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特許7283833高濃度有機廃水の連続処理プロセス及び装置
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  • 特許-高濃度有機廃水の連続処理プロセス及び装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】高濃度有機廃水の連続処理プロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20230101AFI20230523BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20230523BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20230523BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230523BHJP
   B01D 1/04 20060101ALI20230523BHJP
   B01D 1/28 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C02F1/04 D
B01D53/92 210
B01D53/92 352
B01D53/96 ZAB
B01D53/94 210
B01D1/04
B01D1/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022527708
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2020134918
(87)【国際公開番号】W WO2021129395
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】201911358921.4
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515126422
【氏名又は名称】浙江工▲業▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】聶 勇
(72)【発明者】
【氏名】于 尚志
(72)【発明者】
【氏名】梁 暁江
(72)【発明者】
【氏名】解 慶龍
(72)【発明者】
【氏名】呉 振宇
(72)【発明者】
【氏名】白 剣峰
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510777(JP,A)
【文献】国際公開第2006/049149(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104436988(CN,A)
【文献】特開平5-317845(JP,A)
【文献】特開2000-343074(JP,A)
【文献】特開2011-67786(JP,A)
【文献】特開平6-343855(JP,A)
【文献】特開昭64-24892(JP,A)
【文献】特開昭53-030479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/04- 1/18
C02F 9/00- 9/20
B01D 53/34-53/96
B01D 1/00- 8/00
B01B 1/00- 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高濃度有機廃水の連続処理プロセスであって、
供給ポンプ(1)によって、高濃度有機廃水は液体流量計(3)を介して多層蒸発器(4)に送られて蒸発分離を行い、高濃度有機廃水中の有機軽質分画及び水分は気化されて軽質分画含有廃水蒸気を形成し、生成した軽質分画含有廃水蒸気は多層蒸発器(4)のトップの出口からヒートポンプ(5)によって抽出され、多層蒸発を受けた廃水重質分画は多層蒸発器(4)のボトムの出口から第2バルブ(22)によって排出される、高濃度有機廃水を分離するステップ1)と、
軽質分画含有廃水蒸気は熱交換器(6)の冷媒通路及び第1予熱器(7)を順次流れて加熱された後、空気とともに第1脱硫器(8)に導入されて脱硫反応を行い、脱硫後の排ガスが第1脱硫器(8)のボトムから第1触媒燃焼器(9)に排出されて浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気が熱交換器(6)の熱媒通路に流れて熱交換を行った後、熱源として多層蒸発器(4)を加熱し、熱交換凝縮後浄化水として排出される、軽質分画含有廃水蒸気を浄化するステップ2)と、
第1脱硫器(8)内の脱硫剤及び第1触媒燃焼器(9)内の触媒が不活性化すると、生成した軽質分画含有廃水蒸気は第2反応経路に切り替わり、即ち、空気とともに第2脱硫器(10)に入って脱硫反応を行ってから、第2触媒燃焼器(11)に入って浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気は熱交換器(6)の熱媒通路を通過した後、熱源として多層蒸発器(4)を加熱し、第1脱硫器(8)及び第1触媒燃焼器(9)内にそれぞれ空気が導入されて500~600℃で再生活化が行われ、両方から排出された再生排ガスが併せられて一括して浄化処理を受ける、脱硫剤及び触媒を再生するステップ3)と、
を含むことを特徴とする高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【請求項2】
多層蒸発器(4)内の真空は、ヒートポンプ(5)の作動の作用下で維持され、多層蒸発器(4)内で蒸発分離が行われる絶対圧力は80~100kPaである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【請求項3】
第1予熱器(7)は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、加熱温度が200~400℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【請求項4】
第1脱硫器(8)又は第2脱硫器(10)は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、脱硫反応温度が200~400℃であり、その内部に充填される脱硫剤は酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄又は酸化カルシウムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【請求項5】
第1触媒燃焼器(9)又は第2触媒燃焼器(11)は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、浄化反応温度が200~400℃であり、これらの内部に充填される触媒は白金アルミナ触媒、白金希土類触媒、白金酸化ケイ素触媒又は白金硫酸バリウム触媒である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【請求項6】
請求項1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置であって、
括供給ポンプ(1)と、液体流量計(3)と、多層蒸発器(4)と、ヒートポンプ(5)と、熱交換器(6)と、第1予熱器(7)と、並列して設けられた第1脱硫器(8)及び第2脱硫器(10)と、並列して設けられた第1触媒燃焼器(9)及び第2触媒燃焼器(11)とを含み、
多層蒸発器(4)の上部の入口は液体流量計(3)の配管を介して供給ポンプ(1)に接続され、多層蒸発器(4)のトップの出口はヒートポンプ(5)、熱交換器(6)の冷媒通路を介して配管によって第1予熱器(7)の入口に接続され、第1予熱器(7)の出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第5バルブ(25)を介して配管によって第1脱硫器(8)のトップに接続され、他方の分岐は第6バルブ(26)を介して配管によって第2脱硫器(10)のトップに接続され、前記第1脱硫器(8)のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第8バルブ(28)を介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第7バルブ(27)を介して配管によって第1触媒燃焼器(9)のトップに接続され、前記第2脱硫器(10)のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第9バルブ(29)を介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第10バルブ(210)を介して配管によって第2触媒燃焼器(11)のトップに接続され、
前記熱交換器(6)の熱媒通路の入口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第11バルブ(211)を介して配管によって第1触媒燃焼器(9)のボトムの出口に接続され、他方の分岐は第14バルブ(214)を介して配管によって第2触媒燃焼器(11)のボトムの出口に接続され、熱交換器(6)の熱媒通路の出口から流出した高温蒸気は熱源として多層蒸発器(4)を加熱し、前記第1触媒燃焼器(9)のボトムの出口と第11バルブ(211)との間にある配管に第1分岐管が連通しており、第1分岐管には第12バルブ(212)が設けられ、前記第2触媒燃焼器(11)のボトムの出口と第14バルブ(214)との間にある配管に第2分岐管がさらに連通しており、第2分岐管には第13バルブ(213)が設けられる、
ことを特徴とする装置。
【請求項7】
第2予熱器(12)をさらに含み、第2予熱器(12)の入口側からは空気が導入され、第2予熱器(12)の出口は、それぞれ第15バルブ(215)、第16バルブ(216)、第17バルブ(217)及び第18バルブ(218)を介して配管によって第1触媒燃焼器(9)のトップの入口、第1脱硫器(8)のトップの入口、第2脱硫器(10)のトップの入口及び第2触媒燃焼器(11)のトップの入口に接続される4つの分岐に分けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置。
【請求項8】
前記多層蒸発器(4)内において、上方から多層蒸発加熱トレイが設けられ、多層蒸発器(4)内の多層蒸発加熱トレイ内の加熱管は全てU字形加熱管であり、前記蒸発加熱トレイの層数は4~10層である、
ことを特徴とする請求項6に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置。
【請求項9】
多層蒸発器(4)内の蒸発加熱トレイの層数はn層とし、熱交換器(6)の熱媒通路の出口の配管に第4バルブ(24)及び第3バルブ(23)が接続され、第4バルブ(24)と第3バルブ(23)との間にある配管にはn-1本のブランチ管が連通しており、上方から、前記n-1本のブランチ管はそれぞれ配管を介して最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に接続され、これにより、熱交換器(6)内から流出する高温蒸気は平均でn-1本に分岐し、それぞれ最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に流れて加熱を行い、
n層目の蒸発加熱トレイ内の加熱管内には新鮮な水蒸気が導入されて加熱を行う、
ことを特徴とする請求項6に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は工業廃水処理の技術分野に属し、具体的には、高濃度有機廃水の連続処理プロセス及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の経済及び工業化の急速な発展に伴い、ますます多くの工業廃水が自然環境中に排出され、その中に処理しにくい高濃度有機廃水が含まれている。これらの高濃度有機廃水の化学的酸素要求量(COD)は通常20000mg/L以上であり、CODが数十万mg/Lに達する廃水もあり、しかも、その成分は複雑で、色度が強く、臭気が大きく、環境汚染が深刻である。そのため、高濃度有機廃水の処理は今日の社会では急務となっている。
【0003】
廃水処理プロセスは、主に、物理処理法、生分解法及び化学酸化法がある。物理処理法は、廃水中の不溶性物質を化学的性質を変えずに物理的に分離することであり、低濃度の工業廃水に適している。生物法は、微生物の作用を利用して有機物を安定な無機成分に分解する方法であり、経済性が強く、安全性が高く、残留量が少ないなどの特徴があるが、その処理期間が長く、生物処理量が限られており、しかもその敷地面積が大きく、より高濃度の工業廃水を処理することが困難である。化学酸化法は、現在よく使用されている高濃度有機廃水処理技術であり、現在応用されている処理技術は主に2つある。一つは、強酸化剤による常温処理方法であり、この技術では、コストは主に酸化剤の消費によるものであり、酸化剤の消費は基本的に有機廃水の濃度に比例し、高濃度有機廃水を処理するコストは高い。もう一つの方法は、一般的に高濃度有機性廃水を焼却炉に投入して燃焼させる熱焼却法であり、この方法は、一般的に800℃以上の高温を必要とし、燃料の一部を混合して燃焼させる必要があるため、焼却中にフラッシュバースト現象が発生する恐れがあり、廃水処理に不利であり、窒素酸化物が発生しやすく、その結果、環境を汚染する。このため、高濃度有機性廃水を連続的に処理するためのプロセス及び装置の開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点を解決するために、本発明は、プロセスの手順が簡単であり、効率が高く、安定性が高い高濃度有機廃水の連続処理プロセス及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
高濃度有機廃水の連続処理プロセスであって、
供給ポンプによって、高濃度有機廃水は液体流量計を介して多層蒸発器に送られて蒸発分離を行い、高濃度有機廃水中の有機軽質分画及び水分は気化されて軽質分画含有廃水蒸気を形成し、生成した軽質分画含有廃水蒸気は多層蒸発器のトップの出口からヒートポンプによって抽出され、多層蒸発を受けた廃水重質分画は多層蒸発器のボトムの出口から第2バルブによって排出される、高濃度有機廃水を分離するステップ1)と、
軽質分画含有廃水蒸気は熱交換器の冷媒通路及び第1予熱器を順次流れて加熱された後、空気とともに第1脱硫器に導入されて脱硫反応を行い、脱硫後の排ガスが第1脱硫器のボトムから第1触媒燃焼器に排出されて浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気が熱交換器の熱媒通路に流れて熱交換を行った後、熱源として多層蒸発器を加熱し、熱交換凝縮後浄化水として排出される、軽質分画含有廃水蒸気を浄化するステップ2)と、
第1脱硫器内の脱硫剤及び第1触媒燃焼器内の触媒が不活性化すると、生成した軽質分画含有廃水蒸気は第2反応経路に切り替わり、即ち、空気とともに第2脱硫器に入って脱硫反応を行ってから、第2触媒燃焼器に入って浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気は熱交換器の熱媒通路を通過した後、熱源として多層蒸発器を加熱し、第1脱硫器及び第1触媒燃焼器内にそれぞれ空気が導入されて500~600℃で再生活化が行われ、両方から排出された再生排ガスが併せられて一括して浄化処理を受ける、脱硫剤及び触媒を再生するステップ3)と、
を含むことを特徴とする。
【0006】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスにおいて、多層蒸発器内の真空は、ヒートポンプの作動の作用下で維持され、多層蒸発器内で蒸発分離が行われる絶対圧力は80~100kPaであることを特徴とする。
【0007】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスにおいて、第1予熱器は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、加熱温度が200~400℃であることを特徴とする。
【0008】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスにおいて、第1脱硫器又は第2脱硫器は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、脱硫反応温度が200~400℃であり、その内部に充填される脱硫剤は酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄又は酸化カルシウムであることを特徴とする。
【0009】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスにおいて、第1触媒燃焼器又は第2触媒燃焼器は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、浄化反応温度が200~400℃であり、これらの内部に充填される触媒は白金アルミナ触媒、白金希土類触媒、白金酸化ケイ素触媒又は白金硫酸バリウム触媒であることを特徴とする。
【0010】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置であって、
括供給ポンプと、液体流量計と、多層蒸発器と、ヒートポンプと、熱交換器と、第1予熱器と、並列して設けられた第1脱硫器及び第2脱硫器と、並列して設けられた第1触媒燃焼器及び第2触媒燃焼器とを含み、
多層蒸発器の上部の入口は液体流量計の配管を介して供給ポンプに接続され、多層蒸発器のトップの出口はヒートポンプ、熱交換器の冷媒通路を介して配管によって第1予熱器の入口に接続され、第1予熱器の出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第5バルブを介して配管によって第1脱硫器のトップに接続され、他方の分岐は第6バルブを介して配管によって第2脱硫器のトップに接続され、前記第1脱硫器のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第8バルブを介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第7バルブを介して配管によって第1触媒燃焼器のトップに接続され、前記第2脱硫器のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第9バルブを介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第10バルブを介して配管によって第2触媒燃焼器のトップに接続され、
前記熱交換器の熱媒通路の入口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第11バルブを介して配管によって第1触媒燃焼器のボトムの出口に接続され、他方の分岐は第14バルブを介して配管によって第2触媒燃焼器のボトムの出口に接続され、熱交換器の熱媒通路の出口から流出した高温蒸気は熱源として多層蒸発器を加熱し、前記第1触媒燃焼器のボトムの出口と第11バルブとの間にある配管に第1分岐管が連通しており、第1分岐管には第12バルブが設けられ、前記第2触媒燃焼器のボトムの出口と第14バルブとの間にある配管に第2分岐管がさらに連通しており、第2分岐管には第13バルブが設けられることを特徴とする。
【0011】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置において、
第2予熱器をさらに含み、第2予熱器の入口側からは空気が導入され、第2予熱器の出口は、それぞれ第15バルブ、第16バルブ、第17バルブ及び第18バルブを介して配管によって第1触媒燃焼器のトップの入口、第1脱硫器のトップの入口、第2脱硫器のトップの入口及び第2触媒燃焼器のトップの入口に接続される4つの分岐に分けられる、ことを特徴とする。
【0012】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置において、
前記多層蒸発器内において、上方から多層蒸発加熱トレイが設けられ、多層蒸発器内の多層蒸発加熱トレイ内の加熱管は全てU字形加熱管であり、前記蒸発加熱トレイの層数は4~10層であることを特徴とする。
【0013】
前記高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置において、
多層蒸発器内の蒸発加熱トレイの層数はn層とし、熱交換器の熱媒通路の出口の配管に第4バルブ及び第3バルブが接続され、第4バルブと第3バルブとの間にある配管にはn-1本のブランチ管が連通しており、上方から、前記n-1本のブランチ管はそれぞれ配管を介して最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に接続され、これにより、熱交換器内から流出する高温蒸気は平均でn-1本に分岐し、それぞれ最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に流れて加熱を行い、
n層目の蒸発加熱トレイ内の加熱管内には新鮮な水蒸気が導入されて加熱を行う、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0015】
1)本発明では、多層蒸発技術によって高濃度有機廃水を効率よく分離し(即ち、その中の有機軽質分画及び大部分の水分を除去)、分離により生成された軽質分画含有廃水蒸気をヒートポンプによってそのまま気相の形態として後続の装置に送って反応を行うことができ、これによって、廃水蒸気の凝縮や廃水の再気化を回避しつつ、生成した直後の廃水蒸気と浄化後の高温蒸気を還流して熱交換し、浄化後の高温蒸気を多層蒸発器を加熱する熱源として用いることで、エネルギー消費量を大幅に低下できる。
【0016】
2)本発明では、高温脱硫技術によれば、脱硫が行われることによって、廃水の硫黄含有量を工業廃水の一級排出基準に達するものとし、また、金属酸化物脱硫剤は軽質分画含有廃水蒸気の50%のCODを除去することができ、触媒燃焼技術によれば、高濃度有機廃水のCODを効果的に低減させつつ、有機物の燃焼温度を低下させ、能耗を低減させ、浄化処理後の廃水のCODを三級排出基準に達するものとすることができる。高温脱硫技術と触媒燃焼技術を有機的に組み合わせることによって、触媒硫黄中毒を回避し、触媒の触媒活性を維持することができる。
【0017】
3)本発明では、脱硫剤及び触媒の原位置再生によって、装置が連続的かつ安定的に作動することが可能になる。
【0018】
4)現在よく使用されている生分解法及び直接燃焼法に比べて、本発明は、プロセスの手順が簡単であり、高効率化、安定化、連続化などの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願の高濃度有機廃水の連続処理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、特定の実施例を参照しながら本発明をさらに説明するが、本発明の特許範囲はこれに限定されるものではない。
【0021】
実施例
図1を参照すると、濃度有機廃水の連続処理装置は、供給ポンプ1と、液体流量計3と、多層蒸発器4と、ヒートポンプ5と、熱交換器6と、第1予熱器7と、並列して設けられた第1脱硫器8及び第2脱硫器10と、並列して設けられた第1触媒燃焼器9及び第2触媒燃焼器11とを含む。
【0022】
供給ポンプ1の入口からは高濃度有機廃水が導入され、供給ポンプ1の出口は第1バルブ21及び液体流量計3を介して配管によって多層蒸発器4の上部の入口に接続される。多層蒸発器4のトップの出口はヒートポンプ5、熱交換器6の冷媒通路を介して配管によって第1予熱器7の入口に接続され、第1予熱器7の出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第5バルブ25を介して配管によって第1脱硫器8のトップに接続され、他方の分岐は第6バルブ26を介して配管によって第2脱硫器10のトップに接続される。実際に使用する際には、第1脱硫器8と第2脱硫器10は交互に脱硫反応及び再生を行い、一方は反応状態で軽質分画含有廃水蒸気中の含硫化合物を除去するとともに、他方は空気を導入されて加熱再生を行う。
【0023】
前記第1脱硫器8のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第8バルブ28を介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第7バルブ27を介して配管によって第1触媒燃焼器9のトップに接続され、前記第2脱硫器10のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第9バルブ29を介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第10バルブ210を介して配管によって第2触媒燃焼器11に接続される。実際に使用する際には、第1触媒燃焼器9と第2触媒燃焼器11は交互に触媒燃焼反応及び再生を行い、一方は反応状態で軽質分画含有廃水蒸気中お有機物を除去するとともに、他方は空気を導入されて加熱再生を行う。
【0024】
熱交換器6の熱媒通路の入口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第11バルブ211を介して配管によって第1触媒燃焼器9のボトムの出口に接続され、他方の分岐は第14バルブ214を介して配管によって第2触媒燃焼器11のボトムの出口に接続され、熱交換器6の熱媒通路の出口から流出する高温蒸気は熱源として多層蒸発器4を加熱し、前記第1触媒燃焼器9のボトムの出口と第11バルブ211との間にある配管に第1分岐管がさらに連通しており、第1分岐管には第12バルブ212が設けられ、前記第2触媒燃焼器11のボトムの出口と第14バルブ214との間にある配管に第2分岐管がさらに連通しており、第2分岐管には第13バルブ213が設けられる。
【0025】
図1を参照すると、本願の装置は第2予熱器12をさらに含み、第2予熱器12の入口側から空気が導入され、第2予熱器12の出口は、それぞれ第15バルブ215、第16バルブ216、第17バルブ217及び第18バルブ218を介して配管によって第1触媒燃焼器9のトップの入口、第1脱硫器8のトップの入口、第2脱硫器10のトップの入口及び第2触媒燃焼器11のトップの入口に接続された4つの分岐に分けられ、これにより、それぞれ第2予熱器12によって予熱された熱空気が導入される。
【0026】
本願では、多層蒸発器4内において、上方から多層蒸発加熱トレイが設けられ、多層蒸発器4内の多層蒸発加熱トレイ内の加熱管は全てU字形加熱管であり、前記蒸発加熱トレイの層数は4~10層である。
【0027】
装置の作動初期において、新鮮な水蒸気が多層蒸発器4の加熱熱源とされる。装置の作動が安定化した後、熱交換器6の熱媒通路の出口から流出する高温蒸気について熱を回収するには、以下の形態が使用される。多層蒸発器4内の蒸発加熱トレイの層数はn層とし、熱交換器6の熱媒通路の出口の配管に第4バルブ24及び第3バルブ23が接続され、第4バルブ24と第3バルブ23との間にある配管にはn-1本のブランチ管が連通しており、上方から、前記n-1本のブランチ管はそれぞれ配管を介して最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に接続され、これにより、熱交換器6内から流出する高温蒸気は平均でn-1本に分岐し、それぞれ最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管内に流れて加熱を行い、n層目の蒸発加熱トレイ内の加熱管内には新鮮な水蒸気が導入されて加熱を行う。
【0028】
本願の装置を用いて、高濃度有機廃水を連続的に処理するプロセスのステップは以下のとおりである。
【0029】
1)高濃度有機廃水の分離:供給ポンプ1によって、高濃度有機廃水は第1バルブ21及び液体流量計3を順次通過して多層蒸発器4に送られて蒸発分離を行い、高濃度有機廃水中の有機軽質分画及び大部分の水分は気化されて軽質分画含有廃水蒸気を構成し、生成した軽質分画含有廃水蒸気は多層蒸発器4のトップの出口からヒートポンプ5によって抽出され(ヒートポンプ5の作動により多層蒸発器4内の絶対圧力が80~100kPaに保持される)、多層蒸発を受けた廃水重質分画は多層蒸発器4のボトムの出口から第2バルブ22によって排出される。
【0030】
2)軽質分画含有廃水蒸気の浄化:軽質分画含有廃水蒸気は熱交換器6の冷媒通路及び第1予熱器7を順次流れて200~400℃に2段加熱された後、第5バルブ25を介して第1脱硫器8に導入されながら、第2予熱器12で予熱された熱空気は第16バルブ216を介して第1脱硫器8に導入されて脱硫反応を行い、脱硫後の排ガスは第1脱硫器8のボトムから排出され、第7バルブ27を介して第1触媒燃焼器9に入って浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気が熱交換器6の熱媒通路に流れて熱交換を行った後、熱源として多層蒸発器4を加熱し、熱交換凝縮後浄化水として排出される。
【0031】
3)脱硫剤及び触媒の再生:第1脱硫器8内の脱硫剤及び第1触媒燃焼器9内の触媒が不活性化すると、生成した軽質分画含有廃水蒸気は第2反応経路に切り替わり、即ち、第6バルブ26を開いて第5バルブ25を閉じることにより軽質分画含有廃水蒸気が最初に第2脱硫器10に入って脱硫反応を行うように制御が行われ、第10バルブ210を開いて第9バルブ29を閉じることにより脱硫後の反応ガスが第2触媒燃焼器11に入って浄化反応を行うように制御が行われ、浄化後の高温蒸気は熱交換器6の熱媒通路を通過した後、熱源として多層蒸発器4を加熱し、
また、上記ステップ3)の脱硫剤及び触媒の再生において、第18バルブ218を閉じて、第15バルブ215、第16バルブ216及び第17バルブ217を開くことにより、第2予熱器12から予熱された3本の熱空気が排出され、これらのうち、2本の熱空気は脱硫剤及び触媒を再生し、即ち、それぞれ第1脱硫器8及び第1触媒燃焼器9に導入されて500~600℃の温度で再生活化を行い、このとき、第1脱硫器8のボトムの出口に連通している第7バルブ27、及び第1触媒燃焼器9のボトムの出口に連通している第11バルブ211は全て閉じられ、第1脱硫器8のボトムの出口は第8バルブ28を介して再生排ガスを排出し、第1触媒燃焼器9のボトムの出口は第12バルブ212を介して再生排ガスを排出し、第1脱硫器8及び第1触媒燃焼器9から排出された再生排ガスは合わせられて一括して浄化処理を受け、例えば、再生排ガスは吸収液を利用して吸収される。第2予熱器12から排出された3番目の熱空気は第2脱硫器10及び第2触媒燃焼器11を順次流れて反応に用いる。
【0032】
実施例1
図1に示す装置によって、高濃度有機廃水を連続的に処理するプロセスを行う。
【0033】
まず、第1脱硫器8及び第2脱硫器10の両方の内部に酸化亜鉛脱硫剤が充填されており、かつ、第1触媒燃焼器9及び第2触媒燃焼器11の両方の内部に組成が0.5wt% Pt/Alの白金アルミナ触媒が充填されている。
【0034】
第1予熱器7、第2予熱器12、第1脱硫器8及び第1触媒燃焼器9の温度を、電気加熱により300℃に昇温し、まず、新鮮な水蒸気を熱源として多層蒸発器4を加熱し、ヒートポンプ5を起動させて、多層蒸発器4内の絶対圧力を85kPaとする。装置が安定化すると、供給ポンプ1によってバイオディーゼルによる廃水が送られて、第1バルブ21及び液体流量計3を通過して多層蒸発器4に入って蒸発分離を行い、95℃の軽質分画含有廃水蒸気が生成されて多層蒸発器4のトップの出口からヒートポンプ5によって抽出され、熱交換器6の冷媒通路及び予熱器7を介して300℃に2段加熱された後、第5バルブ25を介して第1脱硫器8に導入されながら、第2予熱器12で予熱された熱空気は第16バルブ216を介して第1脱硫器8に導入されて脱硫反応を行い、脱硫後の排ガスは第1脱硫器8のボトムから排出され、第7バルブ27を介して第1触媒燃焼器9に入って浄化反応を行い、浄化後の300℃の高温蒸気は第1触媒燃焼器9のボトムから排出され、第11バルブ211を介して熱交換器6の熱媒通路に入り、浄化後の300℃の高温蒸気は95℃の軽質分画含有廃水蒸気とともに熱交換器6にて熱交換を行い、熱交換後、熱交換器6の冷媒通路から流出する軽質分画含有廃水蒸気の温度が250℃に上昇し、熱交換器6の熱媒通路から流出する高温蒸気の温度が145℃に下がる。熱交換器6の熱媒通路から流出する145℃の蒸気は熱源として多層蒸発器4を加熱し、熱交換凝縮後、浄化水として排出される。装置の作動が安定化すると、145℃の新鮮な水蒸気だけで多層蒸発器4の最後層の蒸発加熱トレイが加熱され、多層蒸発器4の残りの蒸発加熱トレイは、熱交換器6の熱媒通路から流出した145℃の蒸気を熱源として加熱される。多重蒸発を受けた廃水重質分画は多層蒸発器4のボトムの出口から第2バルブ22によって排出され、回収して再利用することができる。
【0035】
脱硫器8内の脱硫剤及び触媒燃焼器9内の触媒が不活性化すると、第5バルブ25、第7バルブ27、及び第11バルブ211を閉じて、第6バルブ26、第10バルブ210、第14バルブ214、第15バルブ215、第16バルブ216及び第17バルブ217を開き、第2予熱器12から予熱された3本の熱空気が排出され、これらのうち、2本の熱空気は脱硫剤及び触媒を再生し、3番目の熱空気は反応に用いられる。軽質分画含有廃水蒸気は、第2予熱器12から排出された3番目の熱空気とともに第2脱硫器10に入って脱硫反応を行ってから、第2触媒燃焼器11に入って浄化反応を行う。第2予熱器12から排出された2本の再生用の熱空気は、それぞれ、第1脱硫器8及び第1触媒燃焼器9に導入され、550℃で再生活化を行い、再生排ガスはそれぞれ第8バルブ28及び第12バルブ212を通過した後、合わせられて排出され、さらに一括して浄化処理を受け、このように、装置の操作の連続化が達成される。
【0036】
処理後、バイオディーゼルによる廃水は、化学的酸素要求量(COD)が最初の200000mg/Lから500mg/L以下に低下し、除去率が99.75%以上と高く、工業廃水の三級排出基準に達し、廃水の硫黄含有量は1mg/L以下に低下し、工業廃水の一級排出基準に達する。
【0037】
実施例2
図1に示す装置を用いて、高濃度有機廃水を連続的に処理するプロセスにおいて、以下の2つの相違点以外、操作のステップは実施例1と同様である。
【0038】
1、第1脱硫器8及び第2脱硫器10の脱硫剤は全て酸化鉄脱硫剤に変更される。
【0039】
2、廃水原料は初期の化学的酸素要求量が約5000mg/Lの油脂のエポキシ反応による廃水(即ち、バイオディーゼル、ギ酸及び過酸化水素がエポキシ反応を行った廃水)に変更され、これ以外、残りの操作のステップは実施例1と同様である。
【0040】
処理後、油脂のエポキシ反応による廃水は、化学的酸素要求量(COD)が初期の5000mg/Lから50mg/L以下に低下し、除去率が99%以上と高く、工業廃水の一級排出基準に達し、廃水の硫黄含有量は1mg/L以下に低下し、工業廃水の一級排出基準に達する。
【0041】
本明細書に記載の内容は発明の構想を実現する形態の例示に過ぎず、本発明の特許範囲は実施例に記載の具体的な形態に限定されるものとしてみなすべきではない。
【0042】
(付記)
(付記1)
高濃度有機廃水の連続処理プロセスであって、
供給ポンプ(1)によって、高濃度有機廃水は液体流量計(3)を介して多層蒸発器(4)に送られて蒸発分離を行い、高濃度有機廃水中の有機軽質分画及び水分は気化されて軽質分画含有廃水蒸気を形成し、生成した軽質分画含有廃水蒸気は多層蒸発器(4)のトップの出口からヒートポンプ(5)によって抽出され、多層蒸発を受けた廃水重質分画は多層蒸発器(4)のボトムの出口から第2バルブ(22)によって排出される、高濃度有機廃水を分離するステップ1)と、
軽質分画含有廃水蒸気は熱交換器(6)の冷媒通路及び第1予熱器(7)を順次流れて加熱された後、空気とともに第1脱硫器(8)に導入されて脱硫反応を行い、脱硫後の排ガスが第1脱硫器(8)のボトムから第1触媒燃焼器(9)に排出されて浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気が熱交換器(6)の熱媒通路に流れて熱交換を行った後、熱源として多層蒸発器(4)を加熱し、熱交換凝縮後浄化水として排出される、軽質分画含有廃水蒸気を浄化するステップ2)と、
第1脱硫器(8)内の脱硫剤及び第1触媒燃焼器(9)内の触媒が不活性化すると、生成した軽質分画含有廃水蒸気は第2反応経路に切り替わり、即ち、空気とともに第2脱硫器(10)に入って脱硫反応を行ってから、第2触媒燃焼器(11)に入って浄化反応を行い、浄化後の高温蒸気は熱交換器(6)の熱媒通路を通過した後、熱源として多層蒸発器(4)を加熱し、第1脱硫器(8)及び第1触媒燃焼器(9)内にそれぞれ空気が導入されて500~600℃で再生活化が行われ、両方から排出された再生排ガスが併せられて一括して浄化処理を受ける、脱硫剤及び触媒を再生するステップ3)と、
を含むことを特徴とする高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【0043】
(付記2)
多層蒸発器(4)内の真空は、ヒートポンプ(5)の作動の作用下で維持され、多層蒸発器(4)内で蒸発分離が行われる絶対圧力は80~100kPaである、
ことを特徴とする付記1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【0044】
(付記3)
第1予熱器(7)は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、加熱温度が200~400℃である、
ことを特徴とする付記1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【0045】
(付記4)
第1脱硫器(8)又は第2脱硫器(10)は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、脱硫反応温度が200~400℃であり、その内部に充填される脱硫剤は酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄又は酸化カルシウムである、
ことを特徴とする付記1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【0046】
(付記5)
第1触媒燃焼器(9)又は第2触媒燃焼器(11)は電気加熱又は電磁加熱により加熱を行い、浄化反応温度が200~400℃であり、これらの内部に充填される触媒は白金アルミナ触媒、白金希土類触媒、白金酸化ケイ素触媒又は白金硫酸バリウム触媒である、
ことを特徴とする付記1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセス。
【0047】
(付記6)
付記1に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置であって、
括供給ポンプ(1)と、液体流量計(3)と、多層蒸発器(4)と、ヒートポンプ(5)と、熱交換器(6)と、第1予熱器(7)と、並列して設けられた第1脱硫器(8)及び第2脱硫器(10)と、並列して設けられた第1触媒燃焼器(9)及び第2触媒燃焼器(11)とを含み、
多層蒸発器(4)の上部の入口は液体流量計(3)の配管を介して供給ポンプ(1)に接続され、多層蒸発器(4)のトップの出口はヒートポンプ(5)、熱交換器(6)の冷媒通路を介して配管によって第1予熱器(7)の入口に接続され、第1予熱器(7)の出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第5バルブ(25)を介して配管によって第1脱硫器(8)のトップに接続され、他方の分岐は第6バルブ(26)を介して配管によって第2脱硫器(10)のトップに接続され、前記第1脱硫器(8)のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第8バルブ(28)を介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第7バルブ(27)を介して配管によって第1触媒燃焼器(9)のトップに接続され、前記第2脱硫器(10)のボトムの出口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第9バルブ(29)を介して再生排ガスを排出し、他方の分岐は第10バルブ(210)を介して配管によって第2触媒燃焼器(11)のトップに接続され、
前記熱交換器(6)の熱媒通路の入口は2つの分岐に分けられ、一方の分岐は第11バルブ(211)を介して配管によって第1触媒燃焼器(9)のボトムの出口に接続され、他方の分岐は第14バルブ(214)を介して配管によって第2触媒燃焼器(11)のボトムの出口に接続され、熱交換器(6)の熱媒通路の出口から流出した高温蒸気は熱源として多層蒸発器(4)を加熱し、前記第1触媒燃焼器(9)のボトムの出口と第11バルブ(211)との間にある配管に第1分岐管が連通しており、第1分岐管には第12バルブ(212)が設けられ、前記第2触媒燃焼器(11)のボトムの出口と第14バルブ(214)との間にある配管に第2分岐管がさらに連通しており、第2分岐管には第13バルブ(213)が設けられる、
ことを特徴とする装置。
【0048】
(付記7)
第2予熱器(12)をさらに含み、第2予熱器(12)の入口側からは空気が導入され、第2予熱器(12)の出口は、それぞれ第15バルブ(215)、第16バルブ(216)、第17バルブ(217)及び第18バルブ(218)を介して配管によって第1触媒燃焼器(9)のトップの入口、第1脱硫器(8)のトップの入口、第2脱硫器(10)のトップの入口及び第2触媒燃焼器(11)のトップの入口に接続される4つの分岐に分けられる、
ことを特徴とする付記6に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置。
【0049】
(付記8)
前記多層蒸発器(4)内において、上方から多層蒸発加熱トレイが設けられ、多層蒸発器(4)内の多層蒸発加熱トレイ内の加熱管は全てU字形加熱管であり、前記蒸発加熱トレイの層数は4~10層である、
ことを特徴とする付記6に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置。
【0050】
(付記9)
多層蒸発器(4)内の蒸発加熱トレイの層数はn層とし、熱交換器(6)の熱媒通路の出口の配管に第4バルブ(24)及び第3バルブ(23)が接続され、第4バルブ(24)と第3バルブ(23)との間にある配管にはn-1本のブランチ管が連通しており、上方から、前記n-1本のブランチ管はそれぞれ配管を介して最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に接続され、これにより、熱交換器(6)内から流出する高温蒸気は平均でn-1本に分岐し、それぞれ最初のn-1層の蒸発加熱トレイ内の加熱管に流れて加熱を行い、
n層目の蒸発加熱トレイ内の加熱管内には新鮮な水蒸気が導入されて加熱を行う、
ことを特徴とする付記6に記載の高濃度有機廃水の連続処理プロセスに使用される装置。
【符号の説明】
【0051】
1-供給ポンプ、21-第1バルブ、22-第2バルブ、23-第3バルブ、24-第4バルブ、25-第5バルブ、26-第6バルブ、27-第7バルブ、28-第8バルブ、29-第9バルブ、210-第10バルブ、211-第11バルブ、212-第12バルブ、213-第13バルブ、214-第14バルブ、215-第15バルブ、216-第16バルブ、217-第17バルブ、218-第18バルブ、3-液体流量計、4-多層蒸発器、5-ヒートポンプ、6-熱交換器、7-第1予熱器、8-第1脱硫器、9-第1触媒燃焼器、10-第2脱硫器、11-第2触媒燃焼器、12-第2予熱器。
図1