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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】マニホールドスプレーガン
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/14 20060101AFI20230523BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B05B7/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019203598
(22)【出願日】2019-11-09
(65)【公開番号】P2021074676
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112912
【氏名又は名称】フロイント産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102853
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹野 寧
(72)【発明者】
【氏名】鵜野澤 一臣
(72)【発明者】
【氏名】磯部 重実
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓也
(72)【発明者】
【氏名】味園 隼人
(72)【発明者】
【氏名】武内 優貴
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-521206(JP,A)
【文献】特表2006-513029(JP,A)
【文献】特開2013-063369(JP,A)
【文献】特開2015-188871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18;
7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮空気を用いて液体を噴霧するスプレーガンと、
前記スプレーガンが取り付けられ、前記スプレーガンに対し前記液体を供給するための液供給流路と、前記スプレーガンに対し前記圧縮空気を供給するためのエア流路が設けられたマニホールドと、を有するマニホールドスプレーガンであって、
前記マニホールドは、前記液供給流路から分岐して前記スプレーガンに接続される分岐液流路を有し、
前記液供給流路は、その内径D1が、前記分岐液流路の内径D2の2倍以上4倍以下(2×D2≦D1≦4×D2)であることを特徴とするマニホールドスプレーガン。
【請求項2】
請求項1記載のマニホールドスプレーガンにおいて、
前記液供給流路の断面積S1が前記マニホールドの断面積S2の1/4より大きく1/2より小さい((S2)/4<S1<(S2)/2)ことを特徴とするマニホールドスプレーガン。
【請求項3】
請求項1又は2記載のマニホールドスプレーガンにおいて、
前記マニホールドは、前記液供給路が設けられた液供給ユニットと、前記エア流路が設けられたエア供給ユニットと、を備え、
前記液供給ユニットは、前記エア供給ユニットに対し着脱可能に設けられていることを特徴とするマニホールドスプレーガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤などの粉粒体にコーティング液等の液体をスプレーするスプレーガンに関し、特に、液体供給源と接続された流路から複数の流路を分岐させ、各分岐流路を介して複数のスプレーガンにコーティング液や噴霧用エアを供給するマニホールド型のスプレーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、医薬品や食品等の錠剤に対しては、スプレーガンを用いたコーティング処理が広く行われている。コーティング処理は、多角形断面や円形断面の回転ドラム(以下、適宜ドラムと略記する)を用いたパンコーティング装置(パンコーター)によって行われることが多く、その場合、ドラム内部には、ドラムの回転に伴って転動する錠剤に対しバインダ液やコーティング液(以下、コーティング液等と略記する)を噴霧するスプレーガンが設置される。スプレーガンは、転動状態となった錠剤に対し、圧縮空気を用いてコーティング液等を噴霧する。ドラム内では、コーティング液等の噴霧と共に、熱風や冷風の処理気体が適宜供給・排気され、これにより、錠剤表面にコーティング層が形成される。
【0003】
このようなパンコーティング装置では、スプレーガンの設置形態として、各スプレーガンに対し個別に液やエアを供給する1ガン1ポンプ型と、液体供給源と接続された流路を分岐させ複数のスプレーガンに液やエアを供給するマニホールド型の2つのタイプが存在する。前者の場合、ドラム内に設けたアームに複数のスプレーガンを装着すると共に、各スプレーガンにポンプからの配管を個別に取り付け、液やエアを供給する。一方、後者の場合は、アームの内部に流路を設け、この流路から複数の流路をさらに分岐させて複数のスプレーガンに液やエアを供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2006-521206号公報
【文献】実用新案登録第3142265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、スプレーガンに関する上述の各設置形態にもそれぞれ一長一短がある。すなわち、1ガン1ポンプ型のスプレーガンは、各スプレーガンがポンプと接続されているため、流量を正確にコントロールできるという利点があるが、配管が多くなり取り回しが煩雑であり、配管が汚れるという欠点を有する。これに対し、マニホールド型は、アーム内部のマニホールドが流路となるため、配管が最小ですみ、取り回しや汚染の問題は生じない。しかしながら、マニホールドから複数のスプレーガンに液やエアを供給する場合、流体の供給元に近い部分と遠い部分とでは、流体にかかる圧力に差が生じ、遠い部分にあるスプレーガンの吐出量が少なくなる傾向があるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、流体の供給元からの距離の違いによって吐出量に差違が生じないマニホールド型のスプレーガンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のマニホールドスプレーガンは、圧縮空気を用いて液体を噴霧するスプレーガンと、前記スプレーガンが取り付けられ、前記スプレーガンに対し前記液体を供給するための液供給流路と、前記スプレーガンに対し前記圧縮空気を供給するためのエア流路が設けられたマニホールドと、を有するマニホールドスプレーガンであって、前記マニホールドは、前記液供給流路から分岐して前記スプレーガンに接続される分岐液流路を有し、前記液供給流路は、その内径D1が、前記分岐液流路の内径D2の2倍以上4倍以下(2×D2≦D1≦4×D2)であることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、マニホールド型のスプレーガンにおいて、液供給流路の内径D1を、分岐液流路の内径D2よりも大きく設定(2×D2≦D1≦4×D2)することにより、液供給流路自体がチャンバとして作用し、各スプレーガンにかかる圧力差が緩和される。これにより、液体の供給源に近い部分と遠い部分との間の圧力差を抑えることができ、各スプレーガンの吐出量が均一化される。
【0009】
前記マニホールドスプレーガンにおいて、前記液供給流路の断面積S1を前記マニホールドの断面積S2の1/4より大きく1/2より小さく((S2)/4<S1<(S2)/2)しても良い。これにより、マニホールドスプレーガンのコンパクト性や流路のレイアウト性を損なうことなく、ノズル間の圧力差を緩和でき、各スプレーガンにおいて同等の液吐出量が確保される。
【0010】
また、前記マニホールドを、前記液供給路が設けられた液供給ユニットと、前記エア流路が設けられたエア供給ユニットと、から構成し、前記液供給ユニットを、前記エア供給ユニットに対し着脱可能に設けても良い。なお、前記液供給ユニットを取り外し、当該マニホールドスプレーガンを、前記エア供給ユニットに取り付けられた前記スプレーガンに対し、前記液体の供給源から個別に前記液体を供給する仕様に変更することもできる。これにより、ハイブリッドな使用が可能となり、コーティング液の物性によって、1ガン1ポンプ仕様も選択でき、多様なコーティング処理が実施可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマニホールドスプレーガンによれば、マニホールド型のスプレーガンにおいて、液供給流路の内径D1を、分岐液流路の内径D2よりも大きく設定(2×D2≦D1≦4×D2)することにより、液供給流路自体がチャンバとして作用し、各スプレーガンにかかる圧力差が緩和される。これにより、液体の供給源に近い部分と遠い部分との間の圧力差を抑えることができ、各スプレーガンの吐出量が均一化される。遠い部分にあるスプレーガンの吐出量が少なくなることがなく、安定した錠剤のコーティング処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態であるマニホールドスプレーガンをパンコーティング装置(粉粒体処理装置)に取り付けた状態を示す説明図である。
図2】本発明の一実施の形態であるマニホールドスプレーガンユニットの構成を示す説明図である。
図3図2のマニホールドスプレーガンユニットの断面構成を示す説明図である。
図4】マニホールドブロック単体の構成を示す説明図である。
図5】マニホールドスプレーガンユニットの組み立て手順を示す説明図である。
図6図2のマニホールドスプレーガンユニットを1ガン1ポンプ型のスプレーガンとして使用する場合の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるマニホールド型のスプレーガンをパンコーティング装置に取り付けた状態を示す説明図である。図1に示すように、本発明の一実施の形態であるマニホールドスプレーガンユニット1(以下、ガンユニット1と略記する)は、回転ドラム2を備えたパンコーティング装置3に使用され、回転ドラム2内に設けられた支持ホルダ4に取り付けられる。回転ドラム2は、パンコーティング装置1の筐体5の中央部に配置されており、ほぼ水平な回転軸線Oを中心に回転する。回転ドラム2の内部には、被処理物として錠剤が投入・収容され、ドラム内に配されたガンユニット1によりバインダ液やコーティング液等が噴霧される。
【0014】
図2は、ガンユニット1の構成を示す説明図、図3は、ガンユニット1の断面構成を示す説明図である。ガンユニット1は、図2に示すように、マニホールド6と、マニホールド6に取り付けられた複数個のスプレーガン7とを備えた構成となっている。マニホールド6は、液供給ユニット11とエア供給ユニット21とからなり、一端側にインレットブロック31、他端側にはエンドブロック32がそれぞれ取り付けられている。液供給ユニット11とエア供給ユニット21は、ポリアセタール等の合成樹脂にて形成されている。インレットブロック31とエンドブロック32は、ステンレス鋼にて形成されている。
【0015】
ガンユニット1は、液供給ユニット11とエア供給ユニット21が、各スプレーガン7ごとに、長手方向に複数個(ここでは3個)のブロックに分割されている(マニホールド液ブロック11a~11c,マニホールドエアブロック21a~21c、以下、マニホールドブロック11a~11c,21a~21cのように略記する)。図4は、マニホールドブロック単体の構成を示す説明図である。ガンユニット1には、支持ホルダ4を取り付けるため、長手方向に貫通形成されたホルダ取付孔33a,33bが設けられており、インレットブロック31、マニホールドブロック11a~11c,21a~21c、エンドブロック32の各同位置にホルダ取付孔33a,33bが設けられている。
【0016】
ガンユニット1は、支持ホルダ4に各ブロック11a~11c,21a~21cを長手方向から順次挿入する形で取り付けられる。図5は、マニホールドスプレーガンユニットの組み立て手順を示す説明図である。図5(a)に示すように、まず、支持ホルダ4にインレットブロック31を挿入する。インレットブロック31にもホルダ取付孔33a,33bが設けられており、そこに支持ホルダ4(4a,4b)を挿入する形でインレットブロック31が取り付けられる。インレットブロック31を支持ホルダ4の奥に(図中右端)に配置した後、合成樹脂製のホルダブロック36を支持ホルダ4に挿入する(図5(b))。ホルダブロック36は、スプレーガン位置調整用に1~3個配置される。
【0017】
ホルダブロック36を取り付けた後、各ブロック11a~11c,21a~21cを支持ホルダ4に挿入する(図5(c))。この場合、各ブロック11a~11c,21a~21cの一端側には、スプレーガン7にコーティング液やシリンダエア等を供給する液供給流路12やシリンダエア流路22などの各孔に対応して口金部(嵌合凸部)34が突設されており、隣接するブロックの対向面に形成された嵌合凹部35と嵌合する。各嵌合凸部34には図示しないOリングが嵌装されており、各ブロックは液供給流路12等の流路がシールされた状態で接続される。なお、インレットブロック31とマニホールドブロック11a,21aとの間に配されるホルダブロック36も同様の構造となっている。
【0018】
支持ホルダ4に各ブロック11a~11c,21a~21cを取り付けた後、支持ホルダ4の端部にエンドブロック32を取り付ける(図5(d))。エンドブロック32には、嵌合孔39が設けられており、支持ホルダ4の端部はこの嵌合孔39に嵌め込まれる。これにより、マニホールドブロック11a~11c,21a~21cは支持ホルダ4a,4bに一体的に取り付けられ、ガンユニット1は、液供給ユニット11とエア供給ユニット21を形成しつつ、支持ホルダ4a,4bに装着・固定される(図5(e))。
【0019】
ガンユニット1では、マニホールド6の液供給ユニット11とエア供給ユニット21が着脱自在な構造となっている。スプレーガン7は、ノズル固定用の取付ボルト37によって液供給ユニット11に、また、取付ボルト38によってエア供給ユニット21にそれぞれ固定され、取付ボルト37,38にてスプレーガン7を液供給ユニット11とエア供給ユニット21に固定することにより、液供給ユニット11とエア供給ユニット21は一体化されガンユニット1が形成される。
【0020】
この場合、本発明によるガンユニット1は、図6に示すように、液供給ユニット11を外して別途液配管パーツ41を取り付けることにより、1ガン1ポンプ型のスプレーガンとしても使用できる。液配管パーツ41は、液供給ユニット11に代わってスプレーガン7の下部に取り付けられ、液供給配管42とリターン配管43を介して図示しない液体供給源に接続される。これにより、スプレーガン7には、液供給配管42によって個別にコーティング液等が供給され、余剰の液はリターン配管43によって個別にリターンされる。このように、ガンユニット1は、図2のようなマニホールド型の構成のみならず、液供給側を1ガン1ポンプ型に置き換え可能なハイブリッド構成となっており、コーティング液等の物性に応じてユニット構成を適宜変更でき、多様なコーティング処理が実施可能となっている。
【0021】
スプレーガン7は、圧縮空気を用いてコーティング液等を微粒子化してスプレーミストを形成し、それを所望のスプレーパターンにて回転ドラム2内の錠剤に噴霧する。各スプレーガン7に対しては、液供給ユニット11からはコーティング液等が供給される。また、エア供給ユニット21からはシリンダエア(ニードルエア)、アトマイズエア、パターンエアが各スプレーガン7に供給され、スプレーガン7内には、シリンダエア等の各エア(圧縮空気)が流れるエア通路が設けられている。
【0022】
液供給ユニット11には、スプレーガン7にコーティング液等を供給するための液供給流路12と、スプレーガン7から余剰の液をリターンさせたりするための液リターン流路13が設けられている。また、エア供給ユニット21には、スプレーガン7にシリンダエア、アトマイズエア、パターンエアの各エアを供給するため、シリンダエア流路22、アトマイズエア流路23、パターンエア流路24が設けられている。液供給流路12と液リターン流路13は、液供給ユニット11に長手方向に沿って形成された貫通孔28に、ステンレス製のパイプ状部材29を圧入固定することにより形成されている。パイプ状部材29の一端は、各ブロック11a~11cの端面から突出しており口金部34となっている。
【0023】
一方、シリンダエア流路22、アトマイズエア流路23、パターンエア流路24の各エア流路は、樹脂製のエア供給ユニット21に長手方向に沿った貫通孔として形成されている。各エア流路の一端部には口金部34として、ステンレス製の円筒部材が取り付けられている。なお、貫通孔28自体を液供給流路12や液リターン流路13として用いることも可能であるが、内部にコーティング液等が流通する関係上、洗浄性や腐食性等を考慮すると、ステンレス製部材を使用することが好ましい。また、エア流路にステンレス製パイプ部材を使用することも可能である。
【0024】
スプレーガン7内には、液供給ユニット11からコーティング液等が供給される図示しない噴霧液通路と、噴霧されなかったコーティング液等が戻される液リターン通路が設けられている。噴霧液通路は、液供給流路12から各スプレーガン7に対応して分岐した分岐液流路14に接続され、液リターン通路は、液リターン流路13に連通した分岐リターン流路15と接続される。噴霧液通路は、シリンダを備えたニードル弁によって開閉され、このニードル弁を作動させるため、スプレーガン7にはシリンダエア通路(図示せず)が設けられている。シリンダエア通路は分岐エア流路25を介してシリンダエア流路22に接続され、スプレーガン7内に形成されたシリンダに圧縮空気を供給する。これにより、ニードル弁に接続されたピストンを作動させ、噴霧液通路の開閉がコントロールされる。
【0025】
また、スプレーガン7には、コーティング液等を微粒子化するためのアトマイズエアを供給するアトマイズエア通路(図示せず)と、微粒子化されたスプレーミストを所望のスプレーパターンに調整するためのパターンエアを供給するパターンエア通路(図示せず)がそれぞれ設けられている。アトマイズエア通路は分岐エア流路26を介してアトマイズエア流路23に、パターンエア通路は分岐エア流路27を介してパターンエア流路24にそれぞれ接続されている。
【0026】
ここで、本発明によるガンユニット1では、液供給ユニット11における液供給流路12の内径が分岐液流路14の内径よりも大きく設定されている。従来のマニホールドスプレーガンでは、通常、両者の内径は概ね同径であるが、当該ガンユニット1においては、液供給流路12の内径D1が分岐液流路14の内径D2の2倍以上(4倍以下)となっている(2×D2≦D1≦4×D2)。このように、マニホールド6側の液供給流路12の径D1を、各スプレーガン7に対する分岐液流路14の2倍以上に大きくすると、集中流路である液供給流路12が、コーティング液等を供給するためのチャンバとして作用し、液供給流路12内の長手方向の液圧の差が小さくなる。このため、各スプレーガン7にかかる圧力が均等化し、ノズル間の圧力差が緩和され、各スプレーガン7における液吐出量のバラツキが抑えられる。
【0027】
また、ガンユニット1においては、液供給流路12の断面積S1は、ガンユニット1の断面積(液供給ユニット11とエア供給ユニット21を合わせた断面積)S2の1/2より小さく、1/4より大きくなっている((S2)/4<S1<(S2)/2)。この場合、液供給流路12の内径D1は、分岐液流路14の内径D2に対してより大きい方が液圧均等化には好ましいが、大き過ぎても、ガンユニット1の体格が大きくなり、その重量も大きくなるため好ましくない。
【0028】
この点に関し、発明者らの実験によれば、D1は、D2の2倍以上あった方が液圧均等化には好ましいが、4倍を超えてもあまり差違はない。また、S1は、S2の1/2以上となると装置全体が大きくなり、コンパクト性に欠ける。ただし、S1がS2の1/4以下となると、各流路の配置スペースなど、設計的に厳しくなる。そこで、当該ガンユニット1においては、D1,D2、S1,S2を上記範囲に設定することにより、装置のコンパクト性や流路のレイアウト性を損なうことなく、ノズル間の圧力差を緩和し、各スプレーガン7において同等の液吐出量を確保している。
【0029】
このように、本発明のガンユニット1は、マニホールド型の構成において、液供給ユニット11における液供給流路12の内径D1を、分岐液流路14の内径D2よりも大きく設定(2×D2≦D1≦4×D2)することにより、液供給流路12自体をチャンバとして利用し、各スプレーガン7にかかる圧力差を緩和することができる。これにより、流体の供給元に近い部分と遠い部分との間の圧力差を抑えることができ、各スプレーガン7の吐出量を均一化することが可能となる。したがって、遠い部分にあるスプレーガン7の吐出量が少なくなることがなく、安定した錠剤のコーティング処理が可能となる。
【0030】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、長手方向に3ブロックを配したガンユニット1について述べたが、ブロック数(スプレーノズル数)は適宜変更可能であり、仕様に応じてスプレーノズル数を適宜変更し得るのも本願発明のマニホールドスプレーガンの特徴の一つである。なお、液供給ユニット11とエア供給ユニット21をスプレーガンごとにブロック分割せず、それぞれ長尺の一体部材とし、そこに複数のスプレーガンを取り付ける構成とすることも可能である。また、1つのブロックに複数のスプレーガンを取り付け、それを複数ブロック接合する構成も採用し得る。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、医薬品の錠剤のみならず、健康食品や菓子などの錠剤状食品の製造などにも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 マニホールドスプレーガンユニット
2 回転ドラム
3 パンコーティング装置
4 支持ホルダ
4a,4b 支持ホルダ
5 筐体
6 マニホールド
7 スプレーガン
11 液供給ユニット
11a~11c マニホールド液ブロック
12 液供給流路
13 液リターン流路
14 分岐液流路
15 分岐リターン流路
21 エア供給ユニット
21a~21c マニホールドエアブロック
22 シリンダエア流路
23 アトマイズエア流路
24 パターンエア流路
25 分岐エア流路
26 分岐エア流路
27 分岐エア流路
28 貫通孔
29 パイプ状部材
31 インレットブロック
32 エンドブロック
33a,33b ホルダ取付孔
34 嵌合凸部
35 嵌合凹部
36 ホルダブロック
37 取付ボルト
38 取付ボルト
39 嵌合孔
41 液配管パーツ
42 液供給配管
43 リターン配管
D1 液供給流路内径
D2 分岐液流路内径
O 回転軸線
S1 液供給流路断面積
S2 マニホールドスプレーガンユニット断面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6