(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】敷物
(51)【国際特許分類】
A47G 9/02 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
A47G9/02 P
(21)【出願番号】P 2022033562
(22)【出願日】2022-03-04
(62)【分割の表示】P 2017167510の分割
【原出願日】2017-08-31
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸祐
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-057377(JP,A)
【文献】登録実用新案第3040275(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重が加えられる敷物であって、
第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる布部と、
前記布部の外縁を挟み込んで前記外縁に固定されると共に前記外縁に沿って延びる滑り止め部と、を備え、
前記敷物は、床面に載せられると共に敷き寝具が載せられ、前記敷き寝具よりも薄手とされる防湿シートからなり、
前記滑り止め部は、前記外縁のみに配置され、
前記滑り止め部の外方に露出すると共に複数の凸状のゴム部が固定された表面と、
前記表面の反対側を向く裏面と、を有する、
敷物。
【請求項2】
前記表面は、
前記敷き寝具に接触する上面と、
前記床面に接触する下面と、
前記上面及び前記下面を接続する湾曲部と、を含む、
請求項1に記載の敷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人又は物品の荷重が加えられる敷物に関する。
【背景技術】
【0002】
人又は物品の荷重が加えられる敷物は従来から知られており、敷物は床面又は寝具等に載せられる。敷物の種類としては、カーペット又はマット等があるが、これらの他にマットレスの上に載せられるベッドパッドが知られている。実開昭62-131667号公報には、使用者の身体が載せられるベッドパッドが記載されている。
【0003】
このベッドパッドは、直方体状のマットレスの上に載せられる敷き寝具であり、ベッドパッドの上には、掛け布団又は毛布等の掛け寝具が掛けられる。上記の公報には、ベッドパッドのずれを抑制する手段として、長方形状のベッドパッドの四隅付近においてベッドパッドの各辺から傾斜して延びる4本のゴム状の帯状部材が記載されている。
【0004】
図10(a)は、ゴム状の帯状部材を備えたベッドパッドの構成を概略的に示す。
図10(a)に示されるベッドパッド100は、互いに平行に延びる短辺101、各短辺101の端部から各短辺101に垂直に延びる長辺102、及び短辺101と長辺102とが直交する隅部103を備えた長方形状とされている。
【0005】
ベッドパッド100では、4本のゴム状の帯状部材104が設けられている。各帯状部材104は、各隅部103から一定距離離れた短辺101の箇所から短辺101に対して45°の角度を成して延びており、各隅部103から一定距離離れた長辺102の箇所にまで延在している。
【0006】
各帯状部材104の一端は短辺101に縫い込まれており、各帯状部材104の他端は長辺102に縫い込まれており、各帯状部材104は短辺101及び長辺102と共に直角三角形状を成している。このようにゴム状の帯状部材104が配置されたベッドパッド100では、各帯状部材104をマットレスの底面の隅部に引っ掛けることにより、マットレスに対するベッドパッド100のずれが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したベッドパッド100のような敷物においては、敷物の上の人又は物品が動いてもずれないことが求められる。ベッドパッド100では、各帯状部材104をマットレスの底面の隅部に引っ掛けることによりマットレスにベッドパッド100を固定できるので、マットレスに対するベッドパッド100のずれは抑制される。
【0009】
しかしながら、ベッドパッド100では、マットレスを手で持ち上げて、そのマットレスの底面に4本の帯状部材104のそれぞれを入れなければならないため、ベッドパッド100を取り付けるのに手間がかかる。また、マットレスにベッドパッド100を取り付けた状態からベッドパッド100を外すのにも、マットレスの底面から帯状部材104を外さなければならないため手間がかかる。
【0010】
更に、ベッドパッド100を長期間使用していると、帯状部材104が徐々に劣化して帯状部材104が伸びきった状態になることがある。帯状部材104が伸びきった状態になると、ベッドパッド100をマットレスに確実に固定できなくなり、ベッドパッド100の上で人が移動したときにベッドパッド100がずれることがある。
【0011】
よって、ベッドパッド100を長期間快適に使うことができないという問題が生じうる。また、帯状部材104以外の部分が使えるにもかかわらずベッドパッド100を廃棄しなければならない場合もある。このように、ベッドパッド100等の既存の敷物では、着脱に手間がかかると共に長期間快適に使えないという問題がある。更に、帯状部材104、特に伸びきった状態の帯状部材104は、デザイン性の点でも問題がある。
【0012】
前述した帯状部材104を使わない手段として、
図10(b)に示されるように、ゴム等の滑り止め加工111が一面に施された長方形状の敷物110が考えられる。
図10(b)では、滑り止め加工111を灰色で示している。敷物110では、滑り止め加工111を有する面を下に向けることにより、敷物110のずれが抑制される。
【0013】
しかしながら、敷物110の一面に滑り止め加工111を施す場合、コストが増大する懸念がある。また、滑り止め加工111は、ゴム等、滑らかでない材質であることが多い。このため、滑り止め加工111を上に向けて使用する場合、滑り止め加工111の肌触りが良好でないことにより、使用者に対する使い心地において改善の余地がある。すなわち、敷物110は、滑り止め加工111を上に向けて使用することができない場合があるため、使いやすさの点において改善の余地がある。
【0014】
本発明は、ずれを抑制できると共に、コストの増大を抑え、より使いやすい敷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る敷物は、荷重が加えられる敷物であって、第1方向及び第1方向に交差する第2方向に延びる布部と、布部の外縁を挟み込んで外縁に固定されると共に外縁に沿って延びる滑り止め部と、を備える。敷物は、床面に載せられると共に敷き寝具が載せられ、敷き寝具よりも薄手とされる防湿シートからなる。滑り止め部は、外縁のみに配置され、滑り止め部の外方に露出すると共に複数の凸状のゴム部が固定された表面と、表面の反対側を向く裏面と、を有する。
【0016】
この敷物では、布部が、第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に延びており、布部の外縁に沿って延びる滑り止め部を備える。滑り止め部は、布部の外縁を挟み込んだ状態で布部に固定される。滑り止め部が布部の外縁に沿って延びることにより、布部の下に位置するマットレス又は床面等に対し敷物を滑りにくくすることができる。すなわち、布部の外縁に沿って滑り止め部が設けられるので、布部の外縁において敷物のずれを抑えることができる。また、この敷物では、前述の帯状部材が不要となり、単にマットレス等の上に載せるだけで使用できるので、マットレス等に対する着脱を容易に行うことができる。更に、帯状部材が不要であることにより、帯状部材が伸びきる懸念を解消できると共に、デザイン性を向上させることができる。また、滑り止め部が布部の外縁に設けられることにより、滑り止め加工が一面に施される場合と比較してコストを抑えることができる。更に、滑り止め部が布部の外縁に設けられることにより、布部として滑らかな材質を用いることができるため、肌触りを良好にすることができる。また、布部を上下どちらに向けても、肌触りが良好でない面が上を向かないようにすることができる。すなわち、布部のどの面を上に向けるかを気にせずに敷物を使用することができるため、使い心地を向上させることができ、使いやすい敷物を提供することができる。
【0017】
また、敷物は、床面に載せられると共に敷き寝具が載せられる防湿シートであってもよい。この場合、防湿シートが床面と敷き寝具の間に介在するので、敷き寝具が湿気を帯びないようにすることができる。よって、敷き寝具が湿気で柔らかくなる問題を抑制することができるので、敷き寝具を長期間使用することができる。また、一般的に防湿シートは床面に対して滑りやすいという問題がある。しかしながら、前述したように、防湿シートの外縁に滑り止め部が設けられることにより、床面に対する防湿シートのずれを抑制することができる。従って、敷き寝具が湿気で柔らかくなる問題を抑制する効果、及び、防湿シートのずれを抑制する効果の両方を得ることができる。
【0018】
また、滑り止め部の表面は、敷き寝具に接触する上面と、床面に接触する下面と、上面及び下面を接続する湾曲部と、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ずれを抑制できると共に、コストの増大を抑え、より使いやすい敷物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第1実施形態に係る敷物を備えた寝具を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る敷物を示す平面図である。
【
図4】
図3の敷物の外縁付近の構造を示す断面図である。
【
図5】(a)は、
図3の敷物の滑り止め部の一例を示す平面図である。(b)は、(a)の滑り止め部のゴム部を拡大した断面図である。
【
図6】
図5の滑り止め部の固定手段の一例を示す断面図である。
【
図7】(a)は、第2実施形態に係る敷物を示す側面図である。(b)は、第2実施形態に係る敷物を示す平面図である。
【
図8】
図7(a)及び
図7(b)の敷物の外縁付近の構造を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態に係る敷物を示す斜視図である。
【
図10】(a)は、従来の敷物の下面部及び帯状部材を示す底面図である。(b)は、比較例の敷物の下面部を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、図面を参照しながら本発明に係る敷物の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
【0022】
本明細書において、「敷物」とは、床面、又はマットレスといった敷き寝具等に敷かれる物品を示しており、人又は物が載せられる物品を含む。「敷物」は、典型的には、カーペット、マット、絨毯、敷き布団、ドライシート又はベッドパッドを含む。「布部」とは、布で構成された物品及び部分を含み、平面的に延びるシート状の物品を含む。布部の全体が布で構成されていてもよいし、布部の一部が布で構成されていてもよい。
【0023】
「外縁」とは、物品の外側の縁に沿った部分を示すが、物品の縁だけでなく若干内側に入り込んだ部分も含む。「滑り止め部」は、滑り止め部に接触する物品に対する滑りを抑制する措置が施された部分又は物品を示しており、具体的には、高摩擦処理が施されたもの、及び粗面化処理が施されたものを含む。
【0024】
「寝具」とは、寝具の使用者が身体を休めたり睡眠をとったりするときに使用者の身体に当てられるものであり、典型的には、布団、枕、座布団又はクッションである。「敷き寝具」は、使用者の身体が載せられる寝具を示しており、典型的には、敷き布団、マットレス又はベッドパッドである。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る敷物であるベッドパッド10を備えた寝具Sの斜視図である。
図2は、寝具Sの長手方向D1(第1方向)に直交する面で寝具Sを切断したときの断面図である。
図1及び
図2に示されるように、寝具Sは、ベッド1に載せられたマットレス2と、マットレス2の上部に位置するベッドパッド10と、マットレス2及びベッドパッド10を覆うシーツ3とを備える。なお、ベッドパッド10は、マットレス2以外のものに載せられてもよいし、シーツ3が被せられなくてもよい。
【0026】
例えば、ベッド1は、マットレス2が載せられる床板1aと、床板1aの幅方向D2(第2方向)の両端それぞれに設けられる一対のサイドレール1bと、床板1aの長手方向D1の一端に設けられるヘッドボード1cと、床板1aの長手方向D1の他端に設けられるフットボード1dとを備える。
【0027】
マットレス2は、長手方向D1及び幅方向D2に延びる直方体状を成しており、高さ方向D3に厚さを有する。マットレス2は、例えば、ポケットコイルマットレスであってもよく、その場合、マットレス2の内部には、複数のコイルスプリングが互いに連結されて形成されたコイルスプリング集合体が設けられる。
【0028】
ベッドパッド10は、一般的な敷き布団よりも薄手とされており、ベッドパッド10の厚さは、例えば、0.5cm以上且つ7.0cm以下である。ベッドパッド10は、薄手とされることにより、使用者がベッドパッド10に沈み込みすぎることを抑制する。ベッドパッド10は、厚手のマットレス2の上に載せられて使用され、ベッドパッド10の上で寝る使用者の寝心地を改善するために設けられる。ベッドパッド10及びマットレス2は、シーツ3に包まれた状態で使用され、シーツ3の上には毛布又は掛け布団等が載せられる。ベッドパッド10は、トッパーとも称される。
【0029】
図3及び
図4に示されるように、ベッドパッド10は、第1布部11(布部)と、第2布部12(布部)と、第1布部11及び第2布部12の間に収容される内容物13と、第1布部11及び第2布部12それぞれの外縁11A,12Aを挟み込むことによって外縁11A,12Aに固定される滑り止め部20とを備える。
【0030】
第1布部11及び第2布部12は、共に長方形状に延びる平布である。第1布部11は、使用者の身体の荷重を受ける部位であり、第2布部12は、第1布部11の反対側に向けられる。第1布部11は、2つの短辺11aと2つの長辺11bとを含む外縁11Aを有しており、第2布部12も同様に、短辺と長辺を含む外縁12Aを有する。第1布部11及び第2布部12は、例えば互いに同一の形状及び大きさとされているが、第1布部11及び第2布部12の形状及び大きさは適宜変更可能である。
【0031】
一例として、第1布部11及び第2布部12のそれぞれは、ポリエステル系合成繊維と綿との混紡素材によって構成されている。但し、第1布部11及び第2布部12の材料としては、上記の混紡素材以外のものを用いることも可能であり、例えば、綿、ポリエステル又はレーヨン等、種々のものを用いることが可能である。更に、第1布部11及び第2布部12は、不織布又はフェルトであってもよい。
【0032】
内容物13は、高い柔軟性を備えた素材によって構成されており、例えば、微細な線状のポリエチレン素材が絡み合って形成された三次元樹脂構造体である。但し、内容物13としては、他に種々のものを用いることが可能であり、例えば固綿又はシート状ウレタンであってもよい。
【0033】
滑り止め部20は、例えば、ミシンによって第1布部11及び第2布部12にヘム巻き(アドラー巻き)された部位である。滑り止め部20は、第1布部11の外縁11A、及び第2布部12の外縁12Aに沿って延びている。滑り止め部20は、薄布状とされている。滑り止め部20は、第1布部11の上面から外縁11Aの外側を通り、外縁11Aと外縁12Aの間で湾曲して第2布部12の下面にまで達している。
【0034】
滑り止め部20は、第1布部11及び第2布部12の4辺のそれぞれに設けられている。すなわち、滑り止め部20は、第1布部11の短辺11a及び長辺11bに沿って設けられると共に、第2布部12の短辺及び長辺に沿って設けられる。本実施形態では、滑り止め部20は、第1布部11及び第2布部12の全周に設けられている。
【0035】
滑り止め部20は、滑り止め加工がされた部位であり、第1布部11及び第2布部12のいずれよりも摩擦係数が高い高摩擦部とされている。例えば、滑り止め部20は、ゴム、ゴム材料を含む滑り止めフェルト、又は編地によって構成されていてもよい。滑り止め部20は、ポリエステル、ポリウレタン、又はアラミド繊維等の高摩擦繊維が編み込まれたものによって構成されていてもよい。
【0036】
滑り止め部20は、滑り止め部20の外方に露出する表面21と、表面21の反対側を向く裏面22とを有する。表面21は、シーツ3に接触する上面21aと、マットレス2に接触する下面21bと、上面21a及び下面21bを接続する湾曲部21cとを含む。滑り止め部20は、上面21aがシーツ3に接触し、下面21bがマットレス2に接触することにより、シーツ3及びマットレス2に対するずれを抑制する。
【0037】
滑り止め部20は、裏面22が第1布部11の上面と第2布部12の下面に接触した状態で糸23によって第1布部11及び第2布部12に縫い込まれることにより、第1布部11及び第2布部12に固定される。なお、第1布部11及び第2布部12への滑り止め部20の固定手段は、糸23による縫製であってもよいし、超音波等による溶着であってもよいし、接着であってもよい。
【0038】
図5(a)及び
図5(b)に示されるように、一例として、滑り止め部20は、表面21に複数の凸状のゴム部25が固定されたものであってもよい。各ゴム部25は、表面21から突出しており、滑り止め部20のずれ止めのために配置される。各ゴム部25は、例えば、円形状とされており、表面21にドット状に配置されている。
【0039】
一例として、複数のゴム部25は、表面21に略均等に分散して配置されている。「複数のゴム部が略均等に分散して配置されている」とは、滑り止め部20がずれ防止機能を発揮する程度に表面21に複数のゴム部25が配置された状態を含み、例えば、複数のゴム部25が表面21の所定の点又は線に対して互いに対称となるように配置されている状態、及び複数のゴム部25が同心円状に配置されている状態を含んでいる。本実施形態では、複数のゴム部25が千鳥状に分散して配置されている。
【0040】
ゴム部25は、例えば、シリコーン樹脂によって構成されている。ゴム部25は、加温されて液状とされたシリコーン樹脂が表面21にドット状に滴下され、滴下されたシリコーン樹脂が熱処理で硬化することによって表面21に形成される。すなわち、表面21にはシリコーン樹脂からなるゴム部25がドット状に印刷されている。また、表面21へのシリコーン樹脂の滴下は、コンベア等で表面21が搬送されながら行われるので、短時間で表面21にゴム部25を形成することが可能となる。
【0041】
一のゴム部25と、一のゴム部25から最も近い他のゴム部25とを結ぶ仮想線Lは、長手方向D1及び幅方向D2に対して傾斜し、その傾斜角度は例えば45°である。ゴム部25は、その断面において、表面21から円弧状に延びる曲線部25aを有する。この断面において、表面21と、表面21及び曲線部25aの交点Pから延びる接線Tとの成す角度θは、例えば120°以上且つ150°以下である。また、表面21に対する曲線部25aの頂点25bの高さHは、例えば、0.5mm以上且つ4.0mm以下であるが、1.5mm以上且つ2.0mm以下であることがより好ましい。
【0042】
次に、滑り止め部20を第1布部11及び第2布部12に固定する方法について説明する。まず、第1布部11及び第2布部12の間に内容物13を挟み込み、第2布部12の直上に第1布部11が位置するように第1布部11、第2布部12及び内容物13の重ね合わせを行う。
【0043】
その後、
図6に示されるように、ミシン(例えばアドラーミシン)の縫製部のラッパ状の部位Bに滑り止め部20を折り曲げながら挟み込むと共に、ミシンの縫製部に外縁11A,12Aの位置を合わせる。そして、ミシンから糸23を滑り止め部20及び外縁11A,12Aに縫い込み、外縁11A,12Aに対する滑り止め部20の縫い込みを行うことによって、
図3に示されるベッドパッド10が完成する。
【0044】
続いて、本実施形態に係る敷物(ベッドパッド10)の作用効果について詳細に説明する。
【0045】
ベッドパッド10では、第1布部11及び第2布部12が、長手方向D1、及び長手方向D1に交差する幅方向D2に延びており、第1布部11及び第2布部12の外縁11A,12Aに沿って延びる滑り止め部20を備える。滑り止め部20は、外縁11A,12Aを挟み込んだ状態で第1布部11及び第2布部12に固定される。外縁11A,12Aに沿って滑り止め部20が設けられるので、外縁11A,12Aにおいてベッドパッド10のずれを抑えることができる。
【0046】
また、ベッドパッド10では、
図10(a)の帯状部材104が不要となり、単にマットレス2等の上に載せるだけで使用できるので、マットレス2等に対する着脱を容易に行うことができる。更に、帯状部材104が不要であることにより、帯状部材104が伸びきる懸念を解消できると共に、デザイン性を向上させることができる。
【0047】
また、滑り止め部20が第1布部11及び第2布部12の外縁11A,12Aに設けられることにより、滑り止め加工111が一面全体に施される
図10(b)の敷物110と比較して、滑り止め加工する部位の面積が低減するためコストを抑えることができる。更に、敷物110では、滑り止め加工111が滑らかでない材質であることが多いため、滑り止め加工111を上に向けて使用することができない。
【0048】
これに対して、本実施形態のように、滑り止め部20が外縁11A,12Aに設けられる場合には、第1布部11及び第2布部12として滑らかな材質を用いることができるため、肌触りを良好にすることができると共に、第1布部11及び第2布部12の上下を逆にしても、肌触りが良好でない面が上を向かないようにすることができる。すなわち、第1布部11及び第2布部12のどちらを上に向けるかを気にせずにベッドパッド10を使用することができるため、使い心地を向上させることができ、使いやすいベッドパッド10を提供することができる。
【0049】
また、第1布部11及び第2布部12は、長手方向D1及び幅方向D2に延びる長方形状とされており、滑り止め部20は、第1布部11及び第2布部12の4辺のそれぞれに設けられている。よって、長方形状とされた第1布部11及び第2布部12のそれぞれの辺に滑り止め部20が設けられる。従って、4方向それぞれへのずれを滑り止め部20によって確実に抑制することができるので、滑り止めの効果を一層高めることができる。更に、本実施形態では、滑り止め部20が第1布部11及び第2布部12の全周に設けられるため、前述した効果がより顕著となる。
【0050】
また、本実施形態の敷物は、マットレス2の上に載せられると共にシーツ3が被せられるベッドパッド10である。ベッドパッド10の滑り止め部20の下面21bにマットレス2が接触し、滑り止め部20の上面21aにシーツ3が接触する。よって、マットレス2及びシーツ3の双方に対するベッドパッド10のずれを抑制することができる。
【0051】
従って、マットレス2とシーツ3の間に介在するベッドパッド10のずれを抑制することができるので、シーツ3の上で使用者が寝返りを打っても、シーツ3及びマットレス2に対するベッドパッド10のずれを生じにくくすることができる。その結果、使用者の寝心地の更なる向上に寄与する。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る敷物について
図7及び
図8を参照しながら説明する。以下では、第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。
図7に示されるように、第2実施形態に係る敷物は、床面31と敷き寝具32の間に介在するドライシート40である。なお、ドライシート40は、床面31以外のものに載せられてもよいし、敷き寝具32以外のものが載せられてもよい。
【0053】
床面31は、例えば、フローリング又は畳によって形成されている。仮に床面31の上に直接敷き寝具32を置いた場合、湿気で敷き寝具32の下が濡れて敷き寝具32にカビが生えることが懸念される。これに対し、床面31と敷き寝具32の間にドライシート40が介在する場合には、上記の懸念は解消される。
【0054】
ドライシート40は、敷き寝具32よりも薄手とされている。ドライシート40は、防湿シートであり、例えば、吸湿速乾機能を備えたパッドシーツである。更に、ドライシート40は、消臭機能を備えていてもよい。ドライシート40は、床面31と敷き寝具32の間に介在することによって、敷き寝具32が湿気を帯びて柔らかくなったり敷き寝具32にカビが生えたりすることを抑制する。
【0055】
しかしながら、一般的に、ドライシートは床面31に対して滑りやすいという問題がある。特に床面31がフローリング又は畳によって形成される場合には、床面31に対してドライシートが滑るという問題が生じうる。そこで、本実施形態では、ドライシート40が滑り止め部50を備えることにより、上記の問題を抑制している。
【0056】
ドライシート40は、長手方向D1及び幅方向D2に延びる長方形状の布部41と、布部41の外縁41Aを挟み込むことによって外縁41Aに固定される滑り止め部50とを備える。布部41は、長方形状に延びる平布である。布部41は、敷き寝具32の荷重を受ける部位である。なお、布部41の形状及び大きさは適宜変更可能である。
【0057】
布部41は、例えば、ポリエステルによって構成されるが、布部41の材料は適宜変更可能である。布部41は不織布であってもよく、この場合、ドライシート40のコストの増大を抑制することが可能である。滑り止め部50は、滑り止め部20と同様、布部41の外縁41Aにヘム巻き(アドラー巻き)された部位である。滑り止め部50は、布部41の外縁41Aに沿って延びている。滑り止め部50の形状及び材料は、例えば、前述した滑り止め部20の形状及び材料と同様である。
【0058】
図8に示されるように、滑り止め部50は、布部41の上面から外縁41Aの外側を通り、布部41の下面にまで達している。滑り止め部50は、布部41の4辺のそれぞれに設けられている。具体的には、滑り止め部50は、布部41の短辺41a及び長辺41bに沿って設けられており、本実施形態では、滑り止め部50は布部41の全周に設けられている。
【0059】
滑り止め部50は、滑り止め部50の外方に露出する表面51と、表面51の反対側を向く裏面52とを有する。表面51は、敷き寝具32に接触する上面51aと、床面31に接触する下面51bと、上面51a及び下面51bを接続する湾曲部51cとを含む。滑り止め部50は、上面51aが敷き寝具32に接触し、下面51bが床面31に接触することにより、敷き寝具32及び床面31に対するずれを抑制する。
【0060】
滑り止め部50は、第1実施形態と同様、裏面52が布部41の上面と布部41の下面に接触した状態で糸53によって布部41に縫い込まれることにより、布部41に固定される。滑り止め部50を布部41に固定する方法については、滑り止め部20を固定する方法と同様である。
【0061】
以上、第2実施形態に係る敷物であるドライシート40は、布部41の外縁41Aに沿って延びる滑り止め部50を備える。従って、第1実施形態のベッドパッド10と同様の効果が得られる。更に、第2実施形態に係る敷物は、床面31に載せられると共に敷き寝具32が載せられるドライシート40である。第2実施形態では、ドライシート40が床面31と敷き寝具32の間に介在するので、敷き寝具32が湿気を帯びないようにすることができる。
【0062】
よって、敷き寝具32が湿気で柔らかくなる問題を抑制することができるので、敷き寝具32を長期間使用することができる。また、ドライシート40の外縁41Aに滑り止め部50が設けられるので、床面31及び敷き寝具32に対するドライシート40のずれを抑制することができる。従って、敷き寝具32が湿気で柔らかくなる問題を抑制する効果、及び、ドライシート40のずれを抑制する効果の両方を得ることができる。
【0063】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る敷物について
図9を参照しながら説明する。
図9に示されるように、第3実施形態に係る敷物は、直方体状のマットレス60である。マットレス60は、前述したマットレス2と同様、例えば、ベッドの上に載せられる。マットレス60には、ベッドパッド等の敷き寝具が載せられてもよい。
【0064】
マットレス60は、直方体状を呈する。マットレス60は、鉛直上方に向けられる長方形状の第1布部61(布部)と、第1布部61の反対側を向く長方形状の第2布部(布部)とを有する。第1布部61の外縁61A、及び第2布部の外縁62Aのそれぞれには、前述した滑り止め部20,50と同様の滑り止め部70が固定されている。
図9では滑り止め部70を太線で示している。滑り止め部70の材料、並びに第1布部61及び第2布部に対する滑り止め部70の固定手段は、前述と同様とすることができる。
【0065】
以上、第3実施形態に係る敷物であるマットレス60は、外縁61A,62Aのそれぞれに沿って延びる滑り止め部70を備える。従って、第1実施形態に係るベッドパッド10と同様の効果が得られる。また、マットレス60は、ベッドの上に載せられると共に敷き寝具が載せられる。このように、マットレス60はベッドと敷き寝具の間に介在するので、ベッド及び敷き寝具に対するマットレス60のずれを抑制することができる。
【0066】
以上、本発明に係る敷物の実施形態について説明したが、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形してもよい。すなわち、本発明に係る敷物の構成は、上記の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
【0067】
例えば、前述の実施形態では、敷物がベッドパッド10、ドライシート40又はマットレス60である例について説明したが、本発明に係る敷物は、ベッドパッド、ドライシート又はマットレス以外の敷物であってもよい。例えば、敷物は、こたつが載せられるカーペット、又は絨毯であってもよい。
【0068】
また、前述の実施形態では、第1布部11及び第2布部12の全周に設けられる滑り止め部20について説明した。滑り止め部20は、その全体が高摩擦部とされていてもよいし、滑り止め部20の一部が高摩擦部とされていてもよい。滑り止め部20では、例えば、上面21a及び下面21bのいずれかのみが高摩擦部とされていてもよい。
【0069】
また、本発明に係る滑り止め部は、布部の全周に設けられなくてもよい。例えば、滑り止め部は、長方形状の布部の4辺それぞれの一部に設けられていてもよいし、長方形状の布部の四角に設けられていてもよい。また、滑り止め部の数、材料、形状、大きさ及び配置態様は、前述した要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0070】
また、前述の実施形態では、敷物が第1布部11と第2布部12とを含むベッドパッド10である例について説明した。しかしながら、敷物の布部の枚数、形状、大きさ及び材料は適宜変更可能である。敷物の下側に位置するものとしては、マットレス2、床面31又はベッドに限定されず適宜変更可能である。敷物の上側に位置するものとしても、シーツ3又は敷き寝具に限定されず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…ベッド、1a…床板、1b…サイドレール、1c…ヘッドボード、1d…フットボード、2…マットレス、3…シーツ、10…ベッドパッド(敷物)、11,61…第1布部(布部)、11A,12A,41A,61A,62A…外縁、11a,41a…短辺、11b,41b…長辺、12…第2布部、13…内容物、20,50,70…滑り止め部、21,51…表面、21a,51a…上面、21b,51b…下面、22,52…裏面、23,53…糸、25…ゴム部、25a…曲線部、31…床面、32…敷き寝具、40…ドライシート(敷物)、41…布部、51c…湾曲部、60…マットレス(敷物)、D1…長手方向、D2…幅方向、D3…高さ方向、L…仮想線、P…交点、T…接線、θ…角度。