(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】宅配物収容用ボックスの取付構造
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20230523BHJP
【FI】
A47G29/122 D
(21)【出願番号】P 2019025886
(22)【出願日】2019-02-15
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】日置 達彦
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-008853(JP,A)
【文献】特開2016-140425(JP,A)
【文献】特開2004-316086(JP,A)
【文献】実公昭49-040634(JP,Y1)
【文献】特開平07-327809(JP,A)
【文献】実公昭42-015315(JP,Y1)
【文献】実公昭41-013850(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/12-29/30
E05B17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外と屋内とを区画すると共に、投函口及び屋内側において前記投函口から投函される投函物を収容する受箱が係止可能な係止部が設けられた区画体と、
表板と裏板とが対で設けられた箱体状とされ、前記表板に開閉可能かつ施錠手段によって施錠可能な蓋体が設けられると共に、前記裏板に前記投函口を内部に連通可能な開口部が設けられた筐体を有し、前記裏板が前記区画体側とされて前記筐体が前記区画体の屋内側に取り付けられる際、前記開口部が前記投函口に対向された状態で前記区画体の前記係止部に係止される宅配物収容用ボックスと、
前記裏板が前記区画体側とされて前記筐体が前記区画体の屋外側に取り付けられる際、
前記投函口を介して前記筐体の前記裏板と前記区画体とを挟持する挟持手段により前記筐体を前記区画体の屋内側から着脱可能に固定する固定部と、
を有し、
前記挟持手段は、
前記区画体の屋内側に配置された固定板と、
前記筐体の内部から前記裏板を挿通され前記区画体の前記投函口に挿入されて前記固定板に挿通されたボルトと、
前記固定板から前記区画体の屋内側に突出された前記ボルトに螺合されたナットと、
を含む宅配物収容用ボックスの取付構造。
【請求項2】
前記挟持手段は、前記筐体内に配置された支持板から対で前記ボルトが突設されている請求項1に記載の宅配物収容用ボックスの取付構造。
【請求項3】
前記筐体には、前記区画体の屋外側に配置された際、上側となる上板に前記投函物を挿入可能な貫通孔が設けられている請求項1又は請求項2に記載の宅配物収容用ボックスの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配物が収容される宅配物収容用ボックスの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅などにおいて各戸(各部屋)の玄関ドアには、投函口が設けられたドアがある。このようなドアの屋内側には、着脱可能な受箱が取り付けられており、投函口から投入された封書やはがきなどの郵便物が受箱に収容される。これにより、受取人(住人)は、在不在にかかわらずはがきや封書等の所定サイズ以内の宅配物を受け取ることができると共に、投函口から投函された宅配物が玄関の床に散乱するのが防止される。
【0003】
近年、はがきや定形封書などよりも大判の郵便物、小包などの宅配物が増加しており、このような宅配物は、投函口から投函できないことで、受取人が不在であると再配達を行なう必要がある。
【0004】
ここで、屋外に宅配物を収容できる宅配ボックスが設置されていることで、宅配業者は、受取人の不在時においても宅配物の配達ができ、受取人は、不在時に宅配物の受け取りが可能になる。
【0005】
ここから、特許文献1では、構造物工事を行なうことなく一時的にドアに固定できる固定要素を備え、小包郵便物等を収容する収容容器が開示されている。特許文献1の収容容器には、固定要素としてテキスタイル要素が用いられ、ドアフレームとドアパネルとの間の隙間に入れて、ドアの閉止によって固定できるつまみが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、収容容器をドアフレームとドアとの間に挟み込んで取り付けるようにした場合、ドアの開閉のたびに収容容器の取り付け・取り外しを行なう必要が生じる。また、収容容器をドアに取り付けるためのつまみにテキスタイルなどを用いた場合、収容容器がドアから取り外されてしまうなどの防犯上の懸念があり、宅配ボックスの取り付けには、改善の余地がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、玄関ドアなどへの設置に好適な宅配物収容用ボックスの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための第1の態様の宅配物収容用ボックスの取付構造は、屋外と屋内とを区画すると共に、投函口及び屋内側において前記投函口から投函される投函物を収容する受箱が係止可能な係止部が設けられた区画体と、表板と裏板とが対で設けられた箱体状とされ、前記表板に開閉可能かつ施錠手段によって施錠可能な蓋体が設けられると共に、前記裏板に前記投函口を内部に連通可能な開口部が設けられた筐体を有し、前記裏板が前記区画体側とされて前記筐体が前記区画体の屋内側に取り付けられる際、前記開口部が前記投函口に対向された状態で前記区画体の前記係止部に係止される宅配物収容用ボックスと、前記裏板が前記区画体側とされて前記筐体が前記区画体の屋外側に取り付けられる際、前記筐体を前記区画体の屋内側から着脱可能に固定する固定部と、を含む。
【0010】
第1の態様では、屋内と屋外とを区画する区画体に投函口、及び投函口から屋内に投函された投函物を収容する箱体が係止可能にされた係止部が設けられている。また、区画体に取り付けられる宅配ボックスは、箱体状の筐体を備えている。筐体の表板には、施錠手段によって施錠可能にされた蓋体が設けられており、筐体は、蓋体が開かれることで、内部が開放される。また、筐体の裏板には、投函口を内部に連通可能とする開口部が設けられ、筐体は、区画体の係止部に係止可能にされている。
【0011】
このため、宅配物収容用ボックスは、裏板が区画体側とされて筐体が区画体の屋内側に配置されて係止部に係止されることで、筐体が区画体の屋内側に取り付けられて、筐体の内部が開口部を介して投函口に連通(連続)される。これにより、区画体の屋外側から投函口に郵便物等の投函物が投函されることで、投函物が筐体内に収容されると共に、蓋体を開くことで投函物の取り出しが可能になる。
【0012】
また、宅配物収容用ボックスは、筐体が区画体の屋外側に取り付けられる際、裏板が区画体側とされる。固定部は、区画体の屋外側に配置された筐体を、区画体の屋内側から固定する。 これにより、宅配ボックスは、筐体を区画体の屋内側のみでなく屋外側にも取り付けることができ、筐体が屋外側に取り付けられた際には、施錠手段によって施錠可能な蓋体を開閉して筐体内に宅配物等を出し入れできる。また、固定部は、区画体の屋外側に配置される筐体を屋内側から固定するので、屋外側から筐体が取り外されてしまうのを防止できるので、防犯性が向上される。
【0013】
第2の態様の宅配物収容用ボックスの取付構造では、第1の態様において、前記固定部は、前記投函口を介して屋内側から前記筐体を前記区画体の屋外側に固定する。
【0014】
第2の態様では、固定部が投函口を介して屋内側から筐体を区画体の屋外側に固定する。これにより、区画体に加工を施すことなく、筐体を区画体の屋外側に取り付けることができるので、宅配物収容用ボックスの筐体が取り付けられる区画体の原状復帰が容易になる。
【0015】
第3の態様の宅配物収容用ボックスの取付構造は、第2の態様において、前記固定部は、前記筐体の前記裏板と前記区画体とを挟持して前記筐体を前記区画体に固定する挟持手段を含む。
【0016】
第3の態様では、挟持手段が区画体と筐体の裏板とを挟持して、筐体を区画体の屋外側に固定する。これにより、区画体の屋内側から区画体の屋外側の筐体を区画体に容易に取り付けることができる。
【0017】
第4の態様の宅配物収容用ボックスの取付構造は、第3の態様において、前記挟持手段は、前記区画体の屋内側に配置された固定板と、前記筐体の内部から前記裏板を挿通され前記区画体の前記投函口に挿入されて前記固定板に挿通されたボルトと、前記固定板から前記区画体の屋内側に突出された前記ボルトに螺合されたナットと、を含む。
【0018】
第4の態様では、区画体の屋内側に固定板が配置され、筐体の内部から裏板を挿通され区画体の前記投函口に挿入されたボルトが、固定板に挿通される。また、固定板から区画体の屋内側に突出されたボルトには、ナットが螺合される。これにより、筐体と区画体とをボルトとナットとによって容易に筐体を区画体に締結固定できると共に、筐体と区画体との固定解除が容易になる。
【0019】
第5の態様の宅配物収容用ボックスの取付構造は、第4の態様において、前記挟持手段は、前記筐体内に配置された支持板から対で前記ボルトが突設されている。
【0020】
第5の態様では、一対のボルトが支持板から突設されており、支持板を筐体内に配置して、一対のボルトを区画体の投函口に挿入する。これにより、投函口から区画体の屋内側に容易にボルトを突出させて筐体を区画体に取り付けることができる。また、ボルトは、投函口の長手方向に配置されることが好ましく、これにより、筐体がボルトを軸に回ってしまうのを防止できて、筐体を安定した状態で区画体に取り付けることができる。
【0021】
第6の態様の宅配物収容用ボックスの取付構造では、第1から第5の何れか1の態様において、前記筐体には、前記区画体の屋外側に配置された際、上側となる上板に前記投函物を挿入可能な貫通孔が設けられている。
【0022】
第6の態様では、区画体の屋外側に配置された筐体の上板に貫通孔が形成されており、貫通孔は、投函物の挿入が可能になっている。これにより、屋外側に配置された筐体が投函口を閉止しても、郵便物を筐体内に収容できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように第1の態様によれば、区画体の屋内側に取り付けることで郵便受けとして用いることができる宅配物収容用ボックスの筐体を、区画体の屋外側に取り付けることができる。また、筐体を区画体の屋外側に取り付けられた際には、屋外側から筐体が取り外されてしまうのを防止できて、防犯性を向上できるという効果が得られる。
【0024】
第2の態様によれば、区画体に加工を施すことなく、筐体を区画体の屋外側に取り付けることができるので、宅配物収容用ボックスの筐体が取り付けられる区画体の原状復帰が容易になる、という効果が得られる。
【0025】
第3の態様によれば、挟持手段が区画体と筐体の裏板とを挟持して、筐体を区画体の屋外側に固定するので、区画体の屋外側の筐体を区画体の屋内側から容易に取り付けることができる、という効果が得られる。
【0026】
第4の態様によれば、筐体と区画体とをボルトとナットとによって容易に筐体を区画体に締結固定できると共に、固定解除が容易になる。
【0027】
第5の態様によれば、投函口から区画体の屋内側に容易にボルトを突出させて筐体を区画体に取り付けることができると共に、筐体を安定した状態で区画体に取り付けることができる、という効果が得られる。
【0028】
第6の態様によれば、屋外側に配置された筐体が投函口を閉止しても、郵便物を筐体内に収容できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る宅配ボックスを示す斜視図である。
【
図2】玄関ドアへの取り付けを示す宅配ボックスの主要部の斜視図である。
【
図3】(A)~(C)は、宅配ボックスが玄関ドアの屋外側に取り付けられた状態を示し、(A)は、屋外側から見た玄関ドアの立面図、(B)は、玄関ドアの側面図、(C)は、屋内側から見た玄関ドアの立面図である。
【
図4】(A)~(C)は、宅配ボックスが玄関ドアの屋内側に取り付けられた状態を示し、(A)は、玄関ドアの側面図、(B)は、屋内側から見た玄関ドアの立面図、(C)は、屋内側から見た宅配ボックスの主要部の断面図である。
【
図5】(A)及び(B)は、各々玄関ドアを示し、(A)は玄関ドアの屋外側からみた玄関ドアの立面図、(B)は、屋内側から見た玄関ドアの立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態には、宅配物収容用ボックスとして宅配ボックス10が適用されており、宅配ボックス10は、区画体としての玄関ドア12に取り付けられる。
図1には、本実施形態に係る宅配ボックス10が表側から見た斜視図にて示されている。また、
図5(A)には、玄関ドア12が屋外側から見た立面図にて示され、
図5(B)には、玄関ドア12が屋内側から見た立面図にて示されている。
【0031】
玄関ドア12は、例えば鋼板製とされており、玄関ドア12は、戸建て住宅やマンションなどの集合住宅等の玄関に設置されて、屋内と屋外とを区画する。
図5(A)及び
図5(B)に示すように、玄関ドア12は、矩形枠状のドア枠14(
図5(A)参照)内に配置された開き戸とされており、玄関ドア12は、幅方向の一側の複数個所においてヒンジ(蝶番)16を介してドア枠14に取り付けられている。これにより、玄関ドア12は、例えばヒンジ16を軸に屋外側に回動されて、玄関を人の出入可能に開放する。
【0032】
なお、玄関ドア12には、レバーハンドル18及びシリンダ20が設けられており、玄関ドア12は、シリンダ20のサムターン又はシリンダ20に差込んだキー(何れも図示省略)が回動操作されることで、施錠及び解錠される。玄関ドア12は、施錠されることで開閉できないが、解錠されることで、レバーハンドル18の操作で開閉可能になる。
【0033】
玄関ドア12には、郵便受けを構成する長尺矩形状の投函口22が設けられている。投函口22は、はがきや封書等(以下、郵便物という)が挿入(投入)可能な大きさとされ、投函口22は、玄関ドア12の上下方向中間部の所定位置において、長手方向が玄関ドア12の幅方向(左右方向)とされて、玄関ドア12に貫通形成されている。
【0034】
また、投函口22の開口内には、シャッタ22Aが設けられており、シャッタ22Aは、上側の周縁部分が軸とされて、下側が屋外側に向けて回動可能にされており、シャッタ22Aは、屋外側に付勢されて投函口22を閉止している。これにより、投函口22は、シャッタ22Aを屋内側に回動させること開かれて、屋外側から郵便物が挿入(投函)可能になっている。
【0035】
玄関ドア12の屋内側には、係止手段としての正面視略コ字状のブラケット24が配置されており、ブラケット24は、投函口22を玄関ドア12の幅方向の両側から上側に跨って囲うように玄関ドア12の屋内側の面に取り付けられている。ブラケット24には、投函口22の上側部分に凹部24Aが形成されており、凹部24Aは、玄関ドア12側及び上側の各々に長尺矩形状に開口されている。これにより、ブラケット24が取り付けられた玄関ドア12には、玄関ドア12の屋内側の面とブラケット24との間において凹部24Aが上方に向けてスリット状に開口された差込み口26が形成されている。
【0036】
ブラケット24は、玄関ドア12の内側において郵便受けを構成する受箱(郵便受箱)28の取り付けを可能にしている。受箱28は、例えば一方の面が開放された略箱状とされており、受箱28は、開口側が玄関ドア12側とされて、玄関ドア12の屋内側に配置される。また、受箱28には、上側の開口周縁から開口内に延設された図示しない差入部が形成されている。受箱28は、差入部が差込み口26に挿入されることで、投函口22を覆うようにブラケット24に吊下げられて係止される。
【0037】
玄関ドア12は、受箱28が取り付けられることで、投函口22から投函された郵便物が受箱28に収容される。なお、受箱28の下端部は、玄関ドア12の屋内側面に設けられた図示しないナットにネジを螺合して締結固定されてもよい。
【0038】
宅配ボックス10は、受箱28に替えて玄関ドア12の屋内側に取り付け可能になっている。また、宅配ボックス10は、玄関ドア12の屋内側に替えてと、玄関ドア12の屋外側に取り付け可能になっている。
図2には、玄関ドア12の屋外側に取り付けられる際の宅配ボックス10の主要部が斜視図にて示されている。また、
図3(A)~(C)には、宅配ボックス10が屋外側に取り付けられた玄関ドア12が示され、
図4(A)~(C)には、宅配ボックス10が屋内側に取り付けられた玄関ドア12が示されている。なお、
図3(A)には、玄関ドア12が屋外側から見た立面図にて示され、
図3(B)には、玄関ドア12が側面図にて示され、
図3(C)には、玄関ドア12が屋内側から見た立面図にて示されている。また、
図4(A)には、玄関ドア12が側面図にて示され、
図4(B)には、玄関ドア12が屋内側から見た立面図にて示され、
図4(C)には、玄関ドア12に取り付けられた筐体30の主要部が屋内側から見た断面図にて示されている。
【0039】
図1に示すように、宅配ボックス10は、矩形箱体状とされた筐体30を備えており、筐体30は、鋼板、ステンレス、アルミニウムなどの金属製又は樹脂製とされている。筐体30は、宅配物としての郵便物よりも大きい所定のサイズ(大きさ)の郵便小包や段ボール箱などを内部に収容可能な大きさとされている。また、筐体30は、一面が表板32とされ、表板32とは反対側が裏板34とされていると共に、表板32及び裏板34の各々に接する一面が上板36とされており、筐体30は、裏板34が玄関ドア12側とされ、上板36が上側とされて用いられる。
【0040】
筐体30の表板32には、略矩形状の開口部38が貫通形成されており、開口部38は、筐体30内に収容される宅配物が挿入可能な大きさにされている。また、筐体30には、開口部38内に蓋体(扉)40が配置されており、蓋体40は、開口部38を閉止可能な大きさにされている。
【0041】
蓋体40は、下縁部が図示しないヒンジを介して筐体30の開口部38下縁に連結されている。また、蓋体40は、上下方向中間部がステー42(
図3(A)及び
図4(B)参照)を介して筐体30の開口部38の側縁部に連結されており、ステー42は、長手方向の中間部が屈曲可能とされている。これにより、蓋体40は、下側部分を軸に上側が回動されて、開口部38の閉止位置、及びステー42が伸びた開口部38の開放位置に配置可能にされており、蓋体40は、開放位置においてステー42に支持される。
【0042】
また、蓋体40には、施錠手段としてのダイヤル錠44が設けられている。ダイヤル錠44は、ダイヤル46を備えており、ダイヤル46は、例えば、蓋体40の上側かつ幅方向の中間部において表側に突出されている。ダイヤル46は、蓋体40の開閉の際のツマミとして利用可能になっている。
【0043】
また、ダイヤル46は、右廻り及び左廻りに回転可能にされており、ダイヤル46には、数字が表示されるダイヤル窓48が形成されており、ダイヤル窓48に表示される数字は、ダイヤル46が回転されることで変更される。ダイヤル錠44は、ダイヤル46の回転操作によりロック、ロック解除が切り替えられる。ダイヤル錠44は、ロック状態で蓋体40の裏側の図示しないロックレバーが筐体30の開口部38周縁に係止される。これにより、蓋体40が開かれないロック状態にされる。なお、ダイヤル錠44(ダイヤル46)は、蓋体40ではなく、表板32の開口部38周縁部分などに設置されていてもよい。
【0044】
ダイヤル錠44は、ロック解錠のためのダイヤル46の回転方向とダイヤル窓48の数字の組合せが予め定められており、ダイヤル錠44は、ダイヤル46が予め設定された回転操作がなされることで、ロックレバーが蓋体40の裏側に退避される。これにより、蓋体40が開閉可能なアンロック状態になる。
【0045】
また、
図1に示すように、筐体30の上板36には、貫通孔としての長尺略矩形状の挿入口50が形成されており、挿入口50は、宅配ボックス10において投函口として機能する。挿入口50は、長手方向が筐体30の左右方向とされて上板36に貫通形成されている。また、挿入口50には、シャッタ52が配置されており、挿入口50は、シャッタ52が回動されることで開かれ、郵便物が挿入(投函)可能となる。宅配ボックス10では、挿入口50から筐体30内に挿入(投入)された郵便物が筐体30内に収容される。
【0046】
なお、
図4(C)に示すように、上板36の下側には、矩形筒状のダクト50Aが取り付けられており、挿入口50は、ダクト50A内を介して筐体30内に連通されている。このため、挿入口50に投函された郵便物は、ダクト50A内を通過して筐体30内に落下することで、筐体30内に収容され、ダクト50Aは、筐体30内に収容された郵便物等が挿入口50から引き出されるのを抑制している。
【0047】
図1、
図2及び
図4(C)に示すように、筐体30の裏板34には、略矩形状の開口部54が貫通形成されている。開口部54の左右方向の開口寸法は、玄関ドア12の投函口22の左右方向(長手方向)の寸法(開口寸法)よりも大きくされており、開口部54の上下方向の寸法は、投函口22の上下方向の開口寸法より大きくされている。本実施形態において開口部54は、開口内に投函口22及び投函口22を囲うブラケット24を一体に配置可能な大きさにされている(
図4(C)参照)。
【0048】
筐体30の裏板34には、係止部としての略矩形状の差入部56が形成されている。差入部56は、開口部54の左右方向の中間部において開口部54の上側周縁部から開口内に突出されており、差入部56は、ブラケット24によって形成された差込み口26に挿入可能となっている。
【0049】
筐体30は、差入部56が玄関ドア12の差込み口26に挿入されることで、ブラケット24によって玄関ドア12の屋内側に係止される。これにより、玄関ドア12の投函口22が、筐体30の開口部54内に配置され、玄関ドア12の屋外側から投函口22に投函された郵便物等が筐体30内に収容可能にされている。
【0050】
一方、
図2、
図3(B)及び
図3(C)に示すように、筐体30を玄関ドア12の屋外側に取り付ける際には、固定部及び挟持手段を構成する支持板としてのベース板58、及び取付板60が用いられる。ベース板58は、筐体30内に配置され、取付板60は、玄関ドア12の屋内側に配置される。
【0051】
ベース板58は、帯板状とされており、長手方向の長さ寸法が裏板34に形成された開口部54の左右方向の開口寸法よりも長くされている。また、ベース板58には、例えば、寸切りボルト(長ねじ)を所定長さに切断したボルト62が対で取り付けらており、ボルト62は、ベース板58の一方の面において長手方向の中間部からベース板58表面に対して略垂直に立設されている。ボルト62の長さ(立設高さ)は、玄関ドア12の厚さよりも長くされており、一対のボルト62の間隔寸法は、投函口22の長手方向(玄関ドア12の左右方向)の長さ寸法よりも短くされている。
【0052】
これにより、裏板34を玄関ドア12の屋外側の面に対向させた状態で、開口部54から投函口22に一対のボルト62を挿入した状態では、ベース板58の長手方向の端部が開口部54の周縁部において裏板34に重ねられる。また、ボルト62の先端部は、玄関ドア12の投函口22から屋内側に突出され、蝶ナット64が螺合可能になっている。なお、ボルト62は、少なくとも投函口22から屋内側に突出する部分にねじが刻設されていればよい。
【0053】
取付板60は、玄関ドア12の投函口22を覆う大きさの帯板状とされており、取付板60には、ベース板58の一対のボルト62が各々に挿入可能な貫通孔66が対で貫通形成されている。これにより、取付板60は、玄関ドア12の屋内側においてブラケット24に囲われるように配置可能とされると共に、玄関ドア12に配置された際に、周縁部が玄関ドア12の投函口22の周縁部に重ねられる。また、取付板60の貫通孔66には、投函口22から突出されるボルト62の先端部が挿通される。
【0054】
次に本実施形態の作用として玄関ドア12への宅配ボックス10の取り付けを説明する。本実施形態に係る宅配ボックス10は、筐体30が玄関ドア12の屋内側及び屋外側の何れにも取り付け可能になっている。
【0055】
筐体30の裏板34には、開口部54が形成されていると共に、開口部54の上側周縁に差入部56が形成されている。筐体30は、ブラケット24によって玄関ドア12の屋内側に形成された差込み口26に差入部56が差込まれる(
図4(C)参照)ことで、ブラケット24を介して玄関ドア12に係止される。また、筐体30の内部は、裏板34の開口部54及び玄関ドア12の投函口22を介して屋外に開放可能となる。
【0056】
これにより、宅配ボックス10の筐体30は、玄関ドア12の投函口22から投函される郵便物等を収容する郵便受けとして用いることができる。また、宅配ボックス10は、差入部56を玄関ドア12の差込み口26から引き出すことで、筐体30を玄関ドア12から取り外すことができ、宅配ボックス10は、玄関ドア12に対して加工を行なうことなく筐体30を玄関ドア12の屋内側に容易に着脱できる。
【0057】
一方、宅配ボックス10は、筐体30を玄関ドア12の屋外側に取り付けられる際、ベース板58及び取付板60等が用いられる。筐体30は、裏板34の開口部54を玄関ドア12の屋外側から投函口22に対向させた状態(
図2参照)で、ベース板58の一対のボルト62を開口部54から投函口22に挿入して、投函口22から屋内側に突出させる。この際、投函口22のシャッタ22A(
図2では、図示省略)が屋外側から屋内側に回動可能となっていることで、ボルト62を容易に投函口22へ挿入できる。
【0058】
次に、投函口22から玄関ドア12の屋内側に突出したボルト62の先端部を、取付板60の貫通孔66に挿通し、さらに貫通孔66から突出したボルト62の先端部に蝶ナット64を螺合する。これにより、宅配ボックス10は、筐体30の裏板34と玄関ドア12とがベース板58と取付板60に挟まれて、筐体30が玄関ドア12の屋外側に締結固定される。
【0059】
筐体30には、上板36に挿入口50が形成されており、挿入口50から郵便物等を挿入することで、郵便物等が筐体30内に収容され、筐体30内に収容された郵便物等は、蓋体40を開くことで筐体30内から取り出される。これにより、宅配ボックス10は、筐体30が郵便受けとして用いられるので、玄関ドア12の投函口22が筐体30によって閉止されていても、郵便物等の受け取りができる。
【0060】
また、宅配ボックス10では、筐体30の表板32に蓋体40が設けられており、蓋体40を開くことで筐体30内が大きく開放されて宅配物等を挿入できる。また、筐体30には、ダイヤル錠44が設置されており、ダイヤル錠44によって蓋体40をロックできる。これにより、ダイヤル錠44の解除番号を知らない人(受取人以外の人)によって筐体30内に収容された宅配物等が簡単に取り出されてしまうのを防止できる。また、ダイヤル46を操作してダイヤル錠44を解錠することで、蓋体40を開くことができ、ダイヤル錠44の解除番号を知っている受取人は、筐体30内に収容された宅配物等を簡単に取り出すことができる。
【0061】
一方、玄関ドア12の屋外側に設置された筐体30を取り外す場合、玄関ドア12の屋内側において、蝶ナット64をボルト62から外し、ボルト62を取付板60の貫通孔66から引き抜く。これにより、ベース板58のボルト62を玄関ドア12の投函口22から引き出して、ベース板58と共に筐体30を玄関ドア12から取り外しことができる。
【0062】
このように、宅配ボックス10は、玄関ドア12の投函口22が用いられて筐体30が玄関ドア12に取り付けられているため、筐体30が玄関ドア12の開閉に支障を生じさせることがない。また、宅配ボックス10は、筐体30が投函口22を介して屋内側から固定されるので、玄関ドア12の屋外側から筐体30を取り外すことが困難となり、高い防犯性を確保できる。しかも、宅配ボックス10は、屋外側の筐体30を玄関ドア12の屋内側から容易に取り外すことができる。
【0063】
また、宅配ボックス10は、投函口22の長手方向に配置された2本のボルト62が投函口22に挿入されて締結固定されている。このため、筐体30は、玄関ドア12に取り付けられた際、一方のボルト62が軸となって回転してしまうのが他方のボルト62と投函口22とによって制限されるので、玄関ドア12に安定した状態で取り付けられる。
【0064】
さらに、宅配ボックス10は、筐体30を玄関ドア12の屋外側に設置する際、玄関ドア12に対する加工等を行なうことがないので、例えば、賃貸住宅であっても、契約時への原状復帰を容易にできる。しかも、宅配ボックス10は、筐体30を玄関ドア12の屋内側及び屋外側の各々に容易に着脱できるので、例えば、通常は、玄関ドア12の屋内側に筐体30を設置して郵便受けとして利用し、宅配物が配達されると予測されるときに、玄関ドア12の屋外側に筐体30を設置することができる。
【0065】
なお、以上説明した本実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。本実施形態では、ベース板58に一対のボルト62を設けたが、六角ボルトなどの頭付きのボルトを用い、筐体30の裏板34の所定位置にボルトのねじ部分が挿通可能な貫通孔を形成し、裏板34と取付板60との間で玄関ドア12を挟んで筐体30を玄関ドア12の屋外側に取り付けるようにしてもよい。
【0066】
また、玄関ドア12の屋外側への筐体30の取り付けは、投函口22を介して玄関ドア12の屋内側から取り付けて固定するものであれば、本実施形態の構成に限るものではない。また、固定部は、投函口を用いる構成に限らず、例えば、玄関ドア12の周縁部において、玄関ドア12と筐体30の裏板34との挟むようにして筐体30を玄関ドア12に取り付ける構成であってもよい。この場合においても、筐体30が玄関ドア12の開閉や玄関の出入に支障が生じるのを抑制できる。
【0067】
また、以上説明した本実施形態では、玄関ドア12に宅配ボックス10を設置した。しかしながら、宅配物収容用ボックスが取り付けられる区画体は、投函口が設けられた区画体であればよく、区画体は、玄関ドア脇の袖パネルであってもよく、袖壁などであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 宅配ボックス(宅配物収容用ボックス)
12 玄関ドア(区画体)
22 投函口
24 ブラケット(係止部)
26 差込み口(係止部)
30 筐体
40 蓋体
44 ダイヤル錠(施錠手段)
50 挿入口(貫通孔)
54 開口部
56 差入部
58 ベースプレート(挟持手段、支持板)
60 取付板(挟持手段)
62 ボルト(挟持手段)
64 蝶ナット(挟持手段、ナット)