と、レーザセンサ3A,3B,3Cによる検出結果を比較して、当該検出結果を補正する。この場合、レーザセンサ3Aが、実際には他の移動体2B,2Cの外形20B,20Cを検出していなかった場合であっても、補正部12は、他の移動体2B,2Cの外形情報を反映するように、検出結果を補正することができる。走行制御部13は、外形情報を反映するように補正された検出結果を用いることで、移動体2A,2B,2C同士の干渉を回避するような走行制御を容易に行うことができる。以上より、移動体2A,2B,2Cの走行性能を向上することができる。
【0033】
補正部12は、一の移動体2Aのレーザセンサ3Aに対する他の移動体2B,2Cの検出箇所(レーザ点)の距離と、一の移動体2Aのレーザセンサ3Aに対する他の移動体2B,2Cの外形20B,20Cの距離と、を比較することによって検出結果の補正を行ってよい。これにより、補正部12は、距離を比較するだけで容易に検出結果の補正を行うことができる。
【0034】
レーザセンサ3A,3B,3Cはレーザを用いて移動体の周囲の状況を検出し、走行制御部13は、レーザを用いてレーザセンサ3A,3B,3Cで検出した検出結果と地図データとをマッチングすることで推定された移動体2A,2B,2Cの位置を用いて、移動体2A,2B,2Cの走行を制御してよい。このような構成では、例えばSLAMという自己位置推定技術を用いて、レーザセンサ3A,3B,3Cがレーザを用いて検出を行うだけで、各移動体2A,2B,2Cの位置と姿勢の情報を容易に取得することができる。
【0035】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0036】
例えば、上述の実施形態では、各移動体2A,2B,2Cの外形は同一のものであったため、補正部12は、移動体2B,2Cの外形20B,20Cを自己の移動体2Aの外形と仮定して、補正を行っていた。これに代えて、複数の移動体2A,2B,2Cは、各々の移動体2A,2B,2Cの外形情報を互いに共有してよい。この場合、補正部12が検出結果の補正を行うときに、各々の移動体2A,2B,2Cの外形情報を正確に反映した上で、補正を行うことができる。
【0037】
具体的には、図8(a)に示すように、移動体2B,2Cが自己の移動体2Aとは異なる外形20B,20Cを有していた場合でも、補正部12は、共有した外形情報に基づいて、移動体2Bの固有の外形20B(ここでは三角形)を仮想的に設定し、移動体2Cの固有の外形20C(ここでは六角形)を仮想的に設定することができる。これにより、図8(b)に示すように、補正部12は、各移動体2B,2Cに固有の外形20B,20Cを反映した形にて、検出結果を補正することができる。
【0038】
上述の実施形態では、移動体2の周囲の物体を検出する検出部としてレーザセンサが例示されていたが、検出部の具体的構成は特に限定されるものではない。例えば、検出部としてカメラが採用されてもよい。カメラは、取得した画像の画像処理を行うことで、物体を検出すると共に、当該物体までの距離などの情報を検出することができる。例えば、画像中に写された物体のエッジを検出することで、物体の検出が可能である。また、検出部は、レーザセンサとカメラの組み合わせによって構成されてもよい。例えば、検出部は、物体の検出をカメラの画像に基づいて行い、物体との距離の計測をレーザセンサの結果を用いて行ってもよい。その他、検出部は、ミリ波レーダなどのセンサによって構成されてもよい。
【0039】
上述の実施形態では、移動体2A,2B,2Cの座標としての座標点PA,PB,PCは、レーザセンサ3A,3B,3Cの中心位置に設定されるものとしたが、移動体に対するレーザセンサの取り付け位置をレーザ点の取得された情報に反映させていればよく、中心位置に設定されることに限られない。
【符号の説明】
【0040】
2…移動体、3…レーザセンサ(検出部)、12…補正部、13…走行制御部、100…走行制御システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8