(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】回転電機のロータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/276 20220101AFI20230523BHJP
【FI】
H02K1/276
(21)【出願番号】P 2019212186
(22)【出願日】2019-11-25
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西條 正起
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-507207(JP,A)
【文献】特開2016-220514(JP,A)
【文献】特開2013-132124(JP,A)
【文献】特開2014-75892(JP,A)
【文献】米国特許第6291920(US,B1)
【文献】特開昭59-201663(JP,A)
【文献】特開2001-95183(JP,A)
【文献】特開平10-327547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを巻装したステータの内周側に円筒状のロータコアの外周面が対向するように配置された回転電機のロータであって、
前記ロータコアは、電磁鋼板を積層して構成され、中心にシャフトが貫挿され、
前記ロータコアには、軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔と、軸方向に延びるとともに前記外径側永久磁石挿入孔よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔とが磁極ごとに形成され、
前記外径側永久磁石挿入孔に外径側永久磁石が挿入されるとともに前記内径側永久磁石挿入孔に内径側永久磁石が挿入され、
前記ロータコアにおける前記内径側永久磁石挿入孔の周方向外側にフラックスバリアが連続して形成され
るとともに、前記ロータコアにおける前記フラックスバリアの周方向外側に離間して軸方向に延びるダイカスト孔が形成され、
前記ロータコアにおいて隣り合う磁極間における前記フラックスバリア
及び前記ダイカスト孔に挟まれた領域
であって前記ダイカスト孔よりも内径側に軸方向に延びる充填孔が形成され、前記充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板を固定してなることを特徴とする回転電機のロータ。
【請求項2】
前記各磁極における前記外径側永久磁石挿入孔及び前記内径側永久磁石挿入孔は、円弧状をなすことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のロータ。
【請求項3】
前記ダイカスト孔は充填孔であり、当該充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板を固定してなることを特徴とする請求項2に記載の回転電機のロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のロータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1等において永久磁石埋込式回転電機が開示されている。詳しくは、コイルを巻装したステータの内周側に円筒状のロータコアの外周面が対向するように配置され、電磁鋼板を積層したロータコアに永久磁石が径方向において複数層埋め込まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転電機のロータは、電磁鋼板を積層して構成されたロータコアの中心にシャフトが貫挿されており、例えばシャフト・ロータコアが焼嵌締結等されており、回転数が高くなった場合においてロータコアを構成する電磁鋼板に反りが発生する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、ロータコアを構成する電磁鋼板の反りを抑制することができる回転電機のロータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための回転電機のロータは、コイルを巻装したステータの内周側に円筒状のロータコアの外周面が対向するように配置された回転電機のロータであって、前記ロータコアは、電磁鋼板を積層して構成され、中心にシャフトが貫挿され、前記ロータコアには、軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔と、軸方向に延びるとともに前記外径側永久磁石挿入孔よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔とが磁極ごとに形成され、前記外径側永久磁石挿入孔に外径側永久磁石が挿入されるとともに前記内径側永久磁石挿入孔に内径側永久磁石が挿入され、前記ロータコアにおける前記内径側永久磁石挿入孔の周方向外側にフラックスバリアが連続して形成され、前記ロータコアにおいて隣り合う磁極間における前記フラックスバリアに挟まれた領域に軸方向に延びる充填孔が形成され、前記充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板を固定してなることを要旨とする。
【0007】
これによれば、ロータコアにおいて隣り合う磁極間におけるフラックスバリアに挟まれた領域において充填孔が軸方向に延びており、この充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により電磁鋼板が固定されているので、ロータコアを構成する電磁鋼板を強固に固定してロータコアを構成する電磁鋼板の反りを抑制することができる。
【0008】
また、回転電機のロータにおいて、前記各磁極における前記外径側永久磁石挿入孔及び前記内径側永久磁石挿入孔は、円弧状をなすとよい。
外径側永久磁石挿入孔及び内径側永久磁石挿入孔が円弧状をなす場合に特に有用である。
【0009】
また、回転電機のロータにおいて、前記ロータコアにおける前記フラックスバリアの周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔が更に形成され、当該充填孔に充填された非磁性金属又は樹脂により前記電磁鋼板を固定してなるとよい。
【0010】
この場合、ロータコアを構成する電磁鋼板を更に強固に固定してロータコアを構成する電磁鋼板の反りを更に抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ロータコアを構成する電磁鋼板の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図7】挟持部及び蓋部材の無い状態でのロータコア及びシャフトの斜視図。
【
図8】挟持部及び蓋部材の無い状態でのロータコア及びシャフトの縦断面での斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、回転電機10は、永久磁石埋込型同期モータであって、ロータ(回転子)20と、ステータ(固定子)100とを備える。円筒状をなすロータ20の外周側にステータ100が配置されている。ステータ100の内周面は、ロータ20の外周面とギャップを介して対向している。なお、図は何れも模式図であり、形状を強調して記載している。回転電機10は極数が「4」であり、永久磁石が周方向において90°毎に配置されている。
【0014】
図1に示すように、ステータ100は、ステータコア101が円筒状をなし、ステータコア101の内側には周方向に複数のスロット102が形成されている。各スロット102は内周面に開口している。スロット102間にティース103が形成されている。ティース103にはコイル(巻線)104が巻回されている。このように、ステータ100は、内周側にコイル104が巻回されたティース103が周方向に並設され、コイル104を巻装した構成となっている。
【0015】
ステータ100の内側にはロータ20が配置されており、ロータ20は、略円板状の電磁鋼板22を複数枚(例えば数十枚)積層した円筒状のロータコア21を備える。ロータコア21は積層された電磁鋼板22がダボカシメにより連結されている。
【0016】
ロータ20は、ロータコア21の外周面がティース103と所定の間隔を置いた状態で、図示しないハウジングの軸受けにシャフト50を介して回転可能に支持されている。このように、ロータ20が、ステータ100の内周側にロータコア21の外周面がギャップを介して対向するように配置されている。
【0017】
図2、
図4、
図7に示すように、電磁鋼板22を積層して構成されるロータコア21の中心にシャフト50が貫挿されている。ロータコア21はシャフト50に焼嵌め(あるいは圧入等)により、嵌合され締結されている。ロータコア21は、
図5に示すように、外径側永久磁石挿入孔25、内径側永久磁石挿入孔26、フラックスバリア29,30,37,38、ダイカスト孔31,33,35を有する。
【0018】
図5、
図7、
図8に示すように、ロータコア21には、軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔25と、軸方向に延びるとともに外径側永久磁石挿入孔25よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔26とが磁極ごとに形成されている。各磁極における外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26は円弧状をなしている。詳しくは、
図5に示すように、外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26はロータコア21の中心側を凸とする(ロータコア21の外径側を中心とする)円弧状をなしている。
【0019】
図2、
図3、
図4、
図6に示すように、ロータコア21において、外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26を有する電磁鋼板22の積層体に対しその両側には蓋部材23a,23bを有する。蓋部材23a,23bには外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26が形成されておらず、後記ダイカスト孔31,33,35に対し
図7、
図8に示す状態から
図4、
図5、
図6に示すようにアルミダイカストによりアルミを注入することができるようになっている。蓋部材23a,23bに対しその両側には挟持部24a,24bを有する。挟持部24a,24bは、純アルミよりなり、
図7、
図8に示す状態から
図4、
図6に示すようにアルミダイカストにより形成される。
【0020】
図6に示すように、外径側永久磁石挿入孔25に外径側永久磁石27が挿入されるとともに内径側永久磁石挿入孔26に内径側永久磁石28が挿入されている。外径側永久磁石27は外径側永久磁石挿入孔25に接着固定されている。内径側永久磁石28は内径側永久磁石挿入孔26に接着固定されている。
【0021】
図6に示すように、外径側永久磁石27は、軸方向において分割した状態で配置されている。内径側永久磁石28は、軸方向において分割した状態で配置されている。軸方向に分割した永久磁石を用いることにより損失の低減及び経済性の向上が図られる。
【0022】
図5に示すように、埋め込まれた各永久磁石27,28は、円弧状をなしている。永久磁石27はd軸上に位置し、永久磁石27は厚さ方向に着磁されている。永久磁石28はd軸上に位置し、永久磁石28は厚さ方向に着磁されている。隣り合う領域(一極)に配置された永久磁石27同士および永久磁石28同士は、ロータ20の外周側が異なる極になるように配置されている。例えば、ある永久磁石27が、ティース103側がS極になるように配置されると、隣の領域(一極)に配置される永久磁石27は、ティース103側がN極になるように配置される。
【0023】
図5、
図7に示すように、ロータコア21における内径側永久磁石挿入孔26の一方の周方向外側にフラックスバリア29が連続して形成されている。また、ロータコア21における内径側永久磁石挿入孔26の他方の周方向外側にフラックスバリア30が連続して形成されている。フラックスバリア29,30は円弧状をなしている。
【0024】
ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域に軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔31が形成されている。ダイカスト孔31には非磁性金属としての純アルミ32が充填されている。ダイカスト孔31に充填された純アルミ32により電磁鋼板22が固定されている。ダイカスト孔31において充填される純アルミ32は、
図7、
図8に示す状態から
図4、
図5、
図6に示すようにアルミダイカストによるものである。
【0025】
ロータコア21におけるフラックスバリア29の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔33が形成されている。また、ロータコア21におけるフラックスバリア30の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔35が形成されている。ダイカスト孔33には非磁性金属としての純アルミ34が充填されている。ダイカスト孔35には非磁性金属としての純アルミ36が充填されている。ダイカスト孔33,35に充填された純アルミ34,36により電磁鋼板22が固定されている。ダイカスト孔33,35において充填される純アルミ34,36は、
図7、
図8に示す状態から
図4、
図5、
図6に示すようにアルミダイカストによるものである。
【0026】
ロータコア21における外径側永久磁石挿入孔25の周方向外側にフラックスバリア37,38(
図5参照)が連続して形成されている。フラックスバリア37,38は円弧状をなしている。
【0027】
次に、このように構成した回転電機10の作用を説明する。
回転電機が駆動される場合は、ステータ100のコイル104に電流が供給されてステータ100に回転磁界が発生し、ロータ20に回転磁界が作用する。そして、回転磁界と永久磁石27,28との間の磁気的な吸引力および反発力によりロータ20が回転磁界と同期して回転する。
【0028】
ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域においてダイカスト孔31が軸方向に延びており、このダイカスト孔31に充填された純アルミ32により電磁鋼板22が固定されている。これにより、ロータコア21を構成する電磁鋼板22は強固に固定されてロータコア21を構成する電磁鋼板22の反りが抑制される。つまり、略逆円弧状二層磁石配置ロータ断面形状において、フラックスバリアに挟まれ、かつ焼嵌締結力の影響を及ぼさない、磁極間にダイカスト孔を配置することにより、性能と強度を両立させたロータ構造を実現している。
【0029】
以下、詳しく説明する。
内径側永久磁石挿入孔の長さが大きくなりやすく性能と強度のバランスが不十分であり、具体的には遠心力により電磁鋼板がめくれあがりやすく、薄肉ブリッジ部に曲げ応力が加わると、強度の低下が大きい。この場合、ロータコアの強度対策のためにロータ端部に厚みのある非磁性端板などを追加するとコストアップを招く。つまり、外径側と内径側に2層にわたり永久磁石を配列するとシャフトの焼嵌めによる内部応力により、断面直角方向に反ることでロータコアとシャフトの嵌合締結力が低下する。この反りを抑制すべくロータ端面に剛性のある端板を配設固定する場合、剛性のある端板によるコストアップおよびその固定手段(ネジやカシメなど)により、製造コストが上昇する。
【0030】
本実施形態では、誘導モータの製造設備が使用可能な場合において、ダイカストの技術と設備を用いている。アルミダイカストによる固定手段は、誘導モータを製作している設備をすでに有するような場合において、新規の設備投資を最小限に留め、安価に構成できる構造となる。また、ダイカスト固定することにより、剛性のある端板および端板固定手段が不要になり、部品費の低減も図ることができる。
【0031】
一般的なアルミダイカストはADC12など強度的に頑強な材料を使用するが、追加設備投資を要することなく安価に構成するために、誘導モータの製造に使用されるものと同一材料である純アルミで構成している。
【0032】
ここで、純アルミをロータ構造の剛性向上に用いる場合、ロータコア断面を連通するダイカスト孔の配置が重要である。同期モータとはいえ、ステータからの交番磁界により、適切でない位置にダイカスト孔を配置すると、誘導電流の発生により、出力低下といった性能に悪影響を及ぼすこともある。ゆえに、ダイカスト孔をロータコアの断面外周寄りに配設することはその影響を慎重に検討する必要があるとともに、ロータコアとシャフトはコスト低減のため焼嵌固定されておりダイカスト孔を内周側に配設すると焼嵌締結力の低下といった強度への悪影響を及ぼす可能性がある。即ち、ロータコアに永久磁石が埋め込まれている電動機のロータにおいては、永久磁石の近傍は磁路となるのでダイカスト孔を形成することはできず、また、ロータコアの内径側は焼嵌めに使う領域であるのでダイカスト孔を形成することはできない。
【0033】
本実施形態では、磁極間における内径寄りの箇所である、隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域においてダイカスト孔31を形成しており、ロータコアの磁気回路を構成するq軸磁束を妨げることなく、内径側のシャフトの焼嵌締結強度を妨げることもない。ダイカスト孔の形成位置は磁極間のq軸磁路を妨げない場所、即ち、ロータコアでの磁束密度が高くない場所が好ましく、外径側から内径側に向かうq軸磁束における左右の磁束の分岐後の間の箇所としている。これにより、ロータコアのq軸磁束を妨げることなく内径側でのシャフトの焼嵌めを妨げることもない。
【0034】
このようにして、ロータコアにシャフトを焼嵌めした時に強度向上が図られる。ロータ20の製造の際には、電磁鋼板22を積層して配置するとともに一方の蓋部材23aを電磁鋼板積層体の一端面に積層して配置する。そして、永久磁石27,28を挿入し、更に他方の蓋部材23bを配置した後に、カシメにより固定し、ダイカストによってダイカスト孔31,33,35内の純アルミ32,34,36により固定する。
【0035】
よって、製造時において電磁鋼板は焼嵌めで反りやすいとともに通常運転時において回転数を上げた際の遠心力でも反りやすいが、本実施形態では電磁鋼板の反りを抑制することができる。
【0036】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)コイル104を巻装したステータ100の内周側に円筒状のロータコア21の外周面が対向するように配置された回転電機10のロータ20の構成として、ロータコア21は、電磁鋼板22を積層して構成され、中心にシャフト50が貫挿されている。ロータコア21には、軸方向に延びるとともに径方向外側に配置される外径側永久磁石挿入孔25と、軸方向に延びるとともに外径側永久磁石挿入孔25よりも内径側に配置される内径側永久磁石挿入孔26とが磁極ごとに形成されている。外径側永久磁石挿入孔25に外径側永久磁石27が挿入されるとともに内径側永久磁石挿入孔26に内径側永久磁石28が挿入されている。ロータコア21における内径側永久磁石挿入孔26の周方向外側にフラックスバリア29,30が連続して形成されている。ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域に軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔31が形成され、ダイカスト孔31に充填された非磁性金属としての純アルミ32により電磁鋼板22が固定されている。
【0037】
よって、ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域においてダイカスト孔31が軸方向に延びており、このダイカスト孔31に充填された純アルミ32により電磁鋼板22が固定されているので、ロータコア21を構成する電磁鋼板22を強固に固定してロータコア21を構成する電磁鋼板22の反りを抑制することができる。
【0038】
(2)各磁極における外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26は、円弧状をなす。外径側永久磁石挿入孔25及び内径側永久磁石挿入孔26が円弧状をなす場合に特に有用である。
【0039】
(3)ロータコア21におけるフラックスバリア29,30の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔としてのダイカスト孔33,35が更に形成され、ダイカスト孔33,35に充填された非磁性金属としての純アルミ34,36により電磁鋼板22が固定されている。この場合、ロータコア21を構成する電磁鋼板22を更に強固に固定してロータコア21を構成する電磁鋼板22の反りを更に抑制することができる。
【0040】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 非磁性金属は純アルミであったが、これに限るものではない。非磁性金属として、ADC12などのアルミ合金、他にも、銅などを用いてもよい。また、非磁性金属以外にも樹脂を用いて、樹脂モールドにより構成してもよい。
【0041】
つまり、上述のダイカスト孔31を樹脂モールド孔とするとともに上述の純アルミ32を樹脂とすることにより、ロータコア21において隣り合う磁極間におけるフラックスバリア29,30に挟まれた領域に軸方向に延びる充填孔が形成され、この充填孔に充填された樹脂により電磁鋼板22が固定された構成とする。また、上述のダイカスト孔33,35を樹脂モールド孔とするとともに上述の純アルミ34,36を樹脂とすることにより、ロータコア21におけるフラックスバリア29,30の周方向外側に離間して軸方向に延びる充填孔が更に形成され、この充填孔に充填された樹脂により電磁鋼板22が固定された構成とする。
【0042】
○ ダイカスト孔33,35は無くてもよく、例えば、代わりにフラックスバリアであってもよい。
○ 極数は4極に限らない。4極より多くても、少なくてもよい。
【0043】
○ 永久磁石は円弧状でなくてもV字状でもよい。
○ 電動機は同期モータ以外でもよく、要は永久磁石埋め込み型の電動機であればよい。
【符号の説明】
【0044】
10…回転電機、20…ロータ、21…ロータコア、22…電磁鋼板、25…外径側永久磁石挿入孔、26…内径側永久磁石挿入孔、27…外径側永久磁石、28…内径側永久磁石、29,30…フラックスバリア、31…ダイカスト孔、32…純アルミ、33…ダイカスト孔、34…純アルミ、35…ダイカスト孔、36…純アルミ、50…シャフト、100…ステータ、104…コイル。