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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】受電装置及び受電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/04 20060101AFI20230523BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20230523BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230523BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20230523BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230523BHJP
【FI】
H02H9/04
H02J1/00 301D
H02J1/00 308C
H02J1/00 309H
H02J7/00 S
H02J7/00 301D
H02J7/10 B
H02J50/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018053354
(22)【出願日】2018-03-20
(65)【公開番号】P2019165594
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-10-09
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】築山 大輔
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-63693(JP,A)
【文献】特開平7-170681(JP,A)
【文献】特開2008-109646(JP,A)
【文献】特開平7-170681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04, H02J 1/00, H02J 7/00, H02J 7/10, H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルから送電される電力を受電する受電コイルと、
前記受電コイルで受電した交流電力を整流する整流回路と、
前記整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力が供給される負荷の前段で前記直流電力を平滑化する平滑回路との間に接続される制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記負荷の正極と負極の間に接続され、前記負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合に、前記送電コイルから送電される電力が前記受電コイルにより受電されている間に、非導通状態から導通状態に切り替えることにより当該制御回路を短絡させるスイッチと、前記正極又は前記負極と前記スイッチの間に接続され、前記正極から前記スイッチを通り前記負極へ電流が流れることを防止する整流素子と、を含
前記負荷は、前記直流電力が供給される時間の経過に応じて電圧が変化し、
前記制御回路は、前記負荷を流れる直流電流が一定又は所定値以下となるように制御する、
受電装置。
【請求項2】
前記整流素子は、前記正極に流れ込む電流を通過させ、前記正極から流れ出す電流を遮蔽する一つの半導体ダイオードである、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記整流素子は、前記負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合に導通状態から非導通状態に切り替えられる第2スイッチであり、前記スイッチと導通状態及び非導通状態が互いに逆となるように制御される、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項4】
送電コイルから送電される電力を受電コイルにより受電することと、
前記受電コイルで受電した交流電力を整流回路により整流することと、
前記整流回路と、前記整流回路から出力される直流電力が供給される負荷の前段で前記直流電力を平滑化する平滑回路との間に接続される制御回路により、前記負荷に印加される電圧が所定値以上となったことを検出することと、
前記負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合に、前記送電コイルから送電される電力が前記受電コイルにより受電されている間に、前記負荷の正極と負極の間に接続されるスイッチを非導通状態から導通状態に切り替えることにより前記制御回路を短絡させることと、
前記正極又は前記負極と前記スイッチの間に接続される整流素子により、前記正極から前記スイッチを通り前記負極へ電流が流れることを防止することと、
を含み、
前記負荷は、前記直流電力が供給される時間の経過に応じて電圧が変化し、
前記制御回路は、前記負荷を流れる直流電流が一定又は所定値以下となるように制御する、
受電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受電装置及び受電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電装置の送電コイルから、受電装置の受電コイルへ電力を伝送するワイヤレス給電システムが用いられている。ワイヤレス給電システムの受電装置は、ワイヤレス給電された電力をバッテリ等の負荷に供給する。
【0003】
ワイヤレス給電システムに関し、下記特許文献1には、車両に設けられた電源に接続された送電側コイルから受電側コイルに電力を伝送し、受電側コイルで受電した電力を蓄電装置に蓄電するワイヤレス給電システムが記載されている。このワイヤレス給電システムでは、蓄電装置の蓄電量に関する情報を受電側から送電側に送信し、送電側コイルから受電側コイルへ伝送する電力を蓄電装置の蓄電量に基づいて制御している。
【0004】
より具体的には、蓄電装置の蓄電量を受電装置により測定し、蓄電量が設定値に到達した場合に、受電装置と負荷の間の接続を切断し、受電装置から送電装置に対して無線通信により停止命令を送信して、送電装置からの送電を停止させるように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-104253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、送電装置と受電装置の間の通信速度が低速であったり、送電装置での信号処理に遅延が生じたりすると、受電装置と負荷の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合があり、受電装置に瞬間的に過大な電圧が印加されてしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明は、受電装置と負荷の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、過大な電圧が印加されることを抑制できる受電装置及び受電制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る受電装置は、送電コイルから送電される電力を受電する受電コイルと、受電コイルで受電した交流電力を整流する整流回路と、整流回路及び整流回路から出力される直流電力が供給される負荷の間に接続される制御回路と、を備え、制御回路は、負荷の正極と負極の間に接続され、負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合に、送電コイルから送電される電力が受電コイルにより受電されている間に、非導通状態から導通状態に切り替えられるスイッチと、正極又は負極とスイッチの間に接続され、正極からスイッチを通り負極へ電流が流れることを防止する整流素子と、を含む。
【0009】
この態様によれば、負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合にスイッチが非導通状態から導通状態に切り替えられ、制御回路の正極と負極が短絡されることで、受電装置と負荷の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、過大な電圧が印加されることを抑制できる。また、制御回路が整流素子を含むことで、スイッチが非導通状態から導通状態に切り替えられても負荷の正極と負極が短絡しない状態に保たれる。このため、例えば負荷がバッテリである場合に、バッテリの放電が防止される。
【0010】
上記態様において、負荷は、直流電力が供給される時間の経過に応じて電圧が変化し、制御回路は、負荷を流れる直流電流が一定又は所定値以下となるように制御してもよい。
【0011】
この態様によれば、負荷に直流電力を供給する際に過大な電流が流れることを抑制し、受電装置と負荷の間の接続を切断する際に過大な電圧が印加されることを抑制できる。また、制御回路によって、負荷を流れる直流電流が一定又は所定値以下となるように制御することで、過電流対策のために受電装置を構成する材料や部品を特別に選定せずともよく、耐電圧対策のみ行えばよいため、受電装置を低コストかつ小型にすることができる。
【0012】
上記態様において、整流素子は、正極に流れ込む電流を通過させ、正極から流れ出す電流を遮蔽する一つの半導体ダイオードであってよい。
【0013】
この態様によれば、制御回路が整流素子として一つの半導体ダイオードを含むことで、安価な構成により、スイッチが非導通状態から導通状態に切り替えられた場合に負荷の正極と負極が短絡しないように保つことができる。
【0014】
上記態様において、整流素子は、負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合に導通状態から導通状態に切り替えられる第2スイッチであり、スイッチと導通状態及び非導通状態が互いに逆となるように制御されてよい。
【0015】
この態様によれば、制御回路が整流素子として第2スイッチを含むことで、スイッチの制御信号を反転した単純な制御信号により、スイッチが非導通状態から導通状態に切り替えられた場合に負荷の正極と負極が短絡しないように保つことができる。
【0016】
本発明他の態様に係る受電制御方法は、送電コイルから送電される電力を受電コイルにより受電することと、受電コイルで受電した交流電力を整流回路により整流することと、整流回路及び整流回路から出力される直流電力が供給される負荷の間に接続される制御回路により、負荷に印加される電圧が所定値以上となったことを検出することと、負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合に、送電コイルから送電される電力が受電コイルにより受電されている間に、負荷の正極と負極の間に接続されるスイッチを非導通状態から導通状態に切り替えることと、正極又は負極とスイッチの間に接続される整流素子により、正極からスイッチを通り負極へ電流が流れることを防止することと、を含む。
【0017】
この態様によれば、負荷に印加される電圧が所定値以上となった場合にスイッチが非導通状態から導通状態に切り替えられ、制御回路の正極と負極が短絡されることで、受電装置と負荷の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、過大な電圧が印加されることを抑制できる。また、整流素子により、スイッチが非導通状態から導通状態に切り替えられても負荷の正極と負極が短絡しない状態に保たれる。このため、例えば負荷がバッテリである場合に、バッテリの放電が防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、受電装置と負荷の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、過大な電圧が印加されることを抑制できる受電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る受電装置の回路図である。
図2】本発明の実施形態に係る受電装置の負荷に流れる電流と、負荷に印加される電圧とを示すグラフである。
図3】本発明の実施形態の第1変形例に係る受電装置の回路図である。
図4】本発明の実施形態の第2変形例に係る受電装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る受電装置10の回路図である。受電装置10は、受電コイル11、整流回路12、平滑回路13、制御回路14及び負荷15を備える。
【0022】
受電コイル11は、受電装置10と別体の送電装置が備える送電コイルから送電される電力を受電する。受電コイル11は、送電コイルとの磁界結合によって交流電力を受電するコイルであってよい。
【0023】
整流回路12は、受電コイル11で受電した交流電力を整流し、直流電力を出力する。整流回路12は、複数のダイオードを含んで、受電コイル11で受電した交流電力を全波整流する回路であってよい。
【0024】
平滑回路13は、整流回路12から出力される直流電力を平滑化する。平滑回路13は、コイル及びコンデンサを含み、整流回路12から出力される直流電力の変動を低減し、平滑化する回路であってよい。本実施形態に係る受電装置10において、平滑回路13は、整流回路12と制御回路14の間に接続される。
【0025】
負荷15は、整流回路12から出力され、平滑回路13で平滑化された直流電力が供給される。負荷15は、直流電力が供給される場合に、時間の経過に応じて電圧が変化するものであってよい。負荷15は、例えばリチウムイオンキャパシタや鉛蓄電池等のバッテリであったり、モータ等のアクチュエータであったりしてよい。
【0026】
制御回路14は、整流回路12と負荷15との間に接続され、整流回路12から出力される直流電力により負荷15を流れる直流電流が一定又は所定値以下となるように制御する。本実施形態に係る受電装置10において、制御回路14は、平滑回路13と負荷15の間に接続される。制御回路14は、負荷15の正極+と負極-の間に接続され、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たした場合に、送電コイルから送電される電力が受電コイル11により受電されている間に、非導通状態から導通状態に切り替えられる第1スイッチ14aと、正極+又は負極-と第1スイッチ14aの間に接続され、正極+から第1スイッチ14aを通り負極-へ電流が流れることを防止するダイオード14bと、を含む。ここで、所定の条件は、負荷15に印加される電圧が所定の電圧以上となることであってよい。
【0027】
制御回路14によって、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たした場合に第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられ、制御回路14の正極と負極が短絡されることで、受電装置10と負荷15の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、過大な電圧が印加されることを抑制できる。また、制御回路14がダイオード14bを含むことで、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられても負荷15の正極+と負極-が短絡しない状態に保たれる。
【0028】
本実施形態に係る受電装置10において、ダイオード14bは、負荷15の正極+に流れ込む電流を通過させ、正極+から流れ出す電流を遮蔽する一つの半導体ダイオードであってよい。制御回路14がダイオード14bとして一つの半導体ダイオードを含むことで、安価な構成により、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられた場合に負荷15の正極+と負極-が短絡しないように保つことができる。
【0029】
また、第1スイッチ14aは、半導体トランジスタであってよい。半導体トランジスタのゲート電極には、制御信号が入力されてよく、制御信号は、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たした場合に半導体トランジスタのソース電極とドレイン電極を導通させる信号であり、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たさない場合に半導体トランジスタのソース電極とドレイン電極を導通させない信号であってよい。
【0030】
図2は、本発明の実施形態に係る受電装置10の負荷15に流れる電流Iと、負荷15に印加される電圧Vとを示すグラフである。同図において、負荷15に流れる電流Iは、実線で示され、その単位は右側の縦軸にA(アンペア)で示されている。また、負荷15に印加される電圧Vは破線で示され、その単位は左側の縦軸にV(ボルト)で示されている。横軸には、経過時間をms(ミリ秒)の単位で示している。本例では、負荷15はバッテリである。
【0031】
図2では、0msに受電コイル11による電力の受電を開始して、負荷15(バッテリ)に直流電力を供給して充電を行った場合を示している。本例において、制御回路14は、受電コイル11による電力の受電が開始されると、負荷15に流れる電流Iが一定又は所定値以下となるように制御する。本例の場合、制御回路14は、電流Iの時間平均が一定となるように制御する。これにより、負荷15に直流電力を供給する際に過大な電流が流れることを抑制することができる。また、本例の場合、負荷15は、直流電力が供給される時間の経過に応じて電圧が変化する。より具体的には、負荷15は、リチウムイオンキャパシタ等であってよく、直流電力が供給されて蓄電量が増加していくと、電圧が上昇するものであってよい。本例において、制御回路14の第1スイッチ14aを非導通状態から導通状態とする所定の条件は、負荷15に印加される電圧が10V以上であることである。そのため、受電開始から50ms経過して負荷15に印加される電圧が10Vとなった時点で、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられている。第1スイッチ14aが非導通状態の場合、すなわち0msから50msまでの場合、負荷15に流れる電流Iは、2.6A~4.0A程度である。一方、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられた50msより後、負荷15に流れる電流Iは0Aとなっており、負荷15に電力が供給されていないことが確認できる。また、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられた50msより後、負荷15に印加される電圧が10Vのまま一定に保たれ、ダイオード14bにより負荷15の正極+と負極-が短絡しないように保たれていることが確認できる。
【0032】
仮に、負荷15を流れる直流電流が一定又は所定値以下に制御されない場合、すなわち受電装置10に定格以上の電流(過電流)が流れ得る場合、過電流に耐え得る材料や部品を選定して受電装置10を構成する必要がある。例えば、受電コイル11としてコイル巻線がより多いものを選定する必要が生じて、受電コイル11が大型化する。また、平滑回路13に含まれるキャパシタとして並列数がより多いものを選定する必要が生じて、平滑回路13が大型化する。また、第1スイッチ14aをFET(Field Effect Transistor)で構成する場合、ヒートシンクがより大きいFETを選定する必要が生じて、制御回路14が大型化する。このようにして、負荷15を流れる直流電流が一定又は所定値以下に制御されない場合、定格以上の電流に耐える必要から受電装置10が大型化してしまう。
【0033】
一方、負荷15を流れる直流電流が一定又は所定値以下に制御される場合、過電圧に耐え得る材料や部品を選定して受電装置10を構成する必要があるが、一般的に、過電流に耐え得る材料や部品よりも、過電圧に耐え得る材料や部品の方が小型であり、種類も豊富で安価である。そして、負荷15を流れる直流電流が一定又は所定値以下であれば、受電コイル11としてコイル巻線がより多いものを選定する必要がなく、受電コイル11を小型にすることができる。また、平滑回路13に含まれるキャパシタとして並列数がより多いものを選定する必要がなく、平滑回路13を小型にすることができる。また、第1スイッチ14aをFETで構成する場合に、より大きなヒートシンクを有するFETを選定する必要がなく、制御回路14を小型にすることができる。このように、制御回路14によって、負荷15を流れる直流電流が一定又は所定値以下となるように制御することで、過電流対策のために受電装置10を構成する材料や部品を特別に選定せずともよく、耐電圧対策のみ行えばよいため、受電装置10を低コストかつ小型にすることができる。
【0034】
本実施形態に係る受電装置10により、以下の受電制御方法が実行される。はじめに、本実施形態に係る受電制御方法では、送電コイルから送電される電力を受電コイル11により受電することが行われ、続いて、受電コイル11で受電した交流電力を整流回路12により整流することが行われる。そして、制御回路14により、負荷15に印加される電圧が所定値以上となったことを検出することが行われて、負荷15に印加される電圧が所定値以上となった場合に、送電コイルから送電される電力が受電コイル11により受電されている間に、負荷15の正極+と負極-の間に接続される第1スイッチ14aを非導通状態から導通状態に切り替えることと、整流素子14bにより、正極+から第1スイッチ14aを通り負極-へ電流が流れることを防止することと、が行われる。
【0035】
本実施形態に係る受電制御方法によれば、負荷15に印加される電圧が所定値以上となった場合に第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられ、制御回路14の正極と負極が短絡されることで、受電装置10と負荷15の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、過大な電圧が印加されることを抑制できる。また、整流素子14bにより、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられても負荷15の正極+と負極-が短絡しない状態に保たれる。このため、例えば負荷15がバッテリである場合に、バッテリの放電が防止される。
【0036】
図3は、本発明の実施形態の第1変形例に係る受電装置10aの回路図である。第1変形例に係る受電装置10aは、制御回路14に第2スイッチ14cを含み、ダイオード14bを含まない点で、本実施形態に係る受電装置10と相違する。その他の構成について、第1変形例に係る受電装置10aは、本実施形態に係る受電装置10と同様の構成を有する。
【0037】
第2スイッチ14cは、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たした場合に導通状態から導通状態に切り替えられるスイッチであり、第1スイッチ14aと導通状態及び非導通状態が互いに逆となるように制御される。第2スイッチ14cは、半導体トランジスタであってよく、第2スイッチ14cのゲート電極には、制御信号が入力されてよい。第2スイッチ14cのゲート電極に入力される制御信号は、第1スイッチ14aのゲート電極に入力される制御信号を反転した信号であってよい。すなわち、第2スイッチ14cのゲート電極に入力される制御信号は、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たした場合に第2スイッチ14cのソース電極とドレイン電極を導通させない信号であり、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たさない場合に第2スイッチ14cのソース電極とドレイン電極を導通させる信号であってよい。
【0038】
制御回路14が整流素子として第2スイッチ14cを含むことで、第1スイッチ14aの制御信号を反転した単純な制御信号により、第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられた場合に負荷15の正極+と負極-が短絡しないように保つことができる。
【0039】
図4は、本発明の実施形態の第2変形例に係る受電装置10bの回路図である。第2変形例に係る受電装置10bは、平滑回路13が、制御回路14と負荷15の間に接続されている点で、本実施形態に係る受電装置10と相違する。その他の構成について、第2変形例に係る受電装置10bは、本実施形態に係る受電装置10と同様の構成を有する。
【0040】
第2変形例に係る受電装置10bにおいて、平滑回路13は、制御回路14の後段に設けられ、直流電力を平滑化して負荷15に供給する。なお、制御回路14及び平滑回路13の構成は本実施形態に係る受電装置10のものと同様であってよいが、第2変形例に係る受電装置10bでは、制御回路14及び平滑回路13の接続順序が逆である。このような構成により、負荷15に印加される電圧が所定の条件を満たした場合に第1スイッチ14aが非導通状態から導通状態に切り替えられ、制御回路14の正極+と負極-が短絡されることで、受電装置10と負荷15の間の接続を切断してから送電装置による送電が停止されるまでにタイムラグが生じる場合であっても、平滑回路13に過大な電圧が印加されることを抑制できる。そのため、平滑回路13の損傷を防止することができ、受電装置10の寿命を延ばすことができる。
【0041】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
10…受電装置、10a…第1変形例に係る受電装置、10b…第2変形例に係る受電装置、11…受電コイル、12…整流回路、13…平滑回路、14…制御回路、14a…第1スイッチ、14b…ダイオード、14c…第2スイッチ、15…負荷
図1
図2
図3
図4