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特許7283829建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230523BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20230523BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20230523BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
G06Q50/16
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022199760
(22)【出願日】2022-12-14
【審査請求日】2022-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522487055
【氏名又は名称】株式会社ZISEDAI
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】柏村 雄
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-078155(JP,A)
【文献】特開2022-115566(JP,A)
【文献】特開2022-123579(JP,A)
【文献】特開平11-236770(JP,A)
【文献】特許第7169496(JP,B1)
【文献】特開平11-053408(JP,A)
【文献】特開2004-086789(JP,A)
【文献】特開平05-089211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
G06Q 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階数が2以上の建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行する方法であって、
前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する第1工程と、
前記第1工程において取得された情報に基づいて、前記敷地における前記建物の3次元の建築範囲であって、前記規制における前記建築範囲に関連する第1規制の要件を満たすとともに、前記規制における建蔽率の要件を満たした前記建築範囲を決定する第2工程と、
前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関する第1建物プランであって、前記建物における住戸の数が最も多くなる前記第1建物プランを決定する第3工程と、
前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記住戸の専有部分の最小面積として設定された第1面積とに基づいて、前記建物の各階における前記住戸の数と、各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、各階の前記床面積に占める共用部分の面積とに関する第2建物プランであって、前記規制における容積率の要件を満たした前記第2建物プランを決定する第4工程とを有し、
前記規制には、常に適用される通常規制と、予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制とが含まれており、
前記特殊規制には、前記第1面積より大きい第2面積以上の前記専有部分を持つ特定住戸の数に関連する第2規制が含まれており、
前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記第4工程において決定された前記第2建物プランとの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を抽出する第5工程と、
前記第5工程において1以上の前記特殊規制が抽出された場合、当該1以上の特殊規制の中から、前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記第4工程において決定された前記第2建物プランとに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定する第6工程とを有し、
前記第2工程は、前記第1規制の要件を満たすとともに前記建蔽率の要件を満たした最も範囲の広い前記建築範囲を決定し、前記第6工程において前記特殊規制に属する前記第1規制が特定された場合、特定された前記特殊規制に属する前記第1規制の要件と前記通常規制に属する前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな前記建築範囲を決定することを含み、
前記第3工程は、前記第2工程において新たな前記建築範囲が決定された場合、当該新たな建築範囲に基づいて新たな前記第1建物プランを決定することを含み、
前記第4工程は、前記第3工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて新たな前記第2建物プランを決定し、前記第6工程において前記第2規制が特定された場合には、特定された前記第2規制の要件を満たす最小数の前記特定住戸を含むように新たな前記第2建物プランを決定することを含み、
前記第5工程は、前記第4工程において新たな前記第2建物プランが決定された場合、それぞれ直近に決定された前記建築範囲、前記第1建物プラン及び前記第2建物プランの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を新たに抽出することを含み、
前記第6工程は、前記第5工程において1以上の前記特殊規制が新たに抽出された場合、それぞれ直近に決定された前記建築範囲、前記第1建物プラン及び前記第2建物プランに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定することを含む、
方法。
【請求項2】
前記情報処理装置は、記憶装置にアクセス可能であり、
前記記憶装置は、複数の面積情報を記憶しており、
1つの前記面積情報は、
1つの階における前記住戸の数に関する住戸数情報と、
各前記住戸の前記専有部分の面積に関する専有部分面積情報と、
当該1つの階の前記床面積に関する床面積情報と、
当該1つの階の前記共用部分の面積に関する共用部分面積情報と、
を含み、
前記専有部分の面積が前記第1面積である前記住戸を第1住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記住戸を第2住戸と呼び、
前記専有部分面積情報が前記第1面積を示す前記面積情報を第1面積情報と呼び、
前記専有部分面積情報が前記第2面積を示す前記面積情報を第2面積情報と呼び、
1つの前記第1面積情報と1つの前記第2面積情報との組み合わせを第3面積情報と呼び、
1つの前記第3面積情報は、
1つの階における前記第1住戸の数に関する前記住戸数情報である第1住戸数情報と、
当該1つの階における前記第2住戸の数に関する前記住戸数情報である第2住戸数情報と、
前記第1面積情報の前記床面積情報と前記第2面積情報の前記床面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記床面積に関する第3床面積情報と、
前記第1面積情報の前記共用部分面積情報と前記第2面積情報の前記共用部分面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記共用部分の面積に関する第3共用部分面積情報と、
を含み、
前記第4工程は、
前記第6工程において前記第2規制が特定されていない場合、直近の前記第3工程において決定された前記第1建物プランに基づく前記建物の各階に前記第1面積情報を割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第7工程と、
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合、直近の前記第3工程において決定された前記第1建物プランに基づく前記建物の各階に、前記第1面積情報、前記第2面積情報及び前記第3面積情報のいずれか1つを割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、1つの階に割り当てた前記第3面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記第3床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報の前記住戸数情報が示す全ての前記第2住戸の数は、前記第2規制の要件を満たす前記特定住戸の最小数であり、各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第8工程と、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第4工程は、
前記第7工程又は前記第8工程において決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率が前記規制で定められた前記容積率の上限を超えるか判定する第9工程と、
直近に決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率が前記上限を超えると前記第9工程において判定された場合、前記上限に対する前記容積率の超過分に応じた面積を、直近に決定された前記第1建物プランにおける上位の階の前記床面積から削減するように修正された新たな前記第1建物プランを決定する第10工程と
を含み、
前記第7工程及び前記第8工程は、前記第10工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて新たな前記第2建物プランを決定することを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第7工程は、前記建物の1つの階における各前記住戸の前記専有部分の面積を算出する場合、直近に決定された前記第1建物プランに基づく当該1つの階の前記床面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報の前記床面積情報が示す前記床面積との差分に相当する差分面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報の前記住戸数情報が示す前記住戸の数とに基づいて、前記差分面積から当該1つの階の各前記住戸へ分配される増分面積を算出し、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報の前記専有部分面積情報が示す面積と前記増分面積との和を各前記住戸の前記専有部分の面積として算出することを含み、
前記第8工程は、
前記第1面積情報又は前記第2面積情報が割り当てられた前記建物の1つの階における各前記住戸の前記専有部分の面積を算出する場合、直近に決定された前記第1建物プランに基づく当該1つの階の前記床面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報の前記床面積情報が示す前記床面積との差分に相当する前記差分面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報の前記住戸数情報が示す前記住戸の数とに基づいて、前記差分面積から当該1つの階の各前記住戸に分配される前記増分面積を算出し、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報の前記専有部分面積情報が示す面積と前記増分面積との和を各前記住戸の前記専有部分の面積として算出することを含み、
前記第3面積情報が割り当てられた前記建物の1つの階における各前記住戸の前記専有部分の面積を算出する場合、直近に決定された前記第1建物プランに基づく当該1つの階の前記床面積と、当該1つの階に割り当てた前記第3面積情報の前記第3床面積情報が示す前記床面積との差分に相当する前記差分面積と、当該1つの階に割り当てた前記第3面積情報の前記第1住戸数情報及び前記第2住戸数情報が示す1階分の前記住戸の数とに基づいて、前記差分面積から当該1つの階の各前記第1住戸及び各前記第2住戸に分配される前記増分面積を算出し、当該1の階における前記第1住戸については、前記第1面積と前記増分面積との和を前記専有部分の面積として算出し、当該1の階における前記第2住戸については、前記第2面積と前記増分面積との和を前記専有部分の面積として算出することを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記面積情報は、所定の前記特殊規制が適用される場合、当該面積情報を前記第2建物プランの決定に用いるべきか否かを示す特殊規制情報を含んでおり、
前記第7工程は、直近の前記第3工程において決定された第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報を割り当てることを含み、
前記第8工程は、直近の前記第3工程において決定された第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報を割り当てることを含み、
前記第4工程は、前記第7工程又は前記第8工程において決定された前記第2建物プランに基づく前記建物に対して前記所定の特殊規制が適用されるか判定する第11工程を含み、
前記第7工程及び前記第8工程は、前記第11工程における判定結果と、直近の前記第2建物プランの決定に用いられた前記第1面積情報及び/又は前記第2面積情報に含まれる前記特殊規制情報とが整合していない場合、前記第11工程における判定結果と整合する前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報及び/又は前記第2面積情報を用いて新たな前記第2建物プランを決定することを含み、
前記第9工程は、前記第11工程における判定結果と、直近の前記第2建物プランの決定に用いられた前記第1面積情報及び/又は前記第2面積情報に含まれる前記特殊規制情報とが整合している場合に、前記容積率についての前記判定を行うことを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合において、特定された前記第2規制が、前記建物における前記第1住戸の数が所定の戸数を超えることにより適用されたものであるならば、前記所定の戸数からの超過分の前記第1住戸を設置するために必要な面積を、直近に決定された第1建物プランにおける上位の階の前記床面積から削減するように修正された新たな前記第1建物プランを決定する第12工程と、
前記第12工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて、前記第4工程に準じた処理により前記第2建物プランを決定する第13工程と、
直近の前記第4工程において決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率と、前記第13工程において決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記容積率が大きい一方の前記第2建物プランを選択する第14工程とを有する、
請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記敷地の上方から鉛直方向に沿って見た前記建築範囲の領域を、敷地内領域と呼び、
前記第2工程は、
前記敷地の各前記境界線を前記敷地の内側へ後退させることにより形成される2次元の領域を前記敷地内領域として設定することと、
前記敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、前記第1規制における前記敷地の前記境界線からの後退距離に関する前記規制の要件に反している場合、当該規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることと、
高さの制限に関する前記第1規制、及び/又は、斜線制限に関する前記第1規制の要件に基づいて、前記建築範囲の上方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた前記建築範囲の側方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の面積に対応する建築面積が前記規制における前記建蔽率の要件を満たしていない場合、前記建蔽率の要件を満たすように、前記上方の境界面と最も低い位置で接した前記側方の境界面に対応する前記敷地内領域の領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることとを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
階数が2以上の建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行する方法であって、
前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する第1工程と、
前記第1工程において取得された情報に基づいて、前記敷地における前記建物の3次元の建築範囲であって、前記規制における前記建築範囲に関連する第1規制の要件を満たすとともに、前記規制における建蔽率の要件を満たした前記建築範囲を決定する第2工程と、
前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関する第1建物プランであって、前記建物における住戸の数が最も多くなる前記第1建物プランを決定する第3工程と、
前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記住戸の専有部分の最小面積として設定された第1面積とに基づいて、前記建物の各階における前記住戸の数と、各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、各階の前記床面積に占める共用部分の面積とに関する第2建物プランであって、前記規制における容積率の要件を満たした前記第2建物プランを決定する第4工程とを有し、
前記敷地の上方から鉛直方向に沿って見た前記建築範囲の領域を、敷地内領域と呼び、
前記第2工程は、
前記敷地の各前記境界線を前記敷地の内側へ後退させることにより形成される2次元の領域を前記敷地内領域として設定することと、
前記敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、前記第1規制における前記敷地の前記境界線からの後退距離に関する前記規制の要件に反している場合、当該規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることと、
高さの制限に関する前記第1規制、及び/又は、斜線制限に関する前記第1規制の要件に基づいて、前記建築範囲の上方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた前記建築範囲の側方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の面積に対応する建築面積が前記規制における前記建蔽率の要件を満たしていない場合、前記建蔽率の要件を満たすように、前記上方の境界面と最も低い位置で接した前記側方の境界面に対応する前記敷地内領域の領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることとを含む、
方法。
【請求項9】
階数が2以上の建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行する方法であって、
前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する第1工程と、
前記第1工程において取得された情報に基づいて、前記敷地における前記建物の3次元の建築範囲であって、前記規制における前記建築範囲に関連する第1規制の要件を満たすとともに、前記規制における建蔽率の要件を満たした前記建築範囲を決定する第2工程と、
前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関する第1建物プランであって、前記建物における住戸の数が最も多くなる前記第1建物プランを決定する第3工程と、
前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記住戸の専有部分の最小面積として設定された第1面積とに基づいて、前記建物の各階における前記住戸の数と、各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、各階の前記床面積に占める共用部分の面積とに関する第2建物プランであって、前記規制における容積率の要件を満たした前記第2建物プランを決定する第4工程とを有し、
前記第2工程は、前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たした1以上の前記建築範囲であって、最大の前記床面積がそれぞれ定められた前記1以上の建築範囲を決定することを含み、
前記最大の床面積は、1つの階に設けられる前記住戸の数であって、前記第1面積以上の所定の面積の前記専有部分を持った前記住戸の数に基づいて定められており、
前記1以上の建築範囲は、前記最大の床面積がそれぞれ異なっており、
前記第3工程は、前記第2工程において決定された前記1以上の建築範囲の各々について、前記建物における前記住戸の数が最も多くなる1つの前記第1建物プランを決定することを含み、
前記第4工程は、
前記第3工程において決定された1以上の前記第1建物プランの各々について1以上の前記第2建物プランを決定する第15工程と、
前記第15工程において決定された1以上の前記第2建物プランの中から、最も大きい容積率が得られる前記第2建物プランを選択する第19工程と
を含む、
方法。
【請求項10】
前記規制には、常に適用される通常規制と、予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制とが含まれており、
前記特殊規制には、前記第1面積より大きい第2面積以上の前記専有部分を持つ特定住戸の数に関連する第2規制が含まれており、
前記第19工程において選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲との少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を抽出する第5工程と、
前記第5工程において1以上の前記特殊規制が抽出された場合、当該1以上の特殊規制の中から、前記第19工程において選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲とに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定する第6工程とを有し、
前記専有部分の面積が前記第1面積である前記住戸を第1住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記住戸を第2住戸と呼び、
前記第2工程は、
前記第6工程において前記特殊規制が特定された場合、特定された前記特殊規制の要件と前記通常規制に属する前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな前記1以上の建築範囲を決定することと、
前記第6工程において特定された前記特殊規制に前記第2規制が含まれる場合は、前記最大の床面積の階に設けられる前記第1住戸の数と前記第2住戸の数との組み合わせがそれぞれ異なる前記1以上の建築範囲を決定することと
を含み、
前記第3工程は、前記第2工程において新たな前記1以上の建築範囲が決定された場合、当該新たな1以上の建築範囲に基づいて新たな前記1以上の第1建物プランを決定することを含み、
前記第15工程は、前記第3工程において新たな前記1以上の第1建物プランが決定された場合、当該新たな1以上の第1建物プランに基づいて新たな前記1以上の第2建物プランを決定し、前記第6工程において特定された前記特殊規制に前記第2規制が含まれる場合には、特定された前記第2規制の要件を満たす最小数の前記第2住戸を含むように新たな前記1以上の第2建物プランを決定することを含み、
前記第5工程は、前記第15工程において決定された新たな前記1以上の第2建物プランの中から前記第19工程において1つの前記第2建物プランが選択された場合、当該選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲との少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を新たに抽出することを含み、
前記第6工程は、前記第5工程において1以上の前記特殊規制が新たに抽出された場合、直近の前記第19工程において選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲とに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定することを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記情報処理装置は、記憶装置にアクセス可能であり、
前記記憶装置は、複数の面積情報を記憶しており、
1つの前記面積情報は、
1つの階における前記住戸の数に関する住戸数情報と、
各前記住戸の前記専有部分の面積に関する専有部分面積情報と、
当該1つの階の前記床面積に関する床面積情報と、
当該1つの階の前記共用部分の面積に関する共用部分面積情報と、
を含み、
前記専有部分面積情報が前記第1面積を示す前記面積情報を第1面積情報と呼び、
前記専有部分面積情報が前記第2面積を示す前記面積情報を第2面積情報と呼び、
1つの前記第1面積情報と1つの前記第2面積情報との組み合わせを第3面積情報と呼び、
1つの前記第3面積情報は、
1つの階における前記第1住戸の数に関する前記住戸数情報である第1住戸数情報と、
当該1つの階における前記第2住戸の数に関する前記住戸数情報である第2住戸数情報と、
前記第1面積情報の前記床面積情報と前記第2面積情報の前記床面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記床面積に関する第3床面積情報と、
前記第1面積情報の前記共用部分面積情報と前記第2面積情報の前記共用部分面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記共用部分の面積に関する第3共用部分面積情報と、
を含み、
前記第2工程は、
前記第6工程において前記第2規制が特定されていない場合、それぞれ前記建蔽率の要件を満たした1以上の前記第1面積情報を選択し、選択した1以上の前記第1面積情報の各々について、前記床面積情報が示す前記床面積を前記最大の床面積として前記建築範囲を決定することと、
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合、それぞれ前記建蔽率の要件を満たした1以上の前記面積情報と1以上の前記第3面積情報とを選択し、選択した1以上の前記面積情報の各々について、前記床面積情報が示す前記床面積を前記最大の床面積として前記建築範囲を決定し、選択した1以上の前記第3面積情報の各々について、前記第3床面積情報が示す前記床面積を前記最大の床面積として前記建築範囲を決定することと
を含み、
前記第15工程は、
前記第6工程において前記第2規制が特定されていない場合、直近の前記第3工程において決定された前記1以上の第1建物プランに基づいて前記1以上の第2建物プランを決定し、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合には、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に前記第1面積情報を割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第16工程と、
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合、直近の前記第3工程において決定された前記1以上の第1建物プランに基づいて前記1以上の第2建物プランを決定し、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合には、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に、前記第1面積情報、前記第2面積情報及び前記第3面積情報のいずれか1つを割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、1つの階に割り当てた前記第3面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記第3床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報、第2面積情報又は前記第3面積情報の前記住戸数情報が示す全ての前記第2住戸の数は、前記第2規制の要件を満たす前記特定住戸の最小数であり、各階に割り当てた前記第1面積情報、第2面積情報又は前記第3面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第17工程と、
を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第16工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に割り当てた前記第1面積情報に応じた容積率を算出し、当該算出した容積率が前記容積率の要件に反している場合、各階に割り当てた前記第1面積情報に応じた容積率が前記容積率の要件を満たすように、上位の階に割り当てる前記第1面積情報を変更する、及び/又は、上位の階を削除することを含み、
前記第17工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報に応じた容積率を算出し、当該算出した容積率が前記容積率の要件に反している場合、各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報に応じた容積率が前記容積率の要件を満たすように、上位の階に割り当てる前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報を変更する、及び/又は、上位の階を削除することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記面積情報は、所定の前記特殊規制が適用される場合、当該面積情報を前記第2建物プランの決定に用いるべきか否かを示す特殊規制情報を含んでおり、
前記第16工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報を割り当てることを含み、
前記第17工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報を割り当てることを含み、
前記第15工程は、前記第16工程又は前記第17工程において決定された前記第2建物プランに基づく前記建物に対して前記所定の特殊規制が適用されるか判定する第18工程を含み、
前記第19工程は、前記第15工程において決定された前記1以上の第2建物プランの中から、前記第18工程の判定結果と整合とする前記特殊規制情報が含まれた前記面積情報に基づく前記第2建物プランであって、かつ、最も大きい容積率が得られる前記第2建物プランを選択することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記敷地の上方から鉛直方向に沿って見た前記建築範囲の領域を、敷地内領域と呼び、
前記第2工程は、前記最大の床面積が第1床面積である1つの前記建築範囲を決定する場合、
前記敷地の各前記境界線を前記敷地の内側に後退させることにより形成される2次元の領域を前記敷地内領域として設定することと、
前記敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、前記第1規制における前記敷地の境界線からの後退距離に関する前記規制の要件に反している場合、当該規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることと、
高さの制限に関する前記第1規制、及び/又は、斜線制限に関する前記第1規制の要件に基づいて、前記建築範囲の上方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた前記建築範囲の側方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の面積に対応する建築面積が前記第1床面積に対応する建築面積より大きい場合、前記敷地内領域の面積に対応する建築面積と前記第1床面積に対応する建築面積とが等しくなるように、前記上方の境界面と最も低い位置で接した前記側方の境界面に対応する前記敷地内領域の領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることとを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第3工程は、1つの階の前記床面積を算出する場合、当該1つの階の床面と当該1つの階に対して1つ上の階の床面との間の所定の位置を通る水平面において前記建築範囲の前記側方の境界面により囲まれた領域に基づいて、当該1つの階における床の形状を決定し、決定した前記床の形状に基づいて前記床面積を算出することを含む、
請求項7、請求項8及び請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
斜線制限に関する前記第1規制において、斜線制限の適用を受けない前記建物の天空率の条件として、前記敷地に面した所定の測定ポイントで測定した天空率が、当該第1規制の適用を受けた前記建物の天空率と同等以上であることが定められており、
前記第3工程は、前記敷地内領域に対応する底面を持つ角柱状の建物であって、高さの制限に関する前記第1規制の要件を満たすとともに最上階が前記設定された階高を持つ前記角柱状の建物から、斜線制限の適用を受けない前記建物の天空率の条件を満たすように、水平面に対して垂直な面で一部の角を切り取ることにより得られる前記建物の外形に基づいて、前記第1建物プランを決定することを含む、
請求項7、請求項8及び請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第4工程において決定される前記第2建物プランは、前記住戸の数と、各前記住戸の前記専有部分の面積と、前記共用部分の面積とを、前記建物の1階を除く各階について定めており、
直近の前記第6工程において前記特殊規制が特定されなかった場合、前記規制において前記建物に設けることが定められた1以上の建物要素の面積を、前記建物の1階の前記床面積に占める面積として決定する第20工程を有する、
請求項1請求項7及び請求項10~請求項13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、
請求項1~請求項14のいずれか一項に記載された方法を行うプログラム。
【請求項19】
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
処理部と、
前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、
前記プログラムが、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載された方法を行う前記命令を含む、
情報処理装置。
【請求項20】
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
請求項1~請求項14のいずれか一項に記載された方法を行う手段を備えた
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献には、ユーザが地図上で指定した敷地における建築の規制(斜線制限、高さ制限、建蔽率、容積率、窓先空地、ワンルーム条例など)の要件を満たした建物の外形の三次元図を作成する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-75573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献には、収益が最大になる間取りプランを作成することが示唆されているが、その具体的な手段についての記載がない。収益を大きくするためには、建築の規制の範囲内で可能な限り建物のサイズを大きくするとともに、住戸の数をできるだけ多くすることが考えられるが、そのような建物のプランを生成する具体的な手段はこれまで知られていなかった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、建築の規制の要件を満たしつつ、収益性の高い建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る方法は、階数が2以上の建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行する方法であって、前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する第1工程と、前記第1工程において取得された情報に基づいて、前記敷地における前記建物の3次元の建築範囲であって、前記規制における前記建築範囲に関連する第1規制の要件を満たすとともに、前記規制における建蔽率の要件を満たした前記建築範囲を決定する第2工程と、前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関する第1建物プランであって、前記建物における住戸の数が最も多くなる前記第1建物プランを決定する第3工程と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記住戸の専有部分の最小面積として設定された第1面積とに基づいて、前記建物の各階における前記住戸の数と、各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、各階の前記床面積に占める共用部分の面積とに関する第2建物プランであって、前記規制における容積率の要件を満たした前記第2建物プランを決定する第4工程と、を有し、前記規制には、常に適用される通常規制と、予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制とが含まれており、前記特殊規制には、前記第1面積より大きい第2面積以上の前記専有部分を持つ特定住戸の数に関連する第2規制が含まれており、前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記第4工程において決定された前記第2建物プランとの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を抽出する第5工程と、前記第5工程において1以上の前記特殊規制が抽出された場合、当該1以上の特殊規制の中から、前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記第4工程において決定された前記第2建物プランとに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定する第6工程とを有し、前記第2工程は、前記第1規制の要件を満たすとともに前記建蔽率の要件を満たした最も範囲の広い前記建築範囲を決定し、前記第6工程において前記特殊規制に属する前記第1規制が特定された場合、特定された前記特殊規制に属する前記第1規制の要件と前記通常規制に属する前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな前記建築範囲を決定することを含み、前記第3工程は、前記第2工程において新たな前記建築範囲が決定された場合、当該新たな建築範囲に基づいて新たな前記第1建物プランを決定することを含み、前記第4工程は、前記第3工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて新たな前記第2建物プランを決定し、前記第6工程において前記第2規制が特定された場合には、特定された前記第2規制の要件を満たす最小数の前記特定住戸を含むように新たな前記第2建物プランを決定することを含み、前記第5工程は、前記第4工程において新たな前記第2建物プランが決定された場合、それぞれ直近に決定された前記建築範囲、前記第1建物プラン及び前記第2建物プランの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を新たに抽出することを含み、前記第6工程は、前記第5工程において1以上の前記特殊規制が新たに抽出された場合、それぞれ直近に決定された前記建築範囲、前記第1建物プラン及び前記第2建物プランに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定することを含む。
【0007】
本発明の第2の態様に係るプログラムは、建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、上記第1の態様に係る方法を前記情報処理装置に実行させる前記命令を含む。
【0008】
本発明の第3の態様に係る情報処理装置は、建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、処理部と、前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、前記プログラムが、上記第1の態様に係る方法を行う前記命令を含む。
【0009】
本発明の第4の態様に係る情報処理装置は、建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、上記第1の態様に係る方法を行う手段を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建築の規制の要件を満たしつつ、収益性の高い建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。
図2図2A及び図2Bは、面積情報に含まれる情報の一例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図4図4A図4Cは、建築範囲を決定する方法の一例を説明するための図である。
図5図5A及び図5Bは、第1建物プランを決定する方法の一例を説明するための図である。
図6図6A図6Cは、天空率の要件を満たした建物の外形を決める方法の一例を説明するための図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、第2建物プランを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、第3の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、第4の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、第5の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、建築範囲を決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図13図13は、第2建物プランを決定する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係るシステムの構成の一例を示す図である。図1の例に示すシステムは、インターネットなどの通信ネットワーク9を介して互いに通信可能な情報処理装置1及び端末装置3を有する。
情報処理装置1は、本発明の情報処理装置の一例である。
【0013】
図1に示すシステムでは、情報処理装置1にアクセスした端末装置3に対して建物プランに関する情報を提供する処理が行われる。ユーザが操作する端末装置3において特定の敷地が指定されると、その敷地の所在地における建築の規制(斜線制限、高さ制限、建蔽率、容積率など)を満たすとともに、出来るだけ大きい収益が得られるように住戸の数が最大化された建物のプランが生成され、この建物のプランが端末装置3において表示される。
【0014】
[情報処理装置1]
情報処理装置1は、指定された敷地における建物のプランを自動的に生成する処理を行う。例えば情報処理装置1は、通信ネットワーク9に接続された1台若しくは複数台のコンピュータを含んで構成される。図1の例に示す情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、処理部13を有する。
【0015】
通信部11は、通信ネットワーク9を介して他の装置(端末装置3など)と通信を行う。通信部11は、例えばイーサネット(登録商標)や無線LANなどの所定の通信規格に準拠して通信を行う装置(ネットワークインターフェースカードなど)を含む。
【0016】
記憶部12は、処理部13において実行可能な命令を含む1以上のプログラム121や、処理部13による処理の過程で一時的に保存されるデータ、処理部13の処理に利用されるデータ、処理部13の処理の結果として得られたデータなどを記憶する。記憶部12は、例えば、主記憶装置(RAM、ROMなど)と補助記憶装置(フラッシュメモリ、SSD、ハードディスク、メモリカード、光ディスク)を含んでよい。記憶部12は、1つの記憶装置から構成されてもよいし、複数の記憶装置から構成されてもよい。記憶部12が複数の記憶装置から構成される場合、各記憶装置は、コンピュータのバスや他の任意のデータ伝送手段を介して処理部13に接続される。
【0017】
処理部13は、情報処理装置1の全体的な動作を統括的に司り、所定の情報処理を実行する。処理部13は、例えば、記憶部12に格納された1以上のプログラム121の命令に応じて処理を実行する1以上のプロセッサ(CPU(central processing unit)、MPU(micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)など)を含む。処理部13は、記憶部12に記憶される1以上のプログラム121の命令を1以上のプロセッサが実行することにより、1以上のコンピュータとして動作する。
【0018】
処理部13は、特定の機能を実現するように構成された1以上の専用のハードウェア(ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)など)を含んでもよい。この場合、処理部13は、本実施形態において説明する全ての処理をコンピュータにおいて実行してもよいし、少なくとも一部の処理を専用のハードウェアにおいて実行してもよい。
【0019】
プログラム121は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体(光ディスク、メモリカード、USBメモリ、その他の非一時的な有形の媒体)に記録されていてもよい。処理部13は、そのような記録媒体に記録された1以上のプログラム121の少なくとも一部を不図示の記録媒体読み取り装置(光ディスク装置など)やインターフェース装置(USBインターフェースなど)により読み込んで、記憶部12に書き込んでもよい。あるいは処理部13は、通信ネットワーク9に接続される他の装置から通信部11により1以上のプログラム121の少なくとも一部をダウンロードして、記憶部12に書き込んでもよい。1以上のプログラム121は、後述する本実施形態に係る処理の少なくとも一部を処理部13において実行させる命令を含んでよい。
【0020】
記憶装置2は、情報処理装置1の処理において使用される種々の情報を記憶する。情報処理装置1と記憶装置2は、任意の通信路(LAN、専用回線網、インターネットなど)介して通信可能である。例えば記憶装置2は、複数の装置からのアクセスを受け付けるファイルサーバやデータベースサーバなどに含まれていてもよいし、情報処理装置1のみアクセス可能な専用の記憶装置でもよい。図1の例において、記憶装置2は、規制データベース21と、地図データベース22と、面積情報データベース23とを記憶する。以下の説明では、データベースを「DB」と省略して記載する場合がある。
【0021】
規制DB21は、敷地の所在地に応じて定められた建築の規制に関する規制情報を含む。規制情報は、例えば、敷地の所在地に関する情報と、その所在地において適用される規制(斜線制限、高さ制限、建蔽率、容積率、ワンルーム条例など)に関する情報を含む。
【0022】
図DB22は、地図を構成する各種の情報を含む。例えば地図DB22は、土地の境界に関する情報や、土地の属性(敷地、道路、河川など)に関する情報、所在地(住所)に関する情報などを含む。
【0023】
面積情報DB23は、建物の1つの階に含まれる建物要素(住戸、共用部分など)の面積に関する面積情報を含む。図2Aは、1つの面積情報に含まれる情報の例を示す。図2Aの例において、1つの面積情報は、住戸数情報と、専有部分面積情報と、共用部分面積情報と、床面積情報と、特殊規制情報を含む。
住戸数情報は、1つの階に含まれる住戸の数に関する情報を含む。
専有部分面積情報は、住戸数情報に関わる1つの住戸の専有部分の面積(専有部分面積)に関する情報を含む。
共用部分面積情報は、1つの階における廊下、階段、エレベータなどの共有部分の面積(共用部分面積)に関する情報を含む。共用部分面積情報は、住戸の数に応じて変化する面積(変動共用部分面積)と、住戸の数に依らない固定の面積(固定共用部分面積)とを含んでいてもよい。共用部分面積は、例えば、一般的な建物における住戸数及び専有部分面積と共用部分面積との関係(比率など)に基づいて与えられる。
床面積情報は、1つの階の床面積に関する情報を含む。床面積は、一例において、住戸数情報が示す住戸数と専有部分面積との積に共用部分面積を加えたものと等しい。
【0024】
特殊規制情報は、所定の特殊規制(予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる規制)が適用される場合、この面積情報を後述する第2建物プランの決定に用いるべきか否かを示す。
【0025】
[端末装置3]
端末装置3は、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどの情報通信機能を備えた装置であり、建物のプランに関する情報を閲覧するユーザによって操作される。図1の例において端末装置3は1つであるが、端末装置3は複数であってもよい。端末装置3は、情報処理装置1の通信部11、記憶部12、処理部13と同様な処理部、記憶部、通信部を備えるとともに、ユーザの指示を処理部に入力する入力部(タッチパネル、マウス、キーボードなどの入力装置)、情報を表示する表示部(液晶ディスプレイなどの表示装置)などを備える。
【0026】
ここで、上述した構成を有する情報処理装置1において行われる建物のプランの生成に関する処理について説明する。図3は、第1の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップST100は、本発明の第1工程の一例である。
ステップST105は、本発明の第2工程の一例である。
ステップST110は、本発明の第3工程の一例である。
ステップST115は、本発明の第4工程の一例である。
ステップST120は、本発明の第20工程の一例である。
【0027】
端末装置3は、ディスプレイに表示された地図上で特定の敷地を指定するユーザの操作や、特定の敷地の住所を入力するユーザの操作などにより、特定の敷地において建築可能な建物のプランの表示を求めるユーザの指示を入力すると、入力したユーザの指示に応じた建物のプランの生成要求を情報処理装置1へ送信する。情報処理装置1は、建物のプランの生成要求を端末装置3から受信すると、要求された建物のプランの生成に必要な情報を取得する(ST100)。例えば情報処理装置1は、建物が建築される敷地の境界線に関する情報、敷地の境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を、規制DB21や地図DB22から取得する。この場合、情報処理装置1は、ユーザが希望する建物の仕様に関する情報として、建物の階高(1階あたりの高さ)に関する情報、住戸の専有部分の最小面積(最小の専有部分面積)に関する情報、情報の間口に関する情報、バルコニーの有無を指定する情報などを端末装置3から取得してもよい。
【0028】
次に情報処理装置1は、ステップST100において取得された情報に基づいて、敷地における建物の3次元の建築範囲を決定する。すなわち、情報処理装置1は、建築の規制として適用される建築範囲に関連する規制(以下、「第1規制」と記す)の要件と建蔽率の要件とをそれぞれ満たすように建築範囲を決定する(ST105)。第1規制には、例えば、建物の高さの制限、斜線制限(道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限)、敷地境界からのセットバックなどが含まれる。例えば情報処理装置1は、第1規制の要件を満たすとともに建蔽率の要件を満たした最も範囲の広い建築範囲を決定する。
【0029】
情報処理装置1は、建築範囲を決定する場合、敷地の各境界線を敷地の内側へ後退させることにより形成される2次元の領域(以下、「敷地内領域」と記す)を設定する。例えば情報処理装置1は、敷地の各境界線を所定の距離だけ内側へ後退させることにより、初期状態の敷地内領域を形成する。
【0030】
敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、第1規制における敷地の境界線からの後退距離に関する規制(セットバック)の要件に反している場合、情報処理装置1は、この規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を敷地の境界線に対して後退させた敷地内領域を形成する。
【0031】
高さ制限に関する第1規制や、斜線制限に関する第1規制が適用される場合、情報処理装置1は、これらの規制の要件を満たすように、建築範囲の上方の境界面を設定する。また情報処理装置1は、敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた建築範囲の側方の境界面を設定する。
【0032】
敷地内領域の面積に対応する建物の建築面積が建蔽率の要件を満たしていない場合、情報処理装置1は、この建蔽率の要件を満たすように、建築範囲の上方の境界面と最も低い位置で接した側方の境界面に対応する敷地内領域の領域境界線を敷地の境界線に対して後退させる。なお情報処理装置1は、敷地内領域の領域境界線を敷地の境界線に対して後退させているとき、建築範囲の上方の境界面と最も低い位置で接した側方の境界面が変化した場合は、変化後の側方の境界面に対応する敷地内領域の領域境界線を敷地の境界線に対して後退させる。
【0033】
図4A図4Cは、それぞれ建築範囲の例を示す。図4A図4Cにおける左側の図は、敷地4の上方から鉛直方向に沿って見た建築範囲6の領域である敷地内領域5を示す。図4A図4Cにおける右側の図は、斜め上方から見た建築範囲6を示す。
【0034】
図4Aは、初期状態の建築範囲6を示す。図4Aの例において、敷地4は4つの境界線41~44を有する。初期状態の敷地内領域5は、境界線41~44をそれぞれ所定の距離だけ内側へ後退させた位置に領域境界線51~54を持つ。初期状態における領域境界線51~54の少なくとも1つが第1規制における敷地の境界線からの後退距離に関する規制(セットバック)の要件に反している場合、情報処理装置1は、要件に反している領域境界線(51~54)を敷地4の境界線(41~44)に対して更に後退させる。
【0035】
図4Aの右側に示す建築範囲6は、2つの上方の境界面65及び66と、4つの側方の境界面61~64を有する。水平な上方の境界面65は、第1規制における高さ制限の限界に対応し、水平に対して傾いた上方の境界面66は、第1規制における斜線制限の限界に対応する。4つの側方の境界面61~64は、それぞれ敷地内領域5の領域境界線51~54上に位置し、鉛直方向へ伸びている。
【0036】
図4Bは、建蔽率の要件を満たすように、敷地内領域5の領域境界線54を敷地4の境界線44に対して後退させた状態の建築範囲6を示す。図4A図4Bに示すように、建築範囲6の上方の境界面66と最も低い位置で接しているのは、側方の境界面64である。従って、情報処理装置1は、側方の境界面64に対応する敷地内領域5の領域境界線54を、敷地4の境界線44に対して後退させる。情報処理装置1は、敷地内領域5の面積に対応する建物の建築面積が、建蔽率の要件を満たす最大の面積になる位置まで、敷地内領域5の領域境界線54を後退させる。
【0037】
図4Cは、建蔽率の要件を満たす状態よりも更に境界線44に対して後退させた状態の建築範囲6を示す。図4Cに示すように、上方の境界面66と最も低い位置で接している側方の境界面64に対応した敷地内領域5の領域境界線54を後退させることにより、斜線制限による境界面66が小さくなり、建築範囲6の形状が角柱に近くなる。
【0038】
図3に戻る。
情報処理装置1は、ステップST105において決定された建築範囲と、建物の各階に設定された階高とに基づいて、建物の階数と建物の各階の床面積とに関する第1建物プランを決定する(ST110)。情報処理装置1は、建物における住戸の数が最も多くなるように第1建物プランを決定する。
【0039】
情報処理装置1は、1つの階の床面積を算出する場合、当該1つの階の床面と当該1つの階に対して1つ上の階の床面との間の所定の位置を通る水平面において建築範囲の側方の境界面により囲まれた領域に基づいて、当該1つの階における床の形状を決定し、この決定した床の形状に基づいて床面積を算出する。
【0040】
図5Aは、ステップST105において決定された建築範囲の一例を示す。図5Aに示す建築範囲6は、6階以上7階未満の高さを有する。領域606は、7階の床面の位置を通る水平面において建築範囲6の側方の境界面61~64により囲まれた領域である。図5Bは、図5Aに示す敷地内領域5に基づいて決定される建物7の一例を示す。図5Bに示す建物7における6階の床面706の形状は、図5Aに示す領域606に基づいて決定される。同様に、建物7における1~5階の床面701~705の形状は、それぞれ図5Aに示す領域601~605に基づいて決定される。第1建物プランにおける各階の床面積は、それぞれ床面701~706の形状に基づいて算出される。
また、図5Aに示す建築範囲6は6階以上7階未満の高さを有するため、建築範囲6に基づく第1建物プランにおける建物7の階数は6に決定される。
【0041】
なお、斜線制限には天空率に基づく緩和の条件が定められている。すなわち、建物の敷地に面した所定の測定ポイントで測定した天空率が、斜線制限の適用を受けた建物の天空率と同等以上である場合、この建物には斜線制限が適用されないことが定められている。そこで、情報処理装置1は、ステップST105において決定された建築範囲に基づいて第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)を決定する場合、第1規制における斜線制限の適用を受けない天空率の条件を満たすように建物の外形を決定し、その外形に基づいて第1建物プランを決定してもよい。
【0042】
例えば情報処理装置1は、建築範囲の敷地内領域に対応する底面を持つ角柱状の建物であって、高さの制限に関する第1規制の要件を満たすとともに最上階が所定の階高(ユーザにより設定された階高)を持つ角柱状の建物を想定した場合に、この角柱状の建物から、水平面に対して垂直な面で一部の角を切り取ることにより、斜線制限の適用を受けない建物の天空率の条件を満たすように(斜線制限の適用を受けた建物の天空率と同等の天空率となるように)、角柱状の建物の形状を決定する。そして情報処理装置1は、決定した角柱状の建物に基づいて、第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)を決定する。
【0043】
図6A図6Cは、それぞれ建物の外形の例を示す。図6A図6Cにおける左側の図は、敷地4の上方から鉛直方向に沿って見た敷地内領域5を示す。図6A図6Cにおける右側の図は、斜め上方から見た建物7を示す。
【0044】
図6Aは、ステップST105において決定された建築範囲6(図4C)において、斜線制限がないものとみなした場合に得られる角柱状の建物7を示す。図6Aに示す建物7では、上側の一部が斜線制限による境界面66からはみ出している。図6Aに示す建物7において、6階より上の部分は所定の階高を有していない。図6Bは、図6Aに示す建物7における6階より上の部分を切り取った状態を示す。図6Bに示す建物7は、高さの制限に関する第1規制の要件を満たすとともに、最上階(6階)が所定の階高を有する最も高い角柱状の建物となっている。図6Cは、この図6Bに示す建物7における領域境界線54側の角の一部が水平面に対して垂直な面で切り取られた状態を示す。角を切り取られた部分には、水平面に対して垂直な境界面71、72が形成されている。図6Cに示すように、角柱状の建物7における角の一部を切り取ることにより、斜線制限の適用を受けない建物の天空率の条件を満たした建物7の外形を決定することができる。
【0045】
再び図3に戻る。
ステップST110において第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)が決定されると、情報処理装置1は、この決定された第1建物プランと、住戸の専有部分の最小面積として設定された所定の面積(以下、「第1面積」とする)とに基づいて、建物の各階(2階以上)における住戸の数と、各階の床面積に占める各住戸の専有部分面積と、各階の床面積に占める共用部分面積とに関する第2建物プランを決定する。情報処理装置1は、建築の規制における容積率の要件を満たすように第2建物プランを決定する。
【0046】
情報処理装置1は、例えば、面積情報DB23の面積情報(図2A)に基づいて第2建物プラン(各階の住戸数、各住戸の専有部分面積、各階の共用部分面積)を決定する。具体的には、情報処理装置1は、所定の専有部分面積(ユーザにより設定された専有部分面積)を示す専有部分面積情報と、第1建物プランにおける床面積を超えない最大の床面積を示す床面積情報とを含んだ面積情報を、建物の各階について面積情報DB23から取得し、各階に割り当てる。情報処理装置1は、各階に割り当てた面積情報(図2A)に基づいて、各階の住戸数及び共用部分面積を決定する。この場合、建物の各階において、面積情報の床面積情報が示す床面積が、第1建物プランにおける床面積以下になるため、両者の床面積に差分が生じる。そこで情報処理装置1は、1つの階における上記の床面積の差分(差分面積)を、当該1つの階における各住戸の専有部分面積に分配する。これにより、各階の床面積が第1建物プランにおける床面積と同じになり、各住戸の専有部分面積が第1面積以上になる。
【0047】
各階に割り当てた面積情報により決定される第2建物プランが容積率の要件に反する場合、情報処理装置1は、上位の階における住戸の専有部分面積を第1面積まで減らしたり、上位の階の住戸数を減らしたりすることにより、容積率の要件を満たした第2建物プランを決定する。
【0048】
ステップST115において第2建物プランが決定されると、情報処理装置1は、適用される建築の規制において建物に設けることが定められた1以上の建物要素(駐輪場、管理人室など)の面積を、建物の1階の床面積に占める面積として決定する(ST120)。この場合、情報処理装置1は、1階において余った床面積に、最上階に割り当てられた住戸の面積(専有部分面積、変動共用部分面積)の少なくとも一部を割り当てるように第2建物プランを変更してもよい。これにより、上位の階の施工面積を減らしてコストを下げることができる。
【0049】
情報処理装置1は、ステップST110及びST115で得られた第1建物プラン及び第2建物プランの情報、及び、ステップST120で得られた1階のプラン(各建物要素の面積)の情報を端末装置3に提供し、端末装置3のディスプレイにおいて表示させる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1規制の要件及び建蔽率の要件を満たした3次元の建築範囲が決定され、この建築範囲において住戸の数が最も多くなる第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)が決定され、この第1建物プランに基づいて、容積率の要件を満たした第2建物プラン(各階の住戸数、各住戸の専有部分面積、各階の共用部分面積)が決定される。これにより、建築の規制の要件を満たしつつ、収益性の高い建物のプラン(第1建物プラン、第2建物プラン)を生成することが可能となる。
【0051】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る情報処理装置1の構成は既に説明した図1に示す情報処理装置1と同じであり、建物プラン生成処理の一部が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態に係る情報処理装置1における処理との相違点を中心に説明する。
【0052】
本実施形態では、建物のプランを生成する際、建物に依存せず常に適用される容積率や建蔽率などの規制(以下、「通常規制」と記す)の他に、建物が予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる規制(以下、「特殊規制」と記す)が考慮される。特殊規制には、例えば、建物全体の住戸数や床面積などに応じて適用の有無が決まるワンルーム条例の規制が含まれる。一般的なワンルーム条例の規制では、所定の面積以上の専有部分面積を持つ住戸を所定の数より多く設けることが規定されている。本実施形態では、第1建物プラン及び第2建物プランが決定された後、特殊規制の適用の有無が判定され、特殊規制が適用される場合には、特殊規制の要件を満たすように新たな第1建物プラン及び第2建物プランを決定する処理が行われる。
【0053】
以下では、専有部分面積の最小面積として設定された第1面積より大きい第2面積以上の専有部分を持つ住戸(ワンルーム条例におけるファミリー住戸など)を「特定住戸」と呼び、この特定住戸の数に関連する規制を「第2規制」と呼ぶことにする。
【0054】
また以下では、次のように用語を定義する。
「第1住戸」:専有部分面積が第1面積の住戸
「第2住戸」;専有部分面積が第2面積の住戸
「第1面積情報」:専有部分面積情報(図2A)が第1面積を示す面積情報
「第2面積情報」:専有部分面積情報(図2A)が第2面積を示す面積情報
「第3面積情報」:1つの第1面積情報と1つの第2面積情報との組み合わせ
【0055】
図2Bは、第3面積情報を説明するための図である。第3面積情報は、1つの階における住戸の数や面積に関する情報を、1つの第1面積情報と1つの第2面積情報との組み合わせによって表す。第3面積情報は、図2Bに示すように、第1住戸数情報、第2住戸数情報、第3共用部分面積情報、第3床面積情報を含む。
第1住戸数情報は、1つの階における第1住戸の数に関する住戸数情報(図2A)である。
第2住戸数情報は、1つの階における第2住戸の数に関する住戸数情報(図2A)である。
第3床面積情報は、第1面積情報の床面積情報と第2面積情報の床面積情報との組み合わせが示す、1つの階の床面積に関する情報である。
第3共用部分面積情報は、第1面積情報の共用部分面積情報と第2面積情報の共用部分面積情報との組み合わせが示す、1つの階の共用部分面積に関する情報である。
【0056】
図7は、第2の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップST200は、本発明の第1工程の一例である。
ステップST205は、本発明の第2工程の一例である。
ステップST210は、本発明の第3工程の一例である。
ステップST230は、本発明の第4工程の一例である。
ステップST235は、本発明の第5工程の一例である。
ステップST240は、本発明の第6工程の一例である。
ステップST250は、本発明の第20工程の一例である。
【0057】
ステップST200~ST210は、既に説明したステップST100~ST110(図3)と概ね同じである。ステップST230は、第2建物プランを決定する処理であり、図8のフローチャートを参照して後ほど説明する。
【0058】
ステップST230において第2建物プランが決定されると、情報処理装置1は、ステップST205において決定された建築範囲と、ステップST210において決定された第1建物プランと、ステップST230において決定された第2建物プランとの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる特殊規制を抽出する。例えば、情報処理装置1は、第2建物プランに基づく建物全体の住戸数や床面積などの条件に応じて適用されることが決まる特殊規制(ワンルーム条例、窓先空地の規制など)を抽出する(ST235)。
【0059】
ステップST240において1以上の特殊規制が抽出された場合、情報処理装置1は、この1以上の特殊規制の中から、ステップST205において決定された建築範囲と、ステップST210において決定された第1建物プランと、ステップST230において決定された第2建物プランとに基づく建物では要件に反している特殊規制を特定する(ST240)。
【0060】
ステップST240において特殊規制が特定されなかった場合(ST240のNo)、情報処理装置1はステップST250に以降して、建物の1階のプランを決定する処理を行う。ステップST250は、既に説明したステップST120(図3)と概ね同じである。
【0061】
ステップST240において特殊規制が特定された場合(ST240のYes)、情報処理装置1はステップST205に戻る。情報処理装置1は、ステップST205に戻ると、ステップST240で特定された特殊規制に属する第1規制の要件と、通常規制に属する第1規制の要件と、建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな建築範囲を決定する。ステップST240から戻ったステップST205において新たな建築範囲が決定された場合、情報処理装置1は、次のステップST210において、当該新たな建築範囲に基づいて新たな第1建物プランを決定する。
【0062】
なお、ステップST240において特定された特殊規制が第1規制を含んでいない場合、情報処理装置1は、ステップST205及びST210の処理を省略してステップST230に移行する。
【0063】
情報処理装置1は、ステップST210において新たな第1建物プランが決定された場合、次のステップST230において、当該新たな第1建物プランに基づいて新たな第2建物プランを決定する。また情報処理装置1は、ステップST240において特殊規制に属する第2規制(特定住戸の数に関する規制)が特定された場合、ステップST230において、特定された第2規制の要件を満たす最小数の特定住戸を含むように新たな第2建物プランを決定する。
【0064】
情報処理装置1は、ステップST230において新たな第2建物プランが決定された場合、次のステップST235において、それぞれ直近に決定された建築範囲、第1建物プラン及び第2建物プランの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる特殊規制を新たに抽出する。情報処理装置1は、ステップST235において1以上の特殊規制が新たに抽出された場合、次のステップST240において、それぞれ直近に決定された建築範囲、第1建物プラン及び第2建物プランに基づく建物では要件に反している特殊規制を更に特定する。以降同様に、情報処理装置1は、ステップST240において特殊規制を特定した場合はステップST205に戻り、ステップST240において特殊規制を特定しない場合はステップST250へ移行する。
【0065】
図8は、第2建物プランを決定する処理(ST230)の一例を説明するための図である。
ステップST2005及びST2010は、本発明の第7工程の一例である。
ステップST2015は、本発明の第11工程の一例である。
ステップST2025及びST2030は、本発明の第7工程の一例である。
ステップST2035は、本発明の第9工程の一例である。
ステップST2040は、本発明の第10工程の一例である。
ステップST2055及びST2060は、本発明の第8工程の一例である。
ステップST2065は、本発明の第11工程の一例である。
ステップST2075及びST2080は、本発明の第8工程の一例である。
ステップST2085は、本発明の第9工程の一例である。
ステップST2090は、本発明の第10工程の一例である。
【0066】
ステップST240(図7)において第2規制が特定されていない場合(ステップST2000のNo)、情報処理装置1は、直近のステップST210において決定された第1建物プランに基づく建物の各階に第1面積情報を割り当てる(ST2005)。この場合、情報処理装置1は、1つの階に割り当てる第1面積情報として、直近のステップST210において決定された第1建物プランにおける当該1つの階の床面積を超えない最大の床面積を示す床面積情報を含んだ第1面積情報を選択する。また、情報処理装置1は、第1建物プランに基づく建物の各階に、同一の特殊規制情報(図2A)が含まれた第1面積情報を割り当てる。
【0067】
特殊規制情報(図2A)は、所定の特殊規制が適用される場合、これを含む面積情報を第2建物プランの決定に用いるべきか否かを示す情報である。所定の特殊規制は、具体的には、廊下やエレベータなどの共用部分の面積を規定するものであり、所定の特殊規制が適用される場合と適用されない場合とで共用部分面積が変わる。共用部分面積が異なると、専有部分面積と住戸数が同じでも床面積が異なるため、面積情報の割り当ても同一にならない可能性がある。従って、同一の特殊規制情報が含まれた第1面積情報を各階に割り当てることにより、所定の特殊規制が考慮された正しい第2建物プランを決定することが可能となる。
【0068】
情報処理装置1は、各階に割り当てた第1面積情報に基づいて、第2建物プランを決定する(ST2010)。
【0069】
情報処理装置1は、第2建物プランを決定するために建物の1つの階における各住戸の専有部分面積を算出する場合、直近に決定された第1建物プランに基づく当該1つの階の床面積と、当該1つの階に割り当てた第1面積情報の床面積情報が示す床面積との差分に相当する差分面積と、当該1つの階に割り当てた第1面積情報の住戸数情報が示す住戸の数とに基づいて、差分面積から当該1つの階の各住戸へ分配される増分面積を算出する。例えば、情報処理装置1は、住戸数情報が示す住戸の数で差分面積を等分することにより増分面積を算出する。そして情報処理装置1は、当該1つの階に割り当てた第1面積情報の専有部分面積情報が示す面積(=第1面積)と増分面積との和を各住戸の専有部分の面積として算出する。これにより、第1建物プランにおける各階の床面積が住戸の専有部分面積へ無駄なく配分される。
【0070】
情報処理装置1は、ステップST2010において決定された第2建物プランに基づく建物に対して、特殊規制情報(図2A)の所定の特殊規制が適用されるか判定する(ST2015)。そして情報処理装置1は、このステップST2015における判定結果と、ステップST2010における直近の第2建物プランの決定に用いられた(第2建物プランの決定のために各階に割り当てられた)第1面積情報に含まれる特殊規制情報とが整合しているか判定する(ST2020)。ステップST2015の判定結果と第1面積情報の特殊規制情報とが整合していない場合、情報処理装置1は、ステップST2015の判定結果と整合する特殊規制情報が含まれた第1面積情報を用いて新たな第2建物プランを生成する(ST2025、ST2030)。例えば、ステップST2015において所定の特殊規制が適用されると判定された場合、所定の特殊規制が適用される場合に用いられるべきことを示す特殊規制情報が含まれた第1面積情報を用いて、ステップST2005、ST2010と同様の処理により新たな第2建物プランを決定する(ST2025、ST2030)。また、ステップST2015において所定の特殊規制が適用されないと判定された場合、所定の特殊規制が適用されない場合に用いられるべきことを示す特殊規制情報が含まれた第1面積情報を用いて、ステップST2005、ST2010と同様の処理により新たな第2建物プランを決定する(ST2025、ST2030)。
【0071】
情報処理装置1は、ステップST2015における判定結果と、直近の第2建物プランの決定(ST2010又はST2030)に用いられた第1面積情報に含まれる特殊規制情報とが整合している場合、ステップST2035へ移行する。
【0072】
ステップST2035において、情報処理装置1は、直近に決定された第2建物プランに基づいて算出される容積率が、建築の規制で定められた容積率の上限を超えるか判定する。直近に決定された第2建物プランに基づいて算出される容積率が規制の上限を超えるとステップST2035において判定された場合(ST2035のNo)、規制の上限に対する容積率の超過分に応じた面積を、直近に決定された第1建物プランにおける上位の階の床面積から削減するように修正された新たな第1建物プランを決定する(ST2040)。ステップST2040において新たな第1建物プランが決定されると、情報処理装置1はステップST2005に戻り、この新たな第1建物プランに基づいて新たな第2建物プランを決定する処理を繰り返す。第2建物プランに基づく容積率が建築の規制で定められた要件を満たす(上限を超えない)とステップST2035において判定された場合(ST2035のYes)、情報処理装置1は第2建物プランの決定処理を終了する。
【0073】
ステップST240(図7)において第2規制が特定された場合(ステップST2000のYes)、情報処理装置1は、上述したステップST2005~ST2040と概ね同様なステップST2055~ST2090の処理により第2建物プランを決定する。
【0074】
ステップST240(図7)において第2規制が特定された場合、情報処理装置1は、直近のステップST210において決定された第1建物プランに基づく建物の各階に、第1面積情報、第2面積情報及び第3面積情報のいずれか1つを割り当てる(ST2055)。この場合、情報処理装置1は、1つの階に割り当てる第1面積情報又は第2面積情報として、直近のステップST210において決定された第1建物プランにおける当該1つの階の床面積を超えない最大の床面積を示す床面積情報を含んだ第1面積情報又は第2面積情報を選択する。また、情報処理装置1は、1つの階に割り当てる第3面積情報として、直近のステップST210において決定された第1建物プランにおける当該1つの階の床面積を超えない最大の床面積を示す第3床面積情報(図2B)を含んだ第3面積情報を選択する。
【0075】
情報処理装置1は、ステップST2055において建物の各階に第1面積情報~第3面積情報を割り当てる場合、建物全体における第2住戸の数が、ステップST240で特定された第2規制の要件を満たす特定住戸の最小数となるように割り当てを行う。
【0076】
また、情報処理装置1は、ステップST2055において建物の各階に第1面積情報~第3面積情報を割り当てる場合、第1建物プランに基づく建物の各階に、同一の特殊規制情報(図2A)が含まれた第1面積情報、第2面積情報又は第3面積情報を割り当てる。
【0077】
情報処理装置1は、ステップST2055において各階に割り当てた第1面積情報に基づいて、第2建物プランを決定する(ST2060)。
【0078】
情報処理装置1は、第1面積情報又は第2面積情報が割り当てられた建物の1つの階における各住戸の専有部分面積を算出する場合、直近に決定された第1建物プランに基づく当該1つの階の床面積と、当該1つの階に割り当てた第1面積情報又は第2面積情報の床面積情報が示す床面積との差分に相当する差分面積と、当該1つの階に割り当てた第1面積情報又は第2面積情報の住戸数情報が示す住戸の数とに基づいて、差分面積から当該1つの階の各住戸へ分配される増分面積を算出する。例えば、情報処理装置1は、住戸数情報が示す住戸の数で差分面積を等分することにより増分面積を算出する。そして情報処理装置1は、当該1つの階に割り当てた第1面積情報又は第2面積情報の専有部分面積情報が示す面積(第1面積又は第2面積)と増分面積との和を各住戸の専有部分の面積として算出する。
【0079】
他方、情報処理装置1は、第3面積情報が割り当てられた建物の1つの階における各住戸の専有部分面積を算出する場合、直近に決定された第1建物プランに基づく当該1つの階の床面積と、当該1つの階に割り当てた第3面積情報の第3床面積情報が示す床面積との差分に相当する差分面積と、当該1つの階に割り当てた第3面積情報の第1住戸数情報及び第2住戸数情報が示す1階分の住戸の数とに基づいて、差分面積から当該1つの階の各住戸へ分配される増分面積を算出する。例えば、情報処理装置1は、第1住戸数情報及び第2住戸数情報が示す1階分の住戸の数で差分面積を等分することにより増分面積を算出する。そして情報処理装置1は、当該1つの階に割り当てた第3面積情報の専有部分面積情報が示す面積(第1面積、第2面積)と増分面積との和を各住戸の専有部分の面積として算出する。
【0080】
情報処理装置1は、ステップST2060において決定された第2建物プランに基づく建物に対して、特殊規制情報(図2A)の所定の特殊規制が適用されるか判定する(ST2065)。情報処理装置1は、ステップST2065における判定結果と、ステップST2060における直近の第2建物プランの決定に用いられた(第2建物プランの決定のために各階に割り当てられた)第1面積情報~第3面積情報に含まれる特殊規制情報とが整合しているか判定する(ST2070)。ステップST2065の判定結果と第1面積情報の特殊規制情報とが整合していない場合、情報処理装置1は、ステップST2065の判定結果と整合する特殊規制情報が含まれた第1面積情報を用いて新たな第2建物プランを生成する(ST2075、ST2080)。例えば、ステップST2065において所定の特殊規制が適用されると判定された場合、所定の特殊規制が適用される場合に用いられるべきことを示す特殊規制情報が含まれた第1面積情報~第3面積情報を用いて、ステップST2055、ST2060と同様の処理により新たな第2建物プランを決定する(ST2075、ST2080)。また、ステップST2065において所定の特殊規制が適用されないと判定された場合、所定の特殊規制が適用されない場合に用いられるべきことを示す特殊規制情報が含まれた第1面積情報~第3面積情報を用いて、ステップST2055、ST2060と同様の処理により新たな第2建物プランを決定する(ST2075、ST2080)。
【0081】
情報処理装置1は、ステップST2065における判定結果と、直近の第2建物プランの決定(ST2060)に用いられた第1面積情報~第3面積情報に含まれる特殊規制情報とが整合している場合、ステップST2085へ移行する。
【0082】
ステップST2085において、情報処理装置1は、直近に決定された第2建物プランに基づいて算出される容積率が、建築の規制で定められた容積率の上限を超えるか判定する。直近に決定された第2建物プランに基づいて算出される容積率が規制の上限を超えるとステップST2085において判定された場合(ST2085のNo)、規制の上限に対する容積率の超過分に応じた面積を、直近に決定された第1建物プランにおける上位の階の床面積から削減するように修正された新たな第1建物プランを決定する(ST2090)。ステップST2090において新たな第1建物プランが決定されると、情報処理装置1はステップST2055に戻り、この新たな第1建物プランに基づいて新たな第2建物プランを決定する処理を繰り返す。第2建物プランに基づく容積率が建築の規制で定められた要件を満たす(上限を超えない)とステップST2085において判定された場合(ST2085のYes)、情報処理装置1は第2建物プランの決定処理を終了する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、建物が予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる第2規制を考慮して建物のプランが生成される。そのため、ワンルーム条例のような特殊規制に属する第2規制が適用される場合でも、規制の要件を満たした収益性の高い建物のプランを得ることが可能となる。
【0084】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る情報処理装置1における処理は、上述した第2の実施形態における処理の一部を変更したものである。
【0085】
図9は、第3の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。図9に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートにステップST220、ST225及びST245を追加したものであり、他のステップは図9に示すフローチャートと同じである。ここでは、図7に示すフローチャートとの相違点を中心に説明する。
ステップST220は、本発明の第12工程の一例である。
ステップST225は、本発明の第13工程の一例である。
ステップST245は、本発明の第14工程の一例である。
【0086】
ステップST210において第1建物プランが決定されると、情報処理装置1は、ステップST215において第2規制が特定されたか判定する(ST215)。ステップST240において第2規制が特定された場合(ST215のYes)、情報処理装置1は、この特定された第2規制が、建物における第1住戸の数が所定の戸数を超えることにより適用されたものであるならば、所定の戸数からの超過分の第1住戸を設置するために必要な面積を、直近に決定された第1建物プランにおける上位の階の床面積から削減するように修正された新たな第1建物プランを決定する(ST220)。そして情報処理装置1は、この新たな第1建物プランに基づいて、既に説明したステップST230に準ずる処理により、新たな第2建物プランを決定する
【0087】
ステップST240において第2規制が特定されていない場合(ST215のNo)や、ステップST225において既に新たな第2建物プランが決定されている場合、情報処理装置1はステップST220、ST225の処理を実行せずにステップST230へ移行する。
【0088】
その後、ステップST240において要件に反した特殊規制が特定されなかった場合(ST240のNo)、情報処理装置1は、直近のステップST230において決定された第2建物プランに基づく容積率と、ステップST225で決定された第2建物プランに基づく容積率とを比較し、この比較結果に基づいて、容積率が大きい一方の第2建物プランを最終的に選択する(ST245)。
【0089】
本実施形態によれば、第2規制が適用される条件の境界付近において、第2規制が適用されないように第1住戸の数を減らした方が、第2規制の適用時よりも容積率が大きくなる場合に、より容積率の大きい建物プラン(第2規制が適用されないようにするプラン)を生成できる。従って、より収益性の高い建物プランを得ることができる。
【0090】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る情報処理装置1の構成は既に説明した図1に示す情報処理装置1と同じであり、建物プラン生成処理の一部が上述した第1の実施形態~第3の実施形態と異なる。
【0091】
第1の実施形態~第3の実施形態に係る建物プラン生成処理では、敷地内領域に対応する建物の建築面積が第1規制の要件及び建蔽率の要件を満たす最大の面積となるよう建物のプランが生成されるのに対して、本実施形態では、住戸の数に基づいて定められた固定の建築面積を持つ複数パターンの建物のプランから大きい容積率の得られる建物のプランが選択される。
【0092】
図10は、第4の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
ステップST300は、本発明の第1工程の一例である。
ステップST305は、本発明の第2工程の一例である。
ステップST310は、本発明の第3工程の一例である。
ステップST330は、本発明の第15工程の一例である。
ステップST335は、本発明の第19工程の一例である。
ステップST120は、本発明の第20工程の一例である。
【0093】
まずステップST300において、情報処理装置1は、ステップST100(図3)と同様に、敷地の情報や規制の情報を取得する。
【0094】
情報処理装置1は、ステップST300で取得された情報に基づいて、1以上の建築範囲を決定する(ST305)。すなわち、情報処理装置1は、第1規制の要件と建蔽率の要件とをそれぞれ満たしており、かつ、最大の床面積がそれぞれ定められた1以上の建築範囲を決定する。各建築範囲における最大の床面積は、1つの階に設けられる住戸(第1面積以上の所定の面積の専有部分を持った住戸)の数に基づいて定められている。ステップST305において情報処理装置1が決定する1以上の建築範囲は、最大の床面積がそれぞれ異なっている(すなわち、最大の床面積の階における住戸の数が異なっている)。
【0095】
情報処理装置1は、例えば図4Cに示すように敷地内領域の領域境界線を後退させることで、最大の床面積に対応した敷地内領域の面積が所定の床面積となるように建築範囲を決定することができる。
【0096】
情報処理装置1は、ステップST305において1以上の建築範囲を決定すると、当該1以上の建築範囲の各々について、建物における住戸の数が最も多くなる1つの第1建物プラン(建物の階数、各階の床面積)を決定する(ST310)。建築範囲に基づく第1建物プランの決定方法は、既に説明したステップST110(図3)と同じである。
【0097】
情報処理装置1は、ステップST310において1以上の第1建物プランを決定すると、当該1以上の第1建物プランの各々について1以上の第2建物プラン(各階の住戸数、各住戸の専有部分面積、各階の共用部分面積)を決定する(ST330)。
【0098】
情報処理装置1は、例えば、面積情報DB23の面積情報(図2A)に基づいて第2建物プラン(各階の住戸数、各住戸の専有部分面積、各階の共用部分面積)を決定する。具体的には、情報処理装置1は、個々の第1建物プランについて、所定の専有部分面積(ユーザにより設定された専有部分面積)を示す専有部分面積情報と、第1建物プランにおける床面積を超えない床面積を示す床面積情報とを含んだ面積情報を、建物の各階について面積情報DB23から取得し、各階に割り当てる。情報処理装置1は、各階に割り当てた面積情報(図2A)に基づいて、各階の住戸数、各住戸の専有部分面積及び共用部分面積を決定する。各階に割り当てた面積情報により決定される第2建物プランが容積率の要件に反する場合、情報処理装置1は、上位の階における住戸の専有部分面積を第1面積まで減らしたり、上位の階の住戸数を減らしたりすることにより、容積率の要件を満たした第2建物プランを決定する。
【0099】
情報処理装置1は、ステップST330において複数の第2建物プランが決定されると、その中から最も大きい容積率が得られる第2建物プランを選択する(ST335)。2以上の第2建物プランで最大の容積率が得られる場合、情報処理装置1は、例えば、より階数の低い第2建物プランを選択する。階数も等しい場合、情報処理装置1は、例えば、床面積が小さい方の第2建物プランを選択する。
【0100】
ステップST115において第2建物プランが決定されると、情報処理装置1は、既に説明したステップST120(図3)と同様に、建物の1階のプランを決定する(ST355)。
【0101】
以上説明したように、本実施形態によれば、建築の規制の要件を満たした複数パターンの建物のプランから容積率の大きいプランが選択されるため、建築の規制の要件を満たしつつ、収益性の高い建物のプラン(第1建物プラン、第2建物プラン)を生成することが可能となる。
【0102】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態に係る建物プラン生成処理は、上述した第4の実施形態に係る処理において特殊規制の要件を満たすようにする処理を追加したものである。
【0103】
図11は、第5の実施形態に係る建物プラン生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。図11に示すフローチャートは、図10に示すフローチャートにステップST340及びST350を追加したものであり、他のステップは概ね図10に示すフローチャートと同じである。
ステップST340は、本発明の第5工程の一例である。
ステップST350は、本発明の第6工程の一例である。
【0104】
ステップST335において1つの第2建物プランが選択されると、情報処理装置1は、選択された当該1つの第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの建築範囲との少なくとも1つに応じて適用されることが決まる特殊規制(第1規制、第2規制など)を抽出する(ST340)。
【0105】
ステップST340において1以上の特殊規制が抽出された場合、情報処理装置1は、この1以上の特殊規制の中から、ステップST335において選択された1つの第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの建築範囲とに基づく建物では要件に反している特殊規制を特定する(ST350)。
【0106】
ステップST350において特殊規制が特定された場合(ST350のYes)、情報処理装置1はステップST305に戻る。情報処理装置1は、ステップST305に戻ると、ステップST350で特定された特殊規制に属する第1規制の要件と、通常規制に属する第1規制の要件と、建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな1以上の建築範囲を決定する。ステップST350において特定された特殊規制に第2規制が含まれる場合は、最大の床面積の階に設けられる第1住戸の数と第2住戸の数との組み合わせがそれぞれ異なる1以上の建築範囲を決定する。
【0107】
図12は、建築範囲を決定する処理(ST305)の一例を説明するためのフローチャートである。
【0108】
ステップST350において特殊規制を特定していない場合(ST3000のNo)、情報処理装置1は、通常規制に属する第1規制の要件と、建蔽率の要件とをそれぞれ満たした1以上の第1面積情報を面積情報DB23において選択し(ST3010)、選択した1以上の第1面積情報の各々について、床面積情報が示す床面積を最大の床面積として建築範囲を決定する(ST3015)。
【0109】
ステップST350において特殊規制を特定している場合であって(ST3000のYes)、特定した特殊規制に第2規制が含まれていない場合(ST3005のNo)、情報処理装置1は、通常規制に属する第1規制の要件と、特殊規制に属する第1規制の要件と、建蔽率の要件とをそれぞれ満たした1以上の第1面積情報を面積情報DB23において選択し(ST3020)、選択した1以上の第1面積情報の各々について、床面積情報が示す床面積を最大の床面積として建築範囲を決定する(ST3025)。
【0110】
ステップST350において特殊規制を特定している場合であって(ST3000のYes)、特定した特殊規制に第2規制が含まれている場合(ST3005のYes)、情報処理装置1は、それぞれ建蔽率の要件と第1規制の要件とを満たした1以上の面積情報(第1面積情報、及び/又は、第2面積情報)と1以上の第3面積情報とを選択する(ST3030)。情報処理装置1は、選択した1以上の面積情報(第1面積情報、及び/又は、第2面積情報)の各々について、床面積情報が示す床面積を最大の床面積として建築範囲を決定する。また情報処理装置1は、選択した1以上の第3面積情報の各々について、第3床面積情報が示す床面積を最大の床面積として建築範囲を決定する(ST3035)。
【0111】
図11に戻る。
ステップST305において新たな1以上の建築範囲が決定された場合、情報処理装置1は、ステップST310において、当該新たな1以上の建築範囲に基づいて新たな1以上の第1建物プランを決定する。
【0112】
ステップST310において新たな1以上の第1建物プランが決定された場合、情報処理装置1は、ステップST330において、当該新たな1以上の第1建物プランに基づいて新たな1以上の第2建物プランを決定する。ここで、ステップST350において特定された特殊規制に第2規制が含まれる場合、情報処理装置1は、特定された第2規制の要件を満たす最小数の第2住戸を含むように新たな1以上の第2建物プランを決定する。情報処理装置1は、ステップST330において決定された複数の第2建物プランから、最大の容積率が得られる第2建物プランを再び選択する(ST335)。
【0113】
ステップST335において1つの第2建物プランが選択された場合、情報処理装置1は、ステップST340において、当該選択された1つの第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの建築範囲との少なくとも1つに応じて適用されることが決まる特殊規制を新たに抽出する。また情報処理装置1は、ステップST340において1以上の特殊規制が新たに抽出された場合、直近のステップST335において選択された1つの第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの建築範囲とに基づく建物では要件に反している特殊規制を更に特定する。以降同様に、情報処理装置1は、ステップST350において特殊規制を特定した場合はステップST305に戻り、ステップST350において特殊規制を特定しない場合はステップST355へ移行する。
【0114】
図13は、第2建物プランを決定する処理(ST330)の一例を説明するための図である。
ステップST3105~ST3155は、本発明の第16工程の一例である。
ステップST3205~ST3255は、本発明の第17工程の一例である。
ステップST3125は、本発明の第18工程の一例である。
ステップST3225は、本発明の第18工程の一例である。
【0115】
ST350において第2規制が特定されていない場合(ST3100のNo)、情報処理装置1は、直近のステップST310において決定された1以上の第1建物プランを順番に1つずつ選択し(ST3105、ST3150、ST3155)、選択した第1建物プランについてステップST3110~ST3145の処理を行う。
【0116】
更に情報処理装置1は、ステップST3110~ST3135において、面積情報に含まれる特殊規制情報(図2A)を順番に1つずつ選択し(ST3110、ST3130、ST3135)、選択した特殊規制情報についてステップST3115~ST3125の処理を行う。
【0117】
ステップST3115において、情報処理装置1は、選択中の第1建物プランに基づく建物の各階に、面積情報DB23で取得した第1面積情報を割り当てる。情報処理装置1は、1つの階に1つの第1面積情報を割り当てる場合、選択中の第1建物プランにおける当該1つの階の床面積を超えない最大の床面積を示す床面積情報を含むとともに、選択中の特殊規制情報を含んだ第1面積情報を面積情報DB23から取得し、当該1つの階に割り当てる。情報処理装置1は、各階に割り当てた第1面積情報に基づいて、選択中の第1建物プランに対応する第2建物プランを決定する(ST3120)。情報処理装置1は、ステップST3120において決定された第2建物プランに基づく建物に対して、選択中の特殊規制情報に関わる所定の特殊規制が適用されるか否か判定する(ST3125)。ステップST3115~ST125の処理によって、同一の特殊規制情報を含む第1面積情報に基づいて決定された1以上の第2建物プランが得られる。
【0118】
情報処理装置1は、ステップST3115~ST3125の処理の繰り返しによって決定された1以上の第2建物プランの各々について容積率を算出し、建築の規制における容積率の要件を満たしているか判定する(ST3140)。すなわち情報処理装置1は、第2建物プランを決定するために建物の各階に割り当てた第1面積情報に応じた容積率を算出し、当該算出した容積率が建築の規制に定められた容積率の上限を超えているか判定する。算出した容積率が規制の要件に反する場合(ST3140のNo)、情報処理装置1は、各階に割り当てた第1面積情報に応じた容積率が規制の要件を満たすように、上位の階に割り当てる第1面積情報を変更する(例えば専有部分面積が小さい第1面積情報に変更する)。また情報処理装置1は、第1面積情報の変更だけでは容積率の規制の要件を満たすことができない場合、上位の階を削除して階数を減らしてもよい。
【0119】
ステップST350において第2規制が特定された場合(ST3100のYes)、情報処理装置1は、直近のステップST310において決定された1以上の第1建物プランを順番に1つずつ選択し(ST3205、ST3250、ST3255)、選択した第1建物プランについてステップST3210~ST3245の処理を行う。
【0120】
更に情報処理装置1は、ステップST3210~ST3235において、面積情報に含まれる特殊規制情報(図2A)を順番に1つずつ選択し(ST3210、ST3230、ST3235)、選択した特殊規制情報についてST3215~ST3225の処理を行う。
【0121】
ステップST3215において、情報処理装置1は、選択中の第1建物プランに基づく建物の各階に、面積情報DB23で取得した第1面積情報、第2面積情報及び第3面積情報のいずれか1つを割り当てる。情報処理装置1は、1つの階に1つの第1面積情報又は第2面積情報を割り当てる場合、選択中の第1建物プランにおける当該1つの階の床面積を超えない最大の床面積を示す床面積情報を含むとともに、選択中の特殊規制情報を含んだ第1面積情報又は第2面積情報を面積情報DB23において取得し、当該1つの階に割り当てる。また情報処理装置1は、1つの階に1つの第3面積情報を割り当てる場合、選択中の第1建物プランにおける当該1つの階の床面積を超えない最大の床面積を示す第3床面積情報を含むとともに、選択中の特殊規制情報を含んだ第3面積情報を面積情報DB23から取得し、当該1つの階に割り当てる。
【0122】
情報処理装置1は、ステップST3215において建物の各階に第1面積情報~第3面積情報を割り当てる場合、建物全体における第2住戸の数が、ステップST350で特定された第2規制の要件を満たす特定住戸の最小数となるように割り当てを行う。
【0123】
情報処理装置1は、各階に割り当てた第1面積情報~第3面積情報に基づいて、選択中の第1建物プランに対応する第2建物プランを決定する(ST3220)。情報処理装置1は、ステップST3220において決定された第2建物プランに基づく建物に対して、選択中の特殊規制情報に関わる所定の特殊規制が適用されるか否か判定する(ST3225)。ステップST3215~ST225の処理によって、同一の特殊規制情報を含む第1面積情報~第3面積情報に基づいて決定された1以上の第2建物プランが得られる。
【0124】
情報処理装置1は、ステップST3215~ST3225の処理の繰り返しによって決定された1以上の第2建物プランの各々について容積率を算出し、建築の規制における容積率の要件を満たしているか判定する(ST3240)。すなわち情報処理装置1は、第2建物プランを決定するために建物の各階に割り当てた第1面積情報~第3面積情報に応じた容積率を算出し、当該算出した容積率が建築の規制に定められた容積率の上限を超えているか判定する。算出した容積率が規制の要件に反する場合(ST3240のNo)、情報処理装置1は、各階に割り当てた第1面積情報~第3面積情報に応じた容積率が規制の要件を満たすように、上位の階に割り当てる第1面積情報~第3面積情報を変更する(例えば専有部分面積が小さい第1面積情報~第3面積情報に変更する)。また情報処理装置1は、第1面積情報~第3面積情報の変更だけでは容積率の規制の要件を満たすことができない場合、上位の階を削除して階数を減らしてもよい。
【0125】
上述した図13の処理によって複数の第2建物プランが決定された場合(ST330)、情報処理装置1は、次のステップST335において1つの第2建物プランを選択する場合に、ステップST3125、ST3225における判定結果を参照する。すなわち、情報処理装置1は、ステップST330において決定された1以上の第2建物プランの中から、ステップST3125、ST3225の判定結果と整合とする特殊規制情報が含まれた面積情報(第1面積情報、第2面積情報、第3面積情報)に基づく第2建物プランであって、かつ、最も大きい容積率が得られる第2建物プランを選択する。
【0126】
以上説明したように、本実施形態によれば、建物が予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる第2規制を考慮して建物のプランが生成される。そのため、ワンルーム条例のような特殊規制に属する第2規制が適用される場合でも、規制の要件を満たした収益性の高い建物のプランを得ることが可能となる。
【0127】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。
【0128】
例えば、上述した実施形態では情報処理装置1が端末装置3からの要求に応じて建物のプランの情報を端末装置3に提供しているが、本発明の他の実施形態では、情報処理装置1に設けられたディスプレイ等においてユーザが建物のプランを閲覧できるようにしてもよい。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載の内容を付記する。
[1]
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行する方法であって、
前記建物が建築される敷地の境界線に関する情報、前記境界線に接した隣地若しくは道路に関する情報、及び、前記敷地の所在地において適用され得る建築の規制に関する情報を取得する第1工程と、
前記第1工程において取得された情報に基づいて、前記敷地における前記建物の3次元の建築範囲であって、前記規制における前記建築範囲に関連する第1規制の要件を満たすとともに、前記規制における建蔽率の要件を満たした前記建築範囲を決定する第2工程と、
前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記建物の各階に設定された階高とに基づいて、前記建物の階数と前記建物の各階の床面積とに関する第1建物プランであって、前記建物における住戸の数が最も多くなる前記第1建物プランを決定する第3工程と、
前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記住戸の専有部分の最小面積として設定された第1面積とに基づいて、前記建物の各階における前記住戸の数と、各階の前記床面積に占める各前記住戸の前記専有部分の面積と、各階の前記床面積に占める共用部分の面積とに関する第2建物プランであって、前記規制における容積率の要件を満たした前記第2建物プランを決定する第4工程と、
を有する方法。
[2]
前記規制には、常に適用される通常規制と、予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制とが含まれており、
前記特殊規制には、前記第1面積より大きい第2面積以上の前記専有部分を持つ特定住戸の数に関連する第2規制が含まれており、
前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記第4工程において決定された前記第2建物プランとの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を抽出する第5工程と、
前記第5工程において1以上の前記特殊規制が抽出された場合、当該1以上の特殊規制の中から、前記第2工程において決定された前記建築範囲と、前記第3工程において決定された前記第1建物プランと、前記第4工程において決定された前記第2建物プランとに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定する第6工程とを有し、
前記第2工程は、前記第1規制の要件を満たすとともに前記建蔽率の要件を満たした最も範囲の広い前記建築範囲を決定し、前記第6工程において前記特殊規制に属する前記第1規制が特定された場合、特定された前記特殊規制に属する前記第1規制の要件と前記通常規制に属する前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな前記建築範囲を決定することを含み、
前記第3工程は、前記第2工程において新たな前記建築範囲が決定された場合、当該新たな建築範囲に基づいて新たな前記第1建物プランを決定することを含み、
前記第4工程は、前記第3工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて新たな前記第2建物プランを決定し、前記第6工程において前記第2規制が特定された場合には、特定された前記第2規制の要件を満たす最小数の前記特定住戸を含むように新たな前記第2建物プランを決定することを含み、
前記第5工程は、前記第4工程において新たな前記第2建物プランが決定された場合、それぞれ直近に決定された前記建築範囲、前記第1建物プラン及び前記第2建物プランの少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を新たに抽出することを含み、
前記第6工程は、前記第5工程において1以上の前記特殊規制が新たに抽出された場合、それぞれ直近に決定された前記建築範囲、前記第1建物プラン及び前記第2建物プランに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定することを含む、
[1]に記載の方法。
[3]
前記情報処理装置は、記憶装置にアクセス可能であり、
前記記憶装置は、複数の面積情報を記憶しており、
1つの前記面積情報は、
1つの階における前記住戸の数に関する住戸数情報と、
各前記住戸の前記専有部分の面積に関する専有部分面積情報と、
当該1つの階の前記床面積に関する床面積情報と、
当該1つの階の前記共用部分の面積に関する共用部分面積情報と、
を含み、
前記専有部分の面積が前記第1面積である前記住戸を第1住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記住戸を第2住戸と呼び、
前記専有部分面積情報が前記第1面積を示す前記面積情報を第1面積情報と呼び、
前記専有部分面積情報が前記第2面積を示す前記面積情報を第2面積情報と呼び、
1つの前記第1面積情報と1つの前記第2面積情報との組み合わせを第3面積情報と呼び、
1つの前記第3面積情報は、
1つの階における前記第1住戸の数に関する前記住戸数情報である第1住戸数情報と、
当該1つの階における前記第2住戸の数に関する前記住戸数情報である第2住戸数情報と、
前記第1面積情報の前記床面積情報と前記第2面積情報の前記床面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記床面積に関する第3床面積情報と、
前記第1面積情報の前記共用部分面積情報と前記第2面積情報の前記共用部分面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記共用部分の面積に関する第3共用部分面積情報と、
を含み、
前記第4工程は、
前記第6工程において前記第2規制が特定されていない場合、直近の前記第3工程において決定された前記第1建物プランに基づく前記建物の各階に前記第1面積情報を割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第7工程と、
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合、直近の前記第3工程において決定された前記第1建物プランに基づく前記建物の各階に、前記第1面積情報、前記第2面積情報及び前記第3面積情報のいずれか1つを割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、1つの階に割り当てた前記第3面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記第3床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報の前記住戸数情報が示す全ての前記第2住戸の数は、前記第2規制の要件を満たす前記特定住戸の最小数であり、各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第8工程と、
を含む、
[2]に記載の方法。
[4]
前記第4工程は、
前記第7工程又は前記第8工程において決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率が前記規制で定められた前記容積率の上限を超えるか判定する第9工程と、
直近に決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率が前記上限を超えると前記第9工程において判定された場合、前記上限に対する前記容積率の超過分に応じた面積を、直近に決定された前記第1建物プランにおける上位の階の前記床面積から削減するように修正された新たな前記第1建物プランを決定する第10工程と
を含み、
前記第7工程及び前記第8工程は、前記第10工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて新たな前記第2建物プランを決定することを含む、
[3]に記載の方法。
[5]
前記第7工程は、前記建物の1つの階における各前記住戸の前記専有部分の面積を算出する場合、直近に決定された前記第1建物プランに基づく当該1つの階の前記床面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報の前記床面積情報が示す前記床面積との差分に相当する差分面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報の前記住戸数情報が示す前記住戸の数とに基づいて、前記差分面積から当該1つの階の各前記住戸へ分配される増分面積を算出し、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報の前記専有部分面積情報が示す面積と前記増分面積との和を各前記住戸の前記専有部分の面積として算出することを含み、
前記第8工程は、
前記第1面積情報又は前記第2面積情報が割り当てられた前記建物の1つの階における各前記住戸の前記専有部分の面積を算出する場合、直近に決定された前記第1建物プランに基づく当該1つの階の前記床面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報の前記床面積情報が示す前記床面積との差分に相当する前記差分面積と、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報の前記住戸数情報が示す前記住戸の数とに基づいて、前記差分面積から当該1つの階の各前記住戸に分配される前記増分面積を算出し、当該1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報の前記専有部分面積情報が示す面積と前記増分面積との和を各前記住戸の前記専有部分の面積として算出することを含み、
前記第3面積情報が割り当てられた前記建物の1つの階における各前記住戸の前記専有部分の面積を算出する場合、直近に決定された前記第1建物プランに基づく当該1つの階の前記床面積と、当該1つの階に割り当てた前記第3面積情報の前記第3床面積情報が示す前記床面積との差分に相当する前記差分面積と、当該1つの階に割り当てた前記第3面積情報の前記第1住戸数情報及び前記第2住戸数情報が示す1階分の前記住戸の数とに基づいて、前記差分面積から当該1つの階の各前記第1住戸及び各前記第2住戸に分配される前記増分面積を算出し、当該1の階における前記第1住戸については、前記第1面積と前記増分面積との和を前記専有部分の面積として算出し、当該1の階における前記第2住戸については、前記第2面積と前記増分面積との和を前記専有部分の面積として算出することを含む、
[4]に記載の方法。
[6]
前記面積情報は、所定の前記特殊規制が適用される場合、当該面積情報を前記第2建物プランの決定に用いるべきか否かを示す特殊規制情報を含んでおり、
前記第7工程は、直近の前記第3工程において決定された第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報を割り当てることを含み、
前記第8工程は、直近の前記第3工程において決定された第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報を割り当てることを含み、
前記第4工程は、前記第7工程又は前記第8工程において決定された前記第2建物プランに基づく前記建物に対して前記所定の特殊規制が適用されるか判定する第11工程を含み、
前記第7工程及び前記第8工程は、前記第11工程における判定結果と、直近の前記第2建物プランの決定に用いられた前記第1面積情報及び/又は前記第2面積情報に含まれる前記特殊規制情報とが整合していない場合、前記第11工程における判定結果と整合する前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報及び/又は前記第2面積情報を用いて新たな前記第2建物プランを決定することを含み、
前記第9工程は、前記第11工程における判定結果と、直近の前記第2建物プランの決定に用いられた前記第1面積情報及び/又は前記第2面積情報に含まれる前記特殊規制情報とが整合している場合に、前記容積率についての前記判定を行うことを含む、
[4]に記載の方法。
[7]
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合において、特定された前記第2規制が、前記建物における前記第1住戸の数が所定の戸数を超えることにより適用されたものであるならば、前記所定の戸数からの超過分の前記第1住戸を設置するために必要な面積を、直近に決定された第1建物プランにおける上位の階の前記床面積から削減するように修正された新たな前記第1建物プランを決定する第12工程と、
前記第12工程において新たな前記第1建物プランが決定された場合、当該新たな第1建物プランに基づいて、前記第4工程に準じた処理により前記第2建物プランを決定する第13工程と、
直近の前記第4工程において決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率と、前記第13工程において決定された前記第2建物プランに基づいて算出される前記容積率とを比較し、当該比較の結果に基づいて、前記容積率が大きい一方の前記第2建物プランを選択する第14工程とを有する、
[4]に記載の方法。
[8]
前記敷地の上方から鉛直方向に沿って見た前記建築範囲の領域を、敷地内領域と呼び、
前記第2工程は、
前記敷地の各前記境界線を前記敷地の内側へ後退させることにより形成される2次元の領域を前記敷地内領域として設定することと、
前記敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、前記第1規制における前記敷地の前記境界線からの後退距離に関する前記規制の要件に反している場合、当該規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることと、
高さの制限に関する前記第1規制、及び/又は、斜線制限に関する前記第1規制の要件に基づいて、前記建築範囲の上方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた前記建築範囲の側方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の面積に対応する建築面積が前記規制における前記建蔽率の要件を満たしていない場合、前記建蔽率の要件を満たすように、前記上方の境界面と最も低い位置で接した前記側方の境界面に対応する前記敷地内領域の領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることとを含む、
[2]に記載の方法。
[9]
前記第2工程は、前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たした1以上の前記建築範囲であって、最大の前記床面積がそれぞれ定められた前記1以上の建築範囲を決定することを含み、
前記最大の床面積は、1つの階に設けられる前記住戸の数であって、前記第1面積以上の所定の面積の前記専有部分を持った前記住戸の数に基づいて定められており、
前記1以上の建築範囲は、前記最大の床面積がそれぞれ異なっており、
前記第3工程は、前記第2工程において決定された前記1以上の建築範囲の各々について、前記建物における前記住戸の数が最も多くなる1つの前記第1建物プランを決定することを含み、
前記第4工程は、
前記第3工程において決定された1以上の前記第1建物プランの各々について1以上の前記第2建物プランを決定する第15工程と、
前記第15工程において決定された1以上の前記第2建物プランの中から、最も大きい容積率が得られる前記第2建物プランを選択する第19工程と
を含む、
[1]に記載の方法。
[10]
前記規制には、常に適用される通常規制と、予め定められた条件に該当するか否かに応じて適用の有無が決まる特殊規制とが含まれており、
前記特殊規制には、前記第1面積より大きい第2面積以上の前記専有部分を持つ特定住戸の数に関連する第2規制が含まれており、
前記第19工程において選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲との少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を抽出する第5工程と、
前記第5工程において1以上の前記特殊規制が抽出された場合、当該1以上の特殊規制の中から、前記第19工程において選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲とに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定する第6工程とを有し、
前記専有部分の面積が前記第1面積である前記住戸を第1住戸と呼び、
前記専有部分の面積が前記第2面積である前記住戸を第2住戸と呼び、
前記第2工程は、
前記第6工程において前記特殊規制が特定された場合、特定された前記特殊規制の要件と前記通常規制に属する前記第1規制の要件と前記建蔽率の要件とをそれぞれ満たす新たな前記1以上の建築範囲を決定することと、
前記第6工程において特定された前記特殊規制に前記第2規制が含まれる場合は、前記最大の床面積の階に設けられる前記第1住戸の数と前記第2住戸の数との組み合わせがそれぞれ異なる前記1以上の建築範囲を決定することと
を含み、
前記第3工程は、前記第2工程において新たな前記1以上の建築範囲が決定された場合、当該新たな1以上の建築範囲に基づいて新たな前記1以上の第1建物プランを決定することを含み、
前記第15工程は、前記第3工程において新たな前記1以上の第1建物プランが決定された場合、当該新たな1以上の第1建物プランに基づいて新たな前記1以上の第2建物プランを決定し、前記第6工程において特定された前記特殊規制に前記第2規制が含まれる場合には、特定された前記第2規制の要件を満たす最小数の前記第2住戸を含むように新たな前記1以上の第2建物プランを決定することを含み、
前記第5工程は、前記第15工程において決定された新たな前記1以上の第2建物プランの中から前記第19工程において1つの前記第2建物プランが選択された場合、当該選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲との少なくとも1つに応じて適用されることが決まる前記特殊規制を新たに抽出することを含み、
前記第6工程は、前記第5工程において1以上の前記特殊規制が新たに抽出された場合、直近の前記第19工程において選択された1つの前記第2建物プランと、当該1つの第2建物プランに対応する1つの前記第1建物プランと、当該1つの第1建物プランに対応する1つの前記建築範囲とに基づく前記建物では要件に反している前記特殊規制を特定することを含む、
[9]に記載の方法。
[11]
前記情報処理装置は、記憶装置にアクセス可能であり、
前記記憶装置は、複数の面積情報を記憶しており、
1つの前記面積情報は、
1つの階における前記住戸の数に関する住戸数情報と、
各前記住戸の前記専有部分の面積に関する専有部分面積情報と、
当該1つの階の前記床面積に関する床面積情報と、
当該1つの階の前記共用部分の面積に関する共用部分面積情報と、
を含み、
前記専有部分面積情報が前記第1面積を示す前記面積情報を第1面積情報と呼び、
前記専有部分面積情報が前記第2面積を示す前記面積情報を第2面積情報と呼び、
1つの前記第1面積情報と1つの前記第2面積情報との組み合わせを第3面積情報と呼び、
1つの前記第3面積情報は、
1つの階における前記第1住戸の数に関する前記住戸数情報である第1住戸数情報と、
当該1つの階における前記第2住戸の数に関する前記住戸数情報である第2住戸数情報と、
前記第1面積情報の前記床面積情報と前記第2面積情報の前記床面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記床面積に関する第3床面積情報と、
前記第1面積情報の前記共用部分面積情報と前記第2面積情報の前記共用部分面積情報との組み合わせが示す当該1つの階の前記共用部分の面積に関する第3共用部分面積情報と、
を含み、
前記第2工程は、
前記第6工程において前記第2規制が特定されていない場合、それぞれ前記建蔽率の要件を満たした1以上の前記第1面積情報を選択し、選択した1以上の前記第1面積情報の各々について、前記床面積情報が示す前記床面積を前記最大の床面積として前記建築範囲を決定することと、
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合、それぞれ前記建蔽率の要件を満たした1以上の前記面積情報と1以上の前記第3面積情報とを選択し、選択した1以上の前記面積情報の各々について、前記床面積情報が示す前記床面積を前記最大の床面積として前記建築範囲を決定し、選択した1以上の前記第3面積情報の各々について、前記第3床面積情報が示す前記床面積を前記最大の床面積として前記建築範囲を決定することと
を含み、
前記第15工程は、
前記第6工程において前記第2規制が特定されていない場合、直近の前記第3工程において決定された前記1以上の第1建物プランに基づいて前記1以上の第2建物プランを決定し、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合には、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に前記第1面積情報を割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第16工程と、
前記第6工程において前記第2規制が特定された場合、直近の前記第3工程において決定された前記1以上の第1建物プランに基づいて前記1以上の第2建物プランを決定し、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合には、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に、前記第1面積情報、前記第2面積情報及び前記第3面積情報のいずれか1つを割り当て、1つの階に割り当てた前記第1面積情報又は前記第2面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記床面積情報を含んでおり、1つの階に割り当てた前記第3面積情報は、当該第1建物プランにおける当該1つの階の前記床面積を超えない最大の前記床面積を示す前記第3床面積情報を含んでおり、各階に割り当てた前記第1面積情報、第2面積情報又は前記第3面積情報の前記住戸数情報が示す全ての前記第2住戸の数は、前記第2規制の要件を満たす前記特定住戸の最小数であり、各階に割り当てた前記第1面積情報、第2面積情報又は前記第3面積情報に基づいて前記第2建物プランを決定する第17工程と、
を含む、
[10]に記載の方法。
[12]
前記第16工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に割り当てた前記第1面積情報に応じた容積率を算出し、当該算出した容積率が前記容積率の要件に反している場合、各階に割り当てた前記第1面積情報に応じた容積率が前記容積率の要件を満たすように、上位の階に割り当てる前記第1面積情報を変更する、及び/又は、上位の階を削除することを含み、
前記第17工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報に応じた容積率を算出し、当該算出した容積率が前記容積率の要件に反している場合、各階に割り当てた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報に応じた容積率が前記容積率の要件を満たすように、上位の階に割り当てる前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報を変更する、及び/又は、上位の階を削除することを含む、
[11]に記載の方法。
[13]
前記面積情報は、所定の前記特殊規制が適用される場合、当該面積情報を前記第2建物プランの決定に用いるべきか否かを示す特殊規制情報を含んでおり、
前記第16工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報を割り当てることを含み、
前記第17工程は、1つの前記第1建物プランに基づく1つの前記第2建物プランを決定する場合、当該1つの第1建物プランに基づく前記建物の各階に、同一の前記特殊規制情報が含まれた前記第1面積情報、前記第2面積情報又は前記第3面積情報を割り当てることを含み、
前記第15工程は、前記第16工程又は前記第17工程において決定された前記第2建物プランに基づく前記建物に対して前記所定の特殊規制が適用されるか判定する第18工程を含み、
前記第19工程は、前記第15工程において決定された前記1以上の第2建物プランの中から、前記第18工程の判定結果と整合とする前記特殊規制情報が含まれた前記面積情報に基づく前記第2建物プランであって、かつ、最も大きい容積率が得られる前記第2建物プランを選択することを含む、
[11]に記載の方法。
[14]
前記敷地の上方から鉛直方向に沿って見た前記建築範囲の領域を、敷地内領域と呼び、
前記第2工程は、前記最大の床面積が第1床面積である1つの前記建築範囲を決定する場合、
前記敷地の各前記境界線を前記敷地の内側に後退させることにより形成される2次元の領域を前記敷地内領域として設定することと、
前記敷地内領域の少なくとも1つの領域境界線が、前記第1規制における前記敷地の境界線からの後退距離に関する前記規制の要件に反している場合、当該規制の要件を満たすように、当該少なくとも1つの領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることと、
高さの制限に関する前記第1規制、及び/又は、斜線制限に関する前記第1規制の要件に基づいて、前記建築範囲の上方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の領域境界線上に、鉛直方向へ伸びた前記建築範囲の側方の境界面を設定することと、
前記敷地内領域の面積に対応する建築面積が前記第1床面積に対応する建築面積より大きい場合、前記敷地内領域の面積に対応する建築面積と前記第1床面積に対応する建築面積とが等しくなるように、前記上方の境界面と最も低い位置で接した前記側方の境界面に対応する前記敷地内領域の領域境界線を前記敷地の前記境界線に対して後退させることとを含む、
[9]に記載の方法。
[15]
前記第3工程は、1つの階の前記床面積を算出する場合、当該1つの階の床面と当該1つの階に対して1つ上の階の床面との間の所定の位置を通る水平面において前記建築範囲の前記側方の境界面により囲まれた領域に基づいて、当該1つの階における床の形状を決定し、決定した前記床の形状に基づいて前記床面積を算出することを含む、
[8]又は[14]に記載の方法。
[16]
斜線制限に関する前記第1規制において、斜線制限の適用を受けない前記建物の天空率の条件として、前記敷地に面した所定の測定ポイントで測定した天空率が、当該第1規制の適用を受けた前記建物の天空率と同等以上であることが定められており、
前記第3工程は、前記敷地内領域に対応する底面を持つ角柱状の建物であって、高さの制限に関する前記第1規制の要件を満たすとともに最上階が前記設定された階高を持つ前記角柱状の建物から、斜線制限の適用を受けない前記建物の天空率の条件を満たすように、水平面に対して垂直な面で一部の角を切り取ることにより得られる前記建物の外形に基づいて、前記第1建物プランを決定することを含む、
[8]又は[14]に記載の方法。
[17]
前記第4工程において決定される前記第2建物プランは、前記住戸の数と、各前記住戸の前記専有部分の面積と、前記共用部分の面積とを、前記建物の1階を除く各階について定めており、
直近の前記第6工程において前記特殊規制が特定されなかった場合、前記規制において前記建物に設けることが定められた1以上の建物要素の面積を、前記建物の1階の前記床面積に占める面積として決定する第20工程を有する、
[2]~[8]及び[10]~[13]のいずれか一項に記載の方法。
[18]
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置が実行可能な命令を含むプログラムであって、
[1]~[14]のいずれか一項に記載された方法を行うプログラム。
[19]
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
処理部と、
前記処理部が実行可能な命令を含んだプログラムを記憶する記憶部とを有し、
前記プログラムが、[1]~[14]のいずれか一項に記載された方法を行う前記命令を含む、
情報処理装置。
[20]
建物のプランを生成する処理を行う情報処理装置であって、
[1]~[14]のいずれか一項に記載された方法を行う手段を備えた
情報処理装置。
【符号の説明】
【0129】
1…情報提供サーバ、11…通信部、12…記憶部、121…プログラム、13…処理部、2…記憶装置、21…規制DB、22…地図DB、23…面積情報DB、3…端末装置、4…敷地、5…敷地内領域、6…建築範囲、7…建物
【要約】
【課題】建築の規制の要件を満たしつつ、収益性の高い建物のプランを生成する方法、プログラム及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報取得工程において取得された敷地情報や建築規制の情報に基づいて、斜線制限、高さ制限、建蔽率などの規制の要件を満たす建築範囲が決定される(ST105)。この建築範囲と、建物の階高とに基づいて、建物の階数と各階の床面積とに関する第1建物プランが決定される(ST110)。第1建物プランは、建物における住戸の数が最も多くなるように決定される。そして、この第1建物プランと、住戸の専有部分の最小面積とに基づいて、各階の住戸数と、各住戸の専有部分の面積と、各階の共用部分の面積とに関する第2建物プランが決定される(ST115)。第2建物プランは、容積率の要件を満たすように決定される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13