(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】光硬化型粘着剤と熱発泡剤を含む再剥離可能な粘着剤及びそれを含む再剥離可能な粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 133/04 20060101AFI20230523BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20230523BHJP
C09J 175/14 20060101ALI20230523BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230523BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230523BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C09J133/04
C09J4/02
C09J175/14
C09J11/06
C09J7/38
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2020215104
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0170278
(32)【優先日】2020-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517451641
【氏名又は名称】トラス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Truss Co.,Ltd
(73)【特許権者】
【識別番号】520510438
【氏名又は名称】ムン、ホ ソブ
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ムン、ホ ソブ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-063425(JP,A)
【文献】国際公開第2012/169501(WO,A1)
【文献】特開2010-265375(JP,A)
【文献】特開2008-127545(JP,A)
【文献】特開2014-214157(JP,A)
【文献】特開2014-051644(JP,A)
【文献】国際公開第2018/181511(WO,A1)
【文献】特開2010-248353(JP,A)
【文献】特開昭63-17981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル共重合体、光硬化型アクリレート系単量体、光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマー、架橋剤、及び光開始剤を含む光硬化型粘着剤組成物を重合させた光硬化型粘着剤と、熱発泡剤と、を含み、
前記アクリル共重合体は、2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、ビニルアセタート(vinyl acetate、 VA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、およびアクリル酸(acrylic acid、AA)が重合されたものであり、
前記光硬化型アクリレート系単量体は、1,6-ヘキサンジオールジアクリレートであり、
前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーは、2乃至6の官能基を有する脂肪族(aliphatic)ウレタンアクリレート であり、
前記架橋剤は、2,4-トルエンジイソシアネートであり、
前記光開始剤は、アルファ-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンであ
り、
前記熱発泡剤は、マイクロカプセル化された熱膨張微小球であり、
前記アクリル共重合体100重量部に対して、
前記光硬化型アクリレート系単量体の含量は1重量部乃至50重量部で、
前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーの含量は5重量部乃至100重量部で、
前記架橋剤の含量は0.1重量部乃至10重量部で、
前記光開始剤の含量は0.1重量部乃至10重量部であり、
また、前記光硬化型粘着剤100重量部に対する前記熱発泡剤の含量は0.5重量部乃至50重量部である
ことを特徴とする再剥離可能な粘着剤。
【請求項2】
前記再剥離可能な粘着剤は基材層にコーティングした後、200nm乃至500nmの波長を持つ紫外線を照射する時、下記式1:
【数1】
で計算される粘着力減少率が90%以上である
請求項1に記載の再剥離可能な粘着剤。
【請求項3】
請求項1に記載の再剥離可能な粘着剤を基材層にコーティングさせて製造した
ことを特徴とする再剥離可能な粘着テープ。
【請求項4】
前記粘着テープは紫外線(UV)照射及び熱によって硬化と発泡が同時に行われる
請求項3に記載の再剥離可能な粘着テープ。
【請求項5】
前記熱は100℃乃至270℃の温度を持つ
請求項4に記載の再剥離可能な粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化型粘着剤と熱発泡剤を含む再剥離可能な粘着剤及びそれを含む再剥離可能な粘着テープに関し、より具体的には、前記粘着剤は優れた粘着力を維持しつつ、紫外線照射と加熱後には被着物からの脱離が容易に行われることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
アクリル系発泡体型の粘着テープ(基材層及び/又は粘着剤層に微粒子を含有するアクリル系粘着テープ)は微粒子を含有する減圧性接着剤層を有する減圧性接着テープの常温での接着強度やせん断強度が必要となる用途など、例えば、自動車、機械部品、電子製品、建材などの各種分野の部材接合でしばしば用いられている。
【0003】
このような状況下で、従来のアクリル系発泡体型の粘着テープは高接着強度により高い接合信頼性を有するが、その高い接合強度は、一方では、接合部の分離、解体を困難にしていた。
【0004】
このように従来から周知のアクリル系発泡体型の粘着テープとして、粘着剤層やアクリル系粘着剤層を形成する組成物の中にガラスマイクロバブル(中空微小球)を分散させた減圧接着テープが開示されている(特許文献1及び特許文献2を参照)。しかし、このような発泡体型のテープは非常に高い剥離強度を示すが、剥離時にはその高い剥離強度の故に容易に剥離できない欠点があった。
【0005】
よって、本発明者らは上記のような問題を解決するために研究する中で、アクリル共重合体、光硬化型アクリレート単量体等の所定の造成を有する組成物を重合させた光硬化型粘着剤と熱発泡剤で再剥離可能な粘着剤を製造した場合、優れた粘着力を維持しつつ、紫外線照射と加熱後に被着物から粘着剤転移なしで完全に脱離できることを発見し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本特許出願昭57-17030
【文献】日本特許公開平07-048549
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、光硬化型粘着剤組成物及び熱発泡剤を含む再剥離可能な粘着剤を提供することにその目的がある。
【0008】
また、前記粘着剤を基材層に塗布して製造した再剥離可能な粘着テープを提供することにその他の目的がある。
【0009】
すなわち、従来の発泡テープの場合、加熱によって接着力を容易に低下させることができるが、被着物に微細に粘着剤や発泡剤の残余物を残す場合があり、光硬化テープもUV照射によって粘着力をほぼ消滅させることができるが、用いられる基材層の濡れ性によって容易に脱離されない問題があった。
【0010】
また、表面の平滑度と濡れ性に優れた被着物及び加圧工程に用いられる被着物の場合、工程中に接着力が持続的に増加して加工後の脱離が相対的に難しくなる。したがって、本発明の目的は、1次UV照射で光硬化をさせた後、2次的に加熱によって発泡を進めることによって物理的、化学的方法で被着物への粘着剤転移や発泡剤の残余物なしで完全に脱離が行われることができる再剥離可能な粘着剤及びそれを含む再剥離可能な粘着テープを提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の技術的課題を達成するための技術的手段として、本発明の一側面は、アクリル共重合体、光硬化型アクリレート系単量体、光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマー、架橋剤、及び光開始剤を含む光硬化型粘着剤組成物を重合させた光硬化型粘着剤と、 熱発泡剤と、を含む再剥離可能な粘着剤を提供する。
【0012】
前記アクリル共重合体は炭素数2乃至15のアクリレート系単量体が重合されたものであることができる。
【0013】
前記アクリル共重合体は2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、ビニルアセタート(vinyl acetate、VA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、アクリル酸(acrylic acid、AA)及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる単量体が重合されたものであることができる。
【0014】
前記光硬化型アクリレート系単量体は1,4-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリス(2-ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリエポキシド、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2-ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレート、イソホロンジイソシアヌレート、アルキルジイソシアヌレート、脂環族ジイソシアヌレート化合物、アルキルジイソシアヌレートトリマー、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、環状トリメチロールホルマールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エポキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる単量体を含むことができる。
【0015】
前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーは2乃至6の官能基を有する脂肪族(aliphatic)ウレタンアクリレートを含むことができる。
【0016】
前記架橋剤は2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、P-キシリレンジイソシアネート、M-キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる架橋剤を含むことができる。
【0017】
前記光開始剤はベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾインベンゾアート、ベンゾインベンゾイックアシッド、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサントン、アルファ-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルスルフィド及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質を含むことができる。
【0018】
前記アクリル共重合体100重量部に対して、前記光硬化型アクリレート系単量体の含量は1重量部乃至50重量部で、前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーの含量は5重量部乃至100重量部で、前記架橋剤の含量は0.1重量部乃至10重量部で、前記光開始剤の含量は0.1重量部乃至10重量部であることができる。
【0019】
前記熱発泡剤はマイクロカプセル化された熱膨張微小球、無機発泡剤、有機発泡剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択された物質を含むことができる。
【0020】
前記光硬化型粘着剤100重量部に対する前記熱発泡剤の含量は0.5重量部乃至50重量部であることができる。
【0021】
前記再剥離可能な粘着剤は基材層にコーティングした後、200nm乃至500nmの波長を持つ紫外線を照射する時、下記式1で計算される粘着力減少率が90%以上であり得る。
【0022】
【0023】
また、本発明の他の一側面は、前記再剥離可能な粘着剤を基材層にコーティングさせて製造した再剥離可能な粘着テープを提供する。
【0024】
前記粘着テープは紫外線(UV)照射及び熱によって硬化と発泡が同時に行われることを特徴とすることができる。
【0025】
前記熱は100℃乃至270℃の温度を持つことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の本発明による光硬化型粘着剤及び熱発泡剤を含む再剥離可能な粘着剤は、被着物に対する濡れ性に優れ高い粘着力を持ちながらも、紫外線(UV)照射と加熱後には粘着力が完全に消滅して被着物からの脱離がより容易であることができ、脱離時に粘着剤や発泡粒子といった残留物が汚染されず、非常に優れた再剥離性能を持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一具現例による光硬化型粘着剤及び熱発泡剤を含む再剥離可能な粘着テープの使用状態を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なった形態で具現されることができ、ここで説明する実施例によって本発明が限定されず、本発明は、後述する請求範囲のよってのみ定義される。
【0029】
付け加えて、本発明で用いた用語は単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定することを意図しない。単数の表現は文脈上明らかに異なるように示されない限り、複数の表現をも含む。本発明の明細書全体で、ある構成要素を「含む」ということは特に相反する記載がない限り、他の構成要素を排除することでなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
本発明についての具体的な説明に先立ち、本発明による光硬化型粘着剤及び熱発泡剤を含む再剥離可能な粘着剤は、半導体、電気・電子機器及びモバイル機器などに使用されるモジュール部品、IRフィルタ、glass、レンズのように切断と研磨が必要な工程で被着物を固定するための両面テープとして用いられ得る。すなわち、前記被着物を切断又は研磨中にはジグと被着物の間に離脱があってはならないため、これを固定するために粘着剤の強い粘着力が求められ、作業後には容易に脱離される特性が求められる。よって、一般にUV光硬化型粘着剤が用いられているが、従来使用されるUV光硬化型粘着剤の場合は圧搾されたジグと被着物が容易に分離されない短所があった。また、発泡テープの場合は高い粘着力が具現されず、その結果として切断と研磨時被着物がジグにきちんと固定されず容易に分離されることが不良の原因となった。よって、本発明では、優れた粘着力を有し、初期粘着力(tack)の調節が容易で、紫外線(UV)硬化と加熱後に粘着力が完全に消滅してジグと被着物から容易に脱離が可能な再剥離可能な粘着剤を提示しようとする。具体的には、前記粘着剤は光硬化型粘着剤及び熱発泡剤を含むことによって1次紫外線(UV)硬化により粘着力を消滅させ、2次的に熱を加えて発泡剤を膨脹させることによって、ジグと被着物の間の表面接着面積を減らして脱離(分離)が容易な特徴がある。
【0031】
本発明の第1側面は、アクリル共重合体、光硬化型アクリレート系単量体、光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマー、架橋剤、及び光開始剤を含む光硬化型粘着剤組成物を重合させた光硬化型粘着剤と、 熱発泡剤と、を含む再剥離可能な粘着剤を提供する。
【0032】
以下、本発明の第1側面による再剥離可能な粘着剤を
図1を参照して詳細に説明する。この時、上記
図1は、本発明の一具現例による再剥離可能な粘着剤の使用状態を概略的に示す図である。
【0033】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤組成物はアクリル共重合体を含むことができる。この時、前記アクリル共重合体は炭素数2乃至15のアクリレート系単量体が重合されたものであることができ、好ましくは2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、ビニルアセタート(vinyl acetate、VA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)、アクリル酸(acrylic acid、AA)及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる単量体が重合されたものであることができる。一方、本発明の一実施例によれば、前記アクリル共重合体は2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、ビニルアセタート(vinyl acetate、VA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)及びアクリル酸(acrylic acid、AA)を重合させて製造され得る。
【0034】
この時、前記2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)100重量部に対する前記ビニルアセタート(vinyl acetate、VA)の含量は20重量部乃至40重量部であることができ、前記メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)の含量は10重量部乃至20重量部であることができ、前記アクリル酸(acrylic acid、AA)の含量は1重量部乃至20重量部であることができる。より好ましくは、前記ビニルアセタート(vinyl acetate、VA)の含量は29重量部乃至32重量部であることができ、前記メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)の含量は14重量部乃至16重量部であることができ、前記アクリル酸(acrylic acid、AA)の含量は2重量部乃至10重量部であることができる。単量体らの含量が上記範囲から逸脱した場合、これより製造される光硬化型粘着剤の粘着性能が低下する場合があり、光硬化後の粘着力の消滅の程度が微小であり得る。
【0035】
本発明の一具現例において、前記アクリル共重合体は上記のようなアクリレート系単量体を溶媒及び開始剤下で溶液重合させて製造され得る。この時、前記溶媒は通常の溶液重合に用いられる溶媒であることができ、好ましくはエチルアセテート(ethyl acetate、EA)であることができる。また、前記開始剤はアゾ系開始剤であることができ、例えば、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-azobisisobutyronitrile、AIBN)であることができる。一方、前記アクリレート系単量体100重量部に対する前記溶媒の含量は100重量部乃至200重量部であることができ、好ましくは130重量部乃至170重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約150重量部であることができる。また、前記アクリレート系単量体100重量部に対する前記開始剤の含量は0.001重量部乃至5重量部であることができ、好ましくは0.1重量部乃至2重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約0.3重量部であることができる。
【0036】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤組成物は光硬化型アクリレート系単量体を含むことができる。この時、前記光硬化型アクリレート系単量体はビニル基が2乃至6のアクリル単量体であることができ、例えば、1,4-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールペンタアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリス(2-ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリエポキシド、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2-ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレート、イソホロンジイソシアヌレート、アルキルジイソシアヌレート、脂環族ジイソシアヌレート化合物、アルキルジイソシアヌレートトリマー、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、環状トリメチロールホルマールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エポキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる単量体を含むことができる。一方、本発明の一実施例によれば、前記光硬化型アクリレート系単量体は1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-Hexanediol diacrylate)を含むことができる。
【0037】
本発明の一具現例において、前記アクリル共重合体100重量部に対して、前記光硬化型アクリレート系単量体の含量は1重量部乃至50重量部であることができ、好ましくは3重量部乃至20重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約10重量部であることができる。前記光硬化型アクリレート系単量体の含量が上記範囲未満の場合はこれより製造される光硬化型粘着剤に紫外線(UV)を照射しても粘着力の減少が微小な場合があり、上記範囲を超過する場合は粘着力が過度に高くなる問題が生じる場合がある。
【0038】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤組成物は光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーを含むことができる。この時、前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーは2乃至6の官能基を有する脂肪族(aliphatic)ウレタンアクリレートを含むことができ、本発明の一実施例によれば、2-官能脂肪族ウレタンアクリレート(2-functionality aliphatic urethane acrylate)及び/又は6官能脂肪族ウレタンアクリレート(6-functionality aliphatic urethane acrylate)を含むことができる。一方、前記ウレタンアクリレート系オリゴマーの官能基数が増加すれば高い反応性により紫外線(UV)の照射後に粘着力が急激に減少する場合がある。
【0039】
本発明の一具現例において、前記アクリル共重合体100重量部に対して、前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーの含量は5重量部乃至100重量部であることができ、好ましくは20重量部乃至50重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約30重量部であることができる。前記光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーの含量が上記範囲を超過する場合はこれより製造される光硬化型粘着剤の紫外線(UV)照射前の粘着剤の凝集力が低下して凝集破壊による粘着力が増加する場合があり、被着材への粘着剤残渣量が増加する問題が生じる場合がある。
【0040】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤組成物は架橋剤(硬化剤)を含むことができる。この時、前記架橋剤は2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、P-キシリレンジイソシアネート、M-キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる架橋剤を含むことができる。本発明の一実施例によれば、前記架橋剤は2,4-トルエンジイソシアネートが用いられ得る。前記架橋剤は光硬化型粘着剤組成物の重合時にアクリル共重合体、光硬化型アクリレート系単量体及び光硬化型ウレタンアクリレート系オリゴマーを架橋させる役割を行うことができ、これによって重合される光硬化型粘着剤の物性が調節可能である。
【0041】
本発明の一具現例において、前記アクリル共重合体100重量部に対して、前記架橋剤の含量は0.1重量部乃至10重量部であることができ、好ましくは0.1重量部乃至5重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約1重量部であることができる。前記架橋剤の含量が上記範囲未満の場合は十分な硬化がなされず粘着剤の残渣、すなわち、凝集破壊が発生する場合があり、上記範囲を超過する場合は架橋密度が高くなるにつれ粘着力が減少する場合がある。
【0042】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤組成物は光開始剤を含むことができる。この時、前記光開始剤はベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾインベンゾアート、ベンゾインベンゾイックアシッド、アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4-ジエチルチオキサントン、アルファ-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルスルフィド及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質を含むことができ、好ましくはアルファ-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを含むことができる。
【0043】
本発明の一具現例において、前記アクリル共重合体100重量部に対して、前記光開始剤の含量は0.1重量部乃至10重量部であることができ、好ましくは0.5重量部乃至5重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約3重量部であることができる。前記光開始剤の含量が上記範囲未満の場合は光開始が巧くなされず架橋が円滑に起こらない場合があり、上記範囲を超過する場合は架橋密度が増加して塗膜が脆く(brittle)になり、それにより被着体に対する付着力が減少し得る。
【0044】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤は以上で説明した光硬化型粘着剤組成物を重合させて製造され得る。この時、
図1を参照すると、前記重合は前記光硬化型粘着剤組成物を基材層3にコーティングして行うことができ、重合された光硬化型粘着剤が粘着層1,2を形成できる。この時、前記重合は100℃乃至200℃の温度で1分乃至5分間乾燥させて行うことができ、好ましくは約120℃の温度で約2分間乾燥させて行うことができる。
【0045】
本発明の一具現例において、前記基材層3は紫外線(UV)が通過可能な透明又は半透明フィルムであることができ、例えば、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、二軸延伸ポリプロピレン(oriented polypropylene、OPP)及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質からなるフィルムであることができる。一方、前記フィルムの厚さは4.5μm乃至150μmであることができ、好ましくは25μm乃至75μmであることができる。
【0046】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤は粘着力が3,000gf/25mm以上であることができ、好ましくは3,000gf/25mm乃至4,000gf/25mmであることができる。一方、前記光硬化型粘着剤は基材層にコーティングした後、200nm乃至500nmの波長(好ましくは300nm乃至400nmの波長)を持つ紫外線を100mJ/cm2乃至3,000mJ/cm2の光量で照射した時、下記式2で計算される粘着力減少率が90%以上であることができ、好ましくは98%以上であることができる。
【0047】
【0048】
すなわち、前記光硬化型粘着剤は紫外線(UV)の照射後、粘着力が50gf/25mmであることができる。したがって、前記光硬化型粘着剤は紫外線の照射前は高い粘着力を持って被着物の接着を堅固に保持できるが、紫外線の照射後には粘着力が急激に減少して被着物からの剥離が非常に容易であり得る。
【0049】
一方、前記光硬化型粘着剤は
図1に示すように、基材層3を中心として両側面にそれぞれ第1粘着層1及び第2粘着層2を形成することができ、前記第1粘着層1及び第2粘着層2の他側にはそれぞれ剥離性フィルム層4,5が形成され得る。前記剥離性フィルム層4,5は前記光硬化型粘着剤を外部の汚染物質から保護するために形成されることができ、具体的には、光硬化型粘着剤組成物の光重合反応時に空気中の酸素によって反応が阻害される場合があるため、これを被覆して酸素との接触を防止するために用いられ得る。以降、実際の使用時には前記剥離性フィルム層4,5を除去した後、被着物に接着させることができる。
【0050】
本発明の一具現例において、前記再剥離可能な粘着剤は熱発泡剤を含むことができる。この時、前記熱発泡剤はマイクロカプセル化された熱膨張微小球、無機発泡剤、有機発泡剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択された物質を含むことができ、好ましくはマイクロカプセル化された熱膨張微小球を含むことができる。この時、前記マイクロカプセル化された熱膨張微小球は松本油脂製薬社の製品である“マツモトマイクロスフェアー”F-30、F-36、F-48、F-80、F-65、FN-100S又はFN-180であることができる。また、前記熱発泡剤は分散性と発泡力を考慮して平均粒子の大きさが1μm乃至50μmであることができ、好ましくは3μm乃至30μmであることができる。
【0051】
本発明の一具現例において、前記光硬化型粘着剤100重量部に対する前記熱発泡剤の含量は0.5重量部乃至50重量部であることができ、好ましくは10重量部乃至40重量部であることができ、本発明の一実施例によれば、約20重量部であることができる。前記熱発泡剤の含量が上記範囲未満の場合は熱による膨脹変形が十分でなく剥離が円滑に行われず、上記範囲を超過する場合は膨脹変形が十分で容易な剥離が可能であるが、発泡後、基材層との付着力が低下して界面破壊とともに残余物が残る場合がある。一方、前記熱発泡剤の含量が増加するほど初期粘着力(tack)の減少によって常温粘着力が減少する場合がある。
【0052】
本発明の一具現例において、前記熱発泡剤の発泡は発泡剤の種類及び発泡条件を考慮した場合、100℃乃至270℃の温度で1分乃至5分間加熱して行うことができる。また、
図1に示すように、光硬化型粘着剤及び熱発泡剤を含む組成物を基材層3に塗布時の塗布厚さは10μm乃至100μmであることができ、好ましくは40μm乃至70μmであることができる。塗布厚さが上記範囲未満の場合は熱発泡剤粒子によりコーティング表面が不均一で被着材に対する濡れ性と粘着力が低下する場合があり、上記範囲を超過する場合は被着材からの再剥離に問題が生じる場合がある。
【0053】
本発明の一具現例において、前記再剥離可能な粘着剤は粘着力が2,000gf/25mm以上であることができ、紫外線(UV)照射及び熱発泡後には粘着力が完全に消滅され得る。したがって、紫外線(UV)照射及び熱発泡によって被着物に残余物が残らず剥離が可能であり得る。
【0054】
本発明の一具現例において、上記のような光硬化型粘着剤及び熱発泡剤をすべて含む再剥離可能な粘着剤の場合、一般に粘着剤の硬化度が高くなると架橋密度が増加して熱発泡剤の熱膨張力が減少し、これにより剥離力が高くなり分離/解体が難しくなる場合がある。一方で、硬化度が低くなると架橋密度が減少して熱膨張力が増加することによって分離/解体は容易になるが、被着物に粘着残余物が残る場合がある。よって、前記粘着剤の硬化度を調節することが非常に重要であって、これは紫外線(UV)光量で調節可能で、光量によるゲル分率として硬化度が測定され得る。この時、ゲル分率はASTM D2765に基づいて、1)まず120meshで袋を製作して重さを測定し、約0.3gに試片を切断して前記袋に入れて密封した後、重さを再度測定する。2)トルエン(toluene)を溶媒として使用して12時間の間抽出する。3)抽出したサンプルを150℃の温度で15分間オーブンで乾燥した後、重さを測定して下記式のようにゲル分率が計算され得る。
【0055】
【0056】
式中、上記式でW1は袋重さで、W2は抽出前試片が入った袋重さであり、W3は抽出後袋の重さを意味することができる。
【0057】
本発明による前記再剥離可能な粘着剤の場合は上記式で計算されるゲル分率が80%乃至92%であることができ、好ましくは約85%前後であることができる。前記ゲル分率が80%未満の場合は熱発泡剤の熱膨張率は3倍以上で発泡力は良い場合があるが、被着物に粘着残余物が残る場合があり、92%を超過する場合は熱発泡剤の熱膨張がほぼ起こらず発泡時間も長くかかる問題が生じる場合がある。一方、前記ゲル分率が約85%前後の時は、熱発泡剤の熱膨張率が1.5倍乃至2倍で一定であることができ、被着物からの剥離が容易で、粘着残余物も残らないことができる。さらに、照射される紫外線(UV)光量が200mJ/cm2未満の場合は、前記ゲル分率が80%未満であることができ、2,000mJ/cm2超過の場合はゲル分率が93%以上を示すことができる。
【0058】
本発明の一具現例において、前記再剥離可能な粘着剤は被着物からの剥離時に、一次的に紫外線(UV)照射によってこれを硬化させることによって粘着力を消滅させ、2次的に熱を加えて熱発泡剤を膨脹させることによって被着物との表面接着面積を減らして脱離(分離)が容易に行われ得る。
【0059】
本発明の第2側面は、前記本発明の第1側面による再剥離可能な粘着剤を基材層にコーティングさせて製造した再剥離可能な粘着テープを提供する。
【0060】
本発明の第1側面と重複する部分については詳細な説明を省略したが、本発明の第1側面について説明した内容は第2側面でその説明が省略されても同様に適用され得る。
【0061】
以下、本発明の第2側面による前記再剥離可能な粘着テープを
図1を参照して詳細に説明する。この時、上記
図1は、本発明の一具現例による再剥離可能な粘着テープの使用状態を概略的に示す図である。
【0062】
本発明の一具現例において、前記再剥離可能な粘着テープは、前記光硬化型粘着剤及び熱発泡剤を含む組成物を基材層3に塗布した後、コーティングさせて製造することができる。この時、前記塗布厚さは10μm乃至100μmであることができ、好ましくは40μm乃至70μmであることができる。塗布厚さが上記範囲未満の場合は熱発泡剤粒子によりコーティング表面が不均一で被着材に対する濡れ性と粘着力が低下する場合があり、上記範囲を超過する場合は被着材からの再剥離に問題が生じる場合がある。また、前記基材層3は紫外線(UV)が通過可能な透明又は半透明フィルムであることができ、例えば、ポリエチレンテレフタラート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、二軸延伸ポリプロピレン(oriented polypropylene、OPP)及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる物質からなるフィルムであることができる。一方、前記フィルムの厚さは4.5μm乃至150μmであることができ、好ましくは25μm乃至75μmであることができる。
【0063】
一方、前記再剥離可能な粘着テープは、
図1に示すように、基材層3を中心として両側面にそれぞれ第1粘着層1及び第2粘着層2を形成することができ、前記第1粘着層1及び第2粘着層2の他側にはそれぞれ剥離性フィルム層4,5が形成され得る。前記剥離性フィルム層4,5は前記再剥離可能な粘着剤を外部の汚染物質から保護するために形成されることができ、具体的には、粘着剤の光重合反応時に空気中の酸素によって反応が阻害される場合があるため、これを被覆して酸素との接触を防止するために用いられ得る。以降、実際の使用時には前記剥離性フィルム層4,5を除去した後、被着物に接着させることができる。
【0064】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な互いに異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0065】
製造例1.アクリル共重合体の製造
製造例1-1
まず、アクリル共重合体を製造するためにアクリル単量体である2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、ビニルアクリレート(vinyl acrylate、VA)、メチルメタクリレート(methyl methacrylate、MMA)及びアクリル酸(acrylic acid、AA)で構成された混合物100重量部に対して溶媒であるエチルアセテート(ethyl acetate、EA)150重量部及び開始剤であるazobisisobutyronitrile(AIBN)0.3重量部を混合して十分に攪拌させた。この時、前記アクリル単量体の重量比率は順に68:20:10:2であった。攪拌された混合物1/3を四つ口フラスコに投入して窒素をパージングしながら80℃で30分間反応させた後、残りの2/3を2時間30分間滴下させながら反応させた。滴下が完了すると、温度80℃を維持しつつ4時間さらに反応させて固形分40%のアクリル共重合体を収得した。
【0066】
製造例1-2
上記製造例1-1でアクリル単量体の重量比率を順に66:20:10:4にしたことを除けば同じ方法を用いてアクリル共重合体を製造した。
【0067】
製造例1-3
上記製造例1-1でアクリル単量体の重量比率を順に64:20:10:6にしたことを除けば同じ方法を用いてアクリル共重合体を製造した。
【0068】
上記製造例1-1乃至1-3でそれぞれ用いた造成及び含量比率を下記表1に示した。
【0069】
【0070】
製造例2.光硬化型粘着剤の製造
製造例2-1
光硬化型粘着剤の製造のために、まず上記製造例1-1で製造したアクリル共重合体、単量体として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(1,6-Hexanediol diacrylate、MIRAME RM200、Miwon Specialty Chemical社)、オリゴマーとして2-官能脂肪族ウレタンアクリレート(2-functionality aliphatic urethane acrylate、MIRAMER PU256、Miwon Specialty Chemical社)、架橋剤として2,4-トルエンジイソシアネート(TDI)及び光開始剤としてirgacure 184を重量比率100:10:30:1:3で混合して光硬化型粘着剤組成物を製造した。
【0071】
製造例2-2
上記製造例2-1でオリゴマーとして6官能脂肪族ウレタンアクリレート(6-functionality aliphatic urethane acrylate、MIRAMER PU610、Miwon Specialty Chemical社)を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0072】
製造例2-3
上記製造例2-1で上記製造例1-2で製造したアクリル共重合体を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0073】
製造例2-4
上記製造例2-3でオリゴマーとして6官能脂肪族ウレタンアクリレート(6-functionality aliphatic urethane acrylate、MIRAMER PU610、Miwon Specialty Chemical社)を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0074】
製造例2-5
上記製造例2-1で上記製造例1-3で製造したアクリル共重合体を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0075】
製造例2-6
上記製造例2-5でオリゴマーとして6官能脂肪族ウレタンアクリレート(6-functionality aliphatic urethane acrylate、MIRAMER PU610、Miwon Specialty Chemical社)を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0076】
比較製造例1
上記製造例2-1でオリゴマーとして6官能脂肪族ウレタンアクリレート(6-functionality aliphatic urethane acrylate、MIRAMER PU610、Miwon Specialty Chemical社)を重量比率60にして混合したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0077】
比較製造例2
上記比較製造例1で上記製造例1-2で製造したアクリル共重合体を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0078】
比較製造例3
上記比較製造例1で上記製造例1-3で製造したアクリル共重合体を使用したことを除けば同じ方法を用いて光硬化型粘着剤を製造した。
【0079】
上記製造例2-1乃至2-6でそれぞれ使用した造成及び含量比率を下記表2に示し、比較製造例1乃至3でそれぞれ使用した造成及び含量比率を下記表3に示した。
【0080】
【0081】
【実施例】
【0082】
実施例.再剥離粘着テープの製造
実施例1
再剥離粘着テープの製造のために、上記製造例2-4で製造した光硬化型粘着剤組成物に熱発泡剤としてF-36Dを重量比率100:20で混合し、これを厚さ50μmPETフィルムにコーティングして100℃で2分間乾燥させて各断面に粘着厚さ50μmが塗布された150μmの両面テープを製造した。
【0083】
一方、以降の実験で光量800mJ/cm2(波長365nm、80W)の紫外線(UV)を照射した。
【0084】
実施例2
上記実施例1で熱発泡剤としてF-65を使用したことを除けば同じ方法を用いて両面テープを製造した。
【0085】
実施例3
上記実施例1で熱発泡剤としてFN-180を使用したことを除けば同じ方法を用いて両面テープを製造した。
【0086】
比較例1
上記実施例1で熱発泡剤の重量比率を40で混合したことを除けば同じ方法を用いて両面テープを製造した。
【0087】
比較例2
上記実施例2で熱発泡剤の重量比率を40で混合したことを除けば同じ方法を用いて両面テープを製造した。
【0088】
比較例3
上記実施例3で熱発泡剤の重量比率を40で混合したことを除けば同じ方法を用いて両面テープを製造した。
【0089】
比較例4
上記実施例2と同じ方法を用いて両面テープを製造し、以降の実験で光量200mJ/cm2(波長365nm、80W)の紫外線(UV)を照射した。
【0090】
比較例5
上記実施例2と同じ方法を用いて両面テープを製造し、以降の実験で光量2,000mJ/cm2(波長365nm、80W)の紫外線(UV)を照射した。
【0091】
上記実施例1乃至3でそれぞれ使用した造成、含量比率及び紫外線光量強度を下記表4に示し、比較例1乃至5でそれぞれ使用した造成、含量比率及び紫外線光量強度を下記表5に示した。
【0092】
【0093】
【0094】
実験例1.光硬化型粘着剤を用いたテープの紫外線(UV)照射による粘着力測定
上記製造例2-1乃至2-6及び比較製造例1乃至3でそれぞれ製造したテープの紫外線(UV)照射による粘着力測定実験を遂行した。そのために、まず紫外線(UV)照射前の粘着力を測定し、具体的には、ASTM D-1000に基づいてテスト試片をSUS304に2kgローラで1回往復して圧搾し、常温で20分放置した後、剥離角度180゜、剥離速度300mm/minでINSTRON 3343を用いて粘着力を測定した。この時、雰囲気温度は23℃、湿度は65%であった。
【0095】
また、紫外線(UV)の照射後の粘着力を測定するために、テスト試片をSUS304に2kgローラで1回往復して圧搾した後、6kwメタルハライドランプが装着されたUV硬化装置によって光量800mJ/cm2(波長365nm、80W)で照射した後、剥離角度180゜、剥離速度300mm/minでINSTRON 3343を用いて粘着力を測定した。
【0096】
一方、プローブタック(probe tack)を測定するために、テスト試料を25×25mmサイズに切断してテスト面が下を向くようにアニュアリング(Annular ring)に付着した後、Cheminstrument PT-1000を用いて測定した。この時、雰囲気温度は23℃、湿度は65%であった。
【0097】
これに対する結果を下記表6に示し、紫外線(UV)照射前及び後に、支持体や被着材に残った粘着剤の転移程度を下記のように示した。
【0098】
(◎転移と汚染なし、●転移はないが汚染、○10%未満、△50%未満、×50%以上)
【0099】
【0100】
上記表6に示すように、常温粘着力はアクリル酸(AA)の含量、すなわち極性基のカルボキシル基の量が増加するほど粘着力が増加することを確認でき、製造例2-1及び2-2はアクリル酸(AA)の含量が相対的に少なく粘着剤の凝集力が低下して凝集破壊によって粘着力が増加することを確認することができた。また、オリゴマーの官能基数が増加するほど粘着力が減少することを確認することができ、オリゴマー官能基数が増加すればUV硬化時に高い反応性により粘着力は減少し、減少幅も大きく増加することを確認することができた。さらには、オリゴマーの官能基数にかかわらずその含量が増加すると、UV照射前の粘着剤凝集力が低下して凝集破壊による粘着力は増加し、被着材への粘着剤転移も増加することを確認することができた。
【0101】
実験例2.再剥離粘着テープの紫外線(UV)照射による粘着力測定
上記実施例1乃至3及び比較例1乃至5でそれぞれ製造した再剥離粘着テープの粘着力測定実験を遂行した。そのために、まず常温粘着力を測定し、具体的には、ASTM D-1000に基づいてテスト試片をSUS304に2kgローラで1回往復して圧搾し、常温で20分放置した後、剥離角度180゜、剥離速度300mm/minでINSTRON 3343を用いて常温粘着力を測定した。この時、雰囲気温度は23℃、湿度は65%であった。
【0102】
また、紫外線(UV)照射及び熱発泡後の粘着力を測定するために、テスト試片をSUS304に2kgローラで1回往復して圧搾した後、1次的には6kwメタルハライドランプが装着されたUV硬化装置によって光量800mJ/cm2(波長365nm、80W)、200mJ/cm2又は2,000mJ/cm2で照射し、2次的には高温チャンバ260℃で1分間熱によって発泡した後、剥離角度180゜、剥離速度300mm/minでINSTRON 3343を用いて粘着力を測定した。この時、雰囲気温度は23℃、湿度は65%であった。
【0103】
これに対する結果を下記表7に示し、紫外線(UV)照射及び熱発泡前及び後に、支持体や被着材に残った粘着剤の転移程度を下記のように示した。
【0104】
(◎転移と汚染なし、●転移はないが汚染、○10%未満、△50%未満、×50%以上)
【0105】
一方、ゲル分率はASTM D2765に基づいて下記のように測定した。1)まず、120meshで袋を作って重さを測定し、0.3g程度に試片を切って袋に入れて封した後、重さを再度測定する。2)Tolueneを溶媒として12時間の間抽出する。3)抽出したサンプルを150℃で15分間オーブンで乾燥した後、重さを測定してゲル分率を計算する。
【0106】
ゲル分率(%)=(W3-W1)/(W2-W1)×100
W1=袋重さ
W2=抽出前試片が入った袋重さ
W3=抽出後の袋の重さ
【0107】
【0108】
上記表7に示すように、熱発泡剤含量が増加し、粒子大きさが大きいほど粘着力は減少することを確認することができた。また、1次的にはUV照射後、光硬化によって粘着剤内の架橋度が高くなることによって熱による発泡剤膨脹が妨害を受けて実際の発泡温度より高い温度で発泡が行われることを確認することができ、特にFN-180は発泡自体が行われなかったことを確認することができた。
【0109】
実施例1及び比較例1で用いられた熱発泡剤F-36Dは発泡温度が低くテープを製作するためのPETフィルム上に粘着剤をコーティングし、乾燥する過程で表面に一部の発泡が進み粘着力低下が発生した。
【0110】
結論として、実施例2で製造された再剥離粘着テープが被着物に対する付着力にも優れ、UV照射及び発泡後の粘着剤転移なしで容易に剥離されることを確認することができた。
【0111】
以上、図面を参照して好ましい実施例とともに本発明について詳しく説明したが、かかる図面と実施例で本発明の技術的思想の範囲が限定されることはない。したがって、本発明の技術的思想の範囲内で多様な変形例又は均等な範囲の実施例が存在し得る。よって、本発明による技術的思想の権利範囲は請求範囲によって解釈され、これと同等又は均等な範囲内の技術思想は本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0112】
1 第1粘着層
2 第2粘着層
3 基材層
4 第1剥離性フィルム層
5 第2剥離性フィルム層