(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】ヒンジおよびヒンジのモニタリング方法
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20230523BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20230523BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20230523BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
F16C11/04 Z
G08C17/00 Z
G03B27/62
F16C11/04 F
F16C41/00
(21)【出願番号】P 2017184235
(22)【出願日】2017-09-25
【審査請求日】2020-08-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保富 英雄
(72)【発明者】
【氏名】下西 孝
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/047042(WO,A1)
【文献】特開2000-203134(JP,A)
【文献】特開2013-245083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
G08C 17/00
G03B 27/62
F16C 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一連結対象物に連結される第一ウイング部材と、第二連結対象物に連結される第二ウイング部材と、を備え、前記第一連結対象物に前記第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、
前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化を検知するセンサと、
前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を通信ネットワークを通じて外部に通信する制御部と、を備え、
前記センサは、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回転速度を検知する回転速度センサ、振動量を検知する振動センサ、荷重を検知する荷重センサ、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の開き角度を検知する角度センサ、温度を検知する温度センサ、または、気圧を検知する気圧センサ、のうち少なくともいずれか一つで構成され、
前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて判断し、前記センサが検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いと所定時間以内に複数回連続して判断した場合に当該所定の閾値よりも高い場合の前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を外部に通信するものであり、
前記所定の閾値が複数段階に設定され、
前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が前記複数段階の所定の閾値よりも高いか否かについてそれぞれ判断するものであり、
前記制御部は、前記ヒンジの開閉角度に応じて前記所定の閾値
を変更する、
ヒンジ。
【請求項2】
第一連結対象物に連結される第一ウイング部材と、第二連結対象物に連結される第二ウイング部材と、を備え、前記第一連結対象物に前記第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジにおいて、前記ヒンジに設けられたセンサが、前記ヒンジの状態の変化またはヒンジの周囲の所定の外部環境の変化を検知し、制御部が、前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を通信ネットワークを通じて外部に通信する、ヒンジのモニタリング方法であって、
前記センサは、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回転速度を検知する回転速度センサ、振動量を検知する振動センサ、荷重を検知する荷重センサ、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の開き角度を検知する角度センサ、温度を検知する温度センサ、または、気圧を検知する気圧センサ、のうち少なくともいずれか一つで構成され、
前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて判断し、前記センサが検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いと所定時間以内に複数回連続して判断した場合に当該所定の閾値よりも高い場合の前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を外部に通信するものであり、
前記所定の閾値が複数段階に設定され、
前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が前記複数段階の所定の閾値よりも高いか否かについてそれぞれ判断するものであり、
制御部は、前記ヒンジの開閉角度に応じて前記所定の閾値
を変更する、
ヒンジのモニタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一連結対象物に第二連結対象物を開閉可能に連結するヒンジおよびヒンジのモニタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第一連結対象物に連結される第一ウイング部材と、第二連結対象物に連結される第二ウイング部材と、を備え、第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジに関する技術は公知となっている(特許文献1参照)。
前記ヒンジが設けられる用途の具体例としては、複合機の原稿読取装置等を備える本体に原稿圧着版を開閉可能に連結する用途、プリンターの本体にトナーカートリッジを交換するためのハッチ(蓋)を開閉可能に連結する用途、ノートパソコンや携帯電話の本体に画面部を開閉可能に連結する用途、自動車の車体にボンネットを開閉可能に連結する用途、便器に便座を開閉可能に連結する用途、炊飯器の窯部を備える本体に蓋部を開閉可能に連結する用途、また、炉や作業部屋等内部に連通する開口部に窓や扉を開閉可能に連結する用途、等が挙げられる。
前記ヒンジでは、不具合や故障等のヒンジの状態またはヒンジの周囲の状況については、主に、定期的に行う点検作業やユーザーが通報すること等によって、メンテナンス業者等の外部の者が把握していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記ヒンジでは、設置されている環境や使用状態等によって、ヒンジの状態またはヒンジの周囲の状況は大きく異なる。また、ヒンジの状態またはヒンジの周囲の状況を把握する点検者やユーザー等の点検技術や注意力にはバラツキがある。
このため、定期的に行う点検作業やユーザーから通報を受けた時点では、既に手遅れの状況となっていたり、大掛かりな修理を要する場合があった。また、定期的に行う点検作業やユーザーから通報を受けること等によって、修理等を必要としない状態でも点検作業または修理作業等を行う場合もあった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、不具合や故障等をより確実に未然に防止することができ、また、修理点検作業を効率良くおこなうことができる、ヒンジ、および、ヒンジのモニタリング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては第一連結対象物に連結される第一ウイング部材と、第二連結対象物に連結される第二ウイング部材と、を備え、前記第一連結対象物に前記第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジであって、前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化を検知するセンサと、前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を通信ネットワークを通じて外部に通信する制御部と、を備え、前記センサは、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回転速度を検知する回転速度センサ、振動量を検知する振動センサ、荷重を検知する荷重センサ、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の開き角度を検知する角度センサ、温度を検知する温度センサ、または、気圧を検知する気圧センサ、のうち少なくともいずれか一つで構成され、前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて判断し、前記センサが検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いと所定時間以内に複数回連続して判断した場合に当該所定の閾値よりも高い場合の前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を外部に通信するものであり、前記所定の閾値が複数段階に設定され、前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が前記複数段階の所定の閾値よりも高いか否かについてそれぞれ判断するものであり、前記制御部は、前記ヒンジの開閉角度に応じて前記所定の閾値を変更するものである。
【0008】
請求項2においては、第一連結対象物に連結される第一ウイング部材と、第二連結対象物に連結される第二ウイング部材と、を備え、前記第一連結対象物に前記第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジにおいて、前記ヒンジに設けられたセンサが、前記ヒンジの状態の変化またはヒンジの周囲の所定の外部環境の変化を検知し、制御部が、前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を通信ネットワークを通じて外部に通信する、ヒンジのモニタリング方法であって、前記センサは、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の回転速度を検知する回転速度センサ、振動量を検知する振動センサ、荷重を検知する荷重センサ、前記第一ウイング部材に対する前記第二ウイング部材の開き角度を検知する角度センサ、温度を検知する温度センサ、または、気圧を検知する気圧センサ、のうち少なくともいずれか一つで構成され、前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて判断し、前記センサが検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が所定の閾値よりも高いと所定時間以内に複数回連続して判断した場合に当該所定の閾値よりも高い場合の前記センサにおいて検知した前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化に関する情報を外部に通信するものであり、前記所定の閾値が複数段階に設定され、前記制御部は、前記センサが検知する前記ヒンジの状態の変化または前記ヒンジの周囲の所定の外部環境の変化が前記複数段階の所定の閾値よりも高いか否かについてそれぞれ判断するものであり、制御部は、前記ヒンジの開閉角度に応じて前記所定の閾値を変更するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、不具合や故障等をより確実に未然に防止することができ、また、修理点検作業を効率良くおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例に係るヒンジを具備する箱部材を示す右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態に係るヒンジについて、
図1から
図4を用いて説明する。
【0012】
ヒンジは、二つの部材のうちの一方の部材(第一連結対象物)に他方の部材(第二連結対象物)を回動可能(開閉可能)に連結する。
ヒンジが設けられる用途の具体例としては、複合機の原稿読取装置等を備える本体に原稿圧着版を開閉可能に連結する用途、プリンターの本体にトナーカートリッジを交換するためのハッチ(蓋)を開閉可能に連結する用途、ノートパソコンや携帯電話の本体に画面部を開閉可能に連結する用途、自動車の車体にボンネットを開閉可能に連結する用途、便器に便座を開閉可能に連結する用途、炊飯器の窯部を備える本体に蓋部を開閉可能に連結する用途、また、炉や作業部屋等内部に連通する開口部に窓や扉を開閉可能に連結する用途、等が挙げられる。
【0013】
次に、ヒンジが設けられるものの一例として、箱部材2について説明する。
図1に示すように、箱部材2は、本体2aと蓋体2bとを具備し、ヒンジを介して本体2aに蓋体2bが回動可能に連結される。
本体2aは、ヒンジが連結される第一連結対象物の実施の一形態である。本体2aは、一部(上部)に開口部を備え、内部に所定のものを収納すること、または、内部において所定の作業を可能に構成される。
蓋体2bは、ヒンジが連結される第二連結対象物の実施の一形態である。蓋体2bは、本体2aの上部に配置され、本体2aに対して相対的に回動することによって、本体2aの開口部を開閉する。
なお、ヒンジが設けられるものとしては、このような構成に限定されるものではなく、ヒンジを介して一方の部材に他方の部材が回動可能に連結されているものを広く含むものとする。
【0014】
次に、ヒンジの一例として、ヒンジ1について説明する。
図1から
図4に示すように、ヒンジ1は、箱部材2の本体2aに蓋体2bを回動可能に連結する。ヒンジ1は、下部固定部材10、中間部材11、上部固定部材12、上部回動軸13、下部回動軸14、カム部材15、バネ16、上部スライダ17、下部スライダ18、および、ダンパー19を具備する。
【0015】
下部固定部材10は、本発明に係る第一ウイング部材の実施の一形態である。中間部材11、上部固定部材12および上部回動軸13を合わせたものは、本発明に係る第二ウイング部材の実施の一形態である。
上部固定部材12は、箱部材2の蓋体2bに固定される。
上部回動軸13は、中間部材11と上部固定部材12とを回動可能に連結する。上部回動軸13は、中間部材11に形成された貫通孔および上部固定部材12に形成された貫通孔に回動可能に貫装される。
下部回動軸14は、下部固定部材10と中間部材11とを回動可能に連結する棒状の部材である。下部回動軸14は、下部固定部材10に形成された貫通孔および中間部材11に形成された貫通孔に回動可能に貫装される。
カム部材15は、貫通孔を有し、当該貫通孔には下部回動軸14が貫装される。
【0016】
バネ16は、伸長することにより、(上部固定部材12が固定された)蓋体2bが(下部固定部材10が固定された)本体2aに対して開く方向に中間部材11を下部固定部材10に対して付勢し、ひいては蓋体2bの重量を支持する。バネ16は、バネ鋼からなる丸棒を螺旋状に成形することにより得られる圧縮コイルバネからなる。
上部スライダ17は、バネ16の上端部を支持する部材である。上部スライダ17は、中間部材11の内部の空間に収容され、中間部材11の長手方向に沿って摺動することが可能である。
下部スライダ18は、バネ16の下端部を支持する部材である。下部スライダ18は、中間部材11の内部に収容され、中間部材11の長手方向に沿って摺動することが可能である。
【0017】
ダンパー19は、箱部材2の蓋体2bを本体2aに対して閉じる方向に第二ウイング部材(中間部材11、上部固定部材12および上部回動軸13を合わせたもの)を下部固定部材10に対して回動し、かつ蓋体2bの下面と本体2aの上面との成す角度が小さいとき、下部固定部材10に対する第二ウイング部材の回動速度を低減する。ダンパー19は、油圧式のダンパー19であり、その一端が上部スライダ17に固定され、バネ16で囲まれる位置に配置される。
箱部材2の蓋体2bを本体2aに対して閉じる方向に第二ウイング部材が下部固定部材10に対して回動し、蓋体2bの下面と本体2aの上面との成す角度が小さくなったとき、ダンパー19の他端が下部スライダ18に当接し、ダンパー19がその長手方向において収縮する。そして、ダンパー19がその長手方向において収縮するときに、ダンパー19の内部に充填された作動油の粘性抵抗により下部固定部材10に対する第二ウイング部材の回動速度が低減される。
なお、ヒンジ1は、このような構成に限定されるものではなく、二つの部材のうちの一方の部材(第一連結対象物)に他方の部材(第二連結対象物)を回動可能(開閉可能)に連結するものを広く含むものとする。
【0018】
また、ヒンジ1は、センサ20と、制御部21と、を備える。
【0019】
センサ20は、ヒンジ1内、またはヒンジ1の周囲の所定の外部環境の変化を検知する。センサ20は、本体2aに対する蓋体2bの回転速度(第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度)を検知する回転速度センサ(例えば、磁気エンコーダ、光学式エンコーダまたはジャイロセンサ等)、ヒンジ1(第一ウイング部材または第二ウイング部材)の振動量を検知する振動センサ、ヒンジ1の所定の場所(例えば、バネ16を支持する上部スライダ17または下部スライダ18)が受ける荷重を検知する荷重センサ、本体2aに対する蓋体2bの開き角度(第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の開き角度)を検知する角度センサ(例えば、磁気エンコーダ、光学式エンコーダまたはジャイロセンサ等)、ヒンジ1の温度(ヒンジ1内の温度またはヒンジ1の周囲の温度)を検知する温度センサ、または、ヒンジ1の周囲の気圧を検知する気圧センサのうち少なくともいずれか一つで構成される。
センサ20は、ヒンジ1内(例えば、第一ウイング部材内または第二ウイング部材内)においてセンサ20が外部環境の変化を検知可能な所定の空間内に設けられる。なお、センサ20は、ヒンジ1の外側に配置される構成とすることもできる。
【0020】
制御部21は、ヒンジ1(センサ20)の各種の動作を制御する。制御部21は、各種の情報を記憶する記憶装置、時計機能(例えばリアルタイムクロック)、有線または無線等によって各種情報を外部へ通信する通信回路21a、A/D変換回路、および、MPU(Micro Processing Unit)等を備える。制御部21は、第二ウイング部材の開閉状態に関する情報、センサ20において検知した外部環境の変化に関する情報、または、センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報等を記憶装置に記憶する。制御部21は、第二ウイング部材の開閉状態に関する情報、センサ20において検知した外部環境の変化に関する情報、または、センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報等を、通信回路21aからインターネット等の通信ネットワークを通じて外部(例えば、管理サーバー、外部通信機器、または、管理センター等)に通信する。また、制御部21は、外部から受付けたセンサ20の動作態様に関する情報を記憶し、また、外部から受付けた指示情報(センサ20が外部環境の変化を検知するタイミングに関する情報、制御部21が判断する所定の閾値に関する情報、また、センサ20が検知した外部環境の変化に関する情報等を制御部21が送信するタイミングに関する情報等)に基づいて動作可能に構成される。
なお、制御部21は、ヒンジ1に備えられる構成ではなく、箱部材2に内臓されるマイコン等で構成、または、箱部材2に電気的に接続されるPC(Personal Computer)等の接続機器で構成することもできる。このように制御部21をヒンジ1の外部に配置する構成とすることにより、ヒンジ1をコンパクトに構成することができる。
また、制御部21は、センサ20において検知した外部環境の変化に関する情報またはセンサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報等を、ヒンジ1内またはヒンジ1外に配置されて制御部21に接続される接続機器(例えば、ビーコン装置または無線モジュール等)に通信回路21aから通信し、当該接続機器を経由して外部に通信する構成とすることもできる。
【0021】
センサ20は外部環境の変化を検知する動作を常時おこなう。「センサ20が外部環境の変化を検知する動作を常時おこなう」とは、厳密な意味において常時センサ20が外部環境の変化を検知する動作を行うことの他に、極めて短い間隔毎(例えば1秒未満の間隔毎)にセンサ20が外部環境の変化を検知する動作をおこなうことも含むものとする。
制御部21は、センサ20が外部環境の変化を検知する動作をおこなう毎に、当該センサ20において検知した外部環境の変化に関する情報および当該センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を外部に通信する。外部の者は、センサ20において検知した外部環境の変化に関する情報およびセンサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を、管理サーバー等を経由してまたはヒンジ1から直接受け取る。
このようにして、センサ20が検知した外部環境の変化に関する情報および当該センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を基に、ヒンジの状態またはヒンジの周囲の状況を遠隔地の外部の者に常時把握させることができる。このため、ヒンジ1によれば、不具合や故障等をより確実に未然に防止することができ、また、修理点検作業を効率良くおこなうことができる。
【0022】
センサ20は、外部環境の変化を検知する動作を所定時間毎(少なくとも数秒間隔毎(例えば、10分間隔毎または180分間隔毎))に行う設定とすることもできる。このように構成することによって、センサ20が検知した外部環境の変化に関する情報等を所定時間毎に外部に通信しつつ、センサ20が外部環境の変化を検知する動作による消費電力を抑制することができる。
また、センサ20は、外部環境の変化を検知する動作を、第二ウイング部材の閉状態時にのみ行う設定とすることもできる。このように構成することによって、例えば、ヒンジ1が設けられる箱部材2等の各種の機器が、第二ウイング部材の開状態時にヒンジ1の不具合でないにも関わらず外部環境の変化が大きく表れてしまうものの場合には、このような第二ウイング部材の開状態時の紛らわしい情報が外部に通信されることを防止することができる。
また、センサ20は、外部環境の変化を検知する動作を、第二ウイング部材の閉状態時にのみ行う設定とすることもできる。このように構成することによって、例えば、ヒンジ1が設けられる箱部材2等の各種の機器が、第二ウイング部材の開状態時にヒンジ1の不具合でないにも関わらず外部環境の変化が大きく表れてしまうものの場合には、このような第二ウイング部材の開状態時の紛らわしい情報が外部に通信されることを防止することができる。
【0023】
制御部21は、所定時間毎(少なくとも数秒間隔毎(例えば、10分間隔毎、180分間隔毎、または、数日毎))に、センサ20において検知した外部環境の変化に関する情報および当該センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を外部に通信する設定とすることもできる。このように構成することによって、センサ20が検知した外部環境の変化に関する情報等を所定時間毎に外部に通信してヒンジの状態またはヒンジの周囲の状況を遠隔地の外部の者に所定時間毎に把握させつつ、外部環境の変化に関する情報等を制御部21が外部に通信する動作による消費電力を抑制することができる。
【0024】
センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて、制御部21が判断する設定とすることもできる。前記所定の閾値は、予め設定されて制御装置の記憶装置に記憶され、また、外部からの通信等によってその値を変更することもできる。
このとき、制御部21は、センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高い場合に、当該所定の閾値よりも高い場合のセンサ20において検知した外部環境の変化に関する情報および当該センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を外部に通信する設定とすることもできる。このように構成することによって、センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値を超える場合に(例えば、センサ20が検知する外部環境の変化が異常度の高いものである場合にのみ)、当該センサ20が検知した外部環境の変化に関する情報等を外部に通信してヒンジの状態またはヒンジの周囲の状況を遠隔地の外部の者にセンサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値を超えたことを把握させつつ、外部環境の変化に関する情報等を制御部21が外部に通信する動作による消費電力を抑制することができる。
【0025】
例えば、ノートパソコン等にヒンジ1が設けられて、センサ20が第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度(例えば、ノートパソコンの本体に対する画面部の回転速度)を検知可能な回転速度センサで構成されるとき、センサ20が検知する第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度が所定の閾値よりも高い場合に、制御部21は、当該センサ20が検知した第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度に関する情報および当該センサ20が第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度を検知した時間に関する情報を外部に通信する。このようにして、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度が長期使用等によって良好な状態とされる初期値よりも速くまたは遅くなっている不具合が発生している虞があることを外部の者に把握させることができる。このようにして、不具合(ヒンジ1のズレ、または、バネ16またはダンパー19の劣化等の不具合)によって第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の回転速度が速くまたは遅くなっている虞があることを外部の者に把握させて、メンテナンス等を促すことができる。
【0026】
また例えば、ノートパソコン等にヒンジ1が設けられて、ヒンジ1の振動量を検知可能な振動センサで構成されるとき、センサ20が検知するヒンジ1の振動量(例えば、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の振幅や振動量等)が所定の閾値よりも高い値となった場合に、制御部21は、当該センサ20が検知したヒンジ1の振動量に関する情報および当該センサ20がヒンジ1の振動量を検知した時間に関する情報を外部に通信する。このようにして、ヒンジ1の振動量が長期使用等によって良好な状態とされる初期値よりも高い値となった不具合が発生している虞があることを外部の者に把握させることができる。このようにして、不具合(ヒンジ1のズレ、上部回動軸13による中間部材11と上部固定部材12との連結部分の緩み、または、下部回動軸14による下部固定部材10と中間部材11との連結部分の緩み等の不具合)によってヒンジ1の振動量が高い値となっている虞があることを外部の者に把握させて、メンテナンス等を促すことができる。
【0027】
また例えば、ノートパソコン等にヒンジ1が設けられて、センサ20がヒンジ1の所定の場所が受ける荷重を検知する荷重センサで構成されるとき、センサ20が検知した荷重(例えば、ノートパソコンの本体に対して画面部が回動するときの、ヒンジ1のバネ16を支持する上部スライダ17または下部スライダ18が受ける荷重)が所定の閾値よりも高い値となった場合に、制御部21は、当該センサ20が検知した荷重に関する情報および当該センサ20が荷重を検知した時間に関する情報を外部に通信する。このようにして、ヒンジ1の所定の場所が受ける加重が長期使用等によって良好な状態とされる初期値よりも高くなっている不具合が発生している虞があることを外部の者に把握させることができる。このようにして、不具合(ヒンジ1のズレ、バネ16の劣化による第一ウイング部材にかかる蓋体2bの荷重が想定していたものよりも大きくなる等の不具合)によってヒンジ1の所定の場所が受ける加重が高くなっている虞があることを外部の者に把握させて、メンテナンス等を促すことができる。
【0028】
また例えば、ノートパソコン等にヒンジ1が設けられて、センサ20が第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の開き角度(例えば、ノートパソコンの本体に対する画面部の開き角度)を検知する角度センサで構成され、第二ウイング部材が予め設定された角度で開いた状態で静止する構成の場合において、センサ20が検知する第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の前記予め設定された開き角度が所定の閾値とずれている場合に、制御部21は、当該センサ20が検知した第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の開き角度に関する情報および当該センサ20が第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の開き角度を検知した時間に関する情報を外部に通信する。このようにして、第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の開き角度が長期使用等によって良好な状態とされる初期値(予め設定された開き角度)からずれている不具合が発生している虞があることを外部の者に把握させることができる。このようにして、不具合(ヒンジ1のズレ、または、上部回動軸13による中間部材11と上部固定部材12との連結部分若しくは下部回動軸14による下部固定部材10と中間部材11との連結部分が破損する等の不具合)によって第一ウイング部材に対する第二ウイング部材の開き角度が予め設定されたものからずれている虞があることを外部の者に把握させて、メンテナンス等を促すことができる。
【0029】
例えば、センサ20がヒンジ1の温度を検知可能な温度センサで構成されるとき、センサ20が検知するヒンジ1(ヒンジ1内またはヒンジ1の周囲)の温度が所定の閾値よりも高いまたは低い場合に、制御部21は、当該センサ20が検知したヒンジ1の温度に関する情報および当該センサ20がヒンジ1の温度を検知した時間に関する情報を外部に通信する。このようにして、長期使用等によって、ヒンジ1を構成する部材同士において異常な摩擦が生じて発熱したり、冷凍庫等の庫内から冷気が漏れている等、ヒンジ1の温度が高くまたは低くなっている不具合が発生している虞があることを外部の者に把握させることができる。このようにして、不具合(ヒンジ1のズレ等の不具合)によってヒンジ1の温度が高くまたは低くなっている虞があることを外部の者に把握させて、メンテナンス等を促すことができる。
【0030】
例えば、センサ20がヒンジ1の周囲の気圧を検知する気圧センサで構成されるとき、センサ20が検知するヒンジ1の周囲の気圧が所定の閾値よりも高いまたは低い場合に、制御部21は、当該センサ20が検知したヒンジ1の周囲の気圧に関する情報および当該センサ20がヒンジ1の周囲の気圧を検知した時間に関する情報を外部に通信する。このようにして、窯部内ヒンジ1またはヒンジ1が設けられる機器が想定している環境よりも高い(蓋体2bが閉じている状態でも炊飯器等の内部の圧力が以上に高い等)または低い気圧環境で使用されていることを外部の者に把握させることができる。
【0031】
前記所定の閾値が複数段階に設定され、センサ20が検知する外部環境の変化が前記複数段階の所定の閾値よりも高いか否かについて、制御部21がそれぞれ判断する設定とすることもできる。例えば、前記複数段階の所定の閾値は、比較的低い値の第一段階の閾値と比較的高い値の第二段階の閾値との二段階で構成される。このように構成することによって、センサ20が検知する外部環境の変化の異常度が比較的低い状態と比較的高い状態とを順に、外部の者に把握させることができる。
【0032】
前記所定の閾値がヒンジ1の状態(例えば、第二ウイング部材の開閉状態、第二ウイング部材の開閉角度、または、時間帯等)に応じて変更され、センサ20が検知する外部環境の変化が前記変更される所定の閾値よりも高いか否かについて、制御部21がそれぞれ判断する設定とすることもできる。例えば、所定の閾値は、第二ウイング部材の閉状態時において比較的低い値の第一段階の閾値に設定され、第二ウイング部材の開状態時において比較的高い値の第二段階の閾値に設定される。このように構成することによって、例えば、センサ20が検知する外部環境の変化に関する情報および当該センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を、第二ウイング部材の閉状態時においてはセンサ20が検知する外部環境の変化の異常度が比較的低い状態で外部に通信し、第二ウイング部材の開状態時においてはセンサ20が検知する外部環境の変化の異常度が比較的高い状態で外部に通信する。
【0033】
センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて制御部21が判断する設定とする場合において、制御部21は、「センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高い」と所定時間以内に複数回(例えば、10分以内に3回)連続して判断した場合に、当該所定の閾値よりも高い場合のセンサ20において検知した外部環境の変化に関する情報および当該センサ20が外部環境の変化を検知した時間に関する情報を外部に通信する設定とすることもできる。このように構成することによって、センサ20が検知する外部環境の変化の異常度が実際には高くない場合に、ノイズ等によってセンサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いと制御部21によって判断されて、外部に通信されることを防止することができる。
【0034】
センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて制御部21が判断する設定とする場合において、制御部21は、センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて判断する動作を、第二ウイング部材の閉状態時にのみ行う設定とすることもできる。このように構成することによって、例えば、ヒンジ1が設けられる箱部材2等の各種の機器が、第二ウイング部材の開状態時に不具合でないにも関わらず外部環境の変化が大きく表れてしまうものの場合には、このような第二ウイング部材の開状態時の紛らわしい情報が外部に通信されることを防止することができる。
【0035】
センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて制御部21が判断する設定とする場合において、制御部21は、センサ20が検知する外部環境の変化が所定の閾値よりも高いか否かについて判断する動作を、第二ウイング部材の開状態時(第二ウイング部材が所定の開閉角度のとき)にのみ行う設定とすることもできる。このように構成することによって、例えば、ヒンジ1が設けられる箱部材2等の各種の機器が、第二ウイング部材の閉状態時に不具合でないにも関わらず外部環境の変化が大きく表れてしまうものの場合には、このような第二ウイング部材の閉状態時の紛らわしい情報が外部に通信されることを防止することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 ヒンジ
2 箱部材
2a 本体
2b 蓋体
10 下部固定部材
11 中間部材
12 上部固定部材
13 上部回動軸
14 下部回動軸
15 カム部材
16 バネ
17 上部スライダ
18 下部スライダ
19 ダンパー
20 センサ
21 制御部