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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】巻取ロールの形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/038 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
B65H23/038 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022061744
(22)【出願日】2022-04-01
【審査請求日】2022-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000154130
【氏名又は名称】株式会社不二鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠山 哲則
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-131540(JP,A)
【文献】特開2004-043068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00 - 23/34
B65H 18/00 - 18/28
B65H 16/00 - 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを巻き取ることにより巻取ロールを形成する巻取ロールの形成装置であって、
搬送されるフィルムの幅方向の両端部を内側に折り込む折込部と、
前記折込部により両端部が折り込まれたフィルムを巻き取るフィルム巻取部とを備え、
前記折込部は、
搬送されるフィルムの幅方向の一方端部以外の部分が巻き掛けられ、その一方端部以外の部分と一方端部との境界部がフィルムの張力によって折り曲げられるように構成された第1ローラと、
前記第1ローラで折り曲げられた屈曲部が鋭角になるように、搬送されるフィルムの幅方向の一方端部を押さえ付ける第1押さえ部材と、
搬送されるフィルムの一方端部を挟持して積層させる第1ピンチローラと、
搬送されるフィルムの幅方向の他方端部以外の部分が巻き掛けられ、その他方端部以外の部分と他方端部との境界部がフィルムの張力によって折り曲げられるように構成された第2ローラと、
前記第2ローラで折り曲げられた屈曲部が鋭角になるように、搬送されるフィルムの幅方向の他方端部を押さえ付ける第2押さえ部材と、
搬送されるフィルムの他方端部を挟持して積層させる第2ピンチローラとを含み、
前記第1ピンチローラおよび前記第2ピンチローラは、フィルムの幅方向において対向するように配置され、フィルムの挟持する部分がフィルムの幅方向外側に向かうように構成されていることを特徴とする巻取ロールの形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の巻取ロールの形成装置において、
前記折込部は、
前記第1ローラ、前記第1押さえ部材および前記第1ピンチローラのフィルムの幅方向における位置を調整する第1調整機構と、
前記第2ローラ、前記第2押さえ部材および前記第2ピンチローラのフィルムの幅方向における位置を調整する第2調整機構とを含むことを特徴とする巻取ロールの形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の巻取ロールの形成装置において、
前記第1ローラに対してフィルムの流れ方向の下流側が上流側に比べてフィルム搬送速度が高くされるとともに、前記第2ローラに対してフィルムの流れ方向の下流側が上流側に比べてフィルム搬送速度が高くされるように構成されていることを特徴とする巻取ロールの形成装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の巻取ロールの形成装置において、
フィルムは、伸縮性を有するストレッチフィルムであることを特徴とする巻取ロールの形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取ロールの形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルムを巻き取ることにより巻取ロールを形成する巻取ロールの形成装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の巻取ロールの形成装置は、巻取軸が回転されることにより、その巻取軸にフィルムが巻き取られることによって巻取ロールが形成されるように構成されている。この巻取ロールはユーザによって利用されるものであり、たとえば、ユーザが巻取ロールからフィルムを繰り出してそのフィルムが包装などに利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-43068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フィルムが伸縮性を有するストレッチフィルムである場合には、ユーザが巻取ロールからフィルムを繰り出す際に、フィルムの幅方向の端部が切れやすいという問題点がある。たとえば、巻取ロールにおけるフィルムの幅寸法にばらつきがあり、フィルムがロール端面に覆いかぶさって密着すると、フィルムが剥がれずに裂けてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、巻取ロールからフィルムが繰り出される際にフィルムの幅方向の端部が切れるのを抑制することが可能な巻取ロールの形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による巻取ロールの形成装置は、フィルムを巻き取ることにより巻取ロールを形成するものであり、搬送されるフィルムの幅方向の両端部を内側に折り込む折込部と、折込部により両端部が折り込まれたフィルムを巻き取るフィルム巻取部とを備える。折込部は、搬送されるフィルムの幅方向の一方端部以外の部分が巻き掛けられ、その一方端部以外の部分と一方端部との境界部がフィルムの張力によって折り曲げられるように構成された第1ローラと、第1ローラで折り曲げられた屈曲部が鋭角になるように、搬送されるフィルムの幅方向の一方端部を押さえ付ける第1押さえ部材と、搬送されるフィルムの一方端部を挟持して積層させる第1ピンチローラと、搬送されるフィルムの幅方向の他方端部以外の部分が巻き掛けられ、その他方端部以外の部分と他方端部との境界部がフィルムの張力によって折り曲げられるように構成された第2ローラと、第2ローラで折り曲げられた屈曲部が鋭角になるように、搬送されるフィルムの幅方向の他方端部を押さえ付ける第2押さえ部材と、搬送されるフィルムの他方端部を挟持して積層させる第2ピンチローラとを含む。第1ピンチローラおよび第2ピンチローラは、フィルムの幅方向において対向するように配置され、フィルムの挟持する部分がフィルムの幅方向外側に向かうように構成されている。
【0008】
このように構成することによって、フィルムの両端部が折り込まれて補強されるので、巻取ロールからフィルムが繰り出される際にフィルムの幅方向の端部が切れるのを抑制することができる。
【0009】
上記巻取ロールの形成装置において、折込部は、第1ローラ、第1押さえ部材および第1ピンチローラのフィルムの幅方向における位置を調整する第1調整機構と、第2ローラ、第2押さえ部材および第2ピンチローラのフィルムの幅方向における位置を調整する第2調整機構とを含んでいてもよい。
【0010】
上記巻取ロールの形成装置において、第1ローラに対してフィルムの流れ方向の下流側が上流側に比べてフィルム搬送速度が高くされるとともに、第2ローラに対してフィルムの流れ方向の下流側が上流側に比べてフィルム搬送速度が高くされるように構成されていてもよい。
【0011】
上記巻取ロールの形成装置において、フィルムは、伸縮性を有するストレッチフィルムであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の巻取ロールの形成装置によれば、巻取ロールからフィルムが繰り出される際にフィルムの幅方向の端部が切れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態によるフィルム巻替装置の概略を示した模式図である。
図2図1のフィルム巻替装置の折込部を説明するための図である。
図3図2の折込部におけるローラによるフィルムの幅方向の一方端部の折り曲げを説明するための図である。
図4図3のローラで折り曲げられたフィルムの幅方向の一方端部を拡大して示した図である。
図5図2の折込部における押さえ部材によるフィルムの幅方向の一方端部の押さえ付けを説明するための図である。
図6図2の折込部におけるローラによるフィルムの幅方向の他方端部の折り曲げを説明するための図である。
図7図6のローラで折り曲げられたフィルムの幅方向の他方端部を拡大して示した図である。
図8図2の折込部における押さえ部材によるフィルムの幅方向の他方端部の押さえ付けを説明するための図である。
図9図2の折込部のピンチローラをフィルム搬送方向から見た図である。
図10図9のピンチローラをフィルム搬送方向と直交する方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
-構成-
まず、図1図10を参照して、本実施形態によるフィルム巻替装置100の構成について説明する。なお、フィルム巻替装置100は、本発明の「巻取ロールの形成装置」の一例である。
【0016】
フィルム巻替装置100は、図1に示すように、原反ロール1からフィルム150を繰り出してトリミングした後に、トリミングされたフィルム151を巻き直して巻取ロールを形成するように構成されている。フィルム巻替装置100は、原反ロール1と、トリミング部2と、フィルム巻取部3と、耳巻取部4と、折込部5と、搬送ローラ6a~6cとを備えている。
【0017】
原反ロール1には、フィルム150が巻き付けられている。フィルム150は、伸縮性を有するストレッチフィルムであり、たとえばポリ塩化ビニルからなり、帯状に形成されている。原反ロール1は、回転可能に設けられ、巻き付けられたフィルム150を繰り出し可能に構成されている。原反ロール1とトリミング部2との間には、複数の搬送ローラ6aが設けられている。搬送ローラ6aは、原反ロール1から繰り出されたフィルム150をトリミング部2に搬送するように構成されている。
【0018】
トリミング部2は、搬送されるフィルム150の耳部(幅方向の両端部)152を取り除くために設けられている。トリミング部2は、搬送されるフィルム150の幅方向の両端部において、搬送方向(幅方向と直交する方向)に連続的に切り込みを入れるように構成されている。このため、フィルム150がトリミング部2を通過する際に、トリミングされたフィルム151と耳部152とに分断されるようになっている。
【0019】
トリミング部2とフィルム巻取部3との間には、複数の搬送ローラ6bが設けられ、トリミング部2と耳巻取部4との間には、複数の搬送ローラ6cが設けられている。搬送ローラ6bは、トリミング部2でトリミングされたフィルム151をフィルム巻取部3に搬送するように構成されている。搬送ローラ6cは、トリミング部2で取り除かれた耳部152を耳巻取部4に搬送するように構成されている。
【0020】
フィルム巻取部3は、回転可能な巻取軸を有し、その巻取軸を回転させることによってトリミングされたフィルム151を巻き取るように構成されている。そして、フィルム巻取部3でフィルム151が巻き取られることによって、巻取ロールが形成されるようになっている。耳巻取部4は、回転可能な巻取軸を有し、その巻取軸を回転させることによって耳部152を巻き取るように構成されている。
【0021】
[折込部]
ここで、トリミング部2とフィルム巻取部3との間には、折込部5が設けられている。折込部5は、搬送されるフィルム151の幅方向の両端部を内側に折り込むように構成されている。折込部5は、フィルム巻取部3に巻き取られるフィルム151の両端部を補強するために設けられている。これにより、フィルム巻取部3で巻き上がった巻取ロールがユーザに利用される場合に、ユーザが巻取ロールからフィルム151を繰り出す際にフィルム151の両端部が切れるのを抑制することが可能である。
【0022】
具体的に、折込部5は、図2に示すように、ローラ10Lおよび10Rと、押さえ部材20Lおよび20Rと、ピンチローラ30Lおよび30Rと、調整機構40Lおよび40Rとを含んでいる。ローラ10L、押さえ部材20L、ピンチローラ30Lおよび調整機構40Lは、フィルム151の幅方向の一方端部(左側端部)151Lを折り込むために設けられている。ローラ10R、押さえ部材20R、ピンチローラ30Rおよび調整機構40Rは、フィルム151の幅方向の他方端部(右側端部)151Rを折り込むために設けられている。なお、図2は、折込部5の各部の関係を説明するためのものであり、実際の構造とは異なる部分がある。
【0023】
ローラ10Lの外周面には、軸方向の一方端部側(左側)に環状の溝部101Lが形成されている。溝部101Lは、フィルム151の幅方向の一方端部151Lを逃がすために設けられている。このため、ローラ10Lは、図3に示すように、搬送されるフィルム151の幅方向の一方端部以外の部分が巻き掛けられ、その一方端部以外の部分と一方端部151Lとの境界部がフィルム151の張力によって折り曲げられるように構成されている。なお、図3では、見やすさを考慮してローラ10Lにおける溝部101Lに対する外側部分の図示を省略している。したがって、ローラ10Lを通過したフィルム151は、フィルム搬送方向から見た場合に、図4に示すように、フィルム151の大部分に対して一方端部151Lがほぼ直角になるように折り曲げられている。
【0024】
ローラ10Lにフィルム151が巻き掛けられる角度範囲(ローラ10Lの周方向においてフィルム151が接触される角度範囲)は、たとえば90度に設定されている。溝部101Lの内側面(図3で示した側面)は、テーパ状に形成され、軸方向の中央部側に窪むように形成されている。すなわち、溝部101Lの内側面は、径方向内側に進むほど軸方向内側に位置するように傾斜されている。なお、ローラ10Lは、本発明の「第1ローラ」の一例である。
【0025】
押さえ部材20Lは、図5に示すように、ローラ10Lで折り曲げられた屈曲部が鋭角になるように、搬送されるフィルム151の幅方向の一方端部151Lを押さえ付けるために設けられている。押さえ部材20Lは、図2に示すように、ローラ10Lの軸方向の一方端部側に配置されている。押さえ部材20Lは、フィルム151の一方端部151Lを押さえ付ける棒部材21Lと、棒部材21Lを移動させるエアシリンダ22Lとを有する。押さえ部材20Lは、図1に示すように、ローラ10Lに対してフィルム搬送方向の下流側に配置されている。なお、押さえ部材20Lは、本発明の「第1押さえ部材」の一例である。
【0026】
ローラ10Rは、押さえ部材20Lに対してフィルム搬送方向の下流側に配置されている。このローラ10Rの外周面には、図2に示すように、軸方向の他方端部側(右側)に環状の溝部101Rが形成されている。溝部101Rは、フィルム151の幅方向の他方端部151Rを逃がすために設けられている。このため、ローラ10Rは、図6に示すように、搬送されるフィルム151の幅方向の他方端部以外の部分が巻き掛けられ、その他方端部以外の部分と他方端部151Rとの境界部がフィルム151の張力によって折り曲げられるように構成されている。なお、図6では、見やすさを考慮してローラ10Rにおける溝部101Rに対する外側部分の図示を省略している。したがって、ローラ10Rを通過したフィルム151は、フィルム搬送方向から見た場合に、図7に示すように、フィルム151の大部分に対して他方端部151Rがほぼ直角になるように折り曲げられている。
【0027】
ローラ10Rにフィルム151が巻き掛けられる角度範囲(ローラ10Rの周方向においてフィルム151が接触される角度範囲)は、たとえば90度に設定されている。溝部101Rの内側面(図6で示した側面)は、テーパ状に形成され、軸方向の中央部側に窪むように形成されている。すなわち、溝部101Rの内側面は、径方向内側に進むほど軸方向内側に位置するように傾斜されている。なお、ローラ10Rは、本発明の「第2ローラ」の一例である。
【0028】
押さえ部材20Rは、図8に示すように、ローラ10Rで折り曲げられた屈曲部が鋭角になるように、搬送されるフィルム151の幅方向の他方端部151Rを押さえ付けるために設けられている。押さえ部材20Rは、図2に示すように、ローラ10Rの軸方向の他方端部側に配置されている。押さえ部材20Rは、フィルム151の他方端部151Rを押さえ付ける棒部材21Rと、棒部材21Rを移動させるエアシリンダ22Rとを有する。押さえ部材20Rは、図1に示すように、ローラ10Rに対してフィルム搬送方向の下流側に配置されている。なお、押さえ部材20Rは、本発明の「第2押さえ部材」の一例である。
【0029】
ピンチローラ30Lおよび30Rは、押さえ部材20Rに対してフィルム搬送方向の下流側に配置されている。ピンチローラ30Lおよび30Rは、図9に示すように、フィルム151の幅方向において対向するように配置されている。ピンチローラ30Lは、搬送されるフィルム151の一方端部151Lを挟持して積層させるように構成されている。ピンチローラ30Rは、搬送されるフィルム151の他方端部151Rを挟持して積層させるように構成されている。なお、ピンチローラ30Lおよび30Rは、それぞれ、本発明の「第1ピンチローラ」および「第2ピンチローラ」の一例である。
【0030】
また、ピンチローラ30Lおよび30Rは、図10に示すように、フィルム151の幅方向に対して傾斜されており、フィルム151の挟持する部分がフィルム151の幅方向外側に向かうように構成されている。このため、ピンチローラ30Lおよび30Rを通過する際にフィルム151が幅方向の外側に拡げられるようになっている。図2に示すように、ピンチローラ30Lは、一方ローラ31Lおよび他方ローラ32Lと、他方ローラ32Lを移動させるエアシリンダ33Lとを有する。ピンチローラ30Rは、一方ローラ31Rおよび他方ローラ32Rと、他方ローラ32Rを移動させるエアシリンダ33Rとを有する。
【0031】
調整機構40Lは、ローラ10L、押さえ部材20Lおよびピンチローラ30Lのフィルム151の幅方向における位置を調整するために設けられている。調整機構40Lは、保持部41Lと、保持部41Lに設けられたナット42Lと、ナット42Lと螺合するねじ軸43Lと、ねじ軸43Lを回転させるための動力伝達部44Lとを含んでいる。なお、調整機構40Lは、本発明の「第1調整機構」の一例である。
【0032】
保持部41Lは、ローラ10L、押さえ部材20Lおよびピンチローラ30Lを保持するように構成されている。保持部41Lは、フィルム151の幅方向において対向するように配置される左側板41LLおよび右側板41LRと、左側板41LLおよび右側板41LRを連結する連結部41LCとを有する。
【0033】
左側板41LLは、ローラ10Lの軸方向の一方端部を回転可能に支持し、右側板41LRは、ローラ10Lの軸方向の他方端部を回転可能に支持している。左側板41LLには、外側(左側板41LLに対してローラ10Lが位置する側とは反対側)に支持部121Lが設けられている。支持部121Lはスリーブ12Lを回転可能に支持し、スリーブ12Lはカップリング11Lを介してローラ10Lと連結されている。スリーブ12Lにはシャフト13Lがスプライン嵌合され、シャフト13Lは左側固定フレーム7Lに回転可能に設けられている。シャフト13Lの一方端部にはプーリ14Lが取り付けられ、プーリ14Lには動力源(図示省略)が連結されている。このため、ローラ10Lは、動力源からの動力によって駆動回転されるようになっている。
【0034】
また、左側板41LLには、内側(左側板41LLに対してローラ10Lが位置する側)に取付片211Lおよび221Lが設けられている。取付片211Lには、押さえ部材20Lの棒部材21Lが回動可能に取り付けられ、取付片221Lには、押さえ部材20Lのエアシリンダ22Lのシリンダ本体が取り付けられている。エアシリンダ22Lのロッドには、棒部材21Lが連結されている。そして、押さえ部材20Lは、エアシリンダ22Lの伸縮により、棒部材21Lをフィルム搬送経路に対して進退させるように構成されている。
【0035】
また、左側板41LLには、内側にピンチローラ30Lが設けられている。ピンチローラ30Lの一方ローラ31Lは、回転軸が左側板41LLに固定されている。ピンチローラ30Lの他方ローラ32Lは、回転軸が左側板41LLに回動可能に設けられている。ピンチローラ30Lのエアシリンダ33Lは、シリンダ本体が左側板41LLに取り付けられ、ロッドに他方ローラ32Lの回転軸が連結されている。そして、ピンチローラ30Lは、エアシリンダ33Lの伸縮により、他方ローラ32Lを一方ローラ31Lに対して接離させるように構成されている。
【0036】
また、左側板41LLには、外側にスライド係合部(ガイドシュー)411LLが設けられるとともに、左側固定フレーム7Lには、ガイドレール71Lが設けられており、スライド係合部411LLがガイドレール71Lにスライド可能に係合されている。右側板41LRには、外側にスライド係合部411LRが設けられるとともに、右側固定フレーム7Rには、ガイドレール71Rが設けられており、スライド係合部411LRがガイドレール71Rにスライド可能に係合されている。このため、保持部41Lは、左側固定フレーム7Lおよび右側固定フレーム7Rに対して、フィルム151の幅方向に移動可能に設けられている。
【0037】
右側板41LRには、ねじ軸43Lと螺合するナット42Lが取り付けられている。右側固定フレーム7Rには、ねじ軸43Lが回転可能に設けられるとともに、動力伝達部44Lが設けられている。動力伝達部44Lは、ハンドル441Lと、右側固定フレーム7Rに回転可能に設けられたプーリ442Lおよび443Lと、プーリ442Lおよび443Lに巻き掛けられたベルト444Lと、ねじ軸43Lの他方端部に取り付けられたプーリ445Lとを有する。ハンドル441Lは、ユーザがプーリ442Lを回転させる際に操作されるものである。プーリ445Lには、ベルト444Lが巻き掛けられている。このため、ユーザがハンドル441Lを回転させると、ねじ軸43Lが回転されることにより、保持部41Lがフィルム151の幅方向に移動されるようになっている。
【0038】
調整機構40Rは、ローラ10R、押さえ部材20Rおよびピンチローラ30Rのフィルム151の幅方向における位置を調整するために設けられている。調整機構40Rは、保持部41Rと、保持部41Rに設けられたナット42Rと、ナット42Rと螺合するねじ軸43Rと、ねじ軸43Rを回転させるための動力伝達部44Rとを含んでいる。なお、調整機構40Rは、本発明の「第2調整機構」の一例である。
【0039】
保持部41Rは、ローラ10R、押さえ部材20Rおよびピンチローラ30Rを保持するように構成されている。保持部41Rは、フィルム151の幅方向において対向するように配置される左側板41RLおよび右側板41RRと、左側板41RLおよび右側板41RRを連結する連結部41RCとを有する。
【0040】
左側板41RLは、ローラ10Rの軸方向の一方端部を回転可能に支持し、右側板41RRは、ローラ10Rの軸方向の他方端部を回転可能に支持している。左側板41RLには、外側(左側板41RLに対してローラ10Rが位置する側とは反対側)に支持部121Rが設けられている。支持部121Rはスリーブ12Rを回転可能に支持し、スリーブ12Rはカップリング11Rを介してローラ10Rと連結されている。スリーブ12Rにはシャフト13Rがスプライン嵌合され、シャフト13Rは左側固定フレーム7Lに回転可能に設けられている。シャフト13Rの一方端部にはプーリ14Rが取り付けられ、プーリ14Rには動力源(図示省略)が連結されている。このため、ローラ10Rは、動力源からの動力によって駆動回転されるようになっている。
【0041】
右側板41RRには、内側(右側板41RRに対してローラ10Rが位置する側)に取付片211Rおよび221Rが設けられている。取付片211Rには、押さえ部材20Rの棒部材21Rが回動可能に取り付けられ、取付片221Rには、押さえ部材20Rのエアシリンダ22Rのシリンダ本体が取り付けられている。エアシリンダ22Rのロッドには、棒部材21Rが連結されている。そして、押さえ部材20Rは、エアシリンダ22Rの伸縮により、棒部材21Rをフィルム搬送経路に対して進退させるように構成されている。
【0042】
また、右側板41RRには、内側にピンチローラ30Rが設けられている。ピンチローラ30Rの一方ローラ31Rは、回転軸が右側板41RRに固定されている。ピンチローラ30Rの他方ローラ32Rは、回転軸が右側板41RRに回動可能に設けられている。ピンチローラ30Rのエアシリンダ33Rは、シリンダ本体が右側板41RRに取り付けられ、ロッドに他方ローラ32Rの回転軸が連結されている。そして、ピンチローラ30Rは、エアシリンダ33Rの伸縮により、他方ローラ32Rを一方ローラ31Rに対して接離させるように構成されている。
【0043】
また、左側板41RLには、外側にスライド係合部411RLが設けられるとともに、左側固定フレーム7Lには、ガイドレール72Lが設けられており、スライド係合部411RLがガイドレール72Lにスライド可能に係合されている。右側板41RRには、外側にスライド係合部411RRが設けられるとともに、右側固定フレーム7Rには、ガイドレール72Rが設けられており、スライド係合部411RRがガイドレール72Rにスライド可能に係合されている。このため、保持部41Rは、左側固定フレーム7Lおよび右側固定フレーム7Rに対して、フィルム151の幅方向に移動可能に設けられている。
【0044】
右側板41RRには、ねじ軸43Rと螺合するナット42Rが取り付けられている。右側固定フレーム7Rには、ねじ軸43Rが回転可能に設けられるとともに、動力伝達部44Rが設けられている。動力伝達部44Rは、ハンドル441Rと、右側固定フレーム7Rに回転可能に設けられたプーリ442Rおよび443Rと、プーリ442Rおよび443Rに巻き掛けられたベルト444Rと、ねじ軸43Rの他方端部に取り付けられたプーリ445Rとを有する。ハンドル441Rは、ユーザがプーリ442Rを回転させる際に操作されるものである。プーリ445Rには、ベルト444Rが巻き掛けられている。このため、ユーザがハンドル441Rを回転させると、ねじ軸43Rが回転されることにより、保持部41Rがフィルム151の幅方向に移動されるようになっている。
【0045】
-動作-
次に、図1図10を参照して、本実施形態によるフィルム巻替装置100の動作について説明する。
【0046】
まず、図1に示すように、原反ロール1からフィルム150が繰り出され、そのフィルム150が搬送ローラ6aによってトリミング部2に搬送される。フィルム150がトリミング部2を通過する際に、フィルム150がトリミングされたフィルム151と耳部152とに分断される。耳部152は、搬送ローラ6cによって搬送され、耳巻取部4に巻き取られる。
【0047】
トリミングされたフィルム151は、折込部5(図2参照)により幅方向の両端部が内側に折り込まれる。その両端部が補強されたフィルム151は、搬送ローラ6bによって搬送され、フィルム巻取部5に巻き取られる。
【0048】
ここで、折込部5では、ローラ10Lに対してフィルム151の流れ方向の下流側が上流側に比べてフィルム搬送速度が高くされるとともに、ローラ10Rに対してフィルム151の流れ方向の下流側が上流側に比べてフィルム搬送速度が高くされる。たとえば、搬送ローラ6bによるフィルム搬送速度をローラ10Rによるフィルム搬送速度よりも高くするとともに、ローラ10Rによるフィルム搬送速度をローラ10Lによるフィルム搬送速度よりも高くする。このため、ローラ10Rに巻き掛けられるフィルム151に張力が加えられるとともに、ローラ10Lに巻き掛けられるフィルム151に張力が加えられる。
【0049】
具体的に、トリミングされたフィルム151は、ローラ10Lを通過する際に、図3および図4に示すように、フィルム151の大部分に対して一方端部151Lがほぼ直角になるように折り曲げられる。これは、ローラ10Lに対してフィルム151の幅方向の一方端部以外の部分が巻き掛けられており、フィルム151の張力によって一方端部以外の部分と一方端部151Lとの境界部が折り曲げられるためである。
【0050】
次に、ローラ10Lで折り曲げられたフィルム151は、図5に示すように、押さえ部材20Lの棒部材21Lによって一方端部151Lが押さえ付けられることにより、屈曲部が鋭角になるように折り曲げられる。なお、棒部材21Lは、ローラ10Lからローラ10Rに向かうフィルム151の搬送経路上に配置され、水平方向に進むフィルム151を上下方向から押さえ付ける。
【0051】
押さえ部材20Lを通過したフィルム151は、ローラ10Rを通過する際に、図6および図7に示すように、フィルム151の大部分に対して他方端部151Rがほぼ直角になるように折り曲げられる。これは、ローラ10Rに対してフィルム151の幅方向の他方端部以外の部分が巻き掛けられており、フィルム151の張力によって他方端部以外の部分と他方端部151Rとの境界部が折り曲げられるためである。
【0052】
次に、ローラ10Rで折り曲げられたフィルム151は、図8に示すように、押さえ部材20Rの棒部材21Rによって他方端部151Rが押さえ付けられることにより、屈曲部が鋭角になるように折り曲げられる。なお、棒部材21Rは、ローラ10Rから搬送ローラ6bに向かうフィルム151の搬送経路上に配置され、下方向に進むフィルム151を水平方向から押さえ付ける。
【0053】
押さえ部材20Rを通過したフィルム151は、図9に示すように、一方端部151Lがピンチローラ30Lによって挟持されて積層されるとともに、他方端部151Rがピンチローラ30Rによって挟持されて積層される。また、図10に示すように、ピンチローラ30Lおよび30Rがフィルム151の幅方向に対して傾斜されており、フィルム151がピンチローラ30Lおよび30Rを通過する際に幅方向の外側に拡げられる。
【0054】
-効果-
本実施形態では、上記のように、ローラ10Lおよび10Rと、押さえ部材20Lおよび20Rと、ピンチローラ30Lおよび30Rとが設けられることによって、フィルム151の両端部が折り込まれて補強されるので、巻取ロールからフィルム151が繰り出される際にフィルム151の幅方向の端部が切れるのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、調整機構40Lおよび40Rが設けられることによって、幅寸法の異なるフィルムに対応することができる。
【0056】
また、本実施形態では、ピンチローラ30Lおよび30Rによりフィルム151が幅方向の外側に拡げられることによって、フィルム151のしわを取ることができる。
【0057】
また、本実施形態では、搬送ローラ6bによるフィルム搬送速度をローラ10Rによるフィルム搬送速度よりも高くするとともに、ローラ10Rによるフィルム搬送速度をローラ10Lによるフィルム搬送速度よりも高くすることによって、ローラ10Rに巻き掛けられるフィルム151に張力を加えるとともに、ローラ10Lに巻き掛けられるフィルム151に張力を加えることができる。
【0058】
-他の実施形態-
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0059】
たとえば、上記実施形態では、トリミング部2を有するフィルム巻替装置100に本発明が適用される例を示したが、これに限らず、トリミング部を有しない巻取ロールの形成装置に本発明が適用されていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、押さえ部材20Lが棒部材21Lを有し、その棒部材21Lによりフィルム151の一方端部151Lが押さえ付けられる例を示したが、これに限らず、押さえ部材がローラを有し、そのローラによりフィルムの一方端部が押さえ付けられるようにしてもよい。なお、押さえ部材20Rについても同様である。
【符号の説明】
【0061】
3 フィルム巻取部
5 折込部
10L ローラ(第1ローラ)
10R ローラ(第2ローラ)
20L 押さえ部材(第1押さえ部材)
20R 押さえ部材(第2押さえ部材)
30L ピンチローラ(第1ピンチローラ)
30R ピンチローラ(第2ピンチローラ)
40L 調整機構(第1調整機構)
40R 調整機構(第2調整機構)
100 フィルム巻替装置(巻取ロールの形成装置)
151 フィルム
151L 一方端部
151R 他方端部
【要約】
【課題】巻取ロールからフィルムが繰り出される際にフィルムの幅方向の端部が切れるのを抑制することが可能な巻取ロールの形成装置を提供する。
【解決手段】フィルム巻替装置は、搬送されるフィルムの幅方向の両端部を内側に折り込む折込部5を備える。折込部5は、フィルムの幅方向の一方端部以外の部分が巻き掛けられ、その一方端部以外の部分と一方端部との境界部を折り曲げるローラ10Lと、フィルムの幅方向の一方端部を押さえ付ける押さえ部材20Lと、フィルムの一方端部を挟持して積層させるピンチローラ30Lと、フィルムの幅方向の他方端部以外の部分が巻き掛けられ、その他方端部以外の部分と他方端部との境界部を折り曲げるローラ10Rと、フィルムの幅方向の他方端部を押さえ付ける押さえ部材20Rと、フィルムの他方端部を挟持して積層させるピンチローラ30Rとを含む。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10