(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】マスキング機能を備えた携帯端末用ブース
(51)【国際特許分類】
E04H 1/14 20060101AFI20230523BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20230523BHJP
G10K 11/175 20060101ALI20230523BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
E04H1/14
E04H1/12 302C
G10K11/175
G10K11/16 120
G10K11/16 150
(21)【出願番号】P 2019096753
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-04-29
(73)【特許権者】
【識別番号】596177559
【氏名又は名称】インターマン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田平重樹
(72)【発明者】
【氏名】中村順一
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-043765(JP,A)
【文献】特開2008-124918(JP,A)
【文献】特開平05-005334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/14
E04H 1/12
G10K 11/175
G10K 11/178
G10K 11/16
E04B 1/82
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で空間を区画することによって、内部に携帯端末の利用空間を形成する吸音パネルと、
前記利用空間の外側に向かって設けられたスピーカーと、
前記スピーカーから、マスキング音を発生させるマスキング音発生装置とからなり、
前記マスキング音は、高音域が減衰して
おり、
前記利用空間内の音声の高周波成分を検出する検出回路を更に備え、
、
前記検出回路で検出された高周波成分が多い場合には、前記高音域の減衰量を小さくすることを特徴とするマスキング機能を備えた携帯端末用ブース。
【請求項2】
前記マスキング音は、自然音を含むソース音源の高音域を減衰させることで生成されていることを特徴とする請求項1に記載のマスキング機能を備えた携帯端末用ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公共スペースなどで、携帯端末を利用する為の場所を提供するマスキング機能を備えた携帯端末用ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、日本でのスマートフォンや携帯電話の普及率は100%を超え、ほぼ全ての人が常時通信手段を保持しているという状況となった。こういった携帯端末は、移動中などすき間時間に情報を収集・発信したり、通常の会話を行ったりでき利便性が高い。事実、往来や建物の中、公園などの公共スペースにいる人々のかなりの割合が、何らかの目的で携帯端末を操作している。
【0003】
しかしながら、外出中に携帯端末で会話を行う際には、これまでの電話ボックスなどに置かれた公衆電話とは違って、他の人々が普通に歩行している場所で行うという場合が多い。従って、雑踏などでは、周りの雑音で相手の声が良く聞こえないということも少なくない。
【0004】
駅や建物の中であっても、周囲の反響音が響いて、ゆっくりと会話を行うということはできない。普通は壁の近くなどへ寄って、いくらかでも静かな場所で話そうとする。しかし、実際には壁で反射する雑音が加わって、壁の近くは決して静かな場所ではない。通話相手にとっても、この反射雑音によって音声が聞き取りづらくなってしまうということもある。
【0005】
このような状況に鑑みて、本件出願人は、特許文献1において、携帯端末の利用者の利便性を高めることができる携帯端末用ブースの提案を行った。この携帯端末用ブースによれば、例えば、ホテルのロビーなどに設置することで、マナーよく快適に携帯端末を使うことができ、それと共に利用者のマナーを向上させ、ホテル自体の雰囲気を良くする、といったことが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-43765号公報
【文献】特開2006-267174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
携帯電話で会話を行う場合、話の内容が周囲の人に聞こえる可能性があり、プライベートな内容は話しにくいということがある。携帯端末用ブースを利用すれば、周囲への会話の内容の漏洩は若干抑えられるとはいえ、比較的静かな環境においては、周りに聞こえているのではないかという危惧が残る。特に、建物内やオフィスにおいては、その心配がより大きくなる。
【0008】
一方で、聴覚のマスキング現象を利用し、広帯域雑音(マスキング音)を発生させて、不用な音情報を聴覚的に聞こえ難くするノイズマスキングシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。このようなノイズマスキングシステムでは、音量を上げるほどノイズマスキング効果は高まる。しかし、マスキング音は騒音であり、それを聞き続ける側の利用者にとっては、音量は小さいほど望ましい。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ノイズマスキングシステムを備えた携帯端末用ブースを提供することであり、特にマスキング音による不快感が低減されたノイズマスキングシステムを備えた携帯端末用ブースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の携帯端末用ブースは、平面視で空間を区画することによって、内部に携帯端末の利用空間を形成する吸音パネルと、前記利用空間の外側に向かって設けられたスピーカーと、前記スピーカーから、マスキング音を発生させるマスキング音発生装置とからなり、前記マスキング音は、高音域が減衰しており、前記利用空間内の音声の高周波成分を検出する検出回路を更に備え、前記検出回路で検出された高周波成分が多い場合には、前記高音域の減衰量を小さくすることを特徴とするマスキング機能を備えた携帯端末用ブース。
【0011】
好ましい実施例では、前記マスキング音は、自然音を含むソース音源の高音域を減衰させることで生成されている
【発明の効果】
【0012】
本発明に係わる携帯端末用ブースはマスキング音発生装置を備えており、ブース内で通話を行った場合、その通話内容は外部の人間には聞き取りにくくなっている。従って、通話のプライバシーを保護することができる。また、マスキング音発生装置が発するマスキング音は、耳障りな高音域が減衰しているので、携帯端末用ブースの周囲の人が感じるマスキング音による不快感を緩和することができる。更に、携帯端末用ブースの内部で通話を行っているユーザーにとっても、マスキング音が比較的に耳障りではなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施例による携帯端末用ブースを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の携帯端末用ブースの板状吸音パネルの構造を示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の携帯端末用ブースの吸音材を構成するビニールシートの構造を示す図である。
【
図4】
図4は、
図1の携帯端末用ブースに設けられているマスキング音発生装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例による携帯端末用ブースであって、透明なアクリル製の扉を備えた例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例による携帯端末用ブースであって、別の透明なアクリル製の扉を備えた例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例による携帯端末用ブースであって、更に別の透明なアクリル製の扉を備えた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態によるマスキング機能を備えた携帯端末用ブースを説明する。この携帯端末用ブースは、ホテルやオフィスビルなどの建物の内部などに設置しておく。携帯電話を利用したい人は、このブースに入って電話をかけることで周りの反響音などを避け、また話の内容を近くにいる人には聞き取りにくい状態で会話を行うことができる。さらに、周囲の人の視線に気兼ねなく携帯電話を利用できる。
【0015】
図1に、本発明の実施例の携帯端末用ブースを示す。この携帯端末用ブース100は、前面に開いた円筒形状の吸音ユニット110と、この吸音ユニット110を支える支持フレーム120とからなっている。それぞれ分解状態で搬入し、現地で組み立てることができる。
【0016】
吸音ユニット110は、幅20cm、長さ120cm、厚み3cmの板状の板状吸音パネル111を、平面視でアーチ状に連結して構成されている。また、支持フレーム120は、吸音ユニット110に垂直に接続した4本のパイプ(支柱)121と、パイプ121の下面に貼り付けられているスチール製のアジャスタフット123からなる。
【0017】
アジャスタフット123は、円盤状のプレートであるが、吸音ユニット110の前面の入り口に沿って切断されている。この切断部分123cは、車椅子で内部へ入る際に、車輪とアジャスタフット123との干渉を避けるために設けられている。
【0018】
パイプ121の長さを210cmとすると、アーチ状の吸音ユニット110の下端は床から90cmの高さとなる。また、吸音ユニット110は耳の位置よりも少し上まであればよい。概ね、この携帯端末用ブース100を設置する国の平均身長よりも、板状吸音パネル101の上端が10~15cm程度上にあるようにする。また、吸音ユニット110の直径は1m~1.5m、例えば1.2m程度とし、基本的に一人での利用を想定しているが、二人での利用も可能な大きさとする。
【0019】
板状吸音パネル111は、アルミパネルに吸音材115を装着したものである。また、吸音材115を装着したアルミパネル113の上端および下端には、パネルキャップ141が嵌合されている。また、図示の通り、板状吸音パネル111を組み合わせた状態で、前方が開口した円筒形となる。この開口部の上方には、左右の板状吸音パネル111を連結する看板140が設けられている。この場合で、開口部は、円筒形の中心からの見込み角で90~120度、つまり円周の1/4から1/3程度の大きさとなっている。
【0020】
吸音材115は、
図2に示したような吸音構造を持っている。これは、ニードルフェルト、ベストレイ、ソフトレイ、グラスウール、サーモウールといった材質の吸音シート115aを2枚積層させ、間に音波拡散フィルムとして機能する薄いビニールシート(樹脂シート)115bを挟んで接着させたものである。吸音シート115aの他の材質としては、フェノール樹脂、ポリウレタンなどがある。一枚の吸音シート115aの厚みは1~2cmであり、ビニールシート115bの厚みは0.1mm~0.5mm程度である。更に、保護および支持用の軟質塩化ビニル樹脂板105cを裏面に設ける。また、内側の面は布115dが貼ってある。全体として、2~4cm程度となる。
【0021】
ビニールシート115bは、
図3の平面図に示したように、多数の円形開口部115hが設けられている。例えば、開口部115hの直径は2cmで、互いの間隔は7cmである。このような開口部115hを設けることで、入力する音波を横方向に散乱させ、吸音シート115aによる吸音効果を高めることが出来る。また、開口部115hは、入力する音波の一部を通過させることにより、反射と透過のバランスを取るという調音機能も持っている。
【0022】
ビニールシート115bと吸音シート115aとは粘性接着剤によって接着されている。また、円形開口部115h越しに、吸音シート115a同士が粘性接着剤によって接着されている。この粘性接着剤は、ビニールシート115bと吸音シート115aとの間に、一定の粘性を保って介在する。また、この粘性接着剤は、開口部115hを介して、吸音シート115a間にも、一定の粘性を保って介在する。すなわち、使用時においても完全に硬化せず、ネバネバした状態を保っているという点が重要である。
【0023】
このような吸音構造の特徴としては、低周波から高周波まで広い帯域において優れた吸音性能を持っていることにある。特に、今回の目的では、この吸音構造によって、通話の際に騒音と感じられる帯域500Hz以上の音圧を大幅に低減させるという点が重要である。一般的には、低周波において吸音性能を維持することは困難とされている。ただし、本件吸音構造においても、高周波領域に比較すれば、どうしても低周波領域での吸音性能は低くなっている。
【0024】
本件発明においては、携帯端末用ブースには、マスキング音発生装置が設けられている。この実施例では、看板140にマスキング音発生装置200が実装されている。このマスキング音発生装置200は、音情報を聴覚的に聞こえ難くする為のマスキング音をスピーカー200sから発生させる装置である。また、このマスキング音発生装置200には、ブース内の音声を集音するマイク(図不示)が設けられている。更に、このマスキング音発生装置200には、ユーザーが入ったことを検出する人感センサー(図不示)も設けられている。
【0025】
図4は、本実施例によるマスキング音発生装置200のブロック図である。マスキング音発生装置200は、記憶装置210と、マイク220と、人感センサー230と、データ処理制御回路240および通信インターフェース250を備えている。
【0026】
記憶装置210は、例えばマイクロSDからなり、マスキング音を発生させるための音源や、BGMを格納している。マイク220は、この携帯端末用ブースの内側に向かって設けられおり、例えば、この携帯端末用ブース内で通話をしているユーザーの音声を集音する。人感センサー230は、例えば、この携帯端末用ブースの天井部分の中央に設けられており、赤外線を検出することで、ユーザーが入ったことを検知する。データ処理制御回路240は、記憶装置210、マイク220および人感センサー230からの信号に基づいて、DAC201およびアンプ202経由でスピーカー200sからマスキング音を発生させる。
【0027】
通信インターフェース250は、インターネットからデータの送受信を行うことのできるモジュールであり、データ処理制御回路240によって制御される。通信方式としては、例えば、電話回線やISDN回線、ADSL回線、光回線などの公衆回線、専用回線、WCDMA(登録商標)及びCDMA2000などの第3世代(3G)の通信方式、LTEなどの第4世代(4G)の通信方式、及び第5世代(5G)以降の通信方式等の他、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信ネットワークが含まれる。
【0028】
マイク220からの信号はアンプ221で増幅され、バンドパスフィルタ222を介して、検出回路223で検出結果を、データ処理制御回路240へ出力する。バンドパスフィルタ222は、高周波領域のみを通過させるもので、例えば、女性の音声のように入力の高周波成分が多い場合に大きな出力を検出回路223へ出力する。検出回路223は、バンドパスフィルタ222から一定レベル以上の入力があった場合に、データ処理制御回路240に検出信号を出力する。また、アンプ221の出力は、検出回路224へも入力される。男性の音声のように入力の高周波成分が少ないと、検出回路223の検出信号がなくなる。それでも、検出回路224の検出信号が存在するので、検出回路224は有音検出用の回路として機能する。
【0029】
人感センサー230は、この携帯端末用ブース内部の赤外線を検出し、その検出信号を出力する。この検出信号は、アンプ231で増幅され、検出回路233へ出力する。検出回路233は、一定レベル以上の入力があった場合に、データ処理制御回路240に検出信号を出力する。
【0030】
記憶装置210に格納されている音源としては、自然音、例えば人の声を多く含んだ雑踏のざわめきなどにブラウニアンノイズなどを加えたソース音源を用いて生成されたものである。特に、本件発明においては、このような自然音を含んだソース音源の高音域を減衰させた音源が、記憶装置210に格納されている。
【0031】
このように自然音を含んだソース音源の高音域を減衰させた音源を用いて、マスキング音を発生させることには、次のような利点が存在する。すなわち、マスキング音というのは、通話などをマスクすることで内容をわからなくするものであるが、他者には単なるうるさい雑音に過ぎない。中でもこの雑音の高周波成分は、特に耳障りとなるものである。本発明では、この高周波成分を減衰させているので、マスキング音による周囲の音環境の悪化を緩和することができる。
【0032】
通常、マスキング音の高音域を減衰させた場合、音声といったマスキング対象となる音のマスキング効果は大幅に下がってしまう。なぜなら、音声の高周波成分は、会話内容の識別にとって重要な要素となっているからである。
【0033】
しかしながら、携帯端末用ブース内部の音声はその高周波成分が吸音されており、外部へ漏れる音声の高音域が減衰されている。したがって、音声の高周波成分をマスクするマスキング音の高周波成分は、その分減衰されていてもマスキング効果を損なうことがない。
【0034】
なお、上記例では、ソース音源の高音域を減衰させたマスキング音を、記憶装置210に格納しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば、自然音を含んだソース音源を記憶装置210に格納しておき、データ処理制御回路240でLPFなど高音域を減衰させても良い。
【0035】
また、記憶装置210に格納されているマスキング音またはソース音源は、通信インターフェース250を介してインターネットから別の音源データをダウンロードすることにより、適宜、追加更新できる。従って、より効果的なマスキング音またはソース音源が作成されれば、速やかにそれを利用することができる。マスキング音をインターネットからダウンロードする場合は、ダウンロード元でマスキング音を生成する際に、ソース音の高音域を減衰させることになる。
【0036】
以上のような構成を持った携帯端末用ブース用のマスキング音発生装置200は、次のように動作する。まず、ユーザーが携帯端末用ブースへ入ると、人感センサー230から検出信号が発生し、BGMが再生される。この際の再生音量は、所定のレベルまで徐々に増加させる(フェードイン)。
【0037】
次に、ユーザーが通話を行うと、検出回路223および検出回路224の検出信号から、音声の高周波成分が多いか否かが判断される。男性の音声のように、音声の高周波成分が多くない場合には、スピーカー200sからマスキング音をそのまま発生させる。また、女性の音声のように、音声の高周波成分が多い場合には、マスキング音の高周波成分を若干増幅させてからスピーカー200sから発生させる。すなわち、女性の音声では、マスキング音の高音域の減衰量を小さくする。
【0038】
ユーザーが携帯端末用ブースから退出し、人感センサー230からの検出信号が途絶えた場合、マスキング音を止め、BGMの再生音量は徐々に下げながら最終的に0とする(フェードアウト)。
【0039】
なお、上記例では、携帯端末用ブースは、前方が開口した円筒形となっている。
図5に示したように、この開口部に透明アクリル製の扉150を設けることもできる。このアクリル製の扉150は、携帯端末用ブースの内側に設けられているレールに沿って、円周方向にスライドさせることで開閉を行うことができる。
【0040】
この場合、扉150の存在によって内部の閉塞感を感じやすくなるが、扉を透明にすることでそのような閉塞感は緩和される。この扉によって、外部へ漏れる音声はより小さくなる。特に、外部へ漏れる音声の高周波成分がより減衰される。したがって、その分、マスキング音の高周波成分をより小さくすることができる。
【0041】
また、
図5のアクリル製扉150は、板状吸音パネル111と同様に、下端は床から90cmの高さとなっている。従って、板状吸音パネル111と共に、ユーザーの腰から上を囲むような形態となっている。この場合、ユーザーの腰から下方、すなわち床から90cmの高さまでは、開放されている。しかし、下方も囲むような形態として、全体として密閉性を高めた構造としても良い。すなわち、
図5のアクリル製扉150を下方向に延長させ、
図6のアクリル製扉151に示したように、下方も含めて前面を完全に覆うようにしても良い。この場合、板状吸音パネル111の下端から床までを覆う、透明なアクリル製パネル152を設ける。これにより、携帯端末用ブースの内部空間は完全に密閉され、外部へ漏れる音声はより小さくなり、外部へ漏れる音声の高周波成分が更に減衰される。したがって、その分、マスキング音の高周波成分をより小さくすることができる。
【0042】
なお、アクリル製扉150は、携帯端末用ブースの内側に設けられているレールに沿って、円周方向にスライドさせることで開閉を行うようになっている。これは扉がじゃまにならずバリアフリーに向いている。しかし、
図7に示したように、蝶番Pを支点として回動することで開閉を行うような、一般的な開き戸である透明アクリル製扉153とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係わる携帯端末用ブースはマスキング音発生装置を備えており、ブース内で通話を行った場合、その通話内容は外部の人間には聞き取りにくくなっている。従って、通話のプライバシーを保護することができる。また、マスキング音発生装置が発するマスキング音は、耳障りな高音域が減衰しているので、携帯端末用ブースの周囲の人が感じるマスキング音による不快感を緩和することができる。更に、携帯端末用ブースの内部で通話を行っているユーザーにとっても、マスキング音が比較的に耳障りではなくなる。従って、携帯端末用ブースの利用を促進することができる。
【符号の説明】
【0044】
100 携帯端末用ブース
101 板状吸音パネル
105c 軟質塩化ビニル樹脂板
110 吸音ユニット
111 板状吸音パネル
113 アルミパネル
115 吸音材
115a 吸音シート
115b ビニールシート
115d 布
115h 円形開口部
115h 開口部
120 支持フレーム
121 パイプ
123 アジャスタフット
123c 切断部分
140 看板
141 パネルキャップ
150 扉
200 マスキング音発生装置
200s スピーカー
202 アンプ
210 記憶装置
220 マイク
221 アンプ
222 ハイパスフィルター
223 検出回路
224 検出回路
230 人感センサー
231 アンプ
233 検出回路
240 データ処理制御回路
250 通信インターフェース