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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20230523BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230523BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/20
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020551336
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2019057721
(87)【国際公開番号】W WO2019185715
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】1805234.0
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100154656
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 英彦
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ジャスティン ハン ヤン
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02399636(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/141017(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/009202(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路を備える、エアロゾル生成物品を受容するためのエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせであって、前記電気回路は、該電気回路の電気的特性の変化を判断するためのコントローラを備え、前記エアロゾル生成物は前記エアロゾル生成装置により受容されるように構成され、
前記エアロゾル生成物品は導電材料を含み、前記電気回路の電気的特性の変化は、ユーザがエアロゾル生成物品の前記導電材料に触れることによって引き起こされ、前記導電材料は、ユーザが前記電気回路の電気的特性の変化のために触れるための第1の部分と、前記エアロゾル生成装置と電磁的に相互作用するための第2の部分とを含
当該エアロゾル生成装置は第1の導電面を備え、前記物品が当該エアロゾル生成装置に挿入されるとき、前記第1の導電面と前記導電材料とが共に静電容量を有し、前記電気回路の電気的特性の変化は、ユーザが前記導電材料の前記第1の部分に触れることに起因する前記静電容量の変化を含む、エアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項2】
前記電気回路の電気的特性の変化は、ユーザが前記導電材料の前記第1の部分に触れ、それによって電気的に接地することによって引き起こされる、請求項1に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項3】
前記コントローラは、前記電気回路の時定数の変化を検出することにより、前記静電容量の変化を検出する、請求項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項4】
前記コントローラは、前記電気回路の電気的特性の変化が検出されたときに、当該エアロゾル生成装置を使用可能にするように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項5】
前記コントローラは、前記電気回路の電気的特性の検出された変化を評価して、当該エアロゾル生成装置に受容された前記エアロゾル生成物品が所定のタイプであるかどうかを示すように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項6】
前記コントローラは、前記検出された変化を少なくとも1つの所定値のリストと比較して、当該エアロゾル生成装置に受容された前記エアロゾル生成物品が前記所定のタイプであるかどうかを示すように構成されている、請求項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項7】
前記所定のタイプは承認された物品であり、前記コントローラは、前記検出された電気的特性の変化が、当該エアロゾル生成装置に受容された前記エアロゾル生成物品が承認された物品であることを示すとき、当該エアロゾル生成装置を使用可能にするように構成されている、請求項又はに記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項8】
前記所定のタイプは、承認された物品であり、前記コントローラは、前記検出された電気的特性の変化が、当該エアロゾル生成装置に受容された前記エアロゾル生成物品が承認された物品ではないことを示すとき、当該エアロゾル生成装置を使用を阻止するように構成されている、請求項のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項9】
前記コントローラは、前記電気回路の電気的特性の変化を使用して、ユーザがエアロゾル生成物品に触れている時間長を判断するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記電気回路の電気的特性の変化を使用して、ユーザがエアロゾル生成物品に触れている少なくとも1つの場所を判断するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項11】
前記導電材料は、ユーザによって直接触れられ得るように、当該エアロゾル生成物品の外面に少なくとも部分的に配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項12】
前記導電材料は、該導電材料のどの部分もユーザによって直接的に接触できないように配置されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項13】
前記導電材料の前記第1の部分は、当該エアロゾル生成物品の近位端に実質的に配置される末端を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項14】
前記導電材料は、少なくとも1つの細い部分と少なくとも1つの広い部分とを有し、前記少なくとも1つの広い部分のうちの少なくとも1つは、当該エアロゾル生成物品の近位端側に配置されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項15】
前記エアロゾル生成装置は第1の導電面を備え、前記エアロゾル生成物品が前記エアロゾル生成装置に挿入されるとき、前記第1の導電面と前記導電材料とが共に静電容量を有し、
前記第1の部分は、ユーザが触れるために当該エアロゾル生成物品の近位端に配置された第1の広い部分を備え、前記第2の部分は、前記エアロゾル生成装置の前記第1の導電面と相互作用するように配置された第2の広い部分を備え、前記第1の広い部分と前記第2の広い部分とは前記細い部分によって接続されている、請求項14に記載のエアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品との組み合わせ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品とエアロゾル生成物品との組み合わせにおいて、前記エアロゾル生成装置に挿入された前記エアロゾル生成物品にユーザが触れたことを検出するための方法であって、ユーザが前記エアロゾル生成物品の前記導電材料の前記第1の部分に触れたときに前記電気回路の特性の変化を検出することを含む、方法。
【請求項17】
電気回路を備える、エアロゾル生成物品を受容するためのエアロゾル生成装置に挿入されたエアロゾル生成物品にユーザが触れたことを検出するための方法であって、
前記電気回路は、該電気回路の電気的特性の変化を判断するためのコントローラを備え、
前記エアロゾル生成装置は導電面を備え、前記エアロゾル生成物品は導電材料を備え、前記導電材料は、ユーザが前記電気回路の電気的特性の変化のために触れるための第1の部分と、前記エアロゾル生成装置の前記導電面と電磁的に相互作用するための第2の部分とを含み、当該方法は、ユーザが前記導電材料の前記第1の部分触れるときに前記電気回路の静電容量の変化を検出することを含
前記物品が前記エアロゾル生成装置に挿入されるとき、前記導電面と前記導電材料とが共に静電容量を有し、前記電気回路の電気的特性の変化は、ユーザが前記導電材料の前記第1の部分に触れることに起因する前記静電容量の変化を含む、方法。
【請求項18】
前記電気回路の特性に対する変化を少なくとも1つの値のリストと比較するステップと、前記電気回路の特性に対する変化が前記少なくとも1つの値に対応するとき、前記エアロゾル生成装置を使用可能にするステップとをさらに含む、請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置、及びエアロゾル生成装置と共に使用するための物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、葉巻等の喫煙品は、使用時にタバコを燃焼してタバコ煙を発生させる。燃焼せずに材料から化合物を放出するこれらのタバコ燃焼物品に代わるものを提供する試みがなされてきた。このような製品の例は、材料を燃焼するのではなく加熱することによって化合物を放出する、いわゆる非燃焼加熱式製品(heat-not-burn product)である。材料は、例えば、タバコであってもよいし、他の非タバコ材料でもよいし、それらはニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、エアロゾル生成物品(aerosol generating device)を受容するためのエアロゾル生成装置が提供され、このエアロゾル生成装置は電気回路を備え、電気回路は、該電気回路の電気的特性の変化を判断するためのコントローラを備え、前記変化は、エアロゾル生成装置によって受容されたエアロゾル生成物品とのユーザの相互作用によって引き起こされる。
【0004】
回路の特性の変化は、ユーザがエアロゾル生成物品に触れることによって引き起こされ得る。物品は導電材料を含んでもよく、電気回路の変化は、ユーザが導電材料と相互作用することによって引き起こされてもよい。変化は、ユーザが導電材料に触れ、それによって電気的に接地することによって引き起こされ得る。変化は、回路の静電容量の変化であり得、コントローラは、回路の時定数の変化を検出することによって静電容量の変化を検出するように構成され得る。本装置は、回路の特性の検出された変化を評価して、本装置内に受容された物品が所定のタイプであるかどうかを示すように構成され得る。コントローラは、回路の特性の検出された変化が、本装置内に受容された物品が承認された物品ではないことを示すとき、装置の使用を阻止するように構成されてもよい。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様によるエアロゾル生成装置のためのエアロゾル生成物品が提供され、この物品は導電材料を含み、導電材料は、ユーザが物品と接しているときにユーザと相互作用するための第1の部分と、エアロゾル生成装置と電磁的に相互作用するための第2の部分とを含む。
【0006】
導電材料は、ユーザによって直接触られ得るように、物品の外面に少なくとも部分的に配置され得る。導電材料は、材料のどの部分もユーザによって直接触れることができないように配置されてもよい。
【0007】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による装置に挿入された物品とのユーザの相互作用を検出する方法であって、ユーザが物品と相互作用るときの電気回路の特性の変化を検出するステップを含む方法が提供される。
【0008】
本方法は、ユーザが物品内の導電材料と相互作用するときに、回路の静電容量の変化を検出することを含み得る。本方法は、回路の特性の変化を少なくとも1つの値のリストと比較するステップと、回路の特性の変化が少なくとも1つの値に対応するときに装置を使用可能にするステップとを含むことができる。
【0009】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照してなされる、例としてのみ与えられる本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エアロゾル生成装置とエアロゾル生成物品の長手方向断面図を示す。
図2】第1の例示的なエアロゾル生成物品の部分断面図を示す。
図3】第2の例示的なエアロゾル生成物品の部分断面図を示す。
図4】第3の例示的なエアロゾル生成物品の部分断面図を示す。
図5】第4の例示的なエアロゾル生成物品の部分断面図を示す。
図6】エアロゾル生成物品が挿入された例示的なエアロゾル形成装置の概略断面図を示す。
図7】本発明によるエアロゾル形成装置で使用するための例示的な回路の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、エアロゾル生成装置100の長手方向断面図が示されている。エアロゾル生成装置100は、電源112と、装置100を通してエネルギーを伝えるための伝導要素ないしは導電要素114とを収容する電源コンパートメント110を有する。一例では、電源112は、バッテリー等の電気エネルギー源であり、電源112は、例えば、充電式バッテリー又は使捨てバッテリーであってもよい。導電要素114はワイヤ等であってもよい。電源コンパートメント110は、図1に示される例では、装置100の遠位端102の側に配置されている。
【0012】
装置100は、コントローラ122を収容するコントローラコンパートメント120を有する。コントローラ122は、例えば、装置100内に配置されたパフセンサ(図示せず)等の少なくとも1つのセンサから受信した情報に基づいて、又は例えばユーザ入力手段140を介して装置100のユーザによって行われた要求に基づいて、装置100の動作を制御する。装置100は、バッテリー112、導電要素114、及びコントローラ122によって少なくとも部分的に形成される電気回路の電気的特性の変化を検出するように構成される。
【0013】
装置100は、装置100の近位端104の側に配置された物品受容コンパートメント130を有する。物品受容コンパートメント130は、物品500が受容され得るチャンバ131を画定している。物品受容コンパートメント130は、導電面132及び加熱要素134を含む。図1の例では、導電面132は導電材料からなる単一プレートである。他の例では、2つ以上の導電面、例えば2つ以上の導電性プレートを使用することができる。
【0014】
導電面132は、チャンバ131の局所的な環境の変化を検知するためのものである。すなわち、導電面132は、チャンバ131への物品500の挿入を検知し、チャンバ131に挿入されたときの物品500の電気的特性の変化を検知するためのものである。
【0015】
導電面132は、バッテリー112、導電要素114、及びコントローラ122によって少なくとも部分的に形成される回路の一部となっている。導電面132は、チャンバ131の局所的な環境の変化が検知されたときに、回路の電気的特性の変化をもたらすように構成される。例えば、導電面132は、物品500がチャンバ131に挿入されたときに回路の電気的特性の変化をもたらすように構成される。導電面132は、以下でより詳細に論じるように、物品500がチャンバ131内に挿入される場合にユーザが物品500と相互作用するときに、回路の電気的特性の変化を引き起こすように構成される。したがって、電源112、導電要素114、コントローラ122、及び導電面132によって形成される回路は、物品500の挿入を感知し、装置100に挿入されたときに物品500とのユーザの相互作用を感知するための感知回路を形成している。
【0016】
導電面132は、導電面132の近傍の電磁的な環境の変化の影響を受けるように配置される。例えば、導電面132は、チャンバ131内への導電材料の挿入によって影響を受けるように配置され得る。導電面132が、物品500のチャンバ131内への挿入中に生じ得るような、ユーザが関連する相互作用によって影響を受けると、回路の静電容量が影響を受け得る。
【0017】
図1に示す例示的な物品500は、細長い形態であり、チャンバ131内に挿入される遠位端502と、ユーザの口内に受け入れられる近位端504とを有する。物品500は、その近位端504に配置されたマウスピース(吸い口)510を有する。マウスピース510は、ユーザによる吸引の前に生成されたエアロゾルから成分を選択的に除去するためのフィルタ等を有し得る。他の例では、物品500は、細長い形態でなくてもよく、任意の好適な形態をとってもよく、例えば、マウスピース504を備えていなくてもよい。物品500は、この例では物品500の長さに沿って延びる導電材料532を有する。図1の例では、導電材料532は、近位端504から物品500の長さの大部分に沿って延びている。他の例では、導電材料532は、物品500の長さの任意の一部分に沿って、例えば、物品の長さのごく一部にわたって延びるものとしてもよい。
【0018】
導電材料532は、物品500が装置100に完全に挿入されると、導電材料532の少なくとも一部分が装置100の導電面132の近傍に配置され、導電材料532が導電面132と電磁的に相互作用できるように構成される。
【0019】
導電面132及び/又は導電材料532は、任意の適切な導電材料、例えば、アルミニウム、導電性インク、又はグラファイトを含み得る。
【0020】
使用時、ユーザは、物品500をチャンバ131内に挿入し、導電面132及び導電材料532の少なくとも一部分は、互いに電磁的に相互作用し得るように互いに近接して配置される。このように互いに近接して配置されたとき、第1の導電面132及び第2の導電面532は、ともに第1の静電容量C0を有し得る。
【0021】
ユーザは、装置100に受容された物品500に触れた場合、回路の特性を変化させる。例えば、回路の静電容量は、物品500とのユーザの相互作用によって変化し得る。変化は、ユーザが物品500内の導電材料532に触れ、それによって物品500を電気的に接地するように作用することによって、又はユーザが、物品500を保持することによってそれを変形させる等して導電材料532と相互作用することによって、又はユーザと物品の導電材料532との間の容量結合効果によって、引き起こされ得る。導電材料532とのユーザの相互作用は、導電面132及び導電材料532における静電容量を例えば第2の静電容量値C2へと変化させることに起因して、回路の静電容量を変化するよう作用し得る。C0からC2への静電容量の変化は、コントローラ122によって検出され得る。
【0022】
装置100によって受容される物品とユーザが相互作用した場合の効果を利用することは、回路の電気的特性が比較的大きく変化するという効果をもたらし得る。例えば、回路における静電容量の比較的小さい変化は、ユーザの相互作用によってあまり影響されない物品の挿入によって生じ得る。本書で説明される例では、物品500とのユーザの相互作用は、電気回路で生成される電気的特性の変化を増幅し得る。例えば、導電材料532を接地することによって、又はユーザと物品500との間に静電容量結合を生成することによって、ユーザの相互作用によって影響を受けない物品の挿入によって生成されるものよりも大きな回路の静電容量の変化が生じ得る。変化の度合いが大きいほど、より信頼性の高い検出が可能になり得る。ひいては、これにより、コントローラ122は、例えば、後述するように、所定の値のリストと比較するためのより信頼性の高い値を提供することによって、物品500の特性をより正確に判断することができる。
【0023】
コントローラ122は、物品500が挿入されたときに検出された静電容量の変化を静電容量値のデータベースと比較することができる。このようにして、コントローラ122は、挿入された物品500が所定のタイプであるかどうかの指標を取得することができる。例えば、コントローラ122は、物品500が、製造業者によって装置100との使用が承認された物品(本書では「承認物品」とも称する)であるかどうかを判断することができるが、それは、検出された第1の静電容量C0への静電容量の変化と、前記承認物品に関連付けられた所定の静電容量値のリストとを比較することによって行われる。検出された静電容量が所定の値のリストからの値と一致する場合、コントローラ122は、物品500が使用のために承認されていると判断することができ、装置100の使用を可能にするように構成され得る。好ましい例では、コントローラ122は、検出された静電容量が物品500の使用が承認されていないことを示す場合、装置100の使用を阻止するように構成され得る。
【0024】
上述したように、コントローラ122はまた、ユーザが導電材料532と相互作用することによる、導電面132及び導電材料532の静電容量の第2の静電容量値C2への変化を検出するように構成される。検出された静電容量の変化は、前の段落で説明したように、静電容量の値のデータベースと比較することによって、装置100に挿入された物品500のタイプを示すために使用され得る。好ましい例では、ユーザが装置に挿入された物品500と相互作用することに起因する回路の静電容量の変化を使用して、物品500が所定のタイプであるかどうか、例えば、物品500が装置100の製造業者によって使用が承認されているものであるかどうかを判断する。装置100は、挿入された物品500が承認されているか否かに応じて、使用可能とされても使用可能とされなくてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、異なるエアロゾル化可能材料(すなわち、異なる香味のエアロゾル又は異なる強さの香味/活性物質を提供する材料)を有する物品は、ユーザが物品500と相互作用するときに異なる態様で電子回路の特性に影響を及ぼす異なる導電材料を備え得る。例えば、特定の第1の大きさの静電容量の変化は、エアロゾル化可能材料の1つの香味を示し得るが、特定の第2の大きさの静電容量の変化は、エアロゾル化可能材料の別の香味を示し得る。コントローラ122は、静電容量の変化を検出するだけでなく、静電容量の変化を定量化し、その変化を所与の物品500に関連付けるように構成することができる。コントローラ122は、静電容量の変化の大きさに基づいて、装置が様々な作用をもたらすことを可能にし得る。
【0026】
いくつかの例では、装置100は、静電容量の変化を検出することによって、物品500が装置100に挿入されている間にユーザが物品102に触れている時間の長さを検出することができる。装置100は、いくつかの例では、静電容量の変化を測定し基準値と比較することによって、物品500がユーザによって触れられた位置を検出することができる。いくつかの例では、装置100は、ユーザの唇との接触及びそのような接触の持続時間を検出することによって、ユーザによるパフ(吸引)の持続時間を推測することができる。
【0027】
装置100が使用可能になると、コントローラ122は、加熱要素134にエネルギーを供給するように電源112に指令を発することができる。加熱要素134は、抵抗ヒータ、化学的なヒータ又は誘導ヒータ等であり得る。加熱要素134の動作は、装置100内のパフセンサによる喫煙セッションの開始の検出に基づいてもよい。あるいは、ユーザは、装置100が動作状態に入った後に、装置100上のインターフェース140を介して加熱要素134の起動を選択してもよい。ユーザは、装置100が動作状態に入ったことを、装置100上のインターフェース140を介して通知され得る。
【0028】
いくつかの例では、検出された静電容量の変化を使用して、ユーザが物品500に接触していることを示すことができ、ユーザが装置100を使用していることを示すように機能することができる。例えば、ユーザにより装置100が使用されていることが示された場合に、そのことをコントローラが用いて、装置100の動作を維持するようにすることができ、また、コントローラ122は、(静電容量の検出された変化を通して)装置100の使用が所定の長さの時間にわたって検出されなかったとき、装置100の動作ファクタを変更するように構成されてもよい。例えば、コントローラ122は、ユーザが物品500に接触していないことを4分間又は1分間等の期間検出したときに、装置100を非アクティブ化するように構成され得る。
【0029】
装置100は、装置100の動作を維持するために、承認物品がユーザによって触れられているときに関連付けられる静電容量の変化が規則的な間隔で検出されることを必要としてもよい。装置100は、喫煙セッションに必要とされる典型的な時間にわたって使用可能とされ得る。一例では、装置100は約4分間使用可能にされる。代替的な例では、装置100は、より短い時間の間、使用可能とされる。より短い期間にわたって装置100を使用可能にすることに関連する利点は、装置100の使用防止機能を解除しようとする試みによって、承認されていない物品の使用にもかかわらず装置100が使用可能になってしまう場合、そのような試みは喫煙セッション中において繰り返される必要があることである。これは、装置100の使用防止機能を解除することを、そうしようと試みるいかなる人にとっても、より厄介なものとする。
【0030】
他の例では、C2への静電容量の変化は、装置のウェイクアップ信号として機能させることができる。例えば、装置は、名目上、(デフォルトによって、又はハードオン/スイッチ、例えば装置の表面上に設けられたユーザ作動可能ボタンの操作によって)低電力状態で提供されてもよい。低電力状態では、装置の機能は制限され得るが、コントローラ122は、静電容量の変化を検出するように構成される。ユーザが物品500を装置に挿入すると、ユーザは物品500に触れ、物品を接地する。したがって、物品500が完全に挿入されると、静電容量C2がコントローラ122によって検出される。コントローラ122は、静電容量C2を初めて検出すると、装置を低電力状態から高電力状態(すなわち、装置の機能が制限されていない状態)に移行するように構成される。例えば、これにより、電力がヒータに供給されるか、又は電力が装置の表示画面に供給される。このようにして、装置は、ユーザが物品500と相互作用していることを示す特定の静電容量の値の検出に基づいて、低電力状態から高電力状態に移行することができる。
【0031】
図1の装置100と共に使用するための物品500の例を図2図5に示す。図2に示す物品500は、図1の装置100に挿入するための遠位端502と、ユーザの口に入れるためのマウスピース510を有する近位端504とを有する。導電材料532は、複数の接続された部分532a、532b、532cを有する。
【0032】
導電材料532の第1の部分532aは、物品500の近位端504に配置される。第1の部分532aは、マウスピース510の近くに位置し、マウスピース510の一部分を取り囲んでもよい。第1の部分532aは、ユーザが、使用時に物品500を指又は口内で保持するときにその表面と相互作用することができるように配置される。第1の部分532aは、物品500とのユーザの相互作用を検知し、変化がコントローラ122によって検出される。
【0033】
第1の部分532aは、導電材料532の第2の部分532bに接続される。第2の部分532bは、導電材料532の第1の部分532aと第3の部分532cとの間の接続用の部分である。図2に示す例では、第2の部分532bは、第1の部分532a及び第3の部分532cよりも細い。第2の部分532bは、第1の部分532aへのいかなる変化部にも、また第3の部分532cへのいかなる変化部にも広がっている。
【0034】
第3の部分532cは、装置100の導電面132の近傍内にあるよう所定の位置に配置される。これは、物品500の中心に向かって、又は物品500の遠位端502に向かってもよい。第3の部分532cは、第1の部分532aに対する電気的変化が装置100の第1の導電面132に明確に伝達されるようなサイズである。
【0035】
物品500における導電材料532の各部分は、物品500の内部又は外部のいずれかに配置されることができ、例えば、第3の部分532c等の部分は、物品500の内部に配置することができ、紙製の外層のような物品500の外層によって囲まれてもよい。導電材料532の部分が内部又は外部に配置されているか否かは、装置100の回路に伝送される信号の明瞭性に影響を及ぼす可能性があり、外部に配置される導電材料532は、概して、信号がより良好な明瞭性を呈する。また、装置100の回路への信号が明瞭になることは、導電材料532の様々な部分のサイズ又は面積によっても影響され得る。導電材料532が物品500の外面上にある例では、導電材料532の面積は、導電材料532が物品500の内部にある配置と比較して、同等の信号明瞭性を維持しつつ小さくすることができる。
【0036】
導電材料532がユーザによって直接触れられるように構成される例では、第1の部分532aは、ユーザが導電材料532に触れることなく物品500を保持して使用できるほど小さくあるべきではない。図2に示す例では、第1の部分532aは外側にあるが、第2の部分532b及び第3の部分532cは内側にある。
【0037】
次に図3を参照すると、図1の装置100と共に使用するための物品500の例が示されている。図3に示す物品500は、図2に示す物品500と同様の特徴を有する。特徴が複数の例にわたって広く同じである場合、同じ参照番号が使用され、説明は繰り返さない。
【0038】
導電材料532の3つの部分532a、532b、532cはすべて、図3に示す例では内部にある。上述したように、図3の物品500の第1の部分532aは、同じ信号明瞭性を呈するために、図2の物品500の第1の部分532aよりも面積が大きい必要がある。例えば、図3のように、導電性部分532aの一セクションが内部に位置するために、ユーザと導電性部分532との間に直接接触がない場合、導電性部分によるユーザの相互作用の検出は、ユーザと導電性部分532との間の容量結合によって行われ得る。図3の例において第1の部分532aが内部に配置されていることは、物品500が通常の消耗品の外観を有するので、ユーザの観点からするとより望ましいであろう。さらに、ユーザは、マウスピースを囲む導電材料を有するものよりも、「通常の外観」を有するマウスピースに唇で触れることがより好ましい可能性が高い。この例のように、内部に配置される導電材料532は、導電材料によって拾われる電気的ノイズを軽減することにも寄与し得る。
【0039】
次に図4を参照すると、図1の装置100と共に使用するための物品500の例が示されている。導電材料532の3つの部分532a、532b、532cは全て、図4に示す例では外部に位置する。上述したように、物品500の外部表面上に導電面532を配置することは、同等のサイズの導電材料532の信号の質を向上させる。これにより、製造業者は、使用時に許容可能な量の信号を依然として維持しながら、より少ない導電材料を使用することができる。導電材料532は、ユーザに視覚的に好ましい効果をもたらすために、デザイン等の美的要素に組み込まれてもよい。
【0040】
次に図5を参照すると、図1の装置100と共に使用するための物品500の例が示されている。導電面532は、前の例のように異なるサイズ又は幅を有する複数の部分ではなく、連続体を備える。連続体は、近位部分532aと、中間部分532bと、遠位部分532cとから作られ、物品500の外面に配置されてもよいし、内部に、例えば物品500の外側の紙層の下に配置されてもよい。内部に配置される場合、導電材料532が外部に配置される部位に適切な信号強度をもたらすために、より大きな面積の導電面532を使用する必要がある。しかしながら、上述したように、内部に配置されることは、ユーザにとってより視覚的に好ましいものであり得る。この構成は、導電面を複雑なパターンとする必要が少ないため、いくつかの製造上の利点を有し得る。
【0041】
ロッドは、図1に示す装置100のようにロッドの外部に配置されたヒータ134によって極めて均一に加熱され得る。あるいは、物品500は、物品500が使用される装置100の空洞部131に対応する任意の形状であってもよい。物品500の形状に対する唯一の制約は、導電材料532が導電面132に影響するよう、物品500が、使用時に、ユーザから装置100内の導電面132の適切な近位位置まで延びていなければならないことである。
【0042】
また、上述の導電面は、連続的なループに形成される必要はないこと、すなわち、物品500の円周方向に電気的に接続する必要はないことを理解されたい。例えば、導電面は、物品の外側表面の周りに部分的なループを形成し、導電面の端部間に間隙を画定してもよい(例えば、馬蹄型配置)。しかしながら、物品500の表面の周りの(又は、導電面が物品500の外面上にない場合には物品500内での)導電面の角度範囲を大きくすることは、ユーザが物品500を保持しても良好な導電結合を可能にするのに有利であろう。
【0043】
次に図6を参照すると、装置100での使用時における物品500の例が示されている。コントローラ122によって検出される信号のクリアさを向上させるために、装置100の外壁106に対して適当な材料を選択することができる。例えば、外壁106は、回路に接続され、ユーザが外壁106に触れたときに回路を接地するために使用される導電材料とすることができる。導電面132は、検知回路600の信頼性を向上させるために、絶縁材料(図示せず)によって裏打ちされるとよい。電気的に接地された構成要素(図示せず)は、導電面132から離れる方向に向いている絶縁材料の側面に隣接して配置されるとよく、そのような構成要素は、例えば、装置100の導電性の外壁106への接続によって接地されるとよい。
【0044】
次に図7を参照して、装置100で使用するための例示的な回路600を説明する。回路600は、先に図1に示した多数の特徴を有する。同様の特徴は、500を加えた数字で示されており、これらの特徴の説明はここでは繰り返さない。
【0045】
図7に示す回路600は、回路600の電気的特性の変化を検知するためのコントローラ622と、導電面632(この導電面により回路600の電気的特性が変化され得る)と、コントローラ622を導電面632に接続するための導電要素614とを有する。コントローラ622は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ又はタイミング回路であってもよく、いくつかの例ではアナログタイミング回路とすることができる。
【0046】
コントローラ622は、導電要素614への2つの接続点、すなわち第1の接続点P1及び第2の接続点P2を有する。回路600はまた、導電面632とコントローラ622への第1の接続点P1との間に配置された抵抗器R1を有する。任意的ではあるが、回路600は、図7に概略的に示すように、コンデンサC1及びアース650を有することもできる。回路内にコンデンサC1を含めることは、回路600の信頼性を向上させ、回路600によって提供される読取り値の安定性及び再現性を向上させることができる。
【0047】
コントローラ622は、第1の接続点P1の状態をトグル(交互切換え操作)し、第2の接続点P2が変化した状態を検知するのにかかる時間を測定することによって、回路600の電気的特性の変化を検出することができる。これが生ずるのにかかる時間は、抵抗器R1の抵抗及び回路600の静電容量に関連する時定数によって決定される。したがって、回路600は、回路の時定数の変化を検出することにより、回路の容量変化を検出することができる。
【0048】
回路600の静電容量は、コンデンサC1(存在する場合)の静電容量と、導電材料532が導電面632の近傍に配置されたときに存在するような、導電面632に存在する任意の追加の静電容量とを含む。上述したように、ユーザと導電材料532との相互作用は、導電面132及び導電材料532における静電容量を変化させる。
【0049】
したがって、例えば、物品500の挿入による静電容量の変化(C0への変化)、又は例えば、導電材料532とのユーザの相互作用による静電容量の変化(C2への変化)は、回路600の時定数の変化としてコントローラ622によって検出される。すなわち、物品500の挿入又は導電材料532とのユーザの相互作用(例えば、ユーザの指又は口による物品500との接触による)による静電容量の変化は、第2の接続点P2が状態の変化を検知するのにかかる時間を変化させる。コントローラ622は、かかった時間を記録することができ、その時間を期間のデータベース(コントローラ622が備えてもよいし、回路600の別個の構成要素として設けられてもよい)と比較することができる。データベースにおける値は、例えば、装置100と共に使用するための承認物品に関連付けられた所定の期間を表し得る。状態変化が検知されるのにかかる期間が、いくつかの所定の許容可能な境界内で、所定の期間に等しいとき、コントローラ622は、受容された物品500が承認されたものであるという指標を受け取っており、装置100を有効にすることができる。
【0050】
コントローラ622は、第1の接続点P1のトグルを制御する。トグルは、使用セッションの開始前に行われてもよく、又はコントローラ622は、設定された間隔の後に第1の接続点P1をトグルしてもよい。コントローラ622は、使用セッションを通して周期的に第1の接続点P1の状態をトグルするように構成され得る。例えば、コントローラ622は、パフ検出器が装置100が使用中であることを検出し続けている間、第1の接続点P1の状態を周期的に切り替え続けることができる。コントローラ622は、回路600が収容された装置100への物品500の挿入に続いて、ユーザからの要求に応じて最初にトグルし、次いで、使用セッション中に様々な間隔でトグルして、承認された消耗品が使用セッション全体にわたって使用されていることを保証することができる。これは、装置100内で承認されていない物品から後で交換される承認された消耗品による装置100の起動を防止する。
【0051】
上記実施形態は、本発明の例示として理解されるべきである。本発明のさらなる実施形態が想定される。任意の1つの実施形態に関連して説明された任意の特徴は、単独で、又は説明された他の特徴と組み合わせて使用されてもよく、また、任意の他の実施形態、又は任意の他の実施形態の任意の組合せの1つ以上の特徴と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲に定められる本発明の範囲から逸脱することなく、上で説明されていない均等物及び変更形態も用いられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7