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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】映像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/56 20060101AFI20230523BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20230523BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20230523BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G03B21/56
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N5/74 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019110966
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020204650
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正之
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538968(JP,A)
【文献】中国実用新案第206524128(CN,U)
【文献】特開平05-072629(JP,A)
【文献】特開2016-200637(JP,A)
【文献】特開2011-209341(JP,A)
【文献】特開2005-316297(JP,A)
【文献】特開2014-123010(JP,A)
【文献】特開2001-356410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0107104(US,A1)
【文献】中国実用新案第202275255(CN,U)
【文献】特開2005-106963(JP,A)
【文献】特開2007-147786(JP,A)
【文献】実開平06-036048(JP,U)
【文献】特開2009-025336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
9/12-9/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にスクリーン面を有するスクリーンボードと、
前記スクリーン面に映像を投射する投射機と、
前記投射機を保持する投射機保持台と、を備え、
前記スクリーンボードの少なくとも一側辺部には、前記スクリーンボードと、これに隣接して配設される他のスクリーンボードとを回動可能に連結する連結部材が設けられ、
前記スクリーンボードの前記一側辺部における表面には、可撓性を有する素材からなる被覆体が、前記他のスクリーンボードとの間隙を覆うように設けられている映像表示装置。
【請求項2】
前記スクリーンボードの下部には、一対のキャスタを有する支持脚体が設けられている請求項1記載の映像表示装置。
【請求項3】
前記スクリーンボードと、前記支持脚体との間に、前記支持脚体を旋回可能に支持する支持軸が設けられている請求項2記載の映像表示装置。
【請求項4】
前記スクリーンボードと、前記他のスクリーンボードとが、分離可能に連結されている請求項1~3の何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項5】
前記投射機保持台は、前記スクリーンボードに対して位置決めされた状態で設置され、
前記投射機保持台には、前記投射機の設置位置を規制する位置規制部材が設けられている請求項1~4の何れか1項に記載の映像表示装置。
【請求項6】
前記投射機保持台は、前記スクリーンボードの下方部に配設され、
前記投射機保持台の下部には、接地部が設けられている請求項5記載の映像表示装置。
【請求項7】
前記接地部には、キャスタが設けられている請求項6記載の映像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射機から投射された文字や図形、写真などの映像をスクリーン面に表示する映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投影機(プロジェクタ)と、この投影機から投射された映像を表示するスクリーンとを有する複数の映像表示装置(プロジェクタ装置)を複数配列し、各スクリーンを互いに隣接させてマルチスクリーンによる大画面を表示させることが行われている(特許文献1参照)。
【0003】
このような映像表示装置は、例えばイベント会場等に設置され、大画面に迫力のある映像を表示することが可能である。しかし、複数のスクリーンを左右に連結した構成では、汎用性に欠けるという問題がある。すなわち、映像表示装置の設置場所は、広い会場とは限られず、その大きさ及び形状は様々であり、スクリーンに表示される映像も、平面的に限られず、多面的に表示することが望まれる場合がある。このような場合に、特許文献1に開示された映像表示装置では、スクリーン面の設置態様及び映像の表示態様等を種々に変化させることは困難であり、汎用性に欠けるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-183993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が前述の状況に鑑みて解決しようとするところは、映像表示装置が設置される場所の大きさ及び形状や、スクリーンに表示される映像の種類等に対応させて映像の表示態様等を種々に変化させることが可能であり、優れた汎用性を有する映像表示装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る映像表示装置は、表面にスクリーン面を有するスクリーンボードと、前記スクリーン面に映像を投射する投射機と、前記投射機を保持する投射機保持台とを備え、前記スクリーンボードの少なくとも一側辺部には、前記スクリーンボードと、これに隣接して配設される他のスクリーンボードとを回動可能に連結する連結部材が設けられ、前記スクリーンボードの前記一側辺部における表面には、可撓性を有する素材からなる被覆体が、前記他のスクリーンボードとの間隙を覆うように設けられたものである。
【0007】
また、前記スクリーンボードの下部には、一対のキャスタを有する支持脚体が設けられたものであることが好ましい。
【0008】
さらに、前記スクリーンボードと、前記支持脚体との間に、前記支持脚体を旋回可能に支持する支持軸が設けられたものとしてもよい。
【0009】
また、前記スクリーンボードと、前記他のスクリーンボードとが、分離可能に連結されたものであることが好ましい。
【0010】
さらに、前記投射機保持台は、前記スクリーンボードに対して位置決めされた状態で設置され、前記投射機保持台には、前記投射機の設置位置を規制する位置規制部材が設けられたものであることが好ましい。
【0011】
また、前記投射機保持台は、前記スクリーンボードの下方部に配設され、前記投射機保持台の下部には、接地部が設けられたものとしてもよい。
【0012】
さらに、前記接地部には、キャスタが設けられたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る映像表示装置によれば、その設置場所の大きさや形状、又はスクリーン面に表示される映像の種類等に対応させて、映像表示装置を構成するスクリーンボードと、これに隣接して配設される他のスクリーンボードとを回動変位させることにより、映像の表示態様を容易に変化させることができ、優れた汎用性が得られるという利点がある。また、スクリーンボードの一側辺部に、可撓性を有する素材からなる被覆体が、前記他のスクリーンボードとの間隙を覆うように設けられた構成によれば、両スクリーンボードの設置角度が変化した場合においても、これに追従させて被覆体を変形させることにより、両スクリーンボードの間に隙間が形成されるのを防止することできる。
【0014】
また、スクリーンボードの下部に、一対のキャスタを有する支持脚体を設けた構成によれば、キャスタを転動させることにより、スクリーンボードの設置状態を変化させる操作等を容易に行うことが可能である。
【0015】
さらに、前記スクリーンボードと、前記支持脚体との間に、前記支持脚体を旋回可能に支持する支持軸が設けられた構成によれば、この支持軸を支点として、支持脚体を旋回させて、キャスタ支持部をスクリーンボードと直交する方向に設置した状態からスクリーンボードと平行な状態へと変位させることにより、画像形成装置をコンパクトに折り畳むことが可能である。
【0016】
さらに、スクリーンボードと他のスクリーンボードとが分離可能に連結された構成によれば、相連結されるスクリーンボードの個数を必要に応じて任意に増減して、例えばスクリーンボードを単独で使用したり、多数のスクリーンボードからなる大型のスクリーンを形成したりすることができる。
【0017】
また、投射機を保持する投射機保持台がスクリーンボードに対して位置決された状態で設置されるとともに、投射機保持台に、投射機の設置位置を規制する位置規制部材を設けた構成によれば、スクリーンボードのスクリーン面と、投射機から投射される映像の投射領域とを容易かつ正確に一致させた状態で、投射機を投射機保持台に保持させることができる。したがって、煩雑な位置決め作業を要することなく、投射機が投射される映像がスクリーン面からはみ出したり、映像が変形したりするのを効果的に防止することができる。
【0018】
さらに、投射機保持台を、スクリーンボードの下方部に配設するとともに、投射機保持台の下部に接地部を設けた構成によれば、投射機保持台に保持された投射機の自重がスクリーンボードに作用するのを抑制して、スクリーンボードの設置状態を効果的に安定させることができる。
【0019】
また、投射機保持台の接地部にキャスタを設けた構成とした場合には、スクリーンボードと投射機保持台とを接合した状態で、これらを一体的に搬送する作業等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る映像表示装置の実施形態を示す正面図である。
図2】映像表示装置の設置状態を示す平面図である。
図3】映像表示装置を構成するスクリーンボードの平面断面図である。
図4】連結部材の具体的構成を示す平面断面図である。
図5】スクリーンボードの設置状態を示す平面図である。
図6】支持脚体の具体的構成を示す図1のVI-VI線断面図である。
図7】支持脚体の変形例を示す平面図である。
図8】支持脚体の変形例の具体的構成を示す側面断面図である。
図9】投射機保持台の具体的構成を示す正面図である。
図10】投射機保持台の具体的構成を示す側面図である。
図11】投射機保持台の具体的構成を示す平面図である。
図12】映像表示装置の別の実施形態を示す平面図である。
図13】映像表示装置のさらに別の実施形態を示す平面図である。
図14】映像表示装置のさらにまた別の実施形態を示す平面図である。
図15】連結部材の変形例の具体的構成を示す斜視図である。
図16】スクリーンボードの格納状態を示す平面図である。
図17】スクリーンボードの展開状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。
【0022】
図1及び図2に示すように、映像表示装置1は、表面にスクリーン面2を有するスクリーンボード3aと、スクリーン面2に映像を投射する投射機4と、この投射機4を保持する投射機保持台5とを備えている。投射機4としては、スクリーン面2に近接した位置に配設される短焦点用のプロジェクタや、通常のプロジェクタと反射板とを用いて近接投影が可能としたものが好適に使用され、これによって映像表示装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0023】
スクリーンボード3aは、角パイプ材等が正方形に接続された枠体6の集合体からなる格子状の上部フレーム7と、角パイプ材等が横長の長方形に接続された枠体8の集合体からなる梯子状の下部フレーム9とを備えている。上部フレーム7の表面側には、図3及び図4に示すように、スクリーンシート2aが固着され、このスクリーンシート2aの表面がスクリーン面となる。
【0024】
上部フレーム7は、左右三列の枠体6と、上下二段の枠体6とを有している。そして、図3に示すように、ボルト10及びナット11等からなる締結部材により相隣接する枠体6,6の角パイプ同士が一体に締結されている。これにより、図1に示すように、合計6個の枠体6からなる格子状の上部フレーム7が構成されている。
【0025】
また、下部フレーム9は、上部フレーム7の下方に配列された左右三列の枠体8を有している。そして、ボルト10及びナット11等からなる締結部材により、相隣接する枠体8の角パイプ同士が一体に締結されるとともに、上部フレーム7の下端部に配置された枠体6の角パイプと、下部フレーム9の上端部に配置された枠体8の角パイプとが一体に締結されている。これにより、合計3個の枠体8からなる梯子状の下部フレーム9が構成されるとともに、この下部フレーム9と、上述の上部フレーム7とが一体に接合されている。
【0026】
スクリーンボード3aの一側辺部(図2の右側に位置する側辺部)には、このスクリーンボード3a(以下、第一スクリーンボード3aともいう)と同様の構成を有する他のスクリーンボード3b(以下、第二スクリーンボード3bともいう)が隣接して配設されている。
【0027】
第一スクリーンボード3aの一側辺部には、図4に示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを回動可能に連結する連結部材12が設けられている。また、第一スクリーンボード3aの一側辺部には、合成樹脂シート等の可撓性を有する素材からなる被覆体13が、第二スクリーンボード3bとの間隙を覆うように設けられている。なお、連結部材12及び被覆体13を、第一スクリーンボード3aの他側辺部(図2の左側に位置する側辺部)に設けてもよく、あるいは第一スクリーンボード3aの左右両側辺部に設けた構成としてもよい。
【0028】
連結部材12は、例えば第一スクリーンボード3aの側壁面及び第二スクリーンボード3bの側壁面にそれぞれ固定ビス等により取外し可能に固定される一対の取付板14a,14bと、両取付板14a,14bの回動支点となる枢軸15とを有するヒンジ部材からなっている。そして、図4に示す平面視で、連結部材12の枢軸15を支点にして、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとが回動可能に連結されている。
【0029】
例えば、図2に示す平面視で、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとが直角に配置された状態から、第二スクリーンボード3bを矢印A1で示す方向に回動変位させることにより、図5の実線で示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとが一直線上に配置された状態に変位させ得るように構成されている。
【0030】
また、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bの下端部には、図2に示すように、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bと直交する方向に延びる左右一対の支持脚体16が設けられている。この支持脚体16は、図6に示すように、角パイプ材等からなるキャスタ支持部17と、このキャスタ支持部17の下面に取り付けられた前後一対のキャスタ18とを有している。
【0031】
そして、キャスタ支持部17の前後方向中央部が、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bの下端部、具体的には下部フレーム9の下面にボルト止めされる等により固定されている。これにより、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bの転倒が防止された状態で、床面上に立設されるようになっている。また、必要に応じてキャスタ18を転動させることにより、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bを容易に搬送することが可能である。
【0032】
なお、図7に示すように、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bの下端部と、支持脚体16の上端部との間に設けられた支持軸19を支点として、支持脚体16が旋回可能に支持された構成としてもよい。例えば、図8に示すように、キャスタ支持部17に突設された支持軸19の上部が、下部フレーム9の下端部に形成された挿通孔20内に挿入された状態で、支持軸19の先端部に抜け止め用のナット21が螺着される等により、支持脚体16が支持軸19を支点に旋回可能に支持されている。
【0033】
この構成によれば、支持軸19を支点として、図7の矢印Bで示すように支持脚体16を旋回させることにより、キャスタ支持部17を、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bと直交する方向に設置した状態(図7の実線参照)と、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bと平行に設置した状態(図7の仮想線参照)とに変位させることができる。
【0034】
投射機保持台5は、図9及び図10に示すように、投射機4が載置される載置板23と、下面に4個のキャスタ24が設けられた接地部25とを有している。また、スクリーンボード3a,3bの下部フレーム9に設けられた図略の位置決め部に、投射機保持台5の前端部を当接させて位置決めした状態で、投射機4から斜め上方に向けて映像が照射されることにより、スクリーンボード3a,3bのスクリーン面2に映像が写し出されるように構成されている。
【0035】
載置板23の上面には、図11に示すように、投射機4の設置位置を規制する位置規制部材26が設けられている。この位置規制部材26は、投射機4の下部前面に当接して投射機4の前方移動を規制する第一規制部26aと、投射機4の下部側面に当接して投射機4の側方移動を規制する第二規制部26bとを有するL型金具等からなっている。
【0036】
上述の構成によれば、投射機4の下部前面を第一規制部26aに当接させることにより、投射機4とスクリーンボード3a,3bとの設置間隔が一定となるように、投射機4の前後位置が規制される。また、投射機4の前方移動を規制する投射機4の下部側面を第二規制部26bに当接させることにより、投射機4の幅方向における設置位置が規制された状態で、載置板23上に投射機4が固定される。この結果、スクリーンボード3a,3bの表面に設けられたスクリーン面2の設置範囲と、投射機4から投射される映像の投射領域とを正確に一致させることが可能となり、スクリーン面2から映像がはみ出したり、映像が変形したりすることを防止できる。
【0037】
上述のように、表面にスクリーン面2を有するスクリーンボード3と、スクリーン面2に映像を投射する投射機4と、投射機4を保持する投射機保持台5とを備え、スクリーンボード3の少なくとも一側辺部には、スクリーンボード3と、これに隣接して配設される他のスクリーンボード3bとを回動可能に連結する連結部材12が設けられてなる映像表示装置1によれば、この映像表示装置1が設置される場所の大きさや形状、又はスクリーン面2に表示される映像の種類等に対応させて、映像の表示態様を容易に変化させることが可能であり、優れた汎用性が得られるという利点がある。
【0038】
すなわち、映像表示装置1の設置場所が広く、大画面のスクリーン面2を形成することが望まれる場合には、図5の実線で示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを平面視で一直線上に配置することにより、遠くからでも見やすい大きな映像をスクリーン面2に表示させることができる。
【0039】
一方、映像表示装置1の設置場所の幅寸法が狭い場合、あるいはスクリーン面2を立体的に配置することが望まれる場合等には、図2及び図5の仮想線で示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを平面視で直角に配置することにより、スクリーン面2の設置幅が大きくなるのを防止しつつ、下記のように映像の視覚効果を効果的に向上させることができる。
【0040】
すなわち、イベント会場等に着座した聴衆の前方側に位置する第一スクリーンボード3aのスクリーン面2に、大学等で講義する講師の映像を表示する。また、聴衆の側方側に位置する第二スクリーンボード3bのスクリーン面2に、大学の大教室等に集まった多数の学生の映像を表示した場合には、イベント会場に着座した聴衆に、離れた場所にいる多数の学生とともに講義を聴いているような臨場感を与えることができる。
【0041】
また、航空機戦闘ゲーム等を行うアーケードゲーム機の前方側に位置する第一スクリーンボード3aのスクリーン面2に、遊戯者が操縦する自機と、攻撃目標となる敵爆撃機とを表示し、かつアーケードゲーム機の側方側に位置する第二スクリーンボード3bのスクリーン面2に、自機を攻撃しようとする敵戦闘機を表示するようにしてもよい。この場合には、アーケードゲーム機を使用する遊技者は、側方の敵戦闘機からの攻撃を回避しつつ、前方の敵爆撃機を補足して撃墜するという三次元的なゲームをリアルに楽しむことが可能である。
【0042】
上述の実施形態では、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bの下部に、一対のキャスタ18を有する支持脚体16を設けた構成としたため、このキャスタ18を転動させることにより、図2に示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを直角に配置した状態から、図5の実線で示すように、両者を一直線上に配置した状態へと変位させる操作等を容易に行うことが可能である。
【0043】
さらに、映像表示装置1の不使用時には、第二スクリーンボード3bを図5の矢印A2で示す方向に回動変位させることにより、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bを近接させて映像表示装置1をコンパクト化したり、映像表示装置1を格納場所に搬送したりする作業を、キャスタ18を利用して容易に行うことができる。
【0044】
そして、図7の仮想線で示すように、キャスタ支持部17を、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bと平行に設置した状態とすれば、後述の図16に示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを略密着させた状態として、映像表示装置1の格納スペースを、より小さくすることが可能である。
【0045】
また、図4に示すように、第一スクリーンボード3aの側辺部に設けられた被覆体13により、第二スクリーンボード3bとの間隙を覆うように構成した場合には、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとに間に形成された間隙を透過する光によって、映像の連続性が阻害される等の弊害を防止することができる。特に、合成樹脂シート等の可撓性を有する素材で被覆体13を構成すれば、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとの設置角度が変化した場合においても、これに追従させて被覆体13を変形させることにより、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとの間に隙間が形成されるのを防止して、映像の連続性を維持できるという利点がある。
【0046】
第一スクリーンボード3aの左右両側辺部に連結部材12をそれぞれ設けるとともに、図12に示すように、第一スクリーンボード3aの一側方部に、第二スクリーンボード3bを配設し、かつ第一スクリーンボード3aの他側方部に、第三スクリーンボード3cからなる別のスクリーンボードを配設した場合には、映像表示装置1のスクリーン面2に表示される映像の表示面積を、より増大することができるとともに、映像の表示態様を、より多様化することができる。
【0047】
さらに、図13に示すように、複数のスクリーンボード3a~3fを順次、連結することにより、各スクリーンボード3a~3fを平面視で多角形状、例えば六角形状に配設することも可能である。これにより、映像表示装置1が配設された空間部の外周全面、もしくは内周全面に、映像を表示させることができる。
【0048】
上述の実施形態では、スクリーンボード3a等の表面に設けられたスクリーン面2を平坦面に形成した例について説明したが、これに限られない。例えば、図14に示すように、スクリーンボード3a~3fの平面視においてスクリーン面2をそれぞれ湾曲させた構成としてもよい。この構成によれば、複数のスクリーンボード3a~3fを平面視で多角形状に配設することにより、円筒形状のスクリーン面2を形成して、映像表示装置1のスクリーン面2に表示される映像の連続性を、より向上させることができる。
【0049】
また、連結部材12を構成するヒンジ部材の取付板14a,14bを、第一スクリーンボード3aの側壁面及び第二スクリーンボード3bの側壁面に固定する固定ビスを取り外す等により、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを分離可能に連結した場合には、相連結されるスクリーンボード3の個数を必要に応じて任意に増減することができる。例えば、第一スクリーンボード3aを単独で使用したり、多数のスクリーンボード3からなる大型のスクリーンを形成したりすることができる。
【0050】
なお、図15に示すように、枢軸15aを有する第一取付板14aと、枢軸15aが挿抜可能に挿入されるボス部15bを有する第二取付板14bとにより、連結部材12を構成してもよい。この構成によれば、枢軸15aをボス部15bに挿入することにより、第一取付板14aが取り付けられる一方のスクリーンボードと、第二取付板14bが取り付けられる他方のスクリーンボード3bとを容易に連結することができる。しかも、枢軸15aをボス部15bから引き抜くだけで、両スクリーンボードを容易に分離することができる。
【0051】
また、図16及び図17に示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとの連結部に、一対のリンク板30,31等からなる角度規制部材32を設けてもよい。この角度規制部材32は、図16に示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを密着させた場合に、両リンク板30,31が折り畳まれた状態となり、図17に示すように、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとを展開させた場合に、両リンク板30,31が伸長状態となるように構成されている。
【0052】
上述の角度規制部材32を、第一スクリーンボード3aと第二スクリーンボード3bとの連結部に設けた場合には、両スクリーンボード3a,3bを互いに密着させた状態から、両スクリーンボード3a,3bを展開状態に移行させる際に、その展開角度が、例えば90度等に予め設定された展開規制角度となった時点で、それ以上の展開を規制することができる。このため、第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bを、互いに密着させた状態から所定の展開状態へと容易かつ正確に移行させることができる。
【0053】
なお、角度規制部材32により規制される第一スクリーンボード3a及び第二スクリーンボード3bの展開角度は、90度に限られず、例えば120度、もしくは135度等の種々の角度に設定することができる。
【0054】
また、上述のリンク板30,31等からなる角度規制部材32に代え、図15に示すように、連結部材12を構成する枢軸15aの外周面に形成された半球状の突部28と、ボス部15bの内周面に形成された凹部29とにより、角度規制部材を構成することも可能である。そして、枢軸15aの回動変位に応じて突部28を凹部29内に嵌入して係止する等により、スクリーンボードの展開角度を規制するようにしてもよい。
【0055】
上述の実施形態では、投射機保持台5を、スクリーンボード3a,3bに対して位置決めした状態で設置するとともに、図11に示すように、投射機保持台5に設けられた位置規制部材26によって投射機4を位置決するように構成されている。この構成によれば、スクリーンボード3a,3bのスクリーン面2と、投射機4から投射される映像の投射領域とを容易かつ正確に一致させた状態で、投射機4を投射機保持台5に保持させることができる。したがって、煩雑な位置決め作業を要することなく、投射機4が投射される映像がスクリーン面2からはみ出したり、映像が変形したりするのを効果的に防止することができる。
【0056】
なお、上述の実施形態では、投射機保持台5を、スクリーンボード3a等の下方部に配設した例について説明したが、これに限られず、投射機保持台5の設置位置を任意に変更可能である。例えば、投射機保持台5を、スクリーンボード3a等の上部に配設し、投射機4から斜め下方に向けて映像を照射するように構成してもよい。
【0057】
しかし、図10に示すように、投射機保持台5を、スクリーンボード3a等の下方部に配設するとともに、投射機保持台5の下部に接地部25を設けた構成とした場合には、投射機保持台5に保持された投射機4の自重がスクリーンボード3a等に作用するのを抑制して、スクリーンボード3a等の設置状態を効果的に安定させることができる。
【0058】
特に、上述の実施形態に示すように、投射機保持台5の接地部25にキャスタ24を設けた場合には、キャスタ24の下端部を接地させて転動させることにより、スクリーンボード3a等と投射機保持台5とを接合した状態で、これらを一体的に搬送する作業等を容易に行うことができる。
【0059】
上述の実施形態では、投射機4及び投射機保持台5を、スクリーンボード3a等の表面側においてスクリーン面2に対向させるように配置した例について説明したが、スクリーンボード3a等の背面側に投射機4及び投射機保持台5を配置してもよい。そして、投射機4から投射された映像を、スクリーン面2の表面側に透過させて表示させるように構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 映像表示装置 2 スクリーン面
3a スクリーンボード 3b~3f 他のスクリーンボード
4 投射機 5 投射機保持台
6 枠体 7 上部フレーム
8 枠体 9 下部フレーム
12 連結部材 13 被覆体
14a,14b 取付板 15 枢軸
16 支持脚体 17 キャスタ支持部
18 キャスタ 19 支持軸
20 挿通孔 21 ナット
23 載置板 24 キャスタ
25 接地部 26 位置規制部材
27 角度規制部材 28 突部
29 凹部 30,31 リンク板
32 角度規制部材

図1
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