(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230523BHJP
【FI】
G05D1/02 P
(21)【出願番号】P 2020151437
(22)【出願日】2020-09-09
【審査請求日】2022-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊人
(72)【発明者】
【氏名】松木 貞人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彰
(72)【発明者】
【氏名】田中 芳孝
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/211933(WO,A1)
【文献】特開2006-313461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/12
B65G 1/00- 1/133
B65G 1/14- 1/20
B65G 43/00-43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する物品搬送車の走行経路として、接続部に端部が接続された第1経路と、前記接続部に端部が接続された第2経路と、前記接続部に端部が接続された第3経路とを備え、前記第1経路の少なくとも一部と、前記第2経路の少なくとも一部と、前記第3経路の少なくとも一部と、前記接続部とを含む領域が前記物品搬送車の通行を管理する管理ゾーンとして設定され、前記管理ゾーンにおける前記物品搬送車の通行を管理する制御を行う制御装置を備えた物品搬送設備であって、
前記管理ゾーン内に、前記物品搬送車が停止するステーションが設けられ、
前記ステーションは、前記管理ゾーン内の前記第1経路において、当該ステーションに停止した前記物品搬送車が、前記第2経路及び前記第3経路を走行する他の前記物品搬送車と干渉しない位置に設けられ、
前記制御装置は、
前記管理ゾーン内に前記物品搬送車が存在していない場合に、前記管理ゾーン内に先に進入する前記物品搬送車である第1物品搬送車の前記管理ゾーン内への進入を許可すると共に、前記管理ゾーン内に前記第1物品搬送車が存在している場合には、他の前記物品搬送車である第2物品搬送車の前記管理ゾーンへの進入を禁止する基本処理と、
前記管理ゾーン内に前記第1物品搬送車が存在している場合であっても、前記第1物品搬送車が前記ステーションに停止する前記物品搬送車であり、前記第2物品搬送車が前記第2経路及び前記第3経路を通り、前記第1経路を通らない場合には、前記第2物品搬送車が前記管理ゾーンへ進入することを許可する第1例外処理と、を実行可能である、物品搬送設備。
【請求項2】
前記制御装置は、前記第1例外処理によって前記第2物品搬送車が前記管理ゾーン内に進入した後、前記第2物品搬送車が前記管理ゾーンから退出するまで、前記ステーションからの前記第1物品搬送車の発進を禁止する第2例外処理を実行する、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記走行経路に沿って配置された経路側通信部と、前記物品搬送車に設けられた搬送車側通信部との通信に基づいて、前記管理ゾーンへ進入する前記物品搬送車を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理し、
前記ステーションに設けられた装置側通信部と、前記物品搬送車に設けられた前記搬送車側通信部との通信に基づいて、前記ステーションにおける前記物品搬送車の停止及び発進を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理する、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記走行経路に沿って配置された経路側通信部と、前記物品搬送車に設けられた搬送車側通信部との通信に基づいて、前記管理ゾーンへ進入する前記物品搬送車を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理し、
前記ステーションに設けられた装置側通信部を経由せずに、前記物品搬送車に設けられた前記搬送車側通信部と通信して、前記ステーションにおける前記物品搬送車の停止及び発進を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理する、請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記ステーションは、前記物品搬送車による搬送対象の前記物品を利用する処理装置との間で前記物品を受け渡す位置に設定され、1つの前記処理装置に複数の前記ステーションが設定され、複数の前記ステーションの内の一部が前記管理ゾーン内に位置するゾーン内ステーションであり、複数の前記ステーションの内の他の一部が前記管理ゾーン外に位置するゾーン外ステーションである場合、前記ゾーン外ステーションに比べて、前記ゾーン内ステーションの利用頻度が低くなるように運用される、請求項1から4の何れか一項に記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記管理ゾーン内に前記ステーションで停止する前記第1物品搬送車が存在し、前記管理ゾーンへの進入を待機する前記物品搬送車として、前記第1経路を走行して前記ステーションで停止する第1待機搬送車と、前記接続部を経由して前記第2経路及び前記第3経路を通過する第2待機搬送車とが、前記管理ゾーンへの進入を要求した場合、
前記制御装置は、
前記第1物品搬送車が前記ステーションを発進可能となる以前に、前記管理ゾーンへの進入を要求された場合には、前記第2待機搬送車を前記第1待機搬送車よりも先に前記管理ゾーンに進入させ、
前記第1物品搬送車が前記ステーションを発進可能となった後に、前記管理ゾーンへの進入を要求された場合には、前記第1待機搬送車を前記第2待機搬送車よりも先に前記管理ゾーンに進入させる、請求項1から5の何れか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1経路と第2経路と第3経路と接続部とを含む領域が物品搬送車の進入を管理する管理ゾーンとして設定された物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-284779号公報には、複数の物品搬送車の進入を排他的に制御する区間(いわゆる管理ゾーン)が走行経路に設定され、ゾーンコントローラによって当該管理ゾーンへ進入する物品搬送車の通行を制御する物品搬送設備が開示されている(以下、背景技術において括弧内に示す符号は参照する文献のもの。)。例えば、特開2005-284779号公報の
図2には、ポイント(P1,P2)が設定された第1経路と、ポイント(P4)が設定された第2経路と、ポイント(P5)が設定された第3経路とが、接続部(ポイント(P3))において接続され、これらのポイント(P1~P5)を含む領域がゾーンコントローラ(30)による排他制御の対象となる管理ゾーンとして設定された例が示されている。ゾーンコントローラ(30)が第1経路から接続部(P3)を経由して第2経路を走行する物品搬送車の管理ゾーンへの進入を許可している場合、第3経路を走行する他の物品搬送車の当該管理ゾーンへの進入は禁止される。これにより、当該他の物品搬送車は、第3経路から接続部を経由して第2経路へ走行することが禁止されるので、例えば、接続部(P3)から第2経路側において、物品搬送車同士が接触するようなことが回避される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、物品搬送車は、管理ゾーンを単に通過するだけに限らず、管理ゾーンの中で停止する場合もある。例えば、物品搬送車による物品の搬送元や搬送先が、管理ゾーンの中に設置されている場合には、当該管理ゾーンの中で、物品の受け渡しのために物品搬送車が停止する場合がある。管理ゾーンの中に物品搬送車が存在していると、他の物品搬送車は、管理ゾーンに進入することができない。先に管理ゾーンの中に進入した物品搬送車が管理ゾーンの中で停止していると、ゾーンコントローラ(30)による排他制御によって他の物品搬送車の通行を規制する時間が長くなり、物品搬送設備の搬送効率が低下する。
【0005】
上記背景に鑑みて、管理ゾーンの中で物品搬送車が停止する場合がある物品搬送設備において、物品搬送車による搬送効率をより向上させる技術の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた物品搬送設備は、物品を搬送する物品搬送車の走行経路として、接続部に端部が接続された第1経路と、前記接続部に端部が接続された第2経路と、前記接続部に端部が接続された第3経路とを備え、前記第1経路の少なくとも一部と、前記第2経路の少なくとも一部と、前記第3経路の少なくとも一部と、前記接続部とを含む領域が前記物品搬送車の通行を管理する管理ゾーンとして設定され、前記管理ゾーンにおける前記物品搬送車の通行を管理する制御を行う制御装置を備えた物品搬送設備であって、前記管理ゾーン内に、前記物品搬送車が停止するステーションが設けられ、前記ステーションは、前記管理ゾーン内の前記第1経路において、当該ステーションに停止した前記物品搬送車が、前記第2経路及び前記第3経路を走行する他の前記物品搬送車と干渉しない位置に設けられ、前記制御装置は、前記管理ゾーン内に前記物品搬送車が存在していない場合に、前記管理ゾーン内に先に進入する前記物品搬送車である第1物品搬送車の前記管理ゾーン内への進入を許可すると共に、前記管理ゾーン内に前記第1物品搬送車が存在している場合には、他の前記物品搬送車である第2物品搬送車の前記管理ゾーンへの進入を禁止する基本処理と、前記管理ゾーン内に前記第1物品搬送車が存在している場合であっても、前記第1物品搬送車が前記ステーションに停止する前記物品搬送車であり、前記第2物品搬送車が前記第2経路及び前記第3経路を通り、前記第1経路を通らない場合には、前記第2物品搬送車が前記管理ゾーンへ進入することを許可する第1例外処理と、を実行可能である。
【0007】
この構成によれば、基本処理によって1台の物品搬送車のみが管理ゾーン内に進入可能なように排他的制御が実行されるので、管理ゾーン内における複数の物品搬送車の干渉を適切に防止することができる。さらに、第1例外処理によって、第1物品搬送車が管理ゾーン内に存在しても第2物品搬送車が管理ゾーンに進入することが許容される。基本処理のみでは、管理ゾーン内で停止する第1物品搬送車が管理ゾーンを退出するまで、第2物品搬送車が管理ゾーンに進入することを待つ必要があり、物品搬送設備の搬送効率の向上が妨げられる。しかし、本構成によれば、管理ゾーン内で第1物品搬送車が停止していても、第2物品搬送車が管理ゾーン内で第1物品搬送車と干渉しない場合には、当該第2物品搬送車が管理ゾーンを通過可能であるから、物品搬送設備の搬送効率を向上させることができる。即ち、本構成によれば、管理ゾーンの中で物品搬送車が停止する場合がある物品搬送設備において、物品搬送車による搬送効率をより向上させることができる。
【0008】
物品搬送設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】物品搬送設備のシステム構成の一例を示す模式的ブロック図
【
図6】内部にステーションが配置された管理ゾーンの一例を示す図
【
図7】物品搬送車とゾーン管理装置との通信形態の一例を示す図
【
図8】物品搬送車と移載管理装置との通信形態の一例を示す図
【
図9】管理ゾーンを通過する物品搬送車を調停する一例を示す図
【
図10】物品搬送車と移載管理装置との通信データの一例を示す図
【
図11】物品搬送車と移載管理装置との通信データをゾーン管理装置に分配する例を示す図
【
図12】ステーションに停止中の物品搬送車とゾーン管理装置との通信の一例を示すタイミングチャート
【
図13】複数のステーションが設定された処理装置と管理ゾーンとの関係の一例を示す図
【
図14】主経路と副経路との接続箇所における第1経路と第2経路と第3経路と接続部との一例を示す図
【
図15】主経路と副経路との接続箇所における第1経路と第2経路と第3経路と接続部との他の例を示す図
【
図16】第1経路と第2経路と第3経路と接続部と管理ゾーンとステーションとの関係の一例を示す概念図
【
図17】内部にステーションが配置された管理ゾーンの他の例を示す図
【
図18】第1経路と第2経路と第3経路と接続部と管理ゾーンとステーションとの関係の他の例を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、物品保管設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1から
図5に示すように、物品搬送設備100は、天井に吊り下げ支持されて走行経路1に沿って設置された走行レール2と、走行レール2上を走行経路1に沿って走行して物品Wを搬送する物品搬送車3(VHL)と、を備えている。以下の説明では、走行経路1に沿った方向を走行方向Y、水平面に沿うと共に走行方向Yに直交する方向を幅方向Xとする。上下方向Zは、走行方向Y及び幅方向Xに直交する方向である。
【0011】
物品搬送車3は、例えば、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)やフォトマスク等を収容するレチクルを物品Wとして搬送する。本実施形態では、物品WとしてFOUPを例示している。尚、物品Wには、収容物であるフォトマスクや半導体基板も含まれる。物品搬送設備100には、フォトマスク、や半導体基板に対して種々の処理を行う、又はフォトマスクや半導体基板を用いて種々の処理を行う複数の処理装置EQも備えられている。
【0012】
図1に示すように、走行経路1は、1つの環状の主経路1Mと、複数の処理装置EQを経由する環状の複数の副経路1Sと、これら主経路1Mと副経路1Sとを接続する分岐合流部Bとを備えている。分岐合流部Bは、主経路1Mから副経路1Sに向けて分岐する分岐部(例えば
図9のB4参照)と、副経路1Sから主経路1Mへの接続経路と主経路1Mとが合流する合流部(例えば
図9のB1参照)とを含む。また、分岐合流部Bは、環状の副経路1Sから主経路1Mへの接続経路へ分岐する分岐部(例えば
図9のB3参照)と、環状の副経路1Sと主経路1Mから副経路1Sへの接続経路とが合流する合流部(例えば
図9のB2参照)とを含む。尚、以下の説明においては、分岐合流部Bの内、合流部(B1,B2)を区別して「接続部J」と称する場合がある。また、本実施形態では、
図1等に矢印で示すように、走行経路1は一方通行であり、物品搬送車3は、走行経路1を走行方向上流側から走行方向下流側に向かって走行する。
【0013】
図2及び
図3に示すように、物品搬送車3は、走行経路1に沿って天井から吊り下げ支持されて配置された一対の走行レール2に案内されて走行経路1に沿って走行する走行部9と、走行レール2の下方に位置して走行部9に吊り下げ支持された搬送車本体10と、走行経路1に沿って配設された給電線11から非接触で駆動用電力を受電する受電部12とを備えている。また、搬送車本体10には、物品Wを吊り下げて保持する物品保持部13と、物品保持部13を昇降させる昇降部14とが備えられている。物品搬送車3は、
図2及び
図3に示すように、物品保持部13を上昇させた状態で走行して物品Wを搬送する。
【0014】
図4に示すように、物品搬送設備100は、床面側に設置されて物品Wが載置される載置台104を備えている。物品搬送車3は、物品保持部13を下降させた状態で載置台104との間で物品Wを移載する。載置台104は、物品搬送設備100の複数箇所に配置されている。例えば、載置台104は、それぞれの処理装置EQや、
図1における図外の物品保管庫に配置されている。このような載置台104が設置され、走行経路1において物品搬送車3が停止する場所をステーションSTと称する。
【0015】
本実施形態では、
図3に示すように、1台の物品搬送車3に2つの走行部9が備えられ、それぞれの走行部9により共通の搬送車本体10が吊り下げ支持されている。2つの走行部9は同じ構成であり、例えばそれぞれの走行部9に受電部12が備えられている。それぞれの走行部9は、物品搬送車3の走行方向Yに沿って並んで配置されている。
【0016】
図2及び
図3に示すように、それぞれの走行部9には、電動式の走行用アクチュエータ35(
図5参照)にて回転駆動される一対の走行輪15が備えられている。走行輪15は、走行レール2のそれぞれの上面にて形成される走行面を転動する。また、それぞれの走行部9には、上下方向Zに沿う軸心周り(上下軸心周り)で自由回転する一対の案内輪16が、一対の走行レール2における内側面に接当する状態で備えられている。搬送車本体10には、
図5に示すように、物品保持部13を昇降させる昇降用アクチュエータ34、物品Wを把持することによって保持する物品保持部13を駆動する保持用アクチュエータ33等のアクチュエータ、及びそれらのアクチュエータを駆動する駆動回路等が備えられている。尚、これらのアクチュエータは、例えばモータやソレノイド等である。
【0017】
物品搬送車3は、物品搬送設備100の全体を管理する設備制御装置H1(MCP:Material Control Processor)からの搬送指令に基づいて、物品Wを異なる載置台104の間で搬送する。本実施形態では、設備制御装置H1とそれぞれの物品搬送車3とは、ワイヤレス通信によって通信可能に構成されている。それぞれの物品搬送車3は、搬送車制御装置30を備えており、搬送指令に基づいて自律制御により物品搬送車3を走行させ、指定された載置台104の上方に設定されたステーションSTで停止して、物品保持部13を昇降させることによって物品Wを移載する。
【0018】
尚、上述したように、走行経路1は、複数の分岐合流部Bを備えており、それぞれの分岐合流部Bでは1つの経路が複数に分岐したり、複数の経路が1つの経路に合流したりする。例えば、ある物品搬送車3が分岐部において分岐する場合、分岐後の2つの経路のいずれかに別の物品搬送車3が存在すると、分岐部の通過前後に当該別の物品搬送車3に接触する可能性がある。また、ある物品搬送車3が合流部において合流する場合、合流前の2つの経路の何れかに別の物品搬送車3が存在すると、合流部の通過前後に当該別の物品搬送車3に接触する可能性がある。つまり、分岐合流部Bにおいては、複数の物品搬送車3が互いに干渉する可能性がある。
【0019】
このような干渉を避け、分岐合流部Bにおける物品搬送車3の通行を調停するために、走行経路1において分岐合流部Bを含む領域には、
図6に示すように、物品搬送車3の通行を管理する管理ゾーンEが設定されている。また、物品搬送設備100は、
図7に示すように、ゾーン管理装置H2(ZCU:Zone Control Unit)を備えている。走行経路1には、複数の管理ゾーンEが設定され、ゾーン管理装置H2は、それぞれの管理ゾーンEに備えられている。つまり、管理ゾーンEは、走行経路1において分岐合流部Bなどの複数の物品搬送車3の通行を調停する必要のある領域に設定され、複数のゾーン管理装置H2は、それぞれの管理ゾーンEにおける物品搬送車3の通行を、互いに独立して管理する。ゾーン管理装置H2は、管理ゾーンEにおける物品搬送車3の通行を管理する制御を行う制御装置に相当する。
【0020】
本実施形態では、管理ゾーンEへ出入りする物品搬送車3を検出するために、走行経路1に沿って経路側通信部S1が配置されている。
図6に示す例では、管理ゾーンEに進入する物品搬送車3を管理ゾーンEへ進入する前に検出するために、管理ゾーンEよりも走行方向上流側に進入検出ポイントSP(第1進入検出ポイントSP1,第2進入検出ポイントSP2)が設けられている。また、管理ゾーンEから退出する物品搬送車3を管理ゾーンEから退出した後で検出するために、管理ゾーンEよりも走行方向下流側に退出検出ポイントDP(第1退出検出ポイントDP1,第2退出検出ポイントDP2)が設けられている。経路側通信部S1は、進入検出ポイントSP及び退出検出ポイントのそれぞれ、或いは少なくとも進入検出ポイントSPのそれぞれに配置されている。
【0021】
物品搬送車3は、例えば光通信によって経路側通信部S1と双方向通信可能な搬送車側通信部S0が備えられている。物品搬送車3が進入検出ポイントSPにおいて一時停止すると、ゾーン管理装置H2は、搬送車側通信部S0と経路側通信部S1との通信に基づいて管理ゾーンEへ進入する物品搬送車3を検出する。例えば、物品搬送車3からゾーン管理装置H2に「進入検出ポイント到達」信号と、「進入要求」信号とが送信される。ゾーン管理装置H2から物品搬送車3には、「搬送車(VHL)検出」信号が送信され、管理ゾーンEへの進入を待機する物品搬送車3の存在を認識していることが、当該物品搬送車3に通知される。ゾーン管理装置H2が管理ゾーンEへの進入を許可する場合には、経路側通信部S1を介して搬送車側通信部S0に進入許可情報が伝達される。例えば、ゾーン管理装置H2から物品搬送車3に「通過許可」信号が送信される。尚、物品搬送車3は、例えば、進入検出ポイントSPにおいて、管理ゾーンEへ進入した後、管理ゾーンE内のステーションSTにて停止する場合には、停止予定であるとの情報もゾーン管理装置H2に送信すると好適である。
【0022】
このように、ゾーン管理装置H2は、当該物品搬送車3を含む複数の物品搬送車3の管理ゾーンにおける通行を管理する。複数台の物品搬送車3が管理ゾーンEへ進入しようとしている場合には、ゾーン管理装置H2が調停し、管理ゾーンEの中に1台の物品搬送車3のみが存在するように制御する。つまり、ゾーン管理装置H2は、「基本処理」として、管理ゾーンE内に物品搬送車3が存在していない場合に、管理ゾーンE内に先に進入する物品搬送車(第1物品搬送車31(
図9等参照)とする)の管理ゾーンE内への進入を許可すると共に、管理ゾーンE内に第1物品搬送車31が存在している場合には、他の物品搬送車3(第2物品搬送車32(
図9参照)とする)の管理ゾーンEへの進入を禁止する処理を実行する。
【0023】
その後、管理ゾーンEを通過した物品搬送車3が退出検出ポイントDPを通過すると、ゾーン管理装置H2は、当該物品搬送車3が管理ゾーンEから退出したことを検出する。退出の検出は、進入検出ポイントSPと同様に、退出検出ポイントDPにおいて経路側通信部S1と搬送車側通信部S0との通信(例えば光通信)によって検出される形態であってもよいし、退出検出ポイントDPに設置された他のセンサ等によって検出される形態であってもよい。退出検出ポイントDPにおいては、物品搬送車3は一時停止しなくてもよい。
【0024】
ところで、本実施形態では、
図6に示すように、管理ゾーンE内に、物品搬送車3が停止するステーションSTが設けられている。ステーションSTでは、
図4を参照して上述したように、物品搬送車3が停止して、載置台104との間で物品Wが移載される。つまり、単に管理ゾーンEを通過する物品搬送車3に比べて、管理ゾーンE内に長時間滞在する物品搬送車3が存在する場合がある。
図6に示すように、ステーションSTは、副経路1Sに配置されているため、同じ管理ゾーンEに含まれていても、例えば主経路1Mを通って管理ゾーンEを通過することは可能である。つまり、ステーションSTに停止している物品搬送車3が存在する場合であっても、当該停止中の物品搬送車3と干渉しない経路を通る場合には、別の物品搬送車3が管理ゾーンEを通過することは可能である。
【0025】
しかし、上述した「基本処理」では、管理ゾーンE内に物品搬送車3(第1物品搬送車31)が存在している場合には、他の物品搬送車3(第2物品搬送車32)の管理ゾーンEへの進入が禁止される。第2物品搬送車32は、第1物品搬送車31が単に管理ゾーンEを通過する物品搬送車3である場合に比べて長時間待機する必要があり、物品搬送設備100の搬送効率が低下することになる。このため、管理ゾーンE内に物品搬送車3(第1物品搬送車31)が存在していても、一定の条件下で第2物品搬送車32が管理ゾーンEを通過できることが好ましい。
【0026】
この条件としては、第1物品搬送車31がステーションSTにおいて停止すること(より確実には停止していること)、管理ゾーンEを通過する第2物品搬送車32が当該物品搬送車3(管理ゾーンEの入り口からステーションSTまでの経路に存在する第1物品搬送車31、少なくともステーションSTにおいて停止している第1物品搬送車31)と干渉しないこと、が求められる。第1物品搬送車31と第2物品搬送車32との干渉は、管理ゾーンEにおける走行経路1の構成、及び、当該走行経路1におけるステーションSTの位置によって規定される。本実施形態では、例えば
図9に示すように、走行経路1として、接続部Jに端部が接続された第1経路K1と、接続部Jに端部が接続された第2経路K2と、接続部Jに端部が接続された第3経路K3とを備え、第1経路K1の少なくとも一部と、第2経路K2の少なくとも一部と、第3経路K3の少なくとも一部と、接続部Jとを含む領域が管理ゾーンEとして設定されている場合において、ステーションSTが、管理ゾーンE内の第1経路K1において、当該ステーションSTに停止した物品搬送車3が、第2経路K2及び第3経路K3を走行する他の物品搬送車3と干渉しない位置に設けられている構成を例として説明する。
【0027】
ゾーン管理装置H2は、管理ゾーンEにおける走行経路1の形態が上記のような場合、以下のような「例外処理(第1例外処理)」を実行する。即ち、
図9に示すように、管理ゾーンE内に第1物品搬送車31が存在している場合であっても、第1物品搬送車31がステーションSTに停止中であり、第2物品搬送車32が第2経路K2及び第3経路K3を通り、第1経路K1を通らない場合には、第2物品搬送車32が管理ゾーンEへ進入することを許可する第1例外処理を実行する。
【0028】
第1物品搬送車31がステーションSTにおいて停止していることの検出は、例えば、進入検出ポイントSPにおける経路側通信部S1と搬送車側通信部S0との通信と同様に、ステーションSTに設けられた経路側通信部S1と搬送車側通信部S0との通信によって検出することが考えられる。しかし、ステーションSTにおいては、載置台104との間での移載に関する情報を処理装置EQの移載制御装置H3(TCU:Transfer Control Unit)と物品搬送車3との間で通信する必要がある。例えば、ステーションSTにおいては、
図8に示すように、装置側通信部S2と搬送車側通信部S0とが通信する。このため、ゾーン管理装置H2に情報を伝達する経路側通信部S1をステーションSTに設置することが難しく、ゾーン管理装置H2は、第1物品搬送車31がステーションSTにおいて停止しているという情報を得ることが困難である。そこで、本実施形態では、処理装置EQの移載制御装置H3と物品搬送車3の搬送車制御装置30との通信において未使用となっている信号を利用して、ゾーン管理装置H2と搬送車制御装置30との通信を行う。
【0029】
図10は、処理装置EQの移載制御装置H3と物品搬送車3の搬送車制御装置30との通信形態の一例を示している。装置側通信部S2と移載制御装置H3との間の通信は、RJ11(モジュラージャック)通信線等を利用したシリアル通信によって実施されてもよいし、PIO(Parallel Input/Output)などのパラレル通信によって実施されてもよい。また、イーサネット(登録商標)などの有線ネットワーク接続によって通信する形態であってもよい。
【0030】
図4を参照して上述したように、移載に際しては、物品保持部13の上昇や下降を伴う。物品搬送車3と移載制御装置H3とは、物品保持部13の上昇や下降についての要求や許可についての通信を行っている。例えば、
図10に示すように、物品搬送車3の側からは、物品保持部13の上昇や下降の許可を要求する信号が送信され、移載制御装置H3の側からは物品保持部13の上昇や下降を許可する信号が送信される。
【0031】
図11は、処理装置EQの移載制御装置H3と物品搬送車3の搬送車制御装置30との通信経路を分岐させて、ゾーン管理装置H2と搬送車制御装置30とも通信を行う形態を例示している。例えば、
図11に示すように、物品搬送車3からゾーン管理装置H2へは、「定位置」信号と、「移動要求」信号が送信され、ゾーン管理装置H2から物品搬送車3へは、「VHL検出」信号と、「通過許可」信号が送信される。
【0032】
「定位置」信号は、上述した「基本処理」における「進入検出ポイント到達」信号に対応し、「移動要求」信号は、「基本処理」における「進入要求」信号に対応し、「VHL検出」信号及び「通過許可」信号は、「基本処理」と同様である。即ち、装置側通信部S2と搬送車側通信部S0との通信において、経路側通信部S1と搬送車側通信部S0との通信と同義の信号を送受信可能とすることで、ステーションSTに停止している物品搬送車3も、ゾーン管理装置H2との通信が可能となる。
【0033】
尚、装置側通信部S2と移載制御装置H3との間の通信が、PIOなどのパラレル通信によって実施される場合、全ての信号線が使用されるとは限らない。未使用の信号線がある場合には、当該未使用の信号線を物品搬送車3の側の装置側通信部S2と、ゾーン管理装置H2との通信に用いることで、既存の設備を用いながら簡単な改造によって、ゾーン管理装置H2と搬送車制御装置30との通信を可能とすることができる。
【0034】
また、上述したように、装置側通信部S2から移載制御装置H3の側に伝達される複数の信号は2つの経路に分配される。従って、装置側通信部S2から移載制御装置H3の側への信号伝達は、PIOなどのパラレル信号を用いることが好ましい。分配後の信号については、そのままPIOなどのパラレル信号で移載制御装置H3に伝達されてもよいし、シリアル信号に変換されてから移載制御装置H3に伝達されてもよい。同様に、ゾーン管理装置H2への信号も、そのままPIOなどのパラレル信号で伝達されてもよいし、シリアル信号に変換されてから伝達されてもよい。ここでは、移載制御装置H3への送信信号、ゾーン管理装置H2への送信信号の形態について説明したが、当然ながら送受信は同じ形態の通信方式で実施される。
【0035】
ここで、既存の物品搬送設備100において「第1例外処理」を実行可能とする形態について説明する。例えば、既存の物品搬送設備100において、装置側通信部S2がシリアル信号出力型であり、装置側通信部S2と移載制御装置H3とがシリアル通信線で接続されていた場合、装置側通信部S2をパラレル信号出力型に変更する。そして、上述したように信号を分配した後、ゾーン管理装置H2にはそのままパラレルの信号線で接続する。移載制御装置H3に対しては、パラレル-シリアル変換器を追加し、既存の物品搬送設備100と同じシリアル通信線で移載制御装置H3とパラレル-シリアル変換器とを接続する。このように、簡単な機器の変更や追加によって、ステーションSTにおいて停止する物品搬送車3をゾーン管理装置H2の管理対象に加えることができる。
【0036】
上述したように、装置側通信部S2と移載制御装置H3との通信データの内、未使用のビットがゾーン管理装置H2と物品搬送車3との通信に利用されることで、ステーションSTに停止している物品搬送車3を含む複数の物品搬送車3の管理ゾーンEにおける通行がゾーン管理装置H2によって管理可能となる。即ち、ゾーン管理装置H2は、ステーションSTに設けられた装置側通信部S2と、物品搬送車3に設けられた搬送車側通信部S0との通信に基づいて、ステーションSTにおける物品搬送車3の停止及び発進を検出すると共に、当該物品搬送車3を含む複数の物品搬送車3の管理ゾーンEにおける通行を管理する。
【0037】
図12のタイミングチャートは、ステーションSTにおいて停止する物品搬送車3とゾーン管理装置H2との通信の一例を示している。
図9に示すように、物品搬送車3(第1物品搬送車31)がステーションSTに到着して停止すると、時刻t1において、「定位置」信号が「ON」状態となる。つまり、物品搬送車3(VHL)からゾーン管理装置H2(ZCU)へ「定位置」信号が送信される。ゾーン管理装置H2は、「定位置」信号が「ON」状態であることを確認すると、時刻t2において「VHL検出」信号を「ON」状態にする。これにより、ゾーン管理装置H2から第1物品搬送車31に「VHL検出」信号が送信される。「VHL検出」信号が「ON」状態であることにより、第1物品搬送車31は、自車がゾーン管理装置H2による管理対象であることを確認することができる。また、第1物品搬送車31は、時刻t3から時刻t4の間、載置台104との間で、物品Wの移載を行う。
【0038】
ここで、
図9に示すように、第2物品搬送車32が、第1進入検出ポイントSP1に到着すると、第2物品搬送車32からゾーン管理装置H2に、「進入検出ポイント到達」信号と、「進入要求」信号とが送信される。ゾーン管理装置H2は、先に管理ゾーンEに進入している第1物品搬送車31がステーションSTで停止していることを検出している。また、本例では、第1経路K1が一方通行であり、第2経路K2上の第2物品搬送車32が第1経路K1を通ることはない。そのため、ゾーン管理装置H2は、第2物品搬送車32に「通過許可」信号を送信する。これにより、第2物品搬送車32は、第1物品搬送車31が管理ゾーンE内に存在していても、管理ゾーンEを通過することができる。例えば、第1物品搬送車31が物品Wの移載を行っている時間(時刻t3から時刻t4)において待機することなく、管理ゾーンEを通過することができるので、物品搬送設備100の搬送効率を向上させることができる。
【0039】
第1物品搬送車31は、物品Wの移載が完了すると、ゾーン管理装置H2に「移動要求」信号を送信する。ゾーン管理装置H2は、「移動要求」信号を受信した時点で、第2物品搬送車32が管理ゾーンE内に存在している場合には、すぐに「通過許可」信号を送信せずにそのまま待機する。つまり、ゾーン管理装置H2は、第1例外処理によって第2物品搬送車32が管理ゾーンE内に進入した後、第2物品搬送車32が管理ゾーンEから退出するまで、ステーションSTからの第1物品搬送車31の発進を禁止する第2例外処理を実行する。
【0040】
第2物品搬送車32が管理ゾーンEから退出すると、第1退出検出ポイントDP1(
図6参照)からゾーン管理装置H2に、第2物品搬送車32が管理ゾーンEから退出したという情報が送信される。ゾーン管理装置H2は、第2物品搬送車32が管理ゾーンEから退出したことを確認すると、「通過許可」信号を第1物品搬送車31に送信する(時刻t6)。
【0041】
「通過許可」信号を受信した第1物品搬送車31は、「VHL検出」信号が「ON」状態であり、「通過許可」信号が「ON」状態であることにより、自車の移動が許可されたことを確認し、「定位置」信号及び「移動要求」信号を「OFF」状態に戻す(時刻t7)。また、第1物品搬送車31は、自車の移動が許可されたことにより移動を開始する。ゾーン管理装置H2は、「定位置」信号及び「移動要求」信号が「OFF」状態となったことにより、「VHL検出」信号及び「通過許可」信号を「OFF」状態に戻す(時刻t8)。
【0042】
ところで、管理ゾーンEに対しては、複数の物品搬送車3が同時期に進入を要求する場合がある。ゾーン管理装置H2は、原則として管理ゾーンEに到着した順番に、つまり、進入検出ポイントSPにおいてゾーン管理装置H2に対して送信された「進入要求」信号を受信した順に進入の優先順位が高くなる待ち行列を生成する。そして、ゾーン管理装置H2は、待ち行列における優先順位の順に物品搬送車3に対して「通過許可」信号を送信する。このような待ち行列に基づく管理は「基本処理」に含まれる。
【0043】
例えば、
図9に示す例において、物品搬送車3の1号車(No.1)が管理ゾーンE内に存在する時に、3号車(No.3)、2号車(No.2)の順に、進入検出ポイントSPに到着した場合を考える。尚、ここでは、1号車は、ステーションSTで停止せずに走行している(或いはステーションSTでの移載を完了して移動を開始している)ものとする。ゾーン管理装置H2は、3号車を第1優先順位、2号車を第2順位として待ち行列を生成する。1号車が管理ゾーンEから退出すると、ゾーン管理装置H2は、第1優先順位の3号車に「通過許可」信号を送信する。
【0044】
次に、1号車がステーションSTで停止している場合(移載中、或いは移載は完了しても発進していない場合)を考える。3号車は、第1経路K1を通る物品搬送車3であり、2号車は、第2経路K2及び第3経路K3を通り、第1経路K1を通らない物品搬送車3である。ゾーン管理装置H2は、1号車がステーションSTで停止中に、2号車の管理ゾーンEへの進入を許可し、管理ゾーンEを通過させる。これは、「第1例外処理」である。
【0045】
1号車がステーションSTでの移載を完了して移動を開始している場合には、ゾーン管理装置H2は、上述したように、待ち行列の優先順位に従い、1号車が管理ゾーンEから退出した後に、3号車の管理ゾーンEへの進入を許可し、管理ゾーンEを通過させる。当然ながら、2号車が3号車よりも先に進入検出ポイントSPに到着している場合には、待ち行列の優先順位は2号車の方が3号車よりも高いので、ゾーン管理装置H2は、1号車が管理ゾーンEから退出した後に、2号車の管理ゾーンEへの進入を許可し、管理ゾーンEを通過させる(基本処理)。
【0046】
次に、3号車もステーションSTで停止する物品搬送車3(第1待機搬送車)であり、1号車(第1物品搬送車31)が管理ゾーンE内に存在する時に、2号車(第2待機搬送車)、3号車(第1待機搬送車)が進入検出ポイントSPに到着した場合を考える。3号車は、第1経路K1を通る物品搬送車3であり、2号車は第2経路K2及び第3経路K3を通り、第1経路K1を通らない物品搬送車3である。ここで、2号車及び3号車が管理ゾーンEへの進入を要求した時に、1号車がステーションSTで停止している場合には、2号車、3号車の進入検出ポイントSPへの到着順に拘わらず、ゾーン管理装置H2は、2号車(第2待機搬送車)の管理ゾーンEへの進入を許可し、管理ゾーンEを通過させる(第1例外処理)。つまり、2号車は、第1例外処理における第2物品搬送車32に対応する。尚、3号車、2号車の順に進入検出ポイントSPに到着していた場合には、第1例外処理の実行に際して待ち行列の優先順位を変更すると好適である。
【0047】
一方、2号車及び3号車が管理ゾーンEへの進入を要求した時に、1号車がステーションSTでの移載を完了して移動を開始している場合には、ゾーン管理装置H2は、2号車、3号車の進入検出ポイントSPへの到着順に拘わらず、1号車が管理ゾーンEから退出した後に、3号車(第1待機搬送車)の管理ゾーンEへの進入を許可する。2号車、3号車の順に進入検出ポイントSPに到着していた場合、待ち行列における優先順位は、3号車に比べて2号車の方が高い。従って、ゾーン管理装置H2は、待ち列の優先順位を変更して、基本処理を実行すると好適である。管理ゾーンEに進入した3号車はステーションSTで停止する。ゾーン管理装置H2は、3号車がステーションSTで停止中に、2号車(第2待機搬送車)の管理ゾーンEへの進入を許可し、管理ゾーンEを通過させる(第1例外処理)。換言すれば、ゾーン管理装置H2は、この第1例外処理を実行するために、待ち行列における優先順位の変更を伴っても3号車から先に管理ゾーンEに進入させる。
【0048】
1号車が管理ゾーンEから退出した後、2号車を先に管理ゾーンEに進入させると、3号車は2号車が管理ゾーンEを退出するまで、管理ゾーンEに進入することができない。つまり、2号車と3号車との管理ゾーンEへの進入は基本処理によって排他的に管理される。しかし、1号車が管理ゾーンEから退出した後、3号車を先に管理ゾーンEに進入させると、3号車はステーションSTで停止するため、当該停止後は、第1例外処理によって2号車は3号車が管理ゾーンEに存在していても管理ゾーンEに進入することができる。つまり、2号車と3号車とが同時期に管理ゾーンE内に存在することができるので、物品搬送設備100の搬送効率を向上させることができる。
【0049】
即ち、管理ゾーンE内にステーションSTで停止する第1物品搬送車31が存在し、管理ゾーンEへの進入を待機する物品搬送車3として、第1経路K1を走行してステーションSTで停止する第1待機搬送車(3号車(No.3))と、接続部Jを経由して第2経路K2及び第3経路K3を通過する第2待機搬送車(2号車(No.2))とが、管理ゾーンEへの進入を要求した場合、ゾーン管理装置H2は、以下のように管理ゾーンEにおける通行を管理する。ゾーン管理装置H2は、第1物品搬送車31がステーションSTを発進可能となる以前に管理ゾーンEへの進入を要求された場合には、第2待機搬送車(2号車(No.2))を第1待機搬送車(3号車(No.3))よりも先に管理ゾーンEに進入させる。また、ゾーン管理装置H2は、第1物品搬送車31がステーションSTを発進可能となった後に、管理ゾーンEへの進入を要求された場合には、第1待機搬送車(3号車(No.3))を第2待機搬送車(2号車(No.2))よりも先に管理ゾーンEに進入させる。
【0050】
ところで、上述したように、ステーションSTは、物品搬送車3による搬送対象の物品Wを利用する処理装置EQ(載置台104)との間で物品Wを受け渡す位置に設定されている。上記においては、1つの処理装置EQに1つのステーションSTが設けられている形態を例示して説明したが、
図13に例示するように、1つの処理装置EQに複数のステーションSTが設定されていてもよい。また、その場合において、一部のステーションSTが管理ゾーンEの中に設置され、他の一部のステーションSTが管理ゾーンEの外に設置されていてもよい。このように設置されている場合、
図13に示すように、複数のステーションSTの内の一部が管理ゾーンE内に位置するゾーン内ステーション(第1ステーションST1、第2ステーションST2)であり、複数のステーションSTの内の他の一部が管理ゾーンE外に位置するゾーン外ステーション(第3ステーションST3、第4ステーションST4)である。これら複数のステーションSTは、ゾーン外ステーションに比べて、ゾーン内ステーションの利用頻度が低くなるように運用されると好適である。
【0051】
管理ゾーンEに物品搬送車3が存在すると、基本処理によって管理ゾーンEにおける他の物品搬送車3の通行が制限されるため、物品搬送設備100の搬送効率が低下する可能性がある。さらに、ステーションSTでは、物品Wを移載するために物品搬送車3が停止するため、管理ゾーンEにおける物品搬送車3の滞在時間が長くなり、搬送効率が低下し易い。本実施形態では、第1例外処理によって、そのような搬送効率の低下を抑制しているが、上記の運用により、さらに、搬送効率の低下を抑制することができる。
【0052】
尚、上記においては、
図9に示すように、副経路1Sから主経路1Mへ合流する分岐合流部B(B1)を接続部Jとし、この接続部Jに接続される副経路1S(接続経路)を第1経路K1とし、走行経路上流側で接続部Jに接続される主経路1Mを第2経路K2とし、走行経路下流側で接続部Jに接続される主経路1Mを第3経路K3とする形態を例示して説明した。つまり、
図14に実線で示すように、第1経路K1、第2経路K2、第3経路K3、接続部Jが設定される形態を例示して説明した。ここで、
図13に示すように複数のステーションSTが存在する場合には、第1ステーションST1、第2ステーションST2が、第1経路K1に配置されて第1物品搬送車31が停止するステーションSTとなる。
【0053】
しかし、副経路1Sと主経路1Mとの接続箇所においては、
図15に実線で示すように第1経路K1、第2経路K2、第3経路K3、接続部Jを設定することもできる。即ち、主経路1Mから副経路1Sへの接続経路と、環状の副経路1Sとが合流する分岐合流部B(B2)を接続部Jとし、この接続部Jに対して走行方向上流側から接続される環状の副経路1Sを第1経路K1とし、主経路1Mから分岐して接続部Jに接続される副経路1S(接続経路)を第2経路K2とし、接続部Jに対して走行方向下流側に接続される環状の副経路1Sを第3経路K3とすることもできる。この場合、第2ステーションST2が、第1経路K1に配置されて第1物品搬送車31が停止するステーションSTとなる。
【0054】
尚、走行経路1は種々の形態を採ることが可能であるが、第1経路K1、第2経路K2、第3経路K3、接続部J、管理ゾーンE、ステーションSTは、少なくとも
図16の概念図に示すような構成を有していればよい。即ち、物品Wを搬送する物品搬送車3の走行経路1として、接続部Jに端部が接続された第1経路K1と、接続部Jに端部が接続された第2経路K2と、接続部Jに端部が接続された第3経路K3とを備える。そして、第1経路K1の少なくとも一部と、第2経路K2の少なくとも一部と、第3経路K3の少なくとも一部と、接続部Jとを含む領域が物品搬送車3の通行を管理する管理ゾーンEとして設定されている。また、管理ゾーンE内に、物品搬送車3が停止するステーションSTが設けられている。このステーションSTは、管理ゾーンE内の第1経路K1において、当該ステーションSTに停止した物品搬送車3が、第2経路K2及び第3経路K3を走行する他の物品搬送車3と干渉しない位置に設けられている。
【0055】
尚、上記においては、
図6、
図9、
図14、
図15、
図16等を参照して、接続部Jが合流部である場合を例として説明した。しかし、
図17、
図18に示すように、接続部は、分岐部であってもよい。
図17は、
図6に対応し、内部にステーションSTが配置された管理ゾーンEの他の例を示している。また、
図18の概念図は、
図16に対応し、第1経路K1と第2経路K2と第3経路K3と接続部Jと管理ゾーンEとステーションSTとの関係の他の例を示している。
図17及び
図18に示す形態におけるゾーン管理装置H2による制御については、上記の
図1~
図16を参照して上述した説明より容易に類推可能であるから詳細な説明は省略する。
【0056】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0057】
(1)上記においては、第1物品搬送車31がステーションに停止中である場合に、第1例外処理が実行される形態を例示して説明した。しかし、上述したように、物品搬送車3は、例えば、進入検出ポイントSPにおいて、管理ゾーンEへ進入した後、管理ゾーンE内のステーションSTにて停止する場合には、停止予定であるとの情報もゾーン管理装置H2に送信するができる場合がある。このような場合には、ステーションSTで停止する予定の第1物品搬送車31は、ステーションSTで停止するよりも前(例えば、管理ゾーンEに進入した時点)において、ステーションSTで停止することをゾーン管理装置H2へ知らせることができる。従って、第1例外処理は、第1物品搬送車31がステーションに停止する予定の物品搬送車3である場合に実行されてもよい。つまり、「ステーションに停止する物品搬送車3」は、「ステーションに停止中の物品搬送車3」と「ステーションに停止する予定の物品搬送車3」との双方の概念を含む。
【0058】
(2)上記においては、走行経路1が一方通行である構成を例として説明したが、これには限定されず、走行経路1の一部又は全部が双方向に通行可能な経路とされていても良い。この場合においても、第1例外処理の条件として、「第2物品搬送車32が、第2経路K2及び第3経路K3を通り、ステーションSTが設定されている第1経路K1を通らない」ことが含まれているため、第1例外処理を実行しても、ステーションSTにおいて停止している第1物品搬送車31と第2物品搬送車32とが干渉することは回避される。
【0059】
(3)上記においては、経路側通信部S1とゾーン管理装置H2、装置側通信部S2と移載制御装置H3、装置側通信部S2とゾーン管理装置H2、のそれぞれがケーブル等によって有線接続される形態を例示したが、これらは種々のワイヤレス通信を用いたワイヤレス接続であってもよい。
【0060】
(4)上記においては、装置側通信部S2と搬送車側通信部S0との通信において、経路側通信部S1と搬送車側通信部S0との通信と同義の信号を送受信可能とすることで、ステーションSTに停止している物品搬送車3とゾーン管理装置H2とが通信する形態を例示した。しかし、この形態に限らず、装置側通信部S2と搬送車側通信部S0との通信では、経路側通信部S1と搬送車側通信部S0との通信とは異なる信号を送受信する形態であってもよい。
【0061】
(5)上記においては、装置側通信部S2と搬送車側通信部S0とが通信し、装置側通信部S2とゾーン管理装置H2とが通信することによって、ステーションSTに停止している物品搬送車3とゾーン管理装置H2とが通信する形態を例示した。しかし、物品搬送車3とゾーン管理装置H2とは、ステーションSTに設けられた装置側通信部S2を経由せずに、例えば無線通信等によって、直接通信してもよい。つまり、ゾーン管理装置H2は、ステーションSTに設けられた装置側通信部S2を経由せずに、物品搬送車3に設けられた搬送車側通信部S0と通信して、ステーションSTにおける物品搬送車3の停止及び発進を検出すると共に、当該物品搬送車3を含む複数の物品搬送車3の管理ゾーンEにおける通行を管理してもよい。例えば、ステーションSTで停止する予定の物品搬送車3は、ステーションSTで停止するよりも前(例えば、管理ゾーンEに進入した時点)において、ステーションSTで停止することをゾーン管理装置H2へ知らせることもできる。
【0062】
(6)上記においては、ステーションSTが物品Wを移載するための載置台104を備えており、載置台104と物品搬送車3との間で物品Wを移載するために、ステーションSTにおいて物品搬送車3が停止する形態を例示して説明した。しかし、物品搬送車3が停止するステーションSTは物品Wを移載するためのものに限らず、物品搬送車3は、物品Wの移載とは異なる事由によってステーションSTにおいて停止してもよい。例えば、ステーションSTは、物品搬送車3を洗車するための洗車機や、走行輪15や案内輪16などを交換するためのメンテナンスロボット、物品搬送車3の検査装置が備えられた場所であってもよい。また、物品搬送車3に備えられたバッテリーなどの蓄電装置の交換や充電を行う場所や、物品搬送車3の制御プログラム等の更新を行う場所であってもよい。また、物品搬送車3も、物品Wを搬送する車両に限らず、メンテナンス車両や、掃除車両であってもよい。
【0063】
(7)上記においては、物品搬送車3として、天井側に吊り下げ支持された天井搬送車を例示した。しかし、走行経路1に管理ゾーンが設定される物品搬送設備であれば、物品搬送車3は地上側を走行する搬送車であってもよい。
【0064】
(8)上記においては、搬送対象の物品Wとして、FOUPやレチクルを例示したが、物品Wはこれらに限らず他のものであってもよい。
【0065】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について簡単に説明する。
【0066】
1つの態様として物品搬送設備は、物品を搬送する物品搬送車の走行経路として、接続部に端部が接続された第1経路と、前記接続部に端部が接続された第2経路と、前記接続部に端部が接続された第3経路とを備え、前記第1経路の少なくとも一部と、前記第2経路の少なくとも一部と、前記第3経路の少なくとも一部と、前記接続部とを含む領域が前記物品搬送車の通行を管理する管理ゾーンとして設定され、前記管理ゾーンにおける前記物品搬送車の通行を管理する制御を行う制御装置を備えた物品搬送設備であって、前記管理ゾーン内に、前記物品搬送車が停止するステーションが設けられ、前記ステーションは、前記管理ゾーン内の前記第1経路において、当該ステーションに停止した前記物品搬送車が、前記第2経路及び前記第3経路を走行する他の前記物品搬送車と干渉しない位置に設けられ、前記制御装置は、前記管理ゾーン内に前記物品搬送車が存在していない場合に、前記管理ゾーン内に先に進入する前記物品搬送車である第1物品搬送車の前記管理ゾーン内への進入を許可すると共に、前記管理ゾーン内に前記第1物品搬送車が存在している場合には、他の前記物品搬送車である第2物品搬送車の前記管理ゾーンへの進入を禁止する基本処理と、前記管理ゾーン内に前記第1物品搬送車が存在している場合であっても、前記第1物品搬送車が前記ステーションに停止する前記物品搬送車であり、前記第2物品搬送車が前記第2経路及び前記第3経路を通り、前記第1経路を通らない場合には、前記第2物品搬送車が前記管理ゾーンへ進入することを許可する第1例外処理と、を実行可能である。
【0067】
この構成によれば、基本処理によって1台の物品搬送車のみが管理ゾーン内に進入可能なように排他的制御が実行されるので、管理ゾーン内における複数の物品搬送車の干渉を適切に防止することができる。さらに、第1例外処理によって、第1物品搬送車が管理ゾーン内に存在しても第2物品搬送車が管理ゾーンに進入することが許容される。基本処理のみでは、管理ゾーン内で停止する第1物品搬送車が管理ゾーンを退出するまで、第2物品搬送車が管理ゾーンに進入することを待つ必要があり、物品搬送設備の搬送効率の向上が妨げられる。しかし、本構成によれば、管理ゾーン内で第1物品搬送車が停止していても、第2物品搬送車が管理ゾーン内で第1物品搬送車と干渉しない場合には、当該第2物品搬送車が管理ゾーンを通過可能であるから、物品搬送設備の搬送効率を向上させることができる。即ち、本構成によれば、管理ゾーンの中で物品搬送車が停止する場合がある物品搬送設備において、物品搬送車による搬送効率をより向上させることができる。
【0068】
ここで、前記制御装置は、前記第1例外処理によって前記第2物品搬送車が前記管理ゾーン内に進入した後、前記第2物品搬送車が前記管理ゾーンから退出するまで、前記ステーションからの前記第1物品搬送車の発進を禁止する第2例外処理を実行すると好適である。
【0069】
第1物品搬送車がステーションで停止している状態では、第1物品搬送車と第2物品搬送車とが干渉するおそれがないため、第2物品搬送車は、第1例外処理によって管理ゾーン内を走行する。ここで、第2物品搬送車が管理ゾーン内を走行している間に第1物品搬送車がステーションから発進すると、管理ゾーン内で複数の物品搬送車が同時期に走行することとなり、第1物品搬送車と第2物品搬送車とが干渉するおそれがある。第2例外処理を実行することによって、管理ゾーン内で複数の物品搬送車が同時期に走行することが禁止されるので、第1物品搬送車と第2物品搬送車とが干渉することを防止することができる。
【0070】
また、前記制御装置は、前記走行経路に沿って配置された経路側通信部と、前記物品搬送車に設けられた搬送車側通信部との通信に基づいて、前記管理ゾーンへ進入する前記物品搬送車を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理し、前記ステーションに設けられた装置側通信部と、前記物品搬送車に設けられた前記搬送車側通信部との通信に基づいて、前記ステーションにおける前記物品搬送車の停止及び発進を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理すると好適である。
【0071】
ステーションにおいては、ステーションで停止した物品搬送車が行う動作を制御するために、搬送車側通信部は装置側通信部と通信を行う場合がある。制御装置は、経路側通信部と搬送車側通信部との通信に基づいて管理ゾーンへ進入する物品搬送車を検出している。第1例外処理では、ステーションに物品搬送車が停止していることなどの情報が必要であるが、ステーションには、当該ステーションで停止した物品搬送車が行う動作を制御するために、装置側通信部を配置する必要があり、経路側通信部を配置することが困難な場合がある。本構成によれば、制御装置は、装置側通信部と搬送車側通信部との通信に基づいてステーションにおける物品搬送車の停止等を検出する。従って、制御装置は、この検出結果を用いて、適切に第1例外処理を実行することができる。
【0072】
また、前記制御装置は、前記走行経路に沿って配置された経路側通信部と、前記物品搬送車に設けられた搬送車側通信部との通信に基づいて、前記管理ゾーンへ進入する前記物品搬送車を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理し、前記ステーションに設けられた装置側通信部を経由せずに、前記物品搬送車に設けられた前記搬送車側通信部と通信して、前記ステーションにおける前記物品搬送車の停止及び発進を検出すると共に、当該物品搬送車を含む複数の前記物品搬送車の前記管理ゾーンにおける通行を管理すると好適である。
【0073】
第1例外処理では、ステーションに物品搬送車が停止していること、或いはステーションにおいて物品搬送車が停止することなどの情報が必要である。但し、ステーションには、当該ステーションで停止した物品搬送車が行う動作を制御するために、装置側通信部を配置する必要があり、経路側通信部を配置することが困難な場合がある。本構成によれば、制御装置は、ステーションに設けられた装置側通信部を経由せずに、物品搬送車に設けられた搬送車側通信部と通信して、ステーションにおける物品搬送車の停止等を検出する。従って、制御装置は、この検出結果を用いて、適切に第1例外処理を実行することができる。
【0074】
また、前記ステーションは、前記物品搬送車による搬送対象の前記物品を利用する処理装置との間で前記物品を受け渡す位置に設定され、1つの前記処理装置に複数の前記ステーションが設定され、複数の前記ステーションの内の一部が前記管理ゾーン内に位置するゾーン内ステーションであり、複数の前記ステーションの内の他の一部が前記管理ゾーン外に位置するゾーン外ステーションである場合、前記ゾーン外ステーションに比べて、前記ゾーン内ステーションの利用頻度が低くなるように運用されると好適である。
【0075】
基本処理に加えて第1例外処理が実行可能であることにより、管理ゾーン内に設定されたステーションで物品搬送車が停止しても物品搬送設備の搬送効率の低下を抑制することが可能である。しかし、1つの処理装置に対してゾーン内ステーションとゾーン外ステーションとが設定されている場合には、ゾーン外ステーションを優先的に利用することによって、管理ゾーンにおける排他的制御が行われる頻度を低下させ、搬送効率の低下を抑制することができる。
【0076】
また、前記管理ゾーン内に前記ステーションで停止する前記第1物品搬送車が存在し、前記管理ゾーンへの進入を待機する前記物品搬送車として、前記第1経路を走行して前記ステーションで停止する第1待機搬送車と、前記接続部を経由して前記第2経路及び前記第3経路を通過する第2待機搬送車とが、前記管理ゾーンへの進入を要求した場合、前記制御装置は、前記第1物品搬送車が前記ステーションを発進可能となる以前に、前記管理ゾーンへの進入を要求された場合には、前記第2待機搬送車を前記第1待機搬送車よりも先に前記管理ゾーンに進入させ、前記第1物品搬送車が前記ステーションを発進可能となった後に、前記管理ゾーンへの進入を要求された場合には、前記第1待機搬送車を前記第2待機搬送車よりも先に前記管理ゾーンに進入させると好適である。
【0077】
第1物品搬送車が管理ゾーンから退出した後、第2待機搬送車を先に管理ゾーンに進入させると、第1待機搬送車は第2待機搬送車が管理ゾーンを退出するまで、管理ゾーンに進入することができない。つまり、第1待機搬送車と第2待機搬送車との管理ゾーンへの進入は基本処理によって排他的に管理される。しかし、第1物品搬送車が管理ゾーンから退出した後、第1待機搬送車を先に管理ゾーンに進入させると、第1待機搬送車がステーションに停止する場合には、第1例外処理によって第2待機搬送車は第1待機搬送車が管理ゾーンに存在していても管理ゾーンに進入することができる。つまり、第1待機搬送車と第2待機搬送車とが同時期に管理ゾーン内に存在することができるので、物品搬送設備の搬送効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 :走行経路
3 :物品搬送車
31 :第1物品搬送車
32 :第2物品搬送車
100 :物品搬送設備
E :管理ゾーン
EQ :処理装置
J :接続部
H2 :ゾーン管理装置(制御装置)
K1 :第1経路
K2 :第2経路
K3 :第3経路
S0 :搬送車側通信部
S1 :経路側通信部
S2 :装置側通信部
ST :ステーション
W :物品