(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230523BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230523BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230523BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230523BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230523BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230523BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20230523BHJP
B60L 53/62 20190101ALI20230523BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20230523BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230523BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/02 G
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/30
B60L53/62
B60L53/66
B60L58/12
(21)【出願番号】P 2020081300
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大介
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-205302(JP,A)
【文献】特開2019-033629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H01M 10/44
H01M 10/48
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/30
B60L 53/62
B60L 53/66
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源と、蓄電装置とを用いて、産業車両に搭載された車載蓄電装置の充電を行う充電装置であって、
前記系統電源から供給される電力を用いて前記車載蓄電装置に電力を供給する第1車載蓄電装置充電部と、
前記蓄電装置から供給される電力を用いて前記車載蓄電装置に電力を供給する第2車載蓄電装置充電部と、
前記系統電源から供給される電力を用いて前記蓄電装置に電力を供給する蓄電装置充電部と、
前記車載蓄電装置の充電率を検出する車載検出部から前記車載蓄電装置の充電率を示す情報を取得する車載蓄電装置充電率取得部と、
前記蓄電装置の充電率を検出する検出部から前記蓄電装置の充電率を示す情報を取得する蓄電装置充電率取得部と、
前記第1車載蓄電装置充電部及び前記第2車載蓄電装置充電部のうち少なくとも一方を用いて前記車載蓄電装置を充電し、前記車載蓄電装置の充電率が目標充電率に達した場合、充電を終了させる第1制御部と、
前記車載蓄電装置の充電率が前記目標充電率に未達の状態で前記車載蓄電装置の充電が終了した場合、前記第1制御部により前記車載蓄電装置の充電が行われていない時間に、前記蓄電装置に電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御する第2制御部と、を有する充電装置。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記蓄電装置へ供給可能な最大の電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御することを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記蓄電装置充電部から前記蓄電装置へ供給する電力を決定するとともに当該決定した電力を前記蓄電装置へ供給するように前記蓄電装置充電部を制御する請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記車載蓄電装置の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する車両充電開始予定時刻取得部を有し、
前記第2制御部は、前記車両充電開始予定時刻から導出される前記蓄電装置を充電できる時間である充電可能時間、前記蓄電装置の充電率、及び前記蓄電装置の目標充電率に基づいて前記蓄電装置へ供給する電力を決定することを特徴とする請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記車載蓄電装置の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する車両充電開始予定時刻取得部と、
前記車載蓄電装置の充電率が前記目標充電率に達した状態で前記車載蓄電装置の充電が終了した場合、前記第1制御部により前記車載蓄電装置の充電が行われていない時間に、前記蓄電装置に電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御する第3制御部と、を有し、
前記第3制御部は、前記車両充電開始予定時刻から導出される前記蓄電装置を充電できる時間である充電可能時間、前記蓄電装置の充電率、及び前記蓄電装置の目標充電率に基づいて前記蓄電装置へ供給する電力を決定することを特徴とする請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の充電装置。
【請求項6】
前記車載蓄電装置の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する車両充電開始予定時刻取得部と、
前記車両充電開始予定時刻と前記蓄電装置の充電率と前記蓄電装置の目標充電率とに基づいて、前記蓄電装置の充電率が前記蓄電装置の目標充電率に達するために必要な前記蓄電装置の充電を開始する時刻である充電開始時刻を導出する充電開始時刻導出部と、を有し、
前記第2制御部は、現在の時刻が前記充電開始時刻よりも前の場合は、前記充電開始時刻よりも前に前記蓄電装置に電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御することを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
系統電源と、系統電源とは別に設けられた蓄電装置とを用いて、産業車両に搭載された車載蓄電装置の充電を行う充電装置としては、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の充電装置は、充電装置に車載蓄電装置が接続されている場合、系統電源及び蓄電装置の両方を用いて車載蓄電装置の充電を行う。また、充電装置は、充電装置に車載蓄電装置が接続されていない場合、蓄電装置の充電を行う。車載蓄電装置の充電を行わないときに蓄電装置を充電し、蓄電装置を用いて車載蓄電装置の充電を可能にすることで、電力の平準化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の充電装置は、充電装置に車載蓄電装置が接続されていない場合、蓄電装置の充電を行う。しかしながら、充電装置に車載蓄電装置が接続されていなければ、常に蓄電装置の充電を行うかについては言及されていない。蓄電装置の劣化を抑制することなどを目的として、車載蓄電装置が接続されていないときであっても系統電源による蓄電装置の充電を行わないことも考えられる。この場合、車載蓄電装置の充電を行う際に蓄電装置の残容量が不足する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、車載蓄電装置を充電する際に蓄電装置の残容量が不足することを抑制できる充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する充電装置は、系統電源と、蓄電装置とを用いて、産業車両に搭載された車載蓄電装置の充電を行う充電装置であって、前記系統電源から供給される電力を用いて前記車載蓄電装置に電力を供給する第1車載蓄電装置充電部と、前記蓄電装置から供給される電力を用いて前記車載蓄電装置に電力を供給する第2車載蓄電装置充電部と、前記系統電源から供給される電力を用いて前記蓄電装置に電力を供給する蓄電装置充電部と、前記車載蓄電装置の充電率を検出する車載検出部から前記車載蓄電装置の充電率を示す情報を取得する車載蓄電装置充電率取得部と、前記蓄電装置の充電率を検出する検出部から前記蓄電装置の充電率を示す情報を取得する蓄電装置充電率取得部と、前記第1車載蓄電装置充電部及び前記第2車載蓄電装置充電部のうち少なくとも一方を用いて前記車載蓄電装置を充電し、前記車載蓄電装置の充電率が目標充電率に達した場合、充電を終了させる第1制御部と、前記車載蓄電装置の充電率が前記目標充電率に未達の状態で前記車載蓄電装置の充電が終了した場合、前記第1制御部により前記車載蓄電装置の充電が行われていない時間に、前記蓄電装置に電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御する第2制御部と、を有する。
【0007】
車載蓄電装置の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置の充電が終了した場合、車載蓄電装置を充電するための時間を十分に確保できない状態と考えられる。この場合、充電装置を用いて、車載蓄電装置の充電を行う頻度が高いと想定され、蓄電装置の残容量が不足するおそれがある。車載蓄電装置の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置の充電が終了した場合、蓄電装置の充電を行うことで、車載蓄電装置を充電する際に蓄電装置の残容量が不足することを抑制できる。
【0008】
上記充電装置について、前記第2制御部は、前記蓄電装置へ供給可能な最大の電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御してもよい。
上記充電装置について、前記第2制御部は、前記車載蓄電装置の充電率が前記目標充電率に達した状態で前記車載蓄電装置の充電が終了した場合、前記蓄電装置充電部から前記蓄電装置へ供給する電力を決定するとともに当該決定した電力を前記蓄電装置へ供給するように前記蓄電装置充電部を制御してもよい。
【0009】
上記充電装置について、前記車載蓄電装置の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する車両充電開始予定時刻取得部を有し、前記第2制御部は、前記車両充電開始予定時刻から導出される前記蓄電装置を充電できる時間である充電可能時間、前記蓄電装置の充電率、及び前記蓄電装置の目標充電率に基づいて前記蓄電装置へ供給する電力を決定してもよい。
【0010】
上記充電装置について、前記車載蓄電装置の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する車両充電開始予定時刻取得部と、前記車載蓄電装置の充電率が前記目標充電率に達した状態で前記車載蓄電装置の充電が終了した場合、前記第1制御部により前記車載蓄電装置の充電が行われていない時間に、前記蓄電装置に電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御する第3制御部と、を有し、前記第3制御部は、前記車両充電開始予定時刻から導出される前記蓄電装置を充電できる時間である充電可能時間、前記蓄電装置の充電率、及び前記蓄電装置の目標充電率に基づいて前記蓄電装置へ供給する電力を決定してもよい。
【0011】
上記充電装置について、前記車載蓄電装置の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する車両充電開始予定時刻取得部と、前記車両充電開始予定時刻と前記蓄電装置の充電率と前記蓄電装置の目標充電率とに基づいて、前記蓄電装置の充電率が前記蓄電装置の目標充電率に達するために必要な前記蓄電装置の充電を開始する時刻である充電開始時刻を導出する充電開始時刻導出部と、を有し、前記第2制御部は、現在の時刻が前記充電開始時刻よりも前の場合は、前記充電開始時刻よりも前に前記蓄電装置に電力を供給するように前記蓄電装置充電部を制御してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車載蓄電装置を充電する際に蓄電装置の残容量が不足することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図5】第1実施形態の蓄電装置充電制御を行った場合における蓄電装置の充電率の推移を示す図。
【
図6】車載蓄電装置充電制御を示すフローチャート。
【
図7】第1実施形態の蓄電装置充電制御を示すフローチャート。
【
図8】第1実施形態の蓄電装置充電制御を行った場合における車載蓄電装置の充電率の推移と、比較例とを示す図。
【
図9】第2実施形態の蓄電装置充電制御を示すフローチャート。
【
図10】第2実施形態の蓄電装置充電制御を行った場合における蓄電装置の充電率の推移を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、充電装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、電力システム10は、系統電源20と、産業車両11と、需要家設備分電盤21と、充電分電盤25と、充電システム30と、を有する。充電システム30は、複数の充電設備31と、上位制御装置71と、充電制御装置72と、を有する。充電設備31は、電力会社等の電力供給者から電力を供給される需要家設備に設けられている。需要家設備としては、例えば、工場、公共施設、商用施設が挙げられる。需要家設備には、負荷としての充電設備31と、充電設備31以外の負荷24とが設けられている。系統電源20を通じて電力供給者から供給される電力は、充電設備31及び充電設備31以外の負荷24で共有される。
【0015】
図2に示すように、産業車両11は、車載蓄電装置12と、車載BMS13と、を有する。産業車両11としては、例えば、フォークリフト、トーイングトラクタ、港湾で使用される搬送車が挙げられる。産業車両11は、需要家の敷地内で使用される。
【0016】
車載蓄電装置12は、複数の二次電池を接続したユニットである。二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池など充放電可能なものであればどのようなものを用いていてもよい。本実施形態では、二次電池はリチウムイオン二次電池を用いている。
【0017】
車載検出部としての車載BMS13は、車載蓄電装置12の状態を検出するバッテリマネジメントシステムである。車載BMS13は、車載蓄電装置12の状態を検出するための車載センサ14と、車載監視部15と、を有する。車載センサ14には、少なくとも、車載蓄電装置12の端子間電圧を検出する電圧センサと、車載蓄電装置12の充放電電流を検出する電流センサとが含まれる。車載センサ14として、車載蓄電装置12の温度を検出する温度センサなどが設けられていてもよい。
【0018】
車載監視部15は、ハードウェアとしてCPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどの記憶部を有する制御装置である。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。車載監視部15は、ASIC:Application Specific Integrated CircuitやFPGA:Field Programmable Gate Array等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。車載監視部15は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0019】
車載監視部15は、車載センサ14の検出結果から車載蓄電装置12の充電率を推定する。車載蓄電装置12の充電率の推定手法としては、例えば、充放電電流を積算することで車載蓄電装置12の充電率を推定する電流積算法、開回路電圧と充電率との相関から車載蓄電装置12の充電率を推定する手法を挙げることができる。また、これらの手法を組み合わせて車載蓄電装置12の充電率を推定してもよい。
【0020】
図1に示すように、需要家設備分電盤21は、系統電源20から需要家内に引き込まれた電力を分配する。需要家設備分電盤21は、1つの主幹ブレーカ22と、複数の分岐ブレーカ23と、を有する。主幹ブレーカ22には、系統電源20が接続されている。分岐ブレーカ23の1つには、充電分電盤25が接続されている。充電分電盤25が接続された分岐ブレーカ23と異なる分岐ブレーカ23には、負荷24が接続されている。
【0021】
充電分電盤25は、複数のブレーカ26を有する。分岐ブレーカ23の1つは、充電分電盤25の各ブレーカ26に接続されている。各ブレーカ26には、それぞれ、充電設備31が接続されている。ブレーカ26は、充電設備31のそれぞれに対応して1つずつ設けられているといえる。
【0022】
図1及び
図2に示すように、充電設備31は、産業車両11に搭載された車載蓄電装置12を充電するための設備である。充電設備31は、蓄電装置32と、蓄電BMS33と、充電装置40と、を有する。
【0023】
蓄電装置32は、複数の二次電池を接続したユニットである。二次電池としては、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池など充放電可能なものであればどのようなものを用いていてもよい。二次電池としては、車載蓄電装置12と同一種類のものを用いることが好ましい。本実施形態では、蓄電装置32の二次電池としてリチウムイオン二次電池を用いている。
【0024】
検出部としての蓄電BMS33は、蓄電装置32の状態を検出するバッテリマネジメントシステムである。蓄電BMS33は、蓄電装置32の状態を検出するための蓄電センサ34と、蓄電監視部35と、を有する。蓄電センサ34には、少なくとも、蓄電装置32の端子間電圧を検出する電圧センサと、蓄電装置32の充放電電流を検出する電流センサと、が含まれる。蓄電センサ34として、蓄電装置32の温度を検出する温度センサなどが設けられていてもよい。
【0025】
蓄電監視部35は、ハードウェアとしてCPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどの記憶部を有する制御装置である。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。蓄電監視部35は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。蓄電監視部35は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0026】
蓄電監視部35は、蓄電センサ34の検出結果から蓄電装置32の充電率を推定する。蓄電装置32の充電率の推定手法としては、例えば、電流積算法や、開回路電圧と充電率との相関から蓄電装置32の充電率を推定する手法を挙げることができる。また、これらの手法を組み合わせて蓄電装置32の充電率を推定してもよい。
【0027】
充電装置40は、充電コネクタ41と、AC/DCインバータ42と、第1DC/DCコンバータ43と、第1出力ライン45と、第2DC/DCコンバータ46と、第2出力ライン48と、充電ライン49と、切替部50と、制御装置60と、を有する。
【0028】
充電コネクタ41は、産業車両11に対して着脱可能である。充電コネクタ41は、充電設備31を用いて車載蓄電装置12を充電する際に産業車両11に装着される。充電コネクタ41が産業車両11に装着されることで、充電装置40から車載蓄電装置12に車両充電電力Poutを供給することができる。
【0029】
AC/DCインバータ42は、ブレーカ26を介して系統電源20から供給されるブレーカ電力P0を直流電力に変換するものである。例えば、AC/DCインバータ42は、ブレーカ電力P0を直流電力に整流する整流器と、スイッチング素子を有し且つ整流された直流電力が入力される変換回路と、を有している。変換回路のスイッチング素子が所定のデューティ比でスイッチング動作することにより、直流電力が生成される。AC/DCインバータ42の接続先は、切替部50によって第1DC/DCコンバータ43又は充電ライン49に切り替えられる。
【0030】
第1DC/DCコンバータ43は、AC/DCインバータ42と充電コネクタ41との間に設けられている。第1DC/DCコンバータ43は、切替部50を介してAC/DCインバータ42に電気的に接続される。切替部50によってAC/DCインバータ42と第1DC/DCコンバータ43とが電気的に接続されている場合、AC/DCインバータ42から出力される直流電力が第1DC/DCコンバータ43に入力される。第1DC/DCコンバータ43は、第1出力ライン45によって充電コネクタ41に電気的に接続されている。第1DC/DCコンバータ43は、系統電源20から供給される電力を用いて車載蓄電装置12に電力を供給する第1車載蓄電装置充電部として機能している。
【0031】
第1DC/DCコンバータ43は、第1スイッチング素子44を有している。第1DC/DCコンバータ43は、AC/DCインバータ42から電力供給が行われている状況において第1スイッチング素子44がスイッチング動作を行うことにより、デューティ比に対応した第1供給電力Pout1を出力する。第1供給電力Pout1は、第1スイッチング素子44のデューティ比によって変化する。このため、第1スイッチング素子44のデューティ比を可変制御することにより、第1供給電力Pout1を可変制御することができる。
【0032】
第2DC/DCコンバータ46は、蓄電装置32と充電コネクタ41との間に設けられている。第2DC/DCコンバータ46は、蓄電装置32と電気的に接続されており、蓄電装置32からの放電電力は第2DC/DCコンバータ46に入力される。第2DC/DCコンバータ46の接続先は、切替部50によって第2出力ライン48又は充電ライン49に切り替えられる。第2DC/DCコンバータ46は、第2出力ライン48によって充電コネクタ41に電気的に接続される。第2DC/DCコンバータ46は、充電ライン49によってAC/DCインバータ42に電気的に接続される。なお、
図2では、第2出力ライン48は、第1出力ライン45に接続されており、第2出力ライン48は第1出力ライン45を介して充電コネクタ41に接続されている。第2DC/DCコンバータ46は、蓄電装置32から入力される放電電力を異なる電力値を有する直流電力である第2供給電力Pout2に変換して第2出力ライン48に出力可能であり、かつ、充電ライン49を介してAC/DCインバータ42から入力される電力を異なる電力値を有する直流電力である充電電力Pout3に変換して蓄電装置32に出力可能な双方向コンバータである。
【0033】
第2DC/DCコンバータ46は、第2スイッチング素子47を有している。第2DC/DCコンバータ46は、切替部50によって第2DC/DCコンバータ46と第2出力ライン48とが接続されている状況において第2スイッチング素子47がスイッチング動作を行うことにより、デューティ比に対応した第2供給電力Pout2を第2出力ライン48に出力することが可能である。第2供給電力Pout2は、第2スイッチング素子47のデューティ比によって変化する。このため、第2スイッチング素子47のデューティ比を可変制御することにより、第2供給電力Pout2を可変制御することができる。
【0034】
第2DC/DCコンバータ46は、切替部50によって第2DC/DCコンバータ46と充電ライン49とが接続されている状況において第2スイッチング素子47がスイッチング動作を行うことにより、デューティ比に対応した充電電力Pout3を蓄電装置32に出力することが可能である。第2スイッチング素子47のデューティ比を可変制御することにより、充電電力Pout3を可変制御することができる。第2DC/DCコンバータ46は、蓄電装置32から供給される電力を用いて車載蓄電装置12に電力を供給する第2車載蓄電装置充電部として機能している。また、第2DC/DCコンバータ46は、系統電源20から供給される電力を用いて蓄電装置32に電力を供給する蓄電装置充電部として機能している。
【0035】
切替部50は、AC/DCインバータ42の出力電力を車載蓄電装置12に供給する第1充電状態、又は、AC/DCインバータ42の出力電力を蓄電装置32に供給する第2充電状態に切り替えるためのものである。切替部50は、第1切替スイッチ51と、第2切替スイッチ52と、を有する。第1切替スイッチ51は、AC/DCインバータ42の接続先を第1DC/DCコンバータ43又は充電ライン49に切り替える。第2切替スイッチ52は、第2DC/DCコンバータ46の接続先を第2出力ライン48又は充電ライン49に切り替える。
【0036】
第1切替スイッチ51によってAC/DCインバータ42の接続先が第1DC/DCコンバータ43となっている場合、AC/DCインバータ42及び第1DC/DCコンバータ43を介して系統電源20と充電コネクタ41とが電気的に接続される。第2切替スイッチ52によって第2DC/DCコンバータ46の接続先が第2出力ライン48となっている場合、第2DC/DCコンバータ46を介して蓄電装置32と充電コネクタ41とが電気的に接続される。
【0037】
本実施形態における第1充電状態とは、第1切替スイッチ51によってAC/DCインバータ42の接続先が第1DC/DCコンバータ43となり、かつ、第2切替スイッチ52によって第2DC/DCコンバータ46の接続先が第2出力ライン48となっている状態である。
【0038】
充電装置40が第1充電状態であって第1DC/DCコンバータ43が動作しており、かつ、第2DC/DCコンバータ46が動作している場合、系統電源20及び蓄電装置32の両方から車載蓄電装置12に対して車両充電電力Poutが供給される。この場合の車両充電電力Poutは、第1供給電力Pout1と第2供給電力Pout2とを合わせた電力となる。充電装置40が第1充電状態であって第1DC/DCコンバータ43が動作しており、かつ、第2DC/DCコンバータ46が動作していない場合、系統電源20及び蓄電装置32のうち系統電源20のみから車載蓄電装置12に対して電力供給が行われる。この場合の車両充電電力Poutは、第1供給電力Pout1となる。車両充電電力Poutにより、車載蓄電装置12の充電が行われる。第1充電状態では、系統電源20及び蓄電装置32のうち少なくとも系統電源20を用いて車載蓄電装置12の充電が行われる。
【0039】
第1切替スイッチ51によってAC/DCインバータ42の接続先が充電ライン49となっており、かつ、第2切替スイッチ52によって第2DC/DCコンバータ46の接続先が充電ライン49となっている場合、系統電源20と蓄電装置32とが電気的に接続される。詳細にいえば、AC/DCインバータ42及び第2DC/DCコンバータ46を介して系統電源20と蓄電装置32とが電気的に接続される。
【0040】
本実施形態における第2充電状態とは、第1切替スイッチ51によってAC/DCインバータ42の接続先が充電ライン49となり、かつ、第2切替スイッチ52によって第2DC/DCコンバータ46の接続先が充電ライン49となっている状態である。
【0041】
充電装置40が第2充電状態である場合、AC/DCインバータ42から出力される直流電力は、充電ライン49を介して第2DC/DCコンバータ46に入力される。そして、第2スイッチング素子47がスイッチング動作することにより、充電電力Pout3が蓄電装置32に供給され、蓄電装置32の充電が行われる。第2充電状態とは、系統電源20を用いて蓄電装置32を充電する状態ともいえる。
【0042】
制御装置60は、CPUやGPU等のプロセッサ61と、RAM及びROM等からなる記憶部62と、を有する。記憶部62は、処理をプロセッサ61に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部62、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置60は、ASIC:Application Specific Integrated CircuitやFPGA:Field Programmable Gate Array等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置60は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0043】
制御装置60は、充電コネクタ41に電気的に接続されている。制御装置60は、充電コネクタ41を介して車載BMS13と通信可能に接続される。制御装置60は、車載BMS13から車載蓄電装置12に関する情報を取得可能である。車載蓄電装置12に関する情報には、少なくとも、車載蓄電装置12の充電率を示す情報が含まれる。車載蓄電装置12に関する情報には、車載蓄電装置12を充電する際の要求電力、車載蓄電装置12の容量などが含まれていてもよい。なお、車載BMS13から情報を取得するとは、車載BMS13と制御装置60とが直接情報を送受信することで情報を取得する態様に限られず、車載BMS13から情報を取得した車載制御装置と制御装置60とが情報を送受信することで情報を取得する態様も含まれる。即ち、制御装置60は、車載BMS13により検出された情報を取得できれば、どのような態様で情報の送受信を行ってもよい。制御装置60は、充電コネクタ41が産業車両11に装着されている状態で、車載BMS13から車載蓄電装置12に関する情報を定期的に取得する。制御装置60は、車載蓄電装置充電率取得部として機能している。
【0044】
制御装置60は、充電コネクタ41が産業車両11に装着されると、充電対象となる車載蓄電装置12が充電装置40に接続されたことを認識する。例えば、制御装置60は、充電コネクタ41を介して車載BMS13などの産業車両11に搭載された車載制御装置との通信が確立すると、車載蓄電装置12が充電装置40に接続されたと認識する。
【0045】
制御装置60は、蓄電BMS33から蓄電装置32に関する情報を取得可能である。蓄電装置32に関する情報には、少なくとも、蓄電装置32の充電率を示す情報が含まれる。蓄電装置32に関する情報には、蓄電装置32を充電する際の要求電力、蓄電装置32の容量などが含まれていてもよい。制御装置60は、蓄電BMS33から蓄電装置32に関する情報を定期的に取得する。制御装置60は、蓄電装置充電率取得部として機能している。
【0046】
上位制御装置71は、例えば、サーバーである。上位制御装置71は、需要家設備に設けられていてもよいし、需要家設備とは異なる場所に設けられていてもよい。上位制御装置71は、産業車両11の稼働スケジュールを記憶している。産業車両11の稼働スケジュールは、産業車両11の管理者などによって入力されてもよいし、マルコフモデルなどの確率モデルによって予測されたものでもよい。また、上位制御装置71は、系統電源20から供給される電力のうち充電設備31で利用可能な電力である充電可能電力を算出する。充電可能電力は、例えば、充電設備31以外の負荷24で使用されている電力や、電力供給者との契約で定められた電力である契約電力に基づいて算出される。
【0047】
充電制御装置72は、CPUやGPU等のプロセッサと、RAM及びROM等からなる記憶部と、を有する。充電制御装置72は、ASICやFPGA等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。充電制御装置72は、上位制御装置71と通信可能に構成されている。例えば、充電制御装置72は、上位制御装置71と通信を行うための通信インターフェースを有し、この通信インターフェースを介して、上位制御装置71から稼働スケジュールを示す情報などを取得可能である。充電制御装置72は、複数の充電設備31を制御可能である。例えば、充電制御装置72は、充電可能電力から、各充電設備31で使用することができるブレーカ電力P0を算出したり、上位制御装置71から取得した稼働スケジュールに関する情報を充電設備31に送信する。
【0048】
上記した充電システム30では、制御装置60による充電装置40の制御により、車載蓄電装置12と蓄電装置32の充電が行われる。制御装置60は、稼働スケジュールに応じた充電を行う。
【0049】
図3に示すように、時刻T0から時刻T1までの時間は定期充電、時刻T1から時刻T2までの時間は稼働、時刻T2から時刻T3までの時間は補充電、時刻T3から時刻T4までの時間は稼働が行われるように稼働スケジュールが設定されているとする。定期充電とは、定期的に行われる充電であって、車載蓄電装置12を満充電にすることを意図して行われる充電である。稼働とは、車載蓄電装置12の電力を用いて産業車両11を稼働させることである。補充電とは、産業車両11を稼働させる必要のない空き時間などを利用して不定期に行われる充電である。なお、
図3に示す稼働スケジュールは一例であり、産業車両11の稼働時間を把握できれば、稼働スケジュールはどのような態様であってもよい。
【0050】
図4には、
図3に示す稼働スケジュール通りに産業車両11を稼働させた場合における車載蓄電装置12の充電率の推移を実線で示している。
図5には、
図3に示す稼働スケジュール通りに産業車両11を稼働させた場合における蓄電装置32の充電率の推移を実線で示している。
【0051】
図4及び
図5に示すように、定期充電や補充電などで車載蓄電装置12の充電を行うと、車載蓄電装置12の充電率は高くなっていく。一方で、車載蓄電装置12の充電を行う際に、系統電源20及び蓄電装置32の両方を用いると、蓄電装置32の充電率は低下していく。産業車両11が稼働している時間、言い換えれば、車載蓄電装置12を充電する必要のない時間には、充電装置40による蓄電装置32の充電が行われる。このため、産業車両11の稼働中には、蓄電装置32の充電率が高くなっていく。以下、車載蓄電装置12の充電を行う際に行われる車載蓄電装置充電制御、及び蓄電装置32の充電を行う際に行われる蓄電装置充電制御について説明する。
【0052】
まず、車載蓄電装置充電制御について説明する。車載蓄電装置充電制御は、例えば、充電コネクタ41が産業車両11に装着されることで充電装置40と車載蓄電装置12とが電気的に接続されることで開始される。車載蓄電装置12の充電を行う場合、制御装置60は、AC/DCインバータ42の接続先が第1DC/DCコンバータ43になるように第1切替スイッチ51を制御する。また、制御装置60は、第2DC/DCコンバータ46の接続先が第2出力ライン48になるように第2切替スイッチ52を制御する。
【0053】
図6に示すように、ステップS1において、制御装置60は、充電コネクタ41が接続された車載蓄電装置12の充電を終了する予定の時刻である車両充電終了予定時刻を取得する。産業車両11を稼働させる際には、車載蓄電装置12の充電を終了する必要があるため、車両充電終了予定時刻とは産業車両11が次に稼働する時刻もしくは次に稼働する時刻の少し前の時刻といえる。車両充電終了予定時刻は、充電制御装置72を介して、上位制御装置71から取得可能である。なお、制御装置60は、車両充電終了予定時刻を含む稼働スケジュールの全てを取得してもよいし、車両充電終了予定時刻のみを取得してもよい。また、制御装置60が稼働スケジュールを示す情報を取得するタイミングは、車載蓄電装置充電制御を行っている場合に限られず、定期的であってもよい。
図3に示す稼働スケジュールであれば、現在の時刻が時刻T0であれば、車両充電終了予定時刻は時刻T1であり、現在の時刻が時刻T2であれば、車両充電終了予定時刻は時刻T3である。
【0054】
図6に示すように、ステップS2において、制御装置60は、車両充電可能時間を算出する。車両充電可能時間は、車載蓄電装置12の充電に使用できると予測される時間である。本実施形態では、制御装置60は、現在の時刻から車両充電終了予定時刻までの時間を車両充電可能時間として算出する。
【0055】
次に、ステップS3において、制御装置60は、車載蓄電装置12に供給する電力である車両充電電力Poutを算出する。本実施形態において、車両充電電力Poutは、車載蓄電装置12の劣化を抑制できるように算出される。車載蓄電装置12は、車両充電電力Poutが大きいほど、充電時に温度が高くなることを一因として劣化が促進される傾向にある。また、車載蓄電装置12は、高い充電率に維持される時間が長いほど劣化が促進される傾向にある。これらを考慮し、制御装置60は、充電装置40の出力可能な最大出力電力未満の電力であっても、車両充電可能時間内で車載蓄電装置12を目標充電率にできる場合には、最大出力電力未満の車両充電電力Poutによって車載蓄電装置12の充電を行う。なお、最大出力電力とは、ブレーカ26から充電装置40に供給可能なブレーカ電力P0と、蓄電装置32の放電可能な放電電力との合算値である。ブレーカ電力P0の情報は、例えば、充電制御装置72から取得可能である。
【0056】
最大出力電力未満の車両充電電力Poutで車載蓄電装置12の充電を行う場合、制御装置60は、車両充電終了予定時刻に車載蓄電装置12の充電率が目標充電率になるような車両充電電力Poutを算出する。目標充電率は、産業車両11の管理者が任意に設定することができるものであり、例えば、車両充電終了時間から次の車両充電開始時間までに、車載蓄電装置12の充電率が0とならないように設定されたり、予め決めた所定時間内、産業車両11を稼働しても、車載蓄電装置12の充電率が0とならないように設定される。車両充電電力Poutは、車両充電終了予定時刻より若干早い時刻に車載蓄電装置12が目標充電率になるように算出されてもよい。
【0057】
図4に一点鎖線で示すように、仮に、時刻T0から最大出力電力で車載蓄電装置12を充電したとすると、車載蓄電装置12は時刻T1よりも早い時刻で目標充電率になる。車載蓄電装置12は、目標充電率になった時刻から時刻T1まで目標充電率の状態で維持される。これに対し、本実施形態では、
図4に実線で示すように、時刻T0から車載蓄電装置12の充電を開始した場合に、時刻T1で車載蓄電装置12が目標充電率になるように車両充電電力Poutが算出される。最大出力電力で車載蓄電装置12の充電を行う場合に比べて、車載蓄電装置12の温度上昇が少なく、車載蓄電装置12が目標充電率に維持される時間も短くなるように車両充電電力Poutは算出されるといえる。
【0058】
図6に示すように、ステップS4において、制御装置60は、ステップS3で算出された車両充電電力Poutが供給されるように充電装置40の制御を行う。制御装置60は、ステップS3で算出された車両充電電力Poutがブレーカ電力P0以下であれば、蓄電装置32を用いずに車載蓄電装置12の充電を行う。制御装置60は、第1DC/DCコンバータ43から出力される第1供給電力Pout1が車両充電電力Poutとなるように制御を行う。車載蓄電装置12は、第1DC/DCコンバータ43から供給される第1供給電力Pout1によって充電される。
【0059】
制御装置60は、ステップS3で算出された車両充電電力Poutがブレーカ電力P0より大きければ、系統電源20に加えて蓄電装置32を用いて車載蓄電装置12の充電を行う。制御装置60は、第1DC/DCコンバータ43から出力される第1供給電力Pout1と、第2DC/DCコンバータ46から出力される第2供給電力Pout2との合算値が車両充電電力Poutとなるように制御を行う。
【0060】
次に、ステップS5において、制御装置60は車載蓄電装置12の充電が終了したか否かを判定する。制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率を監視しており、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した場合、充電を終了させる。また、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率を監視するのに代えて、時刻が車両充電予定時刻に達した場合に車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達したとみなして充電を終了させてもよい。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達していない場合であっても、産業車両11の使用者などによって充電コネクタ41が産業車両11から外される等の充電中断操作が行われると車載蓄電装置12の充電は終了することになる。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達していない状態で充電中断操作が行われた場合、車載蓄電装置12の充電が完了していないにも関わらず、車載蓄電装置12の充電が中断されたといえる。
【0061】
次に、ステップS6において、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了したか否かを判定する。即ち、ステップS5において車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で充電が終了したか、充電中断操作により車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で充電が終了したかを判定する。ステップS6の判定結果が否定の場合、制御装置60はステップS7の処理を行う。一方で、ステップS6の判定結果が肯定の場合、制御装置60は車載蓄電装置充電制御を終了する。
【0062】
ステップS7において、制御装置60は、フラグを立てて、車載蓄電装置充電制御を終了する。車載蓄電装置充電制御を行うことで、制御装置60は第1制御部として機能している。
【0063】
ステップS1~ステップS7の処理は、車載蓄電装置12の充電中に、所定の周期毎に行われてもよいし、車載蓄電装置12の充電をする際に、1回のみ行われてもよい。言い換えれば、車載蓄電装置12を充電する際の車両充電電力Poutは、所定の周期毎に変更されてもよいし、充電が終了するまで変更されなくてもよい。なお、ステップS1~ステップS7の処理を車載蓄電装置12の充電中に所定の周期毎に行う場合、ステップS5の判定結果が否定の場合、車載蓄電装置充電制御を終了する。
【0064】
次に、蓄電装置充電制御について説明する。蓄電装置充電制御は、蓄電装置32の充電開始条件が成立すると開始される。蓄電装置32の充電開始条件としては、充電コネクタ41が産業車両11から外されることや、充電中の車載蓄電装置12が目標充電率に達することが挙げられる。蓄電装置充電制御は、車載蓄電装置12の充電を行わない時間に行われるといえる。蓄電装置32の充電を行う場合、制御装置60は、AC/DCインバータ42の接続先が充電ライン49になるように第1切替スイッチ51を制御する。制御装置60は、第2DC/DCコンバータ46の接続先が充電ライン49になるように第2切替スイッチ52を制御する。
【0065】
図7に示すように、ステップS11において、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で先回の車載蓄電装置12の充電が終了したか否かを判定する。ステップS11の判定は、フラグが立っているか否かを確認することで行うことができる。詳細にいえば、フラグが立っていなければ、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で先回の車載蓄電装置12の充電が終了したと判定でき、フラグが立っていれば車載蓄電装置12の充電率が未達の状態で先回の車載蓄電装置12の充電が終了したと判定できる。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了したか否かを判定することで、産業車両11の稼働率が高いか否かを判定することができる。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、産業車両11の稼働率は高いといえる。産業車両11は、繁忙期か閑散期かによって稼働率が大きく変化する。また、繁忙期か閑散期かに関わらず、時間帯によって産業車両11の稼働率は大きく変化し得る。産業車両11の稼働率が高くなると、車載蓄電装置12を充電する時間を十分に確保することができないおそれがあり、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で充電装置40による充電が終了される場合がある。例えば、
図4では、時刻T2から時刻T3の間に行われる補充電で、車載蓄電装置12の充電時間を十分に確保できずに、充電率が目標充電率に未達の状態で充電を終えている。ステップS11の判定結果が肯定の場合、制御装置60は、ステップS12の処理を行う。一方で、ステップS11の判定結果が否定の場合、制御装置60はステップS16の処理を行う。
【0066】
図7に示すように、ステップS12において、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電が次に開始されると予定される時刻である車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する。車両充電開始予定時刻を示す情報は、充電制御装置72を介して、上位制御装置71から取得可能である。産業車両11の稼働が終了すると、車載蓄電装置12の充電が行われるため、車両充電開始予定時刻は、産業車両11の稼働が終了する予定の時刻ともいえる。なお、制御装置60は、車両充電開始予定時刻を含む稼働スケジュールの全てを取得してもよいし、車両充電開始予定時刻のみを取得してもよい。また、制御装置60は、蓄電装置充電制御を行っている場合に限られず、定期的に稼働スケジュールを示す情報を取得していてもよい。
図3に示す稼働スケジュールであれば現在の時刻が時刻T1であれば、車両充電開始予定時刻は時刻T2であり、現在の時刻が時刻T3であれば、車両充電開始予定時刻は時刻T4である。ステップS12の処理を行うことで、制御装置60は、車両充電開始予定時刻取得部を有しているといえる。
【0067】
図7に示すように、ステップS13において、制御装置60は、充電可能時間を算出する。充電可能時間は、蓄電装置32の充電に使用できると予測される時間である。制御装置60は、蓄電装置32の充電が開始される時刻である充電開始時刻と、車両充電開始予定時刻もしくは車両充電開始予定時刻の少し前の時刻までの時間を充電可能時間として算出する。車載蓄電装置12の充電を終了した時点で蓄電装置32の充電が開始されるとすると、
図3に示す稼働スケジュールでは時刻T1と時刻T3が充電開始時刻となる。
図3に示す稼働スケジュールでは、充電可能時間は、時刻T1から時刻T2までの時間、及び時刻T3から時刻T4までの時間となる。産業車両11の稼働中には、充電装置40による車載蓄電装置12の充電は行われないため、産業車両11の稼働している時間を充電可能時間と捉えることもできる。
【0068】
次に、ステップS14において、制御装置60は、第1充電電力を算出する。第1充電電力とは、充電可能時間、蓄電装置32の充電率、蓄電装置32の目標充電率に基づいて算出される電力である。第1充電電力は、蓄電装置32の劣化を抑制できるように算出される。車載蓄電装置12と同様に、蓄電装置32は、供給される充電電力Pout3が大きいほど、充電時に温度が高くなることを一因として劣化が促進される傾向にある。また、蓄電装置32は、高い充電率に維持される時間が長いほど劣化が促進される傾向にある。これらを考慮し、制御装置60は、充電電力Pout3の最大値である最大充電電力未満の電力であっても、充電可能時間内で蓄電装置32を目標充電率にできる場合には、最大充電電力未満の第1充電電力により蓄電装置32の充電を行う。なお、最大充電電力は、変動し得る。
【0069】
本実施形態において、制御装置60は、車両充電開始予定時刻に蓄電装置32が目標充電率になるように第1充電電力を算出する。即ち、充電開始時刻と車両充電開始予定時刻との間に、蓄電装置32の充電率と蓄電装置32の目標充電率との差分に相当する容量が充電されるように第1充電電力は算出される。蓄電装置32の目標充電率は、充電装置40の管理者が任意に設定することができるものである。なお、第1充電電力は、車両充電開始予定時刻より若干早い時刻に蓄電装置32が目標充電率になるように算出されてもよい。
【0070】
図5に一点鎖線で示すように、仮に、時刻T1から最大充電電力で蓄電装置32を充電したとすると、蓄電装置32は時刻T2よりも早い時刻で目標充電率になる。蓄電装置32は、目標充電率になった時刻から時刻T2まで目標充電率の状態で維持される。本実施形態のように、時刻T1から第1充電電力で蓄電装置32を充電したとすると、時刻T2で蓄電装置32が目標充電率になる。第1充電電力で充電を行った場合、最大充電電力で蓄電装置32の充電を行う場合に比べて、蓄電装置32の温度上昇が少なく、蓄電装置32が目標充電率に維持される時間も短くなる。
【0071】
図7に示すようにステップS15において、制御装置60は、第1充電電力が蓄電装置32に供給されるように充電装置40の制御を行う。制御装置60は、充電電力Pout3として第1充電電力が出力されるように制御を行う。これにより、蓄電装置32は第1充電電力で充電される。
【0072】
ステップS16において、制御装置60は、蓄電装置32に第2充電電力が供給されるように充電装置40の制御を行う。第2充電電力は、第1充電電力以上の電力である。本実施形態では、第2DC/DCコンバータ46の出力可能な最大充電電力が第2充電電力である。最大充電電力は、第2DC/DCコンバータ46から蓄電装置32へ供給可能な最大の電力ともいえる。これにより、系統電源20を用いて出力可能な最大充電電力で蓄電装置32は充電される。制御装置60は、第2DC/DCコンバータ46から蓄電装置32に第2充電電力が供給されるように制御を行う。
【0073】
ステップS11~ステップS16の処理が行われることで、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、次に蓄電装置32の充電を行う際に第1充電電力で蓄電装置32が充電される。一方で、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、次に蓄電装置32の充電を行う際に第2充電電力で蓄電装置32が充電される。ステップS11及びステップS16の処理を行うことで、制御装置60は車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で先回の車載蓄電装置12の充電が終了した場合、車載蓄電装置12の充電が行われていない時間に、蓄電装置32に電力を供給するように第2DC/DCコンバータ46を制御する第2制御部として機能している。ステップS11~ステップS15の処理を行うことで、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で先回の車載蓄電装置12の充電が終了した場合、第2DC/DCコンバータ46から蓄電装置32へ供給する電力である第2充電電力を決定する。そして、当該第2充電電力を蓄電装置32へ供給するように制御装置60は第2DC/DCコンバータ46を制御する。ステップS11~ステップS15の処理を行うことで、制御装置60は第3制御部として機能しているといえる。
【0074】
制御装置60は、蓄電装置32の充電率が目標充電率に達したり、車載蓄電装置12の充電を行う際には蓄電装置充電制御を終了する。制御装置60は、蓄電装置充電制御を終了する際には、フラグを降ろす。なお、フラグを降ろすタイミングは、ステップS11の判定を行った後であれば、どのようなタイミングであってもよい。
【0075】
ステップS11~ステップS16の処理は、蓄電装置32の充電中に、所定の周期毎に行われてもよいし、蓄電装置32の充電をする際に、1回のみ行われてもよい。言い換えれば、蓄電装置32を充電する際の充電電力Pout3は、所定の周期毎に変更されてもよいし、充電が終了するまで変更されなくてもよい。ステップS11~ステップS16の処理を所定の周期毎に行う場合、2回目以降の制御周期では、ステップS13で算出される充電可能時間として、現在の時刻から車両充電開始予定時刻までの時間を用いる。
【0076】
第1実施形態の作用について説明する。
車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、蓄電装置32の充電が行われる。これにより、蓄電装置32の充電を行わない場合に比べて、次回に行われる車載蓄電装置12の充電時に、蓄電装置32の残容量が不足することを抑制できる。
【0077】
また、蓄電装置充電制御を行うことで、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、次に蓄電装置32を充電する際に、第1充電電力で蓄電装置32が充電される。第1充電電力は、第2充電電力以下の電力なので、第2充電電力で蓄電装置32が充電される場合に比べて、蓄電装置32の劣化を抑制することができる。詳細にいえば、充電可能時間によっては、第1充電電力は第2充電電力未満の電力になるため、常に第2充電電力で蓄電装置32の充電を行う場合に比べて蓄電装置32の温度上昇を抑えた状態で蓄電装置32を充電することができる。また、蓄電装置32の充電率が高い状態に維持される時間を短くできる。このため、常に第2充電電力で蓄電装置32の充電を行う場合に比べて蓄電装置32の劣化を抑制することができる。
【0078】
蓄電装置充電制御を行うことで、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、次に蓄電装置32の充電を行う際に、第1充電電力以上の第2充電電力で蓄電装置32が充電される。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、車載蓄電装置12を充電するための時間を十分に確保できない状態と考えられる。この場合、車載蓄電装置12の充電を十分に行えていないため、次に車載蓄電装置12の充電を行う際に、車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が開始されるおそれがある。第1充電電力によって蓄電装置32の充電を行うと、車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が開始される場合、蓄電装置32の充電が十分に行われていないおそれがある。すると、車載蓄電装置12の充電中に蓄電装置32の残容量が尽きるおそれがある。
【0079】
例えば、
図5に一点鎖線で示すように、時刻T3から時刻T4までの時間に蓄電装置32の充電を行う際に、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電を終えたにも関わらず、第1充電電力で充電を行った場合を比較例として説明する。産業車両11の稼働率が高い場合、車載蓄電装置12の充電を行うために、稼働スケジュールで定められた車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が行われる場合がある。例えば、時刻T3と時刻T4の間の時刻である時刻T31で産業車両11に充電コネクタ41が接続され、車載蓄電装置12の充電が開始されたとする。第1充電電力で蓄電装置32の充電を行う場合、時刻T4で蓄電装置32が目標充電率になるため、時刻T31では、蓄電装置32が目標充電率になっていない。
図5に二点鎖線で示すように、時刻T31から系統電源20と蓄電装置32の両方を用いて車載蓄電装置12の充電を行うと、時刻T32で蓄電装置32の残容量が尽き、時刻T32以降には系統電源20のみを用いて車載蓄電装置12の充電が行われる。
【0080】
図5に二点鎖線で示すように蓄電装置32の充電率が推移した場合、
図8に二点鎖線で示すように、時刻T31から時刻T32までの時間に比べて、時刻T32以降では車載蓄電装置12の充電率が増加しにくくなる。時刻T33で産業車両11の稼働が開始されるとすると、時刻T33から所定時間経過した後の時刻T34で車載蓄電装置12の残容量が尽きる。
【0081】
図5に実線で示すように、本実施形態の蓄電装置充電制御が行われている場合、稼働スケジュールとは異なる時刻T31に車載蓄電装置12の充電が開始されるとしても、時刻T31の時点で蓄電装置32が目標充電率になっている。
図8に実線で示すように、時刻T32以降も系統電源20と蓄電装置32の両方を用いて車載蓄電装置12の充電を行うことができる。これにより、本実施形態では、時刻T33での車載蓄電装置12の充電率が比較例に比べて高くなり、時刻T34に車載蓄電装置12の残容量が尽きることを抑制できる。このように、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合は、車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が開始されるおそれがあるとみなし、第2充電電力で蓄電装置32の充電を行う。第1充電電力で充電を行うよりも、蓄電装置32の充電率が早く上昇するため、車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が開始されても、蓄電装置32の残容量が尽きることを抑制することができる。
【0082】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、蓄電装置32の充電を行っている。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、車載蓄電装置12を充電するための時間を十分に確保できない状態と考えられる。この場合、充電装置40を用いて、車載蓄電装置12の充電を行う頻度が高いと想定され、蓄電装置32の残容量が不足するおそれがある。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、蓄電装置32の充電を行うことで、車載蓄電装置12を充電する際に蓄電装置32の残容量が不足することを抑制できる。
【0083】
(1-2)車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、制御装置60は最大充電電力で蓄電装置32を充電している。最大充電電力未満の電力で充電を行う場合に比べて、蓄電装置32の充電速度を向上させることができ、車載蓄電装置12を充電する際に蓄電装置32の残容量が不足することを更に抑制できる。
【0084】
(1-3)車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、第1充電電力を蓄電装置32に供給することで、蓄電装置32を充電している。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合であっても蓄電装置32の充電が行われるため、車載蓄電装置12を充電する際に蓄電装置32の残容量が不足することを更に抑制できる。
【0085】
(1-4)制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、次に蓄電装置32を充電する際に第1充電電力での充電を行うことで蓄電装置32の劣化を抑制している。制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、次に蓄電装置32を充電する際に第2充電電力での充電を行うことで車載蓄電装置12の充電中に蓄電装置32の残容量が尽きることを抑制している。従って、蓄電装置32の劣化の抑制と、車載蓄電装置12の充電を行う際に蓄電装置32の残容量が不足することの抑制の両立を図ることができる。
【0086】
(1-5)制御装置60は、車載蓄電装置12の劣化を抑制できるように車両充電電力Poutを算出している。このため、車両充電電力Poutとして、最大出力電力を常に供給する場合に比べて車載蓄電装置12の劣化を抑制することができる。
【0087】
(第2実施形態)
以下、充電装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の充電装置及び充電システムは、蓄電装置充電制御の制御態様が異なる点を除いて、第1実施形態の充電装置及び充電システムと同様のハードウェア及びソフトウェアを有する。以下の説明では、第1実施形態と同様の部材については第1実施形態と同一符号を付して、第2実施形態で行われる蓄電装置充電制御について説明する。
【0088】
図9に示すように、ステップS21において、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了したか否かを判定する。ステップS21の処理は、第1実施形態におけるステップS11と同様の処理である。ステップS21の判定結果が肯定の場合、制御装置60はステップS22の処理を行う。ステップS21の判定結果が否定の場合、制御装置60はステップS25の処理を行う。
【0089】
ステップS22において、制御装置60は、車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する。ステップS22の処理は、第1実施形態におけるステップS12の処理と同様の処理である。
【0090】
次に、ステップS23において、制御装置60は、充電開始時刻としての第1充電開始時刻を算出する。第1充電開始時刻は、車両充電開始予定時刻と、蓄電装置32の充電率と、蓄電装置32の目標充電率とに基づいて算出される。第1充電開始時刻は、蓄電装置32の充電率が蓄電装置32の目標充電率に達するために必要な蓄電装置32の充電を開始する時刻である。第1充電開始時刻は、例えば、第1充電開始時刻から蓄電装置32の充電を開始した場合に、車両充電開始予定時刻で蓄電装置32が目標充電率になるように算出される。第1充電開始時刻は、車両充電開始予定時刻より若干早い時刻に蓄電装置32が目標充電率になるように設定されていてもよい。ステップS23の処理を行うことで、制御装置60は充電開始時刻導出部として機能している。
【0091】
次に、ステップS24において、制御装置60は、第1充電開始時刻から充電電力Pout3が供給されるように充電装置40を制御する。
図10に示すように、上記のように第1充電開始時刻を設定することで、蓄電装置32が充電率の高い状態に維持される時間を短くできる。例えば、
図10に一点鎖線で示すように、時刻T1から蓄電装置32の充電を開始した場合、蓄電装置32は時刻T2よりも早い時刻で目標充電率になる。蓄電装置32は、目標充電率になった時刻から時刻T2まで目標充電率の状態で維持される。時刻T1よりも遅い第1充電開始時刻T12から充電を開始したとすると、時刻T2で蓄電装置32が目標充電率になる。これにより、蓄電装置32が目標充電率に維持される時間が短くなる。第1実施形態では、蓄電装置32を充電する際の充電電力Pout3によって蓄電装置32の劣化を抑制するのに対し、第2実施形態では、蓄電装置32の充電を開始する時刻によって蓄電装置32の劣化を抑制している。
【0092】
図9に示すように、ステップS25において、制御装置60は、現在の時刻が第1充電開始時刻よりも前か否かを判定する。制御装置60は、ステップS23と同様の処理により第1充電開始時刻を導出し、現在の時刻と第1充電開始時刻とを比較する。ステップS25の判定結果が否定の場合、制御装置60はステップS26の処理を行う。一方で、ステップS25の判定結果が肯定の場合、制御装置60はステップS27の処理を行う。
【0093】
ステップS26において、制御装置60は、現在の時刻から充電を開始する。現在の時刻から蓄電装置32の充電を開始する場合の充電電力Pout3は、ステップS23と同様の処理で算出される充電電力Pout3であってもよいし、ステップS23の処理とは異なる態様で算出される充電電力Pout3であってもよい。
【0094】
ステップS27において、制御装置60は、第2充電開始時刻から充電を開始する。第2充電開始時刻とは、現在の時刻よりも後の時刻であって第1充電開始時刻よりも前の時刻である。第2充電開始時刻は、例えば、蓄電装置32の充電を開始することができる最も早い時刻である。第2充電開始時刻から蓄電装置32の充電を開始する場合の充電電力Pout3は、ステップS23と同様の処理で算出される充電電力Pout3であってもよいし、ステップS23の処理とは異なる態様で算出される充電電力Pout3であってもよい。ステップS21,S25~S27の処理を行うことで、制御装置60は、現在の時刻が第1充電開始時刻よりも前の場合は、第1充電開始時刻よりも前の時刻である第2充電開始時刻に蓄電装置32に電力を供給するように第2DC/DCコンバータ46の制御を行う第2制御部として機能している。
【0095】
第2実施形態の作用について説明する。
車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、第1充電開始時刻から蓄電装置32の充電が開始される。第1充電開始時刻は、第2充電開始時刻より後の時刻なので、同一の充電電力Pout3で蓄電装置32を充電し、同一時刻での蓄電装置32の充電率を比較すると、第2充電開始時刻から充電を開始した場合に比べて、第1充電開始時刻から充電を開始した場合のほうが蓄電装置32の充電率が低くなる。前述したように、蓄電装置32は、高い充電率で維持される時間が長いほど劣化が促進される傾向にある。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、第1充電開始時刻から蓄電装置32の充電を開始することで蓄電装置32の劣化を抑制できる。車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、第2充電開始時刻から蓄電装置32の充電を開始する。同一の充電電力Pout3で蓄電装置32を充電して、同一時刻での蓄電装置32の充電率を比較すると、第1充電開始時刻から充電を開始した場合に比べて、第2充電開始時刻から充電を開始した場合のほうが蓄電装置32の充電率が高くなる。これにより、第1実施形態と同様に、車載蓄電装置12の充電中に蓄電装置32の残容量が尽きることを抑制することができる。
【0096】
例えば、
図10に二点鎖線で示すように、時刻T3から時刻T4までの時間に蓄電装置32の充電を行う際に、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電を終えたにも関わらず、第1充電開始時刻T35から充電を開始した場合を比較例として説明する。第1充電開始時刻T35は、時刻T3と時刻T4の間の時刻である。蓄電装置32は、時刻T3から第1充電開始時刻T35までは充電されない。また、第1充電開始時刻T35から時刻T4までの時間には、蓄電装置32の充電が行われるものの、時刻T4までは蓄電装置32が目標充電率にならない。このため、稼働スケジュールで定められた車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が行われる場合には、第1実施形態で記載したように、車載蓄電装置12の充電中に蓄電装置32の残容量が尽きるおそれがある。
【0097】
これに対して、時刻T3を第2充電開始時刻とし、時刻T3から蓄電装置32の充電を開始した場合、時刻T4よりも前に蓄電装置32は目標充電率になる。従って、車両充電開始予定時刻よりも前に車載蓄電装置12の充電が開始されても、蓄電装置32の残容量が尽きることを抑制することができる。
【0098】
第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)に加えて以下の効果を得ることができる。
(2-1)制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、次に蓄電装置32を充電する際に第1充電開始時刻から充電を開始することで蓄電装置32の劣化を抑制している。制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、次に蓄電装置32を充電する際に第2充電開始時刻から充電を開始することで車載蓄電装置12の充電中に蓄電装置32の残容量が尽きることを抑制している。従って、蓄電装置32の劣化の抑制と、車載蓄電装置12の充電中に蓄電装置32の残容量が尽きることの抑制の両立を図ることができる。
【0099】
各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○各実施形態において、車載蓄電装置充電制御は、任意の態様で行われてもよい。例えば、車両充電電力Poutとして、車両充電可能時間に関わらず、常に最大出力電力が車載蓄電装置12に供給されるようにしてもよい。
【0100】
○各実施形態において、第2車載蓄電装置充電部と、蓄電装置充電部とは、別々の部材であってもよい。即ち、充電装置40は、蓄電装置32から供給される電力を用いて車載蓄電装置12に電力を供給するDC/DCコンバータと、AC/DCインバータ42を介して系統電源20から供給される電力を用いて蓄電装置32を充電するDC/DCコンバータと、を別々に有していてもよい。
【0101】
○各実施形態において、車両充電開始予定時刻を示す情報を含む稼働スケジュールは、上位制御装置71以外の装置から取得されてもよい。例えば、産業車両11の管理者が所持する端末を接続可能な接続部を充電装置40に設けて、端末から稼働スケジュールを取得可能にしてもよい。また、充電装置40に稼働スケジュールを入力できる入力部を設けてもよい。
【0102】
○各実施形態において、充電制御装置72は省略してもよい。この場合、制御装置60は、上位制御装置71から稼働スケジュールなどの情報を取得できる通信部を有していてもよい。
【0103】
○各実施形態において、車載蓄電装置12の充電率を示す情報とは、車載蓄電装置12の開回路電圧、車載蓄電装置12の残容量など、車載蓄電装置12の充電率と相関のあるものであればよい。即ち、車載蓄電装置12の充電率を示す情報とは、充電率そのものを示す情報に限らず、充電率を推定することができる情報であればよい。同様に、蓄電装置32の充電率を示す情報とは、蓄電装置32の開回路電圧、蓄電装置32の残容量など、蓄電装置32の充電率と相関のあるものであればよい。
【0104】
○各実施形態において、車載検出部としては、車載蓄電装置12の充電率を推定することができれば、どのようなものであってもよい。例えば、車載検出部としては、車載蓄電装置12の端子間電圧を検出する電圧センサ及び車載蓄電装置12の充放電電流を検出する電流センサの少なくともいずれかと、これらのセンサの検出結果から車載蓄電装置12の充電率を推定する推定部を有していればよい。推定部は、専用の装置であってもよいし、車両の制御を行う装置に推定部としての機能を備えさせてもよい。同様に、検出部としては、蓄電装置32の充電率を推定することができれば、どのようなものであってもよい。
【0105】
○各実施形態において、稼働スケジュールは、少なくとも車両充電開始予定時刻を制御装置60に認識させることが可能な情報であればよい。
○各実施形態において、第1供給電力Pout1と第2供給電力Pout2とを同一の値にしてもよい。即ち、系統電源20と蓄電装置32から均等に電力が供給されるようにしてもよい。
【0106】
○各実施形態において、蓄電装置32の出力する電力は、第2DC/DCコンバータ46による電力変換を行わないで第2出力ライン48に出力されてもよい。即ち、蓄電装置32から出力される電力が車載蓄電装置12に直接供給されるようにしてもよい。
【0107】
○各実施形態において、第2DC/DCコンバータ46は、充電ライン49に電力を出力してもよい。この場合、第2DC/DCコンバータ46から出力された電力を負荷24に供給することで、蓄電装置32を負荷24の電力源として用いることができる。また、第2DC/DCコンバータ46から出力された電力を逆潮流によって系統に逆送してもよい。
【0108】
○各実施形態において、第2切替スイッチ52は、第2DC/DCコンバータ46を第2出力ライン48及び充電ライン49のいずれにも接続しなくてもよい。この場合、系統電源20から車載蓄電装置12へ第1DC/DCコンバータ43を介して電力が供給される。また、車載蓄電装置12から出力された電力を負荷24に供給することで、車載蓄電装置12を負荷24の電力源として用いることもできる。また、第2DC/DCコンバータ46から出力された電力を逆潮流によって系統に逆送してもよい。
【0109】
○各実施形態において、車載蓄電装置12を充電する際に、第1DC/DCコンバータ43を用いず、第2DC/DCコンバータ46のみで充電を行ってもよい。即ち、系統電源20からの電力を用いることなく、車載蓄電装置12の充電を行ってもよい。
【0110】
○各実施形態において、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合、蓄電装置32の充電は行われなくてもよい。言い換えれば、充電装置40は、第3制御部を有していなくてもよい。例えば、
図4及び
図5に挙げた例では、時刻T1で車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達しているため、時刻T1から時刻T2までの間に蓄電装置32の充電を行わないようにしてもよい。
【0111】
○第1実施形態において、ステップS16で蓄電装置32へ供給される第2充電電力は、最大充電電力未満の電力であってもよい。この場合、制御装置60は、第2DC/DCコンバータ46から蓄電装置32へ供給する電力を決定するとともに当該決定した電力を蓄電装置32へ供給するように第2DC/DCコンバータ46を制御する。例えば、制御装置60は、ステップS12~ステップS14と同様の処理を行うことで、蓄電装置32へ供給する電力を決定し、当該決定した電力を蓄電装置32へ供給するように第2DC/DCコンバータ46を制御する。制御装置60は、ステップS12と同様の処理を行うことで、車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する。これにより、制御装置60は、車両充電開始予定時刻取得部を有しているといえる。制御装置60は、ステップS13と同様の処理を行うことで、充電可能時間を算出する。制御装置60は、ステップS14の処理と同様の処理を行うことで、第2充電電力を算出する。制御装置60は、算出された第2充電電力が蓄電装置32へ供給されるように第2DC/DCコンバータ46を制御する。この第2充電電力は、第1実施形態の第1充電電力と同様に、充電可能時間、蓄電装置32の充電率、及び蓄電装置32の目標充電率に基づいて算出される電力である。言い換えれば、ステップS16で蓄電装置32供給される電力は、第1充電電力であってもよい。
【0112】
なお、制御装置60は、充電可能時間、蓄電装置32の充電率、及び蓄電装置32の目標充電率以外の要素に基づき、ステップS16で蓄電装置32へ供給される第2充電電力を導出してもよい。例えば、制御装置60は、最大充電電力未満の値であって第1充電電力よりも大きい値が導出されるように蓄電装置32へ供給する電力を決定してもよい。
【0113】
○第1実施形態において、第1充電電力は、充電可能時間、蓄電装置32の充電率、及び蓄電装置32の目標充電率に基づいて算出された電力に限られず、任意の電力を設定することができる。例えば、第1充電電力は、最大充電電力であってもよい。
【0114】
なお、充電可能時間、蓄電装置32の充電率、及び蓄電装置32の目標充電率に基づいて第1充電電力を算出しない場合や、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した際に蓄電装置32の充電を行わない場合、充電可能時間を算出する必要がない。従って、制御装置60は、車両充電開始予定時刻を示す情報を取得する必要がなく、車両充電開始予定時刻取得部を有していなくてもよい。この場合、充電システム30は、上位制御装置71と、充電制御装置72と、を有していなくてもよい。
【0115】
○第1実施形態において、車載蓄電装置充電率取得部、蓄電装置充電率取得部、車両充電開始予定時刻取得部、第1制御部、第2制御部及び第3制御部は、それぞれ、個別の装置によって構成されていてもよい。
【0116】
○第2実施形態において、車載蓄電装置充電率取得部、蓄電装置充電率取得部、車両充電開始予定時刻取得部、充電開始時刻導出部、第1制御部、第2制御部及び第3制御部は、それぞれ、個別の装置によって構成されていてもよい。
【0117】
○充電装置40は、第1実施形態の蓄電装置充電制御と第2実施形態の蓄電装置充電制御とを組み合わせた制御を行うものであってもよい。即ち、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に達した状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、第1充電開始時刻から第1充電電力で蓄電装置32が充電されるように制御を行ってもよい。また、制御装置60は、車載蓄電装置12の充電率が目標充電率に未達の状態で車載蓄電装置12の充電が終了した場合には、第2充電開始時刻から第2充電電力で蓄電装置32が充電されるように制御を行ってもよい。
【符号の説明】
【0118】
11…産業車両、12…車載蓄電装置、13…車載検出部としての車載BMS、20…系統電源、30…充電システム、32…蓄電装置、33…検出部としての蓄電BMS、40…充電装置、43…第1車載蓄電装置充電部としての第1DC/DCコンバータ、46…第2車載蓄電装置充電部及び蓄電装置充電部としての第2DC/DCコンバータ、60…車載蓄電装置充電率取得部、蓄電装置充電率取得部、車両充電開始予定時刻取得部、充電開始時刻導出部、第1制御部、第2制御部及び第3制御部として機能する制御装置、71…上位制御装置、72…充電制御装置。