(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-22
(45)【発行日】2023-05-30
(54)【発明の名称】太陽電池パネル
(51)【国際特許分類】
H01L 31/048 20140101AFI20230523BHJP
H01L 31/049 20140101ALI20230523BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H01L31/04 560
H01L31/04 562
E04F13/08 Z
(21)【出願番号】P 2018176741
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2017-0122607
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0006775
(32)【優先日】2018-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522401774
【氏名又は名称】シャンラオ ジンコ ソーラー テクノロジー デベロップメント シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョンイ キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンフン チェ
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-034025(JP,A)
【文献】特開2014-143384(JP,A)
【文献】特開平07-326789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0133739(US,A1)
【文献】特開2005-140901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルであって、
太陽電池と、
前記太陽電池を密封するシール材と、
前記シール材の上において前記太陽電池の一の面上に位置する第1カバー部材と、
前記シール材の上において前記太陽電池の他の面上に位置する第2カバー部材と、を備えてなり、
前記第1カバー部材は、
ベース部材と、
前記ベース部材より低い光透過度を有し、
前記太陽電池が位置する前記太陽電池パネルの有効領域の前記ベース部材に部分的に形成され、着色領域を構成する着色部と、を備え、
前記第2カバー部材は、前記第1カバー部材の前記着色部より低い明度を有し、前記太陽電池が位置しない前記太陽電池パネルの非有効領域に位置する、カバー部分を備え、
前記ベース部材は強化ガラス基板を備え、
前記着色部は、
セラミックフリットを備え、
前記セラミックフリットの少なくとも一部と前記強化ガラス基板の物質とが混合されて、前記強化ガラス基板と一体化された部分を構成する、太陽電池パネル。
【請求項2】
前記着色部は複数のドット又は複数のストライプ形状を備える、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項3】
前記着色部はそれぞれ0.2~10mmの幅又はサイズを有し、
前記着色領域の総面積に対する前記着色部の総面積の割合が0.1~0.95である、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項4】
前記着色領域の総面積に対する前記着色部の総面積の割合が0.1~0.5である、請求項3に記載の太陽電池パネル。
【請求項5】
前記着色部は、顔料(pigment)又は染料(dyestuff)を備える、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項6】
前記着色部は、前記強化ガラスの一面に厚さ方向での一部分に位置する、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項7】
前記着色部は、前記ベース部材の内部に陥没される第1部分及び前記ベース部材の基板面より突出された第2部分を有する、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項8】
前記第1部分の厚さは前記第2部分の厚さより大きいものである、請求項7に記載の太陽電池パネル。
【請求項9】
前記着色領域の面積に対する前記着色部の面積の割合である第1カバー率より、前記非有効領域の面積に対して、前記非有効領域に位置する前記カバー部分が占める面積の割合である第2カバー率がさらに大きいものである、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項10】
前記カバー部分は、白色以外の無彩色、不透明な色、又は前記太陽電池と同じ色を有する、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項11】
前記カバー部分は黒、グレー、青、緑、茶、前記太陽電池と同じ色、又はこれらを混合した色を有する、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項12】
前記カバーの部分が、ドット形状、ストライプ形状、又は少なくとも前記非有効領域全体をカバーする形状を有する、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項13】
前記カバー部分は、前記第2カバー部材に全体的に形成されるか、前記非有効領域を含むように部分的に形成されてなる、請求項1に記載の太陽電池パネル。
【請求項14】
太陽電池パネルであって、
太陽電池と、
前記太陽電池を密封するシール材と、
前記シール材の上において前記太陽電池の一の面上に位置する第1カバー部材と、
前記シール材の上において前記太陽電池の他の面上に位置する第2カバー部材と、を備えてなり、
前記第1カバー部材は、
ベース部材と、
前記ベース部材より低い光透過度を有し、
前記太陽電池が位置する前記太陽電池パネルの有効領域の前記ベース部材に部分的に形成されて着色領域を構成する着色部と、を備え、
前記第2カバー部材は、前記太陽電池が位置しない前記太陽電池パネルの非有効領域に位置するカバー部分を備え、
前記着色領域の面積に対する前記着色部の面積の割合である第1カバー率よりも、前記非有効領域の面積に対して、前記非有効領域に位置する前記カバー部分が占める面積の割合である第2カバー率がさらに大きいものであり、
前記ベース部材は強化ガラス基板を備え、
前記着色部は、
セラミックフリットを備え、
前記セラミックフリットの少なくとも一部と前記強化ガラス基板の物質とが混合されて、前記強化ガラス基板と一体化された部分を構成する、太陽電池パネル。
【請求項15】
前記カバー部分は、白色以外の無彩色、不透明な色、又は前記太陽電池と同じ色を有する、請求項14に記載の太陽電池パネル。
【請求項16】
前記カバー部分は黒、グレー、青、緑、茶、前記太陽電池と同じ色、又はこれらを混合した色を有する、請求項14に記載の太陽電池パネル。
【請求項17】
前記第2カバー率は0.5~1である、請求項14に記載の太陽電池パネル。
【請求項18】
前記カバー部分は、ドット形状、ストライプ形状、又は少なくとも前記非有効領域全体をカバーする形状を有する、請求項14に記載の太陽電池パネル。
【請求項19】
前記カバー部分は、前記第2カバー部材に全体的に形成されるか、前記非有効領域を含むように部分的に形成されてなる、請求項14に記載の太陽電池パネル。
【請求項20】
前記太陽電池パネルは建物一体型構造である、請求項14に記載の太陽電池パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルに関し、さらに詳細には、 建物一体型太陽電池パネルに関する。
〔関連技術〕
本発明は、韓国特許出願第10-2017-0122607号(出願日:2017年9月22日)及び韓国特許出願第10-2018-0006775号(出願日:2018年1月18日)に基づくパリ条約4条の優先権主張を伴ったものであり、当該韓国特許出願に開示された内容に基づくものである。参考のために、当該韓国特許出願の明細書及び図面の内容は本願明細書の一部に包摂されるものである。
【背景技術】
【0002】
最近石油や石炭のような既存エネルギー資源の枯渇が予測されながらこれらを取り替える代替エネルギーに対する関心が高くなり続いている。その中でも、太陽電池は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換させる次世代電池として脚光を浴びている。このような太陽電池は、複数個がリボンによって直列または並列に接続され、複数の太陽電池を保護するためのパッケージング(packaging)工程によって太陽電池パネルの形態で製造される。
【0003】
一般的に、太陽電池パネルを建物の屋上や屋根などに設置したが、アパートや高層ビルなどでは屋上や屋根に設置することができる太陽電池パネルのサイズが限定されて太陽光を効率的に活用することが難しかった。これに最近では住宅、建物などの外壁などに設置されて、住宅、建物などと一体化される建物一体型太陽電池パネルの研究が活発に行われている。建物一体型太陽電池パネルを適用すると、建物の外壁の広い面積で光電変換が行われることができ、太陽光を効果的に使用することができる。
【0004】
ところで、建物一体型太陽電池パネルが建物の外壁、特に垂直壁体に設置されると、床面と垂直になるので、建物一体型太陽電池パネルの前面からグレア(glare)現象が発生することができる。また、建物の外壁に適用されるためには、建物一体型太陽電池パネルを設置した後でも、優れた審美的特性を有すべきか、建物一体型太陽電池パネルの色を多様化したり、外観を向上させることが要求される。しかし、従来の建物一体型太陽電池パネルは、太陽電池、これに接続される配線などがそのまま外部に見られるか、太陽電池の色である青色系の色だけを有することができて、審美性、外観などを向上させるに困難がてあった。さらに、太陽電池パネルの長時間使用時に黄変が発生し、太陽電池パネルの外観が低下することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、優れた外観を有し、グレア現象を防止することができる太陽電池パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態に係る太陽電池パネルは、太陽電池と前記太陽電池を密封するシール材と前記シール材の上で前記太陽電池の一面上に位置する第1カバー部材と、前記シール材の上で、前記太陽電池の他面上に位置する第2カバー部材を含む。前記第1カバー部材は、ベース部材と、前記ベース部材より低い光透過度を有し前記ベース部材に部分的に形成されて着色領域を構成する着色部を含む。前記第2カバー部材は、少なくとも前記太陽電池が位置しない非有効領域において、前記着色部の明度より低い明度を有するカバー部分を含む。
【0007】
本発明の他の実施の形態に係る太陽電池パネルは、太陽電池と前記太陽電池を密封するシール材と、前記シール材の上で前記太陽電池の一面上に位置する第1カバー部材と、前記シール材の上で、前記太陽電池の他面上に位置する第2カバー部材を含む。前記第1カバー部材は、ベース部材と、前記ベース部材より低い光透過度を有し前記ベース部材に部分的に形成されて着色領域を構成する着色部を含む。前記第2カバー部材は、少なくとも前記太陽電池が位置しない非有効領域に位置するカバー部分を含む。前記着色領域の面積に対する前記着色部の面積の割合である第1カバー率より、前記非有効領域の面積に対して、前記非有効領域に位置する前記カバー部分が占める面積の割合である第2カバー率がさらに大きい。
〔本発明の一の態様〕
本発明にあっては、以下にその一の態様を例示する。
〔1〕 太陽電池パネルであって、
太陽電池と
前記太陽電池を密封するシール材と
前記シール材の上において前記太陽電池の一面上に位置する第1カバー部材と、
前記シール材の上において前記太陽電池の他面上に位置する第2カバー部材と、を備えてなり、
前記第1カバー部材は、ベース部材と、前記ベース部材より低い光透過度を有し、前記ベース部材に部分的に形成されて着色領域を構成する着色部を備え、
前記第2カバー部材は、少なくとも前記太陽電池が位置しない非有効領域において、前記着色部の明度より低い明度を有するカバー部分を備えてなる、太陽電池パネル。
〔2〕 前記着色領域において、前記着色部は光透過部を挟んで形成される複数のドット又は複数のストライプ形状を備えてなる、〔1〕に記載の太陽電池パネル。
〔3〕 前記着色部がそれぞれ0.2~10mmの幅又はサイズを有し、
前記着色領域の総面積に対する前記着色部の総面積の割合が0.1~0.95である、〔1〕又は〔2〕に記載の太陽電池パネル。
〔4〕 前記着色領域の総面積に対する前記着色部の総面積の割合が0.1~0.5である、〔3〕に記載の太陽電池パネル。
〔5〕 前記ベース部材が強化ガラス基板を備えてなり、
前記着色部が前記強化ガラス基板の内部に色素が混合されて、前記強化ガラス基板の一部を構成する一体化された部分で構成されてなる、〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔6〕 前記着色部が前記強化ガラスの一面に厚さ方向での一部分に位置する、〔5〕に記載の太陽電池パネル。
〔7〕 前記着色部は、前記ベース部材の内部に陥没される第1部分及び前記ベース部材の基板面より突出された第2部分を有する、〔5〕又は〔6〕に記載の太陽電池パネル。
〔8〕 前記第1部分の厚さが前記第2部分の厚さより大きいものである、〔7〕に記載の太陽電池パネル。
〔9〕 前記着色領域の面積に対する前記着色部の面積の割合である第1カバー率より、前記非有効領域の面積に対して、前記非有効領域に位置する前記カバー部分が占める面積の割合である第2カバー率がさらに大きいものである、〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔10〕 前記カバー部分は、白色以外の無彩色、不透明な色、又は前記太陽電池と同じ系列の色を有する、〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔11〕 前記カバー部分は黒、グレー、青、緑、茶、前記太陽電池と同じ系列の色、又はこれらを混合した色を有する、〔10〕に記載の太陽電池パネル。
〔12〕 前記カバーの部分が、ドット形状、ストライプ形状、又は少なくとも前記非有効領域全体をカバーする形状を有する、〔1〕~〔11〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔13〕 前記カバー部分は、前記第2カバー部材に全体的に形成されるか、前記非有効領域を含むように部分的に形成されてなる、〔1〕~〔12〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔14〕 太陽電池パネルであって、
太陽電池と
前記太陽電池を密封するシール材と
前記シール材の上において前記太陽電池の一面上に位置する第1カバー部材と、
前記シール材の上において前記太陽電池の他面上に位置する第2カバー部材と、を備えてなり、
前記第1カバー部材は、ベース部材と、前記ベース部材より低い光透過度を有し前記ベース部材に部分的に形成されて着色領域を構成する着色部を備え、
前記第2カバー部材は、少なくとも前記太陽電池が位置しない非有効領域に位置するカバー部分を備え、
前記着色領域の面積に対する前記着色部の面積の割合である第1カバー率よりも、前記非有効領域の面積に対して、前記非有効領域に位置する前記カバー部分が占める面積の割合である第2カバー率がさらに大きいものである、太陽電池パネル。
〔15〕 前記カバー部分は、白色以外の無彩色、不透明な色、又は前記太陽電池と同じ系列の色を有する、〔14〕に記載の太陽電池パネル。
〔16〕 前記カバー部分は黒、グレー、青、緑、茶、前記太陽電池と同じ系列の色、又はこれらを混合した色を有する、〔15〕に記載の太陽電池パネル。
〔17〕 前記第2カバー率が0.5~1である、〔14〕~〔16〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔18〕 前記カバー部分が、ドット形状、ストライプ形状、又は少なくとも前記非有効領域全体をカバーする形状を有する、〔14〕~〔17〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔19〕 前記カバー部分は、前記第2カバー部材に全体的に形成されるか、前記非有効領域を含むように部分的に形成されてなる、〔14〕~〔18〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
〔20〕 前記太陽電池パネルは、建物に一体化される建物一体型太陽電池パネルである、〔14〕~〔19〕の何れか一項に記載の太陽電池パネル。
【発明の効果】
【0008】
本実施の形態に係ると、第1カバー部材に部分的に形成された着色部によって一定の色、画像、パターンなどを実現することができ、第2カバー部材のカバー部分によって太陽電池、インターコネクタなどが認識されることを防止することができる。これにより、太陽電池パネルの出力低下を最小化しながら、太陽電池パネルの外観を向上させることができる。そして着色部によってグレア現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルが適用された建物の一例を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿って切断して見た断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれた第1カバー部材の一例を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれた第1カバー部材の一変形例を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれた第1カバー部材の他の変形例を示す平面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれる第1カバー部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8A】
図7に示した製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図8B】
図7に示した製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図8C】
図7に示した製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図8D】
図7に示した製造方法の各段階を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る第1カバー部材の製造方法の一例により製造された第1カバー部材を撮影した平面写真である。
【
図10】
図10(a)は、本発明の実施の形態に係る第1カバー部材の製造方法の一例において、ガラス強化段階の以前と以後の第1カバー部材の断面写真である。
図10(b)は、本発明の実施の形態に係る第1カバー部材の製造方法の一例において、ガラス強化段階の以前と以後の第1カバー部材の断面写真である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれた第1カバー部材及び第2カバー部材の一例を示す平面図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれた第1カバー部材及び第2カバー部材の他の例を示す平面図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルの一例の一部を撮影した写真である。
【
図14】本発明の実施の形態に係る太陽電池パネルに含まれた第2カバー部材の他の例を示す平面図である。
【
図15】本発明の他の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解断面図である。
【
図17】本発明の一変形例に係る太陽電池パネルの部分断面図である。
【
図18】本発明の他の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解断面図である。
【
図19】本発明のまた他の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下においては、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、このような実施の形態に限定されるものではなく、様々な形態に変形することができることはもちろんである。
【0011】
図においては、本発明を明確かつ簡略に説明するために説明と関係ない部分の図示を省略し、明細書全体を通じて同一または極めて類似の部分に対しては、同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をさらに明確にするために厚さ、広さなどを拡大または縮小して示したところ、本発明の厚さ、広さなどは図面に示されたところに限定されない。
【0012】
そして、明細書全体においてどのような部分が他の部分を“含む”とするとき、特に反対される記載がない限り、他の部分を排除するものではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分 “上に”あるとする時、これは他の部分“真上に”ある場合だけでなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分“真上に”あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0013】
以下、添付した図面を参考にして本発明の実施の形態にに係る太陽電池パネルを詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る太陽電池パネルが適用された建物の一例を概略的に示す図である。
【0015】
図1を参照すると、本実施の形態に係る太陽電池パネル100は、一例として、建物1の外壁面(例えば、垂直壁体3、屋根面など)に適用される建物一体型太陽電池パネルで有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池パネル100が建物1の屋上、または建物1ではない異なる場所などに設置されることもできる。このような太陽電池パネル100は、太陽電池150を含みから、太陽から供給される太陽光を用いて電力を生産することができる。
【0016】
本実施の形態において、太陽電池パネル100は、一定の色、画像、パターンを有することができる。このとき、一定の色、画像、パターンを有し建物1の審美性を向上させるしながらも、太陽光の損失を減らし、太陽光の変換効率の低下を最小化または防止することができるようにする。このような太陽電池パネル100をさらに詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100を概略的に示す斜視図であり、
図3は、
図2のIII-III線に沿って切断して見た断面図である。簡略し明確な図示のために
図2においては、第1カバー部材110を簡略に図示して着色部114を図示せず、
図2及び
図3においては、第2カバー部材120を簡略に図示してカバー部分124を図示しなかった。
【0018】
図2及び
図3を参照すると、本実施の形態に係る太陽電池パネル100は、太陽電池150と、太陽電池150を囲んで密封するシール材130と、シール材130上で太陽電池150の一面(一例として、前面)に位置する第1カバー部材(または前面部材110)と、シール材130上で太陽電池150の他面(一例として、後面)に位置する第2カバー部材(または後面部材)120を含む。
【0019】
このとき、太陽電池150は、、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換部と、光電変換部に電気的に接続されて電流を収集して伝達する電極を含むことができる。例えば、太陽電池150は、200nm乃至1400nmの波長帯の光から電気エネルギーを生成する太陽電池で有り得る。本実施の形態では、一例として、光電変換部が、結晶質シリコン基板(一例として、シリコンウエハ)と、結晶質シリコン基板またはその上に形成されドーパントを含む導電型領域または酸化物を含む導電型領域で構成されことができる。このように結晶性が高くて、欠陥の少ない結晶質シリコン基板をベースにした太陽電池150は、電気的特性が優れる。
【0020】
そして、本実施の形態においては、太陽電池150が、互いに離隔されながら、複数で備えられ、複数の太陽電池150がインターコネクタ(142、145)によって電気的に直列、並列または直並列に接続することができる。一例として、複数の太陽電池150が直列に接続されて一方向に沿って長く延長される太陽電池ストリングを形成することができる。インターコネクタ(142、145)ではリボン、ワイヤーなどの太陽電池150を接続することができる様々な構造、形状が適用されることができる。本発明は、インターコネクタ(142、145)の数、構造、形状等に限定されない。
【0021】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池150の構造、方式などは多様に変形することができる。一例として、太陽電池150は、化合物半導体太陽電池、シリコン半導体太陽電池、色素増感型太陽電池などの多様な構造を有することができる。そして、一つの太陽電池150のみが備えられることも可能である。
【0022】
第1カバー部材110は、シール材130(一例として、第1シール材131)上に位置して太陽電池パネル100の一面(一例として、前面)を構成し、第2カバー部材120は、シール材130(この例で、第2シール材132)上に位置して太陽電池パネル100の他面(一例として、後面)を構成する。第1カバー部材110及び第2カバー部材120は、それぞれ、外部の衝撃、湿気、紫外線などから太陽電池150を保護することができる絶縁物質で構成されることができる。このとき、本実施の形態において、第1及び第2カバー部材(110、120)は、太陽電池パネル100が一定の色、画像、パターンを有することができるよう、一定の構造を有すどころ、これについては後で詳細に説明する。
【0023】
シール材130は、、インターコネクタ(142、145)によって接続された太陽電池150の前面に位置する第1シール材131と、太陽電池150の後面に位置する第2シール材132を含むことができる。第1シール材131と第2シール材132は、水分と酸素の流入を防止し、太陽電池パネル100の各要素を化学的に結合する。第1及び第2シール材(131、132)は、透光性(一例として、透明性)と接着性を有する絶縁物質で構成されることができる。一例として、第1シール材131と第2シール材132でエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral)、ケイ素樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(例えば、ポリオレフィン)などが使用されることができる。ラミネート工程によって第2カバー部材120、第2シール材132、インターコネクタ(142、145)によって接続された複数の太陽電池150、第1シール材131、第1カバー部材110が一体化されて、太陽電池パネル100を構成することができる。さらに具体的に、ラミネート工程においては、第2カバー部材120、第2シール材132、インターコネクタ(142、145)によって接続された複数の太陽電池150、第1シール材131、第1カバー部材110を積層した状態で、熱と圧力を加える。それでは、第1及び第2シール材(131、132)が溶けたが、硬化されながら、第1及び第2カバー部材120とインターコネクタ(142、145)によって接続された複数の太陽電池150を互いに接着させる。
【0024】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第1及び第2シール材(131、132)が、前述した説明以外の様々な物質を含むことがあり、様々な形態を有することができる。例えば、第1カバー部材110または第2カバー部材120が、様々な形態(例えば、基板、フィルム、シートなど)または物質を有することができる。
【0025】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、太陽電池パネル100で、様々な構造、方式が適用されることができる。
【0026】
以下においては、太陽電池パネル100において、太陽電池150が位置した部分を有効領域(AA)、太陽電池150が位置しない部分を非有効領域(NA)と称する。太陽電池150またはこれに接続されるインターコネクタ(142、145)がそのまま認識されるか、非有効領域(NA)を介して第2カバー部材120が認識されて、太陽電池150の境界が明確に認識されると、太陽電池パネル100の審美性が低下することができる。
【0027】
そこで、本実施の形態においては、太陽電池150またはこれに接続されるインターコネクタ(142、145)がそのまま認識されるか非有効領域(NA)を介して第2カバー部材120が認識されて、太陽電池150の境界が明確に認識されないように、第1カバー部材110及び第2カバー部材120が、一定の構造を有することができる。さらに具体的には、太陽電池パネル100を一定距離以上(一例として、1m以上)から離れ肉眼で見る場合に、太陽電池パネル100が、一定の色、画像、パターンなどを有するようにする構造を第1カバー部材110及び第2カバー部材120が有することができる。一例として、建物1の外観を眺めるために十分な距離で太陽電池パネル100を見た場合に、建物1の外観を向上させるしながらも、出力は大きく変わらないようにすることができる。これをさらに詳細に説明する。
【0028】
第1カバー部材110は、太陽電池150に入射される光を遮断しないように光が透過することができる透光性を有することができる。第1カバー部材110は、ベース部材112と、ベース部材112に部分的に形成されて着色領域(
図4の参照符号CA、以下同じ)を構成する着色部114を含むことができる。
【0029】
このとき、ベース部材112は、優れた光透過度を有する(一例として、透明な)物質で構成されることができる。例えば、ベース部材112は、ガラス、樹脂(一例として、ポリカーボネート(polycarbonate)など)などで構成される基板、フィルム、シートなどで有り得る。このようなベース部材112は、単一層または複数の層で構成されることができる。
【0030】
特に、ベース部材112は、優れた透明度、優れた絶縁特性、安定性、耐久性などを有するガラス基板からなることができる。一例として、ベース部材112は、300nm乃至1200nmの波長を有する光の光透過度が80%以上(一例として、85%以上)である低鉄ガラス基板(一例として、低鉄強化ガラス基板)で有り得る。このように鉄分を少なく含む低鉄ガラス基板を使用すれば、太陽光の反射を防止して太陽光の透過率を向上させることができる。そして低鉄強化ガラス基板を使用すると、外部の衝撃などから太陽電池150を効果的に保護することができる。
【0031】
このとき、太陽電池パネル100が、建物1の外装材として使用される場合には、風圧、あられ、積雪荷重のような外部の衝撃にも耐えられるように、第1カバー部材110または太陽電池パネル100が十分な強度を有さなければならない。このため、2400Nm2の力を加えたときの力を受ける方向に発生する反り(deflection)が5mm以下である第1カバー部材110またはベース部材112を使用することができる。反りが5mmを超えて発生すれば、風圧、あられ、積雪荷重のような外部からの衝撃に対する耐久性が十分でない建物1の外装材として使用することが困難することがある。
【0032】
一例として、ベース部材112は、3mm乃至12mm(さらに具体的には、3mm乃至8mm)の厚さを有することができ、0.04乃至10m2の面積を有することができる。ベース部材112の厚さが3mm未満であれば、太陽電池パネル100が外部からの衝撃に耐えることが困難するかまたは建物1に適用されることに十分な耐久性を有することは困難することがある。ベース部材112の厚さが12mmを超えると、太陽電池パネル100の重量が増加して建物1に適用されることが難しいことがある。前述したベース部材112の面積は、太陽電池パネル100の構造的安定性、生産性などを考慮して、限られたものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース部材112の反りの値、厚さ、面積等は、さまざまな値を有することができる。
【0033】
そして、ベース部材112の上には着色領域(CA)を構成する着色部114が部分的に形成されることができる。着色領域(CA)を
図4及び5を参照して、さらに詳細に説明する。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100に含まれた第1カバー部材110の一例を示す平面図であり、
図5は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100に含まれた第1カバー部材110の日の変形例を示す平面図である。
図4及び
図5の(a)においては、着色部114が形成された第1カバー部材110の実際の形状を図示し、(b)においては、一定距離だけ離隔された距離で見たときの第1カバー部材110の形状を示した。
【0035】
本実施の形態において着色領域(CA)とは、一定の色、画像、パターンなどを形成するために色があることに認識される領域を意味する。
【0036】
一例として、
図4に示すように、第1カバー部材110またはベース部材112の全領域に一定の色、画像、パターンなどを有するように色があると認識される着色領域( CA)が位置することを例示した。さらに具体的には、
図4の(a)に示したように、ベース部材112の全領域にドット状の着色部114が一定の間隔で位置して、
図4の(b)に示すように、一定距離だけ離れて見ると、着色部114が位置した、ベース部材112の着色領域(CA)が全体的に一つの色として認識されることができる。
【0037】
他の例として、
図5に示すように、第1カバー部材110またはベース部材112の一部の領域のみ着色領域(CA)が位置し、他の領域は色があると認識され、非着色領域(NA)が位置することができる。さらに具体的に、
図5の(a)に示したように、ベース部材112の一部の領域にドット状の着色部114が一定の間隔で位置し、残りの領域には、着色部114が位置しなければ、
図5の(b)に示すように一定距離だけ離れて見ると、着色部114が位置した着色領域(CA)は、一定の色を有する着色領域(CA)として認識されることができる。そして、残りの領域は、色がないと認識される非着色領域(NA)になることができる。
【0038】
複数の着色部114が備える場合に、複数の着色部114は、互いに同じ色を有することもあり、互いに異なる色を有し、所望する画像を実現することもできる。互いに異なる色を有する複数の着色領域(CA)が備えられる場合には、互いに異なる色を有する複数の着色領域(CA)が互いに隣接するか、独立して位置することができる。
図5においては、一例として、2色を有する着色部(114a、114b)によって互いに異なる色を有する二つの着色領域(CA1、CA2)が備えられたことを例示した。しかし、本発明が、着色領域(CA)の形状、色などに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0039】
図4及び
図5においては、着色領域(CA)を構成する着色部114が円形のドット形状を有し、着色領域(CA)でドット形状の着色部114が位置しない部分が全体的に接続されて光透過部(LTA)を形成することを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、着色部114が円形、楕円形、多角形(三角形、四角形など)、不規則形状、またはこれらの組み合わせで構成することもできる。他の例として、
図6の(a)に示すように、着色部114が一字形状を有するように一方向に長くつながって複数の着色部114がストライプ形状を形成することもできる。それでは、複数の着色部114と平行な光透過部(LTA)が複数の着色部114との間に位置して、前記一方向と交差する方向において着色部114と光透過部(LTA)が交互して位置することができる。また別の例として、
図6の(b)に示すように、着色部114が、第1方向に延びる第1部分と、第1方向と交差する第2方向に延長される第2部分を含むチェック柄の形状を有することもできる。それでは、第1部分と第2部分によって囲まれてドット形状を有する部分が光透過部(LTA)を構成することができる。そのほかにも着色部114は、様々な形状を有することができる。
【0040】
このとき、複数の着色部114が一定距離を有しながら互いに離隔しながら一定面積の割合以上形成されると、一定距離から見る場合に、光透過部(LTA)を挟んだ複数の着色部114が一つで認識されることができる。つまり、複数の着色部114によって複数の着色部114が位置した着色領域(CA)が一つの色として認識されながらも、複数の着色部114との間に位置する高い光透過度のベース部材112で構成された光透過部(LTA)を介して太陽光は大きな損失なしに、第1カバー部材110を通過して、太陽電池150に転立つ伝達されることができる。
【0041】
一例として、着色部114がそれぞれ0.2~10mmの幅またはサイズを有し、着色領域(CA)の総面積に対する着色部114の総面積の割合が0.1~0.95(さらに具体的に、0.1~0.5)で有り得る。このような範囲で一定距離(一例として、1m)を置いて複数の着色部114を眺めると一つの色として認識されることができる。このとき、着色領域(CA)の総面積に対する着色部114の総面積の割合が0.5以下であれば(つまり、着色部114の総面積が光透過部(LTA)の面積と同じかそれより小さいと)、第1カバー部材110を通過する光の損失がほとんどなしで、所望する色、画像、パターンなどを実現することができる。
【0042】
または、複数の着色部114が、互いに一定の間隔で位置すると複数の着色部114を一つで認識することができる。一例として、複数の着色部114が40~300 dpi(dots per inch)(一例として、80~300dip)で形成されると、複数の着色部114が、全体的に一つに認識されて所望の形状、画像、パターンなどを構成することができる。
【0043】
着色部114は、所望する色、画像などを考慮した、様々な色を有することができる。このとき、着色部114の色、面積比、厚さなど、そして着色部114に含まれる色素1142の種類、大きさ、濃度、密度などを調節して、第1カバー部材110の透過率を調節することができる。一例として、着色部114を備える第1カバー部材110は、300nm乃至1200nmの波長を有する光の光透過度が20%~95%であることがありますが、特に、優れた光電変換効率のために300nm乃至1200nmの波長を有する光の光透過度が80%以上で有り得る。本実施の形態においては、着色部114は、色素1142を含めても、ベース部材112よりは低いが、一定の光透過度を有し太陽光の一部を透過させることができる。それでは、着色部114を介しも太陽光が透過されることができ、着色部114による光の損失を防止または最少化することができる。一例として、着色部114が300nm乃至1200nmの波長を有する光の光透過度が20%以上(一例として、20%~95%)で有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0044】
着色部114は、ベース部材112の上に、またはベース部材112に形成されることができ、一定の色を有する様々な物質で構成されることができる。一例として、ベース部材112が強化ガラス基板で構成され、着色部114が前記強化ガラス基板の内部に色素1142が混合されて強化ガラス基板の一部を構成する一体化された部分で構成されることができる。つまり、着色部114は、ベース部材112を構成する強化ガラス基板の一部として構成されるが、ベース部材112とは異なり、色素1142を含む部分で有り得る。このような着色部114の色素1142は、ベース部材112を構成するガラス基板を強化する工程で、ベース部材112の内部に拡散及び浸透してガラス基板の物質と混合されて形成することができる。これによれば、着色部114がベース部材112と一体化されて形成され、物理的耐久性及び化学的耐久性に優れることができる。
【0045】
このような着色部114を備える第1カバー部材110は、セラミックフリット、色素1142と樹脂を含むセラミックインクを用いて形成することができる。以下においては、
図7、
図8A~
図8Dを参照して、前述した着色部114を備える第1カバー部材110を製造する方法を詳細に説明する。
【0046】
図7は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100に含まれる第1カバー部材110の一例の製造方法を示すフローチャートであり、
図8A~
図8Dは、
図7に示した製造方法の各段階を示す断面図である。
【0047】
図7を参照すると、本実施の形態に係る第1カバー部材110の製造方法は、基板洗浄段階S10、着色用インク塗布段階S20、乾燥段階S30、ガラス強化段階S40と仕上げ段階S50を含むことができる。
【0048】
図8Aに示すように、基板洗浄段階S10では、非強化ガラス基板で構成されたベース部材112を洗浄し、乾燥する。基板洗浄段階S10によって、ベース部材112上の異物や油膜などが除去されることができる。
【0049】
このとき、非強化ガラス基板は、300nm乃至1200nmの波長を有する光の光透過度が80%以上(一例として、85%以上)であり、厚さが3mm以上で有り得る。一例として、非強化ガラス基板は、建築用、非強化ガラス基板で有り得る。
【0050】
続いて、
図8Bに示すように、着色用インク塗布段階S20においては、色素1142、セラミックスフリット114c及び樹脂114dを含む着色用インクをベース部材112上に所望する形状に塗布して着色層1140を形成する。このとき、着色用インクは、印刷方法によって塗布されることがあるが、インクジェット印刷、デジタル印刷、リソグラフィ印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷などの様々な印刷方法が適用されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、そのほかさまざまな方法で着色用インクを塗布することができる。
【0051】
色素1142では、太陽光中の可視光線を選択的に吸収または反射して、固有の色を示すことができる物質を使用することができる。一例として、色素1142は、顔料(pigment)または染料(dyestuff)で有り得る。
【0052】
顔料とは水とほとんどの有機溶媒に溶解されない無機成分で構成された色素として、色を着せる対象物の表面を被覆して色を示す。顔料は耐薬品性、耐光性、耐候性、及び隠蔽力が優れる。つまり、顔料は塩基と酸に強く、紫外線にさらされたとき、変色、退色がよくされず、気候によく耐えることができる。染料は、水または有機溶媒に溶解される有機成分で構成された色素として、色を着せる対象物の表面に被覆されたり、繊維のような対象物に浸透して色を示す。前述された顔料に比べて耐薬品性、耐光性、耐候性、及び隠蔽力が低下する。本発明は、色素1142の種類などに限定されるものではなく、様々な色素1142を使用することができる。
【0053】
一例として、所望する色を考慮してこれに対応する一つまたは複数の物質を色素1142で使用することができる。例えば、赤、黄色などの系列を示すために、同(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ウラン(U)、バナジウム(V)の内、少なくとも一つを含む物質などを色素1142で使用することができる。緑色または青色などの系列を示すためにチタン(Ti)、マグネシウム(Mg)、ルチル (rutile)の内、少なくとも一つを含む物質を色素1142で使用することができる。色素1142を構成する物質は、酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、塩化物などの形で構成されることができる。一例として、青色を示すためには、CoAl2O4を色素1142で使用することができて、黄色を示すためには、Ti(Cr、Sb)O2を色素1142で使用することができる。このような物質は、一例として提示したものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。
【0054】
樹脂114dは、着色用インクを塗布する際、適切な粘度、流動性などを有するようにし、色素1142とセラミックフリット114cを均一に混合、使用される物質として、揮発することができる物質で有り得る。樹脂146は、知られている様々な物質を含むことができる。
【0055】
セラミックフリット114cは、色素1142がベース部材112(特に、ガラス基板)に安定的に結合することができるようにする。セラミックフリット114cは、知られている様々な物質を含むことができる。例えば、セラミックフリット114cは、酸化ビスマス(BiOx)を基本物質として含むことができ、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化シリコン(SiOx)、酸化ナトリウム(NaOx)などをさらに含むことができる。一例として、セラミックフリット114cが酸化ビスマス、ナトリウム酸化物、アルミニウム酸化物、酸化シリコンを含む、オス(NAOS)系セラミック物質を含むことができる。セラミックフリット114cは、熱処理後も、いくつかの残留することも、熱処理時に削除されたり、ベース部材112と一体化されて判別するのは難しいことができる。セラミックフリット114cが残留する場合には、様々な成分の分析方法(例えば、走査型電子顕微鏡 - エネルギー分散型分光分析法(SEM-EDX)など)によってセラミックフリット114cを判別することができる。
【0056】
このとき、着色用インクは、ナトリウム及びカリウム、それぞれを10X1018個/ cc以下で含むことができる。これは着色用インクがナトリウムまたはカリウムを前述した範囲を超えて含むと、漏れ電流による劣化(potential-induced degradation、PID)現象が発生して、太陽電池パネル100の信頼性が低下することができる。そして着色用インクは、鉛を含まず、環境問題が発生しないようにすることができる。一例として、着色用インクに含まれるナトリウム、カリウム、鉛の量は二次イオン質量分析(secondary ion mass spectrometry、SIMS)などにより測定または判別されることができる。
【0057】
続いて、
図8Cに示すように、乾燥段階S30においては、熱を加えて着色層1140を乾燥しながら、樹脂114dを揮発させる。樹脂114dを先に 揮発させて色素1142がベース部材112と一緒に効果的に混合することができるようにする。一例として、乾燥段階S30においては、50~150℃の温度で着色層1140を乾燥することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、乾燥温度は、多様に変化することができる。
【0058】
続いて、
図8Dに示すように、ガラス強化段階S40においては、アニーリング(annealing)によってベース部材112を構成する非強化ガラス基板を強化する。その時、相平衡を合わせるために着色層1140に含まれた色素1142が、ガラス基板の内部に混入されながら強化ガラス基板の一部を構成する着色部114が一緒に形成される。ガラス強化段階S40は、非強化ガラス基板を強化できる温度(例えば、700℃以下、一例として、600~700℃)で行うことができる。しかし、本発明が、ガラス強化段階S40の温度に限定されるものではない。
【0059】
続いて、仕上げ段階S50においては、ガラス強化段階S40が実行された第1カバー部材110を洗浄、乾燥する。それでは、一体化された着色部114を備える第1カバー部材110の製造が完了する。
【0060】
図9及び
図10を参照して、本実施の形態に係る製造方法によって製造された着色部114を備える第1カバー部材110をさらに詳細に説明する.
図9は、本発明の実施の形態に係る第1カバー部材110の製造方法の一例により製造された第1カバー部材110を撮影した平面写真であり、
図10の(a)及び(b)は、本発明の実施の形態に係る第1カバー部材110の製造方法の一例で、ガラス強化段階S40の前と後の第1カバー部材110の断面写真である。
【0061】
図9においては、一例として、上部と下部で互いに異なる色、明度、または彩度の着色部が形成されたことを知ることができる。
図10の(a)に示すように、ガラス強化段階(ST)以前には着色用インクまたは着色層1140が大きな厚さに形成されたことを知ることができるが、
図10の(b)に示すように、ガラス強化段階S40の後には、着色用インクが残留していながったことを知ることができる。
【0062】
前述した説明においては、強化ガラス基板で構成されたベース部材112に、これに一体化された着色部114を備えた第1カバー部材110を製造することを例示として説明した。
【0063】
これによれば、
図3及び
図8Dに示すように、着色部114がベース部材112の一面で厚さ方向での一部分に対応するように形成される。さらに具体的に、着色部114の第1部分114cがベース部材112の内部に陥没され、第2部分114dがベース部材112の基板面(BS)より突出した形状を有する。このような第1部分114c及び第2部分114dは、ラウンドされた形状をゆうしながら、ベース部材112の一面に亘って形成されることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース部材112に隣接する着色部114の形状が異なる形状を有することもできる。一例として、着色部114が均一な厚さを有しながら、平らに形成することもできる。その他の様々な変形が可能である。
【0064】
このとき、第1部分114cの厚さ(T1)が第2部分114dの厚さ(T2)より大きくなることがある。これによれば、色素1142または着色部114が安定的にベース部材112と一体化されることができる。そして第2部分114dの突出厚さを減らし、不必要な外観の低下、光屈折などの問題を防止することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第1部分114cの厚さ(T1)が第2部分114dの厚さ(T2)と同じか、それより小さいこともある。
【0065】
一例として、着色部114が色素1142で顔料が含み、1~50μm(一例として、1~10μm、さらに具体的には、2~5μmの厚さを有することができます。このとき、着色部114の厚さが1μm未満であれば、色素1142の密集度が減少して、所望する色を示すことが難しいことがある。着色部114の厚さが50μmを超えると、光透過度が低下することがあり、着色部114の剥離、ひび割れ等の現象が発生することができる。
【0066】
他の例として、着色部114が色素1142で染料を含み、100nm乃至500nmの厚さを有することができる。このとき、着色部114の厚さが100nm未満であれば、色素1142の密集度が減少して、所望する色を示すことが難いことがある。着色部114の厚さが500nmを超えると、光透過度が低下することがあり、太陽光の進路を妨害して太陽光の損失が発生することができる。
【0067】
図においては、着色部114が第1カバー部材112の外面側に位置することを例示した。それでは、太陽電池パネル100が建物1に適用されたときに発生することができるグレアを着色部114によって防止または最少化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく着色部114が第1カバー部材112の内面に位置することもできる。その他の様々な変形が可能である。
【0068】
一方、
図2及び
図3それと、
図11~
図13を参照して、本実施の形態に係る太陽電池パネル100と、これに含まれた第2カバー部材120を詳細に説明する。
【0069】
図11は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100に含まれた第1カバー部材110及び第2カバー部材120の一例を示す平面図である。
図12は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100に含まれた第1カバー部材110及び第2カバー部材120の他の例を示す平面図である。そして、
図13は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パネル100の一例の一部を撮影した写真である。
【0070】
図11及び
図12を参照すると、本実施の形態において、第2カバー部材120は、少なくとも非有効領域(NA)に位置するカバー部分124を含むことができる。
図11及び
図12は、第2カバー部材120が、ベース部分122と、ベース部分122に部分的に形成されるカバー部分124を備えたことを例示した。
【0071】
ここで、ベース部分122は、太陽電池150に入射される光を遮断しないように光が透過することができる透光性を有することができる。このとき、ベース部分122は、優れた光透過度を有する(一例として、透明な)物質で構成されることができる。一例として、ベース部分122は、300nm乃至1200nmの波長を有する光の光透過度が80%以上(一例として、85%以上)で有り得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース部分122が半透過性物質、非透光性物質、または反射物質などで構成することもできる。
【0072】
本実施の形態においては、カバー部分124が相対的に低い明度を有すか、相対的に低い光透過度を有するか、及び/又は第1カバー率より第2カバー率がさらに大きくなることがある。一例として、着色部114よりカバー部分124の明度が低いか、カバー部分124が着色部114と同じ色またはさらに低い明度の色を有しながら、第1カバー率より大きい第2カバー率を有することができる。
【0073】
ここで、 相対的に低い明度を有するということは、着色部114より低い明度を有することを意味することができ、相対的に低い光透過度を有するということは、ベース部材112及び/またはベース部分122より低い光透過度を有することを意味することができる。
【0074】
カバー部分124は、白色以外の無彩色、不透明な色、または太陽電池150と同じ系列の色を有することができる。例えば、カバー部分124が黒、グレー、青、緑、茶、太陽電池150と同じ系列の色、またはこれらを混合した色を持つことができる。白色は明度の高い色であるため、これを用いてカバー部分124を形成するのは難しいことがある。一例として、カバー部分124が、太陽電池150と同じ系列の色で形成されると、色の統一性を有し、太陽電池パネル100が、全体的に色の統一性を有するので審美性をさらに向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前述した色以外の色であっても着色部114より低い明るさまたはベース部材112及び/またはベース部分122さらに低い光透過度を有する色であれば、様々な色を使用ことができる。
【0075】
第1カバー率は着色領域(CA)の面積に対する前記着色部114の面積の割合を意味し、第2カバー率は、非有効領域(NA)の面積に対して非有効領域(NA)に位置するカバー部分124が占める面積の割合を意味することができる。
【0076】
これによれば、太陽電池150が位置していない非有効領域(NA)に位置するカバー部分124が着色部114より低い明度を有したり、大きなカバー率を有して太陽電池150の境界が認識されたりインターコネクタ(142、145)などが認識されることを防止することができる。
【0077】
すなわち、
図13の(a)と同じ太陽電池150とインターコネクタ(142、145)の上に、
図13の(b)のように着色部114を有する第1カバー部材110を置くと、着色部114による色は認識することができるが、太陽電池150の境界及びインターコネクタ(142、145)の境界がどの程度認識される。この状態で、
図13の(c)のようにカバー部分124を有する第2カバー部材120を一緒に置くと、着色部114による色が認識されながらも着色部114とカバー部分124の干渉によって、太陽電池150の境界とインターコネクタ(142、145)の境界を認識しにくくなる。
【0078】
一例として、第2カバー率が0.5~1で有り得る。つまり、非有効領域(NA)の全体面積について、これ形成されたカバー部分124の面積の割合が0.5~1で有り得る。このような第2カバー率を有するとき、太陽電池150の境界が認識されるかインターコネクタ(142、145)などが認識されることを効果的に防止することができる。
【0079】
一例として、第2カバー部材120が、
図11に示すように、有効領域(AA)及び非有効領域(NA)に対応するように、全体的に形成されることもあり、
図12に示すようのように、非有効領域(NA)に対応する部分にのみ形成され、有効領域(AA)では形成されないか、非有効領域(NA)を含みぁら部分的に形成されることができる。有効領域(AA)にカバー部分124が形成されないか、またはカバー部分124が部分的に形成されるとカバー部分124の形成のためのコストが節減されることができる。
【0080】
図11及び
図12においては、ベース部分122の上にドット形状を有するカバー部分124が位置したことを例示した。本発明がこれに限定されるものではない。すなわち、
図14の(a)に示すように、カバー部分124が第2カバー部材120の全体部分に形成されることもできる。
図14の(a)のような場合には、ベース部分122が、光透過度が低い色または明度が低い色を有し、それ自体でカバー部分124を構成することができる。つまり、ベース部分122とカバー部分124が、1つの単一層によって実現されることができる。または、
図14の(b)に示すように、カバー部分124が非有効領域(NA)に対応して、全体的に形成されることができる。このようにカバー部分124が、少なくとも非有効領域(NA)全体をカバーする単一の構造で構成されることができる。または、カバー部分124がストライプ形状などの他の形状を有することもできる。その他の様々な変形が可能である。
【0081】
このような第2カバー部材120は、金属膜(一例として、黒色を有するようにコーティングされた銀(Ag)、またはアルミニウム)が蒸着されたガラス基板から成るが、金属の板(一例として、鋼板)で構成されることができる。第2カバー部材120が金属膜が蒸着されたガラス基板である場合には、金属膜カバー部分124に該当し、ガラス基板がベース部分122に該当する。第2カバー部材120が金属板である場合には、金属板がベース部分122でありながらカバー部分124である。そのほかにも、第2カバー部材120またはベース部分122は、樹脂(一例として、ポリカーボネート(polycarbonate)など)を含み透光性、非透光性、または反射特性を有するシート、繊維強化プラスチック(fiber reinforced plastic)などで構成されることがあり、その上に顔料、染料などを含む、別のカバー部分124を形成したり、その内部にカバー部分124を形成する物質を含むこともできる。その他の様々な変形が可能である。ベース部分122が樹脂などで構成されると、ベース部分122は、単一層または複数の層で構成されることができる。
【0082】
前述したように、カバー部分124は、一つの形、色を有しながら、第2カバー部材120の一面に位置することも可能であり、様々な形、色などを有することができ、及び/または第2カバー部材120の両面に位置することもできる。例えば、第2カバー部材120の一面にドット形状を有する第1カバー部分が位置し、第2カバー部材120の他の一面に金属膜が形成されるなどの様々な変形が可能である。
【0083】
本実施の形態に係ると、第1カバー部材110に部分的に形成された着色部114によって、一定の色、画像、パターンなどを実現することができ、第2カバー部材120のカバー部分124によって太陽電池150、インターコネクタ(142、145)などが認識されることを防止することができる。これにより、太陽電池パネル100の出力低下を最小化しながら、太陽電池パネル100の外観を向上することができる。着色部114は、グレア現象を防止する役割もすることができる。また、横から見る場合にも、色の変化、または着色部114が認識されず所望する色、画像、パターンなどをそのまま維持することができる。一例として、第1カバー部材110の着色部114と第2カバー部材120のカバー部分124が同一または類似のパターンを有すると、太陽電池パネル100内でデザインの統一性を有し、審美性を確保することができる。
【0084】
反面、従来技術としてシール材などに一定の色を実現するための顔料、染料などを追加する場合には、シール材の電気伝導度、密封特性等に影響を及ぼして所望したくない特性変化が起こるなどの問題が発生することができる。これによって、信頼性が低下することがあった。また別の従来技術で別の着色部分を位置させる場合には、横から見たり、明るい場合に着色部分の色が異なるように認識されたり、他の部材と異なり認識されて審美性を低下させることができた。
【0085】
前述したように、着色部114がベース部材112内に一体化された構造を有するように構成されると、着色部114及びこれを含む第1カバー部材110の物理的及び化学的耐久性を向上させるすることができる。つまり、化学物質、熱、水分等に強くて発色寿命が長く、物理的衝撃(スクラッチなど)によって損傷しない。一方、着色部114が、別の物質で形成されると、化学物質、熱、水分、物理的な衝撃など相対的に脆弱することができる。このような第1カバー部材110は、非強化ガラスを強化する工程で容易に形成することができ、コストも節減することができる。一方、ベース部材112に、ガラス基板ではない、樹脂などを使用すると、紫外線に対する耐久性、物理的及び化学的耐久性に優れないことがあり、これを補償するために追加の部材などを追加する場合、工程のコストが上昇することができる。
【0086】
前述したように、第1カバー部材110及び第2カバー部材120のそれぞれが、ガラス基板(一例として、強化ガラス基板)を含む構造を含むと、建物一体型太陽電池パネルに要求される優れた耐久性を実現することができる。
【0087】
前述した説明及び図においては、着色部114が強化ガラスに一体化された部分で構成されたことを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、ベース部材112が、他のガラス、樹脂などで構成することもでき、及び/または着色部114がベース部材112の上で、ベース部材112とは別の層に形成されることもできる。このような例を
図15~
図17を参照して、詳細に説明する。前述した説明と同一又は極めて類似の部分については詳細な説明を省略し、互いに異なる部分についてのみ詳細に説明する。
【0088】
図15は、本発明の他の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解断面図である。
図16は、
図15のAの部分を拡大して示した部分断面図である。
図17は、本発明の一変形例に係る太陽電池パネルの部分断面図である。
【0089】
図15を参照すると、本実施の形態においては、ベース部材112の上にこれとは別の物質及び層で構成された着色部114が位置することができる。このとき、着色部114は、ベース部材112の基板面上に形成されて突出することができる。一例として、図では、着色部114が、太陽電池150に向けた面に位置し、太陽電池150の方向に突出したことを例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく着色部114が、太陽電池150の反対面(つまり、外部)の方向に突出形成されることもできる。
【0090】
この時、
図16を参照すると、着色部114で、ベース部材112に隣接した、第1面がこの反対面である第2面より広く形成されることができる。これによれば、着色部114と、ベース部材112の面積が十分するので、大きな接着力を有して着色部114が安定的に形成することができる。そして図のように、第2面が第1シール材131に隣接(一例として、接触)すると、着色部114の狭い面積が第1シール材131に隣接するので、第1シール材131と着色部114が気孔または欠陥せずに接合することができる。
【0091】
このような着色部114は、ベース部材112の上に着色層(
図8Bの参照符号1140参照、以下同じ)を蒸着などで形成した後、熱処理して乾燥または焼成して形成することができる。つまり、シャドウマスク(shadow mask)を用いて、ベース部材112の上に着色用物質を塗布することもできる。たとえば、シャドウマスクをベース部材112の上に固定した後に着色用物質を物理的または化学的に蒸着して着色層1140を形成することができる。シャドウマスクの開口部を介して着色用物質が蒸着されて、シャドウマスクの開口部と着色用物質が一対一対応されて同じ形状を有することができる。このように蒸着によって形成された着色部114は、
図16に示すように、第2面が平らな面で構成されることができる。
【0092】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。ベース部材112の上に着色層1140を形成した後、熱処理して乾燥または焼成して着色部114を形成することができる。一例として、着色用インクを印刷で塗布した後、100~300℃で熱処理することができる。熱処理工程中に溶剤、樹脂などが蒸発することができる。このとき、熱処理の温度が100℃未満では、熱処理工程の時間が増加することができる。熱処理工程の温度が300℃を超えると、印刷時に使用した樹脂、バインダーなどの変形が起こることがあり、溶媒が急激に蒸発されながら、内部に空隙が形成されることができる。このように空隙が形成されると空隙によって光が散乱されることがあり、第1カバー部材110の光透過度が低下することができる。
【0093】
このように印刷によって形成された着色部114は、
図17に示すように、第2面に一種の突出部(P)が形成されることができる。このような突出部(P)は、印刷によって着色部114を形成する際に印刷されるインクの表面張力、広がり現象などによって形成することができる。突出部(P)は、着色部114と同一の物質からなり、側面から延長され、第2面から突出して第2面の端から第2面を囲む形態を有することができる。このように突出部(P)が形成されると、着色部114と、第1シール材131が接合したときに、第2面の表面積を広げて着色部114と、第1シール材131の結合力を向上させることがことができる。
【0094】
以下においては、本発明のまた他の実施の形態に係る太陽電池パネルを詳細に説明する。前述した説明と同一又は極めて類似の部分については詳細な説明を省略し、互いに異なる部分についてのみ詳細に説明する。そして、前述した実施の形態またはその変形した例と下の実施の形態またはその変形した例を、互いに結合したものもまた、本発明の範囲に属する。
【0095】
図18は、本発明の他の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す分解断面図である。
【0096】
図18を参照すると、本実施の形態においては、ベース部材112と着色部114との間に形成される金属酸化膜116をさらに含むことができる。金属酸化膜116は、太陽光の内、290乃至400nmの波長を有する光(すなわち、紫外線(ultraviolet ray、UV))を吸収することができる。これにより、着色部114内に含まれる色素が紫外線から保護されて着色部114の安定性、耐久性などを向上することができる。したがって、前記色素が染料であっても、紫外線による化学反応が減少して色素の色の変化(一例として、黄変)などを防止することができる。これにより、長期間太陽光にさらされたときに発生することができる色の変化を最小化にすることができ、建物一体型構造で使用されたときにも、長時間の初期の色を維持して優れた審美性を維持することができる。
【0097】
また、金属酸化膜116が、紫外線を吸収して、太陽電池パネル100を構成する他の部材(例えば、シール材130)の黄変現象も防止または最少化することができる。これにより、太陽電池150に入射される太陽光の損失を最小化し、太陽電池パネル100の出力を最大化することができる。
【0098】
金属酸化膜116は、酸化チタン(TiOx)、酸化亜鉛(ZnOx)、酸化セシウム(CeOx)と酸化ジルコニウム(ZrOx)からなる群から選択された物質を少なくとも一つ含むことができる。金属酸化膜116は、物理気相蒸着法(physical vapor deposition、PVC)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition、CVD)、原子層蒸着法(atomic layer deposition、ALD)または化学溶液成長法(chemical bath deposition、CBD)によって形成されることができ、200~600℃の温度で熱処理され、紫外線を吸収することができる物性を有することができる。
【0099】
一例として、金属酸化膜116は、50nm乃至1.5μmの厚さを有することができます。金属酸化膜116の厚さが50nm未満の場合には、紫外線を吸収する効果が十分ではないことがある。金属酸化膜116の厚さが1.5μmを超えると、金属酸化膜116によって太陽光が損実されることがある。
【0100】
また、一例として、金属酸化膜116は、580乃至600nmの波長を有する光に対して2.1乃至2.9の範囲の屈折率(refractive index、RI)を有することができる。それでは、金属酸化膜116が、紫外線を効果的に吸収することができる。前述したように、金属酸化膜116の屈折率は、熱処理によって調節することができる。例えば、金属酸化膜116は、200~600℃の温度で熱処理することができる。一例として、50nmの厚さの酸化チタン(TiOx)膜を600℃で熱処理して屈折率が2.1である金属酸化膜116を形成することができる。他の例として、1.5μmの厚さの酸化チタン(TiOx)膜を200℃で熱処理して屈折率が2.8である金属酸化膜116を形成することもできる。
【0101】
このような第1カバー部材110は、着色部114を形成する工程の以前に、第1カバー部材110の上に金属酸化膜116を形成する工程をさらに実行して製造することができる。
【0102】
図19は、本発明のまた他の実施の形態に係る太陽電池パネルを概略的に示す断面図である。
【0103】
図19を参照すると、本実施の形態では、着色部114が第1カバー部材110の内面に位置し、第1カバー部材110の外面(すなわち、ベース部材112の外面)に反射防止のためのテクスチャリング構造112aが形成されることができる。テクスチャリング構造112aは、物理的または化学的エッチングによって形成されることができ、これによって太陽電池パネル100の内部に入射される光の量を増加させることができる。
【0104】
そして、ベース部材112の外面上にグレア防止層118がさらに位置してグレアを防止することができる。グレア防止層118には、知られている様々な構成が適用されることができる。
【0105】
図19においては、着色部114が、
図15に示すように、ベース部材112の上に別に形成された層で構成されたことを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。着色部114が、
図2に示すように、ベース部材112と一体化された構造が適用されることもある。その他の様々な変形が可能である。
【0106】
そして、第2カバー部材120またはカバー部分124のテクスチャリング構造またはエッチングなどをして、反射特性を向上したり、反射を防止するなど、所望する特性をゆうするようにすることができる。例えば、カバー部分124は、金属膜で形成し、これをエッチングすることができる。
【0107】
前述した実施の形態と変形例は、互いに自由に結合することができ、これもまた本発明の範囲に属する。
【0108】
前述したところに従った特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施の形態に含まれ、必ずしも一つの実施の形態のみに限定されるものではない。さらに、各実施の形態において例示された特徴、構造、効果などは、実施の形態が属する分野の通常の知識を有する者によって他の実施の形態に対しても組み合わせ、または変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせと変形に係る内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。