(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20230523BHJP
B65D 85/30 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
(21)【出願番号】P 2020514413
(86)(22)【出願日】2019-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2019016468
(87)【国際公開番号】W WO2019203270
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018080505
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 統
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-252048(JP,A)
【文献】国際公開第2013/157462(WO,A1)
【文献】特開2002-357271(JP,A)
【文献】特開昭63-318738(JP,A)
【文献】特開昭62-193259(JP,A)
【文献】特開2013-021118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する容器本体と、
前記容器本体の開口を閉止する蓋体と、
を備え、
前記容器本体における前記開口まわりの第1部位と、前記蓋体における前記第1部位に対向する第2部位とは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造を形成
し、
前記第1部位及び前記第2部位は、前記容器本体に収納されるときの基板の表面に略平行な第1方向で対向し合う第1表面を有し、
前記第1部位の前記第1表面には、前記第2部位に向かって前記第1方向に突出する2本以上の第1のリブが設けられ、
前記第2部位の前記第1表面には、前記第1部位に向かって前記第1方向に突出する2本以上の第2のリブが設けられ、
前記第1部位の前記第1のリブと前記第2部位の前記第2のリブとは、前記第1方向と直交する第2方向に交互に配置されて前記ラビリンスシール構造を形成し、
前記ラビリンスシール構造には、流路面積が小さい狭小部と流路面積が大きい拡大部とが交互に設けられ、
前記狭小部を区画する前記第1のリブと前記第2のリブとの前記第2方向の隙間は、前記第1方向に一定である、基板収納容器。
【請求項2】
前記ラビリンスシール構造は、前記開口まわりの全周にわたり形成される、請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記
第1のリブは、高低差が10mm以内であ
り、
前記第2のリブは、高低差が10mm以内である、
請求項1又は2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記第2部位は、前記蓋体の本体の材料とは異なる材料により形成される、
請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の基板収納容器。
【請求項5】
前記第2部位は、前記蓋体の本体とは別体であり、前記蓋体の本体に取り付けられる、
請求項4に記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板収納容器は、基板を収納する容器本体と、容器本体の開口を閉止する蓋体と、容器本体と蓋体との間に設けられる環状のパッキンと、を備えたものであり、基板を気密状態で収納している。
【0003】
この種のパッキンとして、延出片がその延長線とシール面との間に略鋭角を形成するように形成されたもの、シール面に接触して基板収納容器の外側に湾曲したもの及び開口正面外方に向けて屈曲しているものなどが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
これらのパッキンは、基板収納容器の内部が陰圧の場合、言い換えると、外部の圧力が高い場合に、延出片がシール面に押し付けられる方向に変形するため、良好なシール性を奏するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-068364号公報
【文献】特開2008-062979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来技術では、内部の陽圧に対するシール性を確保しつつ、蓋体の開閉に伴う摩擦によるパーティクルの発生を低減することが難しい。パッキンは、エラストマー等により形成されており、摩擦によりパーティクルが比較的発生しやすい。また、不活性ガスなどのパージガスを基板収納容器の内部に供給した場合、つまり、基板収納容器の内部が陽圧になる場合は、延出片はシール面から剥がされる方向に変形するため、シール性が低下することがある。
【0006】
そこで、1つの側面では、本発明は、内部の陽圧に対するシール性を確保しつつ、蓋体の開閉に伴う摩擦によるパーティクルの発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面では、基板を収納する容器本体と、前記容器本体の開口を閉止する蓋体と、前記容器本体における前記開口まわりの第1部位と、前記蓋体における前記第1部位に対向する第2部位とは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造を形成する、基板収納容器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、本発明によれば、内部の陽圧に対するシール性を確保しつつ、蓋体の開閉に伴う摩擦によるパーティクルの発生を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施例の基板収納容器を示す分解概略斜視図である。
【
図2】一例によるラビリンスシール構造を示す概略的な断面図である。
【
図3】
図2に示すラビリンスシール構造によるシール効果の説明図である。
【
図4】他の一例によるラビリンスシール構造を示す概略的な断面図である。
【
図5】他の一例によるラビリンスシール構造を示す概略的な断面図である。
【
図6】他の一例によるラビリンスシール構造を示す概略的な断面図である。
【
図7A】他の一例によるラビリンスシール構造を示す概略的な断面図である。
【
図8】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図9】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図10】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図11】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図12】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図13】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図14】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【
図15】他の一例によるラビリンスシール構造70を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施例の基板収納容器1を示す分解概略斜視図である。
【0012】
図1に示すように、基板収納容器1は、基板Wを収納する容器本体10と、容器本体10の開口11を閉止する蓋体20と、を備えている。
【0013】
容器本体10は、箱状体であり、開口11が正面に形成されたフロントオープン型である。開口11は、外側に広がるように段差をつけて屈曲形成され、その段差部の面がシール面12として、開口11の正面の内周縁に形成されている。なお、容器本体10は、300mm径や450mm径の基板Wの挿入操作を行い易いことから、フロントオープン型が好ましいが、開口11が下面に形成されたボトムオープン型であってもよい。
【0014】
容器本体10の内部の左右両側には、支持体13が配置されている。支持体13は、基板Wの載置及び位置決めをする機能を有している。支持体13には、複数の溝が高さ方向に形成され、いわゆる溝ティースを構成している。そして、基板Wは、同じ高さの左右2か所の溝ティースに載置されている。支持体13の材料は、容器本体10と同様のものであってもよいが、耐熱性や、洗浄性、摺動性を高めるために、異なる材料が用いられてもよい。
【0015】
また、容器本体10の内部の後方(奥側)には、リアリテーナ(図示せず)が配置されている。リアリテーナは、蓋体20が閉止された場合に、後述するフロントリテーナ30と対となって、基板Wを保持する。ただし、変形例では、リアリテーナを備えることなく、支持体13が、溝ティースの奥側に、例えば、「く」字状や直線状をした基板保持部を有することで、フロントリテーナ30と基板保持部とで基板Wを保持するようなものであってもよい。これらの支持体13やリアリテーナは、容器本体10にインサート成形や嵌合などにより設けられている。
【0016】
基板Wは、この支持体13に支持されて容器本体10に収納される。なお、基板Wの一例としては、シリコンウェーハが挙げられるが特に限定されず、例えば、石英ウェーハ、ガリウムヒ素ウェーハ、ガラスウェーハ、樹脂ウェーハなどであってもよい。
【0017】
容器本体10の天井中央部には、ロボティックフランジ14が着脱自在に設けられている。清浄な状態で基板Wを収容した基板収納容器1は、工場内の搬送ロボットで、ロボティックフランジ14を把持されて、基板Wを加工する工程ごとの加工装置に搬送される。
【0018】
また、容器本体10の両側部の外面中央部には、作業者に握持されるマニュアルハンドル15がそれぞれ着脱自在に装着されている。
【0019】
容器本体10の底面には、例えば、チェックバルブ機能を有する給気弁18と排気弁19とが設けられている。これらは、蓋体20によって閉止された基板収納容器1の内部に、給気弁18から窒素ガスなどの不活性気体やドライエアーを供給し、排気弁19から排出することで、基板収納容器1の内部の気体を置換したり、気密状態を維持したりする。なお、給気弁18及び排気弁19は、基板Wを底面へ投影した位置から外れた位置にあるのが好ましいが、給気弁18及び排気弁19の数量や位置は、図示したものに限らない。また、給気弁18及び排気弁19は、気体を濾過するフィルタを有している。
【0020】
内部の気体の置換は、収納した基板W上の不純物質を吹き飛ばしたり、内部の湿度を低くしたりするなどの目的で行われ、搬送中の基板収納容器1の内部の清浄性を保つ。気体の置換は、排気弁19側においてガスを検知することで、確実に行われているか確認することができる。そして、内部の気体を置換する時や、蓋体20を容器本体10に取り付けて、閉止する時に、基板収納容器1の内部は陽圧になり、逆に、蓋体20を容器本体10から取り外す時に、基板収納容器1の内部は陰圧となる。
【0021】
蓋体20は、容器本体10の開口11の正面に取り付けられる、略矩形状のものである。蓋体20は、
図1に示すように、蓋部本体21と、この蓋部本体21に設置されて施錠する一対の施錠機構26と、各施錠機構26を着脱自在に覆う一対のプレート27とを備え、容器本体10の開口正面部に着脱自在に嵌合される。蓋体20は、施錠機構26によって、容器本体10に形成された係止穴(図示せず)に係止爪が嵌入することで施錠されるようになっている。なお、蓋体20の蓋部本体21、一対の施錠機構26、及び一対のプレート27は、容器本体10と同様の成形材料を使用して成形される。
【0022】
また、蓋体20は、中央部に基板Wの前部周縁を水平に保持する弾性のフロントリテーナ30が着脱自在に装着又は一体形成されている。
【0023】
このフロントリテーナ30は、支持体13の溝ティース及び基板保持部などと同様に、ウェーハが直接接触する部位であるため、洗浄性や摺動性が良好な材料が用いられている。フロントリテーナ30も、蓋体20にインサート成形や嵌合などで設けることができる。
【0024】
これらの容器本体10及び蓋体20の材料としては、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。この熱可塑性樹脂は、導電性カーボン、導電繊維、金属繊維、導電性高分子などからなる導電剤、各種の帯電防止剤、紫外線吸収剤などが更に適宜添加されてもよい。
【0025】
ここで、本実施例では、基板収納容器1は、容器本体10と蓋体20との間に、本来使用される環状のパッキンが設けられない。それに代えて、容器本体10と蓋体20との間にラビリンスシール構造が形成される。以下、ラビリンスシール構造の各例について説明する。
【0026】
図2は、一例によるラビリンスシール構造70Aを示す概略的な断面図である。
図2(後出の
図3以降も同様)は、
図1の容器本体10のラインA-Aに沿った部分の断面図(蓋体20が閉じられた容器本体10の状態での断面図)である。
図2は、直交する2方向として、X,Y方向が定義されている。X方向において、X1側が内側に対応し、X2側が外側に対応する。X方向は、開口11まわりの径方向に対応する。また、Y方向において、Y1側が内側に対応し、Y2側が外側に対応する。なお、Y方向(第1方向の一例)は、容器本体10に収納されるときの基板W(
図1参照)の表面に略平行な方向である。
【0027】
図2に示すように、容器本体10における開口11まわりの第1部位110と、蓋体20における第1部位110に対向する第2部位210とは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Aを形成する。
【0028】
具体的には、第1部位110は、第2部位210とY方向に対向する表面101(第1表面の一例)と、第2部位210とX方向に対向する表面102とを有する。なお、表面101は、シール面12(
図1参照)を形成する。同様に、第2部位210は、第1部位110とY方向に対向する表面211(第1表面の一例)と、第1部位110とX方向に対向する表面212とを有する。このように、第1部位110及び第2部位210は、Y方向に対向し合うとともに、X方向に対向し合う。
【0029】
なお、
図2では、表面101と表面211との間の隙間δ2と、表面102と表面212との間の隙間δ1(最小の隙間)は、略同じであるが、異なってもよい。隙間δ2及び隙間δ2は、公差等に起因して、表面101と表面211との間の接触や表面102と表面212との間の接触が生じないように設定される。隙間δ1及び隙間δ2は、0mmより大きく、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。1.0mmより大きいとシール性が効果的に得られなくなるためである。
容器本体10における開口11まわりの第1部位110と、蓋体20における第1部位110に対向する第2部位210との非接触度合いについては、接触度合いが0%の場合、パーティクルの発生が無いので「最良」、0-10%の場合は「良」、10-50%の場合は「可」(使用は可能だがパーティクルへの優位性が下がる為)、50%以上の場合は「NG」とそれぞれ評価することができる。
【0030】
図2では、ラビリンスシール構造70Aは、第1部位110の表面101及び第2部位210の表面211により形成される。
【0031】
具体的には、第2部位210は、第1部位110に向かって突出するリブ群710を有する。
図2では、リブ群710は、3本のリブ710-1、710-2、710-3を有するが、リブの本数は任意である。例えば、3つのリブ710-1、710-2、710-3のうちの任意の1つ又は2つが省略されてもよいし、更なる追加のリブが設定されてもよい。
【0032】
リブ710-1、710-2、710-3は、開口11まわりの全周にわたり形成される。例えば、リブ710-1、710-2、710-3は、開口まわりの全周にわたり、等断面で形成されてもよい。なお、変形例では、リブ710-1、710-2、710-3は、開口11まわりの周方向の一部で断面が変化してもよいし、開口11まわりの周方向の一部で不連続となってもよい。
【0033】
リブ710-1、710-2、710-3は、好ましくは、蓋部本体21の成形性を考慮した形態、すなわち金型から抜ける形態を有する。なお、リブ710-2、710-3は、
図2に示すように、外側の周面が、Y1側に向かうほど内側に向かう向きに傾斜している。この場合、内側の周面が、Y1側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜している場合よりも、内部の陽圧に対するシール性を高めることができる(原理については後述する)。ただし、変形例では、リブ710-2、710-3は、内側の周面が、Y1側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜してもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0034】
リブ710-1、710-2、710-3は、好ましくは、高低差(
図2の高さH参照)が10mm以内であり、例えば、1mm~10mmの範囲内であってよい。高低差(
図2の高さH参照)は、隙間δ2の5倍以上、好ましくは10倍以上あれば大きなシール効果が期待できる。なお、蓋体本体21側の第2部位210の形状と容器本体10側の第1部位110の形状を逆にしてもよい。なお、図面においては、ラビリンス効果を分かりやすく説明するために、Hの高さに対して、δ1とδ2の距離を大きく記載している。
【0035】
図3は、
図2に示すラビリンスシール構造70Aによるシール効果の説明図である。
【0036】
ラビリンスシール構造70Aは、
図3(
図2も同様)に示すように、X方向に沿って狭小部701と拡大部702とを繰り返す。従って、例えば容器本体10の内部が陽圧であるとき、容器本体10の内部P0から外部P1までの流れにおいては、
図3で矢印にて模式的に示すように、狭小部701から拡大部702への移行の際の流路面積の急拡大と、拡大部702から狭小部701への移行の際の流路面積の急縮小とが繰り返すことで、圧力損失が生じる。また、容器本体10の内部P0から1つ目の狭小部701への移行の際も、流路面積が急縮小するので、圧力損失が生じる。また、容器本体10の外部P1への移行の際も、流路面積が急拡大するので、圧力損失が生じる。このようにして、ラビリンスシール構造70Aにおいては内部P0と外部P1との間で圧力が徐々に変化する。この結果、ラビリンスシール構造70Aを介した内部P0と外部P1との間の気体の流動が低減又は無くなり、シール機能が発揮される。すなわち、内部の陽圧に対するシール性が確保される。
【0037】
また、容器本体10の内部が陰圧であるときも、同様に、シール機能が発揮される。これは、容器本体10の外部P1から内部P0までの流れにおいても、狭小部701から拡大部702への移行の際の流路面積の急拡大と、拡大部702から狭小部701への移行の際の流路面積の急縮小とが繰り返すことで、圧力損失が生じるためである。
【0038】
なお、急拡大と急縮小との繰り返しの数は、容器本体10の内部P0からの急縮小と、容器本体10の外部P1への急拡大を含めて、少なくとも3回以上が好ましい。すなわち、上述のように、リブの本数は1本以上あればよい。ただし、シール性を高めるためには、リブの本数は2本以上が望ましい。
【0039】
ここで、基板収納容器1は、何度も使用されるものであり、蓋体20の開閉が何度も行われる。この点、エラストマー等により形成されるパッキンを用いてシール性を確保する比較例の場合、摩擦によりパーティクルが発生しやすい。すなわち、蓋体の開閉に伴うパッキンのシール面に対する摺動によって、パーティクルの発生が起こり易い。かかるパーティクルが発生した状態において、蓋体の開時に容器本体の内部が陰圧であると、パーティクルが容器本体の内部に入り、基板Wを汚染するおそれがある。
【0040】
また、エラストマー等により形成されるパッキンを用いてシール性を確保する比較例の場合、パッキンが容器本体のシール面に貼りつき、蓋体20の開閉トルクが過大となり、製造工程におけるエラー等の発生要因となる。
【0041】
これに対して、
図2に示す例によれば、パッキンを用いないので、パッキンを用いることに起因して生じる上述の不都合(すなわち比較例による問題点)を回避できる。なお、
図2に示す例によれば、第1部位110と第2部位210との間が非接触であるので、摩擦による第1部位110と第2部位210からのパーティクルの発生の可能性が低い。
【0042】
また、
図2に示す例によれば、第1部位110と第2部位210との間が非接触であるにもかかわらず、ラビリンスシール構造70Aにより高いシール性を確保できる。ラビリンスシール構造70Aによるシール効果は、
図3を参照して上述したとおりである。
【0043】
このようにして、
図2に示す例によれば、容器本体10の内部の陽圧及び陰圧に対するシール性を確保しつつ、蓋体20の開閉に伴う摩擦によるパーティクルの発生を低減できる。
【0044】
なお、
図2に示す例では、ラビリンスシール構造70Aは、第1部位110の表面101と第2部位210の表面211との間に形成されるが、これに代えて又は加えて、第1部位110の表面102と第2部位210の表面212との間に、同様のラビリンスシール構造が形成されてもよい。
【0045】
また、
図2に示す例では、リブ群710は、第2部位210に形成されるが、これに代えて、第1部位110に、同様のリブ群710が形成されてもよい。
【0046】
図4は、他の一例によるラビリンスシール構造70Bを示す概略的な断面図である。なお、
図4に示す例では、上述した
図2に示した例と同じ構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0047】
図4に示す例は、
図2に示した例に対して、蓋体20が蓋体20Bで置換された点が異なる。蓋体20Bは、蓋体20に対して、蓋部本体21Bに第2部位210Bが取り付けられた点が異なる。すなわち、蓋体20では、第2部位210は蓋部本体21の一部であるのに対して(一体で形成されているのに対して)、
図4に示す蓋体20Bでは、第2部位210Bは蓋部本体21Bの一部ではなく、蓋部本体21Bに取り付けられることで一体化される。
【0048】
蓋部本体21Bは、ポリカーボネートや、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン等のような樹脂材料により形成される。他方、第2部位210Bは、ポリプロピレンの他、ポリエーテルケトンや、ポリブチレンテレフタレートやポリアセタール等のような、摺動性が高い樹脂材料により形成される。なお、蓋体20Bに低吸湿性が求められる場合であっても、第2部位210Bは、蓋体20Bの比較的小さい部位であることから、低吸湿性でない材料により形成されてもよい。
また、第2部位210Bの材料としては、ポリエステル系のエラストマー、ポリオレフィン系のエラストマー、フッ素系のエラストマー、ウレタン系のエラストマーなどからなる熱可塑性のエラストマー、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーン系のゴムなどの弾性体を用いることもできる。これらの材料には、密着性を改質する観点から、カーボン、ガラス繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどからなる充填剤、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂が所定量選択的に添加されてもよい。また、導電性や帯電防止性を付与する観点から、炭素繊維、金属繊維、金属酸化物、各種の帯電防止剤などが適宜添加されてもよい。
【0049】
第2部位210Bは、例えば、蓋部本体21Bに嵌合により一体化される。あるいは、第2部位210Bは、蓋部本体21Bに接着により一体化されてもよい。あるいは、第2部位210Bは、蓋部本体21Bと一体成形(例えば二色成形)されてもよい。
【0050】
図4では、容器本体10における開口11まわりの第1部位110と、蓋体20Bにおける第1部位110に対向する第2部位210Bとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Bを形成する。
【0051】
ラビリンスシール構造70B自体は、
図2に示したラビリンスシール構造70Aと同じであってもよい。ただし、
図4では、第2部位210Bは、蓋部本体21Bとは別体であるので、蓋部本体21Bとは別に成形できる。従って、第2部位210Bは、蓋部本体21Bの成形性を考慮せずに設計することも可能である。
なお、第2部位210Bは容器本体10側に備えられてもよい。
【0052】
図4に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。また、
図4に示す例によれば、第2部位210Bは、蓋部本体21Bとは別体であるので、蓋部本体21Bとは異なる材料により形成できる。従って、第2部位210Bは、摺動性が高い樹脂材料により形成できる。この場合、部品公差等に起因して、設計値(ノミナル値)であれば非接触となるはずの第1部位110と第2部位210Bとが接触する場合でも、パーティクルの発生を最小限に留めることができる。
また、第2部材210Bの一部が第1部位110に接触したとしても弾性体であればそれを吸収することができ、他の隙間δ2を確保可能であることから成形品の寸法精度が広く確保可能なため制御が容易で安定性がある。
【0053】
図5は、他の一例によるラビリンスシール構造70Cを示す概略的な断面図である。なお、
図5に示す例では、上述した
図2に示した例と同じ構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0054】
図5に示す例は、
図2に示した例に対して、容器本体10が容器本体10Cで置換され、かつ、蓋体20が蓋体20Cで置換された点が異なる。
【0055】
容器本体10Cは、
図2に示した容器本体10に対して、第1部位110が第1部位110Cで置換された点が異なる。蓋体20Cは、
図2に示した蓋体20に対して、蓋部本体21が蓋部本体21Cで置換された点が異なる。蓋部本体21Cは、
図2に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210が第2部位210Cで置換された点が異なる。
【0056】
図5に示すように、容器本体10Cにおける開口11まわりの第1部位110Cと、蓋体20Cにおける第1部位110Cに対向する第2部位210Cとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Cを形成する。
【0057】
具体的には、第1部位110Cは、第2部位210CとY方向に対向する表面101C(第1表面の一例)と、第2部位210CとX方向に対向する表面102Cとを有する。なお、表面101Cは、シール面12(
図1参照)を形成する。同様に、第2部位210Cは、第1部位110CとY方向に対向する表面211C(第1表面の一例)と、第1部位110CとX方向に対向する表面212Cとを有する。このように、第1部位110C及び第2部位210Cは、Y方向に対向し合うとともに、X方向に対向し合う。
【0058】
図5では、ラビリンスシール構造70Cは、第1部位110Cの表面101C及び第2部位210Cの表面211Cにより形成される。
【0059】
具体的には、第1部位110Cは、第2部位210Cに向かって突出するリブ群120Cを有する。
図5では、リブ群120Cは、2本のリブ120C-1、120C-2を有するが、リブの本数は任意である。例えば、2本のリブ120C-1、120C-2のうちの任意の1本が省略されてもよいし、更なる追加のリブが設定されてもよい。
【0060】
また、第2部位210Cは、第1部位110Cに向かって突出するリブ群710Cを有する。
図5では、リブ群710Cは、2本のリブ710C-1、710C-2を有するが、リブの本数は任意である。例えば、2本のリブ710C-1、710C-2のうちの任意の1本が省略されてもよいし、更なる追加のリブが設定されてもよい。
【0061】
リブ120C-1、120C-2及びリブ710C-1、710C-2は、開口11まわりの全周にわたり形成される。例えば、リブ120C-1、120C-2及びリブ710C-1、710C-2は、開口まわりの全周にわたり、等断面で形成されてもよい。なお、変形例では、リブ120C-1、120C-2及びリブ710C-1、710C-2の少なくともいずれかは、開口11まわりの周方向の一部で断面が変化してもよいし、開口11まわりの周方向の一部で不連続となってもよい。
【0062】
リブ120C-1、120C-2は、好ましくは、容器本体10Cの成形性を考慮した形態、すなわち金型から抜ける形態を有する。なお、リブ120C-1、120C-2は、
図5に示すように、外側の周面が、Y2側に向かうほど内側に向かう向きに傾斜している。ただし、変形例では、リブ120C-1、120C-2は、内側の周面が、Y2側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜してもよい。
【0063】
リブ710C-1、710C-2は、好ましくは、蓋部本体21Cの成形性を考慮した形態、すなわち金型から抜ける形態を有する。なお、リブ710-2は、
図5に示すように、外側の周面が、Y1側に向かうほど内側に向かう向きに傾斜している。ただし、変形例では、リブ710-2は、内側の周面が、Y1側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜してもよい。
【0064】
リブ120C-1、120C-2及びリブ710C-1、710C-2は、好ましくは、高低差(
図5の高さH参照)が10mm以内であり、例えば、1mm~10mmの範囲内であってよい。高低差は、隙間δ2の5倍以上、好ましくは10倍以上あれば大きなシール効果が期待できる。
【0065】
図5に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。
図5に示す例では、気体の流れの経路がカギ状になり、また経路を長くすることができ、より高いシール効果を期待できる。
【0066】
なお、
図5に示す例では、ラビリンスシール構造70Cは、第1部位110Cの表面101Cと第2部位210Cの表面211Cとの間に形成されるが、これに代えて又は加えて、第1部位110Cの表面102Cと第2部位210Cの表面212Cとの間に、同様のラビリンスシール構造が形成されてもよい。
【0067】
図6は、他の一例によるラビリンスシール構造70Dを示す概略的な断面図である。なお、
図6に示す例では、上述した
図5に示した例と同じ構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
【0068】
図6に示す例は、
図5に示した例に対して、蓋体20Cが蓋体20Dで置換された点が異なる。蓋体20Dは、蓋体20Cに対して、蓋部本体21Dに第2部位210Dが取り付けられた点が異なる。すなわち、蓋体20Cでは、第2部位210Cは蓋部本体21Cの一部であるのに対して(一体で形成されているのに対して)、
図6に示す蓋体20Dでは、第2部位210Dは蓋部本体21Dの一部ではなく、蓋部本体21Dに取り付けられることで一体化される。
【0069】
蓋部本体21Dは、ポリエーテルエーテルケトンやポリプロピレン等のような低吸湿性の樹脂材料により形成される。他方、第2部位210Dは、ポリプロピレンの他、ポリエーテルケトンや、ポリブチレンテレフタレートやポリアセタール等のような、摺動性が高い樹脂材料により形成される。なお、蓋体20Dに低吸湿性が求められる場合であっても、第2部位210Dは、蓋体20Dの比較的小さい部位であることから、低吸湿性でない材料により形成されてもよい。
また、第2部位210Dの材料としては、ポリエステル系のエラストマー、ポリオレフィン系のエラストマー、フッ素系のエラストマー、ウレタン系のエラストマーなどからなる熱可塑性のエラストマー、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーン系のゴムなどの弾性体を用いることもできる。これらの材料には、密着性を改質する観点から、カーボン、ガラス繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどからなる充填剤、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂が所定量選択的に添加されてもよい。また、導電性や帯電防止性を付与する観点から、炭素繊維、金属繊維、金属酸化物、各種の帯電防止剤などが適宜添加されてもよい。
なお、蓋体20Dに低吸湿性が求められる場合であっても、第2部位210Dは、蓋体20Dの比較的小さい部位であることから、低吸湿性でない材料により形成されてもよい。
【0070】
第2部位210Dは、例えば、蓋部本体21Dに嵌合により一体化される。あるいは、第2部位210Dは、蓋部本体21Dに接着により一体化されてもよい。あるいは、第2部位210Dは、蓋部本体21Dと一体成形(例えば二色成形)されてもよい。
【0071】
図6では、容器本体10Cにおける開口11まわりの第1部位110Cと、蓋体20Dにおける第1部位110Cに対向する第2部位210Dとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Dを形成する。
【0072】
ラビリンスシール構造70D自体は、
図5に示したラビリンスシール構造70Cと同じであってもよい。ただし、
図6では、第2部位210Dは、蓋部本体21Dとは別体であるので、蓋部本体21Dとは別に成形できる。従って、第2部位210Dは、蓋部本体21Dの成形性を考慮せずに設計することも可能である。
【0073】
図6に示す例によっても、
図5に示した例と同様の効果が得られる。また、
図6に示す例によれば、第2部位210Dは、蓋部本体21Dとは別体であるので、蓋部本体21Dとは異なる材料により形成できる。従って、第2部位210Dは、摺動性が高い樹脂材料により形成できる。この場合、部品公差等に起因して、設計値(ノミナル値)であれば非接触となるはずの第1部位110Cと第2部位210Dとが接触する場合でも、パーティクルの発生を最小限に留めることができる。また、第2部材210Dの一部が第1部位110Cに接触したとしても弾性体であればそれを吸収することができ、他の隙間を確保可能であることから成形品の寸法精度が広く確保可能なため制御が容易で安定性がある。
【0074】
図7A及び
図7Bは、他の一例によるラビリンスシール構造70Eを示す概略的な断面図である。なお、
図7A及び
図7Bに示す例では、上述した
図5に示した例と同様の構成要素については、同様の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
図7Aに示す例は、
図5に示した例に対して、ラビリンスシール構造70Cがラビリンスシール構造70Eで置換される。具体的には、
図7A及び
図7Bに示す例は、
図5に示した例に対して、リブ120C-1、120C-2及びリブ710C-1、710C-2が、リブ120E-1、120E-2及びリブ710E-1、710E-2で置換される。
【0075】
リブ120E-1、120E-2及びリブ710E-1、710E-2は、リブ120E-1とリブ710E-2との間のX方向の隙間δ3、及び、リブ120E-2とリブ710E-1との間のX方向の隙間δ3が、Y方向で一定になるように、形成される。隙間δ3は、0mmより大きく、1.0mm以下が好ましく、0.5mm以下が更に好ましい。1.0mmより大きいとシール性が効果的に得られなくなるためである。
【0076】
図7Aに示す例によれば、蓋体20Eを閉めた時にX方向で対向配置する隣り合うリブの側面同士の隙間(
図7Aでは、リブ120E-1とリブ710E-2との間のX方向の隙間δ3、及び、リブ120E-2とリブ710E-1との間のX方向の隙間δ3)を一定にすることで、必ずしも蓋体が完全に閉まった状態(
図7B参照)でなくともシール効果を維持できる。これにより、蓋体20Eの開閉時においてシール状態をぎりぎりまで確保でき、また、例え蓋体20Eが中途半端な状態でロックされても良好なシール性を確保できる。
なお、
図7Aに示す例においても、上述した
図6に示した例と同様、蓋部本体21Eに、別体の第2部位(リブ710E-1、710E-2を形成する部位)を取り付ける構成であってもよい。
【0077】
図8は、他の一例によるラビリンスシール構造70Fを示す概略的な断面図である。なお、
図8に示す例では、容器本体側にリブを形成した場合の例である。
図8に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Fで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Fで置換された点が異なる。
【0078】
容器本体10Fは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Fで置換された点が異なる。蓋体20Fは、
図2に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21Cが蓋部本体21Fで置換された点が異なる。蓋部本体21Fは、
図2に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Fで置換された点が異なる。
【0079】
図8に示すように、容器本体10Fにおける開口11まわりの第1部位110Fと、蓋体20Fにおける第1部位110Fに対向する第2部位210Fとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Fを形成する。ラビリンスシール構造70Fは、第1部位110Fの表面101F及び第2部位210Fの表面211Fにより形成される。
【0080】
具体的には、第1部位110Fは、第2部位210Fに向かって突出するリブ群120Fを有する。
図8では、リブ群120Fは、3本のリブ120F-1、120F-2、120F-3を有するが、リブの本数は任意である。
リブ120F-1、120F-2、120F-3は、開口11まわりの全周にわたり形成される。例えば、リブ120F-1、120F-2、120F-3は、開口まわりの全周にわたり、等断面で形成されてもよい。
図8に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。なお、蓋体本体21F側の第2部位210Fの形状と容器本体10F側の第1部位110Fの形状を逆にしてもよい。
【0081】
図9は、他の一例によるラビリンスシール構造70Gを示す概略的な断面図である。なお、
図9に示す例では、容器本体と蓋体本体のリブに微細な段差を形成した場合の例である。
図9に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Gで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Gで置換された点が異なる。
【0082】
容器本体10Gは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Gで置換された点が異なる。蓋体20Gは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21が蓋部本体21Gで置換された点が異なる。蓋部本体21Gは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Gで置換された点が異なる。
【0083】
図9に示すように、容器本体10Gにおける開口11まわりの第1部位110Gと、蓋体20Gにおける第1部位110Gに対向する第2部位210Gとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Gを形成する。ラビリンスシール構造70Gは、第1部位110Gの表面101G及び第2部位210Gの表面211Gにより形成される。
【0084】
具体的には、第1部位110Gは、第2部位210Gに向かって突出するリブ群120Gを有する。
図9では、リブ群120Gは、3本のリブ120G-1、120G-2、120G-3を有するが、リブの本数は任意である。また、第2部位210Gは、第1部位110Gに向かって突出するリブ群710Gを有する。
図9では、リブ群710Gは、3本のリブ710G-1、710G-2及び710G-3を有するが、リブの本数は任意である。
【0085】
図9に示すように、リブ120G-1、120G-2、120G-3には、微細な段部G-1、G-2、G-3が形成されている。リブ710G-1、710G-2及び710G-3には、微細な段部G-11、G-12及びG-13が形成されている。
リブ120G-1、120G-2、120G-3及び710G-1、710G-2、710G-3は、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図9に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。
【0086】
図10は、他の一例によるラビリンスシール構造70Hを示す概略的な断面図である。なお、
図10に示す例では、容器本体と蓋体本体にリブを設け、容器本体のリブに微細な段差を形成した場合の例である。
図10に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Hで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Hで置換された点が異なる。
【0087】
容器本体10Hは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Hで置換された点が異なる。蓋体20Hは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21Cが蓋部本体21Hで置換された点が異なる。蓋部本体21Hは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Hで置換された点が異なる。
【0088】
図10に示すように、容器本体10Hにおける開口11まわりの第1部位110Hと、蓋体20Hにおける第1部位110Hに対向する第2部位210Hとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Hを形成する。ラビリンスシール構造70Hは、第1部位110Hの表面101H及び第2部位210Hの表面211Hにより形成される。
【0089】
具体的には、第1部位110Hは、第2部位210Hに向かって突出するリブ群120Hを有する。
図10では、リブ群120Hは、3本のリブ120H-1、120H-2、120H-3を有するが、リブの本数は任意である。また、第2部位210Hは、第1部位110Hに向かって突出するリブ群710Hを有する。
図10では、リブ群710Gは、3本のリブ710H-1、710H-2及び710H-3を有するが、リブの本数は任意である。
図10に示すように、リブ120H-1、120H-2、120H-3には、微細な段部H-1、H-2、H-3が形成されている。
リブ710H-1、710H-2及び710H-3には、内側の周面が、Y1側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜する傾斜H-11、H-12及びH-13が形成されている。リブ120H-1、120H-2、120H-3及び710H-1、710H-2、710H-3は、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図10に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。
【0090】
図11は、他の一例によるラビリンスシール構造70Iを示す概略的な断面図である。なお、
図11に示す例では、容器本体と蓋体本体のリブ形状が異なる場合の例である。
図11に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Iで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Iで置換された点が異なる。
【0091】
容器本体10Iは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Iで置換された点が異なる。蓋体20Iは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21Cが蓋部本体21Iで置換された点が異なる。蓋部本体21Iは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Iで置換された点が異なる。
【0092】
図11に示すように、容器本体10Iにおける開口11まわりの第1部位110Iと、蓋体20Iにおける第1部位110Iに対向する第2部位210Iとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Iを形成する。ラビリンスシール構造70Iは、第1部位110Iの表面101I及び第2部位210Iの表面211Iにより形成される。
【0093】
具体的には、第1部位110Iは、第2部位210Iに向かって突出するリブ群120Iを有する。
図11では、リブ群120Iは、4本のリブ120I-1、120I-2、120I-3、120I-4を有するが、リブの本数は任意である。また、第2部位210Iは、第1部位110Iに向かって突出するリブ群710Iを有する。
図11では、リブ群710Iは、2本のリブ710I-1、710I-2を有するが、リブの本数は任意である。
図11に示すように、リブ120I-1、120I-2、120I-3には、内側の周面が、Y2側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜する傾斜I-1、I-2、I-3、I-4を有する。
【0094】
リブ710I-2、710I-4に対応するリブ120I-2、120I-4は、リブ120I―1、120I-3よりも低く形成されている。リブ120I-1、リブ120I-2は、リブ710I-1、リブ710I-2の先端よりも第2部位210Iの表面211Iに近づくように形成されている。
リブ120I-1、120I-2、120I-3、120I-4及び710I-1、710I-2は、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図11に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。なお、蓋体本体21I側の第2部位210Iの形状と容器本体10I側の第1部位110Iの形状を逆にしてもよい。
【0095】
図12は、他の一例によるラビリンスシール構造70Jを示す概略的な断面図である。
図12に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Jで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Jで置換された点が異なる。
【0096】
容器本体10Jは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Jで置換された点が異なる。
蓋体20Jは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21が蓋部本体21Jで置換された点が異なる。蓋部本体21Jは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210が第2部位210Jで置換された点が異なる。
【0097】
図12に示すように、容器本体10Jにおける開口11まわりの第1部位110Jと、蓋体20Jにおける第1部位110Jに対向する第2部位210Jとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Jを形成する。ラビリンスシール構造70Jは、第1部位110Jの表面101J及び第2部位210Jの表面211Jにより形成される。
【0098】
具体的には、第1部位110Jは、第2部位210Jに向かって突出するリブ群120Jを有する。
図12では、リブ群120Jは、3本のリブ120J-1、120J-2、120J-3を有するが、リブの本数は任意である。また、第2部位210Jは、第1部位110Jに向かって突出するリブ群710Jを有する。
図12では、リブ群710Jは、3本のリブ710J-1、710J-2、710J-3を有するが、リブの本数は任意である。
図12に示すように、リブ120J-1、120J-2、120J-3には、外側の周面が、Y2側に向かうほど内側に向かう向きに傾斜する傾斜J-1、J-2、J-3を有する。
リブ710J-1、710J-2、710J-3には、内側の周面が、Y1側に向かうほど外側に向かう向きに傾斜する傾斜J-11、J-12、J-13を有する。
リブ120J-1、120J-2、120J-3及び710J-1、710J-2は、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図12に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。
【0099】
図13は、他の一例によるラビリンスシール構造70Kを示す概略的な断面図である。
図13に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Kで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Kで置換された点が異なる。
【0100】
容器本体10Kは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Kで置換された点が異なる。蓋体20Kは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21Cが蓋部本体21Kで置換された点が異なる。蓋部本体21Kは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Kで置換された点が異なる。
【0101】
図13に示すように、容器本体10Kにおける開口11まわりの第1部位110Kと、蓋体20Kにおける第1部位110Kに対向する第2部位210Kとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Kを形成する。ラビリンスシール構造70Kは、第1部位110Kの表面101K及び第2部位210Kの表面211Kにより形成される。
【0102】
具体的には、第1部位110Kは、第2部位210Kに向かって突出するリブ120Kを有する。また、第2部位210Kは、第1部位110Kに向かって突出するリブ群710Kを有する。
図13では、リブ群710Kは、2本のリブ710K-1、710K-2を有するが、リブの本数は任意である。リブ120Kは、インサート部材によって形成され、蓋体本体10Kにインサートされている。
【0103】
リブ120Kは、先端が外周側のリブ710K-1、710K-2にそれぞれ向かうように突形状K-1、K-2を有する。リブ120Kの材料としては、ポリエステル系のエラストマー、ポリオレフィン系のエラストマー、フッ素系のエラストマー、ウレタン系のエラストマーなどからなる熱可塑性のエラストマー、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーン系のゴムなどの弾性体を用いることもできる。これらの材料には、密着性を改質する観点から、カーボン、ガラス繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどからなる充填剤、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂が所定量選択的に添加されてもよい。また、導電性や帯電防止性を付与する観点から、炭素繊維、金属繊維、金属酸化物、各種の帯電防止剤などが適宜添加されてもよい。
リブ120K及び710K-1、710K-2は、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図13に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。
図13の形態は、リブ120Kが2つの突形状K-1,K-2を有するため2つの狭い流路を設けるのに狭いX方向の寸法で実現できる効果がある。またリブ120Kを弾性体でインサート成形すると寸法誤差の許容範囲が大きくできることから効果的である。なお、蓋体本体21K側の第2部位210Kの形状と容器本体10K側の第1部位110Kの形状を逆にしてもよい。
【0104】
図14は、他の一例によるラビリンスシール構造70Lを示す概略的な断面図である。
図14に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Lで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Lで置換された点が異なる。
【0105】
容器本体10Lは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Lで置換された点が異なる。蓋体20Lは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21Cが蓋部本体21Lで置換された点が異なる。蓋部本体21Lは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Lで置換された点が異なる。
【0106】
図14に示すように、容器本体10Lにおける開口11まわりの第1部位110Lと、蓋体20Lにおける第1部位110Lに対向する第2部位210Lとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Lを形成する。ラビリンスシール構造70Lは、第1部位110Lの表面101L及び第2部位210Lの表面211Lにより形成される。
【0107】
具体的には、第1部位110Lは、第2部位210Lに向かって突出するリブ群120Lを有する。
図14では、リブ群120Lは、リブ120L-1、120L-2を有するが、リブの本数は任意である。また、第2部位210Lは、第1部位110Lに向かって突出するリブ群710Lを有する。
図14では、リブ群710Lは、2本のリブ710L-1、710L-2を有するが、リブの本数は任意である。
【0108】
リブ120L-1、120L-2は、インサート部材によって形成され、蓋体本体10Lにインサートされている。2本のリブ120L-1、120L-2は、先端が外周側のリブ710L-1、710L-2にそれぞれ向かうように突形状L-1、L-2を有する。
リブ120L-1、120L-2は、ポリカーボネートや、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン等のような樹脂材料により形成される。
リブ120L-1、120L-2及び710L-1、710L-2は、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図14に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。
【0109】
図15は、他の一例によるラビリンスシール構造70Mを示す概略的な断面図である。
図15に示す例では、上述した例と同じ構成要素については、同一の参照符号を付して説明を省略する場合がある。
図15に示す例は、
図5に示した例に対して、容器本体10Cが容器本体10Mで置換され、かつ、蓋体20Cが蓋体20Mで置換された点が異なる。
【0110】
容器本体10Mは、
図5に示した容器本体10Cに対して、第1部位110Cが第1部位110Mで置換された点が異なる。蓋体20Mは、
図5に示した蓋体20Cに対して、蓋部本体21Cが蓋部本体21Mで置換された点が異なる。蓋部本体21Mは、
図5に示した蓋部本体21Cに対して、第2部位210Cが第2部位210Mで置換された点が異なる。
【0111】
図15に示すように、容器本体10Mにおける開口11まわりの第1部位110Mと、蓋体20Mにおける第1部位110Mに対向する第2部位210Mとは、少なくとも一部が非接触であり、協動してラビリンスシール構造70Mを形成する。ラビリンスシール構造70Mは、第1部位110Mの表面101M及び第2部位210Mの表面211Mにより形成される。
【0112】
具体的には、第1部位110Mは、第2部位210Mに向かって突出するリブ群120Mを有する。
図15では、リブ群120Mは、リブ120M-1、120M-2を有するが、リブの本数は任意である。また、第2部位210Mは、第1部位110Mに向かって突出するリブ710Mを有する。リブ120M-1、120M-2は、インサート部材によって形成され、蓋体本体10Mにインサートされている。
2本のリブ120M-1、120M-2は、リブ710Mにそれぞれ向かうように突形状M-1、M-2を有する。リブ120M-1、120M-2は、ポリカーボネートや、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、ポリプロピレン等のような樹脂材料により形成される。
リブ120M-1、120M-2及び710Mは、開口11まわりの全周にわたり形成される。
図15に示す例によっても、
図2に示した例と同様の効果が得られる。なお、蓋体本体21K側の第2部位210Kの形状と容器本体10K側の第1部位110Kの形状を逆にしてもよい。
【0113】
図13、
図14及び
図15に示した第2部位210K、210L及び210Mは、ポリプロピレンの他、ポリエーテルケトンや、ポリブチレンテレフタレートやポリアセタール等のような、摺動性が高い樹脂材料により形成される。なお、蓋体20K、20L及び20Mに低吸湿性が求められる場合であっても、第2部位210K、210L及び210Mは、蓋体20K、20L及び20Mの比較的小さい部位であることから、低吸湿性でない材料により形成されてもよい。
また、第2部位210K、210L及び210Mの材料としては、ポリエステル系のエラストマー、ポリオレフィン系のエラストマー、フッ素系のエラストマー、ウレタン系のエラストマーなどからなる熱可塑性のエラストマー、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーン系のゴムなどの弾性体を用いることもできる。これらの材料には、密着性を改質する観点から、カーボン、ガラス繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウムなどからなる充填剤、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂が所定量選択的に添加されてもよい。また、導電性や帯電防止性を付与する観点から、炭素繊維、金属繊維、金属酸化物、各種の帯電防止剤などが適宜添加されてもよい。
【0114】
上記各実施形態において、容器本体は大型部材のため、細かい複雑な構造や別部材をインサート成形する場合は、容器本体側ではなく、蓋体側に設けるほうが精度がよくなる。したがって、複雑な構造又は形状は蓋体側に設けるのが好ましい。
【0115】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0116】
1 基板収納容器
10 容器本体
10C 容器本体
11 開口
12 シール面
13 支持体
14 ロボティックフランジ
15 マニュアルハンドル
18 給気弁
19 排気弁
20 蓋体
21 蓋部本体
26 施錠機構
27 プレート
30 フロントリテーナ
70A ラビリンスシール構造
101 表面
102 表面
110 第1部位
210 第2部位
211 表面
212 表面
701 狭小部
702 拡大部
710 リブ群
A-A ライン
P0 内部
P1 外部
W 基板
δ1 隙間
δ2 隙間