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特許7283662タッチパネル装置およびタッチパネル装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】タッチパネル装置およびタッチパネル装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230523BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 512
G06F3/041 400
G06F3/044 129
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019217084
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021086538
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】512093491
【氏名又は名称】株式会社アスコ
(73)【特許権者】
【識別番号】501160863
【氏名又は名称】株式会社ユニテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】グエン クォック ヴィエト
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091224(JP,A)
【文献】特開2014-119919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0293511(US,A1)
【文献】特表2014-507041(JP,A)
【文献】特開2013-127680(JP,A)
【文献】国際公開第2017/163297(WO,A1)
【文献】特開2019-174707(JP,A)
【文献】特開2019-061360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量結合を形成する複数の送信電極と複数の受信電極とを備える相互容量方式のタッチパネルと、
前記複数の送信電極に対して、駆動電圧を印加する駆動部と、
前記複数の受信電極からの出力を測定する測定部と、
前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加したときに得られた前記測定部の測定値を用いて、タッチ座標を特定する座標特定部と、
前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加していないときに得られた前記測定部の測定値を用いて、ノイズを検出するノイズ検出部とを備え
前記駆動部は、前記駆動電圧を出力する複数の出力端子を備え、
前記複数の出力端子のうち、少なくとも1つの出力端子は前記複数の送信電極に接続されておらず、他の複数の出力端子は前記複数の送信電極に接続されている、タッチパネル装置。
【請求項2】
検出された前記ノイズに応じて、前記駆動電圧の周波数、位相、およびデューティー比、もしくは、前記駆動電圧の周波数、位相、またはデューティー比を決定し、かつ、前記駆動部に、決定した駆動電圧の周波数、位相、およびデューティー比、もしくは、前記駆動電圧の周波数、位相、またはデューティー比を指定して、前記複数の送信電極に駆動電圧を印加するように指示する制御部を備える、請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記測定部の前記測定値に対して、ノイズの影響を低減する処理を行う、ノイズフィルタ部を備え、
前記ノイズに応じて、前記測定部の前記測定値に対してノイズの影響を低減する処理を行うか否かを決定する制御部を備える、請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記測定部の前記測定値に対して、ノイズの影響を低減する処理を行う、ノイズフィルタ部と、
前記ノイズに応じて、前記ノイズフィルタ部が用いるノイズフィルタの選択を行う制御部とを備える、請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記測定部の前記測定値に対して、ノイズの影響を低減する処理を行う、ノイズフィルタ部と、
前記ノイズに応じて、前記ノイズフィルタ部が用いるノイズフィルタの強度を変更する制御部とを備える、請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
複数のタイミングで前記ノイズの大きさを特定するノイズ検出部と、
前記ノイズの大きさおよび前記ノイズの測定間隔から、前記ノイズの周波数特性を特定する制御部とを備える、請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項7】
静電容量結合を形成する複数の送信電極と複数の受信電極を備える相互容量方式のタッチパネルを備えるタッチパネル装置の制御方法であって、
前記複数の送信電極に対して、駆動電圧を印加する駆動ステップと、
前記複数の受信電極からの出力を測定する測定ステップと、
前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加したときに得られた前記出力の測定値を用いて、タッチ座標を特定する座標特定ステップと、
前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加していないときに得られた前記出力の測定値を用いて、ノイズを検出するノイズ検出ステップとを含み、
前記複数の送信電極に対して、駆動電圧を印加する駆動部は、前記駆動電圧を出力する複数の出力端子を備え、
前記複数の出力端子のうち、少なくとも1つの出力端子は前記複数の送信電極に接続されておらず、他の複数の出力端子は前記複数の送信電極に接続されている、タッチパネル装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相互容量方式のタッチパネルにおける外来ノイズを検出してノイズに対抗するタッチパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末やPDA(Personal Digital Assistant)などの電子機器のみならず、街頭広告や工業製品の操作パネルにおいても、ユーザが操作するための入力手段として、タッチパネルが多用されている。特に、相互容量方式を主とする静電容量方式の検出原理を備えたタッチパネルは、他の方式に比べて多くの用途で利用されている。
【0003】
相互容量方式のタッチパネルは、センサから入力した信号の特徴的なパターンからタッチ座標を特定するものである。ここで、上記センサからの入力にノイズが重畳していると、信号の特徴的なパターンが阻害され、あるいは形成される。その結果として、タッチパネルからの入力に基づく操作に誤りをもたらすこととなる。
【0004】
従来技術として、上記ノイズに対抗する処理を備える相互容量方式のタッチパネルが知られている。例えば、特許文献1には、タッチパネルにおいて、センサ入力のノイズの有無を判別し、ノイズの周波数を避けた送信周波数に変更することによって、ノイズの影響を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5814707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方式では、センサ入力からノイズを弁別することが難しい状況(例えば、ノイズが非常に強い環境)では、ノイズの有無自体を検出することが困難であるという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、複雑なフィルタ技術を用いることなく、外来ノイズの有無を容易に判別することができるタッチパネル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るタッチパネル装置は、静電容量結合を形成する複数の送信電極と複数の受信電極とを備える相互容量方式のタッチパネルと、前記複数の送信電極に対して、駆動電圧を印加する駆動部と、前記複数の受信電極からの出力を測定する測定部と、前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加したときに得られた前記測定部の測定値を用いて、タッチ座標を特定する座標特定部と、前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加していないときに得られた前記測定部の測定値を用いて、ノイズを検出するノイズ検出部とを備える。
【0009】
上記構成によれば、前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加していないときに前記複数の受信電極で得られる信号を、ノイズ由来の信号であるとしている。よって、上記構成により、複雑なノイズフィルタ技術を用いることなく、ノイズの有無を容易に判別することができる。
【0010】
また、前記駆動部は、前記駆動電圧を出力する複数の出力端子を備え、前記複数の出力端子のうち、少なくとも1つの出力端子は前記複数の送信電極に接続されておらず、他の複数の出力端子は前記複数の送信電極に接続されている構成であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、例えば、制御部は、前記駆動部に対して、いずれの前記送信電極にも駆動電圧を印加しないように指示する必要がなくなる。例えば、前記駆動部は、前記制御部から駆動電圧の出力開始の指示を受け取ると、複数の出力端子に順次駆動電圧を出力すればよい。そのため、前記駆動部内の回路も特別な構成にすることなく、少なくとも1つの出力端子を前記送信電極に接続しない構成にすればよい。したがって、前記タッチパネル装置は、前記制御部の制御方法を簡略化することができる。
【0012】
また、前記タッチパネル装置は、検出された前記ノイズに応じて、前記駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を決定し、かつ、前記駆動部に、決定した駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を指定して、前記複数の送信電極に駆動電圧を印加するように指示する制御部を備える構成であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、複雑なフィルタ技術を用いることなく、ノイズの有無を判定することができる。また、前記タッチパネル装置は、ノイズの有無に応じて周波数ホッピングを適用することで(駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を変更することで)、ノイズの影響を低減してタッチ座標の特定を行うことができる。
【0014】
また、前記タッチパネル装置は、前記測定部の前記測定値に対して、ノイズの影響を低減する処理を行う、ノイズフィルタ部を備え、前記ノイズに応じて、前記測定部の前記測定値に対してノイズの影響を低減する処理を行うか否かを決定する制御部を備える構成であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、ノイズの影響を低減してタッチ座標の特定を行うことができる。また、ノイズが無いまたは小さいときには、フィルタ処理を行わないので、フィルタ処理の処理負荷を低減することができる。これにより、例えば、前記タッチパネル装置は、ノイズが無いまたは小さいときには、時間当たりのタッチ座標の特定回数を増加させる(タッチ座標の特定処理の周期を短くする)ことができる。
【0016】
また、前記タッチパネル装置は、前記測定部の前記測定値に対して、ノイズの影響を低減する処理を行う、ノイズフィルタ部と、前記ノイズに応じて、前記ノイズフィルタ部が用いるノイズフィルタの選択を行う制御部とを備える構成であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、ノイズの影響を低減してタッチ座標の特定を行うことができる。また、ノイズの情報(ノイズの有無、大きさ、および/または変動)に応じて、ノイズフィルタの選択を適切に行うことができる。
【0018】
また、前記タッチパネル装置は、前記測定部の前記測定値に対して、ノイズの影響を低減する処理を行う、ノイズフィルタ部と、前記ノイズに応じて、前記ノイズフィルタ部が用いるノイズフィルタの強度を変更する制御部とを備える構成であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、ノイズの影響を低減してタッチ座標の特定を行うことができる。また、ノイズの大きさ、または変動が大きいときには、ノイズフィルタの強度を上げることで、当該ノイズを低減することができる。
【0020】
また、前記ノイズ検出部は、複数のタイミングで前記ノイズの大きさを特定し、前記制御部は、前記ノイズの大きさおよび前記ノイズの測定間隔から、前記ノイズの周波数特性を特定する構成であってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ノイズの周波数特性からより適切な周波数ホッピングを行うことができる。もしくは、前記制御部は、ノイズの周波数特性に対応して想定されるノイズの発生源に適したノイズフィルタの種類、組み合わせ、および/または強度を選択することができる。
【0022】
本発明の一態様に係るタッチパネル装置の制御方法は、前記複数の送信電極に対して、駆動電圧を印加する駆動ステップと、前記複数の受信電極からの出力を測定する測定ステップと、前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加したときに得られた前記出力の測定値を用いて、タッチ座標を特定する座標特定ステップと、前記複数の送信電極に前記駆動電圧を印加していないときに得られた前記出力の測定値を用いて、ノイズを検出するノイズ検出ステップとを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、複雑なノイズフィルタ技術を用いることなく、外来ノイズの有無を容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態1に係るタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。
図2】上記実施形態に係るタッチパネルの模式的な断面、および駆動電圧と受信電流とノイズの波形との関係を示す図である。
図3】上記実施形態に係るフロントカバーを指でタッチしたときのタッチパネルの模式的な断面、および駆動電圧と受信電流との関係を示す図である。
図4】本発明の実施形態1に係るタッチパネル装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係るタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態2に係るタッチパネル装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態1の変形例に係るタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態1の変形例に係るタッチパネル装置の動作例を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態2の変形例に係るタッチパネル装置の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態2の変形例に係るタッチパネル装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔実施形態1〕
(構成例)
図1は、本実施形態に係るタッチパネル装置20の構成を示すブロック図である。タッチパネル装置20は、タッチパネル1と、駆動部4と、測定部5と、ノイズ検出部6と、制御部7と、座標計算部8とを備える。本実施形態に係るタッチパネル装置20は、複数の送信電極2から信号を送信していない期間に複数の受信電極3に現れるノイズ由来の信号を基に、周波数ホッピングを行う装置である。
【0026】
タッチパネル1は、相互容量方式のタッチパネルである。タッチパネル1は、任意の軸(X軸)方向に沿って設けられた複数の送信電極2と、上記軸方向と垂直に交わる軸(Y軸)方向に沿って設けられた複数の受信電極3とを備える。各送信電極2は、複数の受信電極3と重なり、かつ交差している。送信電極2と受信電極3とは、ダイヤモンドパターンと言われる電極構造をとっている。
【0027】
図2は、タッチパネル1の模式的な断面、および駆動電圧と受信電流との関係を示す図である。タッチパネル1は、基板11を備える。基板11は、例えば液晶ディスプレイ基板を含んでも良い。以降、タッチパネル1において、基板11側を下、フロントカバー13側を上と表現することとする。基板11上に、複数の送信電極2が形成されている。送信電極2上に、絶縁層12が形成されている。絶縁層12上に複数の受信電極3が形成されている。複数の受信電極3上に、ユーザがタッチパネル1を操作するときに指と接触するフロントカバー13が形成されている。なお、送信電極2と受信電極3との位置を入れ替えても動作原理に相違はない。
【0028】
送信電極2は、送信電極2-1から送信電極2-nで付番されるn本で構成される。送信電極2は、複数の受信電極3それぞれとの間で静電容量結合を形成する。送信電極2および受信電極3は、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)膜で形成される。
【0029】
駆動部4は、複数の送信電極2に対して、順に駆動電圧としてパルス電圧を印加する装置である。
【0030】
測定部5は、複数の受信電極3からの出力(電流または電圧)を測定する。ここでは、測定部5は、複数の受信電極3から出力される電流を測定する。測定部5は、測定値(測定した電流)を示す情報をノイズ検出部6および座標計算部8に出力する。
【0031】
ノイズ検出部6は、測定部5が出力する情報から、ノイズを検出する。ここでは、ノイズ検出部6は、測定部5が出力する情報から、ノイズの有無を判定する。ノイズ検出部6は、判定結果を制御部7に出力する。
【0032】
制御部7は、駆動部4と、測定部5と、ノイズ検出部6と、座標計算部8との動作を制御する装置である。制御部7は、駆動部4が駆動電圧を出力するよう駆動部4に指示すると共に、測定部5が電流を測定するよう測定部5に指示する。制御部7は、上記ノイズ判定結果に応じて、送信電極2から出力する駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を変更する(周波数ホッピングを行う)。制御部7は、駆動電圧の周波数、位相(出力開始タイミング)、および/またはデューティー比を駆動部4に指示する。例えば、制御部7は、駆動部4に供給されるスタートパルス信号、および/またはクロック信号を用いて、駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を指定する。制御部7は、駆動電圧が出力されていない期間における測定部5の測定結果に基づいてノイズの有無を判定するよう、ノイズの有無を判定するタイミングをノイズ検出部6に指示する。制御部7は、タッチ座標を計算するよう座標計算部8に指示する。
【0033】
座標計算部8(座標特定部)は、測定部5が出力する情報から、タッチ座標を計算する。座標計算部8は、タッチパネル1上の各座標の容量変化に基づき、ユーザが接触したタッチ座標を特定する。
【0034】
なお、タッチパネル1は、送信電極2と受信電極3とを備えるセンサとして実装され得る。駆動部4と、測定部5と、ノイズ検出部6と、座標計算部8とは、コントローラとして、電気回路によって実装され得る。センサとコントローラとは、例えば、フレキシブルケーブルによって互いに接続される。
【0035】
(動作例)
図2に、駆動電圧と受信電流との関係を示す。3つのグラフにおいて、横軸は時間tであり、縦軸は電圧または電流である。送信電極2と交差する受信電極3との間において、ダイヤモンドパターンの電極の辺が互いに隣接している。これにより、送信電極2と受信電極3との間に静電容量結合が形成されている。駆動部4は、送信電極2の1つに方形波パルス状の駆動電圧を印加したとき、送信電極2と交差する受信電極3に、静電容量結合を介して電流が流れる。これにより、受信電極3に電荷が誘導され、受信電極3の電位が変化する。なお、駆動電圧を印加していない送信電極2はすべて固定電位に接続されている。これにより、駆動電圧を印加していない送信電極2はすべて、交流に対してアースされた状態となっている。
【0036】
図3は、フロントカバー13を指でタッチしたときの、タッチパネル1の模式的な断面、および駆動電圧と受信電流との関係を示す図である。3つのグラフにおいて、横軸は時間tであり、縦軸は電圧または電流である。フロントカバー13を指でタッチすると、送信電極2から受信電極3に流れていた電気力線が指に吸い取られる。これにより、駆動電圧に対応して受信電極3に流れる電流が小さくなり、受信電極3の電位の変化が少なくなる。この変位が少なくなった量を検出することにより、送信電極2と受信電極3との間の静電容量(相互容量)の減少分を計測することが出来る。
【0037】
センサから入力される外来ノイズとしては、例えば、放電、蛍光灯、電波等に起因して空間から到来するノイズ(外来ノイズAとする)、タッチしたもの(人体またはタッチペン)から注入されるノイズ(外来ノイズBとする)、などが挙げられる。これらの外来ノイズは、相互容量方式のタッチパネルが検出する相互容量の変化をもたらすものではなく、受信電極を流れるノイズ電流として測定部5に検出される。よって、駆動電圧(パルス電圧)に対応する電流とノイズ電流とが重畳した測定値から、駆動電圧に対応する電流値を取り出すためには、フィルタ技術を用いざるを得ない。
【0038】
従来技術においては、駆動電圧(パルス電圧)に対応する電流とノイズ電流とが重畳した測定値から、ノイズを各種方法によって判定する。ここで、上述のように、得られた測定値にどのくらいノイズが含まれているかを判定するには、相関を求めるまたはヒューリスティックな方法によるフィルタを使用しなければならない。そのようなフィルタは、処理負荷が大きい。
【0039】
外来ノイズAは、空間からセンサ(受信電極)を介して、測定部が測定結果として出力する電流に重畳したノイズである。送信電極に駆動電圧を印加したとき、外来ノイズは駆動電圧に対応する電流に重畳する。
【0040】
外来ノイズBは、タッチパネルをタッチした指からセンサ(受信電極)を介して、測定部が測定結果として出力する電流に重畳する。送信電極に駆動電圧を印加したとき、外来ノイズは駆動電圧に対応する電流に重畳する。
【0041】
いずれの外来ノイズの場合においても、送信電極2に駆動電圧を印加しないときに受信電極3を流れる電流はすべてノイズによる電流である。よって、送信電極2に駆動電圧を印加していないときに、受信電極3を流れる電流を測定する方法により、複雑なフィルタ技術を用いることなく、外来ノイズAおよび外来ノイズBの有無を容易に判別することができる。ここで、例えば、一定時間内の電流波形の振幅の最大値、またはその平均値、あるいは電流値の自乗の最大値、またはその平均値を電流の代表値として求め、代表値を外来ノイズの大きさとしてもよい。また、代表値が所定の数値(閾値)を超過したことをもって、外来ノイズがある、と判定することができる。
【0042】
なお、ここで考慮するノイズは、いずれも外来ノイズであって、タッチパネル装置の内部で生じるノイズは無視し得る。タッチパネル装置の内部で生じるノイズは、ノイズの対策をする必要性がない小さなものである。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態におけるタッチパネル装置20の動作を示すフローチャートである。まず、図4を参照して、タッチパネル装置20がノイズの有無を検出し、ノイズの有無に応じて周波数ホッピングを適用してタッチ座標を特定する場合の動作例を説明する。
【0044】
まず、制御部7は、駆動部4に対して、いずれの送信電極2にも駆動電圧を印加しないように指示する(駆動電圧を印加する指示をしない)。制御部7は、測定部5に対して、複数の受信電極3から電流を測定するように指示する。測定部5は、駆動電圧が印加されていないときの複数の受信電極3の電流を測定する(S1)。
【0045】
次に、制御部7は、その測定結果からノイズの有無を判定するようにノイズ検出部6に指示する。ノイズ検出部6は、電流の測定結果からノイズの有無を判定する(S2)。ノイズ検出部6は、駆動電圧を印加していないときの電流の測定値またはその代表値を、ノイズの大きさと見なす。ノイズ検出部6は、電流の測定値またはその代表値が閾値を超えていればノイズが有ると判定し、超えていなければノイズがないと判定する。
【0046】
制御部7は、ノイズの有無に応じて、駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を決定する(S3)。例えば、制御部7は、ノイズがない場合、第1周波数、第1位相、および/または第1デューティー比に決定する。制御部7は、ノイズが有る場合、第1周波数とは異なる第2周波数、第1位相とは異なる第2位相、および/または第1デューティー比とは異なる第2デューティー比に決定する。第2周波数、第2位相、および/または第2デューティー比は、想定されるノイズ源に基づき予め設定することができる。
【0047】
次に、制御部7は、駆動部4に対して、決定した駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を指定して、複数の送信電極2に順に駆動電圧を印加するように指示する。位相は、パルス状の駆動電圧を出力するタイミングに対応する。また、制御部7は、測定部5に対して、駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を指定して、複数の受信電極3の電流を測定するように指示する。駆動部4は、送信電極2-1から送信電極2-nに、順次駆動電圧を印加する。測定部5は、駆動電圧の周波数、位相、およびデューティー比に応じたタイミングで(駆動電圧が変化するタイミングで)、複数の受信電極3の電流を測定する(S4)。
【0048】
次に、制御部7は、測定部5からの出力をもって座標計算を行うように座標計算部8へ指示する。座標計算部8は、駆動電圧印加時の電流の測定結果から、タッチ座標を特定する(S5)。
【0049】
本実施形態のタッチパネル装置20によれば、複雑なフィルタ技術を用いることなく、ノイズの有無を判定することができる。タッチパネル装置20は、ノイズの有無に応じて周波数ホッピングを適用することで(駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比を変更することで)、ノイズの影響を低減してタッチ座標の特定を行うことができる。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
(構成例)
図5は、本実施形態に係るタッチパネル装置21の構成を示すブロック図である。タッチパネル装置21は、タッチパネル1と、駆動部4と、測定部5と、ノイズ検出部6と、制御部7と、座標計算部8と、ノイズフィルタ部9とを備える。本実施形態に係るタッチパネル装置21は、送信電極から信号を送信していない期間に複数の受信電極に現れるノイズ由来の信号を基に、当該ノイズに対して適切なノイズフィルタを適用する装置である。
【0052】
ノイズ検出部6は、ノイズの有無、大きさ、および/または変動を示す情報を制御部7に出力する。
【0053】
制御部7は、駆動部4と、測定部5と、ノイズ検出部6と、座標計算部8と、ノイズフィルタ部9との動作を制御する装置である。実施形態1の構成に加え、制御部7は、ノイズ判定結果に応じて、ノイズフィルタを選択し、ノイズフィルタの強度を変更する。制御部7は、ノイズフィルタの選択、および/またはノイズフィルタの強度の変更をノイズフィルタ部9に指示する。
【0054】
座標計算部8は、ノイズフィルタ部9が出力する情報から、座標計算を行う装置である。座標計算部8は、タッチパネル1上の各座標の容量変化に基づき、ユーザが接触したタッチ座標を判定する。
【0055】
ノイズフィルタ部9は、制御部7の指示を基に、測定部5が出力する情報に対して、ノイズの影響を低減する処理(フィルタ処理)を行う。ノイズフィルタ部9は、当該処理後の電流を示す情報を座標計算部8に出力する。ノイズフィルタ部9は、例えば、平均値または中央値(メディアン)を算出する、もしくはローパスフィルタを使用する。
【0056】
(動作例)
固有の周波数に特定されないノイズ(例えば、放電を伴う装置などが発生させる、幅広い周波数をもったノイズ)は、ノイズフィルタによって低減することとなる。この場合、ノイズが強い状況下では、ノイズフィルタの強度を上げて、当該ノイズを低減する。例えば、平均値を算出する場合は、センサからの入力を行う回数(繰り返し回数)を増やして、増やした回数で得られた入力の平均値を出力する。このため、ノイズフィルタの強度を上げると、タッチ座標値を算出するために用いるセンサ値(平均値)の入力の時間当たりの回数が減るため、算出されたタッチ座標値の時間当たりの出力の回数は減る。
【0057】
ノイズフィルタ部9が中央値を算出する場合、繰り返し回数は、最小3回で、奇数回を設定する。繰り返し回数は、3回では効果は少なく、5回以上の回数を用いるのが好ましい。制御部7は、ノイズの変動(最大値と最小値との差)が大きくなるにしたがって、繰り返し回数をより大きな回数に設定する。ノイズフィルタ部9が平均値を算出する場合、ノイズが重畳してタッチの検出が難しい状況では、繰り返し回数は5回以上を設定するのが好ましい。制御部7は、ノイズの大きさが大きくなる(S/N比が悪くなる)にしたがって、繰り返し回数をより大きな回数に設定する。
【0058】
図6は、本発明の一実施形態におけるタッチパネル装置21の動作を示すフローチャートである。まず、図6を参照して、タッチパネル装置21が、ノイズの有無、大きさ、および/または変動を検出し、ノイズの有無、大きさ、および/または変動に応じて適切なノイズフィルタを選択して、タッチ座標を特定する場合の動作例を説明する。
【0059】
S1は実施形態1の動作例と同様である。
【0060】
次に、制御部7は、測定部5の測定結果からノイズの有無を判定するようにノイズ検出部6に指示する。ノイズ検出部6は、電流の測定結果からノイズの有無、大きさ、および/または変動を判定する(S10)。ノイズ検出部6は、電流の測定値またはその代表値が閾値を超えていればノイズが有ると判定し、さらに、電流の測定値またはその代表値をノイズの大きさと判定する。ノイズ検出部6は、駆動電圧を印加していないときの電流の測定値またはその代表値を、ノイズの大きさと見なす。ノイズ検出部6は、電流の測定値またはその代表値が閾値を超えていればノイズが有ると判定し、超えていなければノイズがないと判定する。
【0061】
次に、制御部7は、ノイズの情報(ノイズの有無、大きさ、および/または変動)に応じて、ノイズフィルタの選択を行う(S11)。例えば、制御部7は、ノイズの大きさが第1閾値以下であれば第1ノイズフィルタ(例えば平均値フィルタ)を選択し、ノイズの大きさが第1閾値を超えれば第2ノイズフィルタ(例えばローパスフィルタ)を選択してもよい。例えば、第2ノイズフィルタとしては、第1ノイズフィルタに比べて、処理負荷が大きい(処理時間が長い)が、ノイズの影響をより低減することができるフィルタを用いる。例えば、制御部7は、ノイズが存在しないと判定したときはノイズフィルタを使用しないと指示してもよい。同様に、制御部7は、ノイズの変動によってノイズフィルタを切り替えてもよい。
【0062】
次に、制御部7は、ノイズの大きさ、または変動に応じて、ノイズフィルタの強度を変更する(S12)。制御部7は、ノイズの大きさ、または変動が大きいほど、ノイズフィルタの強度を強く設定する。ノイズフィルタ部9が平均値または中央値を算出する場合は、算出に用いる測定結果の個数を多くすることでノイズフィルタの強度は強くなる。ノイズフィルタ部9がローパスフィルタを備える場合は、段数を多くすることでノイズフィルタの強度は強くなる。
【0063】
なお、平均値または中央値の一回のフィルタ処理で使用した測定結果を、当該回の処理で廃棄するように処理すると、受信電極3による測定の回数(繰り返し回数)mは、測定結果の個数に一致する。一方、平均値を、移動平均によって算出するように構成した場合、受信電極3による測定の回数mは、移動平均の算出で使用する測定結果k(m<k)の個数に一致しない。移動平均を求めるときは、測定結果を必要個数メモリに蓄えておき、各回に、最も古い測定結果を破棄し、最も新しい測定結果を追加して、必要個数を維持し、平均を求める。制御部7は、設定したノイズフィルタの強度に応じて、受信電極3による測定の回数mを決定する。
【0064】
次に、制御部7は、駆動部4に対して、複数の送信電極2に順次駆動電圧を印加するように指示する。また、制御部7は、測定部5に対して、複数の受信電極3の電流を測定するように指示する。駆動部4は、送信電極2-1から送信電極2-nに、順次駆動電圧を印加する。測定部5は、各送信電極2に駆動電圧が印加されるタイミングに合わせて、複数の受信電極3の電流を測定する(S13)。
【0065】
次に、S13の操作をm回(フィルタの強度に即した回数分)行う(S14)。
【0066】
次に、ノイズ検出部6においてノイズがあると判定された場合(S15でYES)は、S16に進む。ノイズ検出部6においてノイズがないと判定された場合(S15でNO)は、S17に進む。
【0067】
制御部7は、決定したノイズフィルタの選択、および/またはノイズフィルタの強度の変更をもってフィルタ処理を行うように、ノイズフィルタ部9に指示する。ノイズフィルタ部9は、測定部5からの出力に対してフィルタ処理を行う(S16)。ノイズフィルタ部9は、フィルタ処理後のセンサ値(受信電極3の電流)を示す情報を座標計算部8に出力する。
【0068】
ノイズがないと判定された場合(S15でNO)、ノイズフィルタ部9は、フィルタ処理がされていないセンサ値(受信電極3の電流)を示す情報を座標計算部8に出力する。
【0069】
次に、制御部7は、ノイズフィルタ部9からの出力をもって座標計算を行うように座標計算部8へ指示する。座標計算部8は、(フィルタ処理された/されていない)駆動電圧印加時の電流の測定結果から、タッチ座標を特定する(S17)。
【0070】
本実施形態のタッチパネル装置21によれば、ノイズの有無を判定することができる。タッチパネル装置21は、ノイズの有無、大きさ、および/または変動に応じてノイズフィルタを選択し、ノイズフィルタの強度を変更することで、ノイズの影響を低減してタッチ座標の特定を行うことができる。タッチパネル装置21は、ノイズが無いまたは小さいときには、フィルタ処理の処理負荷を低減することができる。これにより、例えば、タッチパネル装置21は、ノイズが無いまたは小さいときには、時間当たりのタッチ座標の特定回数を増加させる(タッチ座標の特定処理の周期を短くする)ことができる。
【0071】
(変形例1)
(構成例)
図7は、本変形例1に係るタッチパネル装置22の構成を示すブロック図である。本変形例1は、実施形態1の変形例である。タッチパネル装置22は、実施形態1におけるタッチパネル装置20に加え、駆動部4に、送信電極2のいずれとも接続されていない出力端子である非接続部10を備える。
【0072】
駆動部4は、駆動電圧を出力する複数の出力端子を備える。複数の出力端子のうち1番目の出力端子は、非接続部10であり、タッチパネル1のタッチ領域を通る送信電極2のいずれとも接続されていない。複数の出力端子のうち、他の出力端子(2番目以降の出力端子)は、送信電極2と接続されている。駆動部4は、制御部7から駆動電圧を印加する指示を受け取ると、1番目の出力端子から順次、各出力端子から駆動電圧を出力する。非接続部10は、タッチパネル1のタッチ領域を通らない(受信電極3と交差しない)。
【0073】
非接続部10は、送信電極2のいずれとも接続されていないので、非接続部10のX軸に沿った延長線上に受信電極3との間で静電容量結合を形成することはない。よって、非接続部10に駆動電圧を印加しても、受信電極3に、静電容量結合を介した電流は流れない。したがって、非接続部10に駆動電圧を印加しているときは、測定部5では、送信電極2から信号を送信していない期間に受信電極3に現れるノイズ由来の信号のみが得られる。本変形例では、ノイズ検出部6は、非接続部10に対して駆動電圧を印加したときの受信電極3の電流を用いて、ノイズの判定を行う。
【0074】
(動作例)
図8は、変形例1におけるタッチパネル装置22の動作を示すフローチャートである。まず、図8を参照して、タッチパネル装置22がノイズの有無を検出し、ノイズの有無に応じて周波数ホッピングを適用してタッチ座標を特定する場合の動作例を説明する。
【0075】
まず、制御部7は、駆動部4に対して、複数の出力端子に順次駆動電圧を出力するように指示する。駆動部4は、複数の出力端子に順次駆動電圧を出力する。ここで駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比は前回行った測定時のノイズ判定結果に基づいて決定されたものを用いる。制御部7は、各出力端子への駆動電圧の出力に合わせて、測定部5を作動させる。また、制御部7は、非接続部10への駆動電圧の出力に合わせて、ノイズ検出部6を作動させる。測定部5は、非接続部10に駆動電圧が出力されているときの受信電極3の電流を測定する(S20)。続いて、測定部5は、各送信電極2に駆動電圧が出力されているときの受信電極3の電流を測定する(S4)。
【0076】
S4とS5とは実施形態1の動作例と同様である。なお、座標計算は、非接続部10を駆動したときに行った電流の測定結果は使用せず、複数の送信電極2を駆動したときに得られる測定結果を使用して行う。
【0077】
ノイズ検出部6は、非接続部10に駆動電圧が出力されているときに測定された受信電極3の電流から、ノイズの判定を行う(S2)。S3は実施形態1の動作例と同様である。なお、決定された駆動電圧の周波数、位相、および/またはデューティー比は、ノイズ判定結果として、次回測定時に用いられる。
【0078】
本実施形態のタッチパネル装置22によれば、制御部7は、駆動部4に対して、いずれの送信電極2にも駆動電圧を印加しないように指示する必要がなくなる。駆動部4は、制御部7から駆動電圧の出力開始の指示を受け取ると、複数の出力端子に順次駆動電圧を出力すればよい。そのため、駆動部4内の回路も特別な構成にすることなく、少なくとも1つの出力端子を送信電極2に接続しない構成にすればよい。したがって、タッチパネル装置22は、制御部7の制御方法を簡略化することができる。
【0079】
(変形例2)
(構成例)
図9は、本変形例2に係るタッチパネル装置23の構成を示すブロック図である。本変形例2は、実施形態2の変形例である。タッチパネル装置23は、実施形態2におけるタッチパネル装置21に加え、非接続部10を備える。駆動部4および非接続部10の構成は、変形例1と同様である。
【0080】
(動作例)
図10は、変形例2におけるタッチパネル装置23の動作を示すフローチャートである。まず、図10を参照して、タッチパネル装置23が、ノイズの有無、大きさ、および/または変動を検出し、ノイズの有無、大きさ、および/または変動に応じて適切なノイズフィルタを選択して、タッチ座標を特定する場合の動作例を説明する。
【0081】
S20は変形例1の動作例と同様である。S4は実施形態1の動作例と同様である。
【0082】
次に、S20とS4との操作をm回(フィルタの強度に即した回数分)繰り返す(S30)。
【0083】
ノイズに応じたフィルタ処理(S15、S16)、座標計算(S17)は実施形態2の動作例と同様である。その後のS10~S12は実施形態2の動作例と同様である。
【0084】
本実施形態のタッチパネル装置23によれば、制御部7は、駆動部4に対して、いずれの送信電極2にも駆動電圧を印加しないように指示する必要がなくなる。駆動部4は、制御部7から駆動電圧の出力開始の指示を受け取ると、複数の出力端子に順次駆動電圧を出力すればよい。そのため、駆動部4内の回路も特別な構成にすることなく、少なくとも1つの出力端子を送信電極2に接続しない構成にすればよい。したがって、タッチパネル装置23は、制御部7の制御方法を簡略化することができる。
【0085】
(変形例3)
制御部7は、複数の送信電極2を一巡する間に、一回のみならず二回以上、ノイズを測定するために、送信電極2のいずれにも電圧を印加しないように駆動部4と測定部5とノイズ検出部6とを制御してもよい。
【0086】
上記の構成によれば、駆動電圧を印加していないときの電流の測定値またはその代表値を複数回測定することができる。したがって、より正確なノイズに関する情報を得ることができる。
【0087】
(変形例4)
制御部7は、ノイズ検出部6に、一定の周期でノイズの有無の判定結果を得ることに加えて、その時々のノイズの大きさを取得するように指示してもよい。ノイズ検出部6は、上記ノイズの大きさと一定の周期(ノイズの測定間隔)とから、ノイズの周波数特性を特定する機能を備えていてもよい。
【0088】
制御部7は、ノイズの周波数特性に応じて、ノイズの周波数を避けるように(影響が小さくなるように)、駆動電圧の周波数、位相、およびデューティー比を変更してもよい。上記の構成によれば、ノイズの周波数特性からより適切な周波数ホッピングを行うことができる。
【0089】
または、制御部7は、ノイズの周波数特性に応じて、ノイズフィルタの強度を変更してもよい。ノイズの周波数特性は、ノイズの発生源の種類に依存している。制御部7は、ノイズの周波数特性に対応して想定されるノイズの発生源に適したノイズフィルタの種類、組み合わせ、および/または強度を選択することができる。なお、制御部7は、ノイズ(ノイズの有無、大きさ、変動、および/または周波数特性)に応じて、複数のノイズフィルタの組み合わせを選択してもよい。
【0090】
タッチパネル装置20、21、22、23の制御ブロック(特にノイズ検出部6、制御部7、座標計算部8、ノイズフィルタ部9)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0091】
後者の場合、タッチパネル装置20、21、22、23は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0092】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 タッチパネル
2 送信電極
3 受信電極
4 駆動部
5 測定部
6 ノイズ検出部
7 制御部
8 座標計算部(座標特定部)
9 ノイズフィルタ部
10 非接続部
11 基板
12 絶縁層
13 フロントカバー
20、21、22、23 タッチパネル装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10