(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】配筋検査システムおよび配筋検査方法。
(51)【国際特許分類】
G01B 11/08 20060101AFI20230523BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230523BHJP
【FI】
G01B11/08 H
G06T7/00 610A
(21)【出願番号】P 2022166773
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2022-10-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513146376
【氏名又は名称】コムシス情報システム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591197699
【氏名又は名称】日本高圧コンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148714
【氏名又は名称】川浪 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100092668
【氏名又は名称】川浪 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100154232
【氏名又は名称】幸田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100145148
【氏名又は名称】北上 日出登
(72)【発明者】
【氏名】井原 正人
(72)【発明者】
【氏名】千葉 崇宏
(72)【発明者】
【氏名】岡島 匠吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】坪井 一晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 憲一
(72)【発明者】
【氏名】宮越 亮
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/151160(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/094456(WO,A1)
【文献】特開2022-025818(JP,A)
【文献】特開2020-026663(JP,A)
【文献】特開2020-027058(JP,A)
【文献】国際公開第2021/024499(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G06T 7/00
G06T 7/60 - 7/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの光学系を有する撮影手段により1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部と、
を備え、
前記修正部は画像における実質的な縦方向に相当する方向に、視線方向変換済の画像を走査し、
当該走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する特定部を含み、
前記特定部は当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
ことを特徴とする配筋検査システム。
【請求項2】
1つの光学系を有する撮影手段により1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部と、
を備え、
前記修正部は画像における実質的な横方向に相当する方向に、視線方向変換済の画像を走査し、
当該走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する特定部を含み、
前記特定部は当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
ことを特徴とする配筋検査システム。
【請求項3】
1つの光学系を有する撮影手段により1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部と、
を備え、
前記修正部は画像における実質的な縦方向および実質的な横方向に相当する方向に、視線方向変換済みの画像を走査し、
当該各走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する特定部を含み、
前記特定部は当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
ことを特徴とする配筋検査システム。
【請求項4】
撮影された画像の一範囲または全範囲を指定する入力にしたがい、前記画像処理部による当該範囲の視線方向が変換される
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配筋検査システム。
【請求項5】
前記修正部は前記変換された画像において、識別された前記鉄筋部分と、前記該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する
ことを特徴とする請求項4に記載の配筋検査システム。
【請求項6】
前記特定部は当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値以下である場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素以外の画素に置き換える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配筋検査システム。
【請求項7】
前記修正部は、画像に対しクロージング処理を実施し、前記第1画素を膨張させてから収縮させることにより、ノイズを除去する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配筋検査システム。
【請求項8】
前記修正部は、画像に対しオープニング処理を実施し、前記第1画素を膨張させてから収縮させることにより、ノイズを除去する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の配筋検査システム。
【請求項9】
配筋検査方法であって、
1つの光学系を有する撮影手段により1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する工程と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する工程と
、
画像における実質的な縦方向に相当する方向に、視線方向変換済の画像を走査
する工程と、
当該走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する
工程と、
当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
工程とを含む、配筋検査方法。
【請求項10】
配筋検査方法であって、
1つの光学系を有する撮影手段により1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する工程と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する工程と
、
画像における実質的な横方向に相当する方向に、視線方向変換済の画像を走査
する工程と、
当該走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する
工程と、
当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
工程とを含む、
配筋検査方法。
【請求項11】
配筋検査方法であって、
1つの光学系を有する撮影手段により1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する工程と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する工程と、
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する工程と
、
画像における実質的な縦方向および実質的な横方向に相当する方向に、視線方向変換済みの画像を走査
する工程と、
当該各走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する工程と、
当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
工程とを含む、配筋検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配筋検査システムおよび配筋検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートを用いた構造物の土木工事や建築工事等において、間隔をあけて鉄筋を配置する工程がある。従来、その工程の後、目視にて配置する鉄筋の本数と間隔の確認が行われていた。しかしながら、近年土木工事の現場において検査の品質向上や、省力化が望まれるようになっている。
【0003】
この点、配置された鉄筋(鉄筋出来形)を撮影し、そのデータに基づいて鉄筋径、鉄筋間隔等を計測する技術の開発が進められている。例えば鉄筋コンクリートを用いる土木工事において、配筋作業の実施者等が鉄筋出来形の鉄筋径、鉄筋間隔等を撮影し、画像データとする。例えば鉄筋出来形の撮影による画像データから領域検出モデルにより鉄筋を検出して計測する技術が提案されている(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄筋出来形の撮影の後工程で撮影画像内の鉄筋の検出をすることになるため、検出しやすいように撮影するか、出来形の撮影後に鉄筋の検出ミスを低減する方法が必要となる。また鉄筋層が複数層ある場合、最も撮影手段に近い側の鉄筋層と、それより下層にある鉄筋層との区別も必要である。このような鉄筋の検出に支障をきたす要因を排除することが望まれる。
【0006】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、配筋検査システムにおいて検査ミスを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の配筋検査システムは、
1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部と、
変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部と、を備える。
上記実施形態の配筋システムにおいて、撮影された画像の一範囲または全範囲を指定する入力にしたがい、画像処理部による視線方向が変換されてもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は前記変換された画像において、識別された鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換してもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、視線方向変換済の画像の鉄筋部分のうち、当該画像における実質的に縦方向に相当する縦方向鉄筋部分について、修正部が識別の誤りを判定してもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、視線方向変換済の画像の鉄筋部分のうち、当該画像における実質的に横方向に相当する横方向鉄筋部分について、修正部が識別の誤りを判定してもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、視線方向変換済の画像の鉄筋部分のうち、当該画像における実質的に縦方向に相当する縦方向鉄筋部分について、修正部が識別の誤りを判定し、
さらに当該画像における実質的に横方向に相当する横方向鉄筋部分について、修正部が識別の誤りを判定してもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は画像を所定の方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する特定部をさらに有してもよい。
さらに特定部は当該走査方向における第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。
さらに特定部は当該走査方向における第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、閾値以下である場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素に置き換えてもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は、画像に対しクロージング処理を実施し、第1画素を膨張させてから収縮させることにより、ノイズを除去してもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は、画像に対しオープニング処理を実施し、第1画素を収縮させてから膨張させることにより、ノイズを除去してもよい。
他の実施形態の配筋検査システムは、
1つの視点から撮影された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、
識別された鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する変換部とを備える。
上記実施形態の配筋システムにおいて、識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部を備えてもよい。
上記実施形態の配筋システムにおいて、撮影された画像の一範囲または全範囲を指定する入力にしたがい、画像処理部による視線方向が変換されてもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は画像を所定の方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する特定部をさらに有してもよい。
さらに特定部は当該走査方向における第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。
さらに特定部は当該走査方向における第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、閾値以下である場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素に置き換えてもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は、画像に対しクロージング処理を実施し、第1画素を膨張させてから収縮させることにより、ノイズを除去してもよい。
上記実施形態の配筋検査システムにおいて、修正部は、画像に対しオープニング処理を実施し、第1画素を収縮させてから膨張させることにより、ノイズを除去してもよい。
【発明の効果】
【0008】
実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の配筋検査システムを示す概略ブロック図。
【
図6】第2実施形態の配筋検査システムを示す概略ブロック図。
【
図11】第3実施形態の配筋検査システムを示す概略ブロック図。
【
図16】第4実施形態の配筋検査システムを示す概略ブロック図。
【
図17】視点変換(射影変換)後・二値画像の一例。
【
図22】横方向走査・判定後の画素置換状態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1~
図28を参照して、第1実施形態~第4実施形態にかかる配筋検査システムについて説明する。
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態にかかる配筋検査システム100の全体構成について
図1~
図6を参照して説明する。なお、
図1における配筋検査システムは一例であり、その他の構成を含むことを除外するものではなく、様々な形態で実施することが可能である。
【0012】
(システムの概要)
図1に示すように、配筋検査システム100は、撮影部110、記憶部120、画像処理部130、識別部140、修正部150、制御部Cおよび表示手段Dを備える。撮影部110は、例えばタブレット端末に設けられた撮像手段である。撮像手段により得られた撮像データは、タッチパネルや保存ボタンの操作により、画像データとして記憶部120に記憶される。画像処理部130は、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する。識別部140は変換された画像データから鉄筋の領域を検出する。修正部150は、識別部140により検出された鉄筋部分とそれ以外の部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する。なお、以下の図に表される画像は一例である。
【0013】
(撮影部110)
撮影部110は、図示しない1つの光学系、すなわちレンズ、絞りおよびシャッタ等を有する。撮影部110は合照機能を有していてもよい。また撮影部110は図示しない撮像素子を有し、撮像素子は光学系を制御して撮像データを生成する。撮像素子としてはCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを挙げることができる。また撮影部110は撮像データをとA/D変換する信号処理回路等を備える。
【0014】
(記憶部120)
記憶部120は、撮像データ、画像データ、二値画像データ、各種プログラム、領域検出モデル等を記憶する。記憶部120としては、HDD、SSD、フラッシュメモリの他、任意のデバイスを利用可能である。また記憶部120は少なくとも一時的なデータの記憶をする一時記憶装置を含む。また主記憶装置は記憶部120に含まれていてもよく、または外部の記憶手段を用いる構成であってもよい。
【0015】
(画像処理部130)
画像処理部130は、撮像データを画像データに変換し、さらに画像データの縦横方向と、撮像対象である配筋における縦横方向、すなわち実際に設置された鉄筋を垂直方向から見た場合の縦横方向とが対応するように画像の視線方向を変換する。
【0016】
一例を説明する。任意の制御により表示手段Dに配筋状態の画像データが表示される。画像データに基づく画像ID1が表示された状態で、
図2に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点C1~C4で囲まれる領域Rを指定する操作を行うと、配筋検査システム100の制御部Cはその領域Rを指定範囲として受け付ける。
【0017】
画像処理部130は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図3の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。実質的に方向が対応するとは、指定範囲内の鉄筋の中心線が、画像データの縦横方向に概ね沿っていることを示す。例えば、画像データの縦横方向に対し、各中心線のずれ角度が±3°程度である場合である。このようにして変換後の指定範囲のデータが次に述べる識別部140の処理対象となる。
【0018】
(識別部140)
識別部140は、ディープラーニング(深層学習)により画像データから鉄筋を検出する。ディープラーニングによる物体検知モデル(アルゴリズムでもよい)によって、画像データにおける表層の鉄筋をそれぞれ検出する。
【0019】
(修正部150)
修正部150は識別部140により検出された鉄筋部分とそれ以外の部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する。1つの具体例として修正部150は、当該画像における検出エラーを統計情報に基づいて判定し、修正を実行する。なお、ここで説明する検出とは、「識別」の一例である。
【0020】
<第1例;縦方向判定>
修正部150は、画像データから検出された鉄筋それぞれのうち、画像における実質的に縦方向に相当する縦方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。例えば修正部150は特定部151を含み、特定部151は所定の画素数単位で画像の縦方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図4参照)。具体的にはあらかじめ記憶された1つまたは複数の画素値の範囲に該当するか否かで特定されてもよい。つまり、修正対象の画像はカラー画像、グレースケール画像、二値画像のいずれでもよいが、対応する画像の画素値でこの特定が実行される。すなわち第1画素は、特定の単一または複数の画素値を有する画素である。
【0021】
修正部150は、縦の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。また修正部150は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部120にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部150は、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。割合の閾値は例えば50%であり、求めた第1画素の割合が50%を超えると、修正部150はその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えるという構成が一例である。
【0022】
修正部150はこのようにして、画像から検出された鉄筋部分が誤検出であるか否かを判定している。なお第1画素の割合の閾値としては45%が一例である。下限は20%、上限は55%である。
【0023】
<第2例;横方向判定>
修正部150は、画像データから検出された鉄筋それぞれのうち、画像における実質的に横方向に相当する横方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。上記と同様に特定部151は所定の画素数単位で画像の横方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、第1画素を特定する。具体的にはあらかじめ記憶された1つまたは複数の画素値の範囲に該当するか否かで特定されてもよい。つまり第1画素は、特定の単一または複数の画素値を有する画素である。
【0024】
修正部150は、横の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。また修正部150は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部120にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部150は、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。割合の閾値例については上記と同様である。
【0025】
<第3例;斜め方向判定>
修正部150は、射影変換により検出後の画像内の鉄筋部分の方向が画像の縦横方向と対応していない場合であっても、鉄筋部分の中心線の延伸方向を特定し、その方向において第1画素の割合を求め検出エラーの判定および当該走査方向における第1画素への変換をしてもよい。
【0026】
(計測機能)
制御部Cは、検出エラーの修正後の画像において縦横方向それぞれで鉄筋の間隔を求める。さらに画像内の画素から求められるピクセル間隔を、任意の方法で実際の鉄筋間隔に置き換える算出を実施する。1つの例としては、実際の任意の1つの鉄筋間隔のみ数値を入力し、それに基づいてすべての鉄筋間隔を求めてもよい。
【0027】
他の例として距離の基準となるロッドテープを撮影範囲および上記指定範囲に含めることで、ロッドテープをディープラーニングにより検出させる方法をとることも可能である。この構成において、画像に対する実際の距離の比率を手動で修正可能としてもよい。例えば長さが一意(500mm)のロッドテープを使うことで、ディープラーニングによって該当する領域を検出し、実際の鉄筋間隔(距離)と画像サイズを整合させてもよい。
【0028】
上記説明における各部の処理は、説明の便宜上、
図1に示す制御部Cの制御の下に実行されるものとして説明した。この制御部Cは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等のうち、単一または複数の回路を含んで構成されていてもよい。制御部Cはメモリに保存された例えば配筋検査プログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、制御部Cとしての回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、制御部Cは単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサーとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、実施形態における複数の構成要素(例えば撮影部110、記憶部120、画像処理部130、識別部140、修正部150および計測機能のうち少なくとも2以上)を1つのプロセッサーへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0029】
[動作]
図5は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋検査システム100の動作を、ステップ番号(S101~S108)に添って説明する。
【0030】
(S101)
配筋検査システム100における撮像部110は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部120は撮像データを一時記憶する。画像処理部130は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0031】
(S102)
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図2に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点で囲まれる領域を指定する操作を行うと、配筋検査システム100の制御部Cはその領域を指定範囲として受け付ける。
【0032】
(S103)
画像処理部130は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図3の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。
【0033】
(S104)
識別部140は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋を検出する。
【0034】
(S105)
修正部150における特定部151は所定の画素数単位で画像の縦方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図4参照)。
【0035】
(S106)
修正部150は、例えば縦の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。
【0036】
(S107)
また修正部150は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。修正部150は割合が閾値を超えない場合には(S107;No)、当該走査方向における処理を終了する。また、次のS108の逆の処理として、修正部150はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0037】
(S108)
S107の判定の結果、割合が閾値を超えた場合には(S107;Yes)、修正部150によりその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。
【0038】
横方向の操作も同様に、修正部150は割合が閾値を超えない場合には(S107;No)、当該走査方向における処理を終了する。割合が閾値を超えた場合には(S107;Yes)、修正部150により当該横の走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。この場合も逆の処理として、修正部150はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0039】
修正部150は、所定間隔で縦横方向それぞれについて画像全体にこの走査および割合判定と、第1画素への置換処理を実行する。その後計測処理が実行される。
【0040】
[効果]
本実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。例えば、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の前に、射影変換等による画像の縦横方向と、画像の視線方向を合わせようとすることで、誤検出を大幅に低減させることが可能である。例えばこれにより何層か重畳して配筋されている場合に、表層の配筋を検出しやすくなる。また射影変換を行うことで、鉄筋の配置が縦横の2軸に学習モデルを絞ることができ、検出精度が向上する。
【0041】
すなわち通常の撮像手段を使って、配筋のような構造体を撮影した場合には、実際には縦横に整列したものであるにもかかわらず、画像の縦横方向と対応しない傾向がある。それを、計測エリアの四隅に該当する個所を設定し射影変換を行うことで、本来の構造としての情報を保有した画像へと修正が可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、鉄筋の検出後、検出された画像を所定方向に走査することで鉄筋部分を示す第1画素が特定される。さらに、第1画素が特定されると、その走査方向における第1画素の割合が特定され、所定割合を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。これにより、走査方向における鉄筋部分が所定割合以下である場合、誤検出として判定することができる。さらに検出ミスにより実際には鉄筋部分であるが鉄筋部分として検出できなかった画素について補完することが可能である。
【0043】
以上の実施形態の効果により、再撮影や手動による画像処理操作の増加を防ぐことが可能であり、従来の配筋検査システムと比較して配筋検査作業の省力化が可能である。
【0044】
[第2実施形態]
第2実施形態にかかる配筋検査システム200について
図6~
図10を参照して説明する。以下の説明において、第1実施形態と重複する説明は割愛する。
【0045】
(概要)
図6に示すように、配筋検査システム200は、撮影部210、記憶部220、識別部240、修正部250、制御部Cおよび表示手段Dを備える。第2実施形態においては、第1実施形態と異なり画像処理部130を含まない。したがって、撮像した画像の視線方向を変換する処理を行わない。なお、以下の図に表される画像は一例である。
【0046】
第1実施形態と同様に、識別部240は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋の領域を検出する。ディープラーニングによる物体検知モデルによって、画像データにおける表層の鉄筋をそれぞれ検出する。
【0047】
また第1実施形態と同様に修正部250は検出エラーを判定し、修正を実行する。第2実施形態では識別部240によって鉄筋部分が検出された画像を二値画像に変換する。詳細を以下説明する。
【0048】
(修正部250;二値画像変換)
修正部250は、識別部240が撮像画像から検出した画像内の鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する。
図7に示すような画像データにつき第2実施形態では、修正部250により二値画像に変換される。例えば
図8に示すように修正部250は、検出された鉄筋の領域を白色に、それ以外の領域を黒色に変換する。すなわち、識別部240がディープラーニングにより画像から鉄筋の領域を検出するが、その鉄筋の領域を示す画素を白色に変換する。また修正部250は、画像において鉄筋の領域以外の領域を示す画素を黒色に変換する。二値画像はこのようにして生成される。
【0049】
(修正部250;走査)
修正部250は、鉄筋部分について、エッジ検出、線分検出または中心線の検出等、任意の検出方法により、鉄筋の領域の延伸方向を特定する。修正部250は、特定した鉄筋部分の延伸方向に沿って検出エラーを判定する。例えば修正部250は特定部251を含み、特定部251は所定の画素数単位で当該延伸方向ごとに走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図9参照)。具体的にはあらかじめ記憶された1つの画素値の範囲に該当するか否かで特定される。
【0050】
なお、
図9に示すように検出された各鉄筋領域の間の画素については、隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて走査方向を求める。各鉄筋領域の間については、この求めた走査方向にしたがって走査を実行する。
【0051】
修正部250は、走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。また修正部250は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この判定は第1実施形態と同様である。修正部250はこのようにして、画像から検出された鉄筋部分が誤検出であるか否かを判定している。なお第1画素の割合の閾値としては45%が一例である。下限は20%、上限は55%である。
【0052】
計測については第1実施形態と同様である。
【0053】
[動作]
図10は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋検査システム200の動作を、ステップ番号(S201~S208)に添って説明する。
【0054】
(S201)
配筋検査システム200における撮像部210は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部220は撮像データを一時記憶する。画像処理部230は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0055】
(S202)
識別部240は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋を検出する。
【0056】
(S203)
修正部250は、識別部240が撮像画像から検出した画像内の鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する。
【0057】
(S204)
修正部250は鉄筋の領域の延伸方向を特定する。
図9に示すように検出された各鉄筋領域の間の画素については、隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて走査方向を求める。
【0058】
(S205)
特定部251は所定の画素数単位で当該延伸方向ごとに走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図9参照)。
【0059】
各鉄筋領域の間については、隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて求めた方向にしたがって走査を実行する。
【0060】
(S206)
修正部250は、走査方向それぞれにおける第1画素(例えば白画素)の割合を求める。
【0061】
(S207)
修正部250は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。修正部250は割合が閾値を超えない場合には(S207;No)、当該走査方向における処理を終了する。またこの場合、次のS208の逆の処理として、修正部250はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値(例えば黒画素)に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0062】
(S208)
S207の判定の結果、割合が閾値を超えた場合には(S207;Yes)、修正部250によりその走査方向に存在する画素を全て第1画素(例えば白画素)に置き換える。
【0063】
修正部250は、所定間隔で実際の配筋状態の縦横方向に応じた方向それぞれについて画像全体にこの走査および割合判定と、第1画素への置換処理を実行する。その後、計測処理が実行される。
【0064】
[効果]
本実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。例えば、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の後に、画像を鉄筋領域とそれ以外の領域の二値画像に変換する。この二値画像に基づき走査を行う。
【0065】
すなわち二値画像に変換することにより、その後の検出ミスの判定と補完の前に、鉄筋領域を抜き出した画像を生成することで、検出ミスの判定と補完の精度を向上させることが可能となる。
【0066】
また、本実施形態では、鉄筋の検出後、検出された画像を所定方向に走査することで鉄筋部分を示す第1画素が特定される。さらに、第1画素が特定されると、その走査方向における第1画素の割合が特定され、所定割合を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。これにより、走査方向における鉄筋部分が所定割合以下である場合、誤検出として判定することができる。さらに検出ミスにより実際には鉄筋部分であるが鉄筋部分として検出できなかった画素について補完することが可能である。
【0067】
以上の実施形態の効果により、再撮影や手動による画像処理操作の増加を防ぐことが可能であり、従来の配筋検査システムと比較して配筋検査作業の省力化が可能である。
【0068】
[第3実施形態]
第3実施形態にかかる配筋検査システム300について
図11~
図15を参照して説明する。以下の説明において、第1実施形態および第2実施形態と重複する説明は割愛する。
【0069】
(概要)
図11に示すように、配筋検査システム300は、撮影部310、記憶部320、識別部340、修正部350、制御部Cおよび表示手段Dを備える。第3実施形態においては、第1実施形態と異なり画像処理部を含まない。したがって、撮像した画像の視線方向を変換する処理を行わない。なお、以下の図に表される画像は一例である。
【0070】
第1実施形態と同様に、識別部340は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋の領域を検出する。ディープラーニングによる物体検知モデルによって、画像データにおける表層の鉄筋をそれぞれ検出する。
【0071】
また第1実施形態と同様に修正部350は検出エラーを判定し、修正を実行する。第3実施形態では識別部340によって鉄筋部分が検出された画像を二値画像に変換する。さらに第3実施形態では、クロージング処理およびオープニング処理の少なくともいずれか一方によりノイズを除去する。詳細を以下説明する。
【0072】
(修正部350;二値画像変換)
第2実施形態と同様に修正部350は、撮像画像から検出した画像内の鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する。
【0073】
(修正部350;クロージング処理)
修正部350におけるクロージング処理について
図12~
図14を参照して説明する。
図12は、ノイズを含む二値画像の一例を示す概略図である。すなわち
図12では白画素領域が整然と表されているが実際は
図8の例のようにノイズ処理前の二値画像はノイズが複数含まれる傾向にある。また
図12における破線は説明の便宜上表されたものである。
図13は、
図12の破線部分を拡大した拡大図である。
図14は、左側がノイズ処理前の二値画像の拡大図であり、右側は左図に対しノイズ処理を施した後の概念図である。
【0074】
図14に示すように修正部350は二値画像において白画素領域の増減によりノイズを除去する。修正部350は、二値画像における対象画素それぞれに対し、膨張処理を複数回行い、さらに収縮処理を複数回行う。膨張処理は処理対象画素の所定の周辺位置に白画素があれば、白に変換し、白が無い場合は変換を行わない。収縮処理は、処理対象画素の所定の周辺位置に黒画素があれば、黒に変換し、黒がない場合は変換を行わない。
【0075】
このクロージング処理を施すことにより白画素領域における黒画素のノイズを除去することができる。なお対象画素の所定の周辺位置(周辺画素)としては対象画素を含む周辺画素3×3である。これに限らず、周辺画素は、上下左右の画素等、任意の設定とすることが可能である。
【0076】
(修正部350;オープニング処理)
修正部350は二値画像において白画素領域の増減によりノイズを除去する。修正部350は、二値画像における対象画素それぞれに対し、収縮処理を複数回行い、さらに膨張収縮処理を複数回行う。このオープニング処理を施すことにより白画素のノイズを除去することができる。なお対象画素の所定の周辺位置(周辺画素)としては対象画素を含む周辺画素3×3である。これに限らず、周辺画素は、上下左右の画素等、任意の設定とすることが可能である。
【0077】
上記オープニング処理、クロージング処理はいずれか一方のみを実行するか、または双方を実行してもよい。これらの選択をユーザが選択可能にしてもよい。例えば二値画像と撮像画像を表示手段に同時に表示(並列表示等)し、上記ノイズ処理の一方または双方を選択操作可能なユーザインターフェースが表示されるように構成されていてもよい。
【0078】
(修正部350;走査)
修正部350は、第2実施形態と同様に、鉄筋の領域の延伸方向を特定する。修正部350は、特定した鉄筋部分の延伸方向に沿って検出エラーを判定する。例えば修正部250は特定部351を含み、特定部351は所定の画素数単位で当該延伸方向ごとに走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図9参照)。
【0079】
なお、
図9に示すように検出された各鉄筋領域の間の画素については、隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて走査方向を求める。各鉄筋領域の間については、この求めた走査方向にしたがって走査を実行する。
【0080】
(修正部350;走査・計測)
修正部350は、第2実施形態と同様に、走査方向の第1画素の比率算出と、比率の閾値判定により、画像から検出された鉄筋部分が誤検出であるか否かを判定している。なお第1画素の割合の閾値としては45%が一例である。下限は20%、上限は55%である。計測については第1実施形態と同様である。
【0081】
[動作]
図15は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋検査システム300の動作を、ステップ番号(S301~S308)に添って説明する。
【0082】
(S301)
配筋検査システム300における撮像部310は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部320は撮像データを一時記憶する。画像処理部330は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0083】
(S302)
識別部340は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋を検出する。
【0084】
(S303)
修正部350は、識別部340が撮像画像から検出した画像内の鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する。
【0085】
(S304)
修正部350は二値画像において白画素領域の増減によりノイズを除去する。修正部350は、二値画像における対象画素それぞれに対し、膨張処理を複数回行い、さらに収縮処理を複数回行う。併せて、またはこの処理の代替として、修正部350は、二値画像における対象画素それぞれに対し、収縮処理を複数回行い、さらに膨張収縮処理を複数回行う。
【0086】
(S305)
修正部350は鉄筋の領域の延伸方向を特定する。
図9に示すように検出された各鉄筋領域の間の画素については、隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて走査方向を求める。
【0087】
(S306)
特定部351は所定の画素数単位で当該延伸方向ごとに走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素を特定する(
図9参照)。隣接する両端の鉄筋領域の延伸方向に基づいて求めた方向にしたがって走査を実行する。
【0088】
(S307)
修正部350は、走査方向それぞれにおける第1画素(例えば白画素)の割合を求める。
【0089】
(S308)
修正部350は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。修正部350は割合が閾値を超えない場合には(S308;No)、当該走査方向における処理を終了する。また、この場合、次のS308の逆の処理として、修正部350はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値(例えば黒画素)に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0090】
(S309)
S308の判定の結果、割合が閾値を超えた場合には(S308;Yes)、修正部350によりその走査方向に存在する画素を全て第1画素(例えば白画素)に置き換える。
【0091】
修正部350は、所定間隔で実際の配筋状態の縦横方向に応じた方向それぞれについて画像全体にこの走査および割合判定と、第1画素への置換処理を実行する。その後計測処理が実行される。
【0092】
[効果]
本実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。例えば、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の後に、画像を鉄筋領域とそれ以外の領域の二値画像に変換する。この二値画像に基づき走査を行う。
【0093】
すなわち二値画像に変換することにより、その後の検出ミスの判定と補完の前に、鉄筋領域を抜き出した画像を生成することで、検出ミスの判定と補完の精度を向上させることが可能となる。
【0094】
さらに二値画像に対しノイズ処理を施すことにより、検出ミスの判定と補完の精度を向上させることが可能となる。
【0095】
また、本実施形態では、鉄筋の検出後、検出された画像を所定方向に走査することで鉄筋部分を示す第1画素が特定される。さらに、第1画素が特定されると、その走査方向における第1画素の割合が特定され、所定割合を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。これにより、走査方向における鉄筋部分が所定割合以下である場合、誤検出として判定することができる。さらに検出ミスにより実際には鉄筋部分であるが鉄筋部分として検出できなかった画素について補完することが可能である。
【0096】
以上の実施形態の効果により、再撮影や手動による画像処理操作の増加を防ぐことが可能であり、従来の配筋検査システムと比較して配筋検査作業の省力化が可能である。
【0097】
[第4実施形態]
第4実施形態にかかる配筋検査システム400について
図16~
図23を参照して説明する。以下の説明において、第1実施形態~第3実施形態と重複する説明は割愛する。
【0098】
(概要)
図16に示すように、配筋検査システム400は、撮影部410、記憶部420、画像処理部430、識別部440、修正部450、制御部Cおよび表示手段Dを備える。第4実施形態においては、なお、以下の図に表される画像は一例である。
【0099】
第1実施形態と同様に画像処理部430は、
図2に示すような指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する(
図3参照)。変換後の指定範囲のデータが次に述べる識別部440の処理対象となる。
【0100】
第1実施形態と同様に、識別部440は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋の領域を検出する。ディープラーニングによる物体検知モデルによって、画像データにおける表層の鉄筋をそれぞれ検出する。
【0101】
また第3実施形態と同様に修正部450は検出エラーを判定し、修正を実行する。すなわち第4実施形態においても識別部440によって鉄筋部分が検出された画像を二値画像に変換する(
図17;符号ID2参照)。さらにクロージング処理およびオープニング処理の少なくともいずれか一方によりノイズを除去する(
図18参照)。
【0102】
上記オープニング処理、クロージング処理はいずれか一方のみを実行するか、または双方を実行してもよい。これらの選択をユーザが選択可能にしてもよい。例えば修正部450が二値画像ID2と撮像画像を表示手段に同時に表示(並列表示等)し、上記ノイズ処理の一方または双方を選択操作可能なユーザインターフェースが表示されるように構成されていてもよい。ユーザが
【0103】
(修正部450;走査)
修正部450は、二値画像ID2に対し鉄筋の延伸方向に対応して走査する。第1例として縦方向判定は以下のように行う。修正部450は、ノイズが除去された二値画像における白画素領域WPA(黒画素を鉄筋領域とする場合は黒画素領域)のうち実質的に縦方向に相当する縦方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。例えば修正部450は特定部451を含み、特定部451は所定の画素数単位で画像の縦方向に走査し(
図19参照)、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素が占める割合を求める。
【0104】
また修正部450は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部420にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部450は、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい。
図20に示すように割合の閾値は例えば50%であり、求めた第1画素の割合が50%を超えると、修正部450はその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えるという構成が一例である。
【0105】
修正部450はこのようにして、画像から検出された鉄筋部分が誤検出であるか否かを判定している。なお第1画素の割合の閾値としては45%が一例である。下限は20%、上限は55%である。 修正部450は、第2例として横方向判定を以下のように行う。修正部450は、ノイズが除去された二値画像における白画素領域(黒画素を鉄筋領域とする場合は黒画素領域)のうち実質的に横方向に相当する横方向鉄筋部分について、検出エラーを判定する。例えば修正部450は特定部451を含み、特定部451は所定の画素数単位で画像の横方向に走査し(
図21参照)、当該走査方向に対応する各画素につき、鉄筋部分を示す第1画素が占める割合を求める。
【0106】
また修正部450は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。この閾値は例えば記憶部420にあらかじめ記憶されている値か、あるいは都度ユーザが入力操作により値を設定する構成であってもよい。修正部450は、閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換えてもよい(
図22参照)。割合の閾値は例えば50%である。
【0107】
計測については第1実施形態と同様である。
【0108】
[動作]
図23は、本実施形態における処理の流れを示す図である。以下に、配筋検査システム400の動作を、ステップ番号(S401~S408)に添って説明する。
【0109】
(S401)
配筋検査システム400における撮像部410は、撮像操作が実行されると、光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部420は撮像データを一時記憶する。画像処理部430は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。
【0110】
(S402)
表示手段Dに表示された画像データに対し、画像データが表示された状態で、
図2に示すように、ユーザが図示しない入力部等を介して画像における任意の4点C1~C4で囲まれる領域Rを指定する操作を行うと、配筋検査システム400の制御部Cはその領域Rを指定範囲として受け付ける。
【0111】
(S403)
画像処理部430は、当該指定範囲の画像データに対し、射影変換を実行し、歪みを補正する。
図3の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。
【0112】
(S404)
識別部440は、ディープラーニングにより画像データから鉄筋を検出する。
【0113】
(S405)
修正部450は、識別部440が撮像画像から検出した画像内の鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像ID2に変換する。
【0114】
(S406)
修正部450は二値画像ID2において白画素領域WPAの増減によりノイズを除去する。修正部450は、二値画像における対象画素それぞれに対し、膨張処理を複数回行い、さらに収縮処理を複数回行う。併せて、またはこの処理の代替として、修正部450は、二値画像ID2における対象画素それぞれに対し、収縮処理を複数回行い、さらに膨張収縮処理を複数回行う。
【0115】
(S407)
修正部150における特定部151は所定の画素数単位で画像の縦横方向に走査する。
【0116】
(S408)
修正部450は例えば縦横の走査方向それぞれにおける第1画素の割合を求める。
【0117】
(S409)
修正部450は、その求めた割合が閾値を超えたか判定する。修正部450は割合が閾値を超えない場合には(S409;No)、当該走査方向における処理を終了する。また、次のS408の逆の処理として、修正部450はその走査方向に存在する画素を全て第1画素以外の画素値(例えば黒画素)に置き換えるという構成とすることも可能である。
【0118】
(S410)
S409の判定の結果、割合が閾値を超えた場合には(S409;Yes)、修正部450によりその走査方向に存在する画素を全て第1画素(例えば白画素)に置き換える。
【0119】
修正部450は、所定間隔で縦横方向それぞれについて画像全体にこの走査および割合判定と、第1画素への置換処理を実行する。その後計測処理が実行される。なお、第4実施形態においては、クロージング処理、およびオープニング処理の一方または双方を実行する例を説明したが、これに限られない。例えば、二値画像への変換処理後、縦方向への走査、横方向への走査を実行するように構成されていてもよい。
【0120】
[効果]
本実施形態によれば、配筋検査システムにおいて配筋の検出ミスを低減することが可能である。例えば、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の前に、射影変換等による画像の縦横方向と、画像の視線方向を合わせようとすることで、誤検出を大幅に低減させることが可能である。例えばこれにより何層か重畳して配筋されている場合に、表層の配筋を検出しやすくなる。また射影変換を行うことで、鉄筋の配置が縦横の2軸に学習モデルを絞ることができ、検出精度が向上する。
【0121】
すなわち通常の撮像手段を使って、配筋のような構造体を撮影した場合には、実際には縦横に整列したものであるにもかかわらず、画像の縦横方向と対応しない傾向がある。それを、計測エリアの四隅に該当する個所を設定し射影変換を行うことで、本来の構造としての情報を保有した画像へと修正が可能となる。
【0122】
さらに第4実施形態では、ディープラーニングによる画像内の鉄筋部分の検出の後に、画像を鉄筋領域とそれ以外の領域の二値画像に変換する。またこの二値画像に基づき走査を行う。
【0123】
すなわち二値画像に変換することにより、その後の検出ミスの判定と補完の前に、鉄筋領域を抜き出した画像を生成することで、検出ミスの判定と補完の精度を向上させることが可能となる。
【0124】
さらに二値画像に対しノイズ処理を施すことにより、検出ミスの判定と補完の精度を向上させることが可能となる。
【0125】
また、本実施形態では、鉄筋の検出後、検出された画像を所定方向に走査することで鉄筋部分を示す第1画素が特定される。さらに、第1画素が特定されると、その走査方向における第1画素の割合が特定され、所定割合を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て第1画素に置き換える。これにより、走査方向における鉄筋部分が所定割合以下である場合、誤検出として判定することができる。さらに検出ミスにより実際には鉄筋部分であるが鉄筋部分として検出できなかった画素について補完することが可能である。
【0126】
以上の実施形態の効果により、再撮影や手動による画像処理操作の増加を防ぐことが可能であり、従来の配筋検査システムと比較して配筋検査作業の省力化が可能である。
【0127】
[操作画面]
図24~
図28を参照し、第4実施形態の例に基づき配筋検査システムを操作するためのユーザインターフェースの概要を説明する。
【0128】
(撮影画面)
図24は、撮影をするためのユーザインターフェースの一例である。
図24に示すように、制御部Cにより表示手段Dに配筋状態を撮影するためのユーザインターフェースが表示される。表示手段Dがタッチパネル(タッチスクリーン)により構成されている場合、撮影画面において、
図24の右側にあるように、写真撮影ボタン、画像選択ボタン等が配置される。写真撮影ボタンの表示領域をユーザが選択することにより、撮像部410が光学系を制御し、撮像素子に入力された情報に基づいて撮像データを生成する。記憶部420は撮像データを一時記憶する。画像処理部430は撮像データを画像データに変換し表示手段Dに表示させる。この画像データは例えば
図24の写真撮影ボタン、画像選択ボタンと並列表示された画像表示領域(
図24「NO IMAGE」の領域)に表示される。
【0129】
画像選択ボタンの表示領域をユーザが選択することにより、あらかじめ記憶された画像データが、例えば
図24の画像表示領域(
図24「NO IMAGE」の領域)に表示される。
【0130】
(領域選択画面)
図25は、画像データの領域選択をするためのユーザインターフェースの一例である。
図25に示すように、制御部Cにより表示手段Dに領域選択するためのユーザインターフェースが表示される。領域選択画面において、
図25の例のように、画像データと、指定範囲画像が並列表示される。例えばタッチパネルにより構成された表示手段Dの画像データ表示領域(
図25の左側)において、ユーザが画像における任意の4点で囲まれる領域を指定する操作を行うと、制御部Cはその領域を指定範囲として受け付ける。
【0131】
画像処理部は指定範囲にしたがって画像データを切り取る。さらに画像処理部は、画像データ表示領域と並列表示された領域に、切り取った画像を指定範囲画像(
図25の右側)として表示させる。このとき、
図25の例のように画像データと例えば同サイズとなるように指定範囲画像を拡大表示させてもよい。
【0132】
(射影変換画面)
図26は、領域選択後の指定範囲画像が射影変換された後のユーザインターフェースの一例(右側)である。
図26に示すように、指定範囲画像が生成されると、画像処理部は射影変換を実行し、歪みを補正する。
図3の例に示すように、補正された指定範囲の画像では、画像データの縦横方向に沿うように、配筋状態の縦横の鉄筋の方向が実質的に対応する状態となる。
【0133】
(測定前画面)
図27は、射影変換後の指定範囲画像において測定処理が実行される前のユーザインターフェースの一例である。
図27に示すように、射影変換後の指定範囲画像が生成されると、各種処理を実行するための操作画面が表示される。例えば、射影変換後の指定範囲画像と共にAI検出ボタン、距離確定ボタン、CSV出力ボタンが表示される。
【0134】
AI検出ボタンの表示領域をユーザが選択することにより、識別部による鉄筋の検出、さらに修正部による二値画像への変換、クロージング処理(および/またはオープニング処理)等のノイズ除去が実行される。
【0135】
さらに修正部が上記走査、第1画素の割合算出、閾値判定を経て、走査方向の画素を置換する。これにより走査、判定および置換によって画像における鉄筋の位置、すなわち第1画素領域の画像内座標が特定可能となる。識別部は、修正部により特定された第1画素の領域に基づき、二値画像でない元の画像データにおいて、鉄筋を示す領域の画像内座標を特定する。元の画像データは射影変換後の画像データであっても、射影変換前の指定範囲画像であっても、範囲選択前の画像であってもよい。
【0136】
図27に示すような距離確定ボタンの表示領域をユーザが選択することにより、識別部により鉄筋を示す領域の画像内座標が特定された元の画像データにおいて、測定処理が行われる。測定処理は、鉄筋領域の画像内座標に基づき、縦横それぞれで鉄筋の間隔を画素に基づき測定する制御部Cの処理の一例である。さらに制御部Cにより画素に基づく画像内の距離が実際の距離に変換される。
【0137】
例えば制御部Cは、図示しない操作画面によりユーザが入力した画素と実距離の関係を示す比にしたがって、画像内の距離が実際の距離に変換されてもよい。このとき、指定範囲画像にロッドテープのような距離の指標が表示されている場合、ユーザがそのロッドテープの長手方向に沿って一端と他端の位置を指定する操作を行う。その一端と他端の実距離をユーザが入力すると、制御部Cが画像内のロッドテープの一端と他端の距離と、入力された実距離との比を求める。
【0138】
さらに制御部Cは、この求めた比に基づき、画像内の距離を実際の距離に変換する。なお、制御部Cにより画像内のロッドテープの領域を画像認識し、さらに当該領域に示された数字を画像認識する構成であってもよい。その場合、当該領域の長手方向の長さと画像認識した数字に基づき画像内の距離が実際の距離に変換される。
【0139】
上記の処理と同様に鉄筋径、鉄筋間隔の平均、最大間隔、最小間隔を求めてもよい。
【0140】
(測定後画面)
図28に示すように実際の鉄筋間隔(鉄筋間距離)が測定されると、制御部Cは、表示手段Dに各鉄筋間隔を数値表示する。同様に鉄筋径、鉄筋間隔の平均、最大間隔、最小間隔が求められている場合は、それら数値も表示されてもよい。
【0141】
図27、
図28に示すようなCSV出力ボタンの表示領域をユーザが選択することにより、制御部Cは測定ないし算出された鉄筋間隔(鉄筋間距離)を、CSV(Comma Separated Values)のファイル形式で作成する。さらに加えて鉄筋径、鉄筋間隔の平均、最大間隔、最小間隔のうち少なくとも1種を出力してもよい。
【0142】
なお、上記各実施形態から下記の配筋検査システムとして次のような特徴を挙げることが可能である。これらは上記第1実施形態~第4実施形態およびその変形例、並びにこれらから把握される特許請求の範囲の各請求項と組み合わせることが可能である。
【0143】
[付記1]
1つの視点から撮影された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、
識別された鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する変換部とを備える
配筋検査システム。
【0144】
[付記2]
撮影された画像の一範囲または全範囲を指定する入力にしたがい、前記画像処理部による視線方向が変換される
ことを特徴とする付記1に記載の配筋検査システム。
【0145】
[付記3]
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部を含む
ことを特徴とする付記1に記載の配筋検査システム。
【0146】
[付記4]
識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部を含み、
視線方向変換済の画像の前記鉄筋部分のうち、所定の走査方向の鉄筋部分について、前記修正部が識別の誤りを判定する
ことを特徴とする付記2に記載の配筋検査システム。
【0147】
[付記5]
前記修正部は画像を所定の方向に走査し、当該走査方向に対応する各画素につき、前記鉄筋部分を示す第1画素を特定する特定部を含む
ことを特徴とする付記3または4に記載の配筋検査システム。
【0148】
[付記6]
前記特定部は当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値を超えた場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素に置き換える
ことを特徴とする付記5に記載の配筋検査システム。
【0149】
[付記7]
前記特定部は当該走査方向における前記第1画素の割合を求め、その求めた割合が閾値を超えたか判定し、当該閾値以下である場合にその走査方向に存在する画素を全て前記第1画素以外の画素に置き換える
ことを特徴とする付記5に記載の配筋検査システム。
【0150】
[付記8]
前記修正部は、画像に対しクロージング処理を実施し、前記第1画素を膨張させてから収縮させることにより、ノイズを除去する
ことを特徴とする付記3に記載の配筋検査システム。
【0151】
[付記9]
前記修正部は、画像に対しオープニング処理を実施し、前記第1画素を膨張させてから収縮させることにより、ノイズを除去する
ことを特徴とする付記3に記載の配筋検査システム。
【0152】
[付記10]
配筋検査方法であって、
1つの視点から撮影された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する工程と、
識別された鉄筋部分と、該当しない部分とに分かれるよう二値で表した二値画像に変換する工程と、
を備えた配筋検査方法。
【0153】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
100、200、300、400 配筋検査システム
110、210、310、410 撮影部
120、220、320、420 記憶部
130、430 画像処理部
140、240、340、440 識別部
150、250、350、450 修正部
D 表示手段
【要約】
【課題】配筋検査システムにおいて検査ミスを低減することを可能とする。
【解決手段】実施形態の配筋検査システムは、1つの視点から撮影された画像に基づき、画像の縦横方向と配筋における縦横方向が対応するように画像の視線方向を変換する画像処理部と、変換された画像において鉄筋に該当する鉄筋部分と該当しない部分を機械学習により識別する識別部と、識別された前記鉄筋部分および該当しない部分につき、画像の統計情報に基づいて修正する修正部と、を備える。
【選択図】
図1